JP4946416B2 - 伝熱管用スペーサおよびこれを備えた熱交換器 - Google Patents

伝熱管用スペーサおよびこれを備えた熱交換器 Download PDF

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Description

本発明は、熱交換器の伝熱管どうしの間に隙間を形成するのに用いられる伝熱管用スペーサ、およびこれを備えた熱交換器に関する。
本出願人は、伝熱管用スペーサの具体例として、図9に示すようなものを先に提案している(たとえば、特許文献1を参照)。この伝熱管用スペーサ9Bは、ベースプレート92の片面に複数の突起片93が設けられた構造を有している。この伝熱管用スペーサ9Bによれば、複数の突起片93を熱交換器の複数の伝熱管(図示略)どうしの間に挿入することによって、複数の伝熱管どうしの間に所望寸法の隙間を形成することができる。この隙間は、たとえば加熱媒体としての燃焼ガスを通過させるための通路となり、この隙間を燃焼ガスが通過する際に前記伝熱管によって熱回収が行なわれる。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
すなわち、伝熱管の全体または一部がコイル状に形成されている場合、この伝熱管に適当な圧力で入水を行なわせると、この水圧に起因して、前記伝熱管のコイル状部分はその直径(巻き径)が拡大するように変形する。また、前記入水が停止されて内圧が低下すると、前記コイル状部分は、元の寸法に縮小する。このように、伝熱管のコイル状管体部は、入水のオン・オフが行なわれる都度、拡縮変形を生じる。これに対し、前記した伝熱管用スペーサ9Bの突起片93はプレート状であり、この突起片93と伝熱管との接触面積は大きい。このため、前記したような伝熱管の拡縮変形を生じると、この伝熱管と突起片93との相対的な摺動動作に起因して、伝熱管に磨耗を生じ易くなるという虞があった。このような虞は、伝熱管の肉厚が薄い場合には余り好ましいものではなく、伝熱管およびこれを備えた熱交換器の使用寿命の長期化を図る観点からすると、できる限り抑制することが望まれる。
なお、従来においては、たとえば特許文献2に記載されているように、伝熱管どうしの間にステンレス製などの線材を挿入する手段がある。このような手段によれば、線材と伝熱管との接触面積が小さいために、伝熱管についての前記した磨耗を抑制し得る効果が期待できる。ところが、特許文献2においては、伝熱管どうしの間に多数本の線材を1本ずつ個々に挿入させているために、その組み付け作業は非常に煩雑であり、組み付け作業性に劣るという不具合がある。
国際公開WO2005/108875号公報 特開2001−221533号公報
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、伝熱管の変形の繰り返しなどに起因して伝熱管に磨耗が生じることを抑制することができ、しかも伝熱管への装着を容易に行なうことが可能な使い勝手の良い伝熱管用スペーサ、およびこれを備えた熱交換器を提供することをその課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供される伝熱管用スペーサは、ベース部材と、このベース部材からその一側方に突出し、かつ一定方向に間隔を隔てて並んだ複数の突起部と、を備えており、前記複数の突起部を熱交換器の伝熱管どうしの間に挿入させて使用される伝熱管用スペーサであって、前記各突起部は、線材に曲げ加工を施すことにより形成されているとともに、前記線材の一部が互いに間隔を隔てて前記ベース部材からその一側方に突出するように延びた一対の延伸部と、前記線材の他の一部により形成され、かつ前記一対の延伸部の先端部どうしを繋ぐ先細状の曲げ部と、前記一対の延伸部の基端部を互いに反対向きに屈曲させた一対の屈曲部と、を有しており、前記ベース部材は、互いに対向して前記一定方向に延びる一対の側壁部と、これら一対の側壁部のそれぞれの一側縁から互いに接近する方向に突出する一対の補助壁部と、を備えており、前記各突起部は、前記一対の屈曲部が前記ベース部材の前記一対の側壁部のそれぞれに形成されている孔部に嵌入されていることにより、この嵌入部分を中心として前記一定方向に揺動可能であるとともに、前記ベース部材の前記各補助壁部には、前記各突起部の各延伸部が挿通する溝部が形成され、前記各突起部が前記一定方向に揺動するときには、前記溝部を規定する壁面に前記各延伸部が当接することにより、前記各突起部は、所定角度以上揺動することが規制されて、前記ベース部材の一側方に突出した状態を維持するように構成されていることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、複数の突起部を熱交換器の伝熱管どうしの間に挿入させた際には、線材により形成された一対の延伸部が伝熱管に接触した構成となる。