JP5243837B2 - 反射鏡付放電ランプ - Google Patents

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Description

この発明は、プロジェクター等の投影機器に使用される反射鏡付放電ランプに関する。
例えばプロジェクターの光源装置として、ショートアーク型放電ランプと凹面反射鏡を組み合わせたものが使用される。プロジェクタは演色性のよい光源が要求されるので、ショートアーク型放電ランプとしては、最近では、メタルハライドランプに代って、極めて高い水銀蒸気圧を持った超高圧放電ランプが使用されることが多い。これは水銀蒸気圧をより高くすることで、アークの広がりを抑えるとともに、より一層の演色性および光出力の向上を図ったものである。
最近では、プロジェクタ装置の小型化・高出力化の要請のために、凹面反射鏡が小型化し、かつ放電ランプは出力の大きなものが使用される。従って、放電ランプが極めて高温になり、凹面反射鏡内に冷却風を導いて放電ランプを冷却する必要が生じる。ことに、発光管に連設された封止管部内にはモリブデン箔が埋設されているが、封止管部の温度が高いとモリブデン箔が高温酸化し、電気的接続の不良が発生し、ランプ寿命が著しく短くなる(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−163920号公報
上記のように、従来の反射鏡付放電ランプは、発光管に連設された封止管部内に埋設されているモリブデン箔は、封止管部の温度が高いとモリブデン箔が高温酸化し、電気的接続の不良が発生し、ランプ寿命が著しく短くなるという課題があり、この課題を解決する好適な解決手段が要望されていた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、発光管に連設された封止管部内に埋設されているモリブデン箔の温度を従来のものより下げることができ、ランプ寿命を長くできる反射鏡付放電ランプを提供することを目的とする。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、開口部とこの開口部の反対側にネック部とを有する反射鏡と、
Fリード線が溶接されたFモリブデン箔を溶接したF電極と、Rリード線が溶接されたRモリブデン箔を溶接したR電極と、水銀とを封入した略球状の発光部を中央部に有する発光管と、
発光管を保持すると共に、反射鏡のネック部に固定され、外周面と内周面とを有する略円筒状のセラミックリングと、
セラミックリングの反射鏡に固定される端部と反対側の端部の外周面と内周面との間に形成される凹部と、
凹部の内周面を含む底面から発光管の中心線方向に立設する突起部とを備えたことを特徴とする。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、セラミックリングが、発光管のRモリブデン箔付近を保持することを特徴とする。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、突起部を略円筒状に形成することを特徴とする。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、略円筒状の突起部に切り欠き部を設けることを特徴とする。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、発光管を保持するセラミックリングの反射鏡に固定される端部と反対側の端部に、凹部の内周面を含む底面から突起部を発光管の中心線方向に立設させることにより、Rモリブデン箔の温度を、従来品よりも11〜12℃低下させることができる。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、セラミックリングが発光管のRモリブデン箔付近を保持するので、Rモリブデン箔の温度を一層下げることができる。
この発明に係る反射鏡付放電ランプは、略円筒状の突起部に切り欠き部を設けることにより、セメントを発光管とセラミックリングの隙間に注入する際の作業性が改善される。
実施の形態1.
