JP5415474B2 - ナット保持具 - Google Patents

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Description

本発明は、主として高所作業においてボルトまたはナットの落下を防止するためのナット保持具に関する。
従来から、鉄塔等の構造物の組立作業や補修作業或いは電柱の装柱の着脱作業などのように、比較的高所で作業する場合には、ボルトやナット等の資材を落下させてしまうと、資材の損傷や遺失を招くうえ、落下場所に存在していた物品や等にも損傷を与えてしまう虞がある。
特に、鉄塔や電柱での高所作業では、素手による作業では感電防止対策として厚い絶縁手袋を着用して作業する場合が多いことから、ボルトやナットのような小さなものは把持し難く、作業中に過って取り落としてしまう可能性もある。
一般的に、このような高所作業では、作業現場周辺の資材落下想定範囲に作業区画を設定するが、その予定作業区画の範囲内に重量物等の動かし難い構造物があるなど、充分な作業区画を確保することができない場合もある。
このため、ボルトやナット等を作業中に落下し難くするために、クリップによりボルトのネジ部を挟持する落下防止具(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
しかしながら、このようなボルトのネジ部を保持するクリップでは、ナットを保持することができず、充分な落下防止具とは言い難いという問題が生じていた。
そこで、弾性キャップ具によりボルト及びナットを別々に保持する落下防止具(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
特開2009−041741号公報 特開2005−287168号公報
しかしながら、ボルト及びナットを独立して保持する弾性キャップ具では、必要な組数の倍の弾性キャップ具を必要とするばかりでなく、比較的厚肉で重いゴム等の弾性体でボルト及びナットを独立して保持していることと相俟って、作業者の持ち運びの負担が大きいといった問題が生じていた。
また、ボルト及びナットを独立して保持することから、複数組のボルト及びナットを保持して作業を行っていた際、特に、ナットは弾性キャップ具内に完全収納されていることから、目視し難く、使用済みの空キャップ具と使用前のキャップ具とを区別することができず、作業工数が増してしまうという問題が生じていた。
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、軽量で必要な組数で足りることができ、作業者の持ち運びや作業時の負担を軽減することができるナット保持具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る保持具は、ボルトにナットを螺合した状態でナットを相対回転不能に保持するナット保持具であって、ナットを挿入する挿入部と、少なくともナット周面の隣接しない二面以上と当接する当接部と、ナット保持状態でボルトのネジ先端部が突出するネジ先端貫通部と、ナット保持状態で吊持する紐状の吊持部と、を備えていることを特徴とする。
本発明のナット保持具によれば、軽量で必要な組数で足りることができ、作業者の持ち運びや作業時の負担を軽減することができる。
また、本発明に係るナット保持具は、ナットの前面及び背面と当接して軸線方向の抜け止めを行う一対の挟持面を備え、該一対の挟持面の前面側に前記挿入部と連通するネジ貫通部が形成され、前記一対の挟持面の背面側に前記ネジ先端貫通部が形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ナットの周面だけでなくナットの前面及び背面を支持することができ、ナットの落下防止効果を向上することができる。
好ましくは、ネジ先端貫通部を挿入部と連通させることにより、ボルトにナットを螺合した状態のままナットを挿入部から挿入することができる。
より好ましくは、ナット保持具に、挿入部から露出しているナット周面と当接する脱落防止部を備えることにより、ナットの落下防止効果をより一層向上することができる。
さらに、この脱落防止部を吊持部に設けることにより、ナットの露出周面に脱落防止部を当接させる専用作業を行うことなく、吊持部でナットを吊り下げるだけでナットの周面に脱落防止部を当接させることができる。
本発明のナット保持具によれば、軽量で必要な組数で足りることができ、作業者の持ち運びや作業時の負担を軽減することができる。
