JP5237770B2 - サイクロン分離装置 - Google Patents
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Description
このサイクロン集塵装置は,比較的大きい塵埃を旋回させることで遠心力によって捕集し,空気流に乗って飛翔する比較的小さい塵埃については,空気流中においたフィルタ手段によって捕集するものであるため,騒音が少なく,集塵効率についても改善されたものである。
このサイクロン分離装置では,上記圧縮部材が上記垂直中心軸を中心に回転することによって,上記螺旋状曲面の下面で捕集された塵埃などの捕集対象物が硬く圧縮され,ゴミを捨てる手間が省力され,あるいは,塵埃を捨てる時に,塵埃が空気中で分散され,ごみ箱等に廃棄する際,塵埃が舞い散って再飛散することによる不快感を解消することが出来るといった,多くの長所が発揮される。
従って,本発明は上記事情に鑑み創案されたものであり,前記圧縮部材の構造を改良して時間あたりの塵埃の圧縮量を増加させることのできる効率のよいサイクロン分離装置を提供することである。
内周面が略円筒状の捕集容器と,
前記捕集容器内に設けられ,該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を備え,前記垂直中心軸の周りに回転可能な圧縮部材とを備え,
前記捕集容器の周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記捕集容器の略円筒状の内周面に沿って旋回させた後,前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記捕集容器の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置において,
前記圧縮部材は,多条ねじ構造を有することを特徴とするサイクロン分離装置として構成されている。
前記のように,本発明におけるサイクロン分離装置の圧縮部材は,多条ねじ構造となっている。本発明のサイクロン分離装置における圧縮動作は,圧縮部材の回転によって行われ,掃除終了後に行われるため,利便性の観点から圧縮を行う時間は出来るだけ短いほうが望ましい。圧縮時間を短くするためには,ピッチ(隣り合うねじ山同士の間隔)を大きく取ることが効果的であるが,単に上記ピッチを大きくするだけでは螺旋状の圧縮部材のターン数が少なくなり螺旋状面と塵埃との接触が十分でなくなるため,ねじの送り作用が発揮されず,事実上,短時間で十分な圧縮を行うことが出来なくなる。
そこで本発明では,圧縮部材を多条ねじ構造とすることで,圧縮機能を低下させることなく圧縮効率を高めるようにして,圧縮時間の大幅削減を可能としたものである。
ここでねじの条数とは,始端から終端まで形成されたねじが,螺旋軸の同じ場所に1筋しかないねじを一条とし,2筋あるものを二条,n筋あるものをn条として数えたものである。
例えば,一条ねじと,一条ねじに対してピッチを2倍にした二条ねじとを比べると,二条ねじの方がピッチが大きいので,一条に比べて効率が2倍となると共に,ねじが2筋あるので,ねじ面と塵埃との接触が保たれ,圧縮機能が維持される。
更に,前記圧縮部材の多条ねじ構造における各ねじ山の高さが同じであってもよく,あるいは,前記圧縮部材の多条ねじ構造における各ねじ山のピッチが同じであってもよい。
本発明は,前記捕集対象物が,塵埃であるサイクロン集塵装置にも適用される。
ここに,図1は,本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図,図2及び図3は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図,図4は,螺旋部が一条ねじ構造であるサイクロン集塵装置Yに設けられた螺旋状回転圧縮部を説明するための図((a)は,下方から見た斜視図,(b)は,上方から見た斜視図),図5は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた上部フィルタユニットを説明するための図,図6は,螺旋部が一条ねじ構造であるサイクロン集塵装置Yの内部構造を螺旋状回転圧縮部を中心として説明するための断面図,図7は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための分解斜視図,図8は,本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの螺旋状回転圧縮部への回転力伝達経路を説明するための断面図,図9は,螺旋状回転圧縮部の回転によって,塵埃が圧縮・積層される状況を説明するサイクロン集塵装置Yの断面図,図10は,本発明の一実施形態に係る二条ねじ構造の螺旋部を備えた螺旋状回転圧縮部の斜視図,図11は,係る二条ねじ構造の螺旋部を備えた螺旋状回転圧縮部の側面図である。
