JP2006317034A - 熱交換器およびこれを備えた温水装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水管の複数の螺旋状管体部の配列ピッチが小さい場合であっても、ヘッダの接続作業を容易かつ適切に行なうことができ、またヘッダの材質に融通性をもたせることが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】筒状の周壁部20を有する缶体2と、缶体2内において重ね巻き状に配された複数の螺旋状管体部40を含む複数の水管4と、複数の水管4に接続された入水用または出湯用の少なくとも1つのヘッダ5と、を備えている、熱交換器であって、複数の螺旋状管体部40の端部400に一端部41aが嵌合して接続され、かつ他端部41bが缶体2の外部に位置するように缶体2の周壁部20を貫通した複数の曲管41を備えており、ヘッダ5は、複数の曲管41の他端部41bに接続されて缶体2の外部に配されている。
【選択図】 図5
【解決手段】筒状の周壁部20を有する缶体2と、缶体2内において重ね巻き状に配された複数の螺旋状管体部40を含む複数の水管4と、複数の水管4に接続された入水用または出湯用の少なくとも1つのヘッダ5と、を備えている、熱交換器であって、複数の螺旋状管体部40の端部400に一端部41aが嵌合して接続され、かつ他端部41bが缶体2の外部に位置するように缶体2の周壁部20を貫通した複数の曲管41を備えており、ヘッダ5は、複数の曲管41の他端部41bに接続されて缶体2の外部に配されている。
【選択図】 図5
Description
本発明は、燃焼ガスから熱回収を行なうのに利用される熱交換器、および熱交換器を備えた温水装置に関する。
従来、温水装置用の熱交換器の一例としては、図26に示すようなものがある(たとえば、特許文献1を参照)。この従来の熱交換器は、筒状の周壁部20eを有する缶体2eと、重ね巻き状に設けられた複数の螺旋状管体部40eを有する複数の水管4eとが組み合わされた構成を有している。複数の螺旋状管体部40eは、缶体2e内に配されており、それらの長手方向両端部41eには、周壁部20eを貫通した細長パイプ状の一対のヘッダ5eが接続されている。
このような構成によれば、一対のヘッダ5eの一方から複数の螺旋状管体部40eに入水を行なわせるとともに、缶体2e内に燃焼ガスを導入させると、この燃焼ガスは複数の螺旋状管体部40eどうしの隙間42eを紙面と直交する方向に通過し、螺旋状管体部40e内の水が加熱される。そして、一対のヘッダ5eの他方から出湯がなされる。複数の螺旋状管体部40eを備えた水管構造を採用すれば、その伝熱面積を大きくし、熱交換効率を高くすることが可能である。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるような不具合を生じる場合があった。
すなわち、ヘッダ5eは、細長な管体状であり、複数の螺旋状管体部40eの端部41eは、このヘッダ5eの周面部に接続されている。このような接続構造では、複数の螺旋状管体部40eの配列ピッチP1が小さくされて、隙間42eの間隔が微小とされた場合に、水漏れなどを生じないようにそれら端部41eとヘッダ5eとを適切に接続することが難しくなる。とくに、前記接続作業の対象部分は、缶体2e内に位置しているために、その作業はより面倒となる。したがって、熱交換効率を高めることなどを目的として、複数の螺旋状管体部40eの配列ピッチP1を小さくすることは難しいものとなっていた。また、ヘッダ5eの一部は、缶体2e内に配されており、高温の燃焼ガスに直接晒される状態となっている。このため、ヘッダ5eとしては、耐熱性に優れる材質とする必要があり、耐熱性がさほど優れない廉価な材質にすることができないという不具合もあった。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、水管の複数の螺旋状管体部の配列ピッチが小さい場合であっても、ヘッダの接続作業を容易かつ適切に行なうことができ、またヘッダの材質に融通性をもたせることが可能な熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、筒状の周壁部を有する缶体と、前記缶体内において重ね巻き状に配された複数の螺旋状管体部を含む複数の水管と、前記複数の水管に接続された入水用または出湯用の少なくとも1つのヘッダと、を備えている、熱交換器であって、前記複数の螺旋状管体部の端部に一端部が嵌合して接続され、かつ他端部が前記缶体の外部に位置するように前記缶体の周壁部を貫通した複数の曲管を備えており、前記ヘッダは、前記複数の曲管の他端部に接続されて前記缶体の外部に配されていることを特徴としている。
本発明においては、複数の螺旋状管体部とヘッダとは、複数の曲管を用いて接続されているが、各螺旋状管体部と各曲管とは、1対1の対応関係とされ、しかもそれらの端部どうしが嵌合して接続されている。このような接続構造であれば、複数の螺旋状管体部の配列ピッチが小さくされて、それらの端部どうしが接近している場合であっても、それら端部に対して複数の曲管を容易に接続することが可能となる。一方、ヘッダについては、缶体の外部において複数の曲管の他端部に接続することができるために、その接続は容易となる。さらに、複数の曲管を用いた構造によれば、後述するように、複数の曲管の他端部の配列ピッチを、それらの一端部の配列ピッチよりも大きくとることもできるために、ヘッダの接続に苦慮することもない。このようなことから、重ね巻き状とされた複数の螺旋状管体部の配列ピッチが小さい場合であっても、水管へのヘッダの取り付け作業を容易かつ適切に行なうことが可能となる。また、本発明によれば、ヘッダ全体を缶体の外部に配置させることができるために、ヘッダをさほど耐熱性の優れない廉価な材質なものとすることも可能である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の螺旋状管体部の端部および前記複数の曲管の一端部の配列ピッチよりも、前記複数の曲管の前記周壁部を貫通する部分および他端部の配列ピッチの方が大きくされている。
