JP5234902B2 - 可溶合金型温度ヒューズ - Google Patents

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本発明は、低融点可溶合金を感温材に用い周囲温度に感応して電気機器の損傷を防ぐ温度ヒューズに関し、特に、所定温度で溶融する有害金属を含まない低融点可溶合金の表面にフラックス被膜を設ける可溶合金型温度ヒュ−ズに関する。
電気・電子機器等を過熱損傷から保護する保護素子として、特定温度で動作して回路を遮断する温度ヒューズが知られている。このうち、感温材として低融点可溶合金を用いる可溶合金型温度ヒューズは、周囲温度が所定の動作温度に過昇した際に、通電回路に設けた低融点可溶合金の溶融により溶断して回路遮断するものである。通常、低融点可溶合金は溶断を確実にするために、フラックス被膜を表面に設けている。こうした可溶合金型温度ヒューズには発熱抵抗体と併設して抵抗体の通電加熱により低融点可溶合金を強制的に溶断させる抵抗内蔵型温度ヒューズも知られており、保温コタツ、炊飯器等の家電製品、液晶テレビや複写機器等のOA機器、照明機器など機器の安全手段として広く普及されている。
一方、低融点可溶合金に共晶はんだ62Sn−38Pb(質量%)を用いて動作温度を183±2℃の可溶合金型温度ヒューズが知られていたが、組成物の鉛(Pb)が地下水に深刻な汚染をもたらすことから地球環境に対する汚染が問題となっていた。すなわち、温度ヒューズを搭載した電気・電子機器が廃棄された場合、雨水などの作用によりPbが溶出するなど長期にわたって有害金属を漏出させることによる。この問題回避には、たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3が開示する鉛フリー可溶合金型温度ヒュ−ズが知られている。これらは適用温度範囲が190℃から400℃の動作温度であり、使用するフラックスについてそれぞれの適合物質を提案している。
特開2005−276577号公報 特開2007−113024号公報 特開2007−207558号公報
可溶合金型温度ヒューズに所望される特性は、作動時に低融点可溶合金を確実に溶断することである。その場合に、使用する低融点可溶合金の融点とその表面に設けたフラックス被膜の作用効果により溶断の速さや精度が決定される。特に、溶断時に特定の温度で合金を球状化させる作用を得るには、低融点可溶合金表面に形成したフラックス被膜の構成物質が大きく影響することが判明している。たとえば、低融点可溶合金は単一の溶融点を持つ共晶合金組成が好ましいが、フラックス被膜は合金被覆として保持力、硬度、靭性等のバランスに優れるのが望まれる。また、所望する動作温度の温度帯で有効に作用効果を奏することが必要である。さらに、電源回路に直列に実装される温度ヒューズの特性上から、高温作動用低融点可溶合金では内部抵抗値が長期の高温保管によっても変化せず、省エネルギーや動作温度の安定面から所望する抵抗値(2.5×10−7Ω・m以下)に維持されることが望まれる。加えて、温度ヒューズ組み立て過程でのフラックス被膜の特性が劣化しないことが必要と考えられている。
可溶合金型温度ヒューズに使用するフラックスはロジン、ワックスと共に活性剤およびチクソ剤や酸化防止剤等の添加物からなる。しかし、製造工程や正常動作中における高温環境下等においてはフラックス被膜の劣化に問題があった。そのため、劣化度合いを遅らせたり、熱劣化の時間を延ばしたりすることが望まれる。たとえば、フラックス材料として精製ロジン、ウッドロジン、トールオイルロジンなどの天然ロジンをそのまま使用すると、高温時に主成分のアビエチン酸を代表とする樹脂酸分子の炭素二重結合(C=C)に酸素が反応し開裂して脂肪酸の分子同士が互いに重合し、その結果、急激に粘度低下を起こして合金表面に塗布したフラックスの流動性を損なって可溶合金の溶断を妨げる。こうした場合、耐熱面での信頼性が欠如するため、最高動作温度190℃を超えて動作させる可溶合金型温度ヒューズではフラックス材料の選択が重要であり、熱環境状態で長期保管に耐えて安定動作させることができるフラックス材料の選定が望まれる。また、製造工程において合金表面に塗布したフラックスにべたつきがあると作業性が悪化することから、被膜の硬度が高いフラックス材料の選定が望まれる。
