JP5230226B2 - 炭酸エステルの精製方法および製造方法 - Google Patents

炭酸エステルの精製方法および製造方法 Download PDF

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本発明は、炭酸エステルの精製方法および製造方法に関するものであり、より詳しくは、非対称型炭酸エステルと対称型炭酸エステルとの混合物から、非対称型炭酸エステルを精製する方法および上記精製方法を使用する非対称型炭酸エステルの製造方法に関するものである。
炭酸エステルは、有機合成化学における出発原料や合成中間体として、また、近年は磁気記録媒体において潤滑剤成分として広く使用されている(例えば特許文献1および2参照)。
特開平7−138586号公報 特開平8−77547号公報
一般に、2本の同一アルキル基を有する対称型炭酸エステルは、合成が比較的容易であるのに対し、2本のアルキル基が異なる非対称型炭酸エステルは、同じアルキル基を有する対称型炭酸エステルが合成時に副生するため、高純度品を得るためには精製を行う必要がある。
有機合成化学における精製方法としては、蒸留やカラムクロマトグラフィーが広く用いられている。しかし、炭酸エステル、特に長鎖アルキル基を有する炭酸エステルは比較的沸点が高いため、蒸留による精製では高温・高真空を要することとなり工業化は困難である。また、カラムクロマトグラフィーによる精製方法も、コスト負荷が大きく工業化は難しい。
そこで本発明の目的は、高純度の非対称型炭酸エステルを温和な条件下で簡便に得るための手段を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、非対称型炭酸エステルと、該非対称型炭酸エステルの一方のアルキル基と同じアルキル基を2本有する対称型炭酸エステルとの凝固点の差を利用することにより、非対称型炭酸エステルと対称型炭酸エステルとの混合物から非対称型炭酸エステルを選択的に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]下記一般式(I)で表される炭酸エステルと、下記一般式(II)で表される炭酸エステルとの混合物から、下記一般式(I)で表される炭酸エステルを精製する方法であって、
前記混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度に置くことにより一般式(I)で表される炭酸エステルを含む凝固物を得ることを含み、但し、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点より高く、
前記有機溶媒は、下記条件を見たし、かつ、
前記有機溶媒中の前記混合物の濃度は、有機溶媒の質量に対して1/100〜20/110の範囲である、前記精製方法。
Figure 0005230226
[上記において、R1はアルキル基を表し、R2はR1とは異なるアルキル基を表す。]
<条件>
単一溶媒の場合、温度0℃の溶媒100質量部に対し、一般式(I)で表される炭酸エステルの純度99.0%以上の高純度サンプルを添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌したときに不溶解物が確認されない最大量が50質量部未満であり、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルについて、上記方法により測定される溶解度が50質量部以上である溶媒。
二種以上の溶媒の混合溶媒の場合、一般式(I)で表される炭酸エステルおよび一般式(II)で表される炭酸エステルに対して上記溶解度を示す溶媒を50質量%以上含む混合溶媒。
[2]前記凝固物を前記有機溶媒から濾別することを含む[1]に記載の精製方法。
[3]R1は炭素数14〜22の直鎖アルキル基を表し、R2は分岐構造を有する炭素数3〜10のアルキル基を表す[1]または[2]に記載の精製方法。
[4]前記有機溶媒は、炭素数1〜6のアルコール溶媒、アセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一種である[1]〜[3]のいずれかに記載の精製方法。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の方法により、上記一般式(I)で表される炭酸エステルを精製することを含む、上記一般式(I)で表される炭酸エステルの製造方法。
[6]下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物との反応により下記一般式(I)で表される炭酸エステルを製造する方法であって、
上記反応により、下記一般式(I)で表される炭酸エステルと下記一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物を得ること、
得られた混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度におくことにより一般式(I)で表される炭酸エステルを含む凝固物を得ることを含み、但し、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点より高く、
前記有機溶媒は、下記条件を見たし、かつ、
前記有機溶媒中の前記混合物の濃度は、有機溶媒の質量に対して1/100〜20/110の範囲である、前記製造方法。
Figure 0005230226
[上記において、R1はアルキル基を表し、R2はR1とは異なるアルキル基を表す。]
Figure 0005230226
[上記において、Xはハロゲン原子、水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2は、それぞれ一般式(I)および(II)における定義と同義である。]
<条件>