このような構成によれば、前記複数の曲管の他端部にヘッダを取り付ける作業がより容易となる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記各曲管の一端部の最先端は、部分的に小径化または大径化されており、この小径化または大径化された部分が各螺旋状管体部の端部に嵌合している。
このような構成によれば、複数の螺旋状管体部の端部どうしが接近している場合に、複数の曲管の一端部をそれら端部により接続し易くなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の曲管の他端部寄り部分は、平行に並んだ真直状とされており、かつ前記周壁部に対する貫通部分から前記他端部に到る部分には、前記貫通部分よりも外径が大きい箇所が存在しない構成とされている。
このような構成によれば、複数の曲管を缶体の周壁部に設けられている開口部に挿通させる作業が容易となる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記各曲管の他端部の外周には、テーパ面を有する段部が形成されているとともに、前記ヘッダには、水管接続用の複数の開口部が設けられており、前記各曲管の他端部は、前記テーバ面が前記各開口部の周縁に当接するようにして前記各開口部に嵌入し、前記ヘッダに溶接またはろう付けされている。
このような構成によれば、前記テーパ面と前記開口部の周縁との当接作用、および溶接またはろう付けにより優れた止水シール効果が得られる。また、特殊な部品を用いることなく、非常に簡易な構成で各曲管とヘッダとの接続を図ることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記各曲管の他端部の外周には、環状の凹溝を形成する一対の段部が形成され、かつ前記凹溝には、Oリングが装着されており、前記ヘッダには、水管接続用の複数の孔部、およびこれら複数の孔部の開口周縁に位置する係合用の複数のフランジが設けられており、前記各曲管の他端部は、前記各孔部に嵌入されているとともに、前記一対の段部の一方と前記各フランジには、前記各曲管の他端部が前記各孔部から抜けることを防止する抜け止め具が係合している。
このような構成によれば、Oリングを用いた優れた止水シール効果が得られることは勿論のこと、Oリングの装着用の凹溝は各曲管を加工して形成されており、Oリングの装着に際して他の部品を用いる必要がなく、便利である。また、各曲管とヘッダとの接続保持は、抜け止め具を用いてなされており、溶接やろう付けを行なう必要がないため、それらの接続作業は一層容易となる。さらに、各曲管に設けられた一対の段部の一方は、Oリング装着用の凹溝を形成するだけではなく、抜け止め具の係止部分としても利用されており、その構成は合理的である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の螺旋状管体部のそれぞれの端部は、前記複数の螺旋状管体部の巻き方向において互いに位置ずれしている。
このような構成によれば、各螺旋状管体部の端部に各曲管の一端部を嵌合させて接続する作業がより容易となる。また、それらの接続部分に溶接やろう付けを施す場合には、それら溶接やろう付けがなされる部分どうしの距離を長くとることができ、たとえば1つの接続箇所に施した溶接またはろう付けが、他の接続箇所に悪影響を及ぼすといったことも適切に回避される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の螺旋状管体部は、中空円状に巻かれているとともに、前記缶体の周壁部は、その基本形状が前記複数の螺旋状管体部と略同心の断面円弧状とされた第1の部分と、その基本形状が前記複数の螺旋状管体部の中心から前記複数の曲管寄りにオフセットされた位置を中心とする断面円弧状とされた第2の部分とを含む略円筒状とされており、前記複数の曲管は、前記第2の部分に貫通している。
このような構成によれば、各曲管が設けられている部分における螺旋状管体部と周壁部との半径方向の間隔を大きくし、各曲管の曲率半径を比較的大きくとることが可能となる。水管への通水をスムーズに行なわせるには、各曲管の曲率半径をできる限り大きくすることが要請されるが、前記構成によれば、そのような要請に応え得ることとなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記缶体の周壁部のうち、前記複数の曲管が貫通している部分およびその周辺部分は、平板状に形成されている。
このような構成によれば、各曲管が貫通する部分が曲面状である場合と比較して、各曲管を貫通させるための貫通孔などの寸法出しが容易となる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記缶体の軸長方向両端に形成された第1および第2の開口部と、前記複数の螺旋状管体部に囲まれた空間部の前記軸長方向中間部に設けられ、前記空間部を第1および第2の領域に区画するとともに、前記複数の螺旋状管体部を前記第1および第2の領域のそれぞれを囲む第1および第2の熱交換部に区画する仕切り部材と、前記螺旋状管体部と前記缶体の周壁部との間に形成された燃焼ガス通路と、を備えており、前記缶体の外部から前記第1の開口部を介して前記第1領域に導入され、または前記第1の領域において発生された燃焼ガスが、前記第1の熱交換部の管体隙間を通過して前記燃焼ガス通路に進行した後に前記第2の熱交換部の管体隙間を通過して前記第2の開口部から前記缶体の外部に排出可能な構成とされている。
このような構成によれば、複数の螺旋状管体部の管体隙間を燃焼ガスが通過することによって効率の良い熱交換が可能となる。また、複数の螺旋状管体部の第1の熱交換部においては燃焼ガスから顕熱を回収するとともに、第2の熱交換部においては潜熱を回収するといったことも可能となり、第2の熱交換部において潜熱回収に伴うドレイン(凝縮水)を集中的に発生させてドレイン回収を容易にすることができるといった利点も得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記缶体の軸長方向両端に形成された第1および第2の開口部と、前記複数の螺旋状管体部に囲まれた空間部の前記第2の開口部寄りの終端部を塞ぐ仕切り部材と、前記螺旋状管体部と前記缶体の周壁部との間に形成された燃焼ガス通路と、を備えており、前記缶体の外部から前記第1の開口部を介して前記空間部に導入され、または前記空間部において発生された燃焼ガスが、前記複数の螺旋状管体部の管体隙間を通過して前記燃焼ガス通路に進行した後に前記第2の開口部から前記缶体の外部に排出可能な構成とされている。
