JP5240374B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮比を変更可能に構成された内燃機関に関する。
この種の内燃機関として、例えば、特開2001−263113号公報、特開2003−206771号公報、特開2005−48621号公報、特開2006−226133号公報、等に開示されたものが知られている。
特開2001−263113号公報に開示された内燃機関は、いわゆる複リンク式のピストン−クランク連結機構を備えている。この連結機構は、アッパーリンクと、ロワーリンクと、制御リンクと、から構成されている。
前記アッパーリンクは、ピストンピンを介してピストンに連結されている。前記ロワーリンクは、前記アッパーリンクに連結されるとともに、クランクシャフトにおけるクランクピンに連結されている。前記制御リンクは、機関本体に揺動可能に支持されているとともに、前記ロワーリンクに連結されている。
かかる構成を有する内燃機関においては、前記制御リンクが揺動されることで、前記ピストンの行程が変化する。これにより、圧縮比が変更される。
特開2006−226133号公報には、かかる構成の内燃機関において、前記制御リンクを揺動させるための制御軸の回転角を検出することで圧縮比を検出する、圧縮比センサが開示されている。
特開2003−206771号公報に開示された内燃機関は、圧縮比を変更するためにクランクケース(ロアケースとも称される)とシリンダブロックとを相対移動させるための、スライド機構を備えている。このスライド機構は、前記シリンダブロックと前記クランクケースとの間に設けられている。
かかる構成を有する内燃機関においては、運転状態に応じて、前記シリンダブロックが前記クランクケースに対して、前記シリンダの中心軸に沿って相対的にスライドする。これにより、圧縮比が変更される。例えば、ノッキングの抑制等のために圧縮比が低く設定されたり、燃費向上のために圧縮比が高く設定されたりする。
特開2005−48621号公報には、かかる構成の内燃機関において、筒内圧センサの出力と、前記シリンダ内のガスの状態に対応する各種のパラメータ(吸気温や吸入空気量等)と、に基づいて、気筒内の「実圧縮比」を検出する技術が開示されている。
ここで、「実圧縮比」とは、気筒内の実際のガスの圧縮状態を示すものであって、吸気バルブの閉弁時期等によって変動するものである。一方、通常用いられる「圧縮比」は、「機械圧縮比」あるいは「幾何学的圧縮比」とも称され、燃焼室容積とピストン行程容積との和と、燃焼室容積と、の比であって、「実圧縮比」とは区別される。以下、「圧縮比」を、「機械圧縮比」の意味で使用する。
従来のこの種の内燃機関においては、圧縮比の設定状態や、この圧縮比を設定・変更する機構が適切に作動し得る状態であるか否か、が不明であった。これらが不明であると、適切な圧縮比制御が行われない場合があり得る。
すなわち、例えば、圧縮比が最高に設定されている状態であるにもかかわらず、かかる状態が認識されずに、さらに圧縮比を高くしようとして各種の機構が駆動されることで、かえって圧縮比が低下してしまうという不具合が生じ得る。
本発明は、かかる課題を解決するためのなされたものである。すなわち、本発明の目的は、圧縮比を変更可能な内燃機関において、より適切な圧縮比制御が行われ得るものを提供することにある。
かかる目的を達成するため、本発明の内燃機関は、以下の構成を備えている。
(1)本発明の内燃機関は、アクチュエータと、動作量出力部と、変位量出力部と、を備えている。
前記アクチュエータは、圧縮比の変更のために動作するように構成されている。すなわち、このアクチュエータは、所定の操作対象を変位させることで、圧縮比を変更し得るように構成されている。前記動作量出力部は、前記アクチュエータの動作量に応じた出力を生じるように構成されている。前記変位量出力部は、前記操作対象の変位量に応じた出力を生じるように構成されている。
前記内燃機関は、圧縮比取得部をさらに備え得る。この圧縮比取得部は、前記動作量出力部及び前記変位量出力部における出力に基づいて、現在の圧縮比を取得するように構成されている。
前記内燃機関は、異常判定部をさらに備え得る。この異常判定部は、前記動作量出力部及び前記変位量出力部における出力に基づいて、圧縮比の設定に関する異常を判定するように構成されている。
かかる構成を備えた本発明の内燃機関においては、前記アクチュエータの動作により、前記操作対象が、圧縮比を変更するように変位する。このとき、前記動作量出力部にて、前記アクチュエータの動作量に応じた出力が生じる。また、前記変位量出力部にて、前記操作対象の変位量に応じた出力が生じる。
これらの出力に基づいて、前記圧縮比取得部により、現在の圧縮比が取得され得る。あるいは、これらの出力に基づいて、前記異常判定部により、圧縮比の設定に関する異常が判定され得る。すなわち、前記操作対象を変位させるための機構(例えば、前記アクチュエータや、当該アクチュエータと前記操作対象とを機械的に結合する機構)や、圧縮比の設定状態を検知するための手段(例えば、前記動作量出力部や、前記変位量出力部)の異常(故障)の有無が把握され得る。よって、かかる構成によれば、より適切な圧縮比制御が行われ得る。
(2)本発明の内燃機関は、前記アクチュエータと、第一変位量出力部と、第二変位量出力部と、を備えている。
前記第一変位量出力部は、前記操作対象の変位量に応じた出力を生じるように構成されている。前記第二変位量出力部は、前記第一変位量出力部とは別に、前記変位量に応じた出力を生じるように構成されている。
前記内燃機関は、圧縮比取得部をさらに備え得る。この圧縮比取得部は、前記第一変位量出力部及び前記第二変位量出力部における出力に基づいて、現在の圧縮比を取得するように構成されている。
前記内燃機関は、異常判定部をさらに備え得る。この異常判定部は、前記第一変位量出力部及び前記第二変位量出力部における出力に基づいて、圧縮比の設定に関する異常を判定するように構成されている。
かかる構成を備えた本発明の内燃機関においては、前記アクチュエータの動作により、前記操作対象が、圧縮比を変更するように変位する。このとき、前記第一変位量出力部にて、前記操作対象の変位量に応じた出力が生じる。また、前記第二変位量出力部にて、前記第一変位量出力部とは別に、前記操作対象の変位量に応じた出力が生じる。これらの出力に基づいて、現在の圧縮比の取得、あるいは異常の有無が判定され得る。よって、かかる構成によれば、より適切な圧縮比制御が行われ得る。