したがって、それら一対の延伸部と伝熱管との接触面積を小さくすることができる。その結果、伝熱管がたとえば入水圧の変動に起因して拡縮変形するなどし、この伝熱管と一対の延伸部とが相対摺動する現象を生じても、このことに起因して伝熱管が磨耗することは抑制される。
第2に、複数の突起部は、ベース部材の一側方に突出して並んでいるために、これら複数の突起部を伝熱管どうしの間に挿入させる作業を一括して行なうことが可能である。したがって、たとえば複数本の線材を1本ずつ伝熱管どうしの間に挿入させていた特許文献2に記載の手段と比較すると、その装着作業は格段に容易となる。
第3に、複数の突起部は、一対の延伸部によって形成されているだけではなく、それらの先端部は曲げ部を介して繋がっており、しかもこの曲げ部は、先細状である。このため、複数の突起部の先端部を伝熱管どうしの間に挿入させ易くなり、伝熱管用スペーサの装着作業がより容易となる。
その他、本発明によれば、複数の突起部を伝熱管どうしの間に挿入させる際に、それら複数の突起部を個々に揺動させることにより、それらの各先端部の位置調整を行なうことが可能となる。したがって、伝熱管用スペーサの装着作業がさらに容易となる。
複数の突起部が大きな角度で揺動してベース部材の一側方に突出しない状態となることが適切に防止される。したがって、複数の突起部を伝熱管どうしの間に位置合わせする作業がより容易となる。
ベース部材と線材を用いただけの非常に簡易な構成により、複数の突起部が所定角度範囲内で揺動するようにベース部材に適切に支持させることができ、全体の製造コストを廉価にするのに好適である。
本発明の第2の側面により提供される熱交換器は、本発明の第1の側面により提供される伝熱管用スペーサを備えていることを特徴としている。このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される伝熱管用スペーサについて述べたのと同様な効果が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、一連に繋がった複数のループ部が積層しているコイル状管体部を有する伝熱管と、前記コイル状管体部の周囲を囲む周壁部を有し、かつ内部に加熱用気体が供給される缶体と、を備えており、前記伝熱管用スペーサの複数の突起部は、前記複数のループ部どうしの間に挿入されるとともに、前記伝熱管用スペーサのベース部材は、前記コイル状管体部と前記缶体の周壁部との間に介装されている。
このような構成によれば、伝熱管のコイル状管体部の複数のループ部どうしの間に、加熱用気体を通過させるための隙間を適正に形成することができる。また、伝熱管用スペーサのベース部材は、コイル状管体部と缶体の周壁部との間に介装されているために、このベース部材をコイル状管体部と缶体の周壁部との位置合わせ用のスペーサとして機能させることもできる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記伝熱管のコイル状管体部の内側に位置するコイル状管体部を有し、前記伝熱管よりも大径かつ厚肉の追加の伝熱管を備えており、この追加の伝熱管のコイル状管体部の複数のループ部のそれぞれには、偏平加工部が部分的に設けられ、これら偏平加工部どうしが当接することによって前記複数のループ部間の他の部分に隙間が形成されている。