図1に示すように,前記電気掃除機Xは,掃除機本体部1,吸気口部2,接続管3,接続ホース4,操作ハンドル5などを備えて概略構成されている。前記掃除機本体部1には,不図示の電動送風機,サイクロン集塵装置Y,制御装置(不図示)などが内蔵されている。なお,前記サイクロン集塵装置Yについては後段で詳述する。
前記電動送風機は,吸気を行うための送風ファン及び該送風ファンを回転駆動する送風駆動モータを有している。前記制御装置は,CPUやRAM,ROMなどの制御機器を有してなり,前記電気掃除機Xを統括的に制御する。具体的には,前記制御装置では,前記CPUが前記ROMに記憶された制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
なお,前記操作ハンドル5には,ユーザが前記電気掃除機Xの稼働の有無や運転モードの選択操作などを行うための操作スイッチ(不図示)が設けられている。また,その操作スイッチの近傍には,前記電気掃除機Xの現在の状態を表示するLEDなどの表示部(不図示)も設けられている。
従って,前記電気掃除機Xでは,前記掃除機本体部1に内蔵された前記電動送風機(不図示)が作動されることにより,前記吸気口部2からの吸気が行われる。そして,前記吸気口部2から吸気された空気は,前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて前記サイクロン集塵装置Yに流入する。前記サイクロン集塵装置Yでは,吸い込まれた空気から塵埃が遠心分離される。なお,前記サイクロン集塵装置Yで塵埃が分離された後の空気は,前記掃除機本体部1の後端に設けられた不図示の排気口から排気される。
図2及び図3に示すように,前記サイクロン集塵装置Yは,筐体10,内周面が略円筒状で,上記筐体10に対して着脱自在の集塵容器11(捕集容器の一例),内筒12,上部フィルタユニット13,塵埃受部14及び除塵駆動機構15などを備えて概略構成されている。
前記サイクロン集塵装置Yでは,前記集塵容器11,前記内筒12,前記上部フィルタユニット13,及び前記塵埃受部14が,垂直の中心軸Pを中心に同軸状に配置されている。また,前記サイクロン集塵装置Yは,前記掃除機本体部1に着脱可能に構成されている。
上記筐体10は,フィルタ122を備えた内筒12を備えている。
このサイクロン集塵装置Yでは,略円筒状の集塵容器11の中心部に設けられた前記内筒12から前記集塵容器11内の空気を排気することにより,前記集塵容器11の円周部に設けられた空気流入口111a(図7参照)から吸い込まれた空気を集塵容器11の内周面に沿って旋回させた後,フィルタ手段の一例である前記上部フィルタユニット13などを経て前記内筒12を経て排気し,前記空気に含まれる比較的大きい捕集対象物を前記集塵容器11の底部で捕集すると共に,比較的小さい捕集対象物を前記上部フィルタユニット13などにおいて捕集するものである。
また,前記集塵容器11の底部には,前記内筒12に設けられた後述の回転軸部123bに嵌合する嵌合部11aが設けられている。前記嵌合部11aの外周部には,前記内筒12の回転軸部123bとの隙間を埋めるための環状のシール部材11bが設けられている。このシール部材11bにより,前記回転軸部123b及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
ここで,前記接続部111の前記集塵容器11への空気流入口(不図示)は,前記接続ホース4からの空気が前記集塵容器11内で旋回するように形成されている。具体的に,前記空気流入口(不図示)は,前記集塵容器11側の出口が該集塵容器11の円周方向に向くように形成されている。従って,前記集塵容器11では,吸い込まれた空気を旋回させることで該空気に含まれた塵埃が遠心力によって分離(遠心分離)される。そして,前記集塵容器11で遠心分離された塵埃は,該集塵容器11の底部に収容される(図2,3の塵埃D1)。
一方,塵埃が分離された後の空気は,前記集塵容器11から矢印(図2)で示す排気経路112に沿って前記掃除機本体部1に設けられた不図示の排気口から外部に排気される。ここで,前記集塵容器11から前記排気口(不図示)までの前記排気経路112上には,前記内筒12,前記塵埃受部14,及び前記上部フィルタユニット13が順に配置されている。
さらに,前記内筒12の上端には,後述の傾斜除塵部材134に設けられた係合部134cに係合する複数の連結部12bが設けられている。前記連結部12bは,前記内筒12の上端の開口縁部に上方に突出して設けられたリブである。