本発明の第一の実施形態であるエンジンの概略構成を示す図である。 図1に示されているエンジンの分解斜視図である。 図1及び図2に示されているカムシャフトを、その一部を分解して示す斜視図である。 図3に示されているフレーム側支持部の周辺を拡大した側断面図である。 図3に示されているフレーム側支持部の周辺を拡大した側断面図である。 図1に示されている本実施形態のエンジンにおける圧縮比取得動作を説明するためのグラフである。 図1に示されている本実施形態のエンジンにおける圧縮比取得及び異常検出動作の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第二の実施形態であるエンジンの概略構成を示す図である。 図7に示されている第二の実施形態の圧縮比可変機構の概略構成を示す斜視図である。 図7に示されている第二の実施形態の圧縮比可変機構の概略構成を示す斜視図である。 図7に示されている第二の実施形態のエンジンの変形例の概略構成を示す図である。 図10に示されている変位センサの出力波形を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、首尾一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<第一実施形態の内燃機関の構成>
図1は、本発明の第一の実施形態であるエンジン1の概略構成を示す図である。図2は、図1に示されているエンジン1の分解斜視図である。
図1を参照すると、エンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダヘッド3と、クランクケース4と、圧縮比可変機構5と、制御部6と、を備えている。なお、図1には、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、クランクケース4、及び圧縮比可変機構5についての、図2におけるI−I断面に相当する図が示されている。
本実施形態のエンジン1は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3を、クランクケース4に対して相対的に移動(スライド)させることで、圧縮比を変更可能に構成されている。以下、本実施形態のエンジン1の各部の具体的構成について説明する。
<<シリンダブロック>>
図1及び図2を参照すると、シリンダブロック2は、略直方体状の部材であって、アルミニウム合金によって一体に形成されている。このシリンダブロック2の内部には、シリンダ21が形成されている。
シリンダ21は、略円柱形状の貫通孔である。複数(本実施形態においては4つ)のシリンダ21が、気筒配列方向ADに沿って一列に設けられている。このシリンダ21の内部には、ピストン22が、シリンダ中心軸CCAに沿って往復移動可能に収容されている。
また、シリンダブロック2の内部には、ウォータージャケット23が設けられている。ウォータージャケット23は、エンジン1を冷却するための冷却媒体(冷却水)が通過し得る空間である。このウォータージャケット23は、シリンダ21の外側を囲むように設けられている。
<<シリンダヘッド>>
図1を参照すると、シリンダブロック2の上端面には、シリンダヘッド3が接合されている。シリンダヘッド3は、アルミニウム合金によって一体に形成されている。
シリンダヘッド3は、シリンダ21における上死点側の一端(図中上端)を覆うように配置されている。このシリンダヘッド3は、シリンダブロック2に対して相対移動しないように(シリンダブロック2とともに一体的に上下動するように)、シリンダブロック2の上端部に、ボルト(図示せず)によって固定されている。
シリンダヘッド3における、シリンダブロック2と対向する面には、複数の凹部31が形成されている。各凹部31は、各シリンダ21に対応する位置に設けられている。すなわち、シリンダヘッド3がシリンダブロック2に固定された場合における、凹部31と、ピストン22の頂面よりも上側のシリンダ21の内部の空間と、によって、燃焼室CCが形成されている。
シリンダヘッド3には、燃焼室CCに連通するように、吸気ポート32及び排気ポート33が形成されている。また、シリンダヘッド3には、吸気バルブ34及び排気バルブ35が装着されている。
<<クランクケース>>
図1及び図2を参照すると、クランクケース4は、フレーム41を備えている。フレーム41は、平面視にて略矩形状の筒状部材であって、シリンダブロック2を囲むような形状に形成されている。すなわち、フレーム41の内部には、平面視にて略矩形状の空間であるシリンダブロック収容部41aが形成されている。このクランクケース4は、アルミニウム合金によって一体に形成されている。
フレーム41の内壁面は、シリンダブロック2を収容した状態で、当該シリンダブロック2の外壁面と、所定のクリアランスが設けられるように形成されている。このクリアランスは、シリンダブロック2とクランクケース4とがガタつきなくスムーズに摺動し得る程度(触れるか触れないか程度:例えば0.数ミリ程度)に設定されている。また、フレーム41は、シリンダブロック2の下端部から上部までを覆うことで、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との相対移動をスムーズにガイドし得るように構成されている。
クランクケース4の下端部であって、フレーム41の下方には、クランクシャフト42が、回転可能に支持されている。クランクシャフト42は、気筒配列方向ADと平行に配置されている。
クランクシャフト42の回転中心軸から偏心した位置には、クランクピン42aが設けられている。このクランクピン42aは、コンロッド43の下端部と連結されている。コンロッド43の上端部は、ピストン22と連結されている。すなわち、クランクシャフト42は、ピストン22のシリンダ中心軸CCAに沿った往復移動に基づいて回転駆動されるように、コンロッド43を介して、ピストン22と機械的に結合されている。
<<圧縮比可変機構>>
