JP5232122B2 - 遠隔溶接装置および遠隔溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力発電所の原子炉内のような人の立ち入ることが困難で、複雑かつ狭隘な場所に設置された炉内構造物に対して水中溶接作業を行うことができる遠隔溶接装置および遠隔溶接方法に関する。
現状の水中環境での溶接作業は、溶接装置を含む溶接箇所をキャップなどで覆う手段を用いて溶接箇所を気中環境にして行うことで実現させている。しかしながら、原子力発電所の炉内のような人の立ち入ることが困難で、複雑かつ狭隘な溶接箇所においては、溶接装置を含む溶接箇所をキャップなどで覆う手段を用いた場合、気中環境にすることが非常に困難で、しかも費用および工期が掛かるため、実現させることができなかった。
最近、溶接ヘッド部のみを気中環境にするため、その溶接ヘッド部にガスカバー容器を設けて水中環境で溶接することのできるレーザ溶接装置が開発されてきている。このように水中環境で溶接する水中溶接装置としては、例えば特許文献1に開示された発明がある。この発明は、トーチ部の外側にフィルター材からなるスカート部を設け、このスカート部を水密に覆うカバーを設けることにより、トーチ部のみを気中環境にしている。同様に、溶接トーチのみを気中環境にする水中溶接装置としては、特許文献2に開示された発明がある。
しかしながら、現在開発されているレーザ溶接装置は、ガスカバー容器を設けた溶接ヘッド部全体の大きさが大きいため、周囲構造物と干渉せずに施工するための位置決め条件を満たす位置姿勢がとれない場合があることから、実用化することができないというのが現状である。
したがって、複雑かつ狭隘な炉底部での水中溶接作業は、小型で柔軟な位置姿勢がとれるような溶接ヘッド部が必須条件となる。また、水中レーザ溶接装置で溶接を行う場合、溶接ヘッド部の正確な位置決めが必要となる。
特開平8−90222号公報 特開2002−137057号公報
上述した背景技術において、人の立ち入ることの困難な環境での水中溶接作業は、遠隔操作で溶接装置を被施工箇所近傍に据え付け、その溶接装置を施工開始位置に移動させてから被施工箇所を走査させる。ここで、被施工箇所が溶接部およびその溶接部近傍の場合は、設計図通りになっていない場合が多い。
また、テレビカメラからの映像を監視して遠隔操作する溶接方法では、溶接装置と周囲構造物とが干渉するのを回避したり、被施工箇所への正確な位置決め作業を行うことは、非常に困難で、しかも多くの工数(操作訓練時間、位置決め処理時間)を費やしてしまう問題がある。
したがって、正確かつ効率的に遠隔操作で溶接装置を制御するには、溶接装置と周囲構造物との位置関係、被施工箇所の状態を自動遠隔制御で計測する技術が必要である。
さらに、水中レーザ溶接装置の場合は、周囲構造物に対して確実かつ効率的に干渉させずに、施工位置条件を満たす位置姿勢を求め、自動制御で溶接ヘッド部を走査させる遠隔位置姿勢制御の技術が必要である。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、原子炉内のような人の立ち入ることが困難で、複雑かつ狭隘な場所に設置された炉内構造物に対して、確実かつ効率的に水中溶接作業を行うことができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る遠隔溶接装置は、原子炉内に立設された筒状の施工対象箇所に据え付けられる溶接装置本体と、前記溶接装置本体に少なくとも旋回および昇降可能に取り付けられ、前記施工対象箇所に対して溶接を行う溶接ヘッドと、前記施工対象箇所に対向する前記溶接装置本体の据付部に複数配置され、前記施工対象箇所との距離を検出する距離センサと、前記複数の距離センサから得られた距離センサデータに基づいて前記溶接装置本体の据付状態データを求める制御部と、を有することを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る遠隔溶接方法は、原子炉停止時に原子炉内の施工対象箇所に対して少なくとも旋回および昇降可能な溶接ヘッドで遠隔にて溶接を行う遠隔溶接方法であって、前記原子炉内に立設された筒状の前記施工対象箇所に溶接装置本体を据え付ける据付ステップと、前記据付ステップの後に、前記溶接装置本体の据付部に複数配置された距離センサにより前記施工対象箇所との距離を検出する検出ステップと、前記検出ステップの後に、前記検出ステップで得られた距離センサデータに基づいて前記溶接装置本体の据付状態データを求める制御ステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、原子炉内のような人の立ち入ることが困難で、複雑かつ狭隘な場所に設置された炉内構造物に対して、水中溶接作業を確実かつ効率的に行うことができ、作業性を向上させることができる。