本発明者等は、フラックスの流動性を損なう要因がフラックス材料の熱分解性に依存することからフラックス材料の熱重量変化および常温での硬度に着目した。先ず、空気中で融点近くの温度で所定時間放置した場合の重量変化に着目した。そして使用可能なワックス各種材料に関し、5%の重量減少を生ずる温度を測定した。次に、そのワックス材料について、常温での硬度を調べた。これらの結果は、表1に示されるように、5%重量減少温度では温度値が高いほど熱重量変化が小さくて変質が少なく、温度ヒューズの作動を阻害しないと推定された。一方、常温での硬度が高いほどべたつきがなく取り扱いが容易であることが分かった。ここで常温での硬度を調査するに際しての硬度測定は、日本工業規格JIS K 2207に基づく針入度により測定した。すなわち、常温でのワックス硬度が高いものは、針入度が小さくなり、フラックスとしてのべたつきが改善され、常温での扱いが容易であることが判明した。
Figure 0005234902
したがって、本発明は上述する問題欠陥を排除するために、本発明者等の知見からワックス材料の選択に着目し、フラックス材料として通常使用されるパラフィンワックスなどの石油系ワックスに代えて耐熱性と高硬度の特性を備えるワックスを使用して、新規かつ改良された可溶合金型温度ヒューズの提供を目的とする。具体的に新規組成物のワックスとしてポリオレフィン系ワックスを選定すると共にPbやCd等の有害物質を含まない低融点可溶合金を使用して所定の融点の動作温度で正確かつ素早く作動しかつ耐熱面と精度面での信頼性を向上できる新規かつ改良された可溶合金型温度ヒューズの提供を目的とするものである。
本発明によれば、ロジン、ワックスおよび添加物を含むフラックス被膜を一対のリ−ド部材間に接続した低融点可溶合金の表面に設け、絶縁製容器に収容配置して構成した可溶合金型温度ヒューズにおいて、前記ワックスとしてポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアルファオレフィンのいずれかから選択したポリオレフィン系ワックスを使用したことを特徴とする可溶合金型温度ヒューズが提供される。このようなワックスは、従来のパラフィンワックスなどの石油系ワックスに比べて熱分解温度が高く、さらに溶融時に高い流動性を有するものであり、フラックスの熱劣化に対して効果的である。また、従来のパラフィンワックスなどの石油系ワックスに比べて高い硬度を有しており、製造工程での取り扱いを容易にする効果がある。特に、カルボキシル基を有するポリオレフィン系ワックスは、ロジンとの相溶性が良く、合金表面の酸化膜除去作用の効果も期待できると共に、フラックス被膜として保持力および硬度、靭性のバランス向上に効果を奏する。
一方、ロジンは水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性水添ロジン、酸変性不均化ロジンおよび酸変性重合ロジン等のロジン誘導体からなるグループから選択される物質であり、これにパルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N、N’―ジオレイルアジピン酸アミド、N、N’―ジステアリルアジピン酸アミド、N、N’―ジオレイルセバシン酸アミド、N、N’―ジステアリルセバシン酸アミド、N、N’―ジステアリルパラフタル酸アミド、N、N’―ジステアリルイソフタル酸アミド、N、N’―エチレンビスラウリン酸アミド、N、N’―エチレンビスステアリン酸アミド、N、N’―メチレンビスステアリン酸アミド、N、N’―エチレンビスオレイン酸アミド、N、N’―エチレンビスベヘニン酸アミド、N、N’―エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N、N’―ブチレンビスステアリン酸アミド、N、N’―ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N、N’―ヘキサメチレンビスオレイン酸アミドおよびN、N’―キシリレンビスステアリン酸からなる群から選択される有機酸アミド誘導体を添加する。その添加量は、ポリオレフィン系ワックスが1〜60質量%、ロジン30〜90質量%に対し、残部として有機酸アミド誘導体を配合調整する。さらに、前記フラックス被膜の添加物がパルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸からなる群から選ばれるいずれかの脂肪酸または脂肪族二塩基酸であり、フラックス被膜の100質量部に対して、1〜50質量部の範囲内で添加する。このフラックス被膜の添加物により、合金表面の酸化膜除去作用が促進され、ヒューズの動作特性に対して効果を発揮する。