図1及び図2を参照すると、一対の圧縮比可変機構5が、フレーム41の気筒配列方向ADに沿った両側壁及びその近傍に設けられている。一方の圧縮比可変機構5と、他方の圧縮比可変機構5とは、すべてのシリンダ21におけるシリンダ中心軸CCAが通る平面に関して、ほぼ対称に配置及び構成されている。
<<<カムシャフト>>>
圧縮比可変機構5は、カムシャフト511の回転駆動によって、シリンダブロック2とクランクケース4とをシリンダ中心軸CCAに沿って相対的に移動(スライド)させ得るように構成されている。カムシャフト511は、機械構造用炭素鋼(S45C等)からなり、ジャーナル部511aと、円形カム部511bと、偏心シャフト511cと、ウォームホイール511dと、から構成されている。
図3は、図1及び図2に示されているカムシャフト511を、その一部を分解して示す斜視図である。以下、図1ないし図3を参照すると、ジャーナル部511aは、円柱状の部材であって、カムシャフト511の回転中心軸(これは気筒配列方向ADと平行、すなわちシリンダ中心軸CCAと直交し、図3にて一点鎖線で示されている。)と同軸に設けられている。
ジャーナル部511aの表面511a1は、円柱面状に形成されている。表面511a1には、摩擦及び摩耗を低減するための、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)のコーティングが施されている。ジャーナル部511aは、隣り合う円形カム部511bの間、及びカムシャフト511の両端部に設けられている。
円形カム部511bは、カムシャフト511の前記回転中心軸から偏心して設けられている。この円形カム部511bは、ジャーナル部511aよりも径が太い円柱状の部材であって、気筒数に応じて設けられている。すなわち、1つのカムシャフト511に対して、気筒数と同数(本実施形態では4つ)の円形カム部511bが設けられている。各円形カム部511bは、シリンダ中心軸CCAに対応する位置に配置されている。
円形カム部511bの表面511b1は、円柱面状に形成されている。この表面511b1にも、ジャーナル部511aの表面511a1と同様のコーティングが施されている。
偏心シャフト511cは、気筒配列方向ADに沿った長手方向を有する丸棒状の部材である。この偏心シャフト511cは、ジャーナル部511aの中心軸及び円形カム部511bの中心軸から偏心した位置にて、これらを挿通するように設けられている。すなわち、図1及び図3に示されているように、ジャーナル部511aの一端(図中下端)と円形カム部511bの一端(図中下端)とが一致した状態で、当該一端寄りの位置(下部)にてジャーナル部511a及び円形カム部511bを挿通するように、偏心シャフト511cが設けられている。
ジャーナル部511aは、偏心シャフト511cの回りを回転しないように、偏心シャフト511cに固定されている。一方、円形カム部511bは、偏心シャフト511cの回りを自由に回転し得るようになっている。すなわち、円形カム部511bは、ジャーナル部511aに対して相対的に回転し得るようになっている。
偏心シャフト511cの前記長手方向における略中央には、ウォームホイール511dが設けられている。ウォームホイール511dは、偏心シャフト511cと一体に形成されている。このウォームホイール511dは、その中心軸が前記回転中心軸と同軸となるように設けられている。
このカムシャフト511は、ウォームホイール511dの回転に伴って、ジャーナル部511aが前記回転中心軸を中心としてウォームホイール511dと一体的に回転駆動されるように構成されている。また、このカムシャフト511は、ウォームホイール511dの回転に伴って、円形カム部511bが偏心シャフト511cの回りを自由に回転することで、当該円形カム部511bがジャーナル部511aに対して相対的に回転するように構成されている。
<<<ブロック側支持部>>>
図1ないし図3を参照すると、円形カム部511bは、ブロック側支持部512によって回転可能に支持されている。ブロック側支持部512は、ブロック状の部材であって、軸受鋼によって一体(シームレス)に形成されている。ブロック側支持部512には、軸受孔512aが形成されている。この軸受孔512aは、円形カム部511bの外径に対応する(円形カム部511bの表面511b1と摺動し得るような)内径を有する貫通孔である。
ブロック側支持部512は、シリンダブロック2とは別体に形成されていて、ボルトを用いてシリンダブロック2の外壁面に装着され得るように構成されている。また、ブロック側支持部512は、シリンダ中心軸CCAに対応する位置に設けられている。
フレーム41には、ブロック側支持部512と同数の複数の開口部513が設けられている。開口部513は、貫通孔であって、ブロック側支持部512が貫通し得るように設けられている。この開口部513は、ブロック側支持部512がシリンダ中心軸CCAに沿って往復移動し得るように、ブロック側支持部512の高さ寸法(シリンダ中心軸CCAに沿った方向の寸法)よりも大きい高さ寸法に形成されている。
<<<クランクケース側支持部>>>
図2に示されているように、フレーム41には、複数のフレーム側支持部514が形成されている。各フレーム側支持部514は、開口部513に隣接するように設けられている。すなわち、複数のフレーム側支持部514が、各開口部513の両側に設けられ、且つ気筒配列方向ADに沿って配列されている。
フレーム側支持部514は、フレーム41の、シリンダブロック2における外壁面に対向する位置に設けられている。このフレーム側支持部514には、ジャーナル支持凹部514aが設けられている。ジャーナル支持凹部514aは、半円柱形状の凹部であって、ジャーナル部511aの外径に対応する内径を有するように形成されている。
図4A及び図4Bは、図3に示されているフレーム側支持部514の周辺を拡大した側断面図である。図4A及び図4Bを参照すると、ジャーナル支持凹部514aの、ジャーナル部511aと対向する部分には、ライナー514bが設けられている。ライナー514bは、フレーム側支持部514の他の部分(アルミニウム合金)よりも耐摩耗性に優れた軸受鋼からなり、半円筒形状に形成されている。