本発明に係る遠隔溶接装置の第1実施形態を示す構成図である。 図1の遠隔溶接装置による炉底部構造物の溶接施工手順を示すフローチャートである。 (A)〜(D)は遠隔溶接装置による炉底部構造物の溶接施工手順を示す部分断面正面図である。 (A),(B)は炉底部構造物へ据え付けた遠隔溶接装置の位置姿勢検出手段を示す部分断面正面図である。 (A)は炉底部構造物へ据え付けた遠隔溶接装置の芯ずれを説明するための部分断面正面図、(B)は遠隔溶接装置の芯ずれを示す説明図である。 (A)は炉底部構造物へ据え付けた遠隔溶接装置の向き検出状態を示す部分断面正面図、(B)は近傍に設置されたCRDハウジングまでの距離Dxと旋回角度φsとの関係を示す図、(C)は遠隔溶接装置のCRDハウジングへの取付状態を示す平面図である。 本発明に係る遠隔溶接装置の第2実施形態を示す斜視図である。 (A),(B)は第2実施形態において1層溶接と、多層(3層)溶接施工の場合についての溶接ヘッドの走査例を示す斜視図である。 (A),(B),(C)は遠隔溶接装置の多層(3層)溶接を示す説明図である。 (A)は本発明に係る遠隔溶接装置の第3実施形態の比較例を示す縦断面図、(B)は本発明に係る遠隔溶接装置の第3実施形態を示す縦断面図である。
以下に、本発明に係る遠隔溶接装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各実施形態では、人の立ち入ることが困難で、複雑かつ狭隘な環境として原子力発電所の原子炉の炉底部(水深約30m)に設置されたCRDスタブの補修施工を対象とした水中レーザ溶接装置を例として説明する。また、以下の説明では、制御棒駆動機構ハウジング(以下、CRDハウジングという。)を突設したスタブチューブをまとめてCRDスタブという。このCRDスタブは、原子炉内に立設されて円筒状に形成されている。
(第1実施形態)
まず、図1を用いて原子炉の炉底部に設置されたCRDスタブを水中溶接する第1実施形態の遠隔溶接装置の構成を説明する。
図1に示すように、原子炉内の炉底部には、炉内構造物としてのCRDハウジング6を突設したスタブチューブ5が設けられている。このCRDハウジング6を突設したスタブチューブ5は、図示しない炉心支持板の開口部から挿入された制御棒が嵌合する断面凹形状の制御棒支持部である。
本実施形態の遠隔溶接装置における溶接装置本体1は、棒状に形成されてCRDスタブのCRDハウジング6に嵌合する据付部としての支持部1aと、この支持部1aの上部に連設されて旋回動作、昇降動作を行う駆動機構本体2と、この駆動機構本体2に取り付けられて目的位置に溶接ヘッドを移動させる駆動機構アーム3と、この駆動機構アーム3の先端部に取り付けられてレーザ溶接を行う上記溶接ヘッド4と、形状計測センサユニット7とを備える。
上記支持部1aは、CRDスタブのCRDハウジング6に嵌合することで、溶接装置本体1が据え付けられる。
上記溶接ヘッド4は、小型テレビカメラ20と、溶接ヘッド4の走査方向の前後に配置され、施工対象物とのポイントの離隔距離を計測する距離センサ16とを有する。また、溶接ヘッド4の側面には、水平方向の距離を計測する距離センサ21が取り付けられている。
上記形状計測センサユニット7は、レーザ照射機(レーザマーカ)およびテレビカメラを水密ケース内に収納し、周囲構造物や施工対象箇所の2次元プロファイルを計測するものである。また、炉容器の上部に設置された図示しないオペレーションフロアには、溶接装置本体1を駆動および制御するための制御部8が設けられている。
制御部8は、溶接装置本体1を駆動させる駆動機構制御盤9と、この駆動機構制御盤9を制御する駆動コントローラ10と、この駆動コントローラ10から送信されてくる表示用データ(位置・姿勢データなど)を受信して溶接装置本体1と周囲構造物との位置関係を表示する状態表示コントローラ11と、上記形状計測センサユニット7からの信号を処理して距離データを生成する形状計測コントローラ12と、データ処理装置13と、ハブ(HUB:集線装置)14と、レーザ装置15とを備える。
上記データ処理装置13は、形状計測コントローラ12で生成した距離データと、駆動コントローラ10からの溶接装置本体1の位置・姿勢データとを入力して、溶接装置本体1の原点からの形状データ[3D(dimension:3次元)CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)データ]を生成し、ハブ14を介してLAN(Local Area Network:構内通信網)で駆動コントローラ10と、状態表示コントローラ11のそれぞれに上記形状データを送信する。ここで、位置・姿勢データとは、溶接装置本体1の旋回、昇降、前後、水平回転の各方向の目標駆動位置データである。
制御部8における駆動機構制御盤9は、溶接装置本体1を駆動制御する駆動制御信号を、制御信号ケーブル17を通して溶接装置本体1に送信する。形状計測センサ7は、距離計測データを、計測信号ケーブル18を通して形状計測コントローラ12へ信号伝送する。また、レーザ装置15からは、溶接装置本体1の溶接ヘッド4に光ファイバ19aを通してレーザ光が送り出されるとともに、シールドガス供給チューブ19bを通して溶接ヘッド4にシールドガスが供給される。
