JP4923824B2 - 熱交換器および温水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水管を利用して燃焼ガスから熱回収を行う熱交換器、およびこれを備えた温水装置に関する。
本出願人は、熱交換器の具体例として、特許文献1〜3に記載されたものを先に提案している。この従来の熱交換器は、コイル状管体部を有する少なくとも1つの水管と、前記コイル状管体部を内部に収容する缶体とを備えている。この熱交換器においては、前記缶体内に燃焼ガスが導入されると、前記コイル状管体部によって前記燃焼ガスから熱回収がなされ、前記コイル状管体部内を流通する水が加熱される。前記コイル状管体部については、たとえば直線状の水管と比較して、伝熱面積を大きくとることが可能である。したがって、前記したような熱交換器においては、水管の総数を少なくして構造の簡素化や全体の小型化を図りつつ、高い熱交換効率を達成可能である。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき点があった。
すなわち、コイル状管体部は、1本のパイプをたとえば連続した螺旋状に曲げたものである。このため、コイル状管体部の軸長方向の寸法が長くされている場合、あるいはその管体の肉厚が薄くされてその剛性が低い場合などには、コイル状管体部の軸長方向両端部を固定させたとしても、軸長方向中間部が変形し、軸長方向と交差する方向に位置ずれし易い。このような位置ずれは、コイル状管体部が鉛直方向に起立した姿勢に設定されている場合にも生じ得る。また、熱交換器は、コイル状管体部が斜めに傾斜した姿勢、あるいは横倒しの姿勢にされる場合もあり、とくにそのような姿勢にされる場合には、コイル状管体部の軸長方向中間部が重力に起因して大きく垂れ下がり易い。ところが、前記したようなコイル状管体部の位置ずれを生じると、コイル状管体部と缶体とが本来の位置関係とは異なるものとなる。これでは、熱交換効率が低下するといった不具合を招く虞がある。
なお、従来においては、コイル状管体部の変形防止手段として、たとえば特許文献4の図5〜図7に記載された手段がある。この手段においては、コイル状管体部の複数箇所を複数の板材を用いてクランプしている。しかしながら、このような手段においては、複数の板材を用いてコイル状管体部の複数箇所をそれぞれ個々にクランプする作業が非常に煩雑であり、製造コストが高価となる。このような不具合は、コイル状管体部の巻き数(段数)が多い場合に、より顕著となる。
特開2005−321170号公報 特開2005−321171号公報 特開2005−321172号公報 実開昭55−110902号公報
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、コイル状管体部の軸長方向中間部が不当に位置ずれすることを、構造が簡易で組み立て作業性も良好な手段によって適切に防止することができる熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することをその課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、一連に繋がった複数のループ部が複数の隙間を介して軸長方向に並んでいる少なくとも1つの熱交換用のコイル状管体部と、前記コイル状管体部の外周囲に空隙部を形成するようにして前記コイル状管体部を囲む周壁部を有する缶体と、を備えている、熱交換器であって、前記コイル状管体部の複数の隙間のうち、前記コイル状管体部の軸長方向中間部に位置するいずれかに、全体または一部が挿入されて支持され、かつ前記コイル状管体部に対して前記軸長方向と交差する方向への相対移動が阻止されたアタッチメントを備えており、このアタッチメントには、前記缶体の周壁部に向けて突出し、かつ先端部が前記周壁部の内周面に当接する突出部が設けられており、前記アタッチメントは、略半円弧状の一対のプレートを有し、かつこれら一対のプレートのそれぞれの両端部には、前記各プレートの厚み方向に突出した部分を有する断面L字状の係合突起とこれに対応する係合孔とが設けられており、前記一対のプレートは、これら一対のプレートの両端部のうち、一端部どうしの間には前記コイル状管体部のループ部を挟み込む一方、他端部どうしの間には前記コイル状管体部のループ部を挟み込まないようにして前記コイル状管体部の隙間に挿入された状態に設定されて、前記係合突起が前記係合孔に係入されることにより前記一対のプレートがリング状に連結されていることを特徴としている。