図2、図4A、及び図4Bを参照すると、フレーム41には、カバー部515が装着されている。カバー部515は、アルミニウム合金からなり、カムシャフト511(ジャーナル部511a)を挟んでフレーム側支持部514と対向するように設けられている。このカバー部515は、フレーム側支持部514に装着されることで、フレーム側支持部514とともにカムシャフト511(ジャーナル部511a)を回転可能に支持するように構成されている(図1においては図示の簡略化のためにカバー部515の図示が省略されている。)。
カバー部515は、複数のフレーム側支持部514に対応するように、一体(シームレス)に形成されている。このカバー部515には、ジャーナル支持凹部515aと、軸受収容部515bと、ギヤ収容部515cと、が形成されている。
ジャーナル支持凹部515aは、フレーム側支持部514のジャーナル支持凹部514aと対称な形状の、半円柱形状の凹部である。すなわち、カバー部515は、側断面視にて、シリンダ中心軸CCAに沿った略アーチ状に構成されている。このジャーナル支持凹部515aは、ジャーナル支持凹部514aと対向するように設けられている。
軸受収容部515bは、ブロック側支持部512と対向する位置に設けられた凹部である。この軸受収容部515bは、開口部513からフレーム41の外側に突出したブロック側支持部512を、シリンダ中心軸CCAに沿って往復移動可能に収容するように形成されている。ギヤ収容部515cは、ウォームホイール511dと対向する位置に設けられた凹部である。このギヤ収容部515cは、フレーム41の外側に突出したウォームホイール511dを収容し得るように形成されている。
図4A及び図4Bを参照すると、ジャーナル支持凹部515aの、ジャーナル部511aと対向する部分には、ライナー515dが設けられている。ライナー515dは、カバー部515の他の部分(アルミニウム合金)よりも耐摩耗性に優れた軸受鋼からなり、半円筒形状に形成されている。カバー部515がボルト516によってフレーム側支持部514に固定されて、ライナー515dがライナー514bと接合されることで、これらの接合体の内側に、ジャーナル部511aを回転可能に支持する軸受孔が形成されるようになっている。
<<<制御シャフト>>>
再び図1を参照すると、圧縮比可変機構5は、制御シャフト517を備えている。
制御シャフト517は、エンジン幅方向(シリンダ中心軸CCA(これはエンジン長手方向と平行である)及び気筒配列方向ADと直交する方向:図1における左右方向)に沿って配置されている。また、制御シャフト517は、ウォームホイール511dの下方に配置されている。この制御シャフト517は、クランクケース4におけるフレーム41の下端部にて、回転可能に支持されている。
制御シャフト517の両端部には、ウォーム517a及び517bが設けられている。ウォーム517a及び517bは、円柱形状のギヤであって、ウォームホイール511dと噛み合い得るように形成されている。ウォーム517a及び517bには、それぞれ、らせん状の一条の歯形が形成されている。
ウォーム517aは、一方の(図中右側の)ウォームホイール511dに対向して設けられている。ウォーム517bは、他方の(図中左側の)ウォームホイール511dに対向して設けられている。また、ウォーム517aの歯形とウォーム517bの歯形とは、逆向きに形成されている。すなわち、制御シャフト517における或る一方向の回転駆動によって、前記一方のウォームホイール511dと前記他方のウォームホイール511dとが互いに逆方向に回転するように、ウォーム517a及び517bが形成されている。
本発明のアクチュエータとしての、モータ518は、ブラシレスモータからなり、クランクケース4に固定されている。制御シャフト517の一端(図中左端)は、このモータ518の回転駆動軸と結合されている。すなわち、モータ518は、操作対象であるシリンダブロック2を図中上下方向に変位させることで圧縮比を変更するために、制御シャフト517を回転駆動し得るように、構成及び配置されている。
本実施形態においては、図1に示されている最高圧縮比状態から、モータ518によって制御シャフト517が10回転させられることで、カムシャフト511(ウォームホイール511d)が180度回転し、これにより偏心シャフト511cが最上方に移動して、シリンダブロック2がクランクケース4に対して6mm上昇して最低圧縮比状態となるように、圧縮比可変機構5が構成されている。
<<制御部>>
制御部6は、エンジン1の運転状態を制御し得るように構成されている。この制御部6は、電気制御装置(ECU)601と、クランクポジションセンサ602と、アクセル開度センサ603と、変位センサ604と、変位センサ605と、回転角センサ606と、を備えている。
ECU601は、モータ518、クランクポジションセンサ602、アクセル開度センサ603、アクセル開度センサ603、変位センサ604、変位センサ605、及び回転角センサ606と、電気的に接続されている。このECU601は、マイクロコンピュータからなり、クランクポジションセンサ602等の各センサからの信号に基づいて、モータ518その他の各部の動作を制御し得るように構成されている。
クランクポジションセンサ602は、クランクシャフト42が10°回転する毎の幅狭のパルスを有するとともに、当該クランクシャフト42が360°回転する毎の幅広のパルスを有する信号(この信号はエンジン回転数Neを表す。)を出力するように構成されている。
アクセル開度センサ603は、運転者によるアクセルペダルの操作量に対応する出力(アクセル開度Accpに対応する出力)を生じるように構成されている。
本発明の変位量出力部としての変位センサ604及び605は、シリンダブロック2とクランクケース4(フレーム41)との位置関係(相対移動量)に応じた出力を生じるように構成されている。本発明の第一変位量出力部としての変位センサ604は、一対の圧縮比可変機構5のうちの一方の側(図中右側)に設けられている。本発明の第二変位量出力部としての変位センサ605は、他方の圧縮比可変機構5の側(図中左側)に設けられている。
本発明の動作量出力部としての回転角センサ606は、レゾルバからなり、モータ518の動作量(回転量)に応じた出力を生じるように構成されている。
本実施形態においては、圧縮比取得部及び異常判定部としてのECU601は、変位センサ604、変位センサ605、及び回転角センサ606の出力に基づいて、現在の圧縮比を取得したり、圧縮比可変機構5や各センサの故障を判定したりするように構成されている。
