JP5233410B2 - 反応装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
図1は本発明の第1実施形態に係る電子機器100を示すブロック図である。この電子機器100はノート型パーソナルコンピュータ、PDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、ゲーム機器等といった携帯型の電子機器である。
燃料容器102内の混合液は、送液ポンプ103により反応装置110の気化器104に送液される。
気化器104は燃料容器102から送られた混合液を後述する電気ヒータ兼温度センサ153や改質器105からの伝熱により約110〜160℃程度に加熱し、気化させる。気化器104で気化した混合気は改質器105へ送られる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
なお、化学反応式(1)についで逐次的に起こる次の化学反応式(2)のような副反応によって、副生成物として一酸化炭素が微量に(1%程度)生成される。
H2+CO2→H2O+CO …(2)
化学反応式(1)及び(2)の反応による生成物(改質ガス)は一酸化炭素除去器106に送出される。
2CO+O2→2CO2 …(3)
化学反応式(3)の反応は発熱反応であるため、吸熱反応(混合液の気化)が行われる気化器104と隣接して配置される。
一酸化炭素除去器106を通過した改質ガスは燃料電池セル140に送出される。
燃料極142には燃料供給流路144aを介して改質ガスが送られる。燃料極142では改質ガス中の水素による次の電気化学反応式(4)に示す反応が起こる。
H2→2H++2e- …(4)
生成した水素イオンは固体高分子電解質膜141を透過して酸素極143に到達する。生成した電子はアノード出力電極146に供給される。
2H++1/2O2+2e-→H2O …(5)
なお、固体高分子電解質膜141の両面には、電気化学反応式(4)、(5)の反応を促進する図示しない触媒が設けられている。
次に、反応装置110の構造について説明する。図2は反応装置110の斜視図、図3は図2のIII−III切断線に対応する模式断面図、図4は図2のIV矢視図である。反応装置110は、反応装置本体111と、反応装置本体111を収容する断熱容器(第1の容器)120とからなる。反応装置110は、例えばステンレス(SUS304)やコバール合金、ニッケル基合金等の金属板を貼り合わせて形成してもよいし、光学材料あるいはガラス基板等を貼り合わせて形成してもよい。
高温反応部115には、改質器105となる改質流路105a及び触媒燃焼器109となる触媒燃焼流路109aが設けられる。また、高温反応部115には、電気ヒータ兼温度センサ155が設けられており、高温反応部115は電気ヒータ兼温度センサ155により約300〜400℃に保たれる。電気ヒータ兼温度センサ155は、断熱容器120を貫通するリード線155cに接続されており、リード線155cを介して断熱容器120の外部より電力が供給される。電気ヒータ兼温度センサ155は、絶縁膜155a,155bにより他の部材と絶縁されている。
なお、図3において、リード線153c、155cは高圧側または低圧側の1本だけを図示した。また、図3は簡明に示すため、図中のリード線153c、155cが重畳しないように記載したが、実際は横方向から見た場合に重畳してもよい。
輻射放熱膜113aの材料としては、作成方法が簡便である材料を選択することができ、SiO2やアルミナ(Al2O3)に代表される各種酸化物や、カオリン等の粘土鉱物、セラミック等を用いることができる。例えば、SiO2、Al2O3、カオリンやRFeO3(Rは希土類)、ハフニウム酸化物やYSZや、チタン酸化物を含有する耐熱輻射塗料などを用いることができる。
輻射放熱膜113aは、例えば高輻射率の材料を含有するエマルジョン液体を基板等に塗布し、乾燥させることでシート状に形成することができる。
あるいは、断熱容器20内のガスを吸着する非蒸発型ゲッターにより輻射放熱膜113aを形成してもよい。
輻射放熱膜113aは、断熱容器120の内壁面の輻射透過窓160と対向配置される。
第1連結部112は高温反応部115や低温反応部113において反応する反応物や生成する生成物の流路となる配管を含む。第1連結部112は、他端側で断熱容器120を貫通するとともに、一端で低温反応部113に接続され、他端で送液ポンプ103、燃料電池セル140、図示しないエアポンプ等に接続される。また、第1連結部112は、低温反応部113から断熱容器120の外部に反応物や生成物を送る流路となる第1配管(流出配管)112bと、断熱容器120の外部から低温反応部113に反応物や生成物を送る第2配管(流入配管)112cとを備える。
第1配管及び第2配管との間、第3配管及び第4配管との間でそれぞれ熱交換が行われるようにしてもよい。