このような構成によれば、アタッチメントの作用により、コイル状管体部の軸長方向中間部が変形して軸長方向と交差する方向に位置ずれすることは適切に防止される。したがって、コイル状管体部と缶体との位置関係に狂いが生じて熱交換効率が低下するといった不具合を生じないようにすることができる。一方、アタッチメントは、コイル状管体部に形成されているループ間の隙間に挿入されて支持されているために、その取付構造を簡素とし、その組み付け作業も容易にすることができる。
さらに、前記構成によれば、アタッチメントの構成要素であるプレートをコイル状管体部の隙間に挿入した後に、これらのプレートを連結することにより、コイル状管体部に対するアタッチメントの取り付けが図られることとなり、その取り付け作業は容易である。また、アタッチメントとコイル状管体部との干渉が回避可能であるために、たとえばそれらの中心どうしを一致させて、アタッチメントの一部がコイル状管体部の一側方へ部分的に大きくはみ出すといったことも生じないようにすることができる。さらに、アタッチメ
ントは、リング状であるため、このアタッチメントによってコイル状管体部の内方の空間部を塞がないようにすることもできる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記コイル状管体部として、略同心の重ね巻き状に配列された複数のコイル状管体部を有しており、前記複数のコイル状管体部の内方の空間部には、この空間部を前記軸長方向において第1および第2の領域に仕切り、かつ前記空間部の一端開口部から前記第1の領域に燃焼ガスが供給されたときにこの燃焼ガスが前記第2の領域に直接進行することを阻止する燃焼ガスストッパが設けられており、前記アタッチメントは、前記複数のコイル状管体部を前記軸長方向において前記第1および第2の領域に対応する2つの領域に仕切るように設けられている。
このような構成によれば、まず、コイル状管体部を複数備えていることによって熱回収量を多くすることができる。加えて、第1の領域に燃焼ガスが供給されると、この燃焼ガスは、燃焼ガスストッパに衝突した後に、複数のコイル状管体部のうち、第1の領域に対応する部分を通過して複数のコイル状管体部の外周の空隙部に進行し、その後複数のコイル状管体部のうち、第2の領域に対応する部分を通過することとなり、各コイル状管体部に対して燃焼ガスを効率良く作用させることができる。アタッチメントは、前記複数のコイル状管体部を第1および第2の領域に対応する2つの領域に仕切っているために、燃焼ガスが、複数のコイル状管体部のうち、第1の領域に対応する箇所からコイル状管体部の外周囲の空隙部を経ることなく、第2の領域に対応する箇所に直接進行することは適切に阻止される。したがって、燃焼ガスを所定の経路で適切に流通させることができ、熱交換効率を高めるのにより好適となる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記燃焼ガスストッパは、前記アタッチメントと一体的に形成されていることにより、または前記アタッチメントに前記燃焼ガスストッパと係合もしくは接続される部分が設けられていることにより、前記アタッチメントに支持されている。
このような構成によれば、燃焼ガスストッパをコイル状管体部内の空間部の所定箇所に固定配置させることがアタッチメントを利用して合理的に行なわれることとなり、それらの部材の取付作業の容易化、あるいは取付構造の簡素化などを図るのにより好適となる。
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、本発明の第1の側面により提供される熱交換器と、この熱交換器の前記コイル状管体部の内方の空間部に燃焼ガスを供給するための燃焼器と、を備えていることを特徴としている。