前記内筒12は,前記連結部12b及び前記係合部134cの係合によって,前記傾斜除塵部材134に一体回転可能に連結されている。これにより,前記内筒12は,前記傾斜除塵部材134に連動して回転することになる。なお,前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134の連結構造はこれに限られない。例えば,前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134各々に設けられた嵌合部を嵌合させることにより一体回転可能に連結する構成が考えられる。
例えば,前記内筒フィルタ122は,メッシュ状のエアフィルタ等である。なお,前記内筒フィルタ122は,前記内筒排気口121の内側又は外側のいずれに設けられていてもよい。また,前記排気口121及び前記内筒フィルタ122に換えて,前記内筒12にメッシュ状の孔を形成する構成も考えられる。その場合は,そのメッシュ状の孔が前記内筒排気口121及び前記内筒フィルタ122として機能する。
ここで,図2及び図3に加えて螺旋状回転圧縮部123の斜視図である図4を参照しつつ,前記螺旋状回転圧縮部123について説明する。ただし,ここで説明するのは前記したように螺旋部123が一条のねじ構造を備えた集塵装置である。
図2〜4に示されているように,前記螺旋状回転圧縮部123には,上記螺旋状曲面を備えた螺旋部123a,回転軸部123b,円盤状遮蔽部材123cが設けられている。
前記回転軸部123bは,前記集塵容器11の底部に設けられた前記嵌合部11aに嵌合される中空円筒である。前述したように,前記回転軸部123b及び前記嵌合部11aの間には前記シール部材11b(図2,3参照)が介在する。
この時,前記螺旋部123aの前記螺旋状曲面は図6矢印Aの旋回気流と同様の傾斜方向をもって形成されていることが好ましい。このような螺旋部123aを図6矢印Aの旋回と反対方向に回転させることで前記集塵容器11内の塵埃は,該集塵容器11内面との摩擦によって,該集塵容器11底部へ移動することになる。
ただし,前記螺旋部123aの前記螺旋状曲面を,前記集塵容器11の内周面に沿って旋回する気流の傾き方向とは反対の方向に傾斜させることも可能である。この時,螺旋部123aの回転方向は,図6矢印Aの旋回気流の旋回方向と同一,即ち,螺旋部123aを螺子と想定したとき,螺旋部123aの回転により螺子が後退する方向になる。
さらに,前記内筒12が回転されるとき,前記集塵容器11の底部まで移動した塵埃に対して前記螺旋部123aは,前記集塵容器11の底部との摩擦によって,上記底面との間で塵埃を回転により回転軸中心から外側に向かって押し出し,螺旋部123aの終端部123eと集塵容器11の底部との間で圧縮することになる。このような構成によれば,塵埃が回転によって固く圧縮されるので,前記集塵容器11の塵埃の蓄積可能量を増加させることができる。従って,例えば前記集塵容器11の小型化を実現することが可能である。また,このように機械的に固く圧縮された塵埃は,容易に解けないので,取り出し時にも空気中に飛散する問題がなく,そのままの形でゴミとして廃棄することが出来る。
ただし,このサイクロン集塵装置Yでは,上記のように螺旋部123aの終端部123eと集塵容器11の底部との間で塵埃を固く圧縮するので,上記終端部123eにかかる応力が大きくなる。このような応力に対する対応については,後述される。
ここで,図2及び図3に加えて図5を参照しつつ,前記上部フィルタユニット13について説明する。ここに,図5(a)は,前記上部フィルタユニット13を上方から見た斜視図,図5(b)は,前記上部フィルタユニット13を下方から見た斜視図である。
前記上部フィルタユニット13は,HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)131,フィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134などを有している。
前記HEPAフィルタ131は,前記垂直中心軸Pの周りに環状に配置固定された複数枚のフィルタの集合で構成されている。なお,複数枚のフィルタ各々は,例えば図5(b)に示すような骨組みに固定される。また,前記HEPAフィルタ131に含まれた複数枚のフィルタは,略水平方向に凹凸を繰り返すプリーツ状に配置されている。これにより,前記HEPAフィルタ131におけるフィルタ面積が十分に確保されている。なお,前記HEPAフィルタ131の下端と前記筐体10との間には,環状のシール部材162が設けられている。これにより,前記HEPAフィルタ131と前記筐体10との間の空気の漏れが防止される。
また,図2及び図3に示すように,前記HEPAフィルタ131の中央には,後述のフィルタ除塵部材132に設けられた連結部133が嵌挿される中空部131aが形成されている。また,前記中空部131aには,前記連結部133を回転可能に支持する支持部131bが設けられている。