次に、本実施形態の遠隔溶接装置による炉底部のCRDスタブの溶接作業手順を説明する。図2は図1の遠隔溶接装置による炉底部構造物の溶接施工手順を示すフローチャートである。図3(A)〜(D)は遠隔溶接装置による炉底部構造物の溶接施工手順を示す部分断面正面図である。
本実施形態では、原子炉停止時に溶接装置本体1を炉底部に挿入し、施工対象箇所であるCRDスタブに据え付ける際は、前処理として図2にステップS1a〜S1dで示す以下の処理を実行する。
すなわち、ステップS1aでは、溶接装置本体1、形状計測センサユニット7および距離センサ16,21の気中動作を確認する。ステップS1bでは、溶接装置本体1の位置・姿勢(据付状態)データを校正(以下、キャリブレーションともいう。)処理する。ステップS1cでは、設計データに基づいて作成した3次元形状モデルで施工データ(駆動制御データ)を生成する。ステップS1dでは、模擬環境モデルでの施工動作検証もしくは生成した施工データ(駆動制御データ)のシミュレーション検証を行う。このシミュレーション検証は、3次元モデルを用いたシミュレーションによる施工データを検証する。つまり、溶接装置本体1が炉内構造物と干渉するか否かをチェックする。
次いで、ステップS2では、図示しないクレーンなどで溶接装置本体1を吊下げて図3(A)に示すように溶接装置本体1を炉内に挿入し、その支持部1aをCRDスタブのCRDハウジング6に嵌合して溶接装置本体1を据え付ける。このように溶接装置本体1を炉底部に挿入して施工対象箇所のCRDスタブに据え付ける処理では、溶接装置本体1を指定した据付けの向きに合わせる必要がある。また、挿入前処理で実施した据付け姿勢(設計姿勢)と同じ位置姿勢にする必要がある。
ここで、溶接装置本体1を水深約30mの炉底部に指定通りの向き、位置・姿勢に位置決めすることは非常に困難であるため、本実施形態では、ステップS3において溶接装置本体1に設けた後述する外界センサを用いて、据付け向き、位置・姿勢を検出している。この検出方法については後述する。
次に、ステップS4では、制御部8におけるデータ処理装置13が上記外界センサで検出した溶接装置本体1の向き、位置・姿勢データを求め、この位置・姿勢データに基づいて溶接装置本体1の位置・姿勢データの校正処理を実行する。
ここで、溶接装置本体1の指定の位置・姿勢を精密に補正駆動制御させることは、ある程度限界があるため、本実施形態では、データ処理装置13が溶接装置本体1と施工対象物との相対位置関係が一致するように位置・姿勢データの書換え処理を実行する。この位置・姿勢データの書換え処理の詳細な処理については後述する。
さらに、ステップS5では、溶接装置本体1に設けた形状計測センサユニット7を用いて、施工対象箇所とその周囲構造物の形状計測を行い、データ処理装置13を用いて溶接装置本体1と、施工対象箇所と、その周囲構造物との3次元形状モデルを作成する。
次に、ステップS6では、図3(B)に示すようにステップS5で作成した3次元形状モデルに基づいて、駆動コントローラ10は、施工対象箇所を走査するための駆動制御データ(以下、施工データという。)を生成する。そして、3次元形状モデルを用いたシミュレーションで施工データに基づいた溶接装置本体1の駆動姿勢、走査位置を状態表示コントローラ11に表示し、周囲構造物と干渉することなく、一定した施工動作が可能であることを検証する。
さらに、ステップS7では、図3(C)に示すように溶接装置本体1を施工開始位置へ移動させて位置決め処理する。
次に、ステップS8では、ステップS6で検証した施工データに基づいて、遠隔制御で溶接装置本体1を走査させ、レーザ装置15からレーザ光を照射し、図示しない溶接フィラーの供給を開始し、図3(D)に示すように溶接施工を行う。
このとき、本実施形態の溶接ヘッド4は、その走査方向の前後に距離センサ16を配置し、この距離センサ16を用いて施工対象面と溶接ヘッド4との離隔距離を計測し、この計測した離隔距離データに基づいて駆動コントローラ10は、溶接ヘッド4に設けた図示しない焦点軸を制御して、施工対象面と溶接ヘッド4との距離が設定した離隔距離になるようにしている。
次いで、ステップS9では、溶接が終了したら、溶接ヘッド4に設けた小型テレビカメラ20を用いて溶接結果の確認を行う。
ステップS10では、予定した溶接施工が終了したら、溶接装置本体1を炉内から図示しないクレーンなどの引上げ手段により引き上げる。
以上の溶接作業手順の流れにより、本実施形態の遠隔溶接装置でCRDスタブの溶接施工が実施可能となる。
ところで、本実施形態では、前述したように溶接装置本体1をCRDスタブのCRDハウジング6に据え付けた際に、上記外界センサを用いて向き、位置・姿勢を検出するようにしている。
図4(A),(B)は炉底部構造物へ据え付けた遠隔溶接装置の位置姿勢検出手段を示す部分断面正面図である。図5(A)は炉底部構造物へ据え付けた遠隔溶接装置の芯ずれを説明するための部分断面正面図、図5(B)は遠隔溶接装置の芯ずれを示す説明図である。