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器について述べ
たのと同様な効果が得られる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図6は、本発明が適用された温水装置の具体例としての給湯装置およびこれに関連する構成を示している。図1によく表われているように、本実施形態の給湯装置Aは、燃焼器1、熱交換器B、底部ケーシング80、および排気ダクト81を備えている。
燃焼器1は、たとえば灯油または軽油などの燃料オイルを噴霧ノズル14によって下向きに噴霧させて燃焼させるいわゆる逆燃方式のものである。噴霧ノズル14から噴霧された噴霧燃料は、バーナ筒11内において燃焼用空気と混合されてからその下方に吐出されて燃焼する。燃焼器1は、熱交換器B上に載設された缶体10により覆われ、かつ支持されており、この缶体10の外部から配管12を介して燃料供給が行なわれるようになっている。缶体10の上部には、燃焼器1に燃焼用空気を供給するための送風ファン13およびこれを駆動するモータMが設けられている。
熱交換器Bは、缶体2、複数(本実施形態においては計4本)の水管4、一対のヘッダ49a,49b、燃焼ガスストッパ6、およびアタッチメント7を備えている。
缶体2は、略円筒状の周壁部20と、この周壁部20の上部および底部に設けられた上壁部21Aおよび底壁部21Bとを有している。上壁部21Aには、バーナ筒11の下部が進入する開口部22Aが形成されている。底壁部21Bには、複数の水管4によって熱回収がなされた燃焼ガスを通過させるための開口部22Bが形成されている。周壁部20は、図3の仮想線および実線で示されているように、両端縁にリブ200a,200bが形成された可撓性を有する板材を丸めて、それらのリブ200a,200bを接合することにより、円筒状の定形化を図ったものである。
図2(a)によく表われているように、複数の水管4としては、たとえば管径が同一に揃えられたたとえば3本の水管4(4’)と、これらよりも大径の1本の水管4(4”)とがある。これらの水管4は、いずれも螺旋状のコイル状管体部40を有している。このコイル状管体部40は、螺旋状に繋がった平面視中空円形状のループ部40aが複数の隙間31を介して鉛直方向に並んだ構成を有している。ただし、複数の水管4のそれぞれのコイル状管体部40は、巻き径が互いに相違しており、略同心の重ね巻き状に配置されている。水管4(4”)のコイル状管体部40(40”)は最内周に位置している。最内周の水管4(4”)は最も高温に加熱されるため、この管径を大きくして内部の水量を多くすれば、その沸騰を防止するのに好ましいものとなる。
複数のコイル状管体部40は、缶体2の周壁部20との間に、燃焼ガス通路となる空隙部32が形成されるようにして缶体2内に収容されている。上壁部21Aおよび底壁部21Bのそれぞれと複数のコイル状管体部40との間には、リング状のスペーサ50a,50bが介装されており、またこれらに接合されるなどして上下のストッパ51a,51bも設けられている。スペーサ50a,50bは、複数のコイル状管体部40の上方および下方に燃焼ガスが通過する隙間を生じないようにするためのものであり、また複数のコイル状管体部40の取り付け姿勢を安定させるのにも役立つ。複数のコイル状管体部40の上面部および下面部は、平面状ではなく、傾斜している。スペーサ50a,50bのうち、複数のコイル状管体部40に当接する下面または上面は、そのような複数のコイル状管体部40の上面部および下面部に対応した傾斜面となっている。なお、燃焼ガスから潜熱回収を行なうと、燃焼ガス中の水蒸気が凝縮して多くのドレイン(凝縮水)が発生し、このドレインは、複数のコイル状管体部40の外面を伝って下方に流れる。スペーサ50bは、そのようなドレインを受ける役割をも果たす。このスペーサ50bによって受けられたドレインは、燃焼ガス通過用の開口部22Bに流入するようになっている。
ストッパ51a,51bは、複数のコイル状管体部40の上部および下部を位置決めし、かつそれらの位置ずれを防止するための部分であり、最外周のコイル状管体部40の上部および下部の外周面の略全周を囲んでいる。ストッパ51bは、スペーサ50b上に流れてきたドレインがこのスペーサ50bの外周囲に流れ落ちることを防止する役割も果たす。
