JP5234509B2 - 熱交換器および温水装置 - Google Patents
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Description
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用媒体から複数のコイル管ユニットを利用して熱回収を行なう熱交換器、およびこれを備えた給湯装置などの温水装置に関する。
従来の熱交換器の一例として、特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された熱交換器は、伝熱管が複数のコイル管ユニットを利用して構成されており、これら複数のコイル管ユニットは、それらの軸長方向に並べられてケーシング内に配されている。各コイル管ユニットは、複数の螺旋状のループ部が一連に繋がったコイル管体部と、このコイル管ユニットの両端に繋がった一対の延設管体部とを有しており、これら一対の延設管体部からコイル管体部の内部に通水を行なわせることが可能である。一方、複数のコイル管ユニットの内方領域に燃焼ガスを供給させた際には、この燃焼ガスはコイル管体部の複数のループ部どうしの間を通過しつつコイル管体部に作用する。したがって、前記燃焼ガスからコイル管体部により熱回収を行なって、コイル管体部内を流通する水を加熱することが可能である。複数のコイル管ユニットを利用して伝熱管を構成すれば、コイル管ユニットの数を増減することによって、燃焼ガスからの熱回収量を適宜に変更することができ、所望の湯水加熱能力を発揮するように熱交換器を設計・製作することが容易化される。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように解決すべき点があった。
すなわち、前記従来技術においては、図10(a),(b)に示すようなコイル管ユニット9が用いられている。このコイル管ユニット9は、円形螺旋管としてのコイル管体部90の両端から第1および第2の延設管体部91a,91bが接線方向に延びている。これら一対の延設管体部91a,91bどうしの間の寸法L10は、コイル管体部90の内径と同程度の大きな寸法となっている。また、各延設管体部91a,91bとそれらの近傍に位置するコイル管体部90の表面部とは、段差hを生じている。このため、図11に示すように、複数のコイル管ユニット9をそれらの軸長方向に並べた場合には、これらが互いに隣接する領域において、幅L10の隙間92が形成される。これでは、各コイル管体部90の内方に燃焼ガスを供給した場合に、この燃焼ガスの多くが隙間92を通過することとなって、各コイル管体部90に燃焼ガスを有効に作用させ難くなり、熱回収量が少なくなる。なお、図10および図11に示す例では、コイル管体部90の各所の厚みが均一に形成されている場合を示しているが、前記特許文献1においては、コイル管体部の各部の厚みを不均一として、前記したような隙間92を生じないようにする構成が示されている。ただし、そのような構成では、コイル管体部の各部の厚みを均一に形成する場合と比較すると、コイル管体部の製造作業がかなり面倒なものとなり、製造コストが高いものとなる。
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に形成される隙間の存在に起因して加熱用媒体からの熱回収量が減少することを適切に抑制することが可能な熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
前記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、軸長方向に並べられた複数のコイル管ユニットを備えており、前記各コイル管ユニットは、複数のループ部が一連に繋がっているコイル管体部と、このコイル管体部の両端に繋がって前記コイル管体部の外方に向けて延びる第1および第2の延設管体部とを有しており、前記コイル管体部の内方領域および外方領域の一方から他方に向けて前記複数のループ部どうしの間を加熱用媒体が通過することにより、前記コイル管体部内を流通する流体を加熱可能とされており、前記複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に位置する第1および第2の延設管体部の相互間に、隙間が形成されている、熱交換器であって、前記複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に設けられるバッフルを備えており、このバッフルは、互いに隣接するコイル管体部どうしの間に挟まれて保持されるリング状または一部切欠きリング状のフランジ部と、このフランジ部の内周縁寄り部分から前記軸長方向に突出して前記隙間を塞ぐ閉塞用壁部と、を備えていることを特徴としている。
