JP5549509B2 - 反応装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
図1は本発明の第1実施形態に係る反応装置10Aの構成を示す模式図である。図1に示すように、反応装置10Aは、反応装置本体11と、反応装置本体11を収容する断熱容器(第1の容器)20とからなる。反応装置10Aは、例えばステンレス(SUS304)やコバール合金、ニッケル基合金等の金属板を貼り合わせて形成してもよいし、光学材料あるいはガラス基板等を貼り合わせて形成してもよい。
反応装置本体11の外壁面には、後述する輻射放熱膜13a,15aが設けられた部分を除き、輻射を防止する輻射防止膜11aが設けられている。輻射防止膜11aの材料には、後述する反射膜21aと同様の材料を用いることができる。輻射防止膜11aにより、反応装置10Aからの輻射による反応装置10Aの外部への熱量の移動が抑制される。
図1に示すように、低温反応部13及び高温反応部15の外表面には、輻射放熱膜13a,15aがそれぞれ設けられている。輻射放熱膜13a,15aには、1〜30μmの赤外領域での輻射率が0.5以上、より好ましくは0.8以上である高輻射率の材料を用いることができる。
輻射放熱膜13a,15aの材料としては、作成方法が簡便である材料を選択することができ、SiO2やアルミナ(Al2O3)に代表される各種酸化物や、カオリン等の粘土鉱物、セラミック等を用いることができる。例えば、SiO2、Al2O3、カオリンやRFeO3(Rは希土類)、ハフニウム酸化物やYSZや、チタン酸化物を含有する耐熱輻射塗料などを用いることができる。
輻射放熱膜13a,15aは、例えば高輻射率の材料を含有するエマルジョン液体を基板等に塗布し、乾燥させることでシート状に形成することができる。
あるいは、断熱容器20内のガスを吸着する非蒸発型ゲッターにより輻射放熱膜13a,15aを形成してもよい。
輻射放熱膜13a,15aは、断熱容器20の内壁面の輻射透過窓23,25と対向配置される。
断熱容器20は、筐体21と、輻射透過窓23,25と、反射膜21aとから概略構成される。
筐体21の内壁面には、反応装置本体11からの輻射による熱損失を抑制するために、輻射を反射する反射膜21aが形成されている。反射膜21aの材料については、後述する。反射膜21aにより、反応装置本体11からの輻射による筐体21への熱量の移動が抑制される。
高温反応部15内における反応熱及び流通ガスとの熱の授受による熱収支をQRA、低温反応部13内における熱収支をQRB、輻射放熱膜15aによる放熱量をQI、輻射放熱膜13aによる放熱量をQIIとすると、熱平衡状態では以下の数式(2)、(3)が成立する。
ここで、σはシュテファン=ボルツマン定数であり、σ=5.67×10-8(W/m2/K4)である。したがって、放熱量QI、QIIは、輻射放熱膜13a,15aの面積を変更したり、適度な輻射率の材質を選択することにより調整することができる。
温度T(K)の黒体が放射する波長λの電磁波の黒体放射強度B(λ)は、プランクの式と呼ばれる次の数式(5)で与えられる。
図6は本発明の第1変形例に係る反応装置10Bの構成を示す模式図であり、図7は図6のVII矢視図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
本変形例の反応装置は、第2連結部14に輻射放熱膜14aを設け、断熱容器20の輻射放熱膜14aと対向する部分に輻射透過窓24を設けることにより、高温反応部15での輻射放熱を行わずに、第2連結部14で輻射放熱を行っている。この場合、高温反応部15内における反応熱及び流通ガスとの熱の授受による熱収支をQRA、低温反応部13内における熱収支をQRB、輻射放熱膜14aによる放熱量をQr1とすると、熱平衡状態では以下の数式(7)、(8)が成立する。
図8は本発明の第2変形例に係る反応装置10Cの構成を示す模式図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
本変形例の反応装置は、第1連結部12の低温反応部13と断熱容器20との間の部分に輻射放熱膜12aを設け、断熱容器20の輻射放熱膜12aと対向する部分に輻射透過窓22を設けることにより、各反応部13,15での輻射放熱を行わずに、第1連結部12で輻射放熱を行っている。この場合、高温反応部15内における反応熱及び流通ガスとの熱の授受による熱収支をQRA、低温反応部13内における熱収支をQRB、輻射放熱膜12aによる放熱量をQr2とすると、熱平衡状態では以下の数式(11)、(12)が成立する。