<本実施形態による可変圧縮比動作の説明>
以下、各図を参照しつつ、本実施形態の圧縮比可変機構5による圧縮比変更動作について説明する。
エンジン1においては、エンジン回転数Neと負荷Teとに基づいて、ECU601によって、設定されるべき圧縮比が決定される。ここで、負荷Teは、吸入空気量Ga、基本燃料噴射量Fb、アクセル開度Accp、スロットル開度TA、等のエンジンパラメータの少なくとも1つに基づいて取得される。
エンジン1の圧縮比が最高に設定されている状態においては、図1に示されているように、偏心シャフト511cが最も下方に位置している。この場合、円形カム部511bも、最も下方に位置することとなる。
圧縮比を図1に示されている最高状態から低くする処理がなされる場合、モータ518が駆動される。これにより、制御シャフト517が回転し、ウォーム517aとウォーム517bとが同一方向に回転する。すると、一対のウォームホイール511dが、互いに逆方向に回転する(例えば、図中右側のウォームホイール511dが時計回りに回転し、図中左側のウォームホイール511dが反時計回りに回転する。)。
このウォームホイール511dの回転に伴って、カムシャフト511が回転駆動される。このとき、ジャーナル部511aは、ライナー514b及び515dの内面と摺動しながら、カムシャフト511の前記回転中心軸を中心として、フレーム側支持部514とカバー部515との間に形成された前記軸受孔の内側で回転する。また、偏心シャフト511cは、ジャーナル部511aとともに、前記回転中心軸の周りを回転する。
一方、円形カム部511bは、軸受孔512aの内面と摺動しながら、前記回転中心軸とは異なる軸を中心として、ブロック側支持部512の内側で回転する。これとともに、円形カム部511bは、偏心シャフト511cに対して相対的に回転する。
すると、偏心シャフト511cが、図1に示されている位置から上昇するとともに、円形カム部511bが上昇する。この円形カム部511bの上昇に伴って、ブロック側支持部512が上昇する。これにより、シリンダブロック2が、クランクケース4に対して、シリンダ中心軸CCAに沿って相対的に上昇する。このシリンダブロック2の上昇に伴って、シリンダヘッド3がクランクケース4から離隔することで、ピストン22の上死点位置とシリンダヘッド3の下端面との距離が伸びる。すなわち、燃焼室CCの容積が増大し、エンジン1の圧縮比が低下する。
なお、エンジン1の圧縮比が逆に高くされる場合は、上述とは逆の動作が行われ得る。すなわち、モータ518が上述の場合とは逆方向に回転駆動される。
<本実施形態による圧縮比取得動作の説明>
図5は、図1に示されている本実施形態のエンジン1における圧縮比取得動作を説明するためのグラフである。
図5の(i)のグラフは、リフト量(図1に示されている最高圧縮比状態からの、シリンダブロック2のクランクケース4からの上昇量:以下同様)と変位センサ604や変位センサ605の出力と、の関係を示すものである。
図5の(ii)のグラフは、モータ518の回転数とカムシャフト511(ウォームホイール511d)の回転角度との関係を示すものである。ここで、(a)は、モータ518の1回転毎のカムシャフト511の回転角度を示す。また、(b)は、モータ518の回転量の累計と、図1に示されている最高圧縮比状態からのカムシャフト511の回転角度の累計とを示す。
図5の(iii)のグラフは、図1に示されている最高圧縮比状態からのカムシャフト511(及びモータ518)の回転角度の累計と、リフト量と、の関係を示すものである。
燃焼圧(燃焼室CCにおける燃料混合気の燃焼によって生じる圧力)や、ピストン22の上下動や、クランクシャフト42の回転によって、図5の(i)のグラフに示されているように、変位センサ604や変位センサ605の出力信号が振動する。よって、変位センサ604あるいは変位センサ605の単独の出力信号からでは、リフト量及び圧縮比が正確には取得され難い。
そこで、より正確なリフト量、すなわちより正確な圧縮比の設定状態を取得するために、変位センサ604や変位センサ605の出力信号とともに、回転角センサ606の出力信号が用いられる。
例えば、変位センサ604の出力に基づくリフト量の取得値と、変位センサ605の出力に基づくリフト量の取得値と、を平均した値(平均リフト量)から、基準リフト量(モータ回転数が整数値である場合のリフト量:これは予めマップあるいは関数としてECU601に格納され得る)が取得される。
この基準リフト量を、モータ518の原点位置からの回転位相(図5のグラフ(ii)における(a)参照)に基づいて得られる補正リフト量によって補正することで、比較的正確なリフト量が取得される。このようにして取得されたリフト量に基づけば、圧縮比(機械圧縮比)が比較的正確に取得される。
なお、このようなリフト量及び圧縮比の取得方法においては、回転角センサ606によってモータ518の回転位相(0〜360度)が分かればよく、回転数の累計(0以上の整数)や回転角度の累計(0〜3600度)はカウントされる必要がない。よって、かかる方法によれば、ECU601による現在の圧縮比の取得が、簡単な装置構成及び簡易な処理によって良好に行われ得る。
<本実施形態における圧縮比取得・異常検出動作の具体例>
図6は、図1に示されている本実施形態のエンジン1における圧縮比取得及び異常検出動作の一例を説明するためのフローチャートである。ECU601は、所定のタイミングで、圧縮比取得・異常検出ルーチン600を起動する。
このルーチン600が起動されると、まず、ステップ610(以下、ステップは「S」と略称する。)にて、変位センサ604の出力に基づくリフト量L1と、変位センサ605の出力に基づくリフト量L2と、が取得される。次に、S620にて、リフト量L1とリフト量L2との差分ΔLが取得される。続いて、S630にて、この差分ΔLが所定値ΔL0よりも小さいか否かが判定される。
ΔLがΔL0よりも小さい場合(S630=Yes)、処理がS640に進んで、リフト量L1とリフト量L2とに基づいて現在の(機械)圧縮比εが取得される。
