JP5234479B2 - 粘着付与樹脂エマルジョンおよび水系粘・接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着付与樹脂エマルジョンおよび水系粘・接着剤組成物に関する。
従来、粘着剤の分野では溶剤系粘・接着剤組成物が主流であったが、環境負荷や労働環境への影響などの観点から急速に水系化が進行しており、現在では粘着シートや粘着ラベル、粘着テープ等の多くの粘着製品において、水系粘・接着剤組成物が利用されている。
水系粘・接着剤組成物は、一般的には、アクリル系重合体エマルジョン等のエラストマーと、粘着付与樹脂エマルジョンと、必要に応じて各種添加剤とを水に分散させてなるものである。また、粘着付与樹脂エマルジョンとしては、基材に対する粘・接着剤層の粘・接着力の改善等を意図して、ロジン系樹脂を用いたものが賞用されている(例えば、特許文献1を参照)。
水系粘・接着剤組成物には通常、粘・接着剤層の耐熱保持力や、基材に対する粘・接着力等の基本性能が要求される他、剥離紙を用いた粘・接着製品の製造に供される場合には、さらに、剥離紙に対する塗工性の向上が求められる。
塗工性が不良であると、水系粘・接着剤組成物の塗膜に種々の欠陥(以下、塗膜欠陥という)が生じ、粘・接着製品の生産効率が悪化する。なお、剥離紙を用いた粘・接着製品の生産に於いては、剥離紙の剥離剤層に水系粘・接着剤組成物を塗工し、その後乾燥させてから基材を貼り合わせるといった工程が取られるが、昨今、粘・接着製品の生産効率を向上させるために塗工速度が高速化しており、水系粘・接着剤組成物が低粘度化されていることから、前記塗膜欠陥が生じやすくなっている。
塗膜欠陥にはいくつかの種類があり、例えば、塗膜面で円形や楕円形の無塗工部分が生じる「センターのハジキ」や、塗膜の端が塗膜中央に縮むようにして無塗工部分(無塗工帯)が現れる「エッジのハジキ」が知られている。塗膜欠陥を改善するには、剥離紙への濡れを促進するような低分子量の界面活性剤(濡れ剤)を用いる方法が一般的であるが、十分な効果が得られないうえ、塗膜中にそれらが混在するため、粘・接着剤層の耐熱保持力が低下しやすい。また、粘着付与樹脂エマルジョンとして、アクリル系ポリマーからなる乳化剤を利用したものを用いる試みもなされているが(例えば、特許文献2を参照)、やはり効果は十分ではない
特開2004−375484号公報 特開2002−275437号公報
本発明は、前記塗膜欠陥がほとんど生じないなど剥離紙への塗工性に優れ、かつ、粘・接着剤層の耐熱保持力や基材に対する粘・接着力が良好な水系粘・接着剤組成物の製造を可能とする、新規な粘着付与樹脂エマルジョンを提供することを、主たる目的とする。
本発明者は、下記特定の共重合体(A)を乳化剤とする特定の粘着付与樹脂エマルジョンにより、前記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は;
1.アクリル酸とアクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸とメタクリル酸アルキルエステル(a1)、反応性乳化剤(a2)、スルホン酸系不飽和単量体(a3)、ならびにスチレン系不飽和単量体(a4)を反応成分とする共重合体(A)の存在下で、重合ロジン類と多価アルコールと金属塩化合物との反応物(b1)を含む粘着付与樹脂(B)を乳化してなる、粘着付与樹脂エマルジョン、
3.前記共重合体(A)がさらに、前記(a1)〜(a4)以外の不飽和単量体(a5)として、ノニオン性単量体類を反応成分とするものである、前記1.または2.に記載の粘着付与樹脂エマルジョン、
4.前記反応物(b1)における重合ロジン類が、非変性重合ロジンおよび/またはα,β−不飽和カルボン酸変性重合ロジンである、前記1.〜3.のいずれか記載の粘着付与樹脂エマルジョン、
5.前記反応物(b1)における金属化合物が、2価金属の水酸化物、2価金属の塩化物および2価金属の硫酸塩からなる群より選ばれるいずれか少なくとも一種である、前記1.〜4.のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン、
6.前記反応物(b1)の軟化点が140〜190℃である、前記1.〜5.のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン、
7.アクリル系重合体エマルジョンと、該アクリル系重合体エマルジョンに対して2〜40重量%(固形分換算)となる前記1.〜6.のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョンとを含有してなる、水系粘・接着剤組成物、に関する。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンによれば、粘・接着剤層の耐熱保持力や基材に対する粘着力が優れ、特に、剥離紙に塗工しても塗膜欠陥がほとんど生じないなど塗工性にも優れる水系粘・接着剤組成物を得ることができる。
また、本発明の水系粘・接着剤組成物は、剥離紙へ高速塗工した場合にも前記塗膜欠陥がほとんど生じないなど塗工性に優れており、これによれば、耐熱保持力や、基材(特にポリオレフィン基材)に対する粘・接着力に優れる塗膜が得られる。そのため、本発明の水系粘・接着剤組成物は、紙ラベルやシート、テープ等の各種粘着製品の他、建材用接着剤等の分野においても有用である。
