JP5240164B2 - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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本発明は、マスクの位置合わせに用いられるアライメントマークを備えた炭化珪素(以下、SiCという)半導体基板を用いて構成されるSiC半導体装置の製造方法に関するものである。
従来より、SiC半導体基板を用いてSiC半導体装置を製造する場合、アライメントマークとなるトレンチを形成し、当該トレンチを基準としたマスク合わせによってSiC半導体基板に転写マスクを配置すると共に転写マスクに対してフォトリソグラフィ工程等の所定の製造プロセスを行ってSiC半導体装置を製造することが知られている。
具体的には、SiC半導体基板を用いてSiC半導体装置を製造する場合には、高品質なエピタキシャル層を成長させることができることから、まず、(0001)面に対して<11−20>方向にオフカットされたオフカット基板を用意する。そして、このようなSiC半導体基板に対して、アライメントマークを形成すると共に、エピタキシャル層を成長させたり熱処理したりする等の所定の製造プロセスを行う。続いて、読取装置にてアライメントマークの位置を特定し、アライメントマークに基づいてSiC半導体基板に転写マスクを配置する。そして、転写マスクに対してフォトリソグラフィ工程等の所定の製造プロセスを行うことによりSiC半導体装置を製造する。なお、アライメントマークとしては、例えば、開口部が、相対する二辺がオフ方向と平行であると共に他の相対する二辺がオフ方向と垂直である正方形状とされたトレンチを形成する。
また、このような製造方法では、アライメントマークの位置を、例えば、読取装置を走査させながら複数のレーザ光をSiC半導体基板に照射させ、当該読取装置にてSiC半導体基板で反射されたレーザ光に含まれる情報を解析する事により特定している。図5は読取装置を走査させた際のアライメントマークと読み取られるレーザ光との関係を示す模式図である。反射されるレーザ光の強度はSiC半導体基板との距離に依存し、アライメントマークが形成されている部分では強度が弱くなる(距離が長くなる)ため、読取装置に、例えば、複数の反射されたレーザ光の強度信号(図5中信号波形1)を読み取らせることによりアライメントマークの位置を特定させることができる。また、例えば、読取装置にて、読み取った強度信号を、強度信号が変化するときにピークが表れる信号(図5中信号波形2)に変換させ、変換した信号に基づいてアライメントマークの位置を特定させることもできる。
例えば、SiC半導体基板に対してエピタキシャル層を成長させたり、熱処理した場合には、アライメントマークの形状が変化するが、強度信号がアライメントマークの壁面にて変化するため、読取装置にて当該信号の変化を読み取らせることにより、アライメントマークの位置を特定させることができる。
しかしながら、上記トレンチが形成されたSiC半導体基板に対してエピタキシャル層を成長させた場合、エピタキシャル層は、トレンチのうちオフ方向の下流側では壁面に沿って成長(堆積)せず、以下に示すように成長する。図6(a)は、上記トレンチが形成されたSiC半導体基板にエピタキシャル層を成長させたときの部分斜視図、図6(b)は図6(a)のB−B矢視断面図、図6(c)は図6(b)中のアライメントマーク部分の平面図である。図6に示されるように、SiC半導体基板J10にエピタキシャル層J13を成長させた場合には、エピタキシャル層J13は、トレンチJ12のうちオフ方向の下流側に(0001)面のファセット面J20を形成するように成長する。
同様に、図示しないが、SiC半導体基板に対して熱処理を行った場合には、SiC半導体基板の表面原子は、トレンチのうちオフ方向の下流側に(0001)面のファセット面を形成するようにマイグレーションもしくはエッチングされる。
したがって、SiC半導体基板に対して、エピタキシャル層を成長させたり熱処理したりした後、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する場合には、ファセット面によりレーザ光が散乱するため、アライメントマークの位置を高精度に特定できないという問題がある。具体的には、アライメントマークの位置を特定する際、ファセット面の形成によりオフ方向の位置の特定に位置ズレが生じることになる。このため、SiC半導体基板に転写マスクを配置する際に位置ズレが生じるという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1には、SiC半導体基板に対してエピタキシャル層を成長させるか、もしくは熱処理して、トレンチのうちオフ方向の下流側にファセット面を形成し、当該ファセット面に対して新たなトレンチを形成すると共に、この新たなトレンチに基づいて転写マスクを配置することが開示されている。このような製造方法では、新たなトレンチは(0001)面のファセット面に形成されているため、SiC半導体基板に対してさらにエピタキシャル層を成長させたり、熱処理を行ったりしても、当該新たなトレンチのうちオフ方向の下流側にファセット面が形成されることを抑制することができる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際に位置ズレが生じることを抑制することができ、SiC半導体基板と転写マスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