断熱容器120は、筐体121と、輻射透過窓160とから概略構成される。
筐体121の内壁面には、反応装置本体111からの輻射による熱損失を抑制するために、輻射を反射する反射膜121aが形成されている。反射膜121aにより、反応装置本体111からの輻射による筐体121への熱量の移動が抑制される。
輻射透過窓160に適した材料としては、例えば、Si、GeやYF3、CeF3、Y2O3、CeO2等を用いることができる。
図14は光の波長による光の透過率を水槽の厚さ毎に示すスペクトルである。水の厚さが1mmの場合には、波長2μm以上の輻射がほぼ100%吸収され、また水の厚さが100μmの場合にも、波長2μm以上の輻射がほとんど吸収され、波長6μm以上の輻射がほぼ100%吸収されている。したがって、これらの流路深さでは、輻射の熱量のほとんどが輻射透過窓160に吸収され、熱が断熱容器へと伝わってしまい、余剰エネルギーを輻射によって外部に放出するという目的に合わない。
これに対し、水の厚さが3μmでは、波長3μmの輻射を選択的に95%以上吸収し、外部への透過を抑制できる。また、水の厚さが10μmでは、選択的に波長3μmの輻射を100%吸収し、波長6μmの輻射を約95%吸収し、外部への透過を抑制できる。したがって、赤外領域の輻射のうち皮膚に吸収されやすい波長領域の輻射を選択的に吸収するためには、輻射光透過領域162の流路の深さは、3μmから10μmとすればよい。
輻射光透過領域162の流路深さを5μmとした場合、800℃の黒体が放出する輻射のうち約71%が透過し、また400℃の黒体が放出する輻射のうち約66%が透過することがわかる。
ΔT=60Qw/4.19f …(6)
となる。従って、流量は、
f=14.3Qw/ΔT …(7)
となる。例えば、室温25℃の環境下において、透過窓温度が35℃となるようにΔTを10℃とすると、水に吸収される熱量1Wあたりで14.3(cm3/min)の水を流通させればよい。
なお、水が貯留された水槽161を輻射透過窓160に設ける代わりに、水が貯留された水槽161を備えない輻射透過窓160を輻射放熱膜113aと対向する位置に形成するとともに、輻射透過窓160の外側に水槽161を設けるようにしてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図20は本発明の第2実施形態に係る電子機器200を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
気化器204と第1の熱交換器207とは一体に設けられており、改質器205と第2の熱交換器208とは一体に設けられている。また、燃料電池セルスタック240と触媒燃焼器209とは一体に設けられている。
なお、図20では、複数の燃料電池セル240A,240B,240C,240Dのうち単一の燃料電池セル240Aのみを示し、符号の末尾のアルファベットを省略している。また、図22は簡明に示すため、図中のリード線253c、255c、257cが重畳しないように記載したが、実際は横方向から見た場合に重畳してもよい。また、図22において、リード線253c、255c、257cは高圧側または低圧側の1本だけを図示すとともに、カソード出力電極247を図示していない。
燃料電池セル240は、電解質241と、電解質241の両面に形成された燃料極242(アノード)及び酸素極243(カソード)と、燃料極242に改質ガスを供給する燃料供給流路244aが設けられた燃料極セパレータ244と、酸素極243に酸素を供給する酸素供給流路245aが設けられた酸素極セパレータ245と、が積層されている。
燃料極242には燃料供給流路244aを介して改質ガスが送られる。燃料極242では改質ガス中の水素、一酸化炭素及び電解質241を通過した炭酸イオンによる次の電気化学反応式(6)、(7)に示す反応が起こる。
H2+CO3 2-→H2O+CO2+2e- …(6)
CO+CO3 2-→2CO2+2e- …(7)
生成した電子はアノード出力電極246に供給される。生成した水、二酸化炭素及び未反応の水素、一酸化炭素からなる混合気体(オフガス)は触媒燃焼器209に供給される。
触媒燃焼器209の排ガス(水、酸素及び二酸化炭素の混合気体)は酸素供給流路245aを介して酸素極243に供給される。
2CO2+O2+4e-→2CO3 2- …(8)
生成した炭酸イオンは電解質241を通過して燃料極242に供給される。
反応装置210は、図22に示すように、反応装置本体211と、反応装置本体211を収容する断熱容器220とからなる。なお、第1実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
高温反応部217には、燃料電池セル240A,240B,240C,240Dが積層された燃料電池セルスタック240及び触媒燃焼器209となる触媒燃焼流路209aが設けられる。