本発明に係る粘着付与樹脂エマルジョンは、(メタ)アクリル酸類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステル類(a1)(以下、(a1)成分という)、反応性乳化剤(a2)(以下、(a2)成分という)、スルホン酸系不飽和単量体(a3)(以下、(a3)成分という)、ならびにスチレン系不飽和単量体(a4)(以下、(a4)成分という)を反応成分とする共重合体(A)を、粘着付与樹脂(B)の乳化剤ないし分散剤(以下、単に乳化剤と略す)として用いる点に特徴があり、そのことにより、特に剥離紙への塗工性に優れる水系粘・接着剤組成物が得られる。
前記(a1)成分としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、前記(メタ)アクリル酸類としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸(以下、まとめて(メタ)アクリル酸という)や、これらを各種中和剤で中和してなる塩類〔ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルからなる群より選ばれる1種を用いると、特に、共重合体(A)の乳化能ないし分散能(以下、単に乳化能と称する)や、得られる水系粘・接着剤組成物の剥離紙への塗工性が良好となり好ましい。
なお、前記(メタ)アクリル酸類と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の双方を用いる場合は、前者対後者が15/85〜85/15程度、好ましくは30/70〜70/30程度となる重量比で用いればよい。なお、(a1)成分として、アクリル酸とアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸とメタクリル酸アルキルエステル、および、メタクリル酸とアクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の組み合わせを用いた場合には、特に、共重合体(A)の乳化能や、得られる水系粘・接着剤組成物の剥離紙への塗工性が良好となり好ましい。
前記(a2)成分としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。ここに「反応性乳化剤」とは、一分子中に、ラジカル重合性の官能基と、繰り返し単位数が5〜50程度(好ましくは10〜30)のオキシアルキレン基(以下、オキシアルキレン基と略す)と、各種親水性官能基と、各種疎水性基とをそれぞれ少なくとも一つは有する乳化剤をいい、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。
該ラジカル重合性の官能基としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、イソプロペニル基、ビニル基等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリロイル基や1−プロペニル基は、(a2)成分と他の反応成分とのラジカル重合反応性が良好であるため好ましい。
また、該オキシアルキレン基としては、具体的には、例えば、前記繰り返し単位数を有するオキシエチレン基やオキシプロピレン基、オキシブチレン基、また、これらオキシアルキレン基がブロック共重合もしくはランダム共重合した基などが挙げられる。
また、該親水性官能基としては、具体的には、例えば、アニオン性官能基(−SONa、−SONH、−COONa、−COONH)や、水酸基が挙げられる。なお、該親水性官能基は、前記オキシアルキレン基と結合していてもよい。
また、該疎水性基としては、具体的には炭素数5〜20程度の炭化水素基(直鎖状、分岐状または環状のいずれかであればよい)が挙げられ、例えば、直鎖状ないし分岐状のアルキル基、芳香族基を例示できる。なお、該芳香族基には、該疎水性基や前記ラジカル重合性官能基、前記オキシアルキレン基が結合していてもよい。
なお、(a2)成分の中でも、下記一般式(1):
Figure 0005234479
(式中、Rは炭素数1〜20(好ましくは5〜15)のアルキル基を、nは5〜100(好ましくは10〜50)の整数を、Xは−H、−SONaおよび−SONHから選ばれる少なくとも1種の基を表す。)で表される反応性乳化剤を用いると、特に共重合体(A)の乳化能が良好となり好ましい。
当該一般式(1)で表される反応性乳化剤の市販品としては、例えば、アクアロンRN−10、アクアロンRN−20、アクアロンRN−30、アクアロンRN−50、アクアロンRN−2025、アクアロンHS−10、アクアロンHS−20、アクアロンHS−1025(以上、いずれも商品名、第一工業製薬(株)製)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他、(a2)成分に対応する他の市販品としては、例えばニューフロンティアA229E、ニューフロンティアN−117E、ニューフロンティアN250Z(以上、いずれも商品名、第一工業製薬(株)製)や、KAYAMER PM−1、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21(以上、いずれも商品名、日本化薬(株)製の)、SE−10N、NE−10、NE−20、NE−30(以上、いずれも商品名、ADEKA(株)製)、エミノールJS−2(商品名、三洋化成工業(株)製)、ラテルムK−180(商品名、花王(株)製)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記(a3)成分((a2)成分に該当するものを除く)としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもスチレンスルホン酸を用いると、共重合体(A)の乳化能が良好になり好ましい。