単一溶媒の場合、温度0℃の溶媒100質量部に対し、一般式(I)で表される炭酸エステルの純度99.0%以上の高純度サンプルを添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌したときに不溶解物が確認されない最大量が50質量部未満であり、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルについて、上記方法により測定される溶解度が50質量部以上である溶媒。
二種以上の溶媒の混合溶媒の場合、一般式(I)で表される炭酸エステルおよび一般式(II)で表される炭酸エステルに対して上記溶解度を示す溶媒を50質量%以上含む混合溶媒。
[7]前記凝固物を前記有機溶媒から濾別することを含む[6]に記載の製造方法。
[8]R1は炭素数14〜22の直鎖アルキル基を表し、R2は分岐構造を有する炭素数3〜10のアルキル基を表す[6]または[7]に記載の製造方法。
[9]前記有機溶媒は、炭素数1〜6のアルコール溶媒、アセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一種である[6]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、非対称型炭酸エステル、特に比較的長鎖なアルキル基を有する非対称型炭酸エステルを、簡便な方法で高純度に得ることができる。
[非対称型炭酸エステルの精製方法]
本発明の精製方法は、下記一般式(I)で表される炭酸エステルと、下記一般式(II)で表される炭酸エステルとの混合物から、下記一般式(I)で表される炭酸エステルを精製する方法に関する。
Figure 0005230226
[上記において、R1はアルキル基を表し、R2はR1とは異なるアルキル基を表す。]
本発明の精製方法は、前記混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度に置くことにより一般式(I)で表される炭酸エステルを含む凝固物を得ることを含む。但し、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点より高い。このように凝固点の差を利用することにより、沸点が比較的高く蒸留による精製では工業化が困難な一般式(I)で表される非対称型炭酸エステルを、合成において副生し得る一般式(II)で表される対称型炭酸エステルから容易に分離することができる。
以下、本発明の精製方法について更に詳細に説明する。
一般式(I)で表される炭酸エステルは、R1とR2が異なるアルキル基である非対称型炭酸エステルである。一般式(I)中、R1で表されるアルキル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよく、また無置換であっても置換基を有していてもよい。高沸点であり蒸留による分離が困難で本発明の適用が有効な炭酸エステルとしては、R1が炭素数14以上、好ましくは16以上、更に好ましくは18以上の直鎖アルキル基であるものを挙げることができる。凝固物を得ることによる精製の容易性を考慮すると、前記炭素数は22以下であることが好ましい。上記アルキル基は、好ましくは無置換アルキル基である。
一般式(I)中、R2は、R1で表されるアルキル基とは異なるアルキル基であればよく、直鎖であっても分岐を有していてもよく、また無置換であっても置換基を有していてもよい。高沸点であり蒸留による分離が困難で本発明の適用が有効なアルキル基としては、R2が分岐構造を有し、R1で表されるアルキル基よりも炭素数が小さなアルキル基を挙げることができる。上記分岐アルキル基の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。炭素数が小さいほど低融点となり精製が容易になるため炭素数の下限値は特に限定されるものではないが、前記炭素数は、例えば3以上である。
一般式(II)中、R2は上記と同様である。2つのR2を有する一般式(II)で表される対称型炭酸エステルは、通常、一般式(I)で表される非対称型炭酸エステル合成時に副生物として生成される。本発明の精製方法により精製される一般式(I)で表される非対称型炭酸エステルは、一般式(II)で表される対称型炭酸エステルより凝固点が高いものとする。一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、アルキル基の炭素数や分岐の有無によるが、例えば−25〜35℃、好ましくは−15〜60℃である。一方、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点も、アルキル基の炭素数や分岐の有無によるが、例えば−50〜20℃、好ましくは−50〜0℃である。また、両炭酸エステルの凝固点の差は、良好な分離精製を行うためには15℃以上あることが好ましく、20℃以上あることが更に好ましい。一般式(I)、(II)で表される炭酸エステルについて「凝固点」とは、純度99.0%以上の上記炭酸エステルを用いて、DSC(示差走査熱量分析)により測定される値をいうものとする。本発明では、精製条件設定のために、精製に先立ち分離すべき2種の炭酸エステルの凝固点を、標準品を用いて把握しておくことが好ましい。
本発明では、上記2種類の炭酸エステルの混合物から、以下のように、凝固点の差を利用し一般式(I)で表される炭酸エステルを選択的に凝固させる。
一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度に置く。上記混合物は、例えば後述する一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物とを反応させることによって得ることができる。混合物中の一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物との混合比は、上記反応の反応条件等により変わり得るものであり特に限定されるものではないが、一般式(I)で表される化合物を高収率で得るためには、一般式(I)で表される炭酸エステル:一般式(II)で表される炭酸エステル(物質量比(モル比))が、1:00:1:00〜1:00〜1.40程度であることが好ましい。