また、特許文献2では、SiC半導体基板にトレンチを形成した後、当該トレンチを覆うようにカーボン膜を配置することが開示されている。このような製造方法では、トレンチを覆うようにカーボン膜が配置されているため、エピタキシャル層を成長させた際には、カーボン膜によりトレンチが形成されている部分にエピタキシャル層が堆積されることを抑制することができ、アライメントマークの形状が変化することを抑制することができる。また、熱処理を行った際には、トレンチはカーボン膜により覆われているので、トレンチ表面の表面原子がマイグレーションもしくはエッチングされることを抑制でき、アライメントマークの形状が変化することを抑制することができる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際に位置ズレが生じることを抑制することができ、SiC半導体基板と転写マスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
特開2007−280978号公報 特開2007−281157号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の製造方法では、ファセット面に対して新たにトレンチを形成しなければならないため、製造工程が増加すると共に複雑になるという問題がある。
また、上記特許文献2に記載の発明では、トレンチを覆うようにカーボン膜を配置する工程が必要になるため、製造工程が増加するという問題がある。さらに、エピタキシャル層を成長させる場合には、カーボン膜上にエピタキシャル層を成長させない成長条件にてエピタキシャル成長を行わなければならないため、製造工程が複雑になるという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、製造工程が増加したり複雑化したりすることなく、SiC半導体基板とマスクとの位置合わせを高精度に行うことができるSiC半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、(0001)面に対して<11−20>方向にオフカットされたSiC半導体基板を用い、SiC半導体基板の表面にアライメントマークとなるトレンチを形成してSiC半導体装置を製造する検討を行った。なお、トレンチは、開口部の形状が、相対する二辺がオフ方向と平行であり、他の相対する二辺がオフ方向と垂直である正方形状のものである。
このようなSiC半導体基板に対してエピタキシャル層を成長させた場合には、図6に示されるように、トレンチJ12のうちオフ方向の下流側では、表面エネルギーの小さい(0001)面のファセット面J20を形成することにより、表面エネルギーの総和を最小にしようとする。そして、六方晶のSiC半導体基板J10に対してエピタキシャル層J13を成長させる場合には、トレンチJ12には、表面エネルギーを安定させよう(低くしよう)として、(1−10n)面で形成され、オフ方向の下流側に頂点を有する六角形を形成するようにエピタキシャル層J13が成長しようとする。すなわち、ファセット面J20の頂点J21は、(1−10n)面の交線で構成されることになるため、ファセット面J20はトレンチJ12のうちオフ方向の最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さ(図6(c)中X−Y)に依存して大きくなることになる。
同様に、このようなSiC半導体基板に対して熱処理を行った場合には、トレンチのうちオフ方向の下流側ではファセット面を形成することにより表面エネルギーの総和を最小にしようとする。そして、トレンチでは(1−10n)面で形成され、オフ方向の下流側に頂点を有する六角形を形成するように表面原子がマイグレーションもしくはエッチングされる。すなわち、ファセット面は、SiC半導体基板に対してエピタキシャル層を成長させた場合と同様に、トレンチのうちオフ方向の最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さに依存して大きくなることになる。
以上より、本願発明者らは、(0001)面に対して<11−20>方向にオフカットされたSiC半導体基板に対してエピタキシャル層を成長させたり熱処理したりする場合には、トレンチのうちオフ方向の下流側では、オフ方向の最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さに依存したファセット面が形成されることを見出した。
このため、本願請求項1に記載の発明では、(0001)面にオフ角が設けられていると共に、オフ方向が〈11−20〉であるSiC半導体基板(10)を用い、SiC半導体基板(10)にデバイスが形成されるデバイス形成領域(R2)と、デバイス形成領域(R2)にデバイスが形成される際に使用されるアライメントマークが形成されるアライメントマーク形成領域(R1)とを構成し、アライメントマークを基準としたマスク合わせによってSiC半導体基板(10)にマスクを配置する工程を含むSiC半導体装置の製造方法であって、アライメントマーク形成領域(R1)に、開口部の形状が、オフ方向に対して対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分に頂点を有する多角形状とされており、アライメントマークとなるトレンチ(12)を形成するトレンチ形成工程と、トレンチ形成工程を行った後、SiC半導体基板(10)に対して、エピタキシャル層(13)を成長させるエピタキシャル層成長工程、または熱処理する熱処理工程の少なくともいずれか一方を行う工程と、エピタキシャル層成長工程または熱処理工程の少なくともいずれか一方の工程を行った後、アライメントマークを基準としたマスク合わせによってSiC半導体基板(10)にマスクを配置する工程と、を含むことを特徴としている。