図4および図5に示すように、本実施形態では、溶接装置本体1の据付の向き、位置・姿勢検出用の外界センサとして距離センサ30、距離センサ21、超薄型距離センサ31,32を用いている。距離センサ30および距離センサ21には、小型で水中にて使用することのできるポイント式レーザ距離計を用いている。超薄型距離センサ31,32には、1チップ半導体で構成する高分解能の渦電流方式距離計を用いている。
距離センサ30は、4つの距離センサ30a〜30dを有し、これらの距離センサ30a〜30dは、溶接装置本体1に取り付けられ、下向きに対象物までの距離を計測するものであり、周方向に4等配に配置されている。
超薄型距離センサ31,32は、それぞれ4つの超薄型距離センサ31a〜31dと32a〜32dを有し、これらの超薄型距離センサ(第1距離センサ)31a〜31dおよび超薄型距離センサ(第2距離センサ)32a〜32dは、CRDハウジング6に挿入する溶接装置本体1の支持部1a周面に取り付けられ、対向する正面の対象物までの距離を計測する超薄型距離センサであり、周方向に4等配に配置されている。
具体的には、超薄型距離センサ31a〜31dが支持部1aの上部に、超薄型距離センサ32a〜32dが支持部1aの下部にそれぞれ配置されている。すなわち、超薄型距離センサ31a〜31dと超薄型距離センサ32a〜32dは、支持部1aのCRDハウジング6内面に対向する面に、互いに異なる高さに設けられている。これら超薄型距離センサ31a〜31dと超薄型距離センサ32a〜32dとの間における支持部1aには、押付け機構33a,33bが配置されている。これらの押付け機構33a,33bは、支持部1aがCRDハウジング6に嵌合したとき、CRDハウジング6の内壁面を押圧し、その反力で支持部1aを強固に嵌合させるようにしている。
次に、このように構成された外界センサの作用を説明する。
まず、溶接装置本体1をCRDスタブのCRDハウジング6に据え付けて、上記外界センサにおける距離センサ21からの距離データを収集して溶接装置本体1の位置姿勢を求める。
次に、溶接装置本体1の挿入位置を上記外界センサで計測し、その挿入位置が正規位置とずれていると判明しても、溶接装置本体1の形状の制約上、正規位置に駆動補正する機構を設けることが困難であるため、溶接装置本体1のキャリブレーション処理(溶接装置本体1の各軸原点位置を周囲構造物と溶接装置本体1との位置関係が一致するように補正する)を実行する。
ここで、溶接装置本体1の支持部1aがCRDハウジング6に正規の位置まで挿入されていることは、距離センサ30a〜30dの検出データを収集することで確認が可能となる。溶接装置本体1の支持部1aがCRDハウジング6に対してどの程度の芯ずれがあるか、どの程度傾斜しているかは、超薄型距離センサ31a〜31dと、超薄型距離センサ32a〜32dからの検出データを収集し、図5(B)を用いて以下のように演算を行うことで求めることが可能となる。これらの処理は、駆動コントローラ10からの指令で、形状計測コントローラ12が計測信号ケーブル18を介して外界センサからの距離データを取り込んで自動的に行う。
支持部1aの上部に配置された超薄型距離センサ31a〜31dと、支持部1aの下部に配置された超薄型距離センサ32a〜32dからの双方の検出データを用いて芯ずれ量およびXY方向の傾きの演算方法を以下に説明する。ここで、芯ずれ量(上)は、支持部1aの上部の芯ずれ量を表し、芯ずれ量(下)は支持部1aの下部の芯ずれ量を表わしている。
図5(B)に示すように、芯ずれ量(上)は、ΔX1=δb1−δd1、ΔY1=δa1−δc1であり、芯ずれ量(下)は、ΔX2=δb2−δd2、ΔY2=δa2−δc2である。したがって、X方向の傾きθx=arctan((ΔX1−ΔX2)/L)、Y方向の傾きθy=arctan((ΔY1−ΔY2)/L)である。なお、上式においてLは超薄型距離センサ31a〜31dの上下方向の中心と、超薄型距離センサ32a〜32dの上下方向の中心との間隔である。
また、溶接装置本体1の向きについては、図6(A)に示すように溶接装置本体1を旋回動作させて、溶接ヘッド4の側面部に取り付けられた水平方向の距離を計測する距離センサ21からの検出データを収集し、近傍に配置されたCRDハウジング6までの距離分布を図6(B)に示すように表し、この図6(B)から最も近い旋回角度φsを求める。この求めた旋回角度φsとCRDハウジング6、スタブチューブ5の配置関係図から溶接装置本体1の向き(旋回角度)を求め、その向きに設定することが可能となる。
次に、本実施形態の遠隔溶接装置の作用効果を説明する。
本実施形態の遠隔溶接装置は、狭隘で複雑な環境で干渉することなく、周囲構造物や施工対象箇所と正確な位置決めを行うことができるように、溶接装置本体1を炉底部に挿入し、施工対象箇所であるCRDスタブに据え付けた際、上述した外界センサにより位置・姿勢(据付状態)を計測し、その計測された位置・姿勢(据付状態)データをデータ処理装置13により施工対象物との相対位置関係が同じになるように校正処理している。