前記(a4)成分としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、アセトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、クロルビニルトルエン等などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもスチレンやα-メチルスチレンを用いると、共重合体(A)の乳化能が良好になり好ましい。
本発明では必要に応じて、共重合体(A)の他の反応成分として、(a1)〜(a4)成分以外の各種公知の不飽和単量体(以下、(a5)成分という)を用いることができる。
具体的には、各種公知のノニオン性単量体類、例えば、アミド系不飽和単量体〔(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体等〕、水酸基含有不飽和単量体〔(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等〕、その他ノニオン性単量体〔メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート類、炭素数6〜22のα−オレフィン、ビニルピロリドン等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、該ノニオン性単量体類として、特に前記アミド系不飽和単量体を用いると、得られる水系粘・接着剤組成物の剥離紙への塗工性が良好となり好ましい。
その他の(a5)成分としては、例えば、α,β−不飽和ジカルボン酸類〔クロトン酸等、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸等〕、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリル酸エステル系単量体〔ポリオキシアルキレン系単量体等〕、ニトリル系不飽和単量体〔(メタ)アクリロニトリル等〕、ビニルエステル系単量体〔酢酸ビニル等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合体(A)を構成する各反応成分の使用量は特に限定されないが、共重合体(A)の乳化能等を考慮すると、共重合体(A)の総重量(固形分換算)に対して、通常、(a1)成分が20〜35重量%(好ましくは25〜35重量%)、(a2)成分が25〜40重量%(好ましくは30〜40重量%)、(a3)成分が5〜20重量%(好ましくは10〜20重量%)、(a4)成分が5〜20重量%(好ましくは10〜20重量%)、(a5)成分が0〜15重量%未満であるのがよい。
共重合体(A)は、各種公知の方法で製造することができる。具体的には、水溶液重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の方法を利用することができる。なお、共重合体(A)を、エマルジョンにおける乳化剤として用いることを考慮すると、水溶液重合法が好ましい。
例えば水溶液重合法の場合には、水(および必要に応じて低級アルコール)とラジカル重合開始剤(および必要に応じて連鎖移動剤)の存在下で、大気圧下(好ましくは不活性ガス気流下)において、前記(a1)〜(a4)成分(必要に応じて更に(a5)成分)を、通常40〜95℃程度の温度で、1〜6時間程度かけて、ラジカル重合反応させることにより、共重合体(A)を得ることができる。なお、反応系の固形分濃度は特に限定されないが、通常は10〜40重量%程度である。
なお、前記低級アルコールとしては、具体的には、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、該イソプロピルアルコールは連鎖移動剤としても作用する。
また、前記ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸系開始剤〔過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等〕や、アゾ系重合開始剤〔2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−メチルバレロニトリル等〕、有機過酸化系開始剤〔過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。該重合開始剤の使用量は、共重合体(A)の総重量(固形分換算)に対して通常0.1〜5重量部程度である。