このような製造方法では、開口部が、オフ方向について対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分に頂点を有する多角形状のトレンチ(12)を形成する工程を行っている。
このため、エピタキシャル層(13)を成長させる工程を行ったときには、トレンチ(12)の開口部をオフ方向について対称としているため、トレンチ(12)にはオフ方向に対して対称にエピタキシャル層(13)が成長することになる。すなわち、アライメントマークは、オフ方向に対して対称に変形することになる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際にオフ方向と垂直な方向に位置ズレが生じることを抑制することができる。また、エピタキシャル層(13)を成長させる工程を行ったときには、トレンチ(12)の開口部をオフ方向の最も下流側に位置する部分に頂点を有する多角形状としており、ファセット面はトレンチ(12)のうち最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さに依存して大きくなることから、ファセット面が形成されるのを抑制することができる。このため、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際にオフ方向と平行な方向に位置ズレが生じることを抑制することができる。以上より、SiC半導体基板(10)とマスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
また、このような製造方法では、従来の製造方法に対してトレンチ(12)の開口部の形状を変更するのみでよく、従来の製造方法と比較して製造工程が複雑になることも増加することもない。
例えば、請求項2に記載の発明のように、トレンチ形成工程では、開口部の形状が六角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線がオフ方向と平行になるトレンチ(12)を形成することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の発明において、トレンチ形成工程では、開口部の形状が、SiC半導体基板(10)の(0001)面上に六つの(1−100)面との交線で構成される正六角形をSiC半導体基板(10)の表面に投影して得られる六角形状であるトレンチ(12)を形成することができる。
これら請求項2および3に記載の製造方法では、SiC半導体基板(10)に対してエピタキシャル層(13)を成長させた場合、エピタキシャル層(13)は(1−10n)面で形成される六角形を形成するように成長するため、トレンチ(12)の壁面に沿ってエピタキシャル層(13)を成長させることができる。また、SiC半導体基板(10)に対して熱処理を行った場合も同様に、トレンチ(12)の壁面に沿って表面原子がマイグレーションもしくはエッチングされることになる。したがって、エピタキシャル層成長工程の前後または熱処理工程の前後でアライメントマークの形状変化を抑制することができ、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際に位置ズレが生じることを抑制することができる。これにより、さらにSiC半導体基板(10)とマスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
さらに、請求項4に記載の発明のように、トレンチ形成工程では、開口部の形状が四角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線がオフ方向と平行になるトレンチ(12)を形成することもできる。
また、請求項5に記載の発明では、アライメントマーク形成領域(R1)に、開口部の形状が、オフ方向について対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分がオフ方向と垂直とされた多角形状とされており、最も下流側に位置する部分からオフ方向の上流側に向かってオフ方向と垂直方向の長さが次第に長くなる部分を有し、アライメントマークとなるトレンチ(12)を形成するトレンチ形成工程と、トレンチ形成工程を行った後、SiC半導体基板(10)に対して、エピタキシャル層(13)を成長させるエピタキシャル層成長工程、または熱処理する熱処理工程の少なくともいずれか一方を行う工程と、エピタキシャル層成長工程または熱処理工程の少なくともいずれか一方の工程を行った後、アライメントマークを用いてSiC半導体基板(10)にマスクを配置する工程と、を含むことを特徴としている。
このような製造方法では、開口部が、オフ方向について対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分がオフ方向と垂直とされた多角形状とされており、最も下流側に位置する部分からオフ方向の上流側に向かってオフ方向と垂直方向の長さが次第に長くなる部分を有するトレンチ(12)を形成する工程を行っている。