このような構成によれば、前記追加の伝熱管が具備されている分だけ、熱交換器の熱回収量を多くすることができることに加え、次のような効果も得られる。すなわち、前記追加の伝熱管は、伝熱管用スペーサが用いられている伝熱管よりも大径であるために、前記伝熱管用スペーサを用いて隙間を形成することは困難であるが、この追加の伝熱管のコイル状管体部については、各ループ部に偏平加工部を設けることによって複数のループ部間に隙間が形成されており、その構成は合理的である。また、偏平加工部どうしを接触させた場合には、コイル状管体部がたとえば拡縮変形した際にそれら偏平加工部に磨耗を生じる虞があるものの、前記追加の伝熱管は厚肉であるために、少々の磨耗は許容され、不具合は無い。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明が適用された伝熱管用スペーサの一例を示している。図1によく表われているように、本実施形態の伝熱管用スペーサSは、ベース部材5と、複数の突起部7とを備えている。複数の突起部7は、熱交換器の伝熱管どうしの間に挿入されることにより、伝熱管どうしの間に所望寸法の隙間を形成するための部分である。
ベース部材5は、たとえばステンレス製であり、その断面形状は一部分が切り欠かれた中空矩形状であって、一定方向(図面では、上下方向)に延びている。より具体的には、このベース部材5は、間隔を隔てて対面する一対の側壁部50、これらの一側縁どうしを繋ぐ壁部51、および一対の側壁部50の他側縁に連設されて互いに接近する方向に突出した一対の補助壁部52を有している。このベース部材5に複数の突起部7を取り付けるための手段として、一対の側壁部50には、互いに対向する複数組の孔部55が設けられている。また、一対の補助壁部52には、複数組の溝部53が設けられている。
突起部7は、たとえばステンレス製の線材70に曲げ加工を施して形成されたものである。線材70は、断面円形状であり、その直径はたとえば1〜数mm程度である。突起部7は、図2および図3によく表われているように、平面視略U字状であり、互いに間隔を隔てて一定方向に延びる一対の延伸部71、これら一対の延伸部71の先端部どうしを繋ぐ半円弧状の曲げ部72、および一対の延伸部71の基端部が互いに反対方向に屈曲されることにより形成された一対の屈曲部73を備えている。
突起部7は、一対の屈曲部73のそれぞれがベース部材5の孔部55に対してその内方側から嵌入していることにより、ベース部材5に取り付けられている。また、突起部7の各延伸部71は、ベース部材5の溝部53に挿通している。図2に示すように、突起部7をベース部材5に取り付けるときには、一対の屈曲部73どうしが互いに接近するように、一対の延伸部71に力を加えてこれらを矢印N1方向に弾性変形させる。このことにより、一対の屈曲部73をベース部材5の内部に進入させることができる。その後は、前記の力を取り除き、一対の延伸部71を弾性復元させることによって、一対の屈曲部73を元の幅広な状態に復帰させて、これらを孔部55に嵌入させることができる。
複数の突起部7は、ベース部材5に対してその一側方に突出するようにして取り付けられているが、孔部55と屈曲部73との嵌合部分を中心として上下方向に揺動可能である。ただし、図4に示すように、各突起部7が上方および下方にある程度揺動すると、各延伸部71が溝部53を規定する上下の壁面53a,53bに当接し、それ以上は上方または下方に揺動しないようにされている。このことにより、各突起部7は、揺動可能であるものの、ベース部材5を鉛直方向に起立させた際に略水平方向の姿勢を維持し、下方に垂れ下がらないように規定されている。前記溝部53を規定する壁面53a,53bは、揺動規制手段の一例に相当する。なお、各突起部7は、既述したとおり、矢印N1方向に弾性変形可能であるために、僅かではあるが、その先端部を略水平な方向に揺動させることも可能である。このことは、各突起部7を伝熱管間に挿入させる際の作業性を良好とする効果をもたらす。
図5〜図8は、本発明が適用された熱交換器、およびこれを備えた給湯装置の一例を示している。ただし、図5は、給湯装置の全体の概略構成を示しており、同図においては伝熱管用スペーサSの図示を省略している。図5に示す給湯装置Aは、燃焼器1、熱交換器B、底部ケーシング80、および排気ダクト81を備えている。
燃焼器1は、たとえばオイル燃焼器であり、モータMを備えた送風ファン13から燃焼用空気が供給される缶体10内に配されている。この燃焼器1は、外部から配管12を介して供給される灯油または軽油などの燃料オイルを噴霧ノズル14からバーナ筒11内に向けて下向きに噴霧させて燃焼させる。この燃焼によって発生された燃焼ガスは、熱交換器Bの缶体2内にその上部開口部22Aから進入するようになっている。