また、前記連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、オクタンチオール、ドデカンチオール、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、イソプロピルアルコール、四塩化炭素、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クメン、チオグリコール酸エステル、アルキルメルカプタンなどが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、該重合開始剤の使用量は、共重合体(A)の総重量(固形分換算)に対して通常は0.5〜30重量%程度である。
なお、(a1)成分として未中和の(メタ)アクリル酸を用いる場合には、共重合体(A)を製造した後に、当該未中和の(メタ)アクリル酸類に由来するカルボキシル基を各種中和剤で中和してもよい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
粘着付与樹脂(B)は、重合ロジン類と多価アルコールと金属塩化合物との反応物(b1)(以下、(b1)成分という)を主成分として含有するものである。本発明では、当該粘着付与樹脂(B)を用いることにより、得られる水系粘・接着剤組成物の粘・接着剤層の耐熱保持力や、基材(特にポリオレフィン基材)に対する粘・接着力が良好となる。
該(b1)成分をなす重合ロジン類としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、非変性重合ロジンおよび/またはα,β−不飽和カルボン酸変性重合ロジンを用いることができる。該非変性重合ロジンは、各種ロジン類(ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等)を各種公知の方法で二量化ないし三量化させてなるものである。また、該α,β−不飽和カルボン酸変性重合ロジンは、該非変性重合ロジンとα,β−不飽和カルボン酸類とのディールス・アルダー反応物(以下、α,β−不飽和カルボン酸類変性重合ロジンという)である。なお、該α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、前記(メタ)アクリル酸類や、前記α,β−不飽和ジカルボン酸類が挙げられる。また、該α,β−不飽和カルボン酸類変性重合ロジンは、前記非変性重合ロジン100重量部に対し前記α,β−不飽和カルボン酸類を0.5〜10重量部程度の範囲で加熱反応させることにより得ることができる。本発明では、(b1)成分として該α,β−不飽和カルボン酸類変性重合ロジン、特にフマル変性重合ロジンおよび/またはアクリル酸変性重合ロジンを用いると、水系粘・接着剤組成物の塗工性や耐熱保持力が良好となり好ましい。
また、該(b1)成分をなす多価アルコール類としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、2価アルコール〔エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等〕、3価アルコール〔グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等〕、4価アルコール〔ペンタエリスリトール、ジグリセリン等〕、6価アルコール〔ジペンタエリスリトール等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、重合ロジン類と多価アルコール類は、重合ロジン類のカルボキシル基のモル当量に対して多価アルコールの水酸基のモル当量が通常0.5〜2.0程度となる比率で反応させればよい。(なお、「モル当量」とは、各原料の使用モル(mol)と該原料の官能基個数(eq)とを掛けた値をいう。以下、同様。)
また、該(b1)成分をなす金属化合物としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、1価金属〔リチウム等〕、2価金属〔亜鉛、カルシウム等〕、3価金属〔アルミニウム等〕の酸化物、塩化物、水酸化物、硫酸塩などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、2価金属の水酸化物、2価金属の塩化物および2価金属の硫酸塩からなる群より選ばれるいずれか少なくとも一種が好ましい。なお、重合ロジン類と金属化合物は、前者に対して後者が通常0.1〜5重量%程度となる範囲で反応させればよい。なお、当該金属化合物を用いない場合には、水系粘・接着剤組成物の耐熱保持力が不良となる。
該(b1)成分は、各種公知の方法で製造することができる。具体的には、例えば、(ア)重合ロジン類と多価アルコールと金属塩化合物とを一度に仕込み、エステル化反応と金属塩化反応を逐次行う方法、(イ)重合ロジン類と多価アルコールとをエステル化反応させた後で、さらに金属塩化合物で金属塩化反応させる方法、(ウ)重合ロジン類と金属塩化合物を金属塩化反応させた後に、さらに多価アルコールでエステル化反応させる方法などを利用することができる。