本発明の一実施形態に係る実施例1のナット保持具を示し、(A)はナット保持前のナット保持具の斜視図、(B)はナット保持状態のナット保持具の斜視図、(C)はボルト保持状態のナット保持具の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る実施例1の変形例によるナット保持具を示し、(A)はナット保持前のナット保持具の斜視図、(B)はナット保持状態のナット保持具の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る実施例2のナット保持具を示し、(A)はナット保持前のナット保持具の斜視図、(B)は保持具の断面図である。 本発明の一実施形態に係る実施例2のナット保持具を示し、ナット保持状態のナット保持具の背面図である。 本発明の一実施形態に係る実施例2のナット保持具を示し、(A)はナット保持例の第一例を示すナット保持具の側面図、(B)はナット保持例の第二例を示すナット保持具の側面図、(C)はナット保持例の第三例を示すナット保持具の側面図である。 本発明の一実施形態に係る実施例2における変形例のナット保持具を示し、ナット保持前のナット保持具の斜視図である。
次に、本発明の一実施形態に係るナット保持具について、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明のナット保持具における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
[実施例1]
図1は、本発明の一実施形態に係る実施例1のナット保持具を示し、図1(A)はナット保持前のナット保持具の斜視図、図1(B)はナット保持状態のナット保持具の斜視図、図1(C)はボルト保持状態のナット保持具の斜視図である。
(全体構成)
図1において、1はボルト、2はボルト1のネジ部、3はネジ部2に螺合されたナットである。
図1において、本発明の一実施形態に係るナット保持具10は、ナット3を挿入保持する保持具11と、保持具11に設けられた紐状の吊持具12と、を備え、ボルト1にナット3を螺合した状態でナット3を相対回転不能に保持する。
(保持具11の構成)
保持具11は、薄肉(例えば、0.2〜0.3mm)の金属(例えば、アルミや銅)又は樹脂(例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート)から一体に成形されており、ナット3を挿入する挿入部13と、少なくともナット3の周面の隣接しない二面以上と当接する当接部14と、を備えている。また、保持具11は、ナット3の前面及び背面と当接して軸線方向の抜け止めを行う一対の挟持面16,17を備えている。この一対の挟持面16,17の前面側(図示ボルト1の頭部側)に配置された挟持面16には、挿入部13と連通するネジ貫通部18が形成されている。また、一対の挟持面16,17の背面側(図示ネジ部2の先端側)に配置された挟持面17には、ネジ先端貫通穴15が形成されている。さらに、背面側の挟持面17には吊持具12の一端が接続される接続穴19aが形成された舌片19が挿入部13から離反する方向に突出形成されている。尚、挟持面16,17の少なくとも一方の内面には、例えば、図1(A)に示すように、挿入部13の開口付近に内側に突出する凸部16aを形成し、ナット3の脱落(図1(B)の場合)やボルト1の脱落(図1(C)の場合)を抑制することも可能である。
(吊持具12の構成)
吊持具12は、例えば、作業現場や作業目的等に応じた所定長さのビニール紐等を用いており、その種類や太さ等はボルト1やナット3の大きさ・重量を考慮して適宜変更可能である。また、吊持具12は、一端を舌片19の接続穴19aに接続し、その他端はループ状としたり別途のバックル(図示せず)等を用いて作業者のベルト等から吊り下げることができる。
(使用例)
このような構成においては、図1(A)に示すように、先にナット3を挿入部13から保持具11の内部に挿入し、その隣接しない二面を当接部14に当接させる。この際、ナット3の図示下方の角部は当接部14の底壁に当接する。次に、図1(B)に示すように、ナット3の前面側(ネジ貫通部18側)からボルト1のネジ部2を挿入し、ナット3にネジ部2を螺合する。この際、ネジ部2の先端部分が背面側の挟持面17に十分な力で当接するまで螺合させることにより、しっかりとナット3を保持することができ、運搬時等にボルト1及びナット3が保持具11から不測に脱落してしまうことを防止することができる。
また、吊持具12により作業者のベルト(図示せず)等に吊り下げることにより、ナット3がボルト1と一緒に保持具11に抜け止め状態で保持される。
そして、作業場において、ボルト・ナットの締結作業の際は、ボルト1をナット3から抜き、所定の締結穴へと挿入する。この際、ボルト1は比較的大きな長尺物であることから、例え、作業者が絶縁手袋をしていても、作業中に過って落下させてしまうことは少ない。
また、ナット3は、この状態では保持具11に収納保持されたまま落下し難い状態となっている。