このような構成によれば、複数の螺旋状管体部の管体隙間を燃焼ガスが通過することによって効率の良い熱交換が可能となる。また、複数の螺旋状管体部のうち、内周寄り部分においては、燃焼ガスから顕熱を回収させ、かつ外周寄り部分においては、潜熱を回収させるといったことも可能となる。
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、燃焼器と、この燃焼器により発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、を備えている、温水装置であって、前記熱交換器として、本発明の第1の側面により提供される熱交換器を備えていることを特徴としている。
このような構成によれば、本発明の第1の側面によって提供される熱交換器について述べたのと同様な効果が得られる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明が適用された熱交換器およびこれを備えた給湯装置の一例を示している。図2〜図7は、図1の熱交換器およびこれに関連する構成を示している。図2によく表われているように、本実施形態の熱交換器A1は、缶体2、複数の水管4、入水用ならびに出湯用の一対のヘッダ5、および仕切り部材6を備えている。
缶体2は、略円筒状の周壁部20と、この周壁部20の上部および下部に取り付けられた一対のカバー体21A,21Bとを有している。これらは、たとえばステンレス製であり、各水管4を利用して燃焼ガスから潜熱回収を行なった際に発生する酸性のドレインに起因して容易に腐食を生じないようにされている。この点は、各水管4などについても同様である。周壁部20は、後述するように、略矩形のステンレス板を筒状に湾曲させてから、図4に表われている一対の端縁20aどうしを接合させることにより形成されたものである。各端縁20aには、周壁部20の半径方向外方に突出した突出片20a’が折り曲げ形成されており、これらの突出片20a’が重ね合わされて溶接されている。周壁部20の下部外周面には、この缶体2を他の所望部位に取り付けるための1または複数のブラケット23が溶接されている。
図2および図3によく表われているように、カバー体21Aは、中央部に開口部22Aが形成された略円板状である。開口部22Aは、缶体2内に燃焼ガスを導入させるための燃焼ガス導入口として利用され、または燃焼器の一部をこの缶体2内に進入させるための部分として利用される。この開口部22Aは、その周縁に下向きに突出した環状壁220を有するバーリング孔である。カバー体21Aは、周壁部20の上部開口に嵌入されてこの周壁部20に溶接されている。周壁部20の内周面の上端近傍には、缶体2の内側に向けて突出する複数の凸部25aが形成されており、カバー体21Aはこれらの凸部25aに当接することによりその位置決めが図られている。複数の凸部25aは、周壁部20にプレス加工を施すことにより形成されており、周壁部20の周方向に適当な間隔を隔てて位置している。
カバー体21Bは、その中央部に開口部22Bが形成されたものであり、カバー体21Aと同様な略円板状である。ただし、開口部22Bは、熱回収を終えた燃焼ガスを缶体2の外部に排出するための燃焼ガス排出口として利用される。周壁部20の内周面の下端近傍には、先に述べた凸部25aと同様な複数の凸部25bが形成されており、カバー体21Aは、周壁部20の下部開口に嵌入されて複数の凸部25bに当接した状態で周壁部20に溶接されている。開口部22Bは、開口部22Aと同様なバーリング孔として形成されており、その周縁には、上向きに突出した環状壁221が形成されている。缶体2の底部には、潜熱回収に伴って水管4から滴下してくるドレインを受けることが可能なドレイン受け部26が形成されている。このドレイン受け部26は、環状壁221、周壁部20の下部、これらの間に形成された環状の空間部26a、およびその底部を含んで構成されている。カバー体21Bには、ドレイン受け部26によって受けられたドレインを缶体2の外部に排出するためのドレイン排出口26bが形成されている。
複数の水管4は、缶体2内に配された複数の螺旋状管体部40と、それらの両端部400に接続された複数の曲管41とを備えている。本実施形態の熱交換器A1は、計3つの水管4を備えており、それらの螺旋状管体部40は、いずれも中空円形の螺旋状ループ部40aが上下方向に複数段に積層された構成を有している。ただし、それらの螺旋状管体部40は、巻き径が互いに相違し、かつ同心状または略同心状に配されていることにより、重ね巻き状に設けられている。複数の曲管41の構成については、後述する。
仕切り部材6は、複数の螺旋状管体部40に囲まれている空間部3をその上下方向において第1および第2の領域30a,30bに仕切るためのものである。複数の螺旋状管体部40は、この仕切り部材6によって、第1および第2の領域30a,30bをそれぞれ囲む第1および第2の熱交換部HT1,HT2に区分されている。この仕切り部材6は、空間部3内に位置し、かつ上面部に下向きに窪んだ凹状部が形成されている本体部60と、この本体部60の外周面に形成された鍔片61とを有している。本体部60は、たとえばステンレス製の板体60aの上面に、耐火性および耐熱性に富む断熱材60bが積層された構成を有している。断熱材60bは、たとえばセラミックである。鍔片61は、図6に示すように、本体部60の外周面を略1周または1周以上するように設けられており、その両端に段差H1が生じる螺旋状である。仕切り部材6は、この螺旋状の鍔片61を複数の螺旋状管体部40に螺合させることにより、それら螺旋状管体部40に取り付けられている。