このため、エピタキシャル層(13)を成長させる工程を行ったときには、トレンチ(12)にはオフ方向に対して対称にエピタキシャル層(13)が成長することになり、アライメントマークは、オフ方向に対して対称に変形することになる。また、エピタキシャル層(13)を成長させる工程を行ったときには、トレンチ(12)の開口部をオフ方向の最も下流側に位置する部分がオフ方向と垂直とされた多角形状とし、最も下流側に位置する部分からオフ方向の上流側に向かってオフ方向と垂直方向の長さが次第に長くなる部分を有する形状としていることから、当該多角形状のうちオフ方向と垂直方向の長さが最も長くなる部分の長さを一辺の長さとする正方形状のトレンチを形成した場合と比較して、トレンチ(12)のうちオフ方向の最も下流側に位置する部分の長さが短くなる。このため、当該正方形状のトレンチを形成した場合と比較して、エピタキシャル層(13)を成長させた際にトレンチ(12)のうちオフ方向の下流側にファセット面が形成されることを抑制することができる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際にオフ方向と平行な方向に位置ズレが生じることを抑制することができる。以上より、SiC半導体基板(10)とマスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
また、このような製造方法では、従来の製造方法に対してトレンチ(12)の開口部の形状を変更するのみでよく、従来の製造方法と比較して製造工程が複雑になることも増加することもない。
例えば、請求項6に記載の発明のように、トレンチ形成工程では、開口部の形状が八角形状であるトレンチ(12)を形成することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態におけるSiC半導体装置の製造工程の断面構成を示す図である。 図1に示すトレンチの開口部の形状を示す模式図である (a)はエピタキシャル層を成長させた後のアライメントマーク形成領域の部分拡大図であり、(b)は(a)に示すアライメントマークの平面図である。 本発明の第2実施形態におけるトレンチの開口部の形状を示す模式図である。 読取装置を走査させた際のアライメントマークと読み取られるレーザ光との関係を示す模式図である。 (a)は、従来の製造方法によりSiC半導体基板にエピタキシャル層を成長させたときの部分斜視図、(b)は(a)のB−B矢視断面図、(c)は(b)中のアライメントマーク部分の平面図である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用したSiC半導体装置の製造方法について説明する。図1は本実施形態のSiC半導体装置の製造工程の断面構成を示す図であり、この図に基づいて説明する。
まず、図1(a)に示されるように、例えばオフ角が8°であり、(0001)面に対してオフ方向が<11−20>とされた4H型のSiC半導体基板10を用意し、当該SiC半導体基板10にアライメントマーク形成領域R1とデバイス形成領域R2とを構成する。
その後、図1(b)に示されるように、SiC半導体基板10の表面にレジスト等のマスク材11を配置し、マスク材11のうちトレンチ形成予定領域に対応する領域を開口する。そして、SiC半導体基板10をマスク材11で覆った状態で、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)を用いた異方性ドライエッチングを行い、アライメントマーク形成領域R1にアライメントマークとなるトレンチ12を形成する。具体的には、本実施形態では以下に説明するトレンチ12を形成している。
図2は、本実施形態にかかるトレンチ12の開口部の形状を示す模式図である。図2に示されるように、本実施形態では、開口部の形状が、オフ方向に対して対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分が頂点を有する多角形状とされたトレンチ12を形成している。具体的には、開口部の形状が、SiC半導体基板10の(0001)面上に六つの(1−100)面との交線で構成される正六角形をSiC半導体基板10の表面に投影して得られる六角形状とされたトレンチ12を形成している。なお、本実施形態では、SiC半導体基板10の表面に投影する前の正六角形のうち相対する二辺の間の長さを4μmとしている。
続いて、図1(c)に示されるように、アライメントマークに基づいて、デバイス形成領域R2にイオン注入やエッチング等の所定の製造プロセスを行った後、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、SiC半導体基板10にエピタキシャル層13を成長させる。
図3(a)はSiC半導体基板10にエピタキシャル層13を成長させた後のアライメントマーク形成領域R1の部分拡大図であり、図3(b)は図3(a)に示すアライメントマークの平面図である。なお、図3(a)は、図3(b)中のA−A断面に相当する。このようなSiC半導体基板10にエピタキシャル層13を成長させた場合には、トレンチ12のうちオフ方向の下流側では、オフ方向の最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さに依存したファセット面が形成されることになる。しかしながら、本実施形態では、図3に示されるように、トレンチ12は、開口部がオフ方向の下流側に頂点を有する六角形状とされているため、オフ方向の下流側にファセット面が形成されることを抑制しつつ、エピタキシャル層13を成長させることができる。