さらに、ナット3は、保持具11に相対回転不能に収納保持したままネジ部2の先端部分を仮螺合させた後、保持具11からナット3を抜き出して本螺合することにより、過って落下させてしまうことを抑制することができる。
また、ボルト・ナットの撤去作業の際は、被締結部(図示せず)に取り付けたボルト1と螺合状態のナット3を緩め、ナット3がネジ部2から離脱する直前でナット3を保持具11に保持させた後に、ボルト1又はナット3の一方を回転させてナット3をネジ部2から離脱させ、被締結部からボルト1を離脱した後に再びナット3にボルト1を螺合する(図1(B))ことによって、使用済みのボルト1とナット3とを持ち歩くことも可能である。尚、図1(C)に示すように、ナット3ではなく、ボルト1の頭部を保持具11に保持させても良い。
(変形例)
図2は、実施例1の変形例によるナット保持具を示し、図2(A)はナット保持前のナット保持具の斜視図、図2(B)はナット保持状態のナット保持具の斜視図である。図1の構成に対して、ネジ先端貫通穴15を追加している。その他の構成要素は図1と同様であり、同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
このような構成においては、図2(B)に示すように、ナット3の前面側(ネジ貫通部18側)からボルト1のネジ部2を挿入し、ナット3にネジ部2を螺合する。この際、ネジ部2の先端部分はネジ先端貫通穴15から突出する程度にまで螺合させることにより、作業時にボルト1及びナット3が保持具11から不測に脱落してしまうことを防止することができる。
[実施例2]
次に、本発明の一実施形態に係る実施例2のナット保持具について図3乃至図6を用いて説明する。
(全体構成)
図3及び図4において、ナット保持具20は、ナット3を挿入保持する保持具21と、保持具21に設けられた紐状の吊持具22と、を備え、ボルト1にナット3を螺合した状態でナット3を相対回転不能に保持する。
(保持具21の構成)
保持具21は、薄肉(例えば、0.2〜0.3mm)の金属(例えば、アルミや銅)又は樹脂(例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート)から一体に成形されており、ナット3を挿入する挿入部23と、少なくともナット3の周面の隣接しない二面以上と当接する当接部24と、ナット3を保持した状態でネジ部2の先端部分が突出するネジ先端貫通穴25と、を備えている。また、保持具21は、ナット3の前面及び背面と当接して軸線方向の抜け止めを行う一対の挟持面26,27を備えている。この一対の挟持面26,27には、挿入部23と連通するネジ貫通部28とネジ先端貫通穴25とが形成されている。さらに、当接部24の挿入部23の一部を形成する開口端面には吊持具22の中途部が貫通する貫通穴29aを形成した一対の舌片29が挿入部23から離反する方向に突出形成されている。尚、挟持面26,27の少なくとも一方の内面には、例えば、図3(A),(B)に示すように、挿入部23の開口付近に内側に突出する凸部26aを形成し、ナット3の脱落を抑制することも可能である。
(吊持具22の構成)
吊持具22は、例えば、作業現場や作業目的等に応じた所定長さのビニール紐等を用いており、その種類や太さ等はボルト1やナット3の大きさ・重量を考慮して適宜変更可能である。また、吊持具22は、その中途部がループ状とされて挿入部23の上方に位置するように貫通穴29aを貫通しており、その挿入部23の上方に位置する中途部には軟質樹脂等の弾性変形可能な脱落防止チューブ30が設けられている。さらに、この脱落防止チューブ30と舌片29を挟む中途部にはループ状とさらた吊持具22の中途部を束ねる結束体31が設けられている。尚、吊持具22の両端は結んだ状態で別途のバックル(図示せず)等を用いて作業者のベルト等から吊り下げることができる。
(使用例)
このような構成においては、予めボルト1のネジ部2にナット3を螺合させておき、図3に示すように、ネジ部2の先端部分を含むナット3を挿入部23から保持具21の内部に挿入し、その隣接しない二面を当接部24に当接させる。この際、ナット3の隣接しない二面、即ち、挿入部23から露出する二面を除く四面を当接部24に当接させることができる。
次に、ナット3の周面のうち挿入部23から露出する二面(隣接する二面)に脱落防止チューブ30が当接するように結束体31で吊持具22を絞り込む。
この際、結束体31は、例えば、図5(A)に示すように、ネジ部2の端面、図5(B)に示すように、ネジ部2の先端部分と挟持面27とで形成される角部、図5(C)に示すように、保持具21(当接部24)の底壁部分、の何れかの位置とすることにより、ボルト1を保持した状態でのナット3と脱落防止チューブ30との当接力を確保することができる。