ΔLがΔL0以上である場合(S630=No)、圧縮比可変システムの異常、すなわち、センサの異常、あるいは圧縮比可変機構5の異常が発生している。よって、この場合、S640の処理がスキップされ、処理がS650に進み、故障判定がなされる。続いて、処理がS660に進んで、以降の圧縮比変更動作が禁止されるとともに、S670にて、警告ランプの点灯により、圧縮比可変システムの異常発生が報知される。
最後に、本ルーチンが一端終了される(S695)。
<本実施形態の構成による効果>
以下、本実施形態の構成による効果について説明する。
・本実施形態の構成においては、一対の変位センサ604及び605によるリフト量の取得値を、回転角センサ606の出力に基づいて補正することで、より正確な圧縮比の設定状態が取得される。
また、本実施形態の構成においては、変位センサ604の出力と、変位センサ605の出力と、に基づいて、圧縮比可変システムの異常発生の検知が良好に行われる。
したがって、本実施形態の構成によれば、より適切な圧縮比制御が行われ得る。
・本実施形態のエンジン1においては、シリンダブロック2のほぼ全体が、フレーム41の内部に収容されている。そして、シリンダブロック2がクランクケース4とスムーズに摺動するように、シリンダブロック2の移動がフレーム41によってガイドされている。
かかる構成によれば、圧縮比の変更のための動作がスムーズに行われる。したがって、本実施形態によれば、上述の構成による、現在の圧縮比のより正確な取得・検知と相まって、より適切な圧縮比制御が行われ得る。
<第二実施形態の構成>
図7は、本発明の第二の実施形態であるエンジン1’の概略構成を示す図である。
なお、本実施形態の説明において、上述の第一の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本実施形態においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の第一の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
本実施形態のエンジン1’においては、シリンダブロック2は、クランクケース4に対して相対移動しないように、クランクケース4に対して固定されている。
一方、本実施形態における圧縮比可変機構5’は、ピストン22とクランクシャフト42との連結状態を変更して、ピストン22の上死点位置を変更することで、圧縮比を変更し得るように構成されている。この圧縮比可変機構5’は、気筒毎に設けられている。
すなわち、本実施形態においては、コンロッド43は、屈曲可能に構成されている。そして、本実施形態の圧縮比可変機構5’は、コンロッド43の屈曲状態を変更して、ピストン22の上死点位置(及び下死点位置)を変更することで、圧縮比を変更し得るように構成されている。
図8及び図9は、図7に示されている本実施形態の圧縮比可変機構5’の概略構成を示す斜視図である。以下、図7ないし図9を参照しつつ、本実施形態の圧縮比可変機構5’の具体的構成について説明する。
<<コンロッド>>
図8を参照すると、コンロッド43は、第一コンロッド43aと、第二コンロッド43bと、コンロッド結合ピン43cと、を備えている。
第一コンロッド43aの先端部43a1と、ピストン22とは、ピストンピン22aを介して回動可能に連結されている。第二コンロッド43bの基端部43b1と、クランクシャフト42(クランクピン42a)とは、回動可能に連結されている。第一コンロッド43aと、第二コンロッド43bとは、コンロッド結合ピン43cを介して回動可能に連結されている。
第一コンロッド43aの、コンロッド結合ピン43c側の端部には、突出部43dが設けられている。この突出部43dには、コントロールロッド521の一端部が、ピン43eを介して回動可能に連結されている。コントロールロッド521の他端部には、貫通孔521aが形成されている。この貫通孔521aが設けられているコントロールロッド521の前記他端部は、コントロールシャフト522と回動可能に連結されている。
なお、コンロッド結合ピン43c、ピン43eの軸線方向は、コントロールシャフト522の中心軸X(これはクランクシャフト42の軸線方向と平行、すなわち、気筒配列方向ADと平行である)と平行である。
<<コントロールシャフト>>
コントロールシャフト522は、略円柱状のシャフト状の部材である。このコントロールシャフト522は、後述するモータ523によって回転駆動されることで、第一コンロッド43aと第二コンロッド43bとの屈曲状態を、コントロールロッド521を介して変更し得るように構成されている。
具体的には、コントロールシャフト522は、ジャーナル部522aと、第一連結部522bと、第二連結部522cと、を備えている。
ジャーナル部522aは、第一連結部522bよりも軸径の太い略円柱状の部材である。コントロールシャフト522の中心軸X方向に配列された隣り合うジャーナル部522aは、第一連結部522bと第二連結部522cとによって、一体的に連結されている。
第一連結部522bは、ジャーナル部522aよりも軸径の細い(ジャーナル部522aの径の半分以下の径の)略円柱状の部材である。第一連結部522bは、コントロールシャフト522の中心軸Xと平行に設けられているとともに、当該中心軸Xから偏心して設けられている。この第一連結部522bには、コントロールロッド521の前記他端部が回動可能に連結されている。
コントロールシャフト522の中心軸Xを挟んで第一連結部522bと対向する位置には、第二連結部522cが設けられている。第二連結部522cは、中心軸Xと直交する面による断面視にて、略C字状に形成されている。
第二連結部522cと第一連結部522bとの間には、ギャップ522dが形成されている。このギャップ522dは、コントロールロッド521の前記他端部との間に所定のクリアランスが設けられることで、コントロールロッド521とコントロールシャフト522との相対的な回動がスムーズに行われるように形成されている。
<<コントロールシャフト駆動機構>>
図7及び図9を参照すると、コントロールシャフト522は、本発明のアクチュエータとしてのモータ523によって回転駆動されるように構成されている。
具体的には、モータ523とコントロールシャフト522との間には、ウォームギヤ機構524と、クラッチ525とが介装されている。