熱交換器Bは、コイル状管体部40を個々に有する複数の伝熱管4を備えている。複数のコイル状管体部40は、上部および下部のカバー体21A,21Bによって挟まれるようにして缶体2内に配されている。複数のコイル状管体部40は、いずれも螺旋状であって、一連に繋がった平面視中空円形状のループ部40aが複数の隙間31を介して上下高さ方向に複数段に積層された構成である。隙間31の形成には、伝熱管用スペーサSが利用されているが、その詳細については後述する。複数のコイル状管体部40は、巻き径が互いに相違しており、略同心の重ね巻き状に配置されている。本実施形態においては、図6によく表われているように、最内周のコイル状管体部40(40’)を含む伝熱管4(4’)については、他の3本の伝熱管4と比較すると、管径が大きく、かつその肉厚も大きくされている。この伝熱管4’は、本発明でいう追加の伝熱管の一例に相当する。前記他の3本の伝熱管4の管径は同一である。最内周のコイル状管体部40の内方の空間部3には、燃焼ガス用ストッパとしての仕切部材6が設けられている。この仕切部材6により、空間部3は第1および第2の領域30a,30bに区画され、また複数のコイル状管体部40は、第1および第2の熱交換部HT1,HT2に区分されている。最外周のコイル状管体部40と缶体2の周壁部20との間には、燃焼ガス通路32が形成されている。
この熱交換器Bにおいては、開口部22Aから第1の領域30a内に燃焼ガスが供給されると、この燃焼ガスは、第1の熱交換部HT1の複数の隙間31を通過して燃焼ガス通路32に流出する。次いで、この燃焼ガスは、燃焼ガス通路32を下向きに進行してから第2の熱交換部HT2の複数の隙間31を通過して第2の領域30bに進入する。このような燃焼ガスの進行過程において、この燃焼ガスからは第1および第2の熱交換部HT1,HT2によって顕熱および潜熱の回収がなされる。第2の領域30bに進入した燃焼ガスは、その後下部開口部22Bを通過して底部ケーシング80内に流入した後に、排気ダクト81内に進行し、排気口81aから外部に排出される。
複数の伝熱管4の下端部41aおよび上端部41bは、缶体2の周壁部20を貫通して缶体2の外部に引き出されており、これらの部分に入水用および出湯用のヘッダ49a,49bが連結されている。ヘッダ49aに対して給水管(図示略)から給水がなされると、この水は各伝熱管4内を流通して加熱されてからヘッダ49bに到達し、このヘッダ49bから所望の給湯先に供給される。
図6によく表われているように、伝熱管用スペーサSは、ベース部材5が熱交換器Bの缶体2の周壁部20と最外周の螺旋状管体部40との間に介装されるようにして缶体2内に配されている。複数の突起部7は、外周寄りの3つのコイル状管体部40のループ部40a間に挿入されており、このことによりそれら3つのコイル状管体部40のループ部40a間には、複数の隙間31が形成されている。このような構成を実現するには、熱交換器Bを製造する場合に、複数のコイル状管体部40を缶体2内に収容させる前の段階において、それら複数のコイル状管体部40の外方から伝熱管用スペーサSを装着させておけばよい。缶体2の周壁部20を、たとえば可撓性を有する帯状またはプレート状の金属板を筒状化して形成する手段を採用した場合には、伝熱管用スペーサSが装着されたコイル状管体部40の周囲に前記金属板を巻き付けて、この金属板の両側縁を溶接またはろう付けするなどして接合させればよいこととなり、熱交換器Bの製造作業はより容易となる。図7に示すように、熱交換器Bには、3つの伝熱管用スペーサSが具備されており、これらは略等角度間隔に設けられている。
最内周のコイル状管体部40’のループ部40a間に隙間31を形成する手段としては、伝熱管用スペーサSは用いられておらず、各ループ部40aに複数の偏平加工部48を形成する手段が用いられている。この偏平加工部48は、図7に示すように、平面視においてループ部40aの他の部分よりも幅狭な部分であり、各ループ部40aに略等間隔で複数箇所(図面では3箇所)設けられている。各偏平加工部48は、コイル状管体部40’の一部をその両側から一組の加圧用部材により挟み付けて、その部分をプレス変形させた部分である。図8に示すように、各偏平加工部48は上下方向の幅が他の部分よりも大きく、上下方向に隣り合う偏平加工部48は、それらの一部分どうしが互い当接している。このことにより、ループ部40a間のうち、偏平加工部48の当接箇所以外の部分は、隙間31となっている。