そして、所定の作業場では、ボルト1をナット3から抜き、所定の締結穴へと挿入する。この際、ボルト1は比較的大きな長尺物であることから、例え、作業者が絶縁手袋をしていても、作業中に過って落下させてしまうことは少ない。
また、ナット3は、この状態では保持具21に収納保持されたまま落下し難い状態となっている。
さらに、ナット3は、保持具21に相対回転不能に収納保持したままネジ部2の先端部分が突出する程度にまで仮螺合させた後、保持具21からナット3を抜き出して本螺合することにより、過って落下させてしまうことを抑制することができる。
このような構成によれば、ネジ先端貫通穴25が挿入部23と連通していることから、ボルト1にナット3を予め螺合させた状態で保持具21にナット3を保持させることができる。また、挿入部23から露出しているナット3の周面を脱落防止チューブ30で押さえることにより、作業中にナット3が保持具21から脱落してしまうことを抑制することができる。さらに、脱落防止チューブ30は吊持具22に設けられているため、例え、結束体31が無くても、吊持具22の端部でナット3を吊り下げれば、専用の当接作業を行うことなく自重によって脱落防止チューブ30をナット3に当接させることができる。しかも、脱落防止チューブ30は結束体31によって吊持具22を絞り込む(小径とする)ことにより、緊張状態でナット3に脱落防止チューブ30を当接させることができる。
この際、脱落防止チューブ30は弾性を備えていることから、ボルト1を引き抜いた後に吊持具22に遊びが発生しても、脱落防止チューブ30の復帰力によってある程度の緊張状態を維持したままナット3に脱落防止チューブ30を当接させることができる。尚、ネジ部2の先端部分のナット3からの突出量は、作業中にボルト1がナット3から不測に脱落しない程度で良いことから、ナット3からボルト1を引き抜いても、上述した遊びはナット3が保持具21から脱落してしまう程のストロークは確保され難くすることができる。
(応用例)
ところで、保持具21は、例えば、図6に示すように、一つのボルト1に二つのナット3を螺合したダブルナット状態での収納保持も可能である。この際、保持具21は、当接部24の幅をバブルナット分に対応させれば良い。
(実施例効果)
このように、本発明のナット保持具10,20にあっては、ボルト1にナット3を螺合した状態でナット3を相対回転不能に保持するナット保持具であって、ナット3を挿入する挿入部13,23と、少なくともナット3の周面の隣接しない二面以上と当接する当接部14,24と、ナット保持状態でボルト1のネジ先端部が突出するネジ先端貫通部15,25と、ナット保持状態で吊持する紐状の吊持具12,22と、を備えていることにより、軽量で必要な組数で足りることができ、作業者の持ち運びや作業時の負担を軽減することができる。
1…ボルト
2…ネジ部
3…ナット
4…ワッシャ
10,20…ナット保持具
11,21…保持具
12,22…吊持具(吊持部)
13,23…挿入部
14,24…当接部
15,25…ネジ先端貫通部(ネジ先端貫通穴)
16,17,26,27…挟持面
16a,26a 凸部
18,28…ネジ貫通部
19,29…舌片
19a…接続穴
29a…貫通穴
30…脱落防止チューブ
31…結束体

Claims (4)

  1. ボルトにナットを螺合した状態でナットを保持するナット保持具であって、該ナット保持具と前記ナットは相対回転不能であり、
    前記ナット保持具は、ナットを挿入する挿入部と、少なくともナット周面の隣接しない二面以上と当接する当接部と、ナット保持状態でボルトのネジ先端部が突出するネジ先端貫通部と、ナット保持状態で吊持する紐状の吊持部と、ナットの前面及び背面と当接して軸線方向の抜け止めを行う一対の挟持面と、を備え、
    該一対の挟持面の前面側に前記挿入部と連通するネジ貫通部が形成され、前記一対の挟持面の背面側に前記ネジ先端貫通部が形成されていることを特徴とするナット保持具。
  2. 前記ネジ先端貫通部が前記挿入部と連通していることを特徴とする請求項に記載のナット保持具。
  3. 前記挿入部は、ナット周面の一部が露出するように形成され、前記挿入部から露出しているナット周面と当接する脱落防止部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のナット保持具。
  4. 前記脱落防止部前記吊持部に設けられ、
    前記吊持部によりナット保持状態で吊持されると、自重により前記脱落防止部が前記挿入部から露出しているナット周面に当接することを特徴とする請求項に記載のナット保持具。
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