ウォームギヤ機構524は、ウォーム524aと、ウォームホイール524bと、を備えている。ウォーム524aは、略円柱状のギヤであって、モータ523の回転駆動シャフトに装着されている。ウォームホイール524bは、ウォーム524aと噛み合う略円板状のギヤであって、クラッチ525におけるクラッチ板525aと結合されている。
クラッチ525は、電磁クラッチからなり、一対のクラッチ板525a及び525bを備えている。一方のクラッチ板525aは、上述のように、ウォームホイール524bと一体的に回転するように構成されている。他方のクラッチ板525bは、コントロールシャフト522と一体的に回転するように、コントロールシャフト522におけるクラッチ525側の端部に位置するジャーナル部522aと結合されている。
そして、クラッチ525は、ECU601からの制御信号によりクラッチ板525aとクラッチ板525bとの電磁吸着のオン−オフを行うことで、モータ523からコントロールシャフト522への回転駆動力の伝達・遮断を切り換えるように構成されている。
<<制御部>>
再び図7を参照すると、本実施形態における制御部6は、回転角センサ606及び607を備えている。回転角センサ606及び607も、圧縮比可変機構5’と同様に、気筒毎に設けられている。
一方の回転角センサ606は、上述の第一の実施形態の場合と同様に、モータ523の回転角度に対応する出力を生じるように構成されている。他方の回転角センサ607は、本発明の操作対象としてのコントロールシャフト522の回転角度に対応する出力を生じるように構成されている。
<第二実施形態による動作説明>
かかる構成を有する本実施形態のエンジン1’においては、上述の第一の実施形態の場合と同様に、設定されるべき圧縮比が、運転状態に応じて決定される。そして、ECU601の制御下で、モータ523により、コントロールシャフト522が回転駆動される。
コントロールシャフト522が回転すると、第一連結部522bの前記エンジン幅方向(図8における左右方向)の位置が変化する。これにより、コントロールロッド521が図8における左右方向に沿って揺動する。このコントロールロッド521の揺動により、コンロッド43の屈曲状態が変化し、ピストン22の上死点位置が変化する。この結果、圧縮比が変化する。
ここで、本実施形態のエンジン1’においては、低負荷運転に即した高圧縮比状態とされている際に、何らかの不具合が生じると、モータ523からコントロールシャフト522への動力伝達が、クラッチ525によって遮断される。すると、ピストン22が受ける燃焼圧によって、コンロッド43の屈曲度合いが自動的に大きくなる。この結果、ピストン上死点位置が下がり、低圧縮比の状態となる。これにより、圧縮比が不用意に高圧縮比側に固定されてしまう不具合が回避され得る。
ここで、本実施形態においては、回転角センサ606からの出力と、回転角センサ607からの出力により、上述の実施形態と同様に、圧縮比が取得され得る。すなわち、回転角センサ607からの出力に基づいて取得された概略の圧縮比が、回転角センサ606からの出力によって取得されたモータ523の回転角に基づいて補正されることで、現在の圧縮比(機械圧縮比)が比較的正確に取得され得る。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の各実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具体的構成例を単に例示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の各実施形態によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の各実施形態に示された具体的構成に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について幾つか例示する。もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成は、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
(1)本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、メタノールエンジン、バイオエタノールエンジン、その他の任意のタイプの内燃機関に適用可能である。気筒数や気筒配列方式(直列、V型、水平対向)も、特に限定はない。
また、本発明は、各実施形態にて具体的に開示された、圧縮比可変機構5及び5’の構成に何ら限定されない。
(2)図1に示されている第一の実施形態において、変位センサ605は、省略され得る。
この場合、回転角センサ606の出力に基づいて、すなわち、回転数(0〜10の整数)と回転位相(0度以上360度未満)とから求められるモータ518の回転角度の累計(0〜3600度)に基づいて、リフト量が直接取得され得る(図5のグラフ(iii)参照)。このリフト量と、変位センサ604の出力に基づいて取得されたリフト量と、に基づいて、圧縮比の取得や異常判定が行われ得る。
同様に、図7に示されている第二の実施形態において、回転角センサ607は、省略され得る。この場合も、上述と同様に、回転角センサ606の出力に基づいて、比較的正確な圧縮比が直接取得され得る。
(3)図1に示されている第一の実施形態において、回転角センサ606は、省略され得る。
この場合、変位センサ604の出力に基づくリフト量の取得値と、変位センサ605の出力に基づくリフト量の取得値と、を平均した、平均リフト量によっても、或る程度良好な圧縮比の取得が行われ得る。すなわち、かかる平均リフト量を用いることで、シリンダブロック2に傾斜が生じても、比較的正確な圧縮比が取得され得る。
(4)図1における制御シャフト517に、回転角センサが設けられ得る。この場合、この回転角センサの出力に基づいて、圧縮比の取得や異常判定が行われ得る。なお、この回転角センサは、変位センサ604,605,及び回転角センサ606と併用されるか、これらのいずれかに代えて設けられ得る。
(5)図10は、図7に示されている第二の実施形態のエンジン1’の変形例の概略構成を示す図である。