図9は本発明の第3変形例に係る反応装置10Dの構成を示す模式図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
本変形例の反応装置は、第1連結部12の低温反応部13と断熱容器20との間の部分に輻射放熱膜12aを設け、断熱容器20の輻射放熱膜12aと対向する部分に輻射透過窓22を設けるとともに、第2連結部14に輻射放熱膜14aを設け、断熱容器20の輻射放熱膜14aと対向する部分に輻射透過窓24を設けることにより、低温反応部13及び高温反応部15での輻射放熱を行わずに、第1連結部12及び第2連結部14で輻射放熱を行っている。この場合、高温反応部15内における反応熱及び流通ガスとの熱の授受による熱収支をQRA、低温反応部13内における熱収支をQRB、輻射放熱膜12aによる放熱量をQr2、輻射放熱膜14aによる放熱量をQr1とすると、熱平衡状態では以下の数式(13)、(14)が成立する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図10は本発明の第2実施形態に係る電子機器100を示すブロック図である。この電子機器100はノート型パーソナルコンピュータ、PDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、ゲーム機器等といった携帯型の電子機器である。
燃料容器102内の混合液は、送液ポンプ103により反応装置110の気化器104に送液される。
気化器104は燃料容器102から送られた混合液を後述するヒータ兼温度センサ153や改質器105からの伝熱により約110〜160℃程度に加熱し、気化させる。気化器104で気化した混合気は改質器105へ送られる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 ・・・(17)
なお、化学反応式(17)についで逐次的に起こる次の化学反応式(18)のような副反応によって、副生成物として一酸化炭素が微量に(1%程度)生成される。
H2+CO2→H2O+CO ・・・(18)
化学反応式(17)及び(18)の反応による生成物(改質ガス)は一酸化炭素除去器106に送出される。
2CO+O2→2CO2 ・・・(19)
化学反応式(19)の反応は発熱反応であるため、吸熱反応(混合液の気化)が行われる気化器104と隣接して配置される。
一酸化炭素除去器106を通過した改質ガスは燃料電池セル140に送出される。
燃料極142には燃料供給流路144aを介して改質ガスが送られる。燃料極142では改質ガス中の水素による次の電気化学反応式(20)に示す反応が起こる。
H2→2H++2e- ・・・(20)
生成した水素イオンは固体高分子電解質膜141を透過して酸素極143に到達する。生成した電子はアノード出力電極146に供給される。
2H++1/2O2+2e-→H2O ・・・(21)
なお、固体高分子電解質膜141の両面には、電気化学反応式(20)、(21)の反応を促進する図示しない触媒が設けられている。
高温反応部115には、改質器105となる改質流路105a及び触媒燃焼器109となる触媒燃焼流路109aが設けられる。また、高温反応部115には、電気ヒータ兼温度センサ155が設けられており、高温反応部115は電気ヒータ兼温度センサ155により約300〜400℃に保たれる。電気ヒータ兼温度センサ155は、断熱容器120を貫通するリード線155cに接続されており、リード線155cを介して断熱容器120の外部より電力が供給される。電気ヒータ兼温度センサ155は、絶縁膜155a,155bにより他の部材と絶縁されている。
第2連結部114や第1連結部112による熱伝導を除く高温反応部115、低温反応部113の熱収支(各化学反応の反応熱、反応ガスの熱交換の合計)は、それぞれ+2W、+9Wになる。輻射放熱膜113a及び輻射透過窓123を設けない場合には、この合計11Wの熱量が断熱容器120へと伝導してしまう。たとえば、9Wを輻射透過窓123を介して輻射放熱膜113aにより輻射放熱することで、第1連結部112より伝導する熱量を2Wに抑制することができる。輻射放熱膜113aの輻射率を1とし、輻射透過窓123をBaF2によって形成した場合、輻射放熱膜113aの表面積を約50cm2とることにより、9Wを放熱することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図14は本発明の第3実施形態に係る電子機器200を示すブロック図である。なお、第2実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