次に、読取装置にてアライメントマークを読み取る。例えば、読取装置にてアライメントマークを読み取る際には、従来と同様に、図5に示されるように、読取装置を走査させながら複数のレーザ光をSiC半導体基板10に照射させ、当該読取装置にてSiC半導体基板10で反射されたレーザ光に含まれる情報を解析する事により特定することができる。すなわち、SiC半導体基板10にエピタキシャル層13を成長させた場合には、アライメントマークの形状がエピタキシャル層13により変化することになるが、アライメントマークの壁面にて反射されるレーザ光の強度信号が変化するため、強度信号を読み取ることによりアライメントマークの位置を特定することができる。
続いて、アライメントマークを基準としたマスク合わせによってSiC半導体基板10に本発明のマスクに相当する転写マスク(図示せず)を配置し、転写マスクに対してフォトリソグラフィ工程等の製造プロセスを行うことにより所望のSiC半導体装置を製造する。例えば、このようなSiC半導体装置の製造方法を適用して、デバイス形成領域R2にダイオードやトランジスタ等のSiC半導体装置を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法では、開口部が、オフ方向について対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分が頂点とされた多角形状のトレンチ12を形成している。
このため、エピタキシャル層13を成長させる工程を行ったときには、トレンチ12の開口部をオフ方向について対称としているため、トレンチ12にはオフ方向に対して対称にエピタキシャル層13が成長することになる。すなわち、アライメントマークは、オフ方向に対して対称に変形することになる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際にオフ方向と垂直な方向に位置ズレが生じることを抑制することができる。また、エピタキシャル層13を成長させる工程を行ったときには、トレンチ12の開口部をオフ方向の最も下流側に位置する部分に頂点を有する多角形状としているため、トレンチ12のうちオフ方向の下流側にファセット面が形成されるのを抑制することができる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際にオフ方向と平行な方向に位置ズレが生じることを抑制することができる。以上より、アライメントマークの位置を特定する際の位置ズレを抑制することができるため、SiC半導体基板10と転写マスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
さらに、本実施形態では、開口部の形状がSiC半導体基板10の(0001)面上に六つの(1−100)面との交線で構成される正六角形をSiC半導体基板10の表面に投影して得られる六角形状とされたトレンチ12を形成している。
このため、SiC半導体基板10に対してエピタキシャル層13を成長させた際には、エピタキシャル層13は、表面エネルギーを安定させよう(低くしよう)として(1−10n)面で形成される六角形を形成するように成長するため、トレンチ12の壁面に沿ってエピタキシャル層13が成長することになる。したがって、エピタキシャル層13の成長前後でアライメントマークの形状変化を抑制することができる。これによっても、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際に位置ズレが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法は、従来のSiC半導体装置の製造方法に対してトレンチ12の開口部の形状を変更するのみでよく、従来のSiC半導体装置の製造方法と比較して製造工程が複雑になることも増加することもない。
次に、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法により得られる具体的な効果について従来の製造方法と比較して述べる。
図6の従来の製造方法のように、SiC半導体基板J10に、開口部が、相対する二辺がオフ方向と平行であると共に他の相対する二辺がオフ方向と垂直である正方形状であって、相対する二辺の間の長さ(一辺の長さ)が4μmであるトレンチJ12を形成し、SiC半導体基板J10に1μmのエピタキシャル層13を成長させ、その後、転写マスクを配置した場合には、アライメントズレはオフ方向と平行な方向に0.5μm、オフ方向と垂直な方向に0.1μmであった。
これに対し、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法では、SiC半導体基板10に1μmのエピタキシャル層13を成長させ、その後、転写マスクを配置した場合には、アライメントズレはオフ方向と平行な方向に0.1μm、オフ方向と垂直な方向に0.1μmとすることができた。すなわち、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法では、SiC半導体基板10と転写マスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のSiC半導体装置の製造方法は、第1実施形態に対してトレンチ12の開口部の形状を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図4は、本実施形態にかかるトレンチ12の開口部の形状を示す模式図である。