最外周の螺旋状管体部40と周壁部20との間には、燃焼ガス通路32が形成されている。また、図2に示すように、複数の螺旋状管体部40の上下方向に隣り合うループ部40a間には、隙間31が形成されている。この隙間31は、本発明でいう螺旋状管体部の管体隙間に相当する。第1および第2の領域30a,30bと燃焼ガス通路32とは、この隙間31を介して連通している。このことにより、後述するように、燃焼ガスは、第1の領域30aから隙間31を介して燃焼ガス通路32に進行し、その後この燃焼ガス通路32から隙間31を通過して第2の領域30bに向かうようになっている。カバー体21Aの環状壁220は、符号n1で示すように、最内周の螺旋状管体部40の上部に接触しており、燃焼ガスが第1の領域30aからそれらの間を通過して燃焼ガス通路32に直接流入することが防止されている。また、符号n2で示すように、カバー体21Aの環状壁221は、最内周の螺旋状管体部40の下部に接触しており、燃焼ガスが燃焼ガス通路32からそれらの間を通過して第2の領域30bに直接流入することが防止されている。
各螺旋状管体部40の隙間31は、図3に示すように、複数のスペーサ7を用いることにより形成されている。より具体的には、スペーサ7は、図7に示すように、たとえばステンレス製の長矩形平板状のベース部70の複数箇所に切り起こし加工を施すことにより、複数の突出部71が櫛歯状に並んだ構成を有している。それら複数の突出部71が、各螺旋状管体部40のループ部40a間に挿入していることにより、隙間31が形成され、かつこの隙間31の高さ寸法が規定されている。図4に示すように、この熱交換器A1においては、たとえば3つのスペーサ7が略等間隔に配置されて設けられている。上下方向に隣り合うループ部40a間のうち、これらスペーサ7が設けられていない部分が隙間31となっている。
図4および図5によく表われているように、水管4の複数の曲管41は、複数の螺旋状管体部40とヘッダ5とを接続するジョイント管の役割を果たすものである。各曲管41の両端部41a,41bには、テーパ面を有する段部410a,410bが形成されており、これら段部410a,410bよりも先端寄り部分は、長手方向中間部よりも外径が小さい小径部となっている。各曲管41の一端部41aは、その小径部が螺旋状管体部40の端部400に嵌入していることにより端部400に接続されている。これら小径部と端部400との嵌合方向は、螺旋状管体部40のループ部40aの接線方向である。段部410aのテーパ面は、端部400の端面に当接しており、この当接箇所には溶接またはろう付けが施されている。ただし、水管4と曲管41との接続手段としては、たとえば図8に示すような手段を用いることもできる。同図の手段においては、曲管41の一端部41aの最先端部分に拡管加工が施されて大径部が形成されており、この大径部が水管4の端部400に外嵌されている。このような手段によっても、水管4と曲管41との嵌合による適切な接続が可能である。
複数の曲管41は、周壁部20の上下両端の近傍に設けられた複数の開口部200に挿通されており、これら曲管41の他端部41b寄りの部分は缶体2の外部に突出している。複数の曲管41は、それらの曲げ半径や全長寸法が相違しており、これらの一端部41aの配列ピッチP2よりも、周壁部20を貫通する部分および他端部41bの配列ピッチP3の方が大きくされている。この構成により、ヘッダ5の接続作業が容易化され、また複数の開口部200の間隔を大きくしてこの部分の強度を高めることができる。複数の曲管41の他端部41b寄りの部分は、周壁部20に対して直交する方向に直線状に延びており、互いに平行となっている。また、各曲管41は、周壁部20に対する貫通部分から他端部41bに到る箇所には、前記貫通部分よりも大径部分が存在しない構成とされている。このような構成により、周壁部20の複数の開口部200に複数の曲管41を挿通する作業が容易かつ適切に行なえることとなる。
好ましくは、各開口部200は、その周縁部が起立したバーリング孔として形成され、その周縁部の強度が高められている。また、周壁部20のうち、複数の開口部200の形成箇所を含む一部の領域は、非円弧状の平板部201として形成されている。この平板部201は、一定幅で上下方向に延び、かつ他の領域よりも缶体2の半径方向外方に張り出している。このような構成によれば、各開口部200の寸法出しが容易であるとともに、周壁部20の強度を高めることができる。さらには、螺旋状管体部40と平板部201との間隔が大きくなるため、曲管41としては、比較的曲率半径の大きなものを用いることが可能となる。
一対のヘッダ5のそれぞれは、複数の曲管41の他端部41bに接続されている。各ヘッダ5は、たとえば円形パイプ52を利用して構成されており、その一端部には、給水管または給湯管(図示略)が接続される接続口50が形成されている。ヘッダ5には、複数の開口部51が設けられており、各曲管41の他端部41bの小径部は、各開口部51に嵌入し、段部410bのテーパ面が開口部51の周縁に当接している。この当接部分には溶接またはろう付けが施されている。これにより、各曲管41とヘッダ5との接続が確実化され、また止水シールが図られる。
前記した熱交換器A1は、たとえば次のような方法で製造される。
まず、図9に示すように、重ね巻き状とされた複数の螺旋状管体部40を作製する。これらは、直状の管体を螺旋状に曲げ加工することにより、巻き径が相違する複数の螺旋状管体部40を作製した後に、これらを互いに嵌合させることにより作製する。次いで、図10に示すように、各螺旋状管体部40の両端に曲管41を接続し、複数の水管4を完成させる。図4および図5を参照して述べたように、各螺旋状管体部40に対する曲管41の接続は、曲管41の一端部41aの小径化された最先端部分を各螺旋状管体部40の端部400に嵌入させることにより行なうために、複数の端部400の配列ピッチP2が小さい場合であっても、その作業は容易に行なうことが可能となる。段部410aのテーパ面を端部400に当接させて溶接またはろう付けを図るために、その止水シール性も良好となる。