気化器204と第1の熱交換器207とは一体に設けられており、改質器205と第2の熱交換器208とは一体に設けられており、燃料電池セルスタック240と触媒燃焼器209とは一体に設けられている。
なお、図14では、複数の燃料電池セル240A,240B,240C,240Dのうち単一の燃料電池セル240Aのみを示し、符号の末尾のアルファベットを省略している。また、簡明に示すため、図16において、リード線253c、255c、257cが重畳しないように記載したが、実際は横方向から見た場合に重畳してもよい。また、図16において、リード線253c、255c、257cは高電圧側または低電圧側の1本だけを図示するとともに、カソード出力電極247は図示していない。
燃料電池セル240は、電解質241と、電解質241の両面に形成された燃料極242(アノード)及び酸素極243(カソード)と、燃料極242に改質ガスを供給する燃料供給流路244aが設けられた燃料極セパレータ244と、酸素極243に酸素を供給する酸素供給流路245aが設けられた酸素極セパレータ245と、が積層されている。
燃料極242には燃料供給流路244aを介して改質ガスが送られる。燃料極242では改質ガス中の水素、一酸化炭素及び電解質241を通過した炭酸イオンによる次の電気化学反応式(22)、(23)に示す反応が起こる。
H2+CO3 2-→H2O+CO2+2e- ・・・(22)
CO+CO3 2-→2CO2+2e- ・・・(23)
生成した電子はアノード出力電極246に供給される。生成した水、二酸化炭素及び未反応の水素、一酸化炭素からなる混合気体(オフガス)は触媒燃焼器209に供給される。
触媒燃焼器209の排ガス(水、酸素及び二酸化炭素の混合気体)は酸素供給流路245aを介して酸素極243に供給される。
2CO2+O2+4e-→2CO3 2- ・・・(24)
生成した炭酸イオンは電解質241を通過して燃料極242に供給される。
図16に示すように、反応装置210は、反応装置本体211と、反応装置本体211を収容する断熱容器220とからなる。なお、第2実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
高温反応部217には、燃料電池セル240A,240B,240C,240Dが積層された燃料電池セルスタック240及び触媒燃焼器209となる触媒燃焼流路209aが設けられる。
また、中温反応部215には、電気ヒータ兼温度センサ255が設けられており、中温反応部215は電気ヒータ兼温度センサ255により約300〜400℃に保たれる。電気ヒータ兼温度センサ255は、断熱容器220を貫通するリード線255cに接続されており、リード線255cを介して断熱容器220の外部より電力が供給される。電気ヒータ兼温度センサ255は、絶縁膜255a,255bにより他の部材と絶縁されている。
第3連結部216、第2連結部214及び第1連結部212による熱伝導を除く高温反応部217、中温反応部215、低温反応部213の熱収支(各化学反応の反応熱、反応ガスの熱交換の合計)は、それぞれ+21W、+0.5W、−2.5Wになる。輻射放熱膜217aを設けない場合には、この合計19Wの熱量が断熱容器220へと伝導してしまう。たとえば、17.5Wを輻射透過窓227を介して輻射放熱膜217aにより放射することで、第1連結部212より伝導する熱量を2Wに抑制することができる。輻射放熱膜217aの輻射率を1とし、輻射透過窓123をBaF2によって形成した場合、輻射放熱膜217aの表面積を約4.25cm2とることにより、7.5Wを放熱することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図18は本発明の第4実施形態に係る電子機器300を示すブロック図である。図19は反応装置310の斜視図、図20は図19のXX-XX切断線に対応する模式断面図、図21は図19のXXI矢視図である。以下、本実施形態の第3実施形態と異なる点について説明し、第3実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
なお、図18では、複数の燃料電池セル340A,340B,340C,340Dのうち単一の燃料電池セル340Aのみを示し、符号の末尾のアルファベットを省略している。
燃料電池セル340は、電解質341と、電解質341の両面に形成された燃料極342(アノード)及び酸素極343(カソード)と、燃料極342に改質ガスを供給する燃料供給流路344aが設けられた燃料極セパレータ344と、酸素極343に酸素を供給する酸素供給流路345aが設けられた酸素極セパレータ345と、が積層されている。