但し,前記HEPAフィルタ131に塵埃が堆積して目詰まりが生じると,空気の通過抵抗が大きくなる。そのため,前記電動送風機(不図示)の負荷が大きくなり吸塵力が低下するおそれがある。そこで,前記上部フィルタユニット13には,前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃を除去する前記フィルタ除塵部材132が設けられている。
また,前記連結部133には,該連結部133に設けられたネジ穴133aに前記傾斜除塵部材134がネジ133bで螺着される。これにより,前記フィルタ除塵部材132及び前記傾斜除塵部材134が一体回転可能に連結される。なお,前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間には,隙間を埋める環状のシール部材163が設けられている。これにより,前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131間の空気の漏れが防止される。
そして,前記フィルタ除塵部材132には,その外周部にギア132bが形成されている。このギア132bは,図2及び図3に示すように,前記サイクロン集塵装置Yに設けられた除塵駆動機構15に設けられたギア15aに噛合される。
そして,上記フィルタ除塵部材132の回転は,前記したように,傾斜除塵部材134に伝達され,傾斜除塵部材134と一体に回転する内筒12及び内筒12と一体の螺旋状回転圧縮部123が前記垂直中心軸Pの周りに回転する。
なお,本実施の形態では,前記除塵駆動モータによって前記フィルタ除塵部材132が回転される場合を例に挙げて説明するが,前記除塵駆動モータに換えて,前記フィルタ除塵部材132を手動で回転させることのできる機構を設けることも他の実施例として考えられる。
さらに,除塵駆動モータ以外の別のモータによって,螺旋状回転圧縮部123を回転させることも当然考えられる。上部フィルタユニット13の除塵と,螺旋状回転圧縮部123の回転とを別に行いたい場合には,このような別駆動の方を採用することも考えられる。
前述したように,サイクロン集塵装置Yは,概略円筒形状に形成され,上部に配置された上部フィルタユニット13と,下部に配置された集塵容器11とを備えて構成されている。
集塵容器11内に収納された前記内筒12の下端には,分離部104と集塵部105の境界部である円盤状遮蔽部材123cが一体的に接合されている。上記円盤状遮蔽部材123cとその下部の前記螺旋部123aの外径は,ほぼ同じで,分離部104の内径より小さく,円盤状遮蔽部材123cの外周と集塵容器11の内壁との間には隙間(クリアランス)106(図6)が存在している。隙間(クリアランス)106は,分離部104において分離した塵埃を集塵部105へ移動する場合に,ある程度の体積を持つ塵埃においてもスムーズに移動することができ,かつ一度集塵部105に移動・蓄積した塵埃を巻き上げ,内筒フィルタ122を詰まらさないようにするに適した値である。実験によれば13mm程度が望ましいことが分かった。
また上記隙間108の幅は,集塵部105の底部に押し付けられ,圧縮された塵埃が螺旋部分の終端部123eと集塵部105底部の間に詰まることによる破損や,異物等の詰まりを出来るだけ起こさないように余裕を持った値とすべきであるが,そのような隙間108を設けても,なお,螺旋部分の終端部123eと集塵部105底部の間に塵埃が詰め込まれることで,上記終端部123eには大きい応力が作用する。本実施例では,IEC規格に基づくDMT標準ゴミTYPE8を試験ゴミとして10g使用した実験により求めた上記隙間108の幅を6〜13mm程度としている。
図3,図6に示すように,分離部104の周方向に形成された接続部111の空気流入口111aから集塵容器11の分離部104に入った気流は,図6の矢印Aのように,分離部104の円筒状の内周面に沿って高速で旋回する。旋回気流中の比較的大きい塵埃には遠心力が作用して気流から分離され,集塵容器11の内壁へ押し付けられる。図2に示すように,空気の排気口121が,下方にあるため,その後,気流は旋回しながら,集塵部105に入る。図6において二点鎖線で示す矢印Aのように旋回する気流(主流)は,集塵部105の底面に到達した後は上昇に転じる。図6の例では,この螺旋状回転圧縮部123のまわりの間隙107を旋回する気流の回転方向と螺旋状回転圧縮部123の螺旋部123aの傾き方向が一致しており,サイクロン旋回気流を妨げることがない。このため,圧力損失が少なく効率的な遠心分離が可能であり,高い吸い込み仕事率が得られる。
前述したように,吸引された塵埃は,分離部104において分離され,隙間106(図6)を通り,集塵部105へ導かれる。集塵部105においては,塵埃は隙間107を通り,隙間108によりせき止められる(トラップされる)ことにより,蓄積される。この蓄積は,螺旋状回転圧縮部123が回転されるごとに既に蓄積された塵埃の上に積層されていく。そのため,この集塵装置では,螺旋部123aに沿って,偏ることなく積層が成長していくため,集塵部105内で偏って蓄積されていくことがなく,同容積の集塵部と比較して集塵可能容量が飛躍的に向上する。
