上記プラグコネクタPでは、ケーブルアセンブリCの先端で露出する心線ワイヤ51を接続部42に接続するのに、伝送特性のマッチングをとるのに優位なハンダ付けを用いている。そして、上記プラグコネクタPに上記溝状凹部を設けることにより、上記心線ワイヤ51の、先端部のプラグコンタクト40の接続部42への位置決めを正確に行うようにしている。しかし、上記溝状凹部はプラグ側保持部材10に設けられているので、心線ワイヤ51を上記溝状凹部に載置する作業をプラグコンタクト40などが圧入保持された箱状のプラグ側保持部材10の内部の狭いスペースで行うことになることから、作業効率が低いという問題があった。特に、シールドケーブルとして、上記心線ワイヤ51に相当する内部導体を有する内部電線を複数内蔵した複線シールドケーブルを用いたときは、上記内部導体を対応する上記溝状凹部にそれぞれ載置する作業を箱状のプラグ側保持部材10の内部の狭いスペースで行うことは非常に困難な作業になり、作業効率が極めて低くなる。
また、同軸ケーブル50が引っ張られると、その引っ張り力は上記心線ワイヤ51と上記プラグコンタクト40の上記接続部42とのハンダ付け部、又は上記導電性シールド層53と上記ケーブルアセンブリCの上記挟持板55とのハンダ付け部に作用する。したがって、上記プラグコネクタPによる同軸ケーブル50の保持力は上記ハンダ付け部の接続強度により定まるが、上記保持力の向上が切望されていた。
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、シールドケーブルの終端にカシメシェルをかしめ、このカシメシェルをホルダハウジングに、内部電線の引き出しに抗し且つシールドケーブルの引っ張りに抗するように組み付けると共に内部電線及びシールドケーブルをホルダハウジングに位置決めしておいてから、このシールドケーブル付きのホルダハウジングを本体ハウジングに嵌合して内部導体をコンタクトにハンダ付けすることにより、上記内部導体の先端部の、コンタクトの接続部への位置決めを正確に且つ作業効率よく行え、引っ張り力に対するシールドケーブルの保持力を向上させることができるカシメシェル付き電気コネクタと、それを用いたシールドケーブルハーネスを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1のカシメシェル付き電気コネクタは、内部導体を内部絶縁被覆で覆ってなる内部電線と、この内部電線を覆う外部導体と、この外部導体を覆う外部絶縁被覆とを備えたシールドケーブルの終端に組み付けられるカシメシェル付き電気コネクタであって、
互いに直交する奥行き方向、幅方向、及び高さ方向をとったときに、底板と、この底板の幅方向両側から立ち上がるカシメ片と、上記底板から高さ方向の低い側へ延びる突片とを有し、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆、又は上記外部絶縁被覆から露出した上記外部導体に上記カシメ片がかしめられることになるカシメシェルと、
上記カシメシェルが載置されることになる載置部と、この載置部から高さ方向の低い側へ凹むと共に奥行き方向奥側に奥壁が形成されて上記突片が挿入されることになる凹部と、上記載置部よりも奥行き方向奥側に設けられて上記シールドケーブル終端の上記外部導体から露出してほぼ奥行き方向に延びる上記内部電線が嵌まることになる溝形の第1保持部と、上記載置部よりも奥行き方向手前側に設けられ、上記シールドケーブルが嵌まることになる溝形の第2保持部とを有し、上記載置部と上記第2保持部との間に上記底板の奥行き方向手前側の端部が掛かることになる段差部が形成されたホルダハウジングと、
相手側電気コネクタと嵌合することになるコネクタ嵌合部と、上記ホルダハウジングを嵌合することになるホルダハウジング嵌合部とを有する絶縁性の本体ハウジングと、
上記ホルダハウジング嵌合部の奥行き方向奥側に配置されて上記内部導体がハンダ付けされることになる接続部と、上記コネクタ嵌合部に配置されて上記相手側電気コネクタのコンタクトと接触することになる接触部とを有して上記本体ハウジングに設けられた導電性のコンタクトとを備え、
上記カシメシェルのカシメ片を上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆、又は上記外部絶縁被覆から露出した上記外部導体にかしめ、上記カシメシェルを上記ホルダハウジングの上記載置部に載置すると共に上記突片を上記凹部に挿入し、上記内部電線を上記第1保持部に嵌め、上記シールドケーブルを上記第2保持部に嵌め、上記ホルダハウジングを上記本体ハウジングに嵌合し、上記第1保持部から奥行き方向の奥側へ出た上記内部導体を上記コンタクトの接続部にハンダ付けすることで上記シールドケーブルの終端に組み付けられるように構成している。
上記カシメシェルのカシメ片を上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆、又は上記外部絶縁被覆から露出した上記外部導体にかしめるカシメ工程と、上記シールドケーブルを切断し又は外部絶縁被覆等をストリップ(被覆剥き)する切断・ストリップ工程は、どちらを先に行ってもよい。上記切断・ストリップ工程では、上記シールドケーブル終端の上記外部導体から上記内部絶縁被覆を露出させると共に上記内部絶縁被覆から上記内部導体を露出させ、又は先端に向かって順に外部導体、内部絶縁被覆、内部導体を露出させるが、後者の場合、外部導体を折り返して外部絶縁被覆の上に被せてもよい。上記第1のカシメシェル付き電気コネクタが上記シールドケーブルの終端に組み付けられるとシールドケーブルハーネスができる。そして、上記本体ハウジングのコネクタ嵌合部を上記相手側電気コネクタに嵌合すると、上記コンタクトが上記相手側電気コネクタのコンタクトと接触する。
上記第1のカシメシェル付き電気コネクタをシールドケーブル終端に組み付ける場合、上記シールドケーブルを上記コンタクトが設けられた上記本体ハウジングに直接に組み付けるのではなく、まず上記シールドケーブルを上記ホルダハウジングに組み付けて上記内部電線を整列させる。その場合、上記従来のプラグコネクタのように箱状のプラグ側保持部材の内部の狭いスペースで作業するのではなく、奥行き方向の奥側及び手前側にスペースの余裕がある状態で上記シールドケーブルにかしめたカシメシェルを上記ホルダハウジングの上記載置部に載置すると共に上記突片を凹部に挿入し、上記内部電線を上記第1保持部に嵌め、上記シールドケーブルを上記第2保持部に嵌めることで上記内部電線が整列するので、作業効率がよい。特に、シールドケーブルとして、上記内部電線を複数内蔵した複線シールドケーブルを用いたときは、奥行き方向の奥側にスペースの余裕がある状態で上記内部電線を対応する上記第1保持部にそれぞれ嵌めることで上記内部電線が整列するので、作業効率がよい。そして、上記ホルダハウジングにおいて上記内部電線が整列するので、上記ホルダハウジングを上記本体ハウジングに嵌合すると、上記内部導体の先端部のコンタクトの接続部への位置決めが正確に行われる。しかも、上記内部電線を奥行き方向の奥側へ引っ張っても上記突片が上記凹部の上記奥壁に当たって上記奥壁に受け止められるので、上記内部電線を奥行き方向の奥側へ引っ張りながら上記第1保持部に嵌めることができ、このことによっても上記内部導体の先端部のコンタクトの接続部への位置決めが更に正確に行われる。
また、上記シールドケーブルが奥行き方向の手前側へ引っ張られると、その引っ張り力は上記カシメシェルの上記底板の奥行き方向手前側の端部から上記ホルダハウジングの上記段差部に伝達される。そのため、例えば上記段差部から上記ホルダハウジングの奥行き方向手前側の端面までの肉厚を十分確保するなどすれば、上記シールドケーブルの保持力として上記従来のプラグコネクタのようにハンダ付け部の接続強度に依存した保持力を上回る保持力を得ることが可能となる。
さらに、上記カシメ工程から上記切断・ストリップ工程へ進むようにしたときには、上記切断・ストリップ工程において、カシメシェルの突片を例えばジグ等に掛けることで内部電線の切断部位又はストリップ部位を正確に決定することが可能となるので、上記内部導体の先端部のコンタクトの接続部への位置決めが更に正確に行われる。また、このカシメシェル付き電気コネクタを複数のシールドケーブルの先端に組み付けるときは、複数のカシメシェルの底板を一体的に設けることが考えられるが、上記カシメシェルを板から型で打ち抜くときには、複数のカシメシェルをそれぞれ独立して設けることでカシメシェルのカシメ片の立ち上がり長さを長く設定することが可能となり、そうしたときにはカシメ力を高くすることができる。
本発明の第2のカシメシェル付き電気コネクタは、上記第1のカシメシェル付き電気コネクタにおいて、さらに、