なお、エステル化反応と金属塩化反応の条件はいずれも特に限定されないが、通常は、反応温度が150〜300℃程度、反応時間が5〜20時間程度である。また、エステル化反応を行う際には生成水を系外に除去する必要がある。また、両反応は不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましく、必要に応じて有機溶剤や触媒を用いることができる。該有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂環族炭化水素系溶剤(メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、該触媒としては、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの酸触媒などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
こうして得られる(b1)成分の物性は特に規定されないが、例えば、軟化点(JIS K 5902)は通常140〜190℃程度であり、当該軟化点のものを用いると、水系粘・接着剤組成物の耐熱保持力が特に良好になる。また、酸価(JIS
K 0070)は通常2〜100程度である。
なお、粘着付与樹脂(B)における当該(b1)成分の含有量は、通常、50〜100重量%程度である。なお、50重量%未満であれば、各種公知の粘着付与樹脂(以下、(b2)成分という)を併用できる。該(b2)成分としては、具体的には、例えば、前記ロジン類、該ロジン類と前記金属化合物との反応物(ロジン石鹸)、該ロジン類の安定化物(不均化ロジン、水素化ロジン等)、該ロジン類の安定化物と前記多価アルコールとのエステル反応物、ロジン変性フェノール樹脂、該ロジン変性フェノール樹脂と前記多価アルコール類とのエステル反応物、前記重合ロジン類(非変性重合ロジン、α,β−不飽和カルボン酸類変性重合ロジン)、該重合ロジン類と前記多価アルコール類とのエステル反応物などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、前記共重合体(A)の存在下で、前記粘着付与樹脂(B)を乳化することにより得ることができる。具体的には、例えば、(ア’)前記粘着付与樹脂(B)を前記芳香族炭化水素系溶剤で溶解し、次いで前記共重合体(A)と軟水を添加した後に、高圧乳化機を用いて系をエマルジョンとなし、減圧下に該溶剤を除去する方法、(イ’)前記粘着付与樹脂(B)と少量の前記芳香族炭化水素系溶剤とを混合し、次いで共重合体(A)を練り込み、さらに熱水を徐々に添加してゆき、転相乳化させてエマルジョンとする方法(さらに、減圧下に該溶剤を除去してもよい)、(ウ’)加圧下または常圧下にて、前記粘着付与樹脂(B)の軟化点以上の温度で、粘着付与樹脂(B)に共重合体(A)を練り込み、さらに熱水を徐々に添加してゆき、転相乳化させてエマルジョンとする方法、などを利用することができる。
なお、前記乳化の際には、本発明の効果を阻害しない範囲において、各種公知の非反応性乳化剤を併用することができる。具体的には、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキルフェノールエーテル及びポリオキシアルキルフェノールエーテル硫酸エステル塩などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
こうして得られた粘着付与樹脂エマルジョンの物性は特に限定されないが、作業性やハンドリングの面から、例えば、固形分濃度が通常20〜70重量%程度、粘度(B型粘度計による25℃における測定値)が通常20〜1000mPa・sec程度であることが好ましい。特に、当該粘着付与樹脂エマルジョンを、剥離紙を支持体とする粘・接着製品に供する水系粘・接着剤組成物の製造のために用いる場合には、該固形分濃度を55〜60重量%、該粘度を100〜1000mPa・secとするのが好ましい。その他、該粘着付与樹脂エマルジョンは、平均粒子径が通常0.2〜2μm程度、外観が白色ないし乳白色、pHが2〜10程度である。
本発明の水系粘・接着剤組成物は、各種公知のアクリル系重合体エマルジョンと、該アクリル系重合体エマルジョンに対して2〜40重量%(固形分換算)となる本発明の粘着付与樹脂エマルジョンと、必要に応じて他の添加剤とからなるものである。
該アクリル系重合体エマルジョンとしては、アクリル系ポリマーを主体とする水系アクリル系粘・接着剤として各種公知のものを特に制限なく用いることができる。なお、該アクリル系ポリマーは、前記(メタ)アクリル酸類や前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、前記水酸基含有不飽和単量体、前記ビニルエステル系単量体などを主な反応成分とするものである(例えば、特開2003−238932号等参照)。また、該アクリル系重合体エマルジョンを製造する際には、前記非反応性乳化剤を用いてもよい。また、該添加剤としては、例えば、消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤等が挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の水系粘・接着剤組成物は、例えば、各種公知の粘・接着製品(ラベル、シール、ステッカー等)を製造するために用いることができる。なお、該水系粘・接着剤組成物は、前記したように、塗膜欠陥が生じないなど剥離紙への塗工性に優れることから、特に、剥離紙を用いた粘・接着製品の製造に好適である。なお、かかる剥離紙を用いた粘・接着製品は、一般的には、剥離原紙(紙、フィルム、金属フォイル等)、シリコーン系剥離剤層、粘・接着剤層、表面基材(紙、フィルム、金属フォイル等)がこの順に積層されてなるものである。また、当該粘・接着製品の製造は、剥離紙(シリコーン系剥離剤層を有する剥離原紙)の剥離剤層に、本発明の水系粘・接着剤組成物を塗布し、更に前記表面基材を積層することにより製造できる。なお、塗布方法としては、リバースロールコーター、コンマコーター、エアーナイフコーター、ナイフコーター等を採用できる。