燃料極342には燃料供給流路344aを介して改質ガスが送られる。燃料極342では改質ガス中の水素、一酸化炭素及び電解質341を通過した酸素イオンによる次の電気化学反応式(25)、(26)に示す反応が起こる。
H2+O2-→H2O+2e- ・・・(25)
CO+O2-→CO2+2e- ・・・(26)
生成した電子はアノード出力電極346に供給される。未反応の改質ガス(オフガス)は触媒燃焼器309に供給される。
1/2O2+2e-→O2- ・・・(27)
生成した酸素イオンは電解質341を通過して燃料極342に供給される。未反応の酸素(空気)は触媒燃焼器309に供給される。
触媒燃焼器309の排ガス(水、酸素及び二酸化炭素の混合気体)は第2の熱交換器308及び第1の熱交換器307において熱を放出した後に、排出される。
第3連結部316、第2連結部314及び第1連結部312による熱伝導を除く高温反応部317、中温反応部315、低温反応部313の熱収支(各化学反応の反応熱、反応ガスの熱交換の合計)は、それぞれ+10W、+3W、+0Wになる。輻射放熱膜312a,316aを設けない場合には、この合計13Wの熱量が断熱容器320へと伝導してしまう。たとえば、8W,3Wを輻射透過窓325,327を介して輻射放熱膜315a,317aにより放射することで、第1連結部312より伝導する熱量を2Wに抑制することができる。輻射放熱膜315a,317aの輻射率を1とし、輻射透過窓123をBaF2によって形成した場合、輻射放熱膜315a,317aの表面積をそれぞれ約1.3cm2、2.6cm2とることにより、8W,3Wを放熱することができる。
図22は本発明の第4変形例に係る反応装置310Aの構成を示す図20と同様の模式断面図である。第4実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。本変形例においては、中温反応部315及び高温反応部317の上面に輻射放熱膜315a,317aがそれぞれ設けられ、断熱容器320における輻射放熱膜315a,317aに対向する位置に輻射透過窓325,327がそれぞれ設けられている。従って、本変形例では、中温反応部315及び高温反応部317におけるヒータ兼温度センサ355,357がそれぞれ設けられた面において輻射放熱を行っている。
図23は本発明の第5変形例に係る反応装置310Bの構成を示す図20と同様の模式断面図である。第4実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。本変形例においては、中温反応部315及び高温反応部317の下面にヒータ兼温度センサ355,357がそれぞれ設けられ、中温反応部315及び高温反応部317の上面に輻射放熱膜315a,317aがそれぞれ設けられ、断熱容器320における輻射放熱膜315a,317aに対向する位置に輻射透過窓325,327がそれぞれ設けられている。従って、本変形例では、中温反応部315及び高温反応部317におけるヒータ兼温度センサ355,357がそれぞれ設けられた側と反対側の面において輻射放熱を行っている。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図25は本発明の第5実施形態に係る反応装置310Cの図20と同様の模式断面図であり、図26は図25における図21と同様のXIX矢視図である。図20と同様であるので斜視図を割愛する。なお、第4実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
図25、図26に示すように、第3連結部316に輻射放熱膜316aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜316aと対向する部分に輻射透過窓326を設けてもよい。高温反応部317から第3連結部316へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜316aから輻射され、輻射透過窓326より断熱容器320の外部へ放出されるため、中温反応部315を介した高温反応部317から断熱容器320への伝熱量を抑制しながら、中温反応部315の温度を適切に維持することができる。
[実施例1]
第3連結部316のうち中温反応部315に近くより低温となる部分に輻射放熱膜316a及び輻射透過窓326を設けて輻射放熱する。図27は、第1実施例に係る反応装置310Dの下面図である。図25と同様のため、反応装置310Dの模式断面図を割愛した。
[実施例2]