また、本実施形態の遠隔溶接装置は、形状計測センサユニット7を用いて形状計測を行い、データ処理装置13により施工対象箇所とその周囲構造物の3次元形状モデルを作成し、この作成した3次元形状モデルに基づいて駆動コントローラ10により施工データを生成し、この生成された施工データに基づいて施工シミュレーションによる施工データに基づいた溶接装置本体1の駆動姿勢、走査位置を状態表示コントローラ11に表示し、一定した施工動作が可能であることを検証するようにしている。
さらに、本実施形態の遠隔溶接装置は、生成した施工データに基づいて溶接装置本体1を駆動制御して溶接ヘッド4を走査させる際、溶接ヘッド4の走査方向の前後に配置した距離センサ16を用いてリアルタイムに施工対象物との離隔距離を計測する。そして、この計測した離隔距離データに基づいて駆動コントローラ10は、焦点軸が任意の位置になるようにリアルタイムに溶接装置本体1を駆動制御させるようにしている。
以上説明した本実施形態による遠隔溶接装置によれば、炉底部に設置されたCRDハウジング6に溶接装置本体1を据え付けて、自動遠隔処理で溶接装置本体1に設けた外界センサにより計測データの収集と簡易な演算処理を施すことで、溶接装置本体1の据付状態の確認、据え付けた溶接装置本体1の向き、位置・姿勢(芯ずれ、傾き)を容易に求めることが可能となる。これにより、水中溶接作業を確実かつ効率的に行うことができる。
この演算処理の後、溶接装置本体1に設けた形状計測センサユニット7を用いて施工対象箇所と周囲構造物の形状計測を実施し、3次元形状モデルを作成する作業となる。上述した溶接装置本体1の向き、位置・姿勢を上記外界センサで検出し、溶接装置本体1を据え付けた位置・姿勢データをデータ処理装置13で校正することにより、正確な位置決め処理、形状計測処理を正確かつ効率的に行うことができる。その結果、原子炉内のような人の立ち入ることが困難で、複雑かつ狭隘な場所に設置された炉内構造物に対して、水中溶接作業を確実かつ効率的に行うことができ、作業性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、溶接フィラーの補充や交換作業、溶接ヘッド4の交換やメンテナンスなどの作業で、溶接装置本体1を一旦炉外へ引き上げて、再度挿入して作業を再開する場合、溶接装置本体1の据付けの向き、位置・姿勢を検出し、前回との位置・姿勢ずれを校正すれば、再度形状計測を実施して、3次元形状モデルを作成する作業を省略することが可能となるため、作業効率を大幅に向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、溶接装置本体1の据付け位置・姿勢データを校正することにより、施工時における溶接ヘッド4の位置決め精度の向上が図れ、確実な遠隔制御、遠隔操作を実現することができる。そして、溶接施工処理中に溶接装置本体1の据付姿勢の変化が生じたか否かをモニタすることができるため、確実な遠隔制御、遠隔操作を実現することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、溶接装置本体1に上記外界センサを取り付けることで、高精度な据付機構や補正機構を設けることなく、確実かつ効率的な溶接施工を行うことができる。
なお、本実施形態においては、支持部4aをCRDハウジング6に挿入して嵌合する校正として説明したが、支持部4aを下方に開口した断面凹形状とし、CRDハウジング6が支持部4aに挿入されて、支持部4aがCRDハウジング6を覆うように嵌合する構成も可能である。この場合、CRDハウジング6の外面に対向する支持部4a内面に超薄型距離センサを取り付ける。
(第2実施形態)
次に、溶接ヘッドと施工対象面との距離を指定の距離に保持し、確実にかつ効率的に溶接する方法について第2実施形態を用いて説明する。
第2実施形態は、前記第1実施形態の溶接施工手順で説明した通り、施工対象箇所を形状計測して、施工データ(駆動制御データ)を生成し、その施工データに基づいて溶接装置本体1の駆動制御を行い、施工対象面との距離を指定の距離に保って溶接ヘッド4を走査させてレーザ溶接施工を行うものである。
ところで、多層盛りにレーザ溶接を行う場合、2層目からの施工データは、再度形状計測を行い、施工データを生成する第1の手段を採用するか、もしくは機械的に溶接ビードの厚み分を加算した形状データに変換して施工データを生成する第2の手段を採る必要がある。
確実かつ効率的に溶接施工するには、上記第1の手段の場合、形状計測と施工データ生成を何回も繰り返し行うこととなり、非常に効率が悪い。一方、上記第2の手段の場合は、2層目からは機械的に溶接ビードの厚み分を加算して作成した形状データを用いて施工データを生成するので、作業効率は良好であるものの、実際との施工データの差が大きいと正確な溶接施工ができなくなる可能性がある。特に、層数が増すと、溶接施工ができなくなる可能性が大きくなる。
そこで、第2実施形態では、2層目から形状計測と施工データ生成処理を行わないで、溶接ヘッド4と施工対象箇所との距離を指定した距離に常になるように制御して確実でかつ効率的な施工を実現するようにしている。これを以下に具体的に説明する。
図7は本発明に係る遠隔溶接装置の第2実施形態を示す斜視図である。なお、前記第1実施形態と同一または対応する部分には、同一の符号を付して説明する。その他の実施形態も同様とする。
図7に示すように、本実施形態の遠隔溶接装置は、前記第1実施形態と同様に駆動機構アーム3および溶接ヘッド4を有する。この溶接ヘッド4は、簡易に気中雰囲気にする調整用光学系を備えた容器40と、施工対象箇所に対して上下方向に駆動する焦点軸機構部50と、テレビカメラ20と、距離計としての距離センサ43a,43bとを有している。
また、溶接ヘッド4には、光ファイバ19a、フィラー供給用チューブ41およびシールドガス供給チューブ19bが接続されている。光ファイバ19aはレーザ光を、フィラー供給用チューブ41は溶接フィラーを、シールドガス供給チューブ19bはシールドガスを、それぞれ溶接ヘッド4に取り込んでいる。
溶接ヘッド4は、制御部8に設けたレーザ装置15から光ファイバ19aを通して伝送されたレーザ光から溶接ヘッド4に内蔵した調整用光学系によりビーム径などを調整したレーザビーム46を出力する。
また、図示しない溶接装置本体のフィラードラムからは、フィラー供給用チューブ41を通してフィラーを供給する。なお、溶接施工の走査は、フィラーを傾けて走査させるため、フィラーの供給が容易な片側の方向のみで溶接施工を行う。反対方向から溶接開始位置へ戻る場合、溶接ヘッド4を設定の施工対象面と溶接ヘッド4との離隔距離より離した状態で戻し走査を行う。
溶接ヘッド4は、内部が気中雰囲気になるように、シールドガス供給チューブ19bを通して制御部8に設けたレーザ装置15から不活性ガスを供給している。溶接ヘッド4の容器40の外側面には、上記距離センサ43a,43bが取り付けられている。
次に、本実施形態における施工データを生成する手順について説明する。具体的に、1層目の施工データの生成および2層目からの施工データの生成は、以下の手順で行う。
前記第1実施形態で説明した水中溶接施工の作業手順の通り、溶接装置本体1を炉底部に据付け処理を行った後、溶接施工前に形状計測を行い、3次元形状モデルの作成を行う。そして、3次元形状モデルに基づいて施工対象箇所の施工データを生成する。
この施工データの生成は、走査範囲(開始と終了の座標)、走査速度、送りピッチを設定し、その設定に基づいて溶接ビームが通過する座標点を取り決める。この施工データの生成は、市販の加工用3DCADツールを用いることで、自動的に溶接ビームの通過点群データ(ここでは、CLファイルという。)を作成することが可能となる。
次いで、このようにして作成したCLファイル(先端座標:溶接ビームの先端)から、施工対象面と溶接ビームとの角度を送りピッチ毎に設定する。
さらに、このようにして作成したCLファイルと先端角度(施工対象面と溶接ビームとの角度)に基づいて溶接装置本体(旋回、昇降、伸縮機構47による伸縮、回転機構48による回転、回転機構49による回転の各軸)の姿勢データを算出する。なお、焦点軸の位置は、動作範囲の中間位置とする。これで施工範囲内全ての施工データが作成される。
次に、このようにして作成した施工データを用いて3次元形状モデルを用いた施工シミュレーションを行い、施工データの検証を行う。この施工データ検証は、走査軌跡、溶接ヘッド4と施工対照物との距離、周囲構造物との干渉の有無をチェックする。
上記施工シミュレーションの結果、周囲構造物との干渉などの問題点を検出すると、送りピッチ毎に設定した施工対象面と溶接ビームとの角度を修正し、再度施工データを生成する。そして、施工シミュレーションを行い、施工データを検証し、問題点があるかチェックする。そして問題点がなくなるまで、この処理を繰り返し行う。
本実施形態では、施工対象面と溶接ヘッドとの離隔距離を施工時の正規距離の場合と、戻し走査のときの離隔距離(正規距離より任意の量だけ離す)の場合と、2つの施工データを作成する。また、施工データを簡易に動作確認するための走査データを作成する。この走査データは、施工範囲枠を走査させるもので、各走査経路の溶接装置本体1の駆動制御データと、溶接ヘッド4と施工対象面までの距離データを算出したもので、後述する施工データの確認に用いる。
多層盛りの場合、形状計測データに基づいて生成した3次元形状モデルに、予想させる溶接ビードの厚みを加えた3次元形状モデルを新たに作成し、1層目と同様の手順で施工位置姿勢での施工データ、溶接ヘッド4との離隔距離を正規距離より任意の量だけ離した位置姿勢での施工データ、および各走査経路の溶接装置本体1の駆動制御データ、および溶接ヘッド4から施工対象面までの距離データをそれぞれ算出し、データの検証を行う。
次に、施工開始位置移動と施工の手順を説明する。
図8(A),(B)は第2実施形態において1層盛りと3層盛りの溶接施工の場合についての溶接ヘッドの走査例を示す斜視図である。本実施形態では、溶接ヘッド4による走査は周方向(旋回方向)、送りを径方向(伸展方向)としている。
図8(A)には1層溶接により形成された溶接ビード61が示され、その1層が7パスである。図8(B)には3層溶接により形成された溶接ビード62が示され、その1層が7パス、2層が6パス、3層が5パスである。
図9(A)は、施工範囲と溶接施工前に施工データおよび動作確認用の施工枠動作経路を、図9(B)は、溶接施工の溶接ヘッド4の動作経路を、図9(C)は3層盛り施工の施工結果イメージをそれぞれ示す説明図である。なお、図9(A),(B)の破線の動作経路は、溶接施工経路ではなく、溶接ヘッド4を施工対象面から離した姿勢での走査経路である。
溶接ヘッド4の走査動作させる前に、まず溶接ヘッド4を施工開始位置に移動させる。施工開始位置への移動が終了したときの溶接ヘッド4は、施工対象面と溶接ヘッド4との離隔距離を設定位置まで近づけており、フィラーを施工対象面に接触した状態となる。
そして、溶接ヘッド4を周囲構造物と干渉しないように確実にかつ効率的に施工開始位置に移動させるには、溶接ヘッド4の焦点軸を縮めた状態にし、図9(A)の示すように溶接ヘッド4を施工対象面から離した姿勢で行う。
また、図9(A)に示す開始位置姿勢移動させると、次に図9(A)の示す動作確認用の施工枠動作経路を動作させ、施工データの確認を行う。この際に、溶接ヘッド4に取り付けた距離センサ43a,43bで施工対象面の距離を計測する。この計測した距離データが、施工データの生成で設定した離隔距離データとの差が許容範囲内であることを確認する。
次いで、溶接ヘッド4を図9(B)の示す施工開始位置に移動させ、焦点軸を設定された位置に戻す。ここで、溶接ヘッド4は施工開始位置姿勢となる。
次に、シールドガスを、シールドガス供給チューブ19bを通して溶接ヘッド4に供給し、施工データに基づいて溶接装置本体の旋回、昇降、伸縮機構47による伸縮、回転機構48による回転、回転機構49による回転の5軸を駆動させて溶接ヘッド4を走査する。また、走査開始に合わせてレーザ照射、フィラー供給を開始する。1パスの走査が終了すると(施工範囲まで走査)、走査動作を停止およびレーザ照射、フィラー供給を停止させる。
そして、戻り走査を行う。この戻り走査の姿勢は、溶接ヘッド4を施工対象面から離した条件で生成した施工データを用いる。走査経路は、直前に溶接した走査軌跡を逆に辿るように戻る。また、戻り走査の際、溶接ヘッド4に取り付けた距離センサ43a,43bで施工対象面の距離を計測する。この計測した距離データが施工データ生成で設定した離隔距離データとの差が溶接ビード厚みを考慮して許容範囲内であることを確認する。
次に、1パス目の溶接走査、戻りが終了すると、指定の送りピッチ分施工開始位置を移動させる。これで1パス分の溶接施工処理が終了となる。2パス目からも、1パス目と同様に施工データに基づいて施工処理を行い、指定した施工エリア分の溶接施工処理を行う。
1層目の溶接施工処理が終了すると、溶接ヘッド4に取り付けた距離センサ43a,43bで施工対象面の距離を計測したデータが収集されている。このデータと、施工データの生成で作成した溶接ビード厚さを考慮して作成した溶接ヘッド4と施工対象面との距離データと比較し、施工許容範囲に入っているか否かを判定する。
上記距離データが施工許容範囲に入っている場合は、溶接ビード厚さを考慮して作成した施工データを用いて、1層目の溶接施工と同様の手順で施工を行う。
万一、溶接ヘッド4と施工対象面との距離データが施工許容範囲に入っていないと判定させた場合は、収集した施工対象面の距離を計測したデータを用いて、施工箇所の3次元形状モデルを再生成し、一連の施工生成処理を行い、施工データを生成し、検証する。そして、その施工データに基づき、1層目の施工開始位置処理、簡易施工データ確認処理、溶接施工の手順と同様に処理を行う。
これらの処理は、駆動コントローラ10が駆動機構制御盤9、レーザ装置15、形状計測コントローラ12、データ処理装置13を自動制御することにより実現している。
以上の手順によれば、溶接ヘッド4と施工対象箇所との距離を指定した距離に常になるように制御することにより、1層の溶接施工だけでなく、多層盛りの溶接施工や凸凹面の溶接施工も確実かつ効率的に行うことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、施工時に距離センサを用いて施工対象面の距離分布を求め、施工データの修正処理を行うため、多層盛りや凸凹面が存在しても、確実かつ効率的な溶接施工を実現できる。
(第3実施形態)
図10(A)は本発明に係る遠隔溶接装置の第3実施形態の比較例を示す縦断面図、(B)は本発明に係る遠隔溶接装置の第3実施形態を示す縦断面図である。なお、本実施形態は、前記第1実施形態および第2実施形態に適用可能である。
溶接施工の場合、溶接ヘッド4にシールドガスを供給するため、図10(A)に示すように溶接ヘッド4の底部から気泡(ガス)75が発生する。また、溶接施工で発生する不純物によって周囲の水が濁ってしまう。これによって小型で検出精度が優れているレーザ距離センサを採用すると、溶接施工中に正確な距離計測が困難となる。
そこで、本実施形態では、溶接施工中でも施工対象箇所(面)に対する正確な距離計測が可能となる対策を講じている。
具体的には、図10(B)に示すように、距離センサ43a,43bを溶接ヘッド4に取り付けるための距離センサ取付治具71a,71bに浄化水ノズル72a,72bを取り付け、これらの浄化水供給ホース73a,73bからそれぞれ浄化水を供給するように構成している。
図10(A)に示す比較例の場合、気中や綺麗な水中で施工してない状況でないと正確な距離計測ができない。
これに対し、本実施形態では、周囲の水が濁っていても、また、気泡75が水中や計測対象エリアに付着していても、距離センサ43a,43bと施工対象箇所(面)との間に浄化水を供給することにより、正確な計測が可能となるため、信頼性が高く、またこれらの計測を小型で簡易な構造で実現することができる。
1…溶接装置本体
1a…支持部(据付部)
2…駆動機構本体(旋回機構、昇降機構)
3…駆動機構アーム
4…溶接ヘッド
5…スタブチューブ(炉内構造物)
6…CRDハウジング(炉内構造物)
7…形状計測センサユニット
8…制御エリア
9…駆動機構制御盤
10…駆動コントローラ
11…状態表示コントローラ
12…形状計測コントローラ
13…データ処理装置(演算手段、変換処理手段、データ生成手段、判断手段)
14…ハブ
15…レーザ装置
16…距離センサ
17…駆動制御信号ケーブル
18…計測信号ケーブル
19a…光ファイバ
19b…シールドガス供給チューブ
20…小型テレビカメラ
21…距離センサ
30…距離センサ
31…超薄型距離センサ(第1距離センサ)
32…超薄型距離センサ(第2距離センサ)
33…押付け機構
41…フィラー供給用チューブ
43…距離センサ
44…距離センサ
45…溶接フィラー
46…レーザビーム
47…伸縮機構
48…回転機構
49…回転機構
50…焦点軸機構
61…溶接ビード(1層)
62…溶接ビード(3層)
71a,71b…距離センサ取付治具
72a,72b…浄下水ノズル
73a,73b…浄下水供給ホース
75…気泡、不純物

Claims (8)

  1. 原子炉内に立設された筒状の施工対象箇所に据え付けられる溶接装置本体と、
    前記溶接装置本体に少なくとも旋回および昇降可能に取り付けられ、前記施工対象箇所に対して溶接を行う溶接ヘッドと、
    前記施工対象箇所に対向する前記溶接装置本体の据付部に複数配置され、前記施工対象箇所との距離を検出する距離センサと、
    前記複数の距離センサから得られた距離センサデータに基づいて前記溶接装置本体の据付状態データを求める制御部と、
    を有することを特徴とする遠隔溶接装置。
  2. 前記据付状態データは、前記溶接装置本体の正規位置に対する芯ずれ、傾きのデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の遠隔溶接装置。
  3. 前記制御部は、前記据付状態データに基づいて前記溶接ヘッドを駆動させる駆動制御データを生成することを特徴とする請求項2に記載の遠隔溶接装置。
  4. 前記溶接装置本体は、前記筒状の施工対象に嵌合される支持部によって施工対象箇所に据え付けられ、
    前記距離センサは、前記支持部の前記施工対象内面に対向する面に、前記支持部の周方向に複数設けられた第1距離センサと、この第1距離センサと異なる高さに設けられた第2距離センサと、を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の遠隔溶接装置。
  5. 前記溶接装置本体に設置され、施工走査および戻り走査のときの施工対象面までの距離を計測する距離計と、
    前記施工対象箇所の形状の計測を行って3次元形状モデルを作成する形状計測センサと、
    前記3次元形状モデルに基づいて前記施工対象箇所に対する前記溶接ヘッドの駆動制御データを生成するデータ生成手段と、
    前記駆動制御データで得られた距離データと前記距離計から得られた距離計データとの差が許容範囲であるかを判断する判断手段と、
    を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の遠隔溶接装置。
  6. 前記距離計で計測した前記溶接ヘッドから前記施工対象箇所までの距離が指定した距離になるように焦点軸を制御する焦点軸機構制御手段を設けたこと、
    を特徴とする請求項に記載の遠隔溶接装置。
  7. 前記距離計と、その計測対象面との間に洗浄水を供給する手段を設けたこと、
    を特徴とする請求項5又は6に記載の遠隔溶接装置。
  8. 原子炉停止時に原子炉内の施工対象箇所に対して少なくとも旋回および昇降可能な溶接ヘッドで遠隔にて溶接を行う遠隔溶接方法であって、
    前記原子炉内に立設された筒状の前記施工対象箇所に溶接装置本体を据え付ける据付ステップと、
    前記据付ステップの後に、前記溶接装置本体の据付部に複数配置された距離センサにより前記施工対象箇所との距離を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップの後に、前記検出ステップで得られた距離センサデータに基づいて前記溶接装置本体の据付状態データを求める制御ステップと、
    を有することを特徴とする遠隔溶接方法。
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