上記ホルダハウジングの高さ方向の高い側に載置されて上記ホルダハウジングの上記第1保持部及び第2保持部における高さ方向の高い側の開口を閉塞することになる補助ハウジングと、
上記本体ハウジングの高さ方向の低い側に上記本体ハウジングの少なくとも一部を覆うように配置されて上記本体ハウジングに接続された導電性で板状の第1シェルと、
上記補助ハウジングの高さ方向の高い側に上記補助ハウジングの少なくとも一部を覆うように配置されて上記第1シェルに連結されることになる導電性で板状の第2シェルとを備えている。
このようにすれば、上記カシメシェル付き電気コネクタから奥行き方向へ引き出された上記シールドケーブルが上記奥行き方向と交差する方向に引っ張られて湾曲しても、上記カシメシェル付き電気コネクタと上記シールドケーブルとの接続が安定的に維持される。また、上記第1シェル又は第2シェルが上記相手側電気コネクタの導電部に接触するようにすれば、両方の電気コネクタのシールドが良好に行われる。
本発明の第3のカシメシェル付き電気コネクタは、上記第1又は第2のカシメシェル付き電気コネクタにおいて、
上記底板の幅方向両側から立ち上がるカシメ片が、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆、又は上記外部絶縁被覆から露出した上記外部導体をかしめたときに、奥行き方向にずれるように構成されている。
このようにすれば、カシメ片同士が重ならないので、カシメシェル付き電気コネクタの低背化、つまり高さを低くすることが可能となる。
本発明の第1のシールドケーブルハーネスは、内部導体を内部絶縁被覆で覆ってなる内部電線と、この内部電線を覆う外部導体と、この外部導体を覆う外部絶縁被覆とを備えたシールドケーブルと、このシールドケーブルの終端に組み付けられたカシメシェル付き電気コネクタとを備えたシールドケーブルハーネスであって、
上記カシメシェル付き電気コネクタが、
互いに直交する奥行き方向、幅方向、及び高さ方向をとったときに、底板と、この底板の幅方向両側から立ち上がり、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆、又は上記外部絶縁被覆から露出した上記外部導体にかしめられたカシメ片と、上記底板から高さ方向の低い側へ延びる突片とを有するカシメシェルと、
上記カシメシェルが載置された載置部と、この載置部から高さ方向の低い側へ凹むと共に奥行き方向奥側に奥壁が形成されて上記突片が挿入された凹部と、上記載置部よりも奥行き方向奥側に設けられて上記シールドケーブル終端の上記外部導体から露出してほぼ奥行き方向に延びる上記内部電線が嵌まる溝形の第1保持部と、上記載置部よりも奥行き方向手前側に設けられ、上記シールドケーブルが嵌まる溝形の第2保持部とを有し、上記載置部と上記第2保持部との間に上記底板の奥行き方向手前側の端部が掛かる段差部が形成されたホルダハウジングと、
相手側電気コネクタと嵌合することになるコネクタ嵌合部と、上記ホルダハウジングを嵌合するホルダハウジング嵌合部とを有する絶縁性の本体ハウジングと、
上記ホルダハウジング嵌合部の奥行き方向奥側に配置されて上記内部導体がハンダ付けされた接続部と、上記コネクタ嵌合部に配置されて上記相手側電気コネクタのコンタクトと接触することになる接触部とを有して上記本体ハウジングに設けられた導電性のコンタクトとを備えている。
上記本体ハウジングのコネクタ嵌合部を上記相手側電気コネクタに嵌合すると、上記コンタクトが上記相手側電気コネクタのコンタクトと接触する。
上記第1のシールドケーブルハーネスは、その製造工程において、上記第1のカシメシェル付き電気コネクタで説明したように、作業効率がよく、しかも上記内部導体の先端部のコンタクトの接続部への位置決めが正確に行われ、さらにカシメシェルのカシメ片の立ち上がり長さを長く設定することでカシメ力を高くすることができる。
また、上記シールドケーブルが奥行き方向の手前側へ引っ張られると、その引っ張り力は上記カシメシェルの上記底板の奥行き方向手前側の端部から上記ホルダハウジングの上記段差部に伝達される。そのため、例えば上記段差部から上記ホルダハウジングの奥行き方向手前側の端面までの肉厚を十分確保するなどすれば、上記シールドケーブルの保持力として上記従来のプラグコネクタのようにハンダ付け部の接続強度に依存した保持力を上回る保持力を得ることが可能となる。
本発明の第2のシールドケーブルハーネスは、上記第1のシールドケーブルハーネスにおいて、さらに、
上記ホルダハウジングの高さ方向の高い側に載置されて上記ホルダハウジングの上記第1保持部及び第2保持部における高さ方向の高い側の開口を閉塞することになる補助ハウジングと、
上記本体ハウジングの高さ方向の低い側に上記本体ハウジングの少なくとも一部を覆うように配置されて上記本体ハウジングに接続された導電性で板状の第1シェルと、
上記補助ハウジングの高さ方向の高い側に上記補助ハウジングの少なくとも一部を覆うように配置されて上記第1シェルに連結された導電性で板状の第2シェルとを備えている。
このようにすれば、上記カシメシェル付き電気コネクタから奥行き方向へ引き出された上記シールドケーブルが上記奥行き方向と交差する方向に引っ張られて湾曲しても、上記カシメシェル付き電気コネクタと上記シールドケーブルとの接続が安定的に維持される。また、上記第1シェル又は第2シェルが上記相手側電気コネクタの導電部に接触するようにすれば、両方の電気コネクタのシールドが良好に行われる。
本発明の第3のシールドケーブルハーネスは、上記第1又は第2のシールドケーブルハーネスにおいて、
上記底板の幅方向両側から立ち上がるカシメ片が、奥行き方向にずれるように構成されている。
このようにすれば、カシメ片同士が重ならないので、カシメシェル付き電気コネクタの低背化、つまり高さを低くすることが可能となる。
本発明の第1のカシメシェル付き電気コネクタは、シールドケーブルの終端にカシメシェルをかしめ、このカシメシェルをホルダハウジングに、内部電線の引き出しに抗し且つシールドケーブルの引っ張りに抗するように組み付けると共に内部電線及びシールドケーブルをホルダハウジングに位置決めしておいてから、このシールドケーブル付きのホルダハウジングを本体ハウジングに嵌合して内部導体をコンタクトにハンダ付けするように構成したので、上記内部導体の先端部の、コンタクトの接続部への位置決めを正確に且つ作業効率よく行うことができ、引っ張り力に対するシールドケーブルの保持力を向上させることができる。また、上記カシメ工程から上記切断・ストリップ工程へ進むようにしたときには、上記内部導体の先端部のコンタクトの接続部への位置決めを更に正確に行うことが可能となる。さらに、このカシメシェル付き電気コネクタに複数のシールドケーブルの先端に組み付けるときは、複数のカシメシェルをそれぞれ独立して設けることでカシメ片の立ち上がり長さを長く設定することが可能となり、そうしたときにはカシメ力を高くすることができる。
本発明の第2のカシメシェル付き電気コネクタは、さらに、第1シェル、補助ハウジング、及び第2シェルを設けたので、上記第1のカシメシェル付き電気コネクタにより得られる効果が得られることに加え、さらに、上記カシメシェル付き電気コネクタから奥行き方向へ引き出された上記シールドケーブルが上記奥行き方向と交差する方向に引っ張られて湾曲しても、上記カシメシェル付き電気コネクタと上記シールドケーブルとの接続を安定的に維持することができる。また、上記第1シェル又は第2シェルが上記相手側電気コネクタの導電部に接触するようにすれば、両方の電気コネクタのシールドを良好に行うことができる。
本発明の第3のカシメシェル付き電気コネクタは、上記底板の幅方向両側から立ち上がるカシメ片を、シールドケーブル終端をかしめたときに奥行き方向にずれるように構成したので、上記第1又は第2のカシメシェル付き電気コネクタにより得られる効果が得られることに加え、さらに、カシメシェル付き電気コネクタを低背化することができる。
本発明の第1のシールドケーブルハーネスは、上記第1のカシメシェル付き電気コネクタで得られた効果と同様の効果を得ることができる。
本発明の第2のシールドケーブルハーネスは、上記第2のカシメシェル付き電気コネクタで得られた効果と同様の効果を得ることができる。
本発明の第3のシールドケーブルハーネスは、上記第3のカシメシェル付き電気コネクタで得られた効果と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のカシメシェル付き電気コネクタの第1の実施形態を示す。このカシメシェル付き電気コネクタXは、シールドケーブル700の終端に組み付けられることになる。そして、上記シールドケーブル700と、このシールドケーブル700の終端に組み付けられた上記カシメシェル付き電気コネクタXとにより、シールドケーブルハーネスYが構成される。