図4に示されるように、本実施形態では、上記図1(b)中のトレンチ形成工程において、開口部の形状が、オフ方向について対称であり、かつオフ方向の最も下流側に位置する部分がオフ方向と垂直とされた多角形状とされており、最も下流側に位置する部分からオフ方向の上流側に向かってオフ方向と垂直方向の長さが次第に長くなる部分を有するトレンチ12を形成している。具体的には、開口部の形状が正八角形状とされたトレンチ12をSiC半導体基板10に形成している。
このようなSiC半導体装置の製造方法では、開口部が正八角形状とされたトレンチ12を形成しており、当該正八角形のうちオフ方向と垂直方向の長さが最も長くなる部分の長さ(図4中A)を一辺の長さとする正方形状のトレンチ12を形成した場合と比較して、トレンチ12のオフ方向の最も下流側に位置する部分の長さが短くなる。このため、開口部が正方形状のトレンチを形成した場合と比較して、トレンチ12のうちオフ方向の下流側にファセット面が形成されることを抑制することができ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
具体的には、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法では、SiC半導体基板10に1μmのエピタキシャル層13を成長させ、その後、転写マスクを配置した場合には、アライメントズレをオフ方向と平行な方向に0.2μm、オフ方向と垂直な方向に0.1μmとすることができた。
なお、トレンチ12のオフ方向の最も下流側に位置する部分の長さを短くすることにより本実施形態の効果を得られるため、例えば、オフ方向と垂直方向の長さを短くした長方形状のトレンチとすることも考えられる。しかしながら、このような長方形状のトレンチでは、トレンチのうちオフ方向の下流側にファセット面が形成されることを抑制することはできるものの、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際に、読取装置をオフ方向に走査させると、アライメントマークの部分において反射レーザ光が少なくなるため、アライメントマークの位置の特定精度が悪化することになる。
これに対し、本実施形態では、トレンチ12の開口部を、オフ方向の最も下流側に位置する部分からオフ方向の上流側に向かってオフ方向と垂直方向の長さが長くなる部分を有する形状としている。このため、この部分において、読取装置をオフ方向に走査させた際に、開口部が長方形状とされたトレンチより反射レーザ光を多く読み取ることができるため、アライメントマークの位置の特定精度が悪化することを抑制することができる。
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、開口部の形状が、SiC半導体基板10の(0001)面上に六つの(1−100)面との交線で構成される正六角形をSiC半導体基板10の表面に投影して得られる六角形状とされたトレンチ12を形成する製造方法について説明したが、例えば、開口部の形状が四角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線がオフ方向と平行になるようにトレンチ12を形成することができる。また、開口部の形状が八角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線がオフ方向と平行になるようにトレンチ12を形成することもできるし、開口部の形状が六角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線がオフ方向と平行になるようにトレンチ12を形成することもできる。
同様に、上記第2実施形態では、開口部の形状が正八角形状とされたトレンチ12を形成する製造方法について説明したが、例えば、開口部の形状が正八角形状でない八角形状とされたトレンチ12を形成することもできるし、開口部の形状が六角形状とされたトレンチ12を形成することもできる。なお、開口部の形状を八角形状や六角形状とする場合には、トレンチ12のうちオフ方向の最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さを短くすればするほど、トレンチ12のうちオフ方向の下流側にファセット面が形成されることを抑制することができ、SiC半導体基板10と転写マスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