第3連結部316のうち高温反応部317に近くより高温となる部分に輻射放熱膜316a及び輻射透過窓326を設けて輻射放熱する。図28は、第2実施例に係る反応装置310Eの下面図である。図25と同様のため、反応装置310Eの模式断面図を割愛した。
[比較例1]
高温反応部317に輻射放熱膜317a及び輻射透過窓を327設けて輻射放熱する。
[比較例2]
輻射放熱を行わない。即ち、QSr=0Wであり、5Wの熱量がそのまま中温反応部315に伝導する。
なお、第3連結部316は耐熱材料のインコネルとし、幅3mm、高さ3mm、肉厚0.25mmの角管が3本使用されているとした。
第2実施例では、第3連結部316のうち高温反応部317に接続された端部(第一の端部)から7.8mmの領域(温度範囲は647℃〜800℃の領域に対応)において輻射放熱する。これらの領域で輻射放熱することにより、上述の条件を満たすことができた。
また、数式(4)より、輻射透過窓の単位面積当たりの輻射エネルギー量は温度の4乗に比例して増大する。従って、例えば3Wといった所定量のエネルギー量を輻射放熱する場合、第2実施例のように、反応装置本体のうち、より高温となる領域に輻射放熱膜316aを設けて輻射透過窓326を介して輻射放熱したほうが、第1実施例のように、より低温となる領域から輻射放熱するよりも、輻射透過窓326の面積を小さくすることができる。さらに、その温度範囲に対応する波長領域において輻射を効率良く透過する、輻射の透過率の高い輻射放熱窓326の材料を入手しやすい。
なお、輻射放熱を行わない場合は、第3連結部316の長さを最も短くできるものの、中温反応部315に5Wの熱量が伝導してしまうため、別の領域で輻射放熱を行う必要がある。
図30に示すように、第2連結部314に輻射放熱膜314aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜314aと対向する部分に輻射透過窓324を設けてもよい。中温反応部315から第2連結部314へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜314aから輻射され、輻射透過窓324より断熱容器320の外部へ放出されるため、低温反応部313を介した中温反応部315及び高温反応部317から断熱容器320への伝熱量を抑制しながら、低温反応部313の温度を適正に維持することができる。
本変形例においても、第2連結部314で輻射放熱した方が、中温反応部315のみで輻射放熱して第2連結部314では輻射放熱しない場合より、第2連結部314を短くすることができる。また、第2連結部314で輻射放熱を行う場合は、第2連結部314においてより低温となる領域に輻射放熱膜314a及び輻射透過窓324を設けて輻射放熱した方が、第2連結部314をより短くできる。いずれの場合も、反応装置310Fを小型化することができる。また、第5実施形態と同様、第2連結部314においてより高温となる領域に輻射放熱膜314a及び輻射透過窓324を設けて輻射放熱した方が、輻射透過窓324の面積を小さくすることができる。
図31に示すように、第1連結部312に輻射放熱膜312aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜312aと対向する部分に輻射透過窓322を設けてもよい。低温反応部313から第1連結部312へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜312aから輻射され、輻射透過窓322より断熱容器320の外部へ放出されるため、低温反応部313、中温反応部315及び高温反応部317から断熱容器320への伝熱量を抑制しながら、低温反応部313、中温反応部315及び高温反応部317の温度を適正に維持することができる。
本変形例においても、第1連結部312で輻射放熱した方が、低温反応部313のみで輻射放熱して第1連結部312では輻射放熱しない場合より、第1連結部312を短くすることができる。また、第1連結部312で輻射放熱を行う場合は、第1連結部312においてより低温となる領域に輻射放熱膜312a及び輻射透過窓322を設けて輻射放熱した方が、第1連結部312をより短くできる。いずれの場合も、反応装置310Gをより小型化することができる。また、第5実施形態、第6変形例と同様、第1連結部312においてより高温となる領域に輻射放熱膜312a及び輻射透過窓322を設けて輻射放熱した方が、輻射透過窓322の面積を小さくすることができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図32は本発明の第6実施形態に係る反応装置310Hの図20と同様の模式断面図であり、図33は図32のXXIV矢視図である。斜視図は図20と同様のため、割愛する。