以下に製造例、実施例および比較例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。
製造例1−1(共重合体(A)の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器および攪拌装置を備えた四つ口フラスコに、アクリル酸30部、メタクリル酸メチル12部、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−20」、第一工業製薬(株)製)30部(固形分換算)、スチレンスルホン酸ソーダ15部、およびスチレン13部を仕込み、更にイオン交換水10部を加えて単量体水溶液とした。次いで該単量体水溶液に、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを10部、過硫酸アンモニウム2.4部、イオン交換水72部を添加した。次いで、反応系を85℃まで昇温してから2時間保持し、ラジカル重合反応を行った。次いで、反応系に過硫酸アンモニウムを1部を添加し、更に1時間保温した。その後、反応系に48%水酸化ナトリウム水溶液を18部添加してからよく攪拌し、常温まで冷却した。こうして、固形分21.0%の共重合体(A−1)の水溶液を得た。
製造例1−2(共重合体(A)の製造)
製造例1−1と同様の反応装置に、アクリル酸15部、メタクリル酸メチル10部、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−10」、第一工業製薬(株)製)40部(固形分換算)、スチレンスルホン酸ソーダ10部、スチレン10部、およびアクリルアミド15部を仕込み更にイオン交換水10部を加えて単量体水溶液とした。次いで該単量体水溶液に、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン5部、過硫酸アンモニウム2.4部、イオン交換水72部を添加した。次いで、反応系を85℃まで昇温してから2時間保持し、ラジカル重合反応を行った。次いで、反応系に過硫酸アンモニウム1部を添加し、更に1時間保温した。その後、反応系に48%水酸化ナトリウム水溶液を16.8部添加してからよく攪拌し、常温まで冷却した。こうして、固形分20.9%の共重合体(A−2)の水溶液を得た。
製造例1−3(共重合体(A)の製造)
製造例1−1と同様の反応装置に、アクリル酸27.5部、アクリル酸メチル12.5部、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名アクアロン「RN−50」、第一工業製薬(株)製)を固形分換算で35部、スチレンスルホン酸ソーダ15部、およびスチレン10部を仕込み、更にイオン交換水10部を加えて単量体水溶液とした。次いで該単量体水溶液に、ドデカンチオール1部、過硫酸カリウム4部、イオン交換水70部を添加した。次いで、反応系を85℃まで昇温してから2時間保持し、ラジカル重合反応を行った。次いで、反応系に過硫酸アンモニウムを1部を添加し、更に1時間保温した。その後、反応系に48%水酸化ナトリウム水溶液を20部添加してからよく攪拌し、常温まで冷却した。こうして、固形分21.1%の共重合体(A−3)の水溶液を得た。
製造例1−4(共重合体(A)の製造)
製造例1−1と同様の反応装置に、アクリル酸27.5部、アクリル酸n−ブチル12.5部、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−10」、第一工業製薬(株)製)32.5部(固形分換算)、スチレンスルホン酸ソーダ15部、およびスチレン12.5部を仕込み、更にイオン交換水10部を加えて単量体水溶液とした。次いで該単量体水溶液に、ドデカンチオール1部、過硫酸カリウム4部、イオン交換水70部を添加た。次いで、反応系を85℃まで昇温してから2時間保持し、ラジカル重合反応を行った。次いで、反応系に過硫酸アンモニウムを1部を添加し、更に1時間保温した。その後、反応系に48%水酸化ナトリウム水溶液を20部添加してからよく攪拌し、常温まで冷却した。こうして、固形分20.9%の共重合体(A−4)の水溶液を得た。
製造例1−5(共重合体(A)の製造)