複数のコイル状管体部40の上端および下端には、複数の補助管体部41a,41bが繋がって設けられている。これらの補助管体部41a,41bは、缶体2の周壁部20を貫通して缶体2の内部から外部に引き出されており、一対のヘッダ49a,49bと連結されている。ヘッダ49bには給水管(図示略)が接続され、この給水管から供給されてくる水道水などの水が複数の水管4内に供給される。ヘッダ49aには出湯管(図示略)が接続されており、複数の水管4内を通過して加熱された湯水は、前記出湯管を介して所望の給湯先に送り出される。
燃焼ガスストッパ6は、複数のコイル状管体部40の内方の空間部3を第1および第2の領域30a,30bに仕切り、かつ第1の領域30aに対してその上方側から下向きに進行してくる燃焼ガスの下方への進行を阻止するためのものである。複数のコイル状管体部40は、第1の領域30aを囲む第1の熱交換部HT1と、第2の領域30bを囲む第2の熱交換部HT2とに区分される。燃焼ガスストッパ6は、空間部3を仕切る本体部60と、この本体部60の外周面から突出した鍔部61とを有している。本体部60は、金属板60aと、その上面を覆う耐火性に優れた断熱材60bとを備えており、上面部が窪んだ碗状または凹皿状に形成されている。本体部60をこのような形状にすれば、燃焼室として機能する第1の領域30aの容積を大きくするのに有利となる。鍔部61は、螺旋状である。この燃焼ガスストッパ6は、鍔部61を最内周のコイル状管体部40(40”)の複数の隙間31内に挿入させて、この最内周のコイル状管体部40(40”)に螺合させることにより、その取り付けが図られている。
アタッチメント7は、複数のコイル状管体部40の軸長方向中間部(本実施形態では、鉛直方向中間部)の位置ずれを防止するためのものである。このアタッチメント7は、図5(a)に示すように、略半円弧状の一対のプレート70A,70Bを備えており、これらがリング状に組み合わされて構成される。プレート70A,70Bの両端部には、略L字状に屈曲した係合突起71aとこれに対応する係合孔71bとが設けられている。同図(c)に示すように、係合突起71aを係合孔71bに係入させることにより、一対のプレート70A,70Bをリング状に組み合わせたときに、これらが容易に分離しないように連結可能である。同図(b),(c)においては、係合突起71aの長さs1が比較的短かく示されているが、図4(c)に示すように、2つの係合突起71aの少なくとも一方は、コイル状管体部40(40’)のループ部40aの軸長方向ピッチと同等程度またはそれ以上の比較的長い寸法とされている。これは、一対のプレート70A,70Bをコイル状管体部40の隙間31内に挿入させた場合に、これらのプレート70A,70Bのそれぞれの一端部どうしの間にループ部40aを配置させつつ、それら一端部どうしの連結を可能として、これら一対のプレート70A,70Bとコイル状管体部40との干渉を回避するためである。
プレート70A,70Bのそれぞれには、管体係止用の複数の凸部72と、円弧状の外周縁から法線方向に突出した複数の突出部73とが形成されている。図6によく表われているように、各凸部72は、たとえはプレート70Aまたは70Bに、切欠き部74を形成した後にその周辺部を起立させるいわゆる切り起こし加工により形成されている。図5(a)に表われているように、複数(たとえば4つの)の突出部73のうち、2つの突出部73は、プレート70A,70Bのそれぞれの一端部に形成されており、これら2つの突出部73に先述の係合孔71bが設けられている。このような構成によれば、係合孔71bとこれに対応する係合突起71aとをアタッチメント7の中心から遠い距離に配置することが可能となり、図4(c)に示したように、複数のコイル状管体部40の外方においてそれらを係合させることができる。各突出部73の先端部73aは、好ましくは、略L字状に屈曲されている(図6を参照)。このようにすると、先端部73aが缶体2の周壁部20に当接したときの当接面積が大きくなるため、それらの部分の当接が安定する。また、たとえば熱交換器Bに振動を生じて先端部73aが周壁部20に衝突を繰り返す現象が発生した場合に、その衝突音を小さくし得るなどの利点も得られる。