また、フラックス被膜には、添加物として、酸化防止剤、金属不活性化剤が配合調製される。添加物としての酸化防止剤は好ましくはフェノール系、リン系または硫黄系から選ばれる。例えば、フェノール系酸化防止剤としては、テトラキス〔3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸〕ペンタエリトリトール、リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、硫黄系酸化防止剤としては、3,3´−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルがある。また、添加物となる金属不活性化剤は、例えば、2´,3−ビス〔〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕〕プロピオノヒドラジドがある。ここで、酸化防止剤や金属不活性化剤は、本発明にかかるワックスの熱劣化、酸化、金属イオンによる劣化に対して効果を発揮する。
本発明の可溶合金型温度ヒューズはフラックス被膜にポリオレフィン系ワックスが使用される。そのために、低融点可溶合金表面の形成被覆は保持力および硬度が高まり、靭性のバランスに優れた被膜として温度ヒューズの耐熱特性を改善する。特に、所望する動作温度に近い温度帯での経時変化を抑止しフラックス機能を効果的に発揮する粘り強さを向上する。たとえば、従来のパラフィンワックスなどの石油系ワックスに比べて保持力・硬度・靭性等で優れ、被膜がべたつかず取り扱いや組立中の作業が容易になる。また、熱分解温度の高いワックスもあり、動作温度が190℃以上の比較的高い温度領域でも使用でき、かつ高温保管後でも動作温度の信頼性が高く安定性を確保する。一方、カルボキシル基を有するポリオレフィン系ワックスの使用は、ロジンとの相溶性が良く、被膜として保持力および硬度、靭性のバランス向上に役立ち、カルボキシル基があることにより、合金表面の酸化膜除去作用の効果も期待され、所定の動作温度で安定した溶断を確保するなど耐熱性安定化で信頼性を向上させる。
本発明は低融点可溶合金の表面にフラックス被膜を設けた可溶合金型温度ヒューズである。この種の温度ヒューズにはアキシャルタイプ、ラジアルタイプ、小型・薄型タイプ、および抵抗内蔵型タイプなどがあるが、特定の型式タイプに限定されるものではない。以下、実施形態の一例としてはアキシャルタイプの可溶合金型温度ヒューズについて説明するが、本発明の特徴はフラックス被膜にポリオレフィン系ワックスを配合したことにある。すなわち、フラックスには耐酸化性、耐熱性、耐候性を増した水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性水添ロジン、酸変性不均化ロジン、酸変性重合ロジンのいずれかのロジン誘導体に有機酸アミド誘導体を添加し、さらにポリオレフィン系ワックスおよび必要な添加物を配合する。配合としてはポリオレフィン系ワックスを1〜60質量%、ロジンを30〜90質量%とし、残部として有機酸アミド誘導体を配合調整する。ここで、ポリオレフィン系ワックスが1質量%未満である場合、フラックスの熱劣化および酸化劣化に対して効果が無く、さらにフラックスの塗布被膜のべたつきを無くす効果も見られなくなる。また、ポリオレフィン系ワックスが60質量%を超えると、フラックス被覆の靭性が小さくなり製造時の組み立て作業が困難となる。ここで特にカルボキシル基を有するポリオレフィン系ワックスを使用した場合、ロジンとの相溶性が良く、被膜として保持力および硬度、靭性のバランス向上に効果を発揮する。また、カルボキシル基があることにより、合金表面の酸化膜除去作用の効果も期待される。また、上記フラックス100質量部に対して、必要に応じて、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸等の脂肪酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸の脂肪族二塩基酸を1〜50質量部の範囲で配合することもできる。ここで、上記添加剤が1質量部未満である場合、ヒューズの動作特性に対する効果が見られなくなる。また、上記添加剤が50質量部を超えると、フラックス被覆の靭性が小さくなり製造時の組み立て作業が困難となる。