図11に示すように、複数の螺旋状管体部40には、仕切り部材6を取り付ける。この取り付けは、仕切り部材6の本体部60を複数の螺旋状管体部40の内方にその一端から進入させながら各螺旋状管体部40の螺旋方向に回転させ、螺旋状の鍔片61を各螺旋状管体部40に螺合させることにより行なう。仕切り部材6を前記一定方向へ回転させると、この仕切り部材6は各螺旋状管体部40の内方を一定方向に進行し、逆転させると後退するために、仕切り部材6を所定の高さに設定する作業は容易である。その後は、複数のスペーサ7を複数の螺旋状管体部40に対して取り付ける。この取り付けに際しては、各スペーサ7の複数の突出部71を最外周の螺旋状管体部40の外方からループ部40a間に挿入する。これにより、ループ部40a間に隙間31を形成し、かつその寸法を各突出部71の厚みと同一寸法に規定することができる。図11に示す構成においては、仕切り部材6の鍔片61に対応する箇所には、各スペーサ7の突出部71が挿入されないようにしているが、これに代えて、鍔片61に突出部71が重なるようにして、これらが共通の隙間部分に挿入された構成とすることもできる。各スペーサ7は、上下方向において複数の部分に分割した構成とすることもできる。
一方、図12に示すように、非筒状の板状部材20’を製作しておく。この板状部材20’は、缶体2の周壁部20として形成される部分であり、矩形状の可撓性を有するステンレス鋼板を利用して形成されている。この板状部材20’の一対の端縁部20aには、折り曲げ加工を施して一対の突出片20a’を形成しておく。また、各水管4の曲管41を挿通させるための複数の開口部200も形成しておく。この板状部材20’は、円筒状に形成し易いように、湾曲加工が施されており、また平板部201も予め形成されている。
前記した板状部材20’を製作した後には、一対の端縁部20aどうしの間隔を広げることにより、この板状部材20’によって複数の螺旋状管体部40の周囲を囲み込む。その際には、複数の曲管41をそれらの他端部41b側から各開口部200に挿通させる。複数の曲管41の他端部41b寄り領域は、先に述べたとおり、互いに平行な直管状であるために、これらの部分を複数の開口部200に挿通する作業が容易かつ適切に行なえることとなる。
その後は、図13に示すように、板状部材20’の一対の端縁部20aを対向接触させることにより、この板状部材20’を筒状にする。適当なジグ(図示略)を用いて一対の突出片20a’を挟み付けることにより、この板状部材20’を筒状に維持することが可能であり、この状態で一対の突出片20a’どうしを溶接する。この作業により、筒状に定形化された周壁部20が形成される。なお、突出片20a’は、端縁部20aの全長域にわたって形成されているが、この突出片20a’は、端縁部20aの1箇所または複数箇所(たとえば、端縁部20aの上端と下端など)に部分的に設けた構成とすることもできる。
次いで、複数の曲管41に一対のヘッダ5を接続する。このヘッダ5の接続構造は、先に述べたように、特別な部材を用いておらず、各曲管41の他端部41bをヘッダ5の開口部51に嵌入させて溶接またはろう付けを施すだけでよいために、そのコストを廉価にすることが可能である。また、曲管41の他端部41bおよび開口部51の配列ピッチP3は、大きくされているために、各曲管41とヘッダ5との接続作業がより容易となる。
なお、図13には示されていないが、周壁部20の上部開口および下部開口には、一対のカバー体21A,21Bを嵌入し、これらを周壁部20に溶接する。これらのカバー体21A,21Bについては、先に述べたとおり、周壁部20に形成されている複数の凸部25a,25bを利用して位置決めを図ることができるために、それらの取り付け作業も容易である。さらに、複数のブラケット23も周壁部20に溶接する。ただし、これらブラケット23の溶接時期は、板状部材20’を筒状に形成する前と後とのいずれであってもよい。
前記した製造方法により熱交換器A1が適切に製造されるが、前述の説明から理解されるように、この熱交換器A1においては、複数の螺旋状管体部40の端部400の配列ピッチP2が小さい場合であっても、複数の曲管41を利用することによって、ヘッダ5を複数の螺旋状管体部40に容易かつ適切に接続することができるという利点が得られる。とくに、本実施形態では、螺旋状管体部40に曲管41を接続した後に、螺旋状管体部40を管体2の周壁部20によって囲み込むようにしているために、螺旋状管体部40に曲管41を接続する作業は、一層容易である。さらには、複数の曲管41を螺旋状管体部40から大きく突出させている場合であっても、これら複数の曲管41を周壁部20(板状部材20’)の複数の開口部200に挿通させて、複数の螺旋状管体部40を板状部材20’によって適切に囲み込むことができる。各曲管41が缶体2の外部に突出する寸法が小さい場合には、ヘッダ5が缶体2にかなり接近することとなって、各曲管41にヘッダ5を取り付けるための溶接作業などが困難となる虞れがあるが、本実施形態によれば、各曲管41の一部を大きく突出させることができるために、そのような虞れも適切に解消される。
次に、図1に示した給湯装置Bの構成を説明する。この給湯装置Bは、熱交換器A1に加えて、燃焼器1、底部ケーシング80、および排気ダクト81を備えている。
燃焼器1は、たとえば灯油を燃料とし、この燃料を噴霧ノズル(図示略)を用いて下向きに噴霧して燃焼させる逆燃焼式のものであり、熱交換器A1の開口部22Aにその一部が進入するように設けられている。したがって、この給湯装置Bにおいては、前記燃料の噴射が熱交換器A1の第1の領域30aに向けて行なわれ、この第1の領域30aが燃焼室となっている。燃焼器1は、熱交換器A1上に接続された缶体10に覆われ、かつこの缶体10に支持されており、この缶体10の外部から配管12を介して燃料供給が行なわれるようになっている。缶体10の上部には、この缶体10内に燃焼用空気を下向きに送り込むための送風ファン13、およびこれを駆動するモータMが設けられている。送風ファン13による下向きの送風作用は、燃焼ガスを一定の経路で進行させるのに役立つ。