このような構成によれば、コイル管ユニットどうしの隣接領域において第1および第2の延設管体部の相互間に形成される隙間がバッフルの閉塞用壁部によって塞がれ、コイル管体部の内方領域または外方領域の一方から他方に向けて加熱用媒体を通過させる際に、加熱用媒体の多くが前記隙間を通過することが適切に抑制される。したがって、多くの加熱用媒体が前記隙間を素通りすることに起因して加熱用媒体からの熱回収量が少なくなる不具合が適切に防止される。バッフルは、そのフランジ部が互いに隣接するコイル管体部どうしの間に挟まれて保持されるリング状または一部切欠きリング状であるために、加熱用媒体の流れを大きく阻害するようなことなく、複数のコイル管ユニットに対するバッフルの組み付けを容易に行なうこともできる。さらに、本発明によれば、前記特許文献1とは異なり、コイル管ユニットどうしの隣接領域に隙間を生じさせないようにコイル管体部の各部の厚みを不均一に形成する必要はない。したがって、本発明によれば、コイル管体部の製作が容易となり、熱交換器全体の製造コストを廉価にすることも可能である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記バッフルとして、中央部が開口して全体がリング状または一部切欠きリング状に形成された第1のバッフルと、前記加熱用媒体の通過を阻止するストッパ壁を中央部に有する第2のバッフルと、を備えており、前記複数のコイル管ユニットとして、少なくとも第1ないし第3のコイル管ユニットを備えており、前記第1のバッフルは、前記第1および第2のコイル管ユニットどうしの隣接領域に設けられており、前記第2のバッフルは、前記第2および第3のコイル管ユニットどうしの隣接領域に設けられ、かつ前記第1ないし第3のコイル管ユニットの内方領域を、前記軸長方向において第1および第2の空間部に仕切っており、前記第1の空間部に前記加熱用媒体が供給されたときには、この加熱用媒体が前記第1および第2のコイル管ユニットの複数のループ部どうしの間を通過した後に、前記第3のコイル管ユニットの複数のループ部どうしの間を通過し、前記加熱用媒体から顕熱および潜熱を順次回収可能な構成とされている。
このような構成によれば、第1ないし第3のコイル管ユニットに第1および第2のバッフルを組み付けた簡易な構成によって、加熱用媒体から顕熱および潜熱をそれぞれ効率良く回収し得る熱交換器が好適に実現される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に位置する第1および第2の延設管体部は、前記各ループ部の略法線方向に延びるように形成されて互いに接近している。
このような構成によれば、コイル管ユニットどうしの隣接領域において第1および第2の延設管体部の相互間に形成される隙間が小さくなる。したがって、加熱用媒体が隙間を通過することを抑制するのにより好適となる。
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、バーナと、このバーナにより発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なうための熱交換器と、を備えている、温水装置であって、前記熱交換器として、本発明の第1の側面により提供される熱交換器が用いられていることを特徴としている。
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器について述べたのと同様な効果が得られる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図9は、本発明が適用された熱交換器、これを備えた温水装置、およびこれらに関連する構成の一例を示している。
図1によく表われているように、本実施形態の温水装置WHは、バーナ1と、熱交換器HEとを具備して構成されている。バーナ1は、たとえばガスバーナであり、このバーナ1には、図示されていないファンを利用して燃焼用空気と燃料ガスとの混合ガスが供給され、この混合ガスが点火プラグ(図示略)の点火動作によって燃焼を行なうように構成されている。このバーナ1は、熱交換器HEの後述する第1の空間部7Aに配されている。