図32、図33に示すように、アノード出力電極346及びカソード出力電極347に輻射放熱膜346a,347aを設け、断熱容器320の輻射放熱膜346a,347aと対向する部分に輻射透過窓366,367を設けてもよい。
[実施例3]
アノード出力電極346及びカソード出力電極347のうちより低温となる部分(50℃〜645℃)に輻射放熱膜346a,347a及び輻射透過窓366,367を設けて輻射放熱する。図34は第3実施例に係る反応装置310Iの下面図である。図32と同様のため、反応装置310Iの模式断面図を割愛した。
[実施例4]
アノード出力電極346及びカソード出力電極347のうち中間の温度領域となる部分(300℃〜655℃)に輻射放熱膜346a,347a及び輻射透過窓366,367を設けて輻射放熱する。
[実施例5]
アノード出力電極346及びカソード出力電極347のうちより高温となる部分(707℃〜800℃)に輻射放熱膜346a,347a及び輻射透過窓366,367を設けて輻射放熱する。図35は第5実施例に係る反応装置310Jの下面図である。図32と同様のため、反応装置310Jの模式断面図を割愛した。
[比較例3]
高温反応部317に輻射放熱膜317a及び輻射透過窓367を設けて輻射放熱する。この場合、高温反応部においてQSr=4.5Wを輻射放熱するとして計算した。
[比較例4]
輻射放熱を行わない。この場合QS1=5Wであるとして計算した。
第4比較例のように、輻射放熱を行わない場合は、電極での伝熱量が5Wと大きいので、各電極の長さを短くすることができるが、別の領域にて輻射放熱を行う必要がある。また、第3比較例のように、高温反応部317で4.5Wの熱量を輻射放熱する場合は、電極での伝熱量が0.5Wと小さいので、各電極の長さが長くなってしまう。
第3実施例では、アノード出力電極346及びカソード出力電極347のうち、より低温である断熱容器320に接続された第二の端部を含む連続した領域で輻射放熱した。この場合、第二の端部から51mmの領域で4.5Wの熱量を輻射でき、第二の端部から51mmの位置では各電極の温度は645℃となった。そして、この位置よりも高温反応部317と接続された第二の端部に近い部分の伝熱量は5Wであり、この伝熱量で800℃から645℃まで温度を降下させたので、数式(1)より、△x=5.1mmの長さが必要となった。
また、第5実施形態と同様、例えば3Wといった所定量のエネルギー量を輻射放熱する場合、第5実施例のように、アノード出力電極346及びカソード出力電極347においてより高温となる領域に輻射放熱膜346a,347a及び輻射透過窓366,367を設けて輻射放熱した方が、第3実施例のように、より低温となる領域から輻射放熱するよりも、輻射透過窓366,367の面積を小さくすることができる。これにより、反応装置310Hをより小型化しやすい。さらに、その温度範囲に対応する波長領域において輻射を効率良く透過する、輻射の透過率の高い輻射放熱窓366,367の材料を入手しやすい。
まず、高温反応部317からアノード出力電極346及びカソード出力電極347へ伝導する熱量の一部が輻射放熱膜346a,347aから輻射され、輻射透過窓366,367より断熱容器320の外部へ放出されるため、アノード出力電極346及びカソード出力電極347を介した高温反応部317から断熱容器320への伝熱量を抑制しながら、高温反応部317及び断熱容器320の温度を適切に維持することができる。
図37は第5比較例に係る反応装置310Kの定常状態における温度及び熱量を示す模式図であり、図38は理想的な熱交換を説明するための模式図であり、図39は第7実施形態に係る反応装置310Lの定常状態における温度及び熱量を示す模式図である。
反応装置310K及び310Lは、それぞれ、第1連結部312となる流入配管312b及び流出配管312c、低温反応部313、第2連結部314となる流入配管314b及び流出配管314c、中温反応部315、第3連結部316となる流入配管316b及び流出配管316c、及び、中温反応部317を備える。反応装置310Lは、更に、流入配管312bと流出配管312cとの間で熱交換を行う熱交換器312d、流入配管314bと流出配管314cとの間で熱交換を行う熱交換器314d、及び、流入配管316bと流出配管316cとの間で熱交換を行う熱交換器316dを備える。