図26に示すように、シールドケーブル700は、内部導体711を内部絶縁被覆712で覆ってなる内部電線710と、この内部電線710を覆う外部導体730と、この外部導体730を覆う外部絶縁被覆740とを備えている。このシールドケーブル700は、さらに、上記外部導体730の内側に設けられたドレン線720を備えている。このドレン線720は、例えば接地配線に使われる。上記内部絶縁被覆712及び外部絶縁被覆740は合成樹脂により形成され、内部導体711及びドレン線720は金属線を束ねて形成され、外部導体730は金属製のテープである。しかし、本発明が対象とするシールドケーブルは、このような内部電線と、外部導体と、外部絶縁被覆とを備えておればよく、上記ドレン線を設けていなくてもよい。逆に、本発明は、内部電線と、外部導体と、外部絶縁被覆とを備え、さらに、これら以外の要素を含んだシールドケーブルも対象としている。また、この実施形態によって内部導体、内部絶縁被覆、外部導体、外部絶縁被覆の構成が限定解釈されることはなく、例えば外部導体は金属箔であってもよいし、金属線を編んでなる編組線であってもよい。この実施形態のシールドケーブル700は、複数の内部電線710を外部導体730のなかに収容してなる複線シールドケーブルである。この内部電線710は真っ直ぐに延びているストレート線である。しかし、本発明が対象とするシールドケーブルには、複数の内部電線を撚り合わせ、これを外部導体のなかに収容したものが含まれる。図26ではシールドケーブル700に含まれる内部電線710が2本になっているが、これによって本発明の対象とするシールドケーブルが内蔵する内部電線の本数が限定解釈されることはない。この実施形態では1本のシールドケーブル700に含まれる内部電線710の太さが同一であるが、太さの異なる内部電線を有する複線シールドケーブルも本発明の対象となる。また、内部電線が1本である単線シールドケーブルも本発明の対象となる。単線シールドケーブルと複線シールドケーブルが混在していてもよい。接続されるシールドケーブルは複数でもよいし1本であってもよい。さらに、本発明のカシメシェル付き電気コネクタに、上記シールドケーブルに加えて、ディスクリート線とも呼ばれる非シールドケーブルを接続するようにしてもよく、この実施形態はその一つの例を示している。この実施形態の非シールドケーブル800は、金属線を束ねて形成された導体810を絶縁被覆820で覆ってなる通常の電線であり、例えば電源線、接地線などとして用いられている。
以下、互いに直交する奥行き方向、幅方向、及び高さ方向をとり、これらの方向付けを利用して説明する。この実施形態の場合、図14で説明すれば、この図の上下方向が奥行き方向であり、上側が奥行き方向の奥側、下側が奥行き方向の手前側である。また、この図の左右方向が幅方向である。さらに、この図の紙面に垂直な方向が高さ方向であり、紙面から表側に離れるにつれて相対的に高さ方向の低い側から高さ方向の高い側へ進むことになる。図1に示すように、上記カシメシェル付き電気コネクタXは、上記シールドケーブル700のためのカシメシェル100と、ホルダハウジング200と、本体ハウジング300と、上記シールドケーブル700のためのコンタクト410、420とを備えている。上記カシメシェル付き電気コネクタXは、さらに、上記非シールドケーブル800のためのカシメシェル100’と、上記非シールドケーブル800のためのコンタクト410’とを備えている。
図1、図9及び図10に示すように、上記シールドケーブル700のために用いられるカシメシェル100は、底板110と、この底板110の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120と、上記底板110から高さ方向の低い側へ延びる突片130とを備えている。この実施形態の場合、上記突片130は、上記底板110の奥行き方向の奥側の端部から奥側へ出てから高さ方向の低い方へ曲がり、その板厚方向を奥行き方向にほぼ一致させて高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。板厚方向とは、その方向に沿った長さが板厚として特定されることになる方向である。しかし、突片は底板のいすれかの部位から高さ方向の低い側へ向かって延びておればよい。上記カシメシェル100は金属により形成されているが、他の材料により形成してもよい。
上記カシメシェル100のカシメ片120を上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740、又は上記外部絶縁被覆740から露出した上記外部導体730にかしめるカシメ工程と、上記シールドケーブル700を切断し又は外部絶縁被覆等をストリップする切断・ストリップ工程は、どちらを先に行ってもよいが、この実施形態では、まず切断・ストリップ工程を行い、次いでカシメ工程を行っている。上記切断・ストリップ工程では、上記シールドケーブル終端の上記外部導体730から上記内部絶縁被覆712を露出させると共に上記内部絶縁被覆712から上記内部導体711を露出させ、又は先端に向かって順に外部導体730、内部絶縁被覆712、内部導体711を露出させるが、この実施形態では前者を行っている。後者の場合、図24に示すように、外部導体730を折り返して外部絶縁被覆740の上に被せてもよい。この図24は外部導体730が編組線により形成されたものを示すが、他の素材により形成された外部導体730であっても同様に折り返して外部絶縁被覆740の上に被せることがある。
まず、切断・ストリップ工程を行う。すなわち、図2に示すように、上記シールドケーブル終端の上記外部導体730から上記内部絶縁被覆712を露出させると共に上記内部絶縁被覆712から上記内部導体711を露出させる。その場合、さらに上記外部導体730から上記ドレン線720を露出させているが、ドレン線を露出させなくてもよい。次いで、カシメ工程を行う。すなわち、図3に示すように、上記底板110の高さ方向の高い側に上記シールドケーブル終端における上記外部絶縁被覆740がある部分を置き、上記カシメ片120を上記外部絶縁被覆740に巻き付かせるように上記底板110の幅方向内側へ曲げて上記カシメ片120で上記外部絶縁被覆740を押圧することで、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740に上記カシメ片120をかしめる。ここで、部材の幅方向内側とは、幅方向に沿って当該部材の幅方向の中心に近い側であり、部材の幅方向外側とは、幅方向に沿って当該部材の幅方向の中心から遠い側である。図22に示すように一部のドレン線720を上記外部絶縁被覆740に添わせて上記カシメ片120により上記外部絶縁被覆740と共締めしてもよい。また、図23に示すように全部のドレン線720を上記外部絶縁被覆740に添わせて上記カシメ片120により上記外部絶縁被覆740と共締めしてもよい。図24に示すように外部導体730を折り返して外部絶縁被覆740の上に被せたときには、上記底板110の高さ方向の高い側に上記シールドケーブル終端における上記外部導体730を被せた部分を置き、上記カシメ片120を上記外部導体730に巻き付かせるように上記底板110の幅方向内側へ曲げて上記カシメ片120で上記外部導体730を押圧することで、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740から露出した上記外部導体730に上記カシメ片120をかしめる。
また、まずカシメ工程を行い、次いで切断・ストリップ工程を行うときは、まず、カシメ工程を行う。すなわち、図25に示すように、上記底板110の高さ方向の高い側に単純に切断された上記シールドケーブル終端を置き、上記カシメ片120を上記外部絶縁被覆740に巻き付かせるように上記底板110の幅方向内側へ曲げて上記カシメ片120で上記外部絶縁被覆740を押圧することで、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740に上記カシメ片120をかしめる。次いで、切断・ストリップ工程を行う。すなわち、図3に示すように、上記シールドケーブル終端の上記外部導体730から上記内部絶縁被覆712を露出させると共に上記内部絶縁被覆712から上記内部導体711を露出させる。その場合、さらに上記外部導体730から上記ドレン線720を露出させているが、ドレン線を露出させなくてもよい。
図1、図11及び図12に示すように、上記非シールドケーブル800のために用いられるカシメシェル100’は、底板110’と、この底板110’の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120’と、上記底板110’から高さ方向の低い側へ延びる突片130’とを備えている。この実施形態の場合、上記突片130’は、上記底板110’の奥行き方向の奥側の端部から奥側へ出てから高さ方向の低い方へ曲がり、その板厚方向を奥行き方向にほぼ一致させて高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。しかし、突片は底板のいすれかの部位から高さ方向の低い側へ向かって延びておればよい。上記カシメシェル100’は金属により形成されているが、他の材料により形成してもよい。
上記カシメシェル100’のカシメ片120’を上記非シールドケーブル終端の上記絶縁被覆820にかしめるカシメ工程と、上記非シールドケーブル800を切断し又は絶縁被覆820をストリップする切断・ストリップ工程は、どちらを先に行ってもよいが、この実施形態では、まず切断・ストリップ工程を行い、次いでカシメ工程を行っている。
まず、切断・ストリップ工程を行う。すなわち、図2に示すように、上記非シールドケーブル終端は、絶縁被覆820から導体810を露出させる。次いで、カシメ工程を行う。すなわち、図3に示すように、上記底板110’の高さ方向の高い側に上記非シールドケーブル終端における上記絶縁被覆820がある部分を置き、上記カシメ片120’を上記絶縁被覆820に巻き付かせるように上記底板110’の幅方向内側へ曲げて上記カシメ片120’で上記絶縁被覆820を押圧することで、上記非シールドケーブル終端の上記絶縁被覆820に上記カシメ片120’をかしめる。
また、まずカシメ工程を行い、次いで切断・ストリップ工程を行うときは、まず、カシメ工程を行う。すなわち、図25に示すように、上記底板110’の高さ方向の高い側に単純に切断された上記非シールドケーブル終端を置き、上記カシメ片120’を上記絶縁被覆820に巻き付かせるように上記底板110’の幅方向内側へ曲げて上記カシメ片120’で上記絶縁被覆820を押圧することで、上記非シールドケーブル終端の上記絶縁被覆820に上記カシメ片120’をかしめる。次いで、切断・ストリップ工程を行う。すなわち、図3に示すように、上記シールドケーブル終端は、上記絶縁被覆820から導体810が露出するように切断・ストリップされる。
上記カシメシェル100は、上記底板110の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120が、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740、又は上記外部絶縁被覆740から露出した上記外部導体730をかしめたときに、奥行き方向にずれて重ならないように構成されている。同様に、上記カシメシェル100’は、上記底板110’の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120’が、上記非シールドケーブル終端の上記絶縁被覆820をかしめたときに、奥行き方向にずれて重ならないように構成されている。
上記ホルダハウジング200は合成樹脂により形成されているが、他の材料により形成してもよい。図1に示すように、上記ホルダハウジング200は、ほぼ板状に形成されており、その板厚方向を高さ方向にほぼ一致させている。上記ホルダハウジング200の央部には、上記シールドケーブル700の上記カシメシェル100と、上記非シールドケーブル800の上記カシメシェル100’とが載置されることになる載置部210が設けられている。この実施形態では、複数の上記シールドケーブル700が幅方向にほぼ平行に並ぶので、上記カシメシェル100も幅方向にほぼ平行に並べられ、また複数の上記非シールドケーブル800が幅方向にほぼ平行に並ぶので、上記カシメシェル100’も幅方向にほぼ平行に並べられる。
図1及び図4に示すように、上記ホルダハウジング200には、上記カシメシェル100の突片130が挿入されることになる凹部220と、上記カシメシェル100’の突片130’が挿入されることになる凹部220’とが設けられている。上記凹部220は上記複数のカシメシェル100に対応して幅方向に並べられ、上記凹部220’は上記複数のカシメシェル100’に対応して幅方向に並べられている。図15に示すように、上記凹部220は、上記載置部210から高さ方向の低い側へ凹んでいる。この凹部220を構成する奥行き方向奥側の奥壁221は、上記凹部220に上記カシメシェル100の上記突片130が挿入されると当該突片130の奥行き方向奥側に位置する。この実施形態では、上記奥壁221は奥行き方向手前に向いており、上記載置部210から高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。また、この実施形態では、上記凹部220を構成する奥行き方向手前側の手前壁222は、上記凹部220に上記カシメシェル100の上記突片130が挿入されると当該突片130の奥行き方向手前側に位置する。上記手前壁222は奥行き方向奥に向いており、上記載置部210から高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。そのため、上記凹部220に上記カシメシェル100の上記突片130が挿入されると当該突片130は凹部220に嵌合されることになる。本発明は、上記奥壁と上記手前壁とが上記突片を遊嵌する程度に離間している実施形態も、上記手前壁が設けられない実施形態も含む。図16に示すように、上記凹部220’は上記凹部220と同様に構成されている。すなわち、上記凹部220’は、上記載置部210から高さ方向の低い側へ凹んでおり、この凹部220’を構成する奥行き方向奥側の奥壁221’は、上記凹部220’に上記カシメシェル100’の上記突片130’が挿入されると当該突片130’の奥行き方向奥側に位置する。この実施形態では、上記奥壁221’は奥行き方向手前に向いて上記載置部210から高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。また、この実施形態では、上記凹部220’を構成する奥行き方向手前側の手前壁222’は、上記凹部220’に上記カシメシェル100’の上記突片130’が挿入されると当該突片130’の奥行き方向手前側に位置する。上記手前壁222’は奥行き方向奥に向いて上記載置部210から高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。そのため、上記凹部220’に上記カシメシェル100’の上記突片130’が挿入されると当該突片130’は凹部220’に嵌合されることになる。本発明は、上記奥壁と上記手前壁とが上記突片を遊嵌する程度に離間している実施形態も、上記手前壁が設けられない実施形態も含む。
図1、図4、図13、及び図15に示すように、上記ホルダハウジング200における上記載置部210よりも奥行き方向奥側には、上記シールドケーブル終端の上記外部導体730から露出してほぼ奥行き方向に延びる上記内部電線710を保持するための第1保持部231が設けられている。上記第1保持部231は、上記複数の凹部220に対応して幅方向に並べられている。すなわち、上記ホルダハウジング200における上記載置部210よりも奥行き方向奥側から高さ方向の高い側へ第1壁230が立ち上がり、この第1壁230には、この第1壁230の高さ方向の高い側の端面から高さ方向の低い側へ凹む溝形の第1保持部231が形成されており、上記第1壁230の可撓性を利用して上記第1保持部231に上記内部電線710が所定の嵌合力をもって嵌まるようになっている。上記第1保持部231の高さ方向の高い側において幅方向に対向する端縁は、互いに近づくように上記第1保持部231の幅方向内側へ迫り出しており、上記第1保持部231に嵌った上記内部電線710が外れにくいようにしているが、本発明は、上記端縁をこのように形成しない実施形態を含む。図13及び図14に示すように、この実施形態では上記第1保持部231に一本の上記シールドケーブル700が内蔵する内部電線710を並べて一緒に嵌めるようにした。しかし、一本の上記シールドケーブルが内蔵する複数の内部電線を分割して複数の上記第1保持部に嵌めてもよい。図21はその一つの例を示しており、一本の上記シールドケーブル700が内蔵する複数の内部電線710をそれぞれ別々の上記第1保持部231に嵌めている。シールドケーブルとして、上記内部電線を複数撚り合わせて内蔵した複線シールドケーブルを用いたときは、その撚りをほどいて上記内部電線を一本ずつにばらしても上記内部電線の撚り癖により元に戻ろうとする復原力を受けるが、このように複数の上記内部電線をそれぞれ別々の上記第1保持部に嵌めるようにすれば、復原力に抗して上記内部電線710が整列されて作業効率がよい。また、隣り合う上記シールドケーブルの内部電線をまとめて上記第1保持部に嵌めてもよい。この実施形態によって1本の上記シールドケーブルの上記内部電線をどのように仕分けして上記第1保持部に嵌めるかが限定解釈されることはない。
また、図1、図4、及び図13に示すように、上記第1壁230には、上記第1保持部231から幅方向にずれた部位に、この第1壁230の高さ方向の高い側の端面から高さ方向の低い側へ凹む溝形のドレン線保持部232が形成されており、この上記ドレン線保持部232に上記ドレン線720を通すようにしている。この実施形態では隣り合う上記シールドケーブル700のドレン線720をまとめて上記第ドレン線保持部232に通し、幅方向の端にある一本のドレン線720を単独で上記第ドレン線保持部232に通した。しかし、上記第ドレン線保持部に一本の上記シールドケーブルが内蔵する複数のドレン線をまとめて通してもよいし、一本の上記シールドケーブルが内蔵する複数のドレン線を分割して複数の上記ドレン線保持部に通してもよく、隣り合う上記シールドケーブルのドレン線をまとめて上記ドレン線保持部に通してもよい。上記ドレン線保持部の高さ方向の高い側において幅方向に対向する端縁を互いに近づくように上記ドレン線保持部の幅方向内側へ迫り出してもよい。この実施形態によって1本の上記シールドケーブルの上記ドレン線をどのように仕分けして上記第ドレン線保持部に通すかが限定解釈されることはない。また、上記第1壁の可撓性を利用して上記ドレン線が上記ドレン線保持部に所定の嵌合力をもって嵌まるようにしてもよい。本発明は、上記ドレン線保持部が設けられない実施形態を含む。
さらに、図1、図4、図13、及び図16に示すように、上記第1壁230には、上記第1保持部231から幅方向にずれた部位に、この第1壁230の高さ方向の高い側の端面から高さ方向の低い側へ凹む溝形の第1保持部231’が形成されており、上記第1壁230の可撓性を利用して上記第1保持部231’に上記非シールドケーブル800が所定の嵌合力をもって嵌まるようになっている。上記第1保持部231’の高さ方向の高い側において幅方向に対向する端縁は、互いに近づくように上記第1保持部231’の幅方向内側へ迫り出しており、上記第1保持部231’に嵌った上記非シールドケーブル800が外れにくいようにしているが、本発明は、上記端縁をこのように形成しない実施形態を含む。本発明は、この非シールドケーブルのための第1保持部が設けられない実施形態を含む。
図1、図4、図13、及び図15に示すように、上記ホルダハウジング200における上記載置部210よりも奥行き方向手前側には、上記シールドケーブル700を保持するための第2保持部241が設けられている。上記第2保持部241は、上記複数の凹部220に対応して幅方向に並べられている。すなわち、上記ホルダハウジング200における上記載置部210よりも奥行き方向手前側から高さ方向の高い側へ第2壁240が立ち上がり、この第2壁240には、この第2壁240の高さ方向の高い側の端面から高さ方向の低い側へ凹む溝形の第2保持部241が形成されており、上記第2壁240の可撓性を利用して上記第2保持部241に上記シールドケーブル700が所定の嵌合力をもって嵌まるようになっている。上記第2保持部241の高さ方向の高い側において幅方向に対向する端縁は、互いに近づくように上記第2保持部241の幅方向内側へ迫り出しており、上記第2保持部241に嵌った上記シールドケーブル700が外れにくいようにしているが、本発明は、上記端縁をこのように形成しない実施形態を含む。そして、図15に示すように、上記載置部210と上記第2保持部241との間には段差部242が形成されている。この段差部242は、上記載置部210と、上記第2壁240における第2保持部241を形成する部分のうち上記載置部210に近い部分とが高さ方向にずれていることにより形成されており、この段差部242に上記カシメシェル100の上記底板110の奥行き方向手前側の端部が掛かるように構成している。
また、図1、図4、図13、及び図16に示すように、上記第2壁240には、上記第2保持部241から幅方向にずれた部位に、この第2壁240の高さ方向の高い側の端面から高さ方向の低い側へ凹む溝形の第2保持部241’が形成されており、上記第2壁240の可撓性を利用して上記第2保持部241’に上記非シールドケーブル800が所定の嵌合力をもって嵌まるようになっている。上記第2保持部241’の高さ方向の高い側において幅方向に対向する端縁は、互いに近づくように上記第2保持部241’の幅方向内側へ迫り出しており、上記第2保持部241’に嵌った上記非シールドケーブル800が外れにくいようにしているが、本発明は、上記端縁をこのように形成しない実施形態を含む。本発明は、この非シールドケーブルのための第2保持部が設けられない実施形態を含む。そして、上記載置部210と上記第2保持部241’との間には段差部242’が形成されている。この段差部242’は、上記段差部242と同様に、上記載置部210と、上記第2壁240における第2保持部241’を形成する部分のうち上記載置部210に近い部分とが高さ方向にずれていることにより形成されており、この段差部242’に上記カシメシェル100’の上記底板110’の奥行き方向手前側の端部が掛かるように構成している。
上記本体ハウジング300は合成樹脂により形成されているが、他の絶縁性材料により形成してもよい。図1に示すように、上記本体ハウジング300は、後述する相手側電気コネクタ900と嵌合することになるコネクタ嵌合部310と、上記ホルダハウジング200を嵌合することになるホルダハウジング嵌合部320とを備えている。この実施形態のカシメシェル付き電気コネクタXは上記相手側電気コネクタ900に対して高さ方向に沿って嵌合し又は離脱するので、上記ホルダハウジング嵌合部320は、上記コネクタ嵌合部310よりも高さ方向の高い側に設けられている。しかし、例えばカシメシェル付き電気コネクタを上記相手側電気コネクタ900に対して奥行き方向に沿って嵌合し又は離脱するときは、上記ホルダハウジング嵌合部は、上記コネクタ嵌合部よりも奥行き方向の奥側又は手前側に設けられる。
このカシメシェル付き電気コネクタXは、いわゆる雄形であるので、上記コネクタ嵌合部310は、高さ方向の低い側へ突出する凸形に形成されている。カシメシェル付き電気コネクタを、いわゆる雌形としたときには、上記コネクタ嵌合部は、高さ方向の高い側へ凹む凹形に形成される。
上記ホルダハウジング嵌合部は、板状の部材の央部を高さ方向の低い方に凹ませることにより設けられている。上記ホルダハウジング嵌合部は、このように板状部材の央部を凹ませるだけでも設けられるが、この実施形態では上記凹部における央部を板状部材の下面にまで至らしめて高さ方向に貫通させており、さらに奥行き方向の手前側を開放している。その結果、図1に示すように、上記ホルダハウジング嵌合部320は、上記コネクタ嵌合部310の高さ方向の高い側に設けられて幅方向に延びる本体321と、この本体321の幅方向の両側から奥行き方向手前へそれぞれ延びるアーム322とを備え、上記本体321の高さ方向の下部には奥行き方向手前へ張り出した本体底部が形成され、また上記アーム322の高さ方向の下部には上記ホルダハウジング嵌合部320の幅方向内側へ張り出したアーム底部が形成されている。そして、上記ホルダハウジング200の幅方向両側には上記ホルダハウジング200の幅方向外側へ突き出て上記アーム底部及び本体底部に載る側部250が設けられ、この側部250の奥行き方向の中途部には上記ホルダハウジング200の幅方向内側へ凹む側凹部251が設けられている。上記アーム322のアーム底部よりも高さ方向の高い側における奥行き方向の中途部には、上記ホルダハウジング嵌合部320の幅方向内側へ張り出す側凸部322aが形成されている。よって、上記ホルダハウジング200を上記ホルダハウジング嵌合部320に嵌めると、上記ホルダハウジング200の上記側部250が上記本体ハウジング300の上記アーム底部及び本体底部に載ると共に、上記ホルダハウジング200の上記側凹部251が上記本体ハウジング300の上記側凸部322aに嵌まって、上記ホルダハウジング200の奥行き方向への移動及び幅方向への移動が阻止される。この変形例として、上記とは逆に、上記ホルダハウジングの側部の奥行き方向の中途部に上記ホルダハウジングの幅方向外側へ張り出す側凸部を設け、上記アームのアーム底部よりも高さ方向の高い側における奥行き方向の中途部に上記ホルダハウジング嵌合部の幅方向外側へ凹む側凹部を形成してもよい。この実施形態によって上記ホルダハウジング嵌合部と上記ホルダハウジングとの嵌合構造が限定解釈されることはない。
上記本体ハウジング300には、コンタクト410、420、410’が設けられている。上記コンタクト410、420、410’は金属により形成されているが、他の導線性材料により形成してもよい。上記各コンタクト410は、それぞれ、上記ホルダハウジング嵌合部320の奥行き方向奥側に配置されて上記内部導体711がハンダ付けされることになる接続部411と、上記コネクタ嵌合部310に配置されて上記相手側電気コネクタ900の後述するコンタクト920と接触することになる接触部412とを備えている。上記各コンタクト420は、それぞれ、上記ホルダハウジング嵌合部320の奥行き方向奥側に配置されて上記ドレン線720がハンダ付けされることになる接続部421と、上記コネクタ嵌合部310に配置されて上記相手側電気コネクタ900の後述するコンタクト920と接触することになる接触部422とを備えている。上記各コンタクト410’は、それぞれ、上記ホルダハウジング嵌合部320の奥行き方向奥側に配置されて上記非シールドケーブル800の導体810がハンダ付けされることになる接続部411’と、上記コネクタ嵌合部310に配置されて上記相手側電気コネクタ900の後述するコンタクト920と接触することになる接触部412’とを備えている。この実施形態では、上記ホルダハウジング200に第1保持部231、ドレン線保持部232、及び第1保持部231’が幅方向に並べられている。そのため、それらに対応してコンタクト410、420、410’の接続部411、421、411’が並べられている。すなわち、上記内部電線710が嵌る上記第1保持部231に対応して上記内部電線710に応じた数の上記コンタクト410の上記接続部411が設けられ、上記ドレン線720が嵌る上記ドレン線保持部232に対応して上記ドレン線720に応じた数の上記コンタクト420の接続部421が設けられ、上記非シールドケーブル800が嵌る上記第1保持部231’に対応して上記コンタクト410’の上記接続部411’が設けられている。この実施形態では上記ホルダハウジング嵌合部320の上記本体321の本体底部に上記接続部411、421、411’が並べられているが、これらの接続部が設けられる部位がこれによって限定解釈されることはない。
また、上記カシメシェル付き電気コネクタXは、さらに、補助ハウジング610と、第1シェル620と、第2シェル630とを備えている。図6に示すように、上記補助ハウジング610は合成樹脂によりほぼ板状に形成されており、その板厚方向を高さ方向にほぼ一致させているが、他の絶縁性材料により形成してもよく、また他の形状に形成してもよい。上記補助ハウジング610は、上記ホルダハウジング200の高さ方向の高い側に載置されて上記ホルダハウジング200の上記第1保持部231及び第2保持部241における高さ方向の高い側の開口を閉塞するように構成されている。その場合、閉塞時には上記補助ハウジング610が上記内部電線710及び上記シールドケーブル700に接触するように構成することが好ましい。この実施形態では、上記補助ハウジング610は、さらに上記ホルダハウジング200の上記ドレン線保持部232、上記第1保持部231’及び第2保持部241’における高さ方向の高い側の開口をも閉塞している。その場合、閉塞時には上記補助ハウジング610が上記ドレン線720、非シールドケーブル800に接触するように構成することが好ましい。図7に示すように、上記第1シェル620は金属によりほぼ板状に形成されているが、他の導線性材料により形成してもよい。上記第1シェル620は、上記本体ハウジング300の高さ方向の低い側に上記本体ハウジング300の少なくとも一部を覆うように配置されて上記本体ハウジング300に接続されている。この実施形態では、上記第1シェル620は、上記ホルダハウジング嵌合部320における奥行き方向手前側の部分の幅方向両側の面と、上記ホルダハウジング嵌合部320及び上記ホルダハウジング200の奥行き方向手前側の面と、上記ホルダハウジング嵌合部320及び上記ホルダハウジング200の高さ方向の低い側の面とを覆っている。図8に示すように、上記第2シェル630は金属によりほぼ板状に形成されているが、他の導線性材料により形成してもよい。上記第2シェル630は、上記補助ハウジング610の高さ方向の高い側に上記補助ハウジング610の少なくとも一部を覆うように配置されて上記第1シェル620に連結されるように構成されている。この実施形態では、上記第2シェル630は、上記ホルダハウジング嵌合部320及び上記ホルダハウジング200における高さ方向の高い側の面と、上記ホルダハウジング嵌合部320における奥行き方向奥側の部分の幅方向両側の面と、上記ホルダハウジング嵌合部320及び上記ホルダハウジング200の奥行き方向手前側の面とを覆っている。そして、上記第1シェル620と上記第2シェル630とは一方に設けられたカシメ孔に他方に設けられたカシメ片をカシめることにより互いに接続されている。上記第1シェルと上記第2シェルとは、ねじ止め又はその他の構造で連結してもよい。
そして、上記カシメシェル付き電気コネクタXを上記シールドケーブル700及び上記非ールドケーブル800の終端に組み付ける場合、まず、図3に示すように、上記カシメシェル100のカシメ片120を上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740、又は上記外部絶縁被覆740から露出した上記外部導体730にかしめ、また、上記カシメシェル100’のカシメ片120’を上記非シールドケーブル終端の上記絶縁被覆820にかしめる。次いで、図4に示すように、上記カシメシェル100を上記ホルダハウジング200の上記載置部210に載置すると共に上記突片130を上記凹部220に挿入し、上記内部電線710を上記第1保持部231に嵌め、上記ドレン線720を上記ドレン線保持部232に通し、上記シールドケーブル700を上記第2保持部241に嵌める。また、上記カシメシェル100’を上記ホルダハウジング200の上記載置部210に載置すると共に上記突片130’を上記凹部220’に挿入し、上記非シールドケーブル800を上記第1保持部231’及び上記第2保持部241’に嵌める。次いで、図5に示すように、上記ホルダハウジング200を上記本体ハウジング300に嵌合し、上記第1保持部231から奥行き方向の奥側へ出た上記内部導体711を上記コンタクト410の接続部411にハンダ付けし、上記ドレン線保持部232から奥行き方向の奥側へ出た上記ドレン線720を上記コンタクト420の接続部421にハンダ付けし、上記第1保持部231’から奥行き方向の奥側へ出た上記導体810を上記コンタクト410’の接続部411’にハンダ付けする。さらに、図6に示すように、上記ホルダハウジング200及び本体ハウジング300に補助ハウジング610を組み付け、図7及び図8に示すように、上記ホルダハウジング200及び本体ハウジング300に第1シェル620及び第2シェル630を組み付け、これによって上記カシメシェル付き電気コネクタXが上記シールドケーブル700及び上記非ールドケーブル800の終端に組み付けられて上記シールドケーブルハーネスYができる。
図8に示すように、相手側電気コネクタ900は、ハウジング910と、このハウジング910に設けられたコンタクト920と、上記ハウジング910に設けられたシェル930とを備えている。この相手側電気コネクタ900は、いわゆる雌形であるので、上記ハウジング910には、その央部から高さ方向の低い側へ凹むコネクタ嵌合部911が形成されている。相手側電気コネクタ900を、いわゆる雄形としたときには、上記コネクタ嵌合部は、高さ方向の高い側へ突出する凸形に形成される。上記コンタクト920は、上記コネクタ嵌合部911のなかに配置されて上記カシメシェル付き電気コネクタXの上記コンタクト410、410’、420の上記接触部412、412’、422と接触することになる接触部と、上記相手側電気コネクタ900の外部へ接続できるように上記ハウジング910に設けられた接続部とを備えている。上記相手側電気コネクタ900は表面実装形であるので、上記接続部は上記ハウジング910の高さ方向の低い側から外部へ導出されているが、相手側電気コネクタが他の接続形式をとるときは、接続部がハウジングにおける他の部位に設けられることがある。上記シェル930は金属によりほぼ板状に形成されているが、他の導線性材料により形成してもよい。上記シェル930は、上記ハウジング910の周壁の外側を覆うように配置されて上記ハウジング910に接続されている。
次に、上記実施形態のカシメシェル付き電気コネクタXの作用及び効果を説明する。図8に示すように、上記シールドケーブルハーネスYに組み付けられた上記カシメシェル付き電気コネクタXにおける上記本体ハウジング300の上記コネクタ嵌合部310を上記相手側電気コネクタ900の上記コネクタ嵌合部911に嵌めて上記カシメシェル付き電気コネクタXを上記相手側電気コネクタ900に嵌合すると、上記コンタクト410、410’、420が上記相手側電気コネクタ900における対応するコンタクト920とそれぞれ接触する。
上記カシメシェル付き電気コネクタXをシールドケーブル700の終端に組み付ける場合、上記シールドケーブル700を上記コンタクト410、420が設けられた上記本体ハウジング300に直接に組み付けるのではなく、まず上記シールドケーブル700を上記ホルダハウジング200に組み付けて上記内部電線710を整列させる。その場合、上記従来のプラグコネクタのように箱状のプラグ側保持部材の内部の狭いスペースで作業するのではなく、奥行き方向の奥側及び手前側にスペースの余裕がある状態で上記シールドケーブル700にかしめたカシメシェル100を上記ホルダハウジング200の上記載置部210に載置すると共に上記突片130を凹部220に挿入し、上記内部電線710を上記第1保持部231に嵌め、上記ドレン線720を上記ドレン線保持部232に通し、上記シールドケーブル700を上記第2保持部241に嵌めることで上記内部電線710及び上記ドレン線720が整列するので、作業効率がよい。特に、シールドケーブルとして、上記内部電線710を複数内蔵した複線シールドケーブル700を用いたときは、奥行き方向の奥側にスペースの余裕がある状態で上記内部電線710を対応する上記第1保持部231にそれぞれ嵌めることで上記内部電線710が整列するので、作業効率がよい。また、上記内部電線を複数撚り合わせて内蔵した複線シールドケーブルの複数の上記内部電線をそれぞれ別々の上記第1保持部に嵌めるようにすれば、復原力に抗して上記内部電線が整列されるので、作業効率がよい。そして、上記ホルダハウジング200において上記内部電線710が整列するので、上記ホルダハウジング200を上記本体ハウジング300に嵌合すると、上記内部導体711の先端部のコンタクト410の接続部411への位置決めが正確に行われる。しかも、上記ホルダハウジング200において上記ドレン線720が整列されるので、上記ホルダハウジング200を上記本体ハウジング300に嵌合すると、上記ドレン線720の先端部のコンタクト420の接続部421への位置決めが正確に行われる。また、上記内部電線710又は上記ドレン線720を奥行き方向の奥側へ引っ張っても上記突片130が上記凹部220の上記奥壁221に当たって上記奥壁221に受け止められるので、上記内部電線710又は上記ドレン線720を奥行き方向の奥側へ引っ張りながら上記第1保持部231又は上記ドレン線保持部232に嵌めることができ、このことによっても上記内部導体711又は上記ドレン線720の先端部のコンタクト410、420の接続部411、421への位置決めが更に正確に行われる。さらに、上記カシメシェル付き電気コネクタXは非シールドケーブル800の終端にも組み付けられるが、この非シールドケーブル終端の組み付けにおいても上記シールドケーブル終端の組み付けで得られた作用及び効果と同様の作用及び効果が得られ、上記カシメシェル付き電気コネクタXを非シールドケーブル800の終端に組み付けるときの作業効率がよく、上記導体810の先端部のコンタクト410’の接続部411’への位置決めが正確に行われる。
また、上記シールドケーブル700が奥行き方向の手前側へ引っ張られると、その引っ張り力は上記カシメシェル100の上記底板110の奥行き方向手前側の端部から上記ホルダハウジング200の上記段差部242に伝達される。そのため、例えば上記段差部242から上記ホルダハウジング200の奥行き方向手前側の端面までの肉厚を十分確保するなどすれば、上記シールドケーブル700の保持力として上記従来のプラグコネクタのようにハンダ付け部の接続強度に依存した保持力を上回る保持力を得ることが可能となる。さらに、上記非シールドケーブル800が奥行き方向の手前側へ引っ張られたときも上記シールドケーブルのときと同様の作用及び効果が得られ、高い保持力を得ることが可能となる。
さらに、上記カシメ工程から上記切断・ストリップ工程へ進むようにしたときには、上記切断・ストリップ工程において、上記カシメシェル100の突片130を例えばジグ等に掛けることで上記内部電線710の切断部位又はストリップ部位を正確に決定することが可能となるので、上記内部導体711の先端部のコンタクト410の接続部411への位置決めが更に正確に行われる。また、このカシメシェル付き電気コネクタXを複数のシールドケーブル700の先端に組み付けるときは、複数のカシメシェルの底板を一体的に設けることが考えられるが、上記カシメシェルを板から型で打ち抜くときには、複数のカシメシェル100をそれぞれ独立して設けることでカシメシェル100のカシメ片120の立ち上がり長さを長く設定することが可能となり、そうしたときにはカシメ力を高くすることができる。さらに、上記非シールドケーブル終端の組み付けにおいても、上記カシメ工程から上記切断・ストリップ工程へ進むようにしたときには、上記シールドケーブル終端の組み付けのときと同様の作用及び効果が得られ、上記導体810の先端部のコンタクト410’の接続部411’への位置決めが正確に行われ、しかも複数のカシメシェル100’をそれぞれ独立して設けることでカシメシェル100’のカシメ片120’の立ち上がり長さを長く設定することが可能となり、そうしたときにはカシメ力を高くすることができる。
本発明のカシメシェル付き電気コネクタは、上記カシメシェル、上記ホルダハウジング、上記本体ハウジング、及び上記コンタクトを備えておればよい。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態のカシメシェル付き電気コネクタXは、さらに、上記ホルダハウジング200の高さ方向の高い側に載置されて上記ホルダハウジング200の上記第1保持部231及び第2保持部241における高さ方向の高い側の開口を閉塞することになる補助ハウジング610と、上記本体ハウジング300の高さ方向の低い側に上記本体ハウジング300の少なくとも一部を覆うように配置されて上記本体ハウジング300に接続された導電性で板状の第1シェル620と、上記補助ハウジング610の高さ方向の高い側に上記補助ハウジング610の少なくとも一部を覆うように配置されて上記第1シェル620に連結されることになる導電性で板状の第2シェル630とを備えている。このようにすれば、上記カシメシェル付き電気コネクタXから奥行き方向へ引き出された上記シールドケーブル700が上記奥行き方向と交差する方向に引っ張られて湾曲しても、上記カシメシェル付き電気コネクタXと上記シールドケーブル700との接続が安定的に維持される。また、上記第1シェル620又は第2シェル630が上記相手側電気コネクタ900のシェル930又はその他の導電部に接触するようにすれば、両方の電気コネクタのシールドが良好に行われる。上記実施形態では、上記補助ハウジング610が、さらに上記ホルダハウジング200の上記ドレン線保持部232、上記第1保持部231’及び第2保持部241’における高さ方向の高い側の開口をも閉塞しているので、上記カシメシェル付き電気コネクタXから奥行き方向へ引き出された上記非シールドケーブル800が上記奥行き方向と交差する方向に引っ張られて湾曲しても、上記カシメシェル付き電気コネクタXと上記非シールドケーブル800との接続が安定的に維持される。
本発明のカシメシェル付き電気コネクタにおけるカシメシェルのカシメ片は、上記底板の幅方向両側から立ち上がり、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆、又は上記外部絶縁被覆から露出した上記外部導体にかしめられるのであれば構成を限定しない。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態のカシメシェル付き電気コネクタXは、上記底板110の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120が、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740、又は上記外部絶縁被覆740から露出した上記外部導体730をかしめたときに、奥行き方向にずれて重ならないように構成されている。このようにすれば、カシメ片同士が重ならないので、カシメシェル付き電気コネクタXの低背化が可能となる。また、上記底板110’の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120’も、上記非シールドケーブル終端の上記絶縁被覆820をかしめたときに、奥行き方向にずれて重ならないように構成されている。このようにすれば、カシメ片同士が重ならないので、カシメシェル付き電気コネクタXの低背化が可能となる。
次に、他の実施形態を説明する。これらの他の実施形態には上記第1の実施形態及びその変形例の構成をそのまま引用し、上記他の実施形態において上記第1の実施形態の構成と異なる構成について追加的に説明する。図17及び図18は本発明のカシメシェル付き電気コネクタの第2の実施形態を示す。上記第1の実施形態では、上記突片130は、上記底板110の奥行き方向の奥側の端部から奥側へ出てから高さ方向の低い方へ曲がり、その板厚方向を奥行き方向にほぼ一致させて高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びていた。これに対し、上記第2の実施形態では、図17に示すように、上記底板110の奥行き方向の奥側の端部から奥側へ出てから高さ方向の低い方へ曲がり、その板厚方向を奥行き方向にほぼ一致させて高さ方向の低い側へ延びてから奥行き方向の奥側へ曲がり先端が奥へ向いている。また、上記第1の実施形態では、上記奥壁221は奥行き方向手前に向いて上記載置部210から高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びていた。これに対し、上記第2の実施形態では、上記奥壁221は奥行き方向手前に向いて上記載置部210から高さ方向の低い側へ延びてから奥行き方向の奥へ引っ込み、さらに高さ方向の低い側へほぼ真っ直ぐに延びている。そのため、上記奥壁221の高さ方向の高い部分には奥行き方向の手前へ延びる上壁223が形成されている。したがって、上記カシメシェル100を上記ホルダハウジング200の上記載置部210に載置すると共に上記突片130を上記凹部220に挿入した場合、上記突片130が上記上壁223の高さ方向の低い側へ入り込む。上記突片130の上記凹部220への挿入を容易にするため、上記上壁223と上記手前壁222との間隔は上記突片130の板厚以上に十分間隔を空けている。また、上記手前壁を設けなくてもよい。上記第1の実施形態では上記突片130が奥側へ引っ張られると、上記突片130の奥行き方向奥側の面が上記凹部220の奥壁221に当たったが、上記第2の実施形態では上記突片130が奥側へ引っ張られると、上記突片130の奥行き方向の先端が上記凹部220の上記奥壁221に当たる。したがって、上記内部電線710又は上記ドレン線720を奥行き方向の奥側へ引っ張っると上記突片130が上記凹部220の上記奥壁221に当たって上記奥壁221に受け止められる。また、上記突片130が上記上壁223の高さ方向の低い側へ入り込むので、上記カシメシェル100が高さ方向の高い側へ持ち上げられても、上記カシメシェル100が上記凹部220の上記上壁223に当たるので、この力に抗することができる。そのため、第2実施形態では図17に示すように、上記補助ハウジングを設けていないが、上記補助ハウジングを設けてもよい。以上で説明した第2実施形態の突片130及び凹部220の構成、作用及び効果は、非シールドケーブル800のための突片130’及び凹部220’でも同様である。したがって、上記凹部220’には上壁223’が設けられている。第2の実施形態におけるその他の構成、作用及び効果は、上記第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
図19及び図20は本発明のカシメシェル付き電気コネクタの第3の実施形態を示す。上記第1の実施形態では第1シェル620及び第2シェル630を設けたが、第3の実施形態では第1シェルも第2シェルも設けていない。第3の実施形態の構成、作用及び効果は、第1シェル及び第2シェルに関する構成、作用及び効果を除いて上記第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
以上の実施形態の記載により、次のシールドケーブルハーネスYも十分に開示された。すなわち、第1のシールドケーブルハーネスYは、内部導体711を内部絶縁被覆712で覆ってなる内部電線710と、この内部電線710を覆う外部導体730と、この外部導体730を覆う外部絶縁被覆740とを備えたシールドケーブル700と、このシールドケーブル700の終端に組み付けられたカシメシェル付き電気コネクタXとを備えている。このシールドケーブルハーネスYは、上記カシメシェル付き電気コネクタXが、互いに直交する奥行き方向、幅方向、及び高さ方向をとったときに、底板110と、この底板110の幅方向両側から立ち上がり、上記シールドケーブル終端の上記外部絶縁被覆740、又は上記外部絶縁被覆740から露出した上記外部導体730にかしめられたカシメ片120と、上記底板110から高さ方向の低い側へ延びる突片130とを有するカシメシェル100と、上記カシメシェル100が載置された載置部210と、この載置部210から高さ方向の低い側へ凹むと共に奥行き方向奥側に奥壁221が形成されて上記突片130が挿入された凹部220と、上記載置部210よりも奥行き方向奥側に設けられて上記シールドケーブル終端の上記外部導体730から露出してほぼ奥行き方向に延びる上記内部電線710が嵌まる溝形の第1保持部231と、上記載置部210よりも奥行き方向手前側に設けられ、上記シールドケーブル700が嵌まる溝形の第2保持部241とを有し、上記載置部210と上記第2保持部241との間に上記底板110の奥行き方向手前側の端部が掛かる段差部242が形成されたホルダハウジング200と、相手側電気コネクタ900と嵌合することになるコネクタ嵌合部310と、上記ホルダハウジング200を嵌合するホルダハウジング嵌合部320とを有する絶縁性の本体ハウジング300と、上記ホルダハウジング嵌合部320の奥行き方向奥側に配置されて上記内部導体711がハンダ付けされた接続部411と、上記コネクタ嵌合部310に配置されて上記相手側電気コネクタ900のコンタクト920と接触することになる接触部412とを有して上記本体ハウジング300に設けられた導電性のコンタクト410とを備えている。
上記本体ハウジング300のコネクタ嵌合部310を上記相手側電気コネクタ900に嵌合すると、上記コンタクト410が上記相手側電気コネクタ900のコンタクト920と接触する。
上記第1のシールドケーブルハーネスYは、その製造工程において、上記実施形態のカシメシェル付き電気コネクタXで説明したように、作業効率がよく、しかも上記内部導体711の先端部のコンタクト410の接続部411への位置決めが正確に行われ、さらにカシメシェル100のカシメ片120の立ち上がり長さを長く設定することでカシメ力を高くすることができる。
また、上記シールドケーブル700が奥行き方向の手前側へ引っ張られると、その引っ張り力は上記カシメシェル100の上記底板110の奥行き方向手前側の端部から上記ホルダハウジング200の上記段差部242に伝達される。そのため、例えば上記段差部242から上記ホルダハウジング200の奥行き方向手前側の端面までの肉厚を十分確保するなどすれば、上記シールドケーブル700の保持力として上記従来のプラグコネクタのようにハンダ付け部の接続強度に依存した保持力を上回る保持力を得ることが可能となる。
さらに、以上の実施形態の記載により、次のシールドケーブルハーネスYも十分に開示された。すなわち、第2のシールドケーブルハーネスYは、上記第1のシールドケーブルハーネスYにおいて、さらに、上記ホルダハウジング200の高さ方向の高い側に載置されて上記ホルダハウジング200の上記第1保持部231及び第2保持部241における高さ方向の高い側の開口を閉塞することになる補助ハウジング610と、上記本体ハウジング300の高さ方向の低い側に上記本体ハウジング300の少なくとも一部を覆うように配置されて上記本体ハウジング300に接続された導電性で板状の第1シェル620と、上記補助ハウジング610の高さ方向の高い側に上記補助ハウジング610の少なくとも一部を覆うように配置されて上記第1シェル620に連結された導電性で板状の第2シェル630とを備えている。
このようにすれば、上記カシメシェル付き電気コネクタXから奥行き方向へ引き出された上記シールドケーブル700が上記奥行き方向と交差する方向に引っ張られて湾曲しても、上記カシメシェル付き電気コネクタXと上記シールドケーブル700との接続が安定的に維持される。また、上記第1シェル620又は第2シェル630が上記相手側電気コネクタ900のシェル930又はその他の導電部に接触するようにすれば、両方の電気コネクタのシールドが良好に行われる。
さらに、以上の実施形態の記載により、次のシールドケーブルハーネスYも十分に開示された。すなわち、第3のシールドケーブルハーネスは、上記第1又は第2のシールドケーブルハーネスYにおいて、上記底板110の幅方向両側から立ち上がるカシメ片120が、奥行き方向にずれるように構成されている。
このようにすれば、カシメ片同士が重ならないので、カシメシェル付き電気コネクタXの低背化、つまり高さを低くすることが可能となる。
本発明のカシメシェル付き電気コネクタは、以上の実施形態のカシメシェル付き電気コネクタの特徴を組み合わせた実施形態を全て含む。本発明のシールドケーブルハーネスは、上記シールドケーブルと、このシールドケーブルの終端に組み付けられた以上の実施形態のカシメシェル付き電気コネクタとを備えた実施形態を全て含む。