有機溶媒中の上記混合物の濃度は、例えば、有機溶媒の質量に対して1/100〜1/60、好ましくは1/100〜1/70である。上記混合物を有機溶媒に完全に溶解し均一系としてもよいが、完溶することは必須ではなく、エマルジョン系であってもよい。また、使用する溶媒は1種の溶媒のみからなるものでもよく、2種以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。2種以上の溶媒の混合溶媒である場合、混合溶媒中の溶媒は相溶性を有し均一溶媒となるものであってもよく、相溶性に乏しく不均一多相系となるものであってもよい。
上記溶媒としては、例えば、アルコール溶媒、アセトン、アセトニトリルを挙げることができる。前述のように、これらの溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。アルコール溶媒としては、特に一般式(I)、(II)中のR1およびR2が上記好ましいアルキル基である場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1〜6のアルコール溶媒を用いることが好ましい。溶媒は、一般式(I)で表される炭酸エステルに対する溶解度が低いものから選択することが好ましい。一般式(I)で表される炭酸エステルに対する溶解度が低い溶媒であれば、凝固した一般式(I)で表される炭酸エステルを濾過によって容易に分離することができる。
溶媒としては、温度0℃の溶媒100質量部に対し、精製対象である一般式(I)で表される炭酸エステルの純度99.0%以上の高純度サンプルを添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌したときに不溶解物が確認されない最大量が50質量部未満である溶媒を用いることが好ましい。また、一般式(II)で表される炭酸エステルについて、上記方法により測定される溶解度が50質量部以上である溶媒を用いることが、凝固物中の一般式(I)で表される炭酸エステル純度を高めるうえで更に好ましい。混合溶媒を使用する場合は上記溶解度を示す溶媒を50質量%以上含むものを使用することが好ましい。
前記混合物を有機溶媒へ添加し、任意に攪拌、振とう、加熱等を行う。本発明では、前記混合物を含む有機溶媒を、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される凝固点を超える温度に置く前に、該溶媒を両炭酸エステルの凝固点を超える温度に置くことが、均一粒形の凝固物が得られるため工業スケールでの生産性の点から好ましい。
一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される凝固点を超える温度に置く期間(以下、冷却期間ともいう)の長さ、および冷却期間中の降温速度は一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固物が高収率で得られるように適宜設定すればよい。例えば、冷却期間は10分以上、降温速度は5℃/分〜0.1℃/分程度とすることができる。冷却期間中、冷却温度は一定であってもよく、段階的に変えてもよい。例えば、凝固物が観察されるまで降温し、凝固物の生成が確認された温度で所定時間攪拌を行い、次いで降温を行う等、2段階以上の降温を行ってもよい。
得られた凝固物は、好ましくは上記有機溶媒から濾別する。濾過は、公知の方法で行うことができる。
こうして、本発明の精製方法によれば、一般式(I)で表される化合物を高純度で得ることができる。
[非対称型炭酸エステルの製造方法]
本発明の炭酸エステルの製造方法は、本発明の精製方法により、一般式(I)で表される炭酸エステルを精製することを含む。本発明の精製方法の詳細は、先に説明した通りである。一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物は、公知の炭酸エステル合成法により得ることができる。例えば、クロロギ酸エステルとアルコールとを反応させる方法や、低級アルキル基を有する炭酸エステルとアルコールとを反応させる方法等がある。具体的には、下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物との反応により、下記一般式(I)で表される炭酸エステルと下記一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物を得ることができる。
即ち、本発明は、
下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物との反応により下記一般式(I)で表される炭酸エステルを製造する方法であって、
上記反応により、下記一般式(I)で表される炭酸エステルと下記一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物を得ること、
得られた混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度におくことにより一般式(I)で表される炭酸エステルを含む凝固物を得ることを含み、但し、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点より高い、前記製造方法、
にも関する。
Figure 0005230226
上記において、Xはハロゲン原子、水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2は、それぞれ一般式(I)および(II)における定義と同義である。
Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等を挙げることができ、試薬の保存安定性の点では塩素原子が好ましい。
Xで表されるアルキル基としては、特に制限はないが反応性の点では炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましい。上記アルキル基は直鎖であってもよく分岐を有していてもよい。具体例としては、メチル基、エチル基等を挙げることができる。