底部ケーシング80は、内部が空洞の略直方体のボックス状であり、この底部ケーシング80上に熱交換器A1および排気ダクト81が並ぶようにして載設されている。底部ケーシング80の上壁部には、熱交換器A1の開口部22Bおよび排気ダクト81の底部開口部と連通する開口部80a,80bが形成されている。このことにより、熱交換器A1の開口部22Bから底部ケーシング80内に向けて進行してきた燃焼ガスは、この底部ケーシング80内を通過して排気ダクト81に対してその下方から上向きに進行する。排気ダクト81内に流入した燃焼ガスは、その後排気口81aから排ガスとして外部に排出される。排気ダクト81は、たとえばグラスウールなどの吸音材(図示略)をその内部に備えており、排気音を低減する消音器としての役割を果たすようになっている。
熱交換器A1のドレイン排出口26bには、底部ケーシング80を貫通した配管82が接続されている。この構造により、ドレイン受け部26により受けられたドレインは、底部ケーシング80内に流れ込まないようになっている。配管82を介して排出されるドレインは、たとえば中和器(図示略)に送られるようになっている。この中和器は、酸性のドレインを中和するための炭酸カルシウムなどの中和剤を容器内に収容させたものである。
一対のヘッダ5には、給水管および給湯管(図示略)を接続する。この接続に際しては、好ましくは、下方側のヘッダ5が入水用となり、かつ上方側のヘッダ5が出湯用となるように接続する。このようにすると、複数の水管4に対する通水方向が上向きとなり、燃焼ガスの進行方向(下向き)とは反対方向となるために、熱交換効率を高めるのに有利となる。
この給湯装置Bにおいては、燃焼器1を駆動させると、第1の領域30a内において燃料が燃焼し、燃焼ガスが発生する。この燃焼ガスは、下向きに進行しようとするが、第1の領域30aの下部は仕切り部材6によって塞がれているため、第2の領域30bに直接進行することはない。燃焼ガスは、複数の螺旋状管体部40の第1の熱交換部HT1の隙間31を通過し、燃焼ガス通路32に流入することとなる。第1の熱交換部HT1は、そのような過程において、燃焼ガスから顕熱を回収する。第1の熱交換部HT1は、複数のループ部40aが重ね巻き状に並んでいるために、その熱回収量を多くすることが可能である。仕切り部材6の上面部は、凹状に形成されているために、第1の領域30aの中心部付近を下向きに進行してきた燃焼ガスは、その中心部付近を避けるようにして上向きに反射され、図1の矢印N1に示すような燃焼ガスの循環流れを生じさせることができる。この作用により、第1の領域30a内の燃焼ガス温度の均一化、ならびに複数段の隙間31のそれぞれに対する燃焼ガスの流入量の均一化が図られることとなり、熱交換効率をさらに高めることが可能となる。
燃焼ガス通路32に流入した燃焼ガスは、その後この燃焼ガス通路32を下向きに進行しつつ、第2の熱交換部HT2の隙間31を通過し、第2の領域30bに流れ込む。第2の熱交換部HT2は、そのような過程において、燃焼ガスから潜熱回収を行なう。この第2の熱交換部HT2も、第1の熱交換部HT1と同様に、複数のループ部40aが重ね巻き状に並んでいるために、その熱回収量を多くすることが可能である。第2の熱交換部HT2には、潜熱回収に伴って酸性のドレインが発生して付着するが、このドレインは、ドレイン受け部26に滴下してからドレイン排出口26bおよび配管82を介して適切に外部に排出される。したがって、底部ケーシング80内が酸性のドレインによって汚染されることはなく、底部ケーシング80をステンレスよりも廉価な銅や鉄などの材質とすることができる。第2の領域30bに流入した燃焼ガスは、その後底部ケーシング80および排気ダクト81内を通過して排気口81aから外部に排出される。
図14〜図25は、本発明の他の実施形態を示している。図14以降の図においては、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
図14に示す実施形態においては、板状部材20’(周壁部20)の各開口部200’が、複数の曲管41を一括して挿通可能なサイズに形成されている。このような構成によれば、複数の曲管41を開口部200’に挿通する作業が容易となり、板状部材20’によって複数の螺旋状管体部40を囲み込む作業も容易化される。ただし、各開口部200’のうち、曲管41が挿通されている部分以外は大きな隙間となるため、好ましくは、この隙間を塞ぐ手段として、カバー片202を用いる。このカバー片202は、複数の開口部200”を有しており、図15に示すように、これらの開口部200”に複数の曲管41を個別に挿通させるようにして、このカバー片202を板状部材20’に溶接する。このことにより、各開口部200’をカバー片202によって塞ぐことができ、缶体2内の燃焼ガスが各開口部200’を通過して缶体2の外部に漏出することを適切に防止することが可能である。本実施形態から理解されるように、本発明では、缶体の周壁部に形成される曲管挿通用の開口部の一部をカバー片により塞ぐ構成を採用することができる。なお、本発明では、螺旋状管体部40に曲管41を接続した後に、これを缶体2によって囲み込むことは必須ではなく、缶体2の周壁部20内に螺旋状管体部40を配置させた状態で、曲管41を周壁部20の開口部に挿通させてから螺旋状管体部40の端部に接続させる方法を採用することもできる。
図16〜図18に示す実施形態においては、複数の曲管41とヘッダ5とがOリング53、および抜け止め具9を利用して接続されている。より具体的には、曲管41の他端部41bには、拡管加工が施されていることにより、一対の大径状の段部411,412と、これらに挟まれた凹溝413が形成されている。この凹溝413には、弾性部材からなるOリング53が装着されている。一方、ヘッダ5の胴体部には、比較的短寸の円筒部54が連設されており、その孔部54aに曲管41の他端部41bが嵌入している。Oリング53は、孔部54aの内周面に圧接しており、優れた止水シール性を発揮する。