製造例1−1と同様の反応装置に、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル17.5部、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−50」、第一工業製薬(株)製)25部(固形分換算)、スチレンスルホン酸ソーダ10部およびスチレン7.5部を仕込み、更にイオン交換水20部を加えて単量体水溶液とした。次いで該単量体水溶液に、オクタンチオール1部、過硫酸カリウム2部、イオン交換水300部添加した。次いで、反応系を85℃まで昇温してから2時間保持し、ラジカル重合反応を行った。次いで、反応系に過硫酸アンモニウムを1部を添加し、更に1時間保温した。その後、反応系に48%水酸化ナトリウム水溶液を24部添加してからよく攪拌し、常温まで冷却した。こうして、固形分24.3%の共重合体(A−5)の水溶液を得た。
Figure 0005234479
なお、表1中のうち一部の記号は以下を意味する。
AA:アクリル酸
MAMe:メタクリル酸メチル
AMe:アクリル酸メチル
ABu:アクリル酸n−ブチル
MAA:メタクリル酸
SSNa:スチレンスルホン酸ソーダ
St:スチレン
AAM:アクリルアミド
NV:固形分
製造例2−1(粘着付与樹脂(B)の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器および攪拌装置を備えた1リットル容の四つ口フラスコに、非変性重合ロジン(酸価140)500部を仕込み、窒素気流下で180℃に昇温して溶融させた。次いで、撹拌下に、220℃でペンタエリスリトール50部と水酸化カルシウム5部とを添加した後、280℃まで昇温して、同温度で12時間エステル化反応を行った。次いで、同温度で反応系を1時間減圧し、生成水を除去した。こうして、酸価12、軟化点170℃の反応物を得た。これをそのまま粘着付与樹脂(B−1)として用いた。
製造例2−2(粘着付与樹脂の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器および攪拌装置を備えた1リットル容の四つ口フラスコに、非変性重合ロジン(酸価140)500部を仕込み、窒素気流下で180℃に昇温して溶融させた。次いで、撹拌下に、200℃でフマル酸20部を添加して1時間保持し、フマル酸変性重合ロジンを製造した。次いで、撹拌下に、ペンタエリスリトール62部と水酸化カルシウム6部とを添加した後、280℃まで昇温して、同温度で12時間エステル化反応を行った。次いで、同温度で反応系を1時間減圧し、生成水を除去した。こうして、酸価14、軟化点175℃の反応物を得た。これをそのまま粘着付与樹脂(B−2)として用いる。
製造例2−3(粘着付与樹脂の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器および攪拌装置を備えた1リットル容の四つ口フラスコに、非変性重合ロジン(酸価140)500部を仕込み、窒素気流下で180℃に昇温して溶融させた。次いで、撹拌下に、200℃でアクリル酸15部を添加して1時間保持し、アクリル酸変性重合ロジンを製造した。次いで、撹拌下に、ペンタエリスリトール60部と水酸化カルシウム5.3部とを添加した後、280℃まで昇温して、同温度で12時間エステル化反応を行った。次いで、同温度で反応系を1時間減圧し、生成水を除去した。こうして、酸価14、軟化点171℃の反応物を得た。これをそのまま粘着付与樹脂(B−3)として用いる。
製造例3(アクリル系重合体エマルジョンの製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器および攪拌装置を備えた四つ口フラスコに、70℃の窒素ガス気流下において、水44.5部およびアニオン系乳化剤(商品名ハイテノールS、固形分50%、第一工業製薬(株)製)0.90部を溶解仕込み、撹拌下に下記(1)単量体混合物と下記(2)開始剤溶液との合計の1/10量を添加して、70℃において30分間予備重合反応を行い、その後、残りの9/10量を2時間かけて滴下し、滴下終了後、70℃でさらに1時間完結反応を行い、室温に冷却した。こうして得られたアクリル系重合体エマルジョンを、水系粘着剤組成物のベースポリマーとして用いる。
(1)アクリル酸ブチル33.00部、アクリル酸2−エチルヘキシル11.30部、アクリル酸0.96部からなる単量体混合物
(2)過硫酸カリウム0.23部、pH調整剤(重ソウ)0.11部および水9.04部からなる開始剤溶液
実施例1(粘着付与樹脂エマルジョンおよび水系粘着剤組成物の製造)
前記粘着付与樹脂(B−1)100部をトルエン60部に100℃にて約1時間溶解した後、80℃まで冷却した。次いで、前記共重合体(A−1)を固形分換算で3部、水160部を添加し、75℃にて1時間強撹拌して予備乳化を行った。得られた予備乳化物は、高圧乳化機(マントンガウリン社製)にて、29.4MPaの圧力で高圧乳化することにより乳化物とした。次いで、減圧蒸留装置に該乳化物200部を仕込み、50℃、133hPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分55%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。その後、該粘着付与樹脂エマルジョン20部(固形分換算)と、前記アクリル系重合体エマルジョン80部(固形分換算)とを混合して、水系粘着剤組成物を調製した。
実施例2〜13
共重合体と粘着付与樹脂の種類を表1で示すように変えたほかは実施例1と同様にして、固形分55%の粘着付与樹脂エマルジョンをそれぞれ得た。また、各粘着付与樹脂エマルジョンを用い、実施例1と同様にして水系粘着剤組成物を得た。