次に、添加物としての酸化防止剤は好ましくはフェノール系、リン系または硫黄系から選ばれる。この添加量は、フラックス100質量部に対して0.01〜5質量%の範囲で配合する。ここで、酸化防止剤の添加量が0.01質量%未満である場合、添加による酸化防止効果が見られなくなる。また、酸化防止剤の添加量が5質量%を超えると、合金表面の酸化膜除去作用が阻害される。また、添加物としての金属不活性化剤の添加量は、フラックス100質量部に対して0.01〜1質量%の範囲で配合する。ここで、金属不活性化剤の添加量が0.01質量%未満である場合、金属イオンによる劣化に対する防止効果が見られなくなる。また、金属不活性化剤の添加量が1質量%を超えると、合金表面の酸化膜除去作用が阻害される。
次に、本発明のフラックスが適用される可溶合金型温度ヒューズの低融点可溶合金としては、例えば、Zn−Al系合金、Zn−Al−Ge系合金およびZn−Al−Mg系合金から選択されるいずれかの合金を使用し、溶融動作温度を260℃〜400℃の範囲内で設定したことを特徴とする合金が挙げられる。ここで、前記低融点可溶合金には、Alが1.5〜7.0質量%の範囲内で含まれることを特徴とする。さらにこの低融点可溶合金には、Snが5〜20質量%の範囲で、またGaが2〜10質量%の範囲で添加されていてもよい。また、本発明のフラックスが適用される可溶合金型温度ヒューズの低融点可溶合金として、Sn−Ag系合金、Sn−Ag−Cu系合金およびSn−Ag−Cu−In系合金から選択されるいずれかの合金を使用し、溶融動作温度を214℃〜222℃の範囲内で設定したことを特徴とする合金が挙げられる。ここで、前記低融点可溶合金には、Agが2.0〜4.0質量%、Cuが0.2〜2.5質量%、Inが0.5〜3.0質量%の範囲内で含まれることを特徴とする。さらに、本発明のフラックスが適用される可溶合金型温度ヒューズの低融点可溶合金として、Sn−In−Ag系合金およびSn−In−Ag−Bi系合金から選択されるいずれかの合金を使用し、溶融動作温度を190℃〜210℃の範囲内で設定したことを特徴とする合金が挙げられる。ここで、前記低融点可溶合金には、Inが6.0〜10.0質量%、Agが3.0〜4.0質量%、Biが0.2〜1.0質量%の範囲内で含まれることを特徴とする。なお、ポリオレフィン系ワックスを配合したフラックスは、上記の温度帯に限らず、溶融動作温度を190℃未満の範囲内で設定した合金に対しても、耐熱性安定化で信頼性を向上させることができる。
以下、本発明の実施例であるアキシャルタイプ可溶合金型温度ヒューズについて図面を参照しつつ説明する。この可溶合金型温度ヒューズは、図1に示すように、めっき銅線からなる一対のリ−ド部材1,2に、低融点可溶合金3が抵抗溶接により接合され、低融点可溶合金3の表面には本発明の特徴とするフラックス被膜4が形成され、アルミナ等のセラミック碍管の絶縁容器またはケース5に収容され、耐熱封着材6,7によりリード部材1,2の導出部を残して絶縁ケース5の両端部を封着して構成される。なお、アキシャルタイプ以外のラジアルタイプ、小型・薄型のチップタイプ、抵抗内蔵タイプ、絶縁容器使用のパッケージタイプなど各種タイプの可溶合金型温度ヒューズに対しても、上述する可溶合金とフラックスを適用できるのは勿論である。ここで、リ−ド部材1,2はSn−Cuめっき銅線を使用した。変形例として、Agめっき銅線、Snめっき銅線、Niめっき銅線をリード部材に使用できる。低融点可溶合金3の組成は後述する3種類を使用した。形状については、φ0.3〜0.7mm線を使用するが、断面円形のほかに必要に応じて同一の断面積を有するテープ状合金の平角片も使用できる。必要に応じてφ0.3mm以下またはφ0.7mm以上に変更することもできる。線材加工は合金鋳塊の押出し加工及び引抜き加工により処理し、必要に応じてテープ状に圧延加工することもできる。次に、耐熱封着材6,7は、樹脂材としてエポキシ樹脂を用い、また無機物添加材としてBET法による比表面積300m/gで平均粒径7nmのヒュームドシリカ(SiO)を用い、樹脂材である2液常温硬化型エポキシ樹脂の硬化前主剤100質量部に対して無機物添加材2.5質量部を均一に混ぜ合わせて準備した。
上述する実施例構造の可溶合金型温度ヒューズにおいて、低融点可溶合金3は、Zn86.9質量%、Al4質量%、Mg3.2質量%、Sn5.9質量%の初期動作温度333℃用合金(実施1〜3)、Sn96質量%、Al3.5質量%、Cu0.5質量%の初期動作温度219℃用合金(実施4〜6)およびSn88.5質量%、In8質量%、Ag3.5質量%の初期動作温度204℃用合金(実施7〜9)の3種類を、いずれも線径φ0.7mmとして使用した。また、酸変性ロジン55.5質量%、ワックス34質量%、アジピン酸8.7質量%、フェノール系酸化防止剤1.5質量%および金属不活性化剤0.3質量%の配合によりフラックスが調製され、前述の低融点可溶合金3の表面にコーティングしてフラックス被膜4を作製した。本発明が注目のワックスは、ポリオレフィン系ワックスとして3種類を選び使用した。すなわち、実施例の試作品として、ポリエチレンワックス(実施1,4および7)、ポリプロピレンワックス(実施2,5および8)、およびポリアルファオレフィンワックス(実施3,6および9)の3種類が使用された。これら実施例の9種類の試作品と同様に、比較例として従来のパラフィンワックスを使用した試作品(比較1ないし3)が用意された。試作品はそれぞれの初期特性および高温処理後の負荷特性を測定するために、各10個の試作用温度ヒューズを作製した。製品完成後の温度ヒューズは、初期の動作温度および500時間高温保管(負荷)後の動作温度を各10個全ての温度ヒューズについて測定した。これらの測定結果は表2に示される。
Figure 0005234902
表2に示す測定結果については、実施1〜3(Zn86.9質量%、Al4質量%、Mg3.2質量%、Sn5.9質量%合金)の温度ヒューズは、負荷試験として320℃で500時間高温保管し、測定値はヒューズ動作温度とし、この測定値を初期の動作温度(平均値)と比較して最大の温度差(ばらつき)を確認した。本発明のフラックス被膜に使用したポリエチレンワックスおよびポリアルファオレフィンワックスの場合、動作温度は333±10℃の範囲内で作動し、ポリプロピレンワックスの場合、動作温度は333±20℃の範囲で作動し、いずれも動作温度として満足な結果を得た。一方、比較例である従来のパラフィンワックスを使用した場合の比較1の温度ヒューズは、500時間の保管で動作しなくなった。次に、実施4〜6のSn96質量%、Al3.5質量%、Cu0.5質量%の合金を使用した温度ヒューズの実施3〜6について、210℃で高温保管して動作温度を測定した。その結果、本発明のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスおよびポリアルファオレフィンワックスを使用した場合、いずれも500時間後219±5℃の範囲内で作動し、良好な結果を得た。これに対し、比較2の従来のパラフィンワックスを使用した場合、500時間保管後219±10℃の範囲で作動したが、動作精度を悪化させた。さらに、実施7〜9のSn88.5質量%、In8質量%、Ag3.5質量%の合金を使用した温度ヒューズについては195℃で高温保管した後、動作温度を測定した結果、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスおよびポリアルファオレフィンワックスを使用した本発明品の場合、500時間後204±10℃の範囲内で動作し、良好な結果を得た。しかし、比較3として示す従来のパラフィンワックスを使用した場合、500時間保管後では動作範囲が204±20℃の範囲内になり、動作精度を悪化させた。これらのことから、ワックス材料としてポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアルファオレフィンのいずれかから選択したポリオレフィン系ワックスを使用することにより、温度ヒューズの耐熱性を改善し信頼性を向上させることが判明した。ここで注目すべきは、温度ヒューズの組み立て作業において、ワックス材料として従来のパラフィンワックス使用ではべたつきが目立ち取り扱いが難しかったが、本発明のポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアルファオレフィンのいずれかから選択したポリオレフィン系ワックスの使用では、フラックスとしてのべたつきがなくて取り扱いが容易となり作業性の向上となることが分った。特にポリアルファオレフィンワックスは耐熱性の改善と作業性の向上に対してより有効な結果を得たが、ポリアルファオレフィンワックスが他のポリオレフィン系ワックスに比べて5%重量減少温度が高く、また針入度がもっとも小さいことから、これらの性質が耐熱性の改善と作業性の向上に対してより優れた効果を発揮させたものと考えられる。
本発明の別の実施例は、共通の低融点可溶合金3としてSn88.1質量%、In8質量%、Ag3.2質量%、Bi0.7質量%で初期動作温度204℃の合金を線径φ0.7mmにして使用し、上述した構造のアキシャルタイプ可溶合金型温度ヒューズを作製した。その際、フラックス被膜4は酸変性ロジン55.5質量%、ワックス34質量%、アジピン酸8.7質量%、フェノール系酸化防止剤1.5質量%、および金属不活性化剤0.3質量%の配合により調製したものを用いた。そして、実施10にはワックスにはカルボキシル基を持つポリエチレンワックス(酸価60mg−KOH/g)を使用し、実施11にはカルボキシル基を持たないポリエチレンワックス(酸価0mg−KOH/g)を使用してそれぞれ10個の温度ヒューズを常温状態の初期と高温負荷後との動作温度測定用として用意した。完成後の温度ヒューズは耐熱試験として195℃の所定の保管温度で500時間保管し負荷後の動作温度を測定した。この測定結果は表3に示される。
Figure 0005234902
上記のカルボキシル基を有無による試作結果から、実施10のカルボキシル基を有するポリエチレンワックスを使用した場合、500時間後に204±5℃の範囲で動作した。これに対して、実施11のカルボキシル基を持たないポリエチレンワックスを使用して同様な配合のフラックス膜の場合、500時間保管後の動作温度は204±10℃の範囲内で作動した。このことから、ワックス材料としてカルボキシル基を持つポリエチレンワックスを使用することにより、温度ヒューズの耐熱性がより改善され、信頼性の向上に役立つことが判明した。さらにポリエチレンワックスにおけるカルボキシル基の有無は、カルボキシル基の存在がフラックス被膜として保持力および硬度、靭性のバランスを向上させることも判明した。
上述するように本発明のポリオレフィン系ワックスを含むフラックス膜を有する可溶合金型温度ヒューズは家庭用および産業用電気機器類で安全性を保証するための保護素子として耐熱性の改善と信頼性の向上および取り扱い作業性の向上が得られるなど工業的価値が評価されることが判明した。
本発明に係る実施例の低融点可溶合金を使用した合金型温度ヒューズの断面図である。
符号の説明
1,2;リード部材
3;低融点可溶合金
4;フラックス被膜
5;絶縁ケ−ス(容器)
6,7;耐熱封着材

Claims (5)

  1. ロジン、ワックスおよび添加物を含むフラックス被膜を一対のリ−ド部材間に接続した低融点可溶合金の表面に設け、この低融点可溶合金を絶縁製容器内に収容配置した可溶合金型温度ヒューズにおいて、前記ロジンがロジン誘導体であり、前記ワックスはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスおよびポリアルファオレフィンワックスのいずれかから選択されるポリオレフィン系ワックスであり、かつ前記ポリオレフィン系ワックスは、水酸基およびカルボニル基を除くカルボキシル基のみを含み、JIS K 2207に基づく針入度が1〜10であることを特徴とする可溶合金型温度ヒューズ。
  2. 前記フラックス被膜前記添加物が有機酸アミド誘導体であり、所定の配合割合で調製されることを特徴とする請求項1に記載の可溶合金型温度ヒューズ。
  3. 前記フラックス被膜の更なる添加物がパルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸からなる群から選ばれるいずれかの脂肪酸または脂肪族二塩基酸であり、前記フラックス被膜の100質量部に対して、1〜50質量部の範囲内で加えて添加したことを特徴とする請求項2に記載の可溶合金型温度ヒューズ。
  4. 前記フラックス被膜の更なる添加物がフェノール系、リン系または硫黄系の酸化防止剤であり、前記フラックス被膜の100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲内で加えて添加したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の可溶合金型温度ヒューズ。
  5. 前記フラックス被膜の更なる添加物が金属不活性化剤であり、前記フラックス被膜の100質量部に対して、0.01〜1質量部の範囲内で加えて添加したことを特徴とする請求項4に記載の可溶合金型温度ヒューズ。
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