JP5236271B2 - 導電性ポリウレタンフォーム及びその製造方法並びに導電性ローラ - Google Patents
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Description
(1)導電性カーボンブラック、グラファイト、金属粉末、導電性金属酸化物粉末等の導電性微粒子を配合したフォーム原料を用いる方法、
(2)炭素系導電粒子を含有する分散液に、自己架橋性水分散性バインダを分散させてなる処理液を、ウレタンフォームに含浸させ、加熱し、乾燥させるとともに、自己架橋性水分散性バインダを架橋させて、ポリウレタンフォームが有する連続気泡構造の骨格上に均一に炭素系導電粒子を固着させる方法(例えば、特許文献1参照。)、
(3)フォーム原料に、過塩素酸リチウム及び4級アンモニウム塩等の、高分子マトリックス中で移動するイオンに解離する電解質を配合する方法(例えば、特許文献2参照。)、等が提案されている。
1.軟質ポリウレタンフォームからなる基体と、導電性被覆層とを備える導電性ポリウレタンフォームであって、上記基体は骨格及びセル膜により構成され、上記導電性被覆層は該骨格及び該セル膜の各々の表面の少なくとも一部に設けられており、該導電性被覆層にカーボンナノチューブが含有されており、上記導電性被覆層を100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は3〜20質量%であることを特徴とする導電性ポリウレタンフォーム。
2.上記軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は0.1〜2.0質量%である上記1.に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
3.体積抵抗率が1×106Ω・cm以下であり、且つアスカーF硬度が80以下である上記2.に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
4.上記導電性被覆層を100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は4〜17質量%であり、且つ上記軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、該カーボンナノチューブの含有量は0.2〜1.3質量%である上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
5.体積抵抗率が2×105Ω・cm以下であり、且つアスカーF硬度が77以下である上記4.に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
6.上記導電性被覆層に重合体が含有され、該重合体のガラス転移温度が10℃以下である上記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
7.上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォームの製造方法であって、軟質ポリウレタンフォームを、重合体とカーボンナノチューブとを含有する水分散液に浸漬し、その後、該軟質ポリウレタンフォームを該水分散液から取り出し、次いで、乾燥させることを特徴とする導電性ポリウレタンフォームの製造方法。
8.上記水分散液は、上記重合体を含有する樹脂分散液と、カーボンナノチューブ凝集体を両性界面活性剤を用いて分散させた上記カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ分散液とを用いて調製された水分散液である上記7.に記載の導電性ポリウレタンフォームの製造方法。
9.上記軟質ポリウレタンフォームのJIS K 6400−7 A法により測定した通気量が1ml/cm2/s以上である上記7.又は8.に記載の導電性ポリウレタンフォームの製造方法。
10.芯金と、該芯金の周面に設けられた導電性発泡層とを備える導電性ローラであって、上記導電性発泡層は、上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォームからなり、上記導電性ローラはトナー供給ローラであることを特徴とする導電性ローラ。
また、導電性被覆層を100質量%とした場合に、カーボンナノチューブの含有量が3〜20質量%であるため、特に電気抵抗を容易に低下させることができ、硬度の上昇を十分に抑えることもできる。
更に、軟質フォームを100質量%とした場合に、カーボンナノチューブの含有量が0.1〜2.0質量%である場合は、特に硬度の上昇を十分に抑えることができ、電気抵抗を低下させることもできる。
また、体積抵抗率が1×106Ω・cm以下であり、且つアスカーF硬度が80以下である場合は、トナー供給ローラ等の導電性ローラの導電性発泡層として有用である。
更に、導電性被覆層を100質量%とした場合に、カーボンナノチューブの含有量が4〜17質量%であり、且つ軟質フォームを100質量%とした場合に、カーボンナノチューブの含有量が0.2〜1.3質量%である場合は、電気抵抗をより容易に低下させることができ、且つ硬度の上昇をより十分に抑えることができる。
また、体積抵抗率が2×105Ω・cm以下であり、且つアスカーF硬度が77以下である場合は、トナー供給ローラ等の導電性ローラの導電性発泡層として特に有用である。
更に、導電性被覆層に重合体が含有され、重合体のガラス転移温度が10℃以下である場合は、トナー供給ローラ等の導電性ローラなどの使用温度域において適度な柔軟性を有する導電性フォームとすることができる。
本発明の導電性フォームの製造方法によれば、電気抵抗が低く、且つ硬度の上昇が抑えられた導電性フォームを容易に製造することができる。
また、水分散液が、重合体を含有する重合体分散液と、カーボンナノチューブ凝集体を両性界面活性剤を用いて分散させたカーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ分散液とを用いて調製された水分散液である場合は、電気抵抗及び硬度のばらつきの少ない、均質な導電性フォームを製造することができる。
更に、軟質フォームのJIS K 6400−7 A法により測定した通気量が1ml/cm2/s以上である場合は、水分散液が軟質フォームの気泡内に容易に浸透し、電気抵抗及び硬度のばらつきがより少ない、均質な導電性フォームとすることができる。
本発明の導電性ローラであるトナー供給ローラは、導電性発泡層が適度な硬度であるため、トナーが付着し難く、且つ離れ易い。従って、トナーが十分に循環し、トナーの劣化等を抑えることができる。更に、導電性被覆層は薄層であるため、軟質フォームの変形に容易に追随して変形し、トナー供給ローラを他のローラ等と十分に密着させることができる。また、トナーが気泡内に入り込み難く、且つ適度な柔軟性を併せ有するため、印画を繰り返したときにも、画質の低下が少なく、耐久性に優れたトナー供給ローラとすることができる。
[1]導電性フォーム
本発明の導電性フォームは、軟質フォームからなる基体と、導電性被覆層とを備え、基体は骨格及びセル膜により構成され、導電性被覆層は骨格及びセル膜の各々の表面の少なくとも一部に設けられており、導電性被覆層にカーボンナノチューブが含有されており、上記導電性被覆層を100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は3〜20質量%であることを特徴とする。
触媒としては、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等の有機錫化合物、ニッケルアセチルアセトネート、ニッケルジアセチルアセトネート等の有機ニッケル化合物、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、フェノキシドなど、並びにオクチル亜鉛等の金属触媒を使用することができる。また、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンジメチルアミノメチルフェノール、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン等の3級アミン系触媒の他、有機酸塩等を用いることもできる。
尚、導電材としては、導電性フォームの導電性及び柔軟性、並びに軟質フォームに水分散液を浸漬したときの含浸性が損なわれない限り、カーボンブラック等のカーボンナノチューブを除く他の導電材を併用することもできる。カーボンナノチューブは少量で高い導電性が発現されるため、他の導電材を多量に用いる配合に少量のカーボンナノチューブを併用することもできる。具体的には、導電材の全量を100質量%とした場合に、他の導電材を90質量%以下、特に80質量%以下併用することもできるが、低抵抗と低硬度との両立という観点で、導電材の全量がカーボンナノチューブであることが好ましい。
本発明の導電性フォームの製造方法は、軟質フォームを、重合体とカーボンナノチューブとを含有する水分散液に浸漬し、その後、軟質フォームを水分散液から取り出し、次いで、乾燥させることを特徴とする。
カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブの含有量は、前記[1]の導電性被覆層又は軟質フォームにおけるカーボンナノチューブの含有量が、前記の範囲となるような含有量とすることができる。
本発明の導電性ローラであるトナー供給ローラは、芯金と、その周面に設けられた導電性発泡層とを備え、導電性発泡層が本発明の導電性フォームからなることを特徴とする。
上記「導電性発泡層」は本発明の導電性フォームからなり、この導電性フォームについては、前記[1]における導電性フォームに係る記載をそのまま適用することができる。
ここで、導電性発泡層の単位長さをL(μm)、この単位長さ(L)当たりに含まれるセルの数をN、単位長さ(L)中に含まれるセルの数の実測数をnとすると、N=(n/L)であり、
平均セル直径(μm)=1.5/(n/L)
で表される[文献名 セル構造体 多孔体構造活用のために L.J.Gibson,M.F.Ashby著、大塚正久訳、内田老鶴圃(1993第1版)P52 2.24式より]。
(1)トナーの大きさに比べてセル径が小さくなりすぎ、セル表面でトナー詰まりが発生して、トナーの掻き取り性が低下し、詰まったトナーによる画像欠陥(トナーがブレードに挟まり現像スジが発生する等の欠陥)が発生する。
(2)トナーカートリッジ内部のトナーの循環不足により、カートリッジ内のトナーが劣化したり、品質が不均一となる傾向が増大する。
等の問題が生じ、(1)、(2)のいずれの場合も、画像不良を引き起こすため好ましくない。
(1)導電性フォームを備えるトナー供給ローラが、現像ローラ表面に接触する際、セル径が大きくなるとともに接触面積が少なくなるが、セル径が1500μmを越える辺りからトナー掻き取り性が大きく低下し、画像不良を引き起こす。
(2)セル径が大きいほどトナー供給性は向上するが、連続印刷の場合、トナーカートリッジからトナー供給ローラへのトナーの供給、充填が徐々にされ難くなり、画像不良となる。
等の問題が生じるため好ましくない。
[1]軟質フォーム
軟質フォームとして、イノアックコーポレーション社製、商品名「ER26」(表1〜5及び10〜14ではPU1と表記する。また、以下、PU1という。)、イノアックコーポレーション社製、商品名「EMM」(表6〜7ではPU2と表記する。また、以下、PU2という。)、及びイノアックコーポレーション社製、商品名「EP70」(表8〜9ではPU3と表記する。また、以下、PU3という。)を用いた。
(1)カーボンナノチューブ分散液
カーボンナノチューブ分散液としては、シンセンNTP社製(OD:20〜50nm)(表1〜2、6〜9及び12〜14ではCNT1と表記する。また、以下、CNT1という。)、三井物産社製(OD:50〜100nm)(表10ではCNT2と表記する。また、以下、CNT2という。)、及びバイエル社製(OD:5〜20nm)(表11ではCNT3と表記する。また、以下、CNT3という。)を用いた。
アセチレンブラック(電気化学社製、商品名「デンカブラック」)(表3、14ではABと表記する。また、以下、ABという。)、ケッチェンブラック(ライオン社製、商品名「ケッチェンブラック」)(表3〜5及び14ではKBと表記する。また、以下、KBという。)、及び導電性カーボンブラック水分散液(山陽色素社製、商品名「エマコールブラックC」)(表5、14ではECBと表記する。また、以下、ECBという。)を用いた。AB又はKBを含有する水分散液は、それぞれカーボンナノチューブ分散液と同様にして調製した。即ち、上記の両性界面活性剤を使用し、上記の攪拌機及びビーズミルにより、同条件で攪拌、混合し、分散させて調製した。
重合体分散液として、日本ゼオン社製、商品名「LX852」(アクリルエマルジョン)(表1〜11及び13、14ではEM1と表記する。また、以下、EM1という。)、及び大日本インキ社製、商品名「HW−312B」(ウレタンエマルジョン)(表12ではEM2と表記する。また、以下、EM2という。)を用いた。
上記[2]、(1)で調製したカーボンナノチューブ分散液、又は上記[2]、(2)で調製したカーボンブラック分散液と、上記[2]、(3)の重合体分散液と、を所定の質量割合で混合し、且つ軟質フォームに対する導電性被覆層の質量割合[表1〜14では導電層(対PUF)と表記する。]が表1〜14に記載の質量割合となるとともに、導電性被覆層に含有される導電材(カーボンナノチューブ又はカーボンブラック)の含有量(表1〜14では被覆層中導電材と表記する。)、及び軟質フォームに含有される導電材(カーボンブラック又はカーボンブラック)の含有量(表1〜14ではPUF中導電材と表記する。)が、表1〜14となるように、上記[1]の軟質フォーム(縦100mm、横100mm、厚さ10mm)を浸漬し、水分散液を含浸させ、その後、取り出した軟質フォームをロールにより絞り、余剰の水分散液を除去した。次いで、熱風強制循環装置により、130℃で1時間加熱して乾燥させ、導電性フォームを製造した。
(1)導電材の含有量
軟質フォームの重量を予め秤量しておき、導電性フォームの重量を秤量して、この重量差から軟質フォームに対する導電性被覆層の質量割合を算出した。また、導電性被覆層における導電材の含有量、及び軟質フォームにおける導電材の含有量は、水分散液における導電材と重合体の各々の含有量と、軟質フォームに対する導電性被覆層の質量割合とから算出した。
アスカーF硬度(表1〜12ではF硬度と表記する。)は、高分子計器株式会社製のアスカー タイプF硬度計により、縦100mm、横100mm、厚さ10mmの試片を用いて、23℃、50%RHの雰囲気で測定した。
体積抵抗率は、ADVANTEST社製の高抵抗計(型式「R8340A」)により、縦100mm、横100mm、厚さ10mmの試片を用いて、10℃、15%RH、23℃、50%RH及び30℃、85%RHの3種類の雰囲気で、JIS K 6911 5.13に準拠して(60秒間印加)測定した。
カーボンナノチューブを含有する導電性被覆層を有する導電性フォーム、及び比較のためのNBR−エピクロロヒドリン発泡体について、上記の高抵抗計により、上記と同寸法の試片を用いて、通電初期の体積抵抗率(表13では0Hrと表記する。)と、24時間連続通電後の体積抵抗率(表13では24Hr後と表記する。)とを測定し、体積抵抗率の変化[表13ではlog(24Hr後/0Hr抵抗比)と表記する。]を評価した。
カーボンナノチューブを含有する導電性被覆層を有する導電性フォーム、及び比較のためカーボンブラックを含有する導電性被覆層を有する導電性フォームについて、上記の高抵抗計により、上記と同寸法の試片を用いて、初期の体積抵抗率と、厚さ方向に60Hzにて80000回圧縮と回復とを繰り返した後の体積抵抗率とを測定し、体積抵抗率の変化[表14ではlog(試験後/前)と表記する。]を評価した。
上記(1)〜(3)の結果を表1〜12及び図1〜4に併記する。また、上記(1)、(4)の結果を表13に、上記(1)、(5)の結果を表14に併記する。
導電材としてCNTを用いた実験例14の導電性フォーム、導電材としてECBを用いた実験例66の導電性フォーム、及びCNTを10質量部(フォームラバーを100質量部とする。)含有するフォームラバー成形体の各々の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した。図6〜8は、各々の観察データに基づく表面状態の説明図である。
Claims (10)
- 軟質ポリウレタンフォームからなる基体と、導電性被覆層とを備える導電性ポリウレタンフォームであって、
上記基体は骨格及びセル膜により構成され、
上記導電性被覆層は該骨格及び該セル膜の各々の表面の少なくとも一部に設けられており、
該導電性被覆層にカーボンナノチューブが含有されており、
上記導電性被覆層を100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は3〜20質量%であることを特徴とする導電性ポリウレタンフォーム。 - 上記軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は0.1〜2.0質量%である請求項1に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
- 体積抵抗率が1×106Ω・cm以下であり、且つアスカーF硬度が80以下である請求項2に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
- 上記導電性被覆層を100質量%とした場合に、上記カーボンナノチューブの含有量は4〜17質量%であり、且つ上記軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、該カーボンナノチューブの含有量は0.2〜1.3質量%である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
- 体積抵抗率が2×105Ω・cm以下であり、且つアスカーF硬度が77以下である請求項4に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
- 上記導電性被覆層に重合体が含有され、該重合体のガラス転移温度が10℃以下である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォーム。
- 請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォームの製造方法であって、
軟質ポリウレタンフォームを、重合体とカーボンナノチューブとを含有する水分散液に浸漬し、その後、該軟質ポリウレタンフォームを該水分散液から取り出し、次いで、乾燥させることを特徴とする導電性ポリウレタンフォームの製造方法。 - 上記水分散液は、上記重合体を含有する樹脂分散液と、カーボンナノチューブ凝集体を両性界面活性剤を用いて分散させた上記カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ分散液とを用いて調製された水分散液である請求項7に記載の導電性ポリウレタンフォームの製造方法。
- 上記軟質ポリウレタンフォームのJIS K 6400−7 A法により測定した通気量が1ml/cm2/s以上である請求項7又は8に記載の導電性ポリウレタンフォームの製造方法。
- 芯金と、該芯金の周面に設けられた導電性発泡層とを備える導電性ローラであって、
上記導電性発泡層は、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の導電性ポリウレタンフォームからなり、
上記導電性ローラはトナー供給ローラであることを特徴とする導電性ローラ。
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