JP2021031505A - ウレタンフォームおよびトナー搬送ローラ - Google Patents

ウレタンフォームおよびトナー搬送ローラ Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程中におけるカーボンブラックの脱離を抑制することができるウレタンフォームを提供する。【解決手段】ウレタンフォーム基材と、該ウレタンフォーム基材に含浸されたカーボンブラックと、該カーボンブラックと共に前記ウレタンフォームに含浸されたバインダーと、を含むウレタンフォームである。カーボンブラックは、粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックからなる。カーボンブラックに対する前記バインダーの割合が、100〜500質量%である。ウレタンフォーム基材の体積1Lに対してカーボンブラックを1.0〜4.0g含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関する。
複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置は、画像形成体、現像ローラ、トナー搬送ローラ等を備えている。このうち、トナー搬送ローラは、現像ローラと接触して回動するローラであり、軸部と、軸部の外周に接着層を介して固定された導電性弾性体のウレタンフォームとを備え、当該ウレタンフォームでトナー搬送ローラの胴部が形成されている。胴部が弾性体のウレタンフォームで形成されていることにより、接触したときに現像ローラを傷つけず、ローラの接触面積を増してグリップ性を確実にしている。
トナー搬送ローラは、トナー搬送性、トナー帯電性、トナー掻き取り性等が求められ、これらの特性の改善を図るべく種々の提案がなされている。
例えば、トナー搬送ローラの表層のトナーおよび現像ローラとの摩擦による帯電の影響を十分に防止し、低コストで安定的に良好な画像を得るために、表層中に特定のバインダー樹脂を含浸して荷電制御されたウレタンフォームおよび当該ウレタンフォームを用いたトナー搬送ローラがある(特許文献1)。
特許第5512167号公報
特許文献1のウレタンフォームは、ウレタンフォーム基材に、導電材のカーボンブラックをバインダー樹脂と共に含浸させることで導電性を有している。しかしながら、トナー搬送ローラの製造工程において、ウレタンフォームの表面を研磨して所望の円筒形状とする作業中に、含浸されたカーボンブラックが、当該ウレタンフォームの表面から脱離することがあった。また、トナー搬送ローラの組み立て時や製造後の作業中に、カーボンブラックが含浸されたウレタンフォーム基材の表面に作業員の手又は作業器具が触れることで、このカーボンブラックが、当該ウレタンフォーム基材の表面から脱離することがあった。カーボンブラックの脱離は、作業環境の改善の観点から抑制することが望まれる。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、製造工程中のカーボンブラックの脱離を抑制することができるウレタンフォームおよび当該ウレタンフォームを用いたトナー搬送ローラを提供することにある。
上記課題を解決する本発明のウレタンフォームは、ウレタンフォーム基材と、該ウレタンフォーム基材に含浸されたカーボンブラックと、該カーボンブラックと共に前記ウレタンフォームに含浸されたバインダーと、を含み、前記カーボンブラックは、粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックからなり、前記カーボンブラックに対する前記バインダーの割合が、100〜500質量%であり、前記ウレタンフォーム基材の体積1L当たり前記カーボンブラックを1.0〜4.0g含むことを特徴とする。
本発明のウレタンフォームによれば、カーボンブラックとして粒子が中空シェル状の構造を有する導電性の高いものを用いることでカーボンブラックの使用量を従来よりも少なくしつつ従来と同等の導電性を得て、かつ、カーボンブラックに対するバインダーの割合を多くすることでカーボンの接着力を高めることで、カーボンブラックの脱離を抑制することができる。
本発明のウレタンフォームにおいては、カーボンブラックのDBP吸油量が360cm/100g以上のものであることが好ましく、バインダーは、アクリル樹脂系バインダーであることが好ましい。
本発明のトナー搬送ローラは、上記のウレタンフォームを備えるものである。
本発明によれば、ウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラにおいて、カーボンブラックの脱離を抑制することができる。
本発明の一実施の形態に係るトナー搬送ローラを示す軸に垂直な断面図である。 電子写真方式の画像形成装置の現像部の要部模式図である。
以下、本発明のウレタンフォームおよびトナー搬送ローラの好適実施形態について、より具体的に説明する。