図1によく表われているように、本実施形態の温水装置WHは、バーナ1と、熱交換器HEとを具備して構成されている。バーナ1は、たとえばガスバーナであり、このバーナ1には、図示されていないファンを利用して燃焼用空気と燃料ガスとの混合ガスが供給され、この混合ガスが点火プラグ(図示略)の点火動作によって燃焼を行なうように構成されている。このバーナ1は、熱交換器HEの後述する第1の空間部7Aに配されている。
熱交換器HEは、ケーシング2と、このケーシング2内に収容された伝熱管としての第1ないし第3のコイル管ユニットU(U1〜U3)と、第1および第2のバッフル8A,8Bとを備えている。
ケーシング2は、第1ないし第3のコイル管ユニットUの周囲を囲む周壁部20を有し、かつ水平方向の両端には、バーナ1の挿入用開口部21、および熱回収を終了した燃焼ガスの排出口22が形成されている。周壁部20には、第1ないし第3のコイル管ユニットUに対して通水を行なわせるためのヘッダ部5が設けられている。ヘッダ部5の具体的な構成については後述する。
図4〜図6に示すように、各コイル管ユニットUは、巻き径が相違し、かつ軸長方向の高さ寸法が略同一に揃えられた2つのコイル管体部3(3A,3B)が略同心の重ね巻き状とされた構成を有している。各コイル管体部3は、円形螺旋状の複数のループ部30が一連に繋がった構成であり、これら複数のループ部30どうしの間には、燃焼ガスを通過させるための隙間が形成されている。各コイル管体部3の両端には、第1および第2の延設管体部4A,4Bが連設されている。本実施形態では、各コイル管体部3とこれに繋がった第1および第2の延設管体部4A,4Bは、1本の金属製管体を曲げ加工することにより形成されており、各コイル管体部3と第1および第2の延設管体部4A,4Bとは一体的に繋がっている。ただし、これとは異なり、第1および第2の延設管体部4A,4Bを各コイル管体部3とは別体の管体を用いて形成し、これらを接続した構成とすることもできる。
図2および図6によく表われているように、第1および第2の延設管体部4A,4Bは、ループ部30の法線NLと略同一方向に延びて、これらが互いに略平行となるように曲げられており、第1の延設管体部4Aどうし、および第2の延設管体部4Bどうしは、互いに接近している。また、内周側のコイル管体部3Aに繋がっている第1および第2の延設管体部4A,4Bは、これらの間に外周側のコイル管体部3Bの第1および第2の延設管体部4A,4Bを介在させることなく、ループ部30の接線方向の間隔L1が小さくなるように設けられている。この間隔L1は、たとえば第1および第2の延設管体部4A,4Bを後述するヘッダ部5に接続するのに支障を生じさせない程度の小寸法である。
図3に示すように、第1ないし第3のコイル管ユニットUは、それらの軸長方向に互いに接近するようにして並べられる。ただし、図4および図5を参照して後述するように、コイル管ユニットUどうしの間には、第1および第2のバッフル8A,8Bが介装される。なお、図1の温水装置WHでは、複数のコイル管ユニットUが略水平方向に並んでいるが、便宜上、図3〜図5では上下方向に並んだ姿勢で示している。図3に示すように、第1および第2のコイル管ユニットU1,U2どうしの隣接領域S1に位置する第1および第2の延設管体部4A,4Bの相互間には、隙間6(6A)が形成されている。同様に、第2および第3のコイル管ユニットU2,U3どうしの隣接領域S2に位置する第1および第2の延設管体部4A,4Bの相互間にも、隙間6(6B)が形成されている。ただし、これら2つの隙間6の内方側(コイル管ユニットUの中心側)は、後述するように、第1および第2のバッフル8A,8Bによって塞がれている。
第1および第2のバッフル8A,8Bは、ともに耐熱性に優れた材質であり、たとえば表面部がセラミックコーティングされたステンレス製である。第1のバッフル8Aは、図4および図7に示すように、一部切欠きリング状のフランジ部80と、このフランジ部80の内周縁から図面下方に向けて突出した閉塞用壁部81とを備えている。フランジ部80は、各コイル管ユニットUのコイル管体部3の上面部に対応した形態を有しており、切欠き82を挟んで位置する両端部80a,80bは高低差h1を有し、一端部80aから他端部80bに向かうほど、閉塞用壁部81の下端からの高さが低くなるように傾斜している。閉塞用壁部81は、高さ寸法が比較的小さい円筒状である。第1のバッフル8Aは、その中央に開口部83が形成されたリング状または一部切欠きリング状である。
図4および図8に示すように、第2のバッフル8Bは、前記した第1のバッフル8Aと同様に、切欠き82が形成されたフランジ部80と、円筒状の閉塞用壁部81とを備えており、これらの部分の構成は第1のバッフル8Aと同様である(同一符号を付し、その説明は省略する)。ただし、閉塞用壁部81の下端部には、この閉塞用壁部81によって囲まれている空間を閉塞するストッパ壁84が連設されている。
