JP2008007469A - 炭酸エステル及びその製造方法、並びに、磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルを合成し前記炭酸エステルの粗生成物を得る工程、及び、飽和炭化水素溶媒と該飽和炭化水素溶媒に対して無限に相溶しない有機溶媒を含む溶媒とを用いて前記粗生成物を液液抽出し、前記炭酸エステルの精製物を得る工程を含むことを特徴とする炭酸エステルの製造方法、前記製造方法により得られる炭酸エステル、及び、前記炭酸エステルを用いた磁気記録媒体。式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に飽和炭化水素基を表し、R1の炭素数とR2の炭素数との和は12以上50以下である。
【化1】
【選択図】なし
Description
近年の記録の大容量化、高記録密度化要求に応える磁気記録媒体は、その高度な電磁変換特性を達成するため極めて平滑な表面を有する。この平滑な表面を記録ヘッドが高速で摺動すると従来の技術では耐久性を確保することが極めて難しくなる。
磁気記録媒体における耐久性の改善のため、例えば、磁気記録媒体に潤滑剤としてカーボネート化合物を使用する磁気記録媒体が提案されている(特許文献1及び2)。
また、表面に特定の研磨剤突起密度を有し、酸加水分解速度を規定した磁気記録媒体が提案されている(特許文献3)。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記炭酸エステルを用い、電磁変換特性、耐久性及び保存安定性に優れた磁気記録媒体を提供することである。
<1> 式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルを合成し前記式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルの粗生成物を得る工程、及び、飽和炭化水素溶媒と該飽和炭化水素溶媒に対して無限に相溶しない有機溶媒を含む溶媒とを用いて前記粗生成物を液液抽出し、式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルの精製物を得る工程を含むことを特徴とする炭酸エステルの製造方法、
<2> 上記<1>に記載の製造方法により製造された炭酸エステル、
<3> 非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散した磁性層を有し、該磁性層が上記<2>に記載の炭酸エステルを含有し、該磁性層表面に存在する突起数が式(2)を満足する磁気記録媒体。
0.01≦H15/H10≦0.20 (2)
(H10は磁性層表面に存在する高さ10nm未満の突起の単位面積あたりの数(個/μm2)を表し、H15は磁性層表面に存在する高さ15nm以上の突起の単位面積あたりの数(個/μm2)を表す。)
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記炭酸エステルを用い、電磁変換特性、耐久性及び保存安定性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の炭酸エステルの製造方法は、式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルを合成し前記式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルの粗生成物を得る工程、及び、飽和炭化水素溶媒と該飽和炭化水素溶媒に対して無限に相溶しない有機溶媒(以下、「極性有機溶媒」ともいう。)を含む溶媒とを用いて前記粗生成物を液液抽出し、式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルの精製物を得る工程(以下、「抽出工程」ともいう。)を含むことを特徴とする。
なお、本発明において、前記製造方法により得られた式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルは、「本発明の化合物」、「本発明の炭酸エステル」又は「本発明のカーボネート化合物」ともいう。
両炭素数の和は、好ましくは12〜40、更に好ましくは12〜30である。両炭素数の和が12未満であると、揮発性が高いため、磁気記録媒体に潤滑剤として用いた場合、走行時に磁性層表面から飛んでしまい走行停止を引き起こす。両炭素数の和が50よりも大きくなると、分子のモビリティが低くなるため、磁気記録媒体に潤滑剤として用いた場合、表面に必要量の潤滑剤が、しみ出て来ないため走行停止を引き起こす。
また、炭酸エステルの製造時において、本発明の炭酸エステルのR1及びR2の両炭素数の和が12未満であると、炭酸エステルの飽和炭化水素溶媒への溶解性が悪化するため、製法上好ましくなく、また、両炭素数の和が50よりも大きくなると、アルコール等の原料由来の残存物の極性有機溶媒への溶解性が悪化するため、製法上好ましくない。
直鎖状飽和炭化水素基の例としてはブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニル、ドコサニル等が好ましく挙げられる。
分岐状飽和炭化水素基の例としては2−ブチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルブチル、2−エチルヘキシル、2,2,4,4−テトラペンチル、2−ブチルオクチル、2−ヘキサデシル、2−デシルテトラデシル等が好ましく挙げられる。
また、前記式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルの粗生成物とは、合成により得られた式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステルを含む混合物であればよく、例えば、式(1)で表される飽和アルキル炭酸エステル合成後の反応溶液そのものやその濾過物、それらから溶媒を蒸発させた反応残渣等が挙げられる。
合成反応時における圧力は減圧条件でも常圧条件でもよいが、経費の面を考慮すると常圧条件が好ましい。
合成反応には触媒を用いていてもよいが、触媒を用いる場合は、反応原料であるクロロギ酸エステル化合物や低級炭化水素基やアリール基を有する炭酸エステル、ホスゲン類等のカーボネート反応基質に対して0.001〜1.0%の当量で用いることが好ましい。