抜け止め具9は、薄肉金属板をプレス加工するなどして作製されたものであり、図19に示すように、基部90に一対の脚部91が連設され、かつこれら脚部91の先端部には先広がりの傾斜部91aが設けられたクリップ状である。一対の脚部91のそれぞれには、スリット92が形成されており、このスリット92の一側方(同図(a)の手前側)には、内幅D1の一対の円弧状部93Aが形成されている。抜け止め具9のスリット92の他側方には、内幅D2の一対の円弧状部93Bが形成されている。内幅D2は、内幅D1よりも大である。図17および図18によく表われているように、円筒部54の先端には、フランジ54bが形成されており、抜け止め具9は、そのスリット92内にフランジ54bが配置されるようにして円筒部54に装着されており、円弧状部93Bは、円筒部54の外周を挟み付け、かつフランジ54bに係止している。円弧状部93Aは、曲管41のうち、段部412の側方部分の外周を挟み付け、かつ段部412の側面に係止している。このような構成により、曲管41に抜け力が作用しても、この曲管41は孔部54aから容易に抜けないようになっている。
本実施形態によれば、曲管41とヘッダ5との連結を行なう場合、たとえば図20に示すように、曲管41の他端部41bを孔部54a内に挿入し、その後抜け止め具9を装着すればよい。抜け止め具9の装着は、その一対の脚部91の先端を円筒部54および曲管41の外周に当接させて押圧し、その先端部分を脚部91の弾発力に抗して拡開させることにより、いわゆるワンタッチで行なうことが可能である。したがって、その連結作業は非常に容易である。溶接などをその後に施す必要はなく、組み立て作業性が一層良好となる。
図21に示す実施形態においては、複数の螺旋状管体部40の端部400が、適当な寸法L1,L2で各螺旋状管体部4の周方向に位置ずれしている。本実施形態によれば、それら端部400と曲管41との嵌合接続箇所どうしが離間するために、それらの接続箇所に溶接またはろう付けを施す際に、溶接部分どうし、またはろう付け部分どうしが接触しないようにして、複数の螺旋状管体部40が互いに接合されないようにするのに好ましいものとなる。
図22に示す実施形態においては、缶体2の周壁部20の基本形状が真円の円筒状には形成されておらず、曲率の中心O1,O2が互いにオフセットされた第1および第2の部分S1,S2を有する略円筒状とされている。より具体的には、中心O1は、複数の螺旋状管体部40の中心に相当しており、第1の部分S1の基本形状は、この中心O1を中心とする適当な半径Rの断面半円弧状である。中心O2は、中心O1から複数の曲管41が配置されている方向に適当な距離L3だけオフセットされており、第2の部分S2の基本形状は、この中心O2を中心とする半径Rの断面半円弧状である。第1および第2の部分S1,S2の両端は、第3の部分S3を介して滑らかに繋がっている。複数の曲管41は、第2の部分S2の周方向中央部に貫通している。
本実施形態によれば、周壁部20と螺旋状管体部40との半径方向の隙間(燃焼ガス通路32に相当する)のうち、複数の曲管41が周壁部20に貫通している部分の寸法L4を大きくとることができる。寸法L4が大きいと、曲管41として、緩やかな曲げ形状のものを用いつつ、その他端部41bを周壁部20に対して好適に貫通させることが可能となる。その一方、本実施形態によれば、周壁部20と螺旋状管体部40との半径方向の隙間の寸法が、局所的に極端に大きくなるような部分を生じないようにすることができる。したがって、燃焼ガス通路32の周方向各所における燃焼ガス通過量に大きなバラツキを生じないようにすることもできる。
図23に示す実施形態においては、複数の螺旋状管体部40の管径が同一には揃えられておらず、最内周の螺旋状管体部40(40A)が他の複数の螺旋状管体部40(40B)よりも大きな管径とされている。螺旋状管体部40Aの巻きピッチは、螺旋状管体部40Bの巻きピッチとは相違するため、螺旋状管体部40Aのループ部40a間に隙間31を形成する手段として、スペーサ7とは突出部71の配列ピッチが相違する別のスペーサ7Aが用いられている。
螺旋状管体部40Aは、燃焼室としての第1の領域30aを直接囲んでおり、最も高温に加熱される部分であるために、その管径を大きくして、通水量を多くすれば、燃焼ガスからの熱回収量を多くして熱交換効率をさらに高めることが可能である。一方、図24に示すように、螺旋状管体部40Aの端部400には、その管径に応じた曲管41(41A)が接続され、ヘッダ5との連結が図られている。本実施形態から理解されるように、本発明によれば、複数の螺旋状管体部の管径が相違する場合であっても、それに適合した曲管を選択することにより、それら螺旋状管体部とヘッダとを適切に連結することが可能である。
図25に示す実施形態においては、熱交換器A2の仕切り部材6が、複数の螺旋状管体部40に囲まれた空間部3の下部開口を塞ぐように設けられている。したがって、空間部3は、上述した実施形態とは異なり、第1および第2の領域には区分されていない。複数の螺旋状管体部40の両端部400には、複数の曲管41を介して一対のヘッダ5が連結されているが、この部分の構成は、上述した実施形態と同様である。
本実施形態においては、燃焼器1を駆動させ、空間部3内において燃料を燃焼させると、燃焼ガスは、複数の螺旋状管体部40の隙間31を通過して燃焼ガス通路32に進行する。次いで、前記燃焼ガスは、燃焼ガス通路32を下向きに進行した後に、缶体2の開口部22Bから底部ケーシング80内に進行し、排気ダクト81の排気口81aから外部に排出される。複数の螺旋状管体部40の隙間31を通過する際に燃焼ガスから熱回収を行なうことが可能であるが、複数の螺旋状管体部40は重ね巻き状であるために、内周寄りの螺旋状管体部40により顕熱を回収するとともに、外周寄りの螺旋状管体部40により潜熱を回収させることが可能である。潜熱回収に伴って発生したドレインは、ドレイン受け部26により受けられ、かつ配管82を介して外部に排出される点は、先の実施形態と同様である。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器および温水装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
上述の実施形態においては、水管の螺旋状管体部が中空円状であるが、これをたとえば中空矩形状に形成した場合にも、本発明を適用することが可能である。缶体の周壁部も略円筒状に限定されず、たとえば角筒状に形成することが可能である。
本発明に係る熱交換器は、逆燃焼方式の燃焼器と組み合わせ使用される場合に限らず、たとえば燃料を上向き、あるいは横向きに燃焼させる燃焼器と組み合わせて使用することもできる。燃焼器としては、オイル燃焼器に代えて、ガス燃焼器などを用いることもできる。本発明に係る温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を含む。