第1ないし第3のコイル管ユニットU1〜U3を順次積み重ねていく場合、図9(a)に示すように、第2のバッフル8Bは、第3のコイル管ユニットU3上に載せられる。その際、フランジ部80の切欠き82の形成箇所に第1の延設管体部4Aの基端部を配置させることにより、これらの部分が互いに干渉することを防止することができる。このような状態において、フランジ部80上に第2のコイル管ユニットU2を載置するが(同図では省略)、その後は第2のバッフル8Bを矢印N1で示す方向に回転させる。このようにすると、第2のバッフル8Bは、第3のコイル管ユニットU3に対して図5に示すような組み付け状態となり、閉塞用壁部81の一部が隙間6Bに対面し、この隙間6Bの内方側の開口部を塞ぐこととなる。第1のバッフル8Aを組み付ける場合も、前記した手順と同様であり、図9(b)に示すように、第1のバッフル8Aを第2のコイル管ユニットU2上に載せた後に、第1のコイル管ユニットU1をさらに載せ(同図では省略)、その後に矢印N2で示す方向に第1のバッフル8Aを回転させる。このことにより、第1のバッフル8Aの閉塞用壁部81の一部を隙間6Aに対面させて、この隙間6Aの内方側の開口部を塞ぐことができる。
図1に示すように、第1ないし第3のコイル管ユニットU1〜U3は、それらの軸長方向が略水平方向となるように横並びした状態にケーシング2内に配されている。第1ないし第3のコイル管ユニットU1〜U3の水平方向の位置決め手段として、それらを水平方向において挟む一組のスペーサ29a,29bが設けられている。第1のバッフル8Aの開口部83には、バーナ1が緩く挿通している。一方、第2のバッフル8Bのストッパ壁84は、第1ないし第3のコイル管ユニットU1〜U3の内方領域を、バーナ1が配される第1の空間部7Aと、燃焼ガスの排出口22に連通した第2の空間部7Bとに仕切っている。このことにより、第1および第2のコイル管ユニットU1,U2は、第1の空間部7Aを囲む顕熱回収用の熱交換部H1となっており、かつ第3のコイル管ユニットU3は、第2の空間部7Bを囲む潜熱回収用の熱交換部H2となっている。
各コイル管ユニットUの第1および第2の延設管体部4A,4Bは、ともにヘッダ部5に向けて延び、かつヘッダ部5に接続されている。図1に示すように、ヘッダ部5は、入水口50および出湯口51を有し、かつ内部には、第1および第2の延設管体部4A,4Bの内部に連通する複数の湯水流入室57が形成された構成を有している。外部から入水口50に水が供給されると、この水は、各コイル管ユニットU内を流通して加熱され、加熱生成された湯水は、出湯口51から外部に出湯する。第1ないし第3のコイル管ユニットUへの通水は、たとえば図3の矢印で示すような順序でなされるが、これに限定されないことは勿論である。
次に、熱交換器HEを備えた温水装置WHの作用について説明する。
まず、バーナ1を駆動させて第1の空間部7Aにおいて燃焼ガスを発生させると、この燃焼ガスは、第1および第2のコイル管ユニットU1,U2の複数のループ部30どうしの間を通過してそれらの外周領域に進行した後に、第3のコイル管ユニットU3の複数のループ部30どうしの間を通過して第2の空間部7Bに流入し、その後は排出口22からケーシング2の外部に排出される。このような過程において、前記燃焼ガスからは顕熱および潜熱が順次回収される。各コイル管ユニットUは、いずれも2重巻き構造とされたコイル管体部3A,3Bを用いて構成され、コイル管体部3A,3Bの各ループ部30は、燃焼ガスの流れ方向に並んでいるために、コイル管体部3A,3Bが円形チューブ(断面形状が円形のチューブ)を用いて形成されているにも拘わらず、前記燃焼ガスからの熱回収量を多くすることが可能である。なお、第3のコイル管ユニットU3を利用して燃焼ガスから潜熱を回収すると、燃焼ガス中の水蒸気が凝縮し、第3のコイル管ユニットU3からその下方にドレイン(凝縮水)が流れ落ちる。したがって、好ましくは、ケーシング2の周壁部20には、第3のコイル管ユニットU3から流れ落ちてきたドレインをケーシング20の外部に排出するためのドレイン用排出口(図示略)が設けられる。