合成反応時における反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はないが、効率的な反応を行うためには0℃〜80℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは50℃〜80℃である。
合成反応時における圧力は減圧条件でも常圧条件でもよいが、コスト面を考慮すると常圧条件が好ましい。
合成反応には触媒を用いていてもよいが、触媒を用いる場合は、反応原料である一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物等のカーボネート反応基質に対して0.001〜1.0%の当量で用いることが好ましい。
かかる触媒の例としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−メチルモルホリン、ベンゾトリアゾール等の有機塩基、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩、及び、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩が挙げられる。これらの中でも、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、N−メチルイミダゾール、ベンゾトリアゾール等の中性時N−H結合の無い有機塩基又は水酸化リチウムが好ましいが、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジンのピリジンおよびその誘導体がより好ましい。
上記反応により一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物を得ることができる。得られた混合物は、通常、溶媒留去、触媒や未反応原料の除去等の処理を行った後、前述の精製方法による精製が行われる。これにより、一般式(I)で表される化合物の高純度品を得ることができる。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
凝固点の確認
一般式(I)、(II)中のR1、R2が下記表1に示すアルキル基である化合物の標準品(カラム精製品、GC純度100%)について、DSCにより凝固点を測定した。
なお、下記表1に示す一般式(I)で表される化合物は、油状物であったため範囲をもった凝固点が得られた。
Figure 0005230226
溶解度の確認
一般式(I)、(II)中のR1、R2が下記表2に示すアルキル基である化合物の標準品(カラム精製品、GC純度100%)を使用し、以下の方法により表2に示す温度におけるメタノール、イソプロパノールおよびアセトニトリルの溶解度を測定した。
メタノール、イソプロパノール、アセトニトリルを100質量部計量し各溶媒を、−15℃、0℃、25℃、40℃に温度コントロールした後、各炭酸エステルを5質量部加え30分マグネチックスターラーで攪拌した。目視で溶解/不溶解を確認し溶解の場合はさらに5質量部を加え、マグネチックスターラーで30分攪拌した。溶解した場合、炭酸エステルをさらに5質量部ずつ添加していき溶解度を測定した。溶解が確認できた最大量を表2に示す。
Figure 0005230226
[実施例]
一般式(I)中のR1、R2が下記表3に示すアルキル基である炭酸エステルと一般式(II)中のR2が下記表3に示すアルキル基である炭酸エステルが、前者:後者=80:1(質量比)で混合している混合液20質量部を、メタノール55質量部およびイソプロパノール55質量部を含む混合溶媒に添加し、50℃に昇温し溶解状態または不均一2相系にした。均一または懸濁している液を1℃/2分の速度で、表1に示す一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される凝固点を超える温度まで冷却した。凝固物が出始めた温度で1時間攪拌し、さらに1℃/2分の速度で−15℃まで冷却した。その後、濾過を行い固体を得た。濾別した固体中の一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの比率をガスクロマトグラフィーで測定した。結果を表3に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の混合物20質量部を、アセトニトリル20質量部に添加し、攪拌しながら40度に加熱した。懸濁液を静置し、一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルを含む相を分取した。分取した相の一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの比率をガスクロマトグラフィーで測定した。結果を表3に示す。
[比較例2]
一般式(I)中のR1、R2が下記表3に示すアルキル基である炭酸エステルと一般式(II)中のR2が下記表3に示すアルキル基である炭酸エステルが、前者:後者=80:1(質量比)で混合している固体20質量部を50℃に加熱し、融解させた。この融解液を−15℃に冷却したメタノール55質量部およびイソプロパノール55質量部の混合液に内温−15〜10℃になるような速度で滴下し、即座に固化させた。得られた固形物を濾過した。固形物中の一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの比率をガスクロマトグラフィーで測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005230226
表3に示すように、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される凝固点を超える温度に冷却し凝固物を得た実施例では、一般式(I)で表される炭酸エステルと一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物から、一般式(I)で表される炭酸エステルの高純度品を得ることができた。実施例ではメタノールおよびイソプロパノールを使用したが、表2に示すようにアセトニトリルも一般式(I)で表される炭酸エステルに対する溶解度が低く、一般式(II)で表される炭酸エステルに対する溶解度が高いため同様に使用可能と考えられる。