図2に示すように、アタッチメント7は、燃焼ガスストッパ6の鍔部61と略同一高さとなるようにして、3本のコイル状管体部40(40’)の隙間31に一連に挿入されて支持されている。図5(a)に示したように、アタッチメント7のプレート70A,70Bを分離させておけば、これらを隙間31内にその外方から個々に挿入させて、これらをリング状に組み合わせることが可能である。また、その後に係合突起71aと係合孔71bとを係合させることにより、プレート70A,70Bの分離が阻止されるために、アタッチメント7を隙間31内に安定させて支持させることが可能である。
アタッチメント7の複数の凸部72は、最外周のコイル状管体部40の軸長方向中間部の外面に当接している。また、複数の突出部73の先端部73aは、缶体2の周壁部20の内周面に当接している(図4(a)を参照)。アタッチメント7は、3本のコイル状管体部40(40’)を上下2つの領域に仕切っている。これら上下2つの領域は、前述した第1および第2の熱交換部HT1,HT2と略一致しており、空間部3の第1および第2の領域30a,30bに対応している。
図1において、底部ケーシング80は、内部が空洞の略直方体のボックス状であり、この底部ケーシング80上に熱交換器Bおよび排気ダクト81が並べられて載設されている。熱交換器Bの缶体2内を下向きに通過した燃焼ガスは、この底部ケーシング80内に流入した後に上向きにUターンして排気ダクト81の底部開口部に進行するようになっている。排気ダクト81内に流入した燃焼ガスは、その後排気口81aから排ガスとして外部に排出される。熱交換器Bにおいて発生したドレインは、燃焼ガス通過用の開口部22Bから底部ケーシング80の底部80a上に流れ落ちるようになっており、この底部には、この底部80aによって受けられたドレインを外部に排出するための排出口82が形成されている。
次に、前記した給湯装置Aの作用について説明する。
まず、燃焼器1を駆動させると、空間部3の第1の領域30a内に燃焼ガスが供給される。すると、この燃焼ガスは、燃焼ガスストッパ6に衝突した後に、第1の熱交換部HT1の複数の隙間31を通過して空隙部32に流入し、その後第2の熱交換部HT2の複数の隙間31を通過して第2の領域30bに流入する。このような過程において、前記燃焼ガスからは複数のコイル状管体部40の各所によって順次熱回収がなされ、複数の水管4内を流れる湯水が効率良く加熱される。燃焼ガスからの熱回収に際しては、顕熱に加えて、潜熱をも回収することが可能である。
一方、既述したとおり、アタッチメント7は、複数の突出部73の先端部73aが缶体2の周壁部20に当接しているために、缶体2内における水平方向への移動が阻止されている。また、アタッチメント7の複数の凸部72は、最外周のコイル状管体部40の外周面に当接している。このため、最外周のコイル状管体部40の水平方向への移動は、アタッチメント7によって適切に防止される。すると、それよりも内周寄りに位置する他の複数のコイル状管体部40についても、水平方向への移動が防止される。その結果、熱交換器Bが運搬時などにおいて斜めにされたり、あるいは振動を受けた場合などであっても、複数のコイル状管体部40の軸長方向中間部が変形して位置ずれすることは適切に回避される。複数のコイル状管体部40の軸長方向中間部が水平方向に位置ずれした場合には、空隙部32に幅が狭くなる部分と大きくなる部分とのそれぞれが大きな面積で発生し、空隙部32の各所を燃焼ガスが均一に流れ難くなるため、熱交換効率が低下する。これに対し、本実施形態においては、そのような不具合が適切に回避される。もちろん、アタッチメント7は、複数のコイル状管体部40との干渉が回避されており、各コイル状管体部40と同心状に配置させることができるために、このアタッチメント7自体が空隙部32の開口幅などに大きな偏りを生じさせることも無い。複数のコイル状管体部40の上端部および下端部については、ストッパ51a,51bによって位置決めが図られているために、コイル状管体部40の全体が位置ずれすることも無い。