A1,A2 熱交換器
HT1 第1の熱交換部
HT2 第2の熱交換部
1 燃焼器
2 缶体
3 空間部
4 水管
5,5A ヘッダ
6 仕切り部材
20 周壁部(缶体の)
21A,21B カバー体
22A,22B 開口部
30a 第1の領域
30b 第2の領域
31 隙間
32 燃焼ガス通路
40 螺旋状管体部
41 曲管
41a 一端部(曲管の)
41b 他端部(曲管の)
400 端部(螺旋状管体部の)
HT1 第1の熱交換部
HT2 第2の熱交換部
1 燃焼器
2 缶体
3 空間部
4 水管
5,5A ヘッダ
6 仕切り部材
20 周壁部(缶体の)
21A,21B カバー体
22A,22B 開口部
30a 第1の領域
30b 第2の領域
31 隙間
32 燃焼ガス通路
40 螺旋状管体部
41 曲管
41a 一端部(曲管の)
41b 他端部(曲管の)
400 端部(螺旋状管体部の)
Claims (12)
- 筒状の周壁部を有する缶体と、
前記缶体内において重ね巻き状に配された複数の螺旋状管体部を含む複数の水管と、
前記複数の水管に接続された入水用または出湯用の少なくとも1つのヘッダと、
を備えている、熱交換器であって、
前記複数の螺旋状管体部の端部に一端部が嵌合して接続され、かつ他端部が前記缶体の外部に位置するように前記缶体の周壁部を貫通した複数の曲管を備えており、
前記ヘッダは、前記複数の曲管の他端部に接続されて前記缶体の外部に配されていることを特徴とする、熱交換器。 - 前記複数の螺旋状管体部の端部および前記複数の曲管の一端部の配列ピッチよりも、前記複数の曲管の前記周壁部を貫通する部分および他端部の配列ピッチの方が大きくされている、請求項1に記載の熱交換器。
- 前記各曲管の一端部の最先端は、部分的に小径化または大径化されており、この小径化または大径化された部分が各螺旋状管体部の端部に嵌合している、請求項1または2に記載の熱交換器。
- 前記複数の曲管の他端部寄り部分は、平行に並んだ真直状とされており、かつ前記周壁部に対する貫通部分から前記他端部に到る部分には、前記貫通部分よりも外径が大きい箇所が存在しない構成とされている、請求項3に記載の熱交換器。
- 前記各曲管の他端部の外周には、テーパ面を有する段部が形成されているとともに、前記ヘッダには、水管接続用の複数の開口部が設けられており、前記各曲管の他端部は、前記テーバ面が前記各開口部の周縁に当接するようにして前記各開口部に嵌入し、前記ヘッダに溶接またはろう付けされている、請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器。
- 前記各曲管の他端部の外周には、環状の凹溝を形成する一対の段部が形成され、かつ前記凹溝には、Oリングが装着されており、
前記ヘッダには、水管接続用の複数の孔部、およびこれら複数の孔部の開口周縁に位置する係合用の複数のフランジが設けられており、
前記各曲管の他端部は、前記各孔部に嵌入されているとともに、前記一対の段部の一方と前記各フランジには、前記各曲管の他端部が前記各孔部から抜けることを防止する抜け止め具が係合している、請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器。 - 前記複数の螺旋状管体部のそれぞれの端部は、前記複数の螺旋状管体部の巻き方向において互いに位置ずれしている、請求項1ないし6のいずれかに記載の熱交換器。
- 前記複数の螺旋状管体部は、中空円状に巻かれているとともに、
前記缶体の周壁部は、その基本形状が前記複数の螺旋状管体部と略同心の断面円弧状とされた第1の部分と、その基本形状が前記複数の螺旋状管体部の中心から前記複数の曲管寄りにオフセットされた位置を中心とする断面円弧状とされた第2の部分とを含む略円筒状とされており、
前記複数の曲管は、前記第2の部分に貫通している、請求項1ないし7のいずれかに記載の熱交換器。 - 前記缶体の周壁部のうち、前記複数の曲管が貫通している部分およびその周辺部分は、平板状に形成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の熱交換器。
- 前記缶体の軸長方向両端に形成された第1および第2の開口部と、
前記複数の螺旋状管体部に囲まれた空間部の前記軸長方向中間部に設けられ、前記空間部を第1および第2の領域に区画するとともに、前記複数の螺旋状管体部を前記第1および第2の領域のそれぞれを囲む第1および第2の熱交換部に区画する仕切り部材と、
前記螺旋状管体部と前記缶体の周壁部との間に形成された燃焼ガス通路と、を備えており、
前記缶体の外部から前記第1の開口部を介して前記第1領域に導入され、または前記第1の領域において発生された燃焼ガスが、前記第1の熱交換部の管体隙間を通過して前記燃焼ガス通路に進行した後に前記第2の熱交換部の管体隙間を通過して前記第2の開口部から前記缶体の外部に排出可能な構成とされている、請求項1ないし9のいずれかに記載の熱交換器。 - 前記缶体の軸長方向両端に形成された第1および第2の開口部と、
前記複数の螺旋状管体部に囲まれた空間部の前記第2の開口部寄りの終端部を塞ぐ仕切り部材と、
前記螺旋状管体部と前記缶体の周壁部との間に形成された燃焼ガス通路と、を備えており、
前記缶体の外部から前記第1の開口部を介して前記空間部に導入され、または前記空間部において発生された燃焼ガスが、前記複数の螺旋状管体部の管体隙間を通過して前記燃焼ガス通路に進行した後に前記第2の開口部から前記缶体の外部に排出可能な構成とされている、請求項1ないし9のいずれかに記載の熱交換器。 - 燃焼器と、この燃焼器により発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、を備えている、温水装置であって、
前記熱交換器として、請求項1ないし11のいずれかに記載の熱交換器を備えていることを特徴とする、温水装置。
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