これに対し、分液操作による精製を試みた比較例1および凝固物を得ることなく精製を試みた比較例2では、一般式(I)で表される炭酸エステルの純度を高めることはできなかった。
本発明によれば、有機合成等の各種分野において有用な非対称型炭酸エステルを高度に精製することができる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表される炭酸エステルと、下記一般式(II)で表される炭酸エステルとの混合物から、下記一般式(I)で表される炭酸エステルを精製する方法であって、
    前記混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度に置くことにより一般式(I)で表される炭酸エステルを含む凝固物を得ることを含み、但し、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点より高く、
    前記有機溶媒は、下記条件を見たし、かつ、
    前記有機溶媒中の前記混合物の濃度は、有機溶媒の質量に対して1/100〜20/110の範囲である、前記精製方法。
    Figure 0005230226
    [上記において、R1はアルキル基を表し、R2はR1とは異なるアルキル基を表す。]
    <条件>
    単一溶媒の場合、温度0℃の溶媒100質量部に対し、一般式(I)で表される炭酸エステルの純度99.0%以上の高純度サンプルを添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌したときに不溶解物が確認されない最大量が50質量部未満であり、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルについて、上記方法により測定される溶解度が50質量部以上である溶媒。
    二種以上の溶媒の混合溶媒の場合、一般式(I)で表される炭酸エステルおよび一般式(II)で表される炭酸エステルに対して上記溶解度を示す溶媒を50質量%以上含む混合溶媒。
  2. 前記凝固物を前記有機溶媒から濾別することを含む請求項1に記載の精製方法。
  3. R1は炭素数14〜22の直鎖アルキル基を表し、R2は分岐構造を有する炭素数3〜10のアルキル基を表す請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 前記有機溶媒は、炭素数1〜6のアルコール溶媒、アセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の精製方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により、上記一般式(I)で表される炭酸エステルを精製することを含む、上記一般式(I)で表される炭酸エステルの製造方法。
  6. 下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物との反応により下記一般式(I)で表される炭酸エステルを製造する方法であって、
    上記反応により、下記一般式(I)で表される炭酸エステルと下記一般式(II)で表される炭酸エステルの混合物を得ること、
    得られた混合物を有機溶媒存在下で、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点以下の温度であって、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点を超える温度におくことにより一般式(I)で表される炭酸エステルを含む凝固物を得ることを含み、但し、一般式(I)で表される炭酸エステルの凝固点は、一般式(II)で表される炭酸エステルの凝固点より高く、
    前記有機溶媒は、下記条件を見たし、かつ、
    前記有機溶媒中の前記混合物の濃度は、有機溶媒の質量に対して1/100〜20/110の範囲である、前記製造方法。
    Figure 0005230226
    [上記において、R1はアルキル基を表し、R2はR1とは異なるアルキル基を表す。]
    Figure 0005230226
    [上記において、Xはハロゲン原子、水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2は、それぞれ一般式(I)および(II)における定義と同義である。]
    <条件>
    単一溶媒の場合、温度0℃の溶媒100質量部に対し、一般式(I)で表される炭酸エステルの純度99.0%以上の高純度サンプルを添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌したときに不溶解物が確認されない最大量が50質量部未満であり、かつ一般式(II)で表される炭酸エステルについて、上記方法により測定される溶解度が50質量部以上である溶媒。
    二種以上の溶媒の混合溶媒の場合、一般式(I)で表される炭酸エステルおよび一般式(II)で表される炭酸エステルに対して上記溶解度を示す溶媒を50質量%以上含む混合溶媒。
  7. 前記凝固物を前記有機溶媒から濾別することを含む請求項6に記載の製造方法。
  8. R1は炭素数14〜22の直鎖アルキル基を表し、R2は分岐構造を有する炭素数3〜10のアルキル基を表す請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 前記有機溶媒は、炭素数1〜6のアルコール溶媒、アセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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