流入配管316cを介して高温反応部317に供給された反応物の温度は375℃であり、高温反応部317の反応温度は800℃であるので、高温反応部317において生じる発熱反応の熱量の一部は、反応物の温度を上昇させるための顕熱として利用され、高温反応部317では、0.766Wの余剰熱が生じる。この余剰熱のうち、第3連結部316を介して中温反応部315に伝導する熱量は0.300Wであり、高温反応部317の輻射放熱膜317aから輻射透過窓327を介して輻射放熱される熱量は0.466Wである。
本実施形態では、流入配管316cと流出配管316bとの間で熱交換が行われることにより、高温反応部317の生成物の温度は、流出配管316bを流れる間に800℃から375℃に降下するとともに、この温度降下の顕熱に相当する熱量が、流入配管316cの内部を流れる反応物(中温反応部315から排出された生成物)の温度を上げるための顕熱として利用される。この場合、ε1=1、ε2=0.97であるのは、上記出力値を達成するための燃料の量に基づいて算出を行ったためであり、実質的には理想的な熱交換が行われていると見なして良い。
本比較例では、第1連結部312から排出されるオフガスの温度は150℃であり、オフガスの温度を排気温度である25℃まで降下させるための顕熱に相当する熱量0.466が、電子機器の筐体に吸収される。また、オフガスが凝縮するときの潜熱に相当する熱量0.703W、低温反応部313から第1連結部312を介した伝導による熱量0.300W、輻射透過窓において吸収される熱量0.104W、燃料電池装置内部で消費される電力に相当する0.300Wが、それぞれ電子機器の筐体に吸収されるため、その総和は1.873Wとなる。
また、輻射放熱膜312a,313a,314a,315a,316a,317a,346a,347aのいずれか2つ以上を設けてもよい。その場合には、対向する輻射透過窓322,323,324,325,326,327,366,367を設ける必要がある。
11,111,211,311 反応装置本体
11a,111a,211a,311a 輻射防止膜
12a〜15a,113a,217a,312a〜317a,346a,347a 輻射放熱膜
12,112,212,312 第1連結部
13,113,213,313 低温反応部
14,114,214,314 第2連結部
215,315 中温反応部
216,316 第3連結部
15,115,217,317 高温反応部
20,120,220,320 断熱容器(第1の容器)
250,350 気密容器(第2の容器)
21a,121a,221a,321a 反射膜
22,23,24,25,123,226,227,322〜327,366,367 輻射透過窓
312b,314b,316b 流出配管
312c,314c,316c 流入配管
100,200,300 電子機器
130,230,330 燃料電池装置
140,240,340 燃料電池セル
146,246,346 アノード出力電極
147,247,347 カソード出力電極
Claims (15)
- 反応物が反応する反応部を有する反応装置本体と、
前記反応装置本体を収容する第1の容器とを備え、
前記第1の容器は前記反応装置本体からの輻射を透過する輻射透過窓を有し、
前記反応装置本体の前記輻射透過窓との対向面には、前記反応装置本体の前記輻射透過窓との対向面を除く部分の外壁面よりも赤外領域の輻射率が高い輻射放熱膜が設けられていることを特徴とする反応装置。 - 前記第1の容器の前記輻射透過窓には、CaF2、BaF2、ZnSe、MgF2、KRS−5、KRS−6、LiF、SiO2、CsI、KBr、AlF3、NaCl、KF、KCl、CsCl、CsBr、CsF、NaBr、CaCO3、KI、NaI、NaNO3、AgCl、AgBr、TlBr、Al2O3、BiF3、CdSe、CdS、CdTe、CeF3、CeO2、Cr2O3、DyF2、Fe2O3、GaAs、GaSe、Gd2O3、Ge、HfO2、HoF3、Ho2O3、La2O3、MgO、NaF、Nb2O5、PbF2、Si、Si3N4、SrF2、TlCl、YF3、Y2O3、ZnO、ZnS、ZrO2の少なくとも1つが用いられ、
前記第1の容器の前記輻射透過窓を除く部分には、前記第1の容器の前記輻射透過窓よりも赤外領域の透過率が低い材料が用いられていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。 - 前記第1の容器の前記輻射透過窓の全体には、CaF2、BaF2、ZnSe、MgF2、KRS−5、KRS−6、LiF、SiO2、CsI、KBr、AlF3、NaCl、KF、KCl、CsCl、CsBr、CsF、NaBr、CaCO3、KI,NaI,NaNO3、AgCl、AgBr、TlBr、Al2O3、BiF3、CdSe、CdS、CdTe、CeF3、CeO2、Cr2O3、DyF2、Fe2O3、GaAs、GaSe、Gd2O3、Ge、HfO2、HoF3、Ho2O3、La2O3、MgO、NaF、Nb2O5、PbF2、Si、Si3N4、SrF2、TlCl、YF3、Y2O3、ZnO、ZnS、ZrO2の少なくとも1つが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