また,螺旋部123aは,サイクロン旋回気流の回転方向に沿って下方に向かって傾斜する方向性をもつ螺旋形状とすることが出来る。この場合には,サイクロンの気流による圧縮効果も得られる。これにより,さらに集塵可能容量が向上する。
たとえば,送風駆動モータの駆動が停止されると,気流が旋回を止める。送風駆動モータの駆動停止が確認された後,除塵駆動機構15が駆動されると,上述したように内筒12,排気口121,円盤状遮蔽部材123c,螺旋状回転圧縮部123,回転軸部123bが一体となって,垂直中心軸Pを中心として,図8の矢印D方向(上面から見て,反時計方向)に回転する。このようにして,除塵駆動機構15による回転が,図8に示される第1の回転軸線152と第2の回転軸線153を介して回転軸部123bに伝達される。
こうして螺旋状回転圧縮部123が回転すると,螺子の原理により,回転軸方向(図9の矢印Eで示す垂直下向き方向)に推力が発生する。この推力により,集塵部105に蓄積されている図9の塵埃200は,回転軸方向に押し出され,集塵容器11の底面に押し付けられることにより回転軸方向に圧縮される。
そこでこの実施形態では,図10に示すように螺旋部123aを多条ねじ構造とすることで,圧縮機能を低下させることなく圧縮効率を高めるようにして,圧縮時間の大幅削減を可能としたものである。
ここでねじの条数とは,始端から終端まで形成されたねじが,螺旋軸の同じ場所に1筋しかないねじを一条とし,2筋あるものを二条,n筋あるものをn条として数えたものである。
例えば,一条ねじと,一条ねじに対してピッチを2倍にした二条ねじとを比べると,二条ねじの方がピッチが大きいので,一条に比べて効率が2倍となると共に,ねじが2筋あるので,ねじ面と塵埃との接触が保たれ,圧縮機能が維持される。
図10及び図11に示したは,二条ねじ構造を採用した螺旋状回転圧縮部材123の例である。
別言すると,条(条数)とは,螺旋部123a(ねじ山)の本数のことである。螺旋部123a(ねじ山)は回転軸部123bの表面に螺旋状に配置されているので,横から見ると何本もあるように見えるが,引き伸ばすと実際には一本しかないのが一条ねじ(図4に示す構造)であり,ねじ山の開始位置を180度ずらして二本のねじ山を配したものが二条ねじ(図10および図11に示す構造),120度ずつずらして三本配したものが三条ねじであり,ねじ山が複数本あるねじは多条ねじと呼ばれる。
一条ねじ構造の場合,圧縮部123を一回転させた場合の回転軸方向に押し出される塵埃200の距離(リード)は,ピッチ(隣り合うねじ山同士の間隔)と同一である。多条ねじ構造の場合,リードはピッチと条数の積となり,図10に示す二条ねじ構造の場合,図4に示す一条ねじ構造と比べて(ピッチは同じため)リードが2倍になる。これにより,圧縮部123を一回転させた場合の回転軸方向に押し出される塵埃200の搬送距離が2倍となるため,圧縮時間は1/2となり,大幅な圧縮時間短縮を達成できる。
また,前記したようにねじ山の高さは,全て同一であることが望ましい。ねじ山の高さが異なると,ゴミなどを搬送出来ないねじ山が生じてしまうことになるからである。
11…集塵容器(捕集容器)
12…内筒
13…上部フィルタユニット
14…集塵受部
15…除塵駆動機構
104…分離部
105…集塵部
123…螺旋状回転圧縮部
123a…螺旋部(圧縮部)
123b…回転軸部
123c…円盤状遮蔽部材
123d…始端部
123e…終端部
123f…外周部
123g…内周部
200,201…塵埃
Claims (3)
- 内周面が略円筒状の捕集容器と、
前記捕集容器内に設けられ、該捕集容器の垂直中心軸を中心とする螺旋状曲面を有して前記垂直中心軸の周りに回転可能であるとともに塵埃を圧縮する圧縮部材とを備え、
前記捕集容器の周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記捕集容器の略円筒状の内周面に沿って旋回させた後、前記捕集容器の中心部からフィルタ手段を経て排気することにより、前記空気に含まれる比較的大きい塵埃を前記捕集容器の底部で捕集すると共に、比較的小さい塵埃を前記フィルタ手段において捕集するサイクロン分離装置において、
前記圧縮部材は、前記捕集容器の底部に接して前記垂直中心軸を中心に回転する回転軸部に設けられるとともに多条ねじ構造を有することを特徴とするサイクロン分離装置。 - 前記圧縮部材の多条ねじ構造における各ねじ山の高さが同じである請求項1に記載のサイクロン分離装置。
- 前記圧縮部材の多条ねじ構造における各ねじ山のピッチが同じである請求項1または請求項2に記載のサイクロン分離装置。
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