また、中温反応部215には、電気ヒータ兼温度センサ255が設けられており、中温反応部215は電気ヒータ兼温度センサ255により約300〜400℃に保たれる。電気ヒータ兼温度センサ255は、断熱容器220を貫通するリード線255cに接続されており、リード線255cを介して断熱容器220の外部より電力が供給される。電気ヒータ兼温度センサ255は、絶縁膜255a,255bにより他の部材と絶縁されている。
第2連結部214は中温反応部215において反応する反応物や生成する生成物が流れる流路となる配管を含み、中温反応部215と低温反応部213との間を接続する。
第3連結部216は高温反応部217において反応する反応物や生成する生成物が流れる流路となる配管を含み、高温反応部217と中温反応部215との間を接続する。
第1配管及び第2配管との間、第3配管及び第4配管との間、第5配管及び第6配管との間でそれぞれ熱交換が行われるようにしてもよい。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図24は本発明の第3実施形態に係る電子機器300を示すブロック図である。図25は反応装置310Aの斜視図、図26は図25のXXVI−XXVI切断線に対応する模式断面図、図27は図25のXXVII矢視図である。以下、本実施形態の第3実施形態と異なる点について説明し、第3実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
なお、図24では、複数の燃料電池セル340A,340B,340C,340Dのうち単一の燃料電池セル340Aのみを示し、符号の末尾のアルファベットを省略している。
燃料電池セル340は、電解質341と、電解質341の両面に形成された燃料極342(アノード)及び酸素極343(カソード)と、燃料極342に改質ガスを供給する燃料供給流路344aが設けられた燃料極セパレータ344と、酸素極343に酸素を供給する酸素供給流路345aが設けられた酸素極セパレータ345と、が積層されている。
燃料極342には燃料供給流路344aを介して改質ガスが送られる。燃料極342では改質ガス中の水素、一酸化炭素及び電解質341を通過した酸素イオンによる次の電気化学反応式(9)、(10)に示す反応が起こる。
H2+O2-→H2O+2e- …(9)
CO+O2-→CO2+2e- …(10)
生成した電子はアノード出力電極346に供給される。未反応の改質ガス(オフガス)は触媒燃焼器309に供給される。
1/2O2+2e-→O2- …(11)
生成した酸素イオンは電解質341を通過して燃料極342に供給される。未反応の酸素(空気)は触媒燃焼器309に供給される。
触媒燃焼器309の排ガス(水、酸素及び二酸化炭素の混合気体)は第2の熱交換器308及び第1の熱交換器307において熱を放出した後に、排出される。
また、中温反応部315及び高温反応部317におけるヒータ兼温度センサ355,357がそれぞれ設けられた側の面に輻射放熱膜315a,317aを設け、それに対向するように輻射透過窓325,327を設けてもよい。あるいは、高温反応部317における触媒燃焼器309aが設けられた側と反対側の面に輻射放熱膜317aを設け、それに対向するように輻射透過窓327を設けてもよい。これにより、高温反応部317の中で温度分布をより一様となるようにすることができる。
次に、第3実施形態の変形例について説明する。
図29は本実施形態の第1の変形例に係る反応装置310Bを示す図26と同様の断面図であり、図30は図29のXXX矢視図である。なお、斜視図については図25と同様であるので割愛する。また、反応装置310Aと同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
図29、図30に示すように、第3連結部316に輻射放熱膜316aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜316aと対向する部分に水が貯留された水槽361を有する輻射透過窓360Cを設けてもよい。ここで、輻射透過窓360Cに供給する水が低温側から高温側に流れるように水ポンプ372を駆動することが好ましい。
高温反応部317から第3連結部316へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜316aから放射され、輻射透過窓360Cより断熱容器320の外部へ放出されるため、第1連結部312を介して反応装置本体311から断熱容器320に伝導する熱量を抑えるとともに、第3連結部316からの伝熱により中温反応部315の温度が必要以上に上昇することを防いで、中温反応部315の温度を適正に維持することができる。
図31は本実施形態の第2の変形例に係る反応装置310Cを示す図26と同様の断面図であり、図32は図31のXXXII矢視図である。なお、斜視図については図25と同様であるので割愛する。また、反応装置310Aと同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