比較例1
実施例1において、粘着付与樹脂として、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル(軟化点160℃)に変えた他は同様の操作を行い、固形分55%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。また、実施例1と同様にして水系粘着剤組成物を得た。
比較例2
実施例1において、乳化剤を市販のアニオン性低分子界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)に変えた他は同様の操作を行い、固形分55%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。また、実施例1と同様にして水系粘着剤組成物を得た。
(塗工性(塗膜欠陥)の評価)
A4サイズにカットした剥離紙上に、実施例1で調製した水系粘着剤組成物を、塗工量が15g/m(dry)となるようにハンドアプリケーターにて塗工した後(幅8cm)、当該剥離紙を乾燥機中で乾燥させて(105℃×120秒)、乾燥塗膜(粘着剤層)のセンターのハジキとエッジのハジキを以下の基準で評価した。なお、センターのハジキは、塗膜帯に無塗工部分が何個生じたかにより目視評価した。また、エッジのハジキは、塗膜帯の片端に生じた無塗工帯の幅(mm)を計ることにより評価した。また、他の実施例と比較例についても同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
◎:センターのハジキ、エッジのハジキが共に、ほとんど認められない
○:センターのハジキ・・・1〜2個程度、エッジのハジキ・・・約1〜2mm未満
○−:センターのハジキ・・・3〜4個程度、エッジのハジキ・・・約2〜3mm程度
×:センターのハジキが多く、またエッジのハジキも大きく、均一な塗工面が得られない。
(粘着力の評価)
厚さ38μmのPETフィルム上に、実施例1で調製した水系粘着剤組成物を、乾燥膜厚が30μmとなるようにサイコロ型アプリケーターにて塗工した後、当該PETフィルムを当該剥離紙を乾燥機中で乾燥(105℃×120秒)させた後、試料テープ(巾25mm×長さ150mm)とした。次いで、該試料テープをポリエチレン板に貼り付け、PSTC−1に準じて180゜剥離時の接着力(g/25mm)を測定した。なお、試験条件は温度が20℃、剥離速度が300mm/分である。また、他の実施例と比較例についても同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
(耐熱保持力の評価)
実施例1で調製した水系粘着剤組成物について、前記同様にして試料テープを作製した。次いで、該試料テープについて、PSTC−7に準じてクリープ試験を行い、粘着剤層の耐熱保持力を評価した。なお、評価は温度60℃、荷重1.2kgの条件下で24時間保持した時に、試験片が落下するまでの時間として表した。また、他の実施例と比較例についても同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005234479
※1:重合ロジンのペンタエリスリトールエステル(軟化点160℃)であることを示す。
※2:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであることを示す。

Claims (6)

  1. アクリル酸とアクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸とメタクリル酸アルキルエステル(a1)、反応性乳化剤(a2)、スルホン酸系不飽和単量体(a3)、ならびにスチレン系不飽和単量体(a4)を反応成分とする共重合体(A)の存在下で、重合ロジン類と多価アルコールと金属塩化合物との反応物(b1)を含む粘着付与樹脂(B)を乳化してなる、粘着付与樹脂エマルジョン。
  2. 前記共重合体(A)がさらに、前記(a1)〜(a4)以外の不飽和単量体(a5)として、ノニオン性単量体類を反応成分とするものである、請求項1に記載の粘着付与樹脂エマルジョン
  3. 前記反応物(b1)における重合ロジン類が、非変性重合ロジンおよび/またはα,β−不飽和カルボン酸変性重合ロジンである、請求項1又は2記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
  4. 前記反応物(b1)における金属化合物が、2価金属の水酸化物、2価金属の塩化物および2価金属の硫酸塩からなる群より選ばれるいずれか少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
  5. 前記反応物(b1)の軟化点が140〜190℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
  6. アクリル系重合体エマルジョンと、該アクリル系重合体エマルジョンに対して2〜40重量%(固形分換算)となる請求項1〜5のいずれかに記載の粘着付与樹脂エマルジョンとを含有してなる、水系粘・接着剤組成物。
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