次に、前記した伝熱管用スペーサS、および熱交換器Bの作用について説明する。
まず、伝熱管用スペーサSの複数の突起部7は、ベース部材5に支持されて整列されている。このため、図6に示したように、複数の突起部7を複数のコイル状管体部40のループ部40aどうしの間に挿入させ易くなる。各突起部7は線材70により形成されているが、この線材70は略U字状に形成されて、その先端の曲げ部72は先細な半円弧状であるために、各突起部7をループ部40aどうしの間に対してその先端から挿入させ易くなる効果も得られる。
ループ部40aどうしの間に各突起部7をスムーズに挿入させるには、コイル状管体部40をその軸長方向に伸長させてループ部40aどうしの間に適度な隙間を形成しつつ、その部分に各突起部7を挿入させていくことが好ましい。このような手法を用いる場合、コイル状管体部40を伸長させた際に、ループ部40aどうしの間に形成される複数の隙間の上下方向のピッチが一定にならず、ばらつきを生じる場合がある。これに対し、複数の突起部7のそれぞれは上下方向に個々に揺動可能であるために、この揺動により、複数の突起部7をこれに対応するコイル状管体部40の隙間に個別に位置合わせすることが可能となる。また、各突起部7は、揺動可能な角度範囲が一定の範囲に規制されて、ベース部材5の長手方向と略直交する方向に突出する姿勢を維持するために、各突起部7を揺動可能としたことに起因して、却って各突起部7をループ部40a間に挿入し難くなるといった不具合も生じないようにすることができる。
各突起部7をループ部40a間に挿入させた状態では、各突起部7の一対の延伸部71がループ部40aに接触しているに過ぎず、しかもそれらの接触は点接触である。したがって、その接触面積は非常に小さい。このため、複数の伝熱管4への入水やその停止がなされて、複数のコイル状管体部40がその内圧の変化に伴って拡縮変形し、各ループ部40aと各突起部7とが擦れ合う現象を生じても、各ループ部40aは磨耗を生じ難くなる。その結果、各ループ部40aが肉厚の小さいものであっても、大きなダメージを受けないようにし、その使用寿命を長くすることができる。一方、最内周のコイル状管体部40’においては、拡縮変形を生じると、偏平加工部48どうしが擦れ合うこととなるが、このコイル状管体部40’は口径が大きく、肉厚の大きな管体を用いて構成されているために、少々の磨耗が生じたとしても、とくに不具合を生じることはない。このように、本実施形態の熱交換器Bにおいては、小径で薄肉の複数の伝熱管4に対しては伝熱管用スペーサSを用いてそれらに磨耗を生じ難くする一方、少々の磨耗を生じてもとくに不具合の無い大径で厚肉の伝熱管4’に対しては偏平加工部48を形成し、伝熱管用スペーサSを用いないようにしている。したがって、伝熱管用スペーサSの使用個数を少なくしつつ、口径が相違する複数の伝熱管4に隙間31を好適に形成することができる。なお、隙間31の幅は、線材7の直径と同一寸法であるため、線材7の太さを適宜に選択することによって所望の寸法に正確に設定することが可能である。
伝熱管用スペーサSのベース部材5は、最外周のコイル状管体部40と缶体2の周壁部20との間に介装されているために、コイル状管体部40が缶体2内においてその半径方向に移動することを規制する役割も果たす。伝熱管用スペーサSは、廉価な線材70に曲げ加工を施して形成された複数の突起部7がベース部材5に組み付けられ、しかもその組み付けに際しては、他の部材または部品がなんら利用されていない構成とされている。したがって、この伝熱管用スペーサSの製造コストを廉価にし得る利点も得られる。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る伝熱管用スペーサ、およびこれを備えた熱交換器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
伝熱管用スペーサの突起部は、その全体の形状が略U字状のものに代えて、たとえば略V字状のものに形成してもよい。一対の延伸部のそれぞれは、その基本的な形態がベース部材からその一側方に延びた形態であればよく、多少湾曲したり、あるいは部分的に屈曲した部分が設けられていてもよい。突起部の先端の曲げ部は、先細状であればよく、半円弧状に代えて、たとえば先端がV字状に尖った形状とすることもできる。