本発明のウレタンフォームは、ウレタンフォーム基材と、該ウレタンフォーム基材に含浸されたカーボンブラックと、該カーボンブラックと共に前記ウレタンフォームに含浸されたバインダーと、を含み、カーボンブラックは、粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックからなり、前記カーボンブラックに対する前記バインダーの割合が、100〜500質量%であり、前記ウレタンフォーム基材の体積1L当たり前記カーボンブラックを1.0〜4.0g含む。
本発明のウレタンフォームは、発泡された多孔質のウレタンであるウレタンフォーム基材の空隙に、カーボンブラックがバインダー樹脂と共に含浸されてなる。
ウレタンフォームから脱離するカーボンブラック量を抑制するために、カーボンブラック量を単に減らしても、カーボンブラックの脱離は改善しない。カーボンブラックに対するバインダーの比率を高めると、バインダーの体積抵抗率がカーボンブラックよりも高いために、カーボンブラックをバインダーと共に含浸させたウレタンフォームの体積抵抗率が高くなり、トナー搬送ローラの用途に求められる導電性を満足しない場合がある。そこで、カーボンブラックとして、粒子が中空シェル状の構造を有するものを用いる。中空シェル状の構造を有するカーボンブラックは、ケッチェンブラックとして知られていて、粒子径が小さく、比表面積および多孔度が共に高いことが相まって他のカーボンブラックに比べて高導電性を有している。したがって、粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックを用い、かつ、そのカーボンブラックに対するバインダーの比率を高めることで、トナー搬送ローラの用途に求められる導電性を満足させつつ、カーボンブラックの脱離を抑制することができる。
カーボンブラックは、粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックからなるものであり、ケッチェンブラックとして知られているものを用いることができる。粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックは、DBP吸油量が360cm/100g以上のものであることが好ましい。DBP吸油量が高いことにより、少量でも高い導電性を付与することができる。DBP吸油量の上限値は特にないが、現在入手可能なケッチェンブラックのDBP吸油量500cm/100g程度である。DBP吸油量は、JIS K6217−4に従って計測することができる。
また、カーボンブラックは、BET比表面積が800m/g以上であることが好ましい。
カーボンブラックとして、中空シェル状の構造を有するカーボンブラック以外の、公知のカーボンブラック、例えば一般的なオイルファーネスブラックや、ランプブラック、チャンネルブラック、ガスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等を、上述した中空シェル状の構造を有するカーボンブラックと併用することも考えられるが、ウレタンフォームからのカーボンブラックの脱離抑制と、トナー搬送ローラに用いられたときの優れた導電性との両立を考慮すると、本発明のウレタンフォームは、カーボンブラックとして、中空シェル状の構造を有するカーボンブラックからなることが好ましい。
カーボンブラックは、ウレタンフォーム基材の体積1L当たりカーボンブラックを1.0〜4.0g含む。ウレタンフォーム基材の体積1L当たりのカーボンブラックの量が1.0〜4.0gの範囲であることにより、トナー搬送ローラの用途に求められる導電性を満足させる良好な導電性を得ることができる。ウレタンフォーム基材の体積1L当たりのカーボンブラックの量が少な過ぎると導電性が劣化する。ウレタンフォーム基材の体積1L当たりのカーボンブラックの量が多いときには導電性は必要十分である一方、必要なバインダーの量が増えるか、またはカーボンブラックに対するバインダーの割合が低くなり、カーボンブラックが脱離するおそれがある。好ましくは、カーボンブラックは、ウレタンフォーム基材の体積1L当たりカーボンブラックを1.6〜4.0g含む。より好ましくは、1.6〜3.2g含む。
上記バインダーは、例えば、アクリル樹脂系バインダー、ナイロン樹脂系バインダー、ウレタン樹脂系バインダーなどを例示できるが、カーボンブラックの接着力が高く、含浸後もウレタンフォームの柔軟性を維持できるアクリル樹脂系バインダーが好ましい。