また、上記第1、第2実施形態では、イオン注入等の工程を行って熱処理工程を行った後、アライメントマークを基準としたマスク合わせによってSiC半導体基板10に転写マスクを配置する場合も同様の効果を得ることができる。具体的には、上記第1実施形態では、開口部の形状が、最も下流側に位置する部分に頂点を有する六角形状のトレンチ12を形成しており、上記第2実施形態では、開口部の形状が、オフ方向の最も下流側に位置する部分がオフ方向と垂直とされた多角形状とされており、最も下流側に位置する部分からオフ方向の上流側に向かってオフ方向と垂直方向の長さが次第に長くなる部分を有するトレンチ12を形成している。このため、SiC半導体基板10に対して熱処理工程を行った場合には、ファセット面はトレンチ12のうち最も下流側に位置する部分のオフ方向と垂直方向の長さに依存して大きくなるため、ファセット面が形成されるのを抑制することができる。したがって、読取装置にてアライメントマークの位置を特定する際にオフ方向と平行な方向に位置ズレが生じることを抑制することができ、SiC半導体基板10と転写マスクとの位置合わせを高精度に行うことができる。
さらに、上記各実施形態では、4H型のSiC半導体基板10を例に挙げて説明したが、例えば、2H型のSiC半導体基板であっでもよいし、6H型のSiC半導体基板であってもよい。
10 SiC半導体基板
11 マスク材
12 トレンチ
13 エピタキシャル層

Claims (6)

  1. (0001)面にオフ角が設けられていると共に、オフ方向が〈11−20〉である炭化珪素半導体基板(10)を用い、前記炭化珪素半導体基板(10)にデバイスが形成されるデバイス形成領域(R2)と、前記デバイス形成領域(R2)にデバイスが形成される際に使用されるアライメントマークが形成されるアライメントマーク形成領域(R1)とを構成し、前記アライメントマークを基準としたマスク合わせによって前記炭化珪素半導体基板(10)にマスクを配置する工程を含む炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記アライメントマーク形成領域(R1)に、開口部の形状が、前記オフ方向に対して対称であり、かつ前記オフ方向の最も下流側に位置する部分に頂点を有する多角形状である、前記アライメントマークとなるトレンチ(12)を形成するトレンチ形成工程と、
    前記トレンチ形成工程を行った後、前記炭化珪素半導体基板(10)に対して、エピタキシャル層(13)を成長させるエピタキシャル層成長工程、または熱処理する熱処理工程の少なくともいずれか一方を行う工程と、
    前記エピタキシャル層成長工程または前記熱処理工程の少なくともいずれか一方の工程を行った後、前記アライメントマークを基準としたマスク合わせによって前記炭化珪素半導体基板(10)にマスクを配置する工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記トレンチ形成工程では、開口部の形状が六角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線が前記オフ方向と平行になる前記トレンチ(12)を形成することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 前記トレンチ形成工程では、開口部の形状が、前記炭化珪素半導体基板(10)の(0001)面上に六つの(1−100)面との交線で構成される正六角形を前記炭化珪素半導体基板(10)の表面に投影して得られる六角形状である前記トレンチを形成することを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記トレンチ形成工程では、開口部の形状が四角形状であり、相対する頂点を結んでできる対称線が前記オフ方向と平行になる前記トレンチ(12)を形成することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. (0001)面にオフ角が設けられていると共に、オフ方向が〈11−20〉である炭化珪素半導体基板(10)を用い、前記炭化珪素半導体基板(10)にデバイスが形成されるデバイス形成領域(R2)と、前記デバイス形成領域(R2)にデバイスが形成される際に使用されるアライメントマークが形成されるアライメントマーク形成領域(R1)とを構成し、前記アライメントマークを基準としたマスク合わせによって前記炭化珪素半導体基板(10)にマスクを配置する工程を含む炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記アライメントマーク形成領域(R1)に、開口部の形状が、前記オフ方向について対称であり、かつ前記オフ方向の最も下流側に位置する部分が前記オフ方向と垂直とされた多角形状とされており、前記最も下流側に位置する部分から前記オフ方向の上流側に向かって前記オフ方向と垂直方向の長さが次第に長くなる部分を有する、前記アライメントマークとなるトレンチ(12)を形成するトレンチ形成工程と、
    前記トレンチ形成工程を行った後、前記炭化珪素半導体基板(10)に対して、エピタキシャル層(13)を成長させるエピタキシャル層成長工程、または熱処理する熱処理工程の少なくともいずれか一方を行う工程と、
    前記エピタキシャル層成長工程または前記熱処理工程の少なくともいずれか一方の工程を行った後、前記アライメントマークを用いて前記炭化珪素半導体基板(10)にマスクを配置する工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 前記トレンチ形成工程では、開口部の形状が八角形状である前記トレンチ(12)を形成することを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。

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