複数のコイル管体部3による熱回収量を多くするには、第1の空間部7Aにおいて発生された燃焼ガスの多くが2つの隙間6A,6Bを通過しないようにすることが望まれる。これに対し、本実施形態の熱交換器HEにおいては、第1および第2のバッフル8A,8Bが隙間6A,6Bを塞いでおり、多くの燃焼ガスがそれらの隙間6A,6Bを通過することは好適に防止される。したがって、第1の空間部7Aにおいてバーナ1により発生された燃焼ガスの殆どが複数のループ部30どうしの間を正規に通過することとなり、複数のコイル管体部3による熱回収量を多くして、高い熱交換効率を得ることが可能となる。
本実施形態の熱交換器HEにおいては、既述したように、第1および第2のバッフル8A,8Bが2つの隙間6A,6Bを塞いでいることに加え、第2のバッフル8Bは、第1および第2の空間部7A,7Bを区画する部材として利用されている。一方、第1のバッフル8Aについては、開口部83を有していることにより、第1の空間部7Aに対するバーナ1の進入を阻害しないように配慮されている。このように、本実施形態の熱交換器HEにおいては、第1および第2のバッフル8A,8Bが合理的に利用されており、熱交換器HEの構造の複雑化なども好適に抑制することができる。
第1および第2のバッフル8A,8Bが燃焼ガスにより加熱された際には、フランジ部80とコイル管体部3との接触部分を介して、第1および第2のバッフル8A,8Bからコイル管体部3に熱を逃がすことができる。したがって、第1および第2のバッフル8A,8Bが、燃焼ガスによって異常高温に加熱されて熱損傷を生じるといった不具合も生じ難くすることができる。
本実施形態では、コイル管ユニットUの隣接領域S1,S2に位置する第1および第2の延設管体部4A,4Bどうしは、各ループ部30の法線方向NLと略同一方向に延びて、互いに接近しており、それらの相互間に形成されている隙間6の開口幅は小さくされている(図2および図3も参照)。したがって、仮に、隙間6の全体が第1および第2のバッフル8A,8Bの閉塞用壁部81によって完全に塞がれていなくても、隙間6を通過する燃焼ガスの量を少なくする効果が得られる。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器、および温水装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
たとえば、バッフルのフランジ部に第1および第2の延設管体部との干渉を回避するための切欠き82を形成する場合、この切欠き82によってフランジ部が非リング状(C字状)に分断されないように形成することも可能であり(フランジ部の幅よりも切欠き82の幅を狭くする)、フランジ部はリング状または一部切欠きリング状のいずれでもよい。バッフルの閉塞用壁部は、必ずしもフランジ部の内周縁の略全周域に連設されていなくてもよく、フランジ部の内周縁の一部分のみに連設された構成とすることも可能である。閉塞用壁部は、必ずしもフランジ部の内周縁の先端部分に連設されていなくてもよく、内周縁の先端部分よりも若干外周縁寄りの位置に溶接されるなどして設けられていてもかまわない。バッフルは、耐熱性に優れた材質とすることが好ましいが、やはりその具体的な材質も限定されない。
コイル管ユニットを構成する管体としては、断面円形状の管体に限らず、たとえば断面楕円状の管体、あるいは特許文献1と同様な偏平状の管体を用いることが可能であり、その具体的な断面形状などは限定されない。また、コイル管ユニットとしては、複数のコイル管体部が略同心の重ね巻き状とされたものと、そのような重ね巻きがなされていない単層構造のものとのいずれをも用いることができる。前者の重ね巻き構造の場合、三重巻き以上の重ね巻き構造とすることも可能である。燃焼ガスから潜熱回収を行なう場合には、酸性のドレインが発生するために、コイル管ユニットをステンレスなどの耐酸性に優れた材質にすることが好ましいものの、やはりコイル管ユニットの具体的な材質もこれに限定されない。
図1に示したように、複数のコイル管ユニットを横並び状に設けた場合には、コイル管体部の各ループ部が上下方向に起立した姿勢となるために、潜熱回収に伴って発生したドレインを各ループ部から下方に流れ落ち易くし得る利点が得られるが、やはり本発明はこれに限定されない。本発明においては、複数のコイル管ユニットを上下方向(略鉛直方向)に積層させた姿勢に並べ、あるいは傾斜した姿勢に並べた構成とすることもできる。コイル管ユニットの総数も、3つに限定されない。本発明において、第1ないし第3のコイル管ユニットを利用し、第1および第2のコイル管ユニットを顕熱回収用の第1の熱交換部とし、かつ第3のコイル管ユニットを潜熱回収用の第2の熱交換部とする場合、前記第1の熱交換部には、第1および第2のコイル管ユニットとは別の追加のコイル管ユニットをさらに具備させたり、あるいは前記第2の熱交換部にも、第3のコイル管ユニットとは別の追加のコイル管ユニットをさらに具備させるといった構成とすることも可能である。
本発明でいう加熱用媒体としては、燃焼ガス以外のたとえば高温の廃ガスなどを用いることもできる。また、加熱対象となる流体(コイル管ユニットに供給される流体)も、水以外の流体とすることができる。本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む概念である。
WH 温水装置
HE 熱交換器
U(U1〜U3) コイル管ユニット(第1ないし第3のコイル管ユニット)
NL 法線
S1,S2 隣接領域(コイル管ユニットどうしの)
1 バーナ
2 ケーシング
3 コイル管体部
4A,4B 第1および第2の延設管体部
6(6A,6B) 隙間(第1および第2の延設管体部どうしの間の)
8A,8B 第1および第2のバッフル(バッフル)
30 ループ部
80 フランジ部
81 閉塞用壁部
83 開口部(第1のバッフルの)
84 ストッパ壁(第2のバッフルの)
HE 熱交換器
U(U1〜U3) コイル管ユニット(第1ないし第3のコイル管ユニット)
NL 法線
S1,S2 隣接領域(コイル管ユニットどうしの)
1 バーナ
2 ケーシング
3 コイル管体部
4A,4B 第1および第2の延設管体部
6(6A,6B) 隙間(第1および第2の延設管体部どうしの間の)
8A,8B 第1および第2のバッフル(バッフル)
30 ループ部
80 フランジ部
81 閉塞用壁部
83 開口部(第1のバッフルの)
84 ストッパ壁(第2のバッフルの)
Claims (4)
- 軸長方向に並べられた複数のコイル管ユニットを備えており、
前記各コイル管ユニットは、複数のループ部が一連に繋がっているコイル管体部と、このコイル管体部の両端に繋がって前記コイル管体部の外方に向けて延びる第1および第2の延設管体部とを有しており、
前記コイル管体部の内方領域および外方領域の一方から他方に向けて前記複数のループ部どうしの間を加熱用媒体が通過することにより、前記コイル管体部内を流通する流体を加熱可能とされており、
前記複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に位置する第1および第2の延設管体部の相互間に、隙間が形成されている、熱交換器であって、
前記複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に設けられるバッフルを備えており、
このバッフルは、互いに隣接するコイル管体部どうしの間に挟まれて保持されるリング状または一部切欠きリング状のフランジ部と、このフランジ部の内周縁寄り部分から前記軸長方向に突出して前記隙間を塞ぐ閉塞用壁部と、を備えていることを特徴とする、熱交換器。 - 請求項1に記載の熱交換器であって、
前記バッフルとして、中央部が開口して全体がリング状または一部切欠きリング状に形成された第1のバッフルと、前記加熱用媒体の通過を阻止するストッパ壁を中央部に有する第2のバッフルと、を備えており、
前記複数のコイル管ユニットとして、少なくとも第1ないし第3のコイル管ユニットを備えており、
前記第1のバッフルは、前記第1および第2のコイル管ユニットどうしの隣接領域に設けられており、
前記第2のバッフルは、前記第2および第3のコイル管ユニットどうしの隣接領域に設けられ、かつ前記第1ないし第3のコイル管ユニットの内方領域を、前記軸長方向において第1および第2の空間部に仕切っており、
前記第1の空間部に前記加熱用媒体が供給されたときには、この加熱用媒体が前記第1および第2のコイル管ユニットの複数のループ部どうしの間を通過した後に、前記第3のコイル管ユニットの複数のループ部どうしの間を通過し、前記加熱用媒体から顕熱および潜熱を順次回収可能な構成とされている、熱交換器。 - 請求項1または2に記載の熱交換器であって、
前記複数のコイル管ユニットどうしの隣接領域に位置する第1および第2の延設管体部は、前記各ループ部の略法線方向に延びるように形成されて互いに接近している、熱交換器。 - バーナと、このバーナにより発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なうための熱交換器と、を備えている、温水装置であって、
前記熱交換器として、請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器が用いられていることを特徴とする、温水装置。
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