アタッチメント7は、3本のコイル状管体部40(40’)を上下2つの領域に仕切る仕切部材としての役割をも果たしている。このため、第1の領域30aから第1の熱交換部HT1に進入した燃焼ガスが、たとえば図2(b)の矢印N1で示すように進行したとしても、この燃焼ガスがそのまま第2の熱交換部HT2に進行することは阻止される。前記燃焼ガスが第2の熱交換部HT2に直接進行した場合には、外周寄りのコイル状管体部40に作用する燃焼ガス量が少なくなる虞がある。これに対し、本実施形態によれば、前記燃焼ガスを空隙部32に向けてガイドすることができ、前記した虞を無くすことが可能である。
図7は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
図7に示す実施形態においては、アタッチメント7Cの内周縁に、空間部3内に突出した突出部78が設けられている。燃焼ガスストッパ6の鍔部61は、この突出部78上に載せられて係止している。このことにより、燃焼ガスストッパ6は、アタッチメント7Cに支持されている。本実施形態から理解されるように、本発明においては、燃焼ガスストッパとアタッチメントとを別体に形成した場合に、燃焼ガスストッパをアタッチメントに支持させる構成とすることもできる。この場合、前記両者を単に係合させることに代えて、適当な手段を用いて前記両者を接続させてもよい。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器、および温水装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明は、コイル状管体部が鉛直方向に起立した姿勢に設定されるタイプの熱交換器に限らず、コイル状管体部が斜めに傾斜した姿勢、あるいは横倒しの姿勢に設定されるタイプの熱交換器にも適用することができる。そのようなタイプの熱交換器においては、コイル状管体部の軸長方向中間部が下方に変形し易くなるため、アタッチメントは、そのような下方への変形を的確に阻止し得るように構成することが望ましい。アタッチメントの外周縁に設けられる突出部は、周方向に間隔を隔てて複数設けることが好ましいが、これに限定されない。たとえば、コイル状管体部が横倒しの姿勢とされて下方に変形し易い場合には、そのような一方向への変形のみを防止し得るように、アタッチメントの突出部が1つだけ設けられていても十分な実効性がある。
アタッチメントは、燃焼ガスストッパと組み合わされることなく使用することもできる。すなわち、コイル状管体部を用いた熱交換器としては、燃焼ガスストッパを用いないタイプのものもあるが、このようなタイプの熱交換器であっても、コイル状管体部の軸長方向中間部の変形を阻止することが要請される場合があり、そのような場合にも本発明を適用することができる。アタッチメントは、コイル状管体部に対してその軸長方向と交差する方向への相対移動が阻止されている必要があるが、そのための手段としては、種々の手段を採用することができる。たとえば、アタッチメントとは別部材を用いて、このアタッチメントとコイル状管体部の軸長方向中間部とを係止させ、あるいは連結するといった手段を採用することもできる。
コイル状管体部の本数は、任意に選択できる事項であり、1本とすることもできる。また、コイル状管体部のループ部は、円形ループ状に限らず、たとえば矩形ループ状などの他の形状に形成することもできる。したがって、缶体の周壁部についても、コイル状管体部の形状に対応させて、たとえば矩形筒状に形成することができる。アタッチメントについても同様である。燃焼器としては、オイル燃焼器の他に、ガス燃焼器などを用いることもできる。本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を含む。暖房用の装置では、熱媒体として不凍液がよく用いられるが、コイル状管体部には、そのような不凍液、あるいはこれに類する液体が供給されてもかまわない。