- 前記反応装置本体の少なくとも前記輻射透過窓との対向面を除く部分には、前記反応装置本体からの輻射を防止する輻射防止膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の反応装置。
- 前記輻射放熱膜は、前記第1の容器内のガスを吸着する非蒸発型ゲッターにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
- 前記反応装置本体の外側であって前記第1の容器の内側は、大気圧よりも低い圧力であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の反応装置。
- 前記反応部が前記輻射透過窓と対向配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の反応装置。
- 前記反応装置本体は互いに異なる温度であり反応物がそれぞれ反応する2つ以上の反応部を有し、
前記2つ以上の反応部のうち少なくとも1つが前記輻射透過窓と対向配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の反応装置。 - 前記反応部は燃料及び水を気化して混合気を生成する気化器を含み、
前記輻射透過窓には、KRS−5、KRS−6、CsI、KBr、NaCl、KCl、CsCl、CsBr、NaBr、KI、NaI、AgCl、AgBr、TlBr、CdSe、CdTe、Geの少なくとも1つが用いられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の反応装置。 - 前記反応部は気化された燃料及び水から改質ガスを生成する改質器を含み、
前記輻射透過窓には、ZnSe、KRS−5、KRS−6、CsI、KBr、NaCl、KCl、CsCl、CsBr、CsF、NaBr、KI、NaI、AgCl、AgBr、TlBr、BiF3、CdSe、CdS、CdTe、GaAs、GaSe、Ge、NaF、PbF2、TlCl、YF3、ZnOの少なくとも1つが用いられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の反応装置。 - 前記反応部は、反応物の反応により電力を生成する燃料電池セルを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の反応装置。
- 前記燃料電池セルは溶融炭酸塩型であり、
前記輻射透過窓には、CaF2、BaF2、ZnSe、KRS−5、KRS−6、CsI、KBr、AlF3、NaCl、KF、KCl、CsCl、CsBr、CsF、NaBr、KI、NaI、AgCl、AgBr、TlBr、BiF3、CdSe、CdS、CdTe、CeF3、CeO2、DyF2、GaAs、GaSe、Gd2O3、HfO2、La2O3、NaF、PbF2、Si、TlCl、YF3、ZnO、ZnSの少なくとも1つが用いられていることを特徴とする請求項11に記載の反応装置。 - 前記燃料電池セルは固体酸化物型であり、
前記輻射透過窓には、CaF2、BaF2、ZnSe、MgF2、KRS−5、KRS−6、CsI、KBr、AlF3、NaCl、KF、KCl、CsCl、CsBr、CsF、NaBr、KI、NaI、AgCl、AgBr、TlBr、BiF3、CdSe、CdS、CdTe、CeF3、CeO2、DyF2、GaAs、GaSe、Gd2O3、HfO2、La2O3、MgO、NaF、PbF2、Si、Si3N4、SrF2、TlCl、YF3、Y2O3、ZnO、ZnSの少なくとも1つが用いられていることを特徴とする請求項11に記載の反応装置。 - 請求項11〜13のいずれか一項に記載の反応装置と、前記燃料電池セルの電力により動作する電子機器本体とを備えることを特徴とする電子機器。
- 前記輻射透過窓は、前記電子機器の外周面に沿って配置されることを特徴とすることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
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