図1乃至図11は実施の形態1を示す図で、図1は反射鏡付放電ランプ100の構成図、図2は一部を破断して断面で示す反射鏡付放電ランプ100の構成図、図3はセラミックリング2の斜視図、図4はセラミックリング2の正面図、図5はセラミックリング2の背面図、図6はセラミックリング2の平面図、図7は図4のA−A断面図、図8は図4のB−B断面図、図9はキャップ5を取り付ける前の反射鏡付放電ランプ100のセラミックリング2側の側面図、図10は反射鏡付放電ランプ100のセラミックリング2側の部分断面図、図11はセラミックリング2の略円筒形の突起部24がない従来品と、セラミックリング2の略円筒形の突起部24を設けた本実施の形態の反射鏡付放電ランプ100とのRモリブデン箔16の温度(点灯中)を測定した結果を示す図である。
図1、図2により、反射鏡付放電ランプ100の構成を説明する。反射鏡付放電ランプ100は、発光管1と、この発光管1を保持するセラミックリング2と、セラミックリング2が固定される楕円反射鏡3(反射鏡の一例)と、セラミックリング2の後面に固定されるキャップ5とを備える。セラミックリング2は、発光管1のRモリブデン箔付近(封止部)を保持する。反射鏡は、楕円反射鏡3以外に放物型反射鏡でもよい。
発光管1は、Fリード線17が溶接されたFモリブデン箔15を溶接したF電極12と、Rリード線18が溶接されたRモリブデン箔16を溶接したR電極13と、水銀14とを封入した略球状の発光部11を中央部(中央部分)に有する。
楕円反射鏡3は、回転楕円体形状の一部分の形をしている。楕円反射鏡3の材質は、ガラスである。
発光管1は、F電極12を楕円反射鏡3の開口部3a側に、R電極13をネック部3b側にして配置させる。
発光管1の中心軸を、楕円反射鏡3の開口部3aとネック部3bを結ぶ中心軸に一致させ、発光部11の中心が楕円反射鏡3の焦点に一致するように発光管1を楕円反射鏡3に組み込んだ構造とする。
本実施の形態は、セラミックリング2の形状に特徴がある。発光管1を保持するセラミックリング2の構成を図3乃至図8により説明する。セラミックリング2は、外周面2a、内周面2bを有する略円筒形である。
セラミックリング2の材質は、ステアタイト系セラミックスである。ステアタイト系セラミックスは、高純度タルク(滑石)主原料を高温焼成し、製品化したものである。ステアタイトは、成形加工、寸法精度、高温での絶縁性や耐熱特性にも優れている。
セラミックリング2は、楕円反射鏡3に固定される側の端部に、楕円反射鏡3のネック部3bを覆うように嵌合する嵌合部22を備える。
また、セラミックリング2は、楕円反射鏡3に固定される側の端部に、楕円反射鏡3のネック部3bの軸方向端部が当接する当接部21を備える。当接部21は、発光管1の中心線方向に対して略直角である。
さらに、セラミックリング2は、楕円反射鏡3に固定される側の端部に、嵌合部22を切り欠いた切り欠き部23を備える。切り欠き部23は、通風口として機能する。反射鏡付放電ランプ100において、楕円反射鏡3にセラミックリング2を固定した状態では、切り欠き部23が開口している。発光管1が何らかの原因により破裂した場合、ガラスの破片がこの切り欠き部23から飛び散る恐れがあるので、図1に示すように、切り欠き部23にメッシュ7を設けている。
セラミックリング2は、セメント4aにより楕円反射鏡3に固定される。セメント4aの主成分は、シリカである。
セラミックリング2の楕円反射鏡3に固定される端部と反対側の端部には、外周面2aの内側に凹部2cが形成されている。
また、セラミックリング2の楕円反射鏡3に固定される端部と反対側の端部には、凹部2cの内周面2bを含む底面から略円筒形の突起部24が立設している。
突起部24の端部は、セラミックリング2の楕円反射鏡3に固定される端部の反対側の外周面2aの端部と、反射鏡付放電ランプ100の軸方向の位置が略一致する。
本実施の形態のセラミックリング2は、略円筒形の突起部24を設けた点に特徴がある。その作用は、追って説明する。
ここで、反射鏡付放電ランプ100の組み立て手順を簡単に説明しておく。
先ず、楕円反射鏡3にセラミックリング2を固定する。楕円反射鏡3のネック部3bに、セラミックリング2の嵌合部22をネック部3bを覆うように嵌め、ネック部3bの軸方向端部にセラミックリング2の当接部21を当接させる。
その状態で、セメント4aで、楕円反射鏡3とセラミックリング2とを接着する。セメント4aの主成分は、シリカである。シリカは、二酸化ケイ素とも呼ばれる。二酸化ケイ素の結晶は共有結合結晶であり、ケイ素原子を中心とする正四面体構造が酸素原子を介して無数に連なる構造をしている。
二酸化ケイ素の結晶多形の中で代表的なものとして、石英(水晶)、鱗珪石(トリディマイト)、クリストバライト、コーサイト、スティショバイト、衝撃石英などがある。
次に、発光管1を楕円反射鏡3とセラミックリング2の内部に挿入する。そして、発光管1を点灯させながら、発光管1に3次元的な位置調整(軸調整ともいう)を行う。
これにより、発光管1の中心軸が楕円反射鏡3の開口部3aとネック部3bを結ぶ中心軸に一致し、発光部11の中心が楕円反射鏡3の焦点となる状態となる。
そして、セメント4bを発光管1とセラミックリング2の内周面2bとの隙間に注入し乾燥する(図2、図9)。セメント4bは、セメント4aと同様、主成分はシリカである。
さらに、セラミックリング2から突出している発光管1を切断する。このとき、Rリード線18は切断しない。
Rリード線18とトリガーワイヤ9とを、かしめ部材30(金属製)でかしめる。リング状のかしめ部材30にRリード線18とトリガーワイヤ9とを通し、リング状のかしめ部材30を潰してかしめるイメージである。
Rリード線18とトリガーワイヤ9とをかしめたかしめ部材30を第1の端子6に溶接する(図9)。
そして、キャップ5をセラミックリング2に被せる(図10)。このとき、キャップ5にはその側壁に切り欠き部5aがあり、この切り欠き部5aに第1の端子6が納まる。
また、キャップ5の切り欠き部5aからセメント4cを注入して乾燥させ、キャップ5をセラミックリング2等に固定する。
尚、発光管1の楕円反射鏡3の開口部3a側のFリード線17は、楕円反射鏡3の外周面に取り付けられる第2の端子31に接続される。
第1の端子6と、第2の端子31とが電源に接続される。
以下、セラミックリング2の略円筒形の突起部24の作用について説明する。
発光管1の点灯中に、発光管1のRモリブデン箔16の温度は、三百数十度の高温になる。既に述べたように、Rモリブデン箔16の温度が高いとモリブデン箔が高温酸化し、電気的接続の不良が発生し、ランプ寿命が著しく短くなる。
図11は、セラミックリング2の略円筒形の突起部24がない従来品と、セラミックリング2の略円筒形の突起部24を設けた本実施の形態の反射鏡付放電ランプ100とのRモリブデン箔16の温度(点灯中)を測定した結果を示す。
図11において、「床置き」とは、反射鏡付放電ランプ100が図1の状態のことである。また、「天吊り」とは、図1の状態から上下を180度回転した状態のことである。
図11に示すように、反射鏡付放電ランプ100とのRモリブデン箔16の温度(点灯中)は、例えば380℃以下と規定されている。
図11に示すように、セラミックリング2の略円筒形の突起部24がない従来品のRモリブデン箔16の温度(点灯中)は、341〜343℃であった。
それに対し、セラミックリング2の略円筒形の突起部24を設けた本実施の形態の反射鏡付放電ランプ100とのRモリブデン箔16の温度(点灯中)は、330〜331℃で、従来品より11〜12℃低下している。
Rモリブデン箔16の熱は、発光管1のガラス(封止部)→セメント4b,4c→セラミックリング2、キャップ5に伝達して放熱される。
このとき、セラミックリング2に略円筒形の突起部24を設けることにより、セメント4b,4cとセラミックリング2との接触面積が増加することにより、上記熱伝達系の放熱性が改善されると考えられる。
以上のように、この実施の形態によれば、発光管1を保持するセラミックリング2の楕円反射鏡3に固定される端部と反対側の端部に、凹部2cの内周面2bを含む底面から略円筒形の突起部24を発光管1の軸方向に立設させることにより、セラミックリング2に略円筒形の突起部24がない従来品よりも、Rモリブデン箔16の温度(点灯中をは、11〜12℃低下させることができる。
それにより、Rモリブデン箔16の高温酸化を抑制し、ランプ寿命を長くすることができる。
実施の形態2.
図12は実施の形態2を示す図で、セラミックリング2の斜視図である。
図12に示すセラミックリング2は、発光管1を保持するセラミックリング2の楕円反射鏡3に固定される端部と反対側の端部に、凹部2cの内周面2bを含む底面から略円筒形の突起部24が立設しているのは、実施の形態1と同じであるが、突起部24の二ヵ所を切り欠いている。
切り欠き部24aは、数十度の角度で切り欠かれている。二ヵ所の切り欠き部24aは、略対向している。但し、切り欠き部24aの数は、二ヵ所に限定されない。何箇所でもよい。但し、切り欠き部24aの大きさ、数は、セメント4b,4cとセラミックリング2との接触面積が増加することによる熱伝達系の放熱性が改善される範囲内で適宜選択するものとする。
発光管1を楕円反射鏡3とセラミックリング2の内部に挿入して、発光管1を点灯させながら、発光管1に3次元的な位置調整(軸調整ともいう)を行った後、セメント4bを発光管1とセラミックリング2の隙間に注入際に、切り欠き部24aからセメント4bを注入すると、注入作業がやりやすくなる。
以上のように、この実施の形態によれば、発光管1を保持するセラミックリング2の楕円反射鏡3に固定される端部と反対側の端部の、凹部2cの内周面2bを含む底面から立設している略円筒形の突起部24に切り欠き部24aを設けることにより、セメント4bを発光管1とセラミックリング2の隙間に注入する際の作業性が改善される。
実施の形態1を示す図で、反射鏡付放電ランプ100の構成図。 実施の形態1を示す図で、一部を破断して断面で示す反射鏡付放電ランプ100の構成図。 実施の形態1を示す図で、セラミックリング2の斜視図。 実施の形態1を示す図で、セラミックリング2の正面図。 実施の形態1を示す図で、セラミックリング2の背面図。 実施の形態1を示す図で、セラミックリング2の平面図。 実施の形態1を示す図で、図4のA−A断面図。 実施の形態1を示す図で、図4のB−B断面図。 実施の形態1を示す図で、キャップ5を取り付ける前の反射鏡付放電ランプ100のセラミックリング2側の側面図。 実施の形態1を示す図で、反射鏡付放電ランプ100のセラミックリング2側の部分断面図。 実施の形態1を示す図で、セラミックリング2の略円筒形の突起部24がない従来品と、セラミックリング2の略円筒形の突起部24を設けた本実施の形態の反射鏡付放電ランプ100とのRモリブデン箔16の温度(点灯中)を測定した結果を示す図。 実施の形態2を示す図で、セラミックリング2の斜視図。
符号の説明
1 発光管、2 セラミックリング、2a 外周面、2b 内周面、2c 凹部、3 楕円反射鏡、3a 開口部、3b ネック部、4a セメント、4b セメント、4c セメント、5 キャップ、5a 切り欠き部、6 第1の端子、7 メッシュ、9 トリガーワイヤ、11 発光部、12 F電極、13 R電極、14 水銀、15 Fモリブデン箔、16 Rモリブデン箔、17 Fリード線、18 Rリード線、21 当接部、22 嵌合部、23 切り欠き部、24 突起部、24a 切り欠き部、30 かしめ部材、31 第2の端子、100 反射鏡付放電ランプ。

Claims (5)

  1. 開口部とこの開口部の反対側にネック部とを有する反射鏡と、
    Fリード線が溶接されたFモリブデン箔を溶接したF電極と、Rリード線が溶接されたRモリブデン箔を溶接したR電極と、水銀とを封入した略球状の発光部を中央部に有する発光管と、
    前記発光管を保持すると共に、前記反射鏡の前記ネック部に固定され、外周面と内周面と、前記ネック部に固定される一端部と、前記一端部と反対側の端部であって前記ネック部の位置より前記開口部とは反対側の位置に配置される他端部とを有する略円筒状のセラミックリングと
    を備え、
    前記セラミックリングは、
    前記外周面と前記内周面との間に形成され、前記他端部の端面から前記一端部の方向に窪んでいる凹部と、
    前記凹部と前記内周面との間に形成され、前記凹部の底面から前記他端部の端面の方向に立設する突起部と
    を備えたことを特徴とする反射鏡付放電ランプ。
  2. 前記セラミックリングは、前記発光管の前記Rモリブデン箔付近を保持することを特徴とする請求項1記載の反射鏡付放電ランプ。
  3. 前記突起部を略円筒状に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の反射鏡付放電ランプ。
  4. 前記略円筒状の突起部に切り欠き部を設けることを特徴とする請求項3記載の反射鏡付放電ランプ。
  5. 前記反射鏡付放電ランプは、さらに、
    前記セラミックリングの前記他端部の前記端面に被せられ、前記凹部に嵌め込まれてセメントで固定されるキャップを備え、
    前記セメントは、前記セラミックリングと前記発光管と前記キャップとの隙間に注入されて、前記凹部の隙間と、前記突起部と前記発光管との隙間と、前記突起部と前記キャップとの隙間とに存在することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の反射鏡付放電ランプ。
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