本発明が適用された給湯装置の一例を示す概略断面図である。 (a)は、図1に示す給湯装置の構成要素である熱交換器の要部断面図であり 、(b)は、(a)の要部拡大断面図である。 図2(a)に示す熱交換器の要部平面断面図である。 (a)は、図2(a)に示す熱交換器のアタッチメントが取り付けられている 部分の要部平面断面図であり、(b)は、(a)の符号IVで示す部分の要部拡大図であ り、(c)は、(a)の概略断面図である。 (a)は、図4に示されているアタッチメントの分解平面図であり、(b)は 、(a)のV−V要部断面図であり、(c)は、(b)に示す部分を係合させた状態の 要部断面図である。 図5のVI−VI断面図である。 アタッチメントの他の例を示す要部平面断面図である。
符号の説明
A 給湯装置(温水装置)
B 熱交換器
1 燃焼器
2 缶体
4 水管
6 燃焼ガスストッパ
7,7A〜7C アタッチメント
20 周壁部(缶体の)
31 隙間(コイル状管体部のループ部の)
32 空隙部
40 コイル状管体部
40a ループ部(コイル状管体部の)
70A,70B プレート(アタッチメントの)
72 凸部(アタッチメントの)
73 突出部(アタッチメントの)
73a 先端部(アタッチメントの突出部の)

Claims (5)

  1. 一連に繋がった複数のループ部が複数の隙間を介して軸長方向に並んでいる少なくとも1つの熱交換用のコイル状管体部と、
    前記コイル状管体部の外周囲に空隙部を形成するようにして前記コイル状管体部を囲む周壁部を有する缶体と、
    を備えている、熱交換器であって、
    前記コイル状管体部の複数の隙間のうち、前記コイル状管体部の軸長方向中間部に位置するいずれかに、全体または一部が挿入されて支持され、かつ前記コイル状管体部に対して前記軸長方向と交差する方向への相対移動が阻止されたアタッチメントを備えており、
    このアタッチメントには、前記缶体の周壁部に向けて突出し、かつ先端部が前記周壁部の内周面に当接する突出部が設けられており、
    前記アタッチメントは、略半円弧状の一対のプレートを有し、かつこれら一対のプレートのそれぞれの両端部には、前記各プレートの厚み方向に突出した部分を有する断面L字状の係合突起とこれに対応する係合孔とが設けられており、
    前記一対のプレートは、これら一対のプレートの両端部のうち、一端部どうしの間には前記コイル状管体部のループ部を挟み込む一方、他端部どうしの間には前記コイル状管体部のループ部を挟み込まないようにして前記コイル状管体部の隙間に挿入された状態に設定されて、前記係合突起が前記係合孔に係入されることにより前記一対のプレートがリング状に連結されていることを特徴とする、熱交換器。
  2. 前記コイル状管体部として、略同心の重ね巻き状に配列された複数のコイル状管体部を有しており、
    前記複数のコイル状管体部の内方の空間部には、この空間部を前記軸長方向において第1および第2の領域に仕切り、かつ前記空間部の一端開口部から前記第1の領域に燃焼ガスが供給されたときにこの燃焼ガスが前記第2の領域に直接進行することを阻止する燃焼ガスストッパが設けられており、
    前記アタッチメントは、前記複数のコイル状管体部を前記軸長方向において前記第1および第2の領域に対応する2つの領域に仕切るように設けられている、請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記燃焼ガスストッパは、前記アタッチメントと一体的に形成されていることにより、
    または前記アタッチメントに前記燃焼ガスストッパと係合もしくは接続される部分が設けられていることにより、前記アタッチメントに支持されている、請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記アタッチメントには、前記コイル状管体部の軸長方向中間部の外周面に当接する凸部が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器と、この熱交換器の前記コイル状管体部の内方の空間部に燃焼ガスを供給するための燃焼器と、を備えていることを特徴とする、温水装置。
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