この変形例においては、変位センサ608が設けられている。この変位センサ608は、コントロールロッド521と対向するように設けられていて、シリンダ21の中心軸方向におけるコントロールロッド521の位置(本実施形態においては図中上端位置)に対応する出力を生じるように構成されている。
図11は、図10に示されている変位センサ608の出力波形を示すグラフである。ここで、図11には、直列4気筒における1番目ないし4番目のシリンダ21に対応する各変位センサ608の出力が、「#1」ないし「#4」として示されている。
図11における#1,#2,及び#4のように、コントロールロッド521の位置に応じた略正弦波状の波形の信号が、変位センサ608の出力として生じる。そして、図11に示されているように、圧縮比の変更(図中一点鎖線参照)に伴って、波形が変化する。この波形変化に基づいて、ピストン22の上死点位置の変化量が取得され得る。
かかる構成においても、回転角センサ606及び変位センサ608の出力に基づいて、圧縮比の設定状態や、故障検知が行われ得る。
すなわち、例えば、回転角センサ606の出力に基づいて、すなわち、回転数(0〜10の整数)と回転位相(0度以上360度未満)とから求められるモータ523の回転角度の累計(0〜3600度)に基づいて、ピストン22の上死点位置やその変化量が直接取得され得る(図5における(iii)のグラフ参照)。また、変位センサ608の出力に基づいても、ピストン22の上死点位置やその変化量が取得され得る。よって、回転角センサ606の出力と、変位センサ608の出力と、に基づいて、圧縮比の取得や異常判定が行われ得る。
また、圧縮比可変システムの異常が発生した#3の波形を見ると、圧縮比が変更された後の波形が、所定の波形(#1,#2,及び#4の波形)から乱れている。このように、#1ないし#4の波形をECU601によって比較することで、特定の気筒に対応する圧縮比可変システムの異常の発生が検知され得る。
なお、この場合、回転角センサ607は省略され得る。あるいは、回転角センサ606、回転角センサ607、及び変位センサ608の出力に基づいて、圧縮比の取得や異常判定が行われ得る。
また、図10における変位センサ608は、ピストン22の位置に対応する出力を生じるように構成されていてもよい。
(6)変位センサ604,605,及び608、並びに回転角センサ606及び607の構成についても、所定の機能を備えているものであれば、特に限定はない。
例えば、変位センサ604や605は、シリンダヘッド3とクランクケース4(フレーム41)との相対移動量に応じた出力を生じるように構成されていてもよい。
回転角センサ606は、エンコーダであってもよい。また、回転角センサ606は、モータに内蔵され得る。あるいは、モータ自身に角度検知機能が備えられている場合、モータ自身が回転角センサとしても機能し得る。
(7)圧縮比の取得や異常の判定の方法も、上述の各実施形態や変形例にて開示された具体例に限定されない。
例えば、図1に示されている第一の実施形態において、回転角センサ606の出力に基づいて、すなわち、回転数(0〜10の整数)と回転位相(0度以上360度未満)とから求められるモータ518の回転角度の累計(0〜3600度)に基づいて、リフト量が直接取得され得る(図5における(iii)のグラフ参照)。
(8)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。例えば、材料の変更は、適宜行われ得る。また、一体(ワンピース)であったものは別体(ツーピース)にされ得るし、その逆もあり得る。さらに、一体であるものは、シームレスなものともされ得るし、シームレスでないもの(接合部が介在するもの)ともされ得る。
さらに、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
1…エンジン 2…シリンダブロック 21…シリンダ
22…ピストン 22a…ピストンピン 3…シリンダヘッド
4…クランクケース 41…フレーム 42…クランクシャフト
42a…クランクピン 43…コンロッド 43a…第一コンロッド
43a1…先端部 43b…第二コンロッド 43b1…基端部
43c…コンロッド結合ピン 43d…突出部 43e…ピン
5…圧縮比可変機構 511…カムシャフト 511a…ジャーナル部
511b…円形カム部 511c…偏心シャフト 511d…ウォームホイール
512…ブロック側支持部 513…開口部 514…フレーム側支持部
515…カバー部 517…制御シャフト 517a…ウォーム
517b…ウォーム 518…モータ
1’…エンジン
5’…圧縮比可変機構 521…コントロールロッド 521a…貫通孔
522…コントロールシャフト 522a…ジャーナル部 522b…第一連結部
522c…第二連結部 523…モータ
524…ウォームギヤ機構 524a…ウォーム
524b…ウォームホイール
6…制御部 601…ECU 604…変位センサ
605…変位センサ 606…回転角センサ 607…回転角センサ
608…変位センサ AD…気筒配列方向 CCA…シリンダ中心軸
特開2001−263113号公報 特開2003−206771号公報 特開2005−48621号公報 特開2006−226133号公報

Claims (3)

  1. 圧縮比を変更可能に構成された内燃機関において、
    圧縮比の変更のために動作する、アクチュエータと、
    前記アクチュエータの動作により、圧縮比を変更するように変位する、操作対象と、
    前記操作対象の変位量に応じた出力を生じる、第一変位量出力部と、
    前記第一変位量出力部とは別に、前記変位量に応じた出力を生じる、第二変位量出力部と、
    を備えたことを特徴とする、内燃機関。
  2. 請求項1に記載の内燃機関において、
    前記第一変位量出力部及び前記第二変位量出力部における出力に基づいて、現在の圧縮比を取得する、圧縮比取得部をさらに備えたことを特徴とする、内燃機関。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の内燃機関において、
    前記第一変位量出力部及び前記第二変位量出力部における出力に基づいて、圧縮比の設定に関する異常を判定する、異常判定部をさらに備えたことを特徴とする、内燃機関。
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