かかる触媒の例としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−メチルモルホリン、ベンゾトリアゾール等の有機塩基、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩、及び、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩が挙げられる。これらの中でも、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、N−メチルイミダゾール、ベンゾトリアゾール等の中性時N−H結合の無い有機塩基又は水酸化リチウムが好ましいが、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジンのピリジン及びその誘導体がより好ましい。
本発明の飽和アルキル炭酸エステルは飽和炭化水素系溶媒への溶解性が高いことから、抽出工程において使用する溶媒は飽和炭化水素溶媒と、飽和炭化水素溶媒と相分離する溶媒として飽和炭化水素溶媒と無限に相溶しない有機溶媒とを含む溶媒を用いることが肝要である。
本発明に用いることができる飽和炭化水素溶媒としては、本発明の飽和アルキル炭酸エステルを溶解するものであれば、特に制限はないが、溶媒の取り扱いや分離操作の容易性から、沸点が35〜220℃の飽和炭化水素溶媒であることが好ましく、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、又は、これらの混合溶媒であることがより好ましく、ヘプタン、又は、ヘキサンであることが更に好ましい。また、飽和炭化水素溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
更に本発明の飽和アルキル炭酸エステル化合物の原料として用いるアルコールは水に対する溶解度が極めて低いため、未反応成分として系内に残存する該アルコールを不純物として取り除く必要がある場合もあるため、具体的な極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールを含む溶媒が好ましく、メタノール及び/又はアセトニトリルを含む溶媒がより好ましい。
上記の溶媒を単独で用いる以外でも、飽和炭化水素溶媒の反応系から、副生成物、残存する不純物を除去することができる混合溶媒を使用することができる。前記混合溶媒としては極性溶媒を含む溶媒であればよく、具体的には、メタノールと水の混合溶媒、アセトニトリルと水の混合溶媒、プロピレングリコールと水の混合溶媒、又は、メタノールとエチレングリコールの混合溶媒が好ましく例示できる。
また、飽和炭化水素溶媒と極性有機溶媒との具体的な組み合わせの例としては、ヘキサンとメタノール、ヘプタンとアセトニトリル、デカンとメタノール、オクタンとアセトニトリル、オクタンとメタノール、ドデカンとアセトンなどが好ましく挙げられるが、より好ましくはヘキサンとメタノール、ヘプタンとメタノール、ヘプタンとアセトニトリルの組み合わせが選ばれ、ヘキサンとメタノール、ヘプタンとメタノールの組み合わせがさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散した磁性層を有し、該磁性層が本発明の炭酸エステルを含有し、該磁性層表面に存在する突起数が式(2)を満足する。
0.01≦H15/H10≦0.20 (2)
(H10は磁性層表面に存在する高さ10nm未満の突起の単位面積あたりの数(個/μm2)を表し、H15は磁性層表面に存在する高さ15nm以上の突起の単位面積あたりの数(個/μm2)を表す。)
例えば、特開平7−138586号公報及び特開平8−77547号公報では、炭酸エステルが実施例に用いられているものの、比較的粗い表面を有し、十分な電磁変換特性を確保することが困難であった。
また、特開2003−323711号公報に記載されているように研磨剤に関する特定の突起密度の表面性にすることである程度の電磁変換特性と耐久性を確保できるものの、平滑な媒体で十分な耐久性を満足するには、潤滑性に優れるアルキル炭酸エステルが必要となる。特開2003−323711号公報に記載されているような脂肪酸エステルでは、耐久性が不十分であり、また、脂肪酸エステルでは加水分解反応が避けられず、保存安定性も不十分である。
また、加水分解しにくいカーボネート骨格を有し、分子量の割に粘度が低い特徴を有するアルキル炭酸エステルを上記表面性の媒体に使用することで十分な、電磁変換特性と耐久性、保存性を全て満足できることが分かった。
従来はステアリン酸ブチルの如き脂肪酸エステルとミリスチン酸の如き脂肪酸を混合して用いることが知られている。しかしながら、脂肪酸エステル及び脂肪酸を用いると高湿状態で走行させたとき、摩擦が大きくなり磁気テープの走行テンションが大きくなるという問題が生じた。
脂肪酸は単独で使用した場合は、滑性を得るためには、多量に用いる必要があり、この場合には磁性層が軟らかくなり、機械的強度が低下し、テープ/ヘッド間の相対速度に相当する高速摺動耐久性が劣化する欠点があった。また、脂肪酸と脂肪酸エステル化合物との併用は、高速摺動耐久性が良好となり、かつテンションも比較的小さくなるが、しかし85%RH(相対湿度)というような高湿条件においては走行テンションが大きくなる欠点を有していた。
特開平8−77547号公報では不飽和アルキル炭酸エステルを使用した磁気記録媒体を開示しているが、この炭酸エステルは不飽和基を持つため結合剤への相溶性が高い。そのため薄層化した最上層あるいは単層磁性層だけに潤滑剤を添加しても表面に潤滑剤がわずかにしか出てこないため、走行耐久性において記録/再生ヘッドによる摺動で潤滑剤が次第に除去されてしまい走行停止等を引き起こしてしまう等の問題があった。そこで1〜5μmの厚みの下層に潤滑剤を添加し、不足する潤滑剤を下層に添加することで常に潤滑剤量を上層へ補うことを開示しているが、近年の高密度化を狙い下層厚みを1μm以下に薄層化した媒体では十分な耐久性を得られない。不飽和結合を含まない本発明の飽和アルキル炭酸エステルでは、結合剤への相溶性を適度に抑えることで十分な表面量を確保できることが分かった。
また、前述したように本発明の製造方法を用いて前記式(1)で表される炭酸エステルは不純物が除去され、極めて純度が高いため、使用した磁気記録媒体は電磁変換特性、耐久性及び保存性を全て満足できる。
1)研磨剤分散バインダー:研磨剤を結合剤と溶剤であらかじめ分散してから研磨剤を含まない磁性液に添加し、混合分散して磁性塗料とする方法、あるいは研磨剤と結合剤と溶剤をあらかじめ分散しておきこれに別途分散した研磨剤を含まない磁性液を混合し、必要に応じてさらに分散して磁性塗料とする方法において、研磨剤を分散する際のバインダーと、研磨剤を含まない磁性液中のