JP5244664B2 - 熱収縮性積層フィルム、該フィルムを用いた成形品およびラベル、ならびに、該成形品及び該ラベルを装着した容器 - Google Patents
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Description
A層で使用されるPLA系樹脂とB層で使用されるポリスチレン系樹脂との収縮応力の差が大きくことなるため、フィルム収縮時に層間剥離現象が生じてしまい意匠性に欠ける。
従って、容器の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、装着時において表面層と中間層との剥離が生じることなく、耐熱性、耐油性、ミシン目におけるカット性、外観に優れるとともに、印刷工程において使用される有機溶剤による影響が少なく、印刷工程後も充分な接着強度を有する熱収縮性多層フィルムが求められていた。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、ポリ乳酸系樹脂を主成分とする表面層と、ポリスチレン系樹脂を主成分とする中間層と、該表面層と該中間層との間にそれらを接着させるための接着性樹脂を主成分とする接着層を有する。
本発明において、表面層はポリ乳酸系樹脂を主成分とする。表面層で使用されるポリ乳酸系樹脂は、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体又はこれらの共重合体であり、これらの混合物も含まれる。より具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリ(DL−乳酸)、又はこれらの混合物である。
本発明のフィルムを構成する接着層は、上記表面層と後述する中間層とを接着させる接着性樹脂を主成分としてなる。接着層の主成分として含まれる接着性樹脂は、表面層と中間層とを接着させ得る樹脂であれば特に限定されないが、下記(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体又は樹脂を用いることが好ましい。
(a)ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールとからなるブロック共重合体、または、該共重合体を酸または酸無水物で変性させたポリエステル系樹脂
(b)酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンとからなるエチレン系共重合体又は該共重合体の混合物
(c)変性ポリオレフィン系樹脂
(d)ポリアミド系樹脂
本発明において、中間層を構成する樹脂として好適に用いられる樹脂はポリスチレン系樹脂である。ポリスチレン系樹脂は、各種のポリスチレン系樹脂が含まれるが、中でも、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合体を用いることが好ましい。本明細書に記載されたブロック共重合体は、ブロック毎に樹脂がピュアーになっているピュアブロック、また、共重合成分が混合してブロックを形成しているランダムブロック、さらには共重合成分濃度をテーパーになったテーパードブロック等が含まれるが、粘弾性特性を満たすためには、ブロック部分がランダムブロック及びテーパードブロックであることが好ましい。
本発明のフィルムは、表面層と中間層との間に接着層を有する少なくとも3層構成のものであれば、層構成は特に限定されるものではない。例として、表面層/接着層/中間層、表面層/接着層/中間層/接着層/中間層、表面層/接着層/中間層/接着層/表面層、中間層/接着層/表面層/接着層/中間層、等の構成が挙げられる。中でもより効果的な積層構成は、表面層/接着層/中間層/接着層/表面層である。この層構成を採用することにより、本発明の目的である熱収縮特性に優れ、自然収縮が小さく、透明性に優れた、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを生産性、経済性よく得ることができる。
本発明のフィルムは、周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で動的粘弾性測定を行った際、温度23℃下の貯蔵弾性率(E’)が1,100MPa以上、好ましくは1,200MPa以上、さらに好ましくは1,500MPa以上であり、3,000MPa以下、好ましくは2,700MPa以下、さらに好ましくは2,500MPa以下である。貯蔵弾性率E’が1,100MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、フィルムが柔らかくなり過ぎて変形しやすくなり、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによってフィルムが伸びるなどの不具合や、フィルムの厚みを薄くした場合において、ペットボトルなどの容器に製袋したフィルムをラベリングマシンなどで被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れなどで歩留まりが低下したりしやすいなどの問題点が発生し難いため、好ましい。一方、貯蔵弾性率E’が3,000MPa以内であれば、硬くて伸びにくいフィルムになり、2次加工時にシワが入りやすくなる、使用時にカサカサした感触を感じさせるといった不具合が起きないため、好ましい。
本発明のフィルムは、フィルムの低温収縮性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
なお、実施例に示す測定値の計測及び評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向、その直角方向を「横」方向と記載する。
得られたフィルムを横4mm×縦60mmの大きさに正確に切り出し、サンプルとした。粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測社製)を用い、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で、縦方向について動的粘弾性を測定した。なお、貯蔵弾性率としては、23℃における貯蔵弾性率を示した。
得られたフィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、70℃、80℃および90℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、縦方向および横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られたフィルムを縦100mm、横1000mmの大きさに切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、主収縮方向について、収縮前の原寸に対する収縮量を測定し、その比率を%値で表示した。
JIS K7105に準拠してフィルム厚み50μmでフィルムのヘイズ値を測定し、15%以上を「×」、5%以上15%満を「○」、5%未満を「◎」として評価した。
得られたフィルムを縦165mm×横235mmの大きさに切り取り、横方向のフィルムの両端を10mm重ねてメチルエチルケトン(MEK)溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量1.5リットルの円筒型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約5秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、70℃以上85℃以下の範囲とした。ボトル装着時のフィルムの様子を目視により確認し、以下の基準で評価した。
◎:ボトル装着後も層間剥離がない。
○:ボトル装着時、シール部分にわずかに層間剥離が生じる。
×:ボトル装着時、シール部分の全面に層間剥離が生じる。
10mm間隔の格子目を印刷したフィルムを縦165mm×横235mmの大きさに切り取り、横方向のフィルム両端を10mm重ねてメチルエチルケトン(MEK)溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量500mlの角型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約5秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、70℃から100℃までの範囲とした。フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みが生じない。
○:収縮は十分であるが、所々シワ、アバタ又は格子目の歪みが生じている。
×:収縮は十分だがシワ、アバタ、格子目の歪みが顕著に生じる。又は、収縮が十分でなく、ボトルへの被覆が不十分である。
中間層としてポリスチレン系樹脂:SBS(スチレン/ブタジエン=76/24(質量%)、0℃の貯蔵弾性率E’=7×108Pa、損失弾性率のピーク温度E”=−75℃、103℃、以下「SBS1」と略称する。)を用いた。また、表面層としてポリ乳酸樹脂、NatureWorksLLC社製の「NatureWorks4060(L体/D体比=88/12)」(以下「PLA1」と略称する)、ポリ乳酸樹脂、NatureWorksLLC社製の「NatureWorks4042(L体/D体比=95/5)」(以下「PLA2」と略称する)、DIC社製の「プラメートPD−150」(以下「PLA3」と略する。)を、PLA1/PLA2/PLA3=43/47/10の質量比において混合したものを用いた。さらに、接着層として、ポリエステル系樹脂、三菱化学社製、商品名「プリマロイC1910N」(以下AD1と略称する)を用いた。各樹脂をそれぞれ別個の三菱重工業社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混合後、各層の厚みが表面層/接着層/中間層/接着層/表面層=25μm/5μm/190μm/5μm/25μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度80℃で横一軸方向に5.0倍延伸した後、冷風で急冷して、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
表1に示すように、参考例1において、接着層に用いたポリエステル系樹脂を住友化学社製エチレン系共重合体「ボンドファースト7M」(以下AD2と略称する)に変更した以外は、参考例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。
表1に示すように、参考例1において、接着層に用いたポリエステル系樹脂を三井化学社製、変性ポリオレフィン樹脂、商品名「アドマーSE800」(以下AD3と略称する)に変更した以外は、参考例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。
表1に示すように、参考例1において、接着層に用いたポリエステル系樹脂を宇部興産社製、商品名「UBESTA3030XA」(以下AD4略称する)に変更した以外は、参考例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。
表1に示すように、参考例1において、中間層に用いたポリスチレン系樹脂をSBS2(スチレン/ブタジエン=77/23(質量%)、0℃の貯蔵弾性率E’=1.5×109Pa、損失弾性率のピーク温度E”=−35℃、90℃、以下「SBS2」と略称する。)に変更した以外は、参考例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。
表1に示すように、参考例1において、表面層として用いたポリ乳酸樹脂をPLA1/PLA2/PLA3=60/30/10の質量比において混合したものに変更した以外は、参考例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。
表1に示すように、参考例1において、接着層を有さず、未延伸積層シートでの各層の厚み表面層/中間層/表面層=30μm/140μm/30μmとした以外は、参考例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。収縮時において層間で剥離が生じる不具合が生じた。
Claims (12)
- ポリスチレン系樹脂を含む中間層に、接着層を介してポリ乳酸系樹脂を主成分とする表面層が積層されたフィルムを少なくとも一方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムであって、前記接着層がポリアミド系樹脂で構成されることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
- 前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体である、請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体と、スチレン系炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂である、請求項1または2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記スチレン系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体が、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体、または、これらの混合物である、請求項2または3に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記ポリ乳酸系樹脂が、D−乳酸とL−乳酸との共重合体であって、D−乳酸とL−乳酸との比(D/L比)が3/97〜15/85、又は85/15〜97/3である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記表面層がさらにポリ乳酸系樹脂以外の他のゴム成分を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 積層フィルムが少なくとも一方向に延伸されており、80℃の温水中に10秒間浸漬したときのフィルム主収縮方向の熱収縮率が20%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比が10%以上70%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間2.5cmの条件下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で動的粘弾性測定を行った際、温度23℃下の貯蔵弾性率(E’)が1,100MPa以上3,000MPa以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項10に記載の成形品または請求項11に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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