図31に示すように、第2連結部314に輻射放熱膜314aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜314aと対向する部分に水が貯留された水槽361を有する輻射透過窓360Dを設けてもよい。ここで、輻射透過窓360Dに供給する水が低温側から高温側に流れるように水ポンプ372を駆動することが好ましい。
中温反応部315から第2連結部314へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜314aから放射され、輻射透過窓360Dより断熱容器320の外部へ放出されるため、第1連結部312を介して反応装置本体311から断熱容器320に伝導する熱量を抑えるとともに、低温反応部313、中温反応部315及び高温反応部317の温度を適正に維持することができる。
図33は本実施形態の第3の変形例に係る反応装置310Dを示す図26と同様の断面図であり、図34は図33のXXXIV矢視図である。なお、斜視図については図25と同様であるので割愛する。また、反応装置310Aと同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
図33に示すように、第1連結部312に輻射放熱膜312aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜312aと対向する部分に水が貯留された水槽361を有する輻射透過窓360Eを設けてもよい。ここで、輻射透過窓360Eに供給する水が低温側から高温側に流れるように水ポンプ372を駆動することが好ましい。
低温反応部313から第1連結部312へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜312aから放射され、輻射透過窓360Eより断熱容器320の外部へ放出されるため、第1連結部312を介して反応装置本体311から断熱容器320に伝導する熱量を抑えるとともに、中温反応部315からの伝熱により低温反応部313の温度が必要以上に上昇することを防いで、低温反応部313の温度を適正に維持することができる。
図35は本実施形態の第4の変形例に係る反応装置310Eを示す図26と同様の断面図であり、図36は図35のXXXVI矢視図である。なお、斜視図については図25と同様であるので割愛する。また、反応装置310Aと同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
本変形例においては、図35、図36に示すように、アノード出力電極346及びカソード出力電極347に輻射放熱膜346a,347aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜346a,347aと対向する部分に水が貯留された水槽361を有する輻射透過窓360F,360Gを設けている。なお、図35においては、カソード出力電極347及び輻射透過窓360Gを図示していない。
なお、輻射透過窓360F,360Gに供給する水が低温側から高温側に流れるように水ポンプ372を駆動することが好ましい。
まず、高温反応部317からアノード出力電極346及びカソード出力電極347へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜346a,347aから放射され、輻射透過窓360F,360Gより断熱容器320の外部へ放出されるため、第1連結部312、アノード出力電極346及びカソード出力電極347を介して反応装置本体311から断熱容器320に伝導する熱量を抑えるとともに、低温反応部313、中温反応部315及び高温反応部317の温度を適正に維持することができる。
111,211,311 反応装置本体
120,220,320 断熱容器
160,260,360A〜360G 輻射透過窓
100,200,300 電子機器
130,230,330 燃料電池装置
140,240,340 燃料電池セル
Claims (2)
- 反応物の反応により電力を生成する燃料電池セルを含む反応部と、前記燃料電池セルの電力を送る出力電極と、を有する反応装置本体と、
前記反応装置本体を収容するとともに、前記反応装置本体からの輻射を透過する輻射透過領域を有する第1の容器とを備え、
前記輻射透過領域には、前記出力電極に対向配置されるとともに水が収容された水槽が設けられ、
前記水槽内の水は、水を送る水ポンプにより、低温側から高温側に流れることを特徴とする反応装置。 - 請求項1に記載の反応装置と、
前記燃料電池セルの電力により駆動される電子機器本体とを備えることを特徴とする電子機器。
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