突起部を構成する線材は、断面円形状であることが好ましいものの、やはりこれに限定されない。また、その材質も問わない。さらに、線材の具体的な太さも限定されず、一般的に棒状部材と称されるような太さのものも、本発明でいう線材に含まれる。
本発明に係る伝熱管用スペーサは、コイル状管体部を有する伝熱管に好適であるが、コイル状管体部を有しない伝熱管にも用いることができる。
本発明に係る伝熱管用スペーサの一例を示す斜視図である。 図1に示す伝熱管用スペーサの要部分解斜視図である。 図1に示す伝熱管用スペーサの平面断面図である。 図3のIV−IV要部断面図である。 本発明に係る熱交換器およびこれを備えた給湯装置の一例を示す要部概略正面断面図である。 図5に示す熱交換器の断面図である。 図6の平面断面図である。 (a)は、図6に示す熱交換器の最内周のコイル状管体部の要部側面図であり、(b)は、(a)のVIII−VIII断面図である。 従来技術の一例を示す斜視図である。
符号の説明
B 熱交換器
S 伝熱管用スペーサ
4 伝熱管
5 ベース部材
7 突起部
31 隙間
40 コイル状管体部(伝熱管の)
40a ループ部
48 偏平加工部
50 側壁部
52 補助壁部
53 溝部
53a,53b 溝部の壁面(揺動規制手段)
55 孔部
70 線材
71 延伸部
72 曲げ部
73 屈曲部

Claims (4)

  1. ベース部材と、このベース部材からその一側方に突出し、かつ一定方向に間隔を隔てて並んだ複数の突起部と、を備えており、
    前記複数の突起部を熱交換器の伝熱管どうしの間に挿入させて使用される伝熱管用スペーサであって、
    前記各突起部は、線材に曲げ加工を施すことにより形成されているとともに、
    前記線材の一部が互いに間隔を隔てて前記ベース部材からその一側方に突出するように延びた一対の延伸部と前記線材の他の一部により形成され、かつ前記一対の延伸部の先端部どうしを繋ぐ先細状の曲げ部と、前記一対の延伸部の基端部を互いに反対向きに屈曲させた一対の屈曲部と、を有しており、
    前記ベース部材は、互いに対向して前記一定方向に延びる一対の側壁部と、これら一対の側壁部のそれぞれの一側縁から互いに接近する方向に突出する一対の補助壁部と、を備えており、
    前記各突起部は、前記一対の屈曲部が前記ベース部材の前記一対の側壁部のそれぞれに形成されている孔部に嵌入されていることにより、この嵌入部分を中心として前記一定方向に揺動可能であるとともに、
    前記ベース部材の前記各補助壁部には、前記各突起部の各延伸部が挿通する溝部が形成され、前記各突起部が前記一定方向に揺動するときには、前記溝部を規定する壁面に前記各延伸部が当接することにより、前記各突起部は、所定角度以上揺動することが規制されて、前記ベース部材の一側方に突出した状態を維持するように構成されていることを特徴とする、伝熱管用スペーサ。
  2. 請求項1に記載の伝熱管用スペーサを備えていることを特徴とする、熱交換器
  3. 一連に繋がった複数のループ部が積層しているコイル状管体部を有する伝熱管と、前記コイル状管体部の周囲を囲む周壁部を有し、かつ内部に加熱用気体が供給される缶体と、を備えており、
    前記伝熱管用スペーサの複数の突起部は、前記複数のループ部どうしの間に挿入されるとともに、前記伝熱管用スペーサのベース部材は、前記コイル状管体部と前記缶体の周壁部との間に介装されている、請求項2に記載の熱交換器
  4. 前記伝熱管のコイル状管体部の内側に位置するコイル状管体部を有し、前記伝熱管よりも大径かつ厚肉の追加の伝熱管を備えており、
    この追加の伝熱管のコイル状管体部の複数のループ部のそれぞれには、偏平加工部が部分的に設けられ、これら偏平加工部どうしが当接することによって前記複数のループ部間の他の部分に隙間が形成されている、請求項3に記載の熱交換器。
JP2006339273A 2006-12-16 2006-12-16 伝熱管用スペーサおよびこれを備えた熱交換器 Expired - Fee Related JP4946416B2 (ja)

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