バインダーは、カーボンブラックに対して100〜500質量%の範囲とすることが好ましい。バインダーがカーボンブラックに対して100質量%とは、バインダーとカーボンブラックとが同じ量であることを意味する。カーボンブラックに対するバインダーの割合が100〜500質量%の範囲であることにより、トナー搬送ローラの用途に求められる導電性を満足させつつ、カーボンブラックの脱離を抑制することができる。カーボンブラックに対するバインダーの割合が高過ぎるとカーボンブラック脱離の改善が見られず、カーボンブラックに対するバインダーの割合が低過ぎると、ウレタンフォームの体積抵抗率が高くなり、トナー搬送ローラの用途に求められる導電性を満足しない場合がある。好ましくは200〜400質量%である。
ウレタンフォーム基材は、通気量が、100〜700cm/cm/secであることが好ましく、特に、150〜400cm/cm/sec程度であることがより好ましい。通気量が700cm/cm/secを超えると濃度過多によりトナー燃費が低下する場合があり、一方、100cm/cm/sec未満であると含浸液にウレタンフォーム基材を含浸させる際に含浸しにくくなり、バインダー樹脂の付着量が一定になりにくい場合がある。また、その影響で生産性が低下する場合もある。なお、上記通気量は、JIS K 6400に準じて測定したものである。
また、ウレタンフォーム基材は、セル数が、20〜80個/inch(25.4mm)であることが好ましく、特に、30〜60個/inchであることがより好ましい。セル数が20個/inchより少ないとトナーの付着するスペースが減ってしまうため現像に影響が出やすく、一方、セル数が80個/inchより多いと含浸液にウレタンフォーム基材を含浸させる際に含浸しにくくなり、バインダー樹脂の付着量が一定になりにくい場合がある。また、含浸速度も遅くなり、コスト高になる場合もある。
さらに、ウレタンフォーム基材は、平均セル径が、50〜1000μmであることが好ましく、特に、100〜400μm程度であることがより好ましい。平均セル径が1000μmを超えると濃度過多によりトナー燃費が低下する場合があり、一方、50μm未満であると含浸液にウレタンフォーム基材を含浸させる際に含浸しにくくなり、カーボンブラックおよびバインダーの付着量が一定になりにくい場合がある。
ウレタンフォーム基材は、密度が、10〜100kg/mであることが好ましく、特に、10〜50kg/m程度であることがより好ましい。密度が100kg/mを超えるとコスト高になる場合があり、一方、密度が10kg/m未満であると圧縮残留歪みが悪化する傾向にあり、追随性がなくなりカスレの原因となることがある。
また、ウレタンフォーム基材は、硬度が、アスカーF硬度で30〜90であることが好ましい。アスカーF硬度が90より大きいとトナーを劣化させる場合があり、アスカーF30より小さいと研磨不良になりやすく、好ましくない。
ウレタンフォーム基材は、公知の方法、例えば、特許第3480028号公報に記載の手法により、2個以上の活性水素を有する化合物と2個以上のイソシアネート基を有する化合物を触媒、発泡剤、整泡剤等の添加剤と共に攪拌混合して発泡・硬化させることにより製造でき、また、発泡剤として水を用いて形成する方法、例えば、あらかじめイソシアネート成分とポリオール成分を反応させてなるプレポリマー、水分散カーボン、ウレタン反応触媒等を含む発泡体形成材料を、所定形状にて発泡させたのち、加熱硬化させる等、プレポリマー法、ワンショット法、部分プレポリマー法等の方法により製造できる。例えば、800〜3600の平均分子量差を有する2種類の単一ジオールを含む単一ジオールの混合物を、ポリオール成分に対して総量で50質量%以上含むポリエーテルポリオール、イソシアネート、水、触媒および発泡剤を混合し、発泡させ、放置することにより製造することができる。
ここで、「単一のジオール」とは、1種のジオールまたは平均分子量の差が400以内の2種以上のジオール群を総称する意味に用いられる。また、「平均分子量差」とは、対象となるジオールが各々有する平均分子量の差分を表し、組み合わせが多種類ある場合には、特に、最大の差分を表す意味に用いられる。
プレポリマーの製造に用いられるポリオール成分としては、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分とを縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
ウレタンフォーム基材を製造する際に用いられるポリエーテルポリオールとしては、(1)例えば、ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドのみを付加させたタイプのポリエーテルポリオール、(2)例えば、ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをブロックまたはランダムに付加させたタイプのポリエーテルポリオール、(3)上記(1)または(2)に例えばアクリルニトリルやスチレンをグラフトしたタイプのポリエーテルポリオール、等を含み、特に制限されないが、より効果を発揮するためには、好ましくは(1)タイプのポリエーテルポリオールである。
上記ポリエーテルポリオールを製造するために用いられる開始剤としては、多価アルコール、多価フェノール、モノ若しくはポリアミン、その他のものが挙げられるが、好ましくは多価アルコールおよび多価フェノールであり、さらに好ましくは多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が含まれ、この中でもジエチレングリコールが特に好ましい。
また、上記ポリエーテルポリオール成分には、ジオール以外のポリオール成分も含み得る。このようなポリオール成分としては、通常、ウレタンフォーム基材の製造に使用される3官能の、例えば、グリセリンベースにプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたもの、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイド等の2種のアルキレンオキサイドをランダム若しくはブロックで付加させたもの等が挙げられ、多官能のものとしては、例えば、サッカロースベースに上記と同様のものを付加させたポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコシド、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が好ましくは2〜95質量%、より好ましくは5〜90質量%であり、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましい。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの配列は、ランダムであることが好ましい。
なお、かかるポリエーテルポリオールの分子量としては、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300〜6000の範囲のものが好ましく、3000〜5000の範囲のものがより好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900〜9000の範囲のものが好ましく、4000〜8000の範囲のものがより好ましい。さらに、2官能のポリオールと3官能のポリオールとを適宜ブレンドして用いることもできる。
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得ることができ、重量平均分子量が400〜4000の範囲、特には、650〜3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。さらに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとを、ブレンドして用いることも好ましい。この場合、これらのブレンド比率が、質量比で95:5〜20:80の範囲、特には90:10〜50:50の範囲となるように用いることが好適である。
また、上記ポリオール成分とともに、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパン等のポリオール類やこれらの誘導体を併用することもできる。
ポリイソシアネート成分としては、芳香族イソシアネートまたはその誘導体、脂肪族イソシアネートまたはその誘導体、脂環族イソシアネートまたはその誘導体が用いられる。これらの中でも芳香族イソシアネートまたはその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネート(TDI)またはその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはその誘導体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートまたはその誘導体が好適に用いられ、単体若しくは混合して使用される。
トリレンジイソシアネートまたはその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が用いられる。ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタンまたはその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体等があり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネート等を用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05〜4.00、より好ましくは2.50〜3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物等も用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
プレポリマー化の方法としては、ポリオールとイソシアネートを適切な容器に入れて十分に攪拌し、30〜90℃、より好ましくは40〜70℃で、6〜240時間、より好ましくは24〜72時間保温する方法が挙げられる。この場合、ポリオールとイソシアネートとの分量の比率は、得られるプレポリマーのイソシアネート含有率が4〜30質量%となるように調節することが好ましく、より好ましくは6〜15質量%である。イソシアネートの含有率が4質量%未満であると、プレポリマーの安定性が損なわれ、貯蔵中にプレポリマーが硬化してしまい、使用に供することができなくなるおそれがある。また、イソシアネートの含有率が30質量%を超えると、プレポリマー化されていないイソシアネートの含有量が増加し、このポリイソシアネートは、後のポリウレタン硬化反応において用いるポリオール成分と、プレポリマー化反応を経ないワンショット製法に類似の反応機構により硬化するため、プレポリマー法を用いる効果が薄れる。
ウレタンフォーム基材には、上記ポリオール成分およびイソシアネート成分に加え、架橋剤、界面活性剤、触媒、整泡剤等を添加することができ、これにより所望に応じた層構造とすることができる。また、難燃剤や充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜使用することも可能である。
また、ウレタンフォーム基材中には、シリコーン整泡剤や各種界面活性剤を配合することが、フォーム材のセルを安定させるために好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分とからなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル、各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリオール成分とイソシアネート成分との総量100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることがさらに好ましい。
発泡剤として用いられる化合物としては、その種類および使用量に特に制限はなく、公知のものが使用できる。発泡剤としては、例えば、メチレンクロライド、フロン123、フロン141b等が用いられる。
ウレタンフォーム基材の硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のウレタンフォームは、上述したウレタンフォーム基材に、上述したカーボンブラックおよびバインダーを、トナー搬送ローラを製造したときのローラ胴部の少なくとも表層に相当する領域に含浸させることにより製造される。なお、表層とは、バインダー樹脂がウレタンフォーム基材の全体に含浸していない場合に、本発明の効果を十分に得ることができる範囲を示す。
含浸方法は、少なくとも表層中に上記カーボンブラックおよびバインダー樹脂を含浸できる方法であれば特に限定されず、通常は、カーボンブラックおよびバインダーを含む液にウレタンフォーム基材を含浸させる方法を用いる。カーボンブラックをバインダーと共にウレタンフォーム基材に含浸させることで、常法に従ってウレタンフォームに導電性を具備させることができる。
このカーボンブラックおよびバインダーを含む含浸液には、カーボンブラックおよびバインダーの他に、適量の水およびトルエン、酢酸エチル等の有機溶媒を添加することができる。これらの溶媒は、含浸液の粘度が5〜300cps(25℃)程度となるように添加することが好ましい。粘度をこの範囲内とすることにより含浸付着作業がさらに容易になる。
含浸液には必要に応じて他の添加剤、例えば、鉱物油系消泡剤、シリコーン系消泡剤、界面活性剤、荷電制御剤等を添加することができる。これらは、含浸液100質量部に対して、0.001〜10質量部、特に0.001〜0.1質量部程度添加することが好ましい。
上記鉱物油系消泡剤としては、例えば、信越化学工業(株)製の自己乳化型シリコーン系の商品名:KS−508、KS−537、オイル型シリコーン系の商品名:KF−96、オイルコンパウンド型シリコーン系の商品名:KF−66等が挙げられる。
次に、本発明のトナー搬送ローラについて説明する。
図1に、本発明の好適な実施形態に係るトナー搬送ローラの軸に垂直な断面図を示す。図示したトナー搬送ローラは、軸部1の外周にローラ胴部のウレタンフォーム3が接着固定されてなり、ウレタンフォーム3が、本発明のウレタンフォームからなるものである。トナー搬送ローラは、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置の現像部の要部を、模式的に図2に示す。図2において、電子写真方式の画像形成装置における現像部には、静電潜像を保持する感光体等の画像形成体11と、この画像形成体11に当接して表面に担持したトナー20を付着させることにより静電潜像を可視画像化する現像ローラ12と、この現像ローラ12にトナーを供給するためのトナー供給ローラ13とを備えている。トナー20を、トナー収容部14からトナー供給ローラ13および現像ローラ12を介して画像形成体11まで搬送し、画像形成体11の表面の静電潜像に従って選択的に付着させる一連のプロセスにより現像が行われる。付着したトナーは転写ローラ15により紙に転写される。転写された紙上のトナーは加熱されて定着する。電子写真方式の画像形成装置は、上述したトナー供給ローラ13等の他に、画像形成体11の周囲に、画像形成体11の表面を帯電させる帯電部16、画像形成体11の表面に光を当てて静電潜像を形成する露光部17などを備えている。また、図2では現像ローラ12に接してトナー掻き取り用のブレード18が設けられている。さらに、図示しないが不要分のトナーを除去するクリーニングローラを備えることがある。
本発明において、トナー搬送ローラは、現像ローラにトナーを供給するためのトナー供給ローラ13と、不要分のトナーを除去するクリーニングローラとを包含する。
トナー搬送ローラは、現像ローラ12や他のローラとの接触により相手を傷つけないこと、および、ローラの接触面積を増してグリップ性を確実にする等の観点から、軸部1の外周に、接着層2を介してウレタンフォーム3を固定させた構造にて形成されている。
本実施形態のトナー搬送ローラの軸部1としては、例えば、硫黄快削鋼等の鋼材にニッケルや亜鉛等のめっきを施したものや、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフトを用いることができる。なお、トナー搬送ローラのサイズの一例は、軸部1の径をφ6mm未満、例えば、5.0mmとし、かつ、ウレタンフォーム3の厚みを4.5mm未満、例えば、4.0mmとすることができる。ウレタンフォーム3を薄層化すればウレタンフォームの体積減少により、印字耐久時にウレタンフォーム3が含むトナー量が減少し、トナー燃費を抑制することができる。また、ローラ自体の軽量化を図ることができるとともに、ウレタンフォーム3の薄層化によりマクロで見た時のウレタンフォームの弾性率が上がり、トナー掻き取り性が向上する。
軸部1とウレタンフォーム3との間に介在される接着層2に用いる接着剤としては、融点120℃以上、特には130℃以上200℃以下のアジペート系ポリウレタン樹脂を主成分とする熱溶融型高分子接着剤を好適に用いることができる。
かかる接着剤の性状としては、フィルムやペレット等、いかなる形態であってもよい。また、接着層2の厚みは、好適には20〜300μmであり、薄すぎると接着不良が発生し、厚すぎると好適なローラ抵抗が得られないため、いずれも好ましくない。なお、接着時における接着剤の溶融温度は、100℃以上、特には130℃以上200℃以下であって、接着剤の融点よりも低い温度とすることが好ましい。これにより、接着層2が半溶融状態となり、5V印加時のローラ抵抗を10〜10Ω、100V印加時のローラ抵抗を10〜10Ωと電圧依存性をコントロールすることがより容易になり、印字耐久初期の濃度を上げることが可能となる。
トナー搬送ローラは、軸部1の外周に、所望に応じ接着剤を介してウレタンフォーム3を取り付けた後、軸部1とウレタンフォーム3とを所定の温度で加熱して接着固定することにより製造することができる。
具体的にはまず、ウレタンフォームの製造として、カーボンブラック、バインダー、消泡剤などを混合し、含浸液を調整し、この含浸液を満たした浴中に、ブロック状(16mm×1000mm×2000mm)の除膜処理を施していないウレタンフォーム基材を浸漬し、2本のロール間で圧縮した後、開放して含浸液にウレタンフォーム基材を含浸する。これを浴上に導いて、ニップロールに通して余分な含浸液を絞り、除去した後110℃の熱風炉にて10分間加熱乾燥し、ウレタンフォーム3を作製する。この方法により成形できるウレタンフォーム3は、機械的なガス封入により得られるものと比べて低硬度、例えば、アスカーF硬度で30〜90の発泡体となる。
次に、軸部1の外周には、フィルム状接着剤を巻回するか、またはペレット状接着剤を溶融、塗布することにより、接着剤の層を形成する。その後、ウレタンフォーム3に孔をあけて、この孔に接着剤付きの軸部1を挿入する。その後、所定温度で加熱を行って、軸部1とウレタンフォーム3とを接着層2を介して一体化させ、ウレタンフォーム3の表面を研磨して所望の円筒形状とし、さらに、ウレタンフォーム3の軸方向端部を裁断して所定形状とすることで、本発明のトナー搬送ローラを得ることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料>
以下に、実施例および比較例で用いた材料を示す。
・ウレタンフォーム基材:株式会社ブリヂストン製、密度45kg/m、通気量100cm/cm/sec、アスカーF硬度70度、平均セル径460μm
バインダー:
・アクリル系バインダー樹脂:エネックス社製「BS−050301−1」、アクリロニトリル・アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、
・カーボンブラックその1:アセチレンブラック(御国色素社製、「PSMブラックA898」)
・カーボンブラックその2:ケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「ケッチェンブラックEC300J」、DBP吸油量360cm/100g(9g法)、BET比表面積800m/g
・消泡剤:信越シリコーン(株)製「KS−502」
表1、表2に示すカーボン種、ウレタンフォーム基材に対するカーボンブラック配合量(g/L)、カーボンブラックに対するバインターの割合(質量%)になるように上記したカーボンブラック、バインダーおよび消泡剤を混合して含浸液を調整した。この含浸液を満たした浴中に、ブロック状(16mm×1000mm×2000mm)の除膜処理を施していないウレタンフォーム基材を浸漬し、2本のロール間で圧縮した後、開放して含浸液にウレタンフォームを含浸させた。これを浴上に導いて、ニップロールに通して余分な含浸液を絞り、除去した後110℃の熱風炉にて10分間加熱乾燥し、カーボンブラックが含浸されたウレタンフォームを得た。
Figure 2021031505
Figure 2021031505
得られたブロック状のウレタンフォームに、カーボン脱離試験を行った。カーボン脱離試験は、ブロック状のウレタンフォームの表面に、短冊状の普通紙を載せ、この普通紙に100gの分銅を重しとして載せた状態で、普通紙を引っ張って当該普通紙をブロック状のウレタンフォームの表面上で直線的に10cmの距離で摺動移動させたのち、普通紙の裏面における分銅が載せられた箇所に、カーボンブラックがどの程度付着したかを目視観察した。評価は、カーボンブラックが付着していなかった場合を〇印、ほとんど付着していなかった場合を△印、カーボンブラックが付着していた場合を×印とした。
また、上述のカーボンブラックが含浸されたブロック状のウレタンフォームの体積抵抗率を、JIS−K7194に従って測定した。評価は、3.5LogΩcm以下を〇印とし、3.5LogΩcm超えを×印とした。
つぎに、上述のカーボンブラックが含浸されたブロック状のウレタンフォームにシャフト挿通用の穴を打ち抜き、接着剤を塗布したシャフト(直径:6.0mm、長さ:250mm)をその穴に挿通した後、ブロック状ウレタンフォームを研削して均一な厚さの発泡弾性体とし、トナー搬送ローラを作製した。
ウレタンフォームの評価結果を表1および表2に併記する。表1および表2により、本発明に従う各実施例は、カーボン落ちが抑制され、かつ、体積抵抗率が低く導電性に優れていた。
これに対して、カーボンブラックがアセチレンブラックである比較例1は、カーボン脱離が生じていた。比較例2〜3は、アセチレンブラック量を減らした例であるが、アセチレンブラック量を減らしても、カーボン脱離は改善されなかった。比較例4は、アセチレンブラックに対するバインダーの割合を高めた例であるが、体積抵抗率が上昇した。比較例5〜7は、ケッチェンブラックを用いた例であり、比較例1よりも少ないカーボンブラック量で低い体積抵抗率が得られているが、アセチレンブラックに対するバインダーの割合が比較例1と同じであり、カーボン脱離は改善されなかった。比較例8、9は、ケッチェンブラックの量が少ない例であり体積抵抗率が上昇した。比較例10〜12は、ケッチェンブラックに対するバインダーの量が多い例であり、体積抵抗率が上昇した。
1 軸部
2 接着層
3 ウレタンフォーム
11 画像形成体
12 現像ローラ
13 トナー供給ローラ
14 トナー収容部
15 転写ローラ
16 帯電部
17 露光部
18 ブレード

Claims (4)

  1. ウレタンフォーム基材と、該ウレタンフォーム基材に含浸されたカーボンブラックと、該カーボンブラックと共に前記ウレタンフォームに含浸されたバインダーと、を含み、
    前記カーボンブラックは、粒子が中空シェル状の構造を有するカーボンブラックからなり、
    前記カーボンブラックに対する前記バインダーの割合が、100〜500質量%であり、
    前記ウレタンフォーム基材の体積1L当たり前記カーボンブラックを1.0〜4.0g含む、
    ことを特徴とするウレタンフォーム。
  2. 前記カーボンブラックのDBP吸油量が360cm/100g以上である請求項1記載のウレタンフォーム。
  3. 前記バインダーが、アクリル樹脂系バインダーである請求項1又は2記載のウレタンフォーム。
  4. 軸部と、該軸部の外周に固定された請求項1記載のウレタンフォームと、を備えることを特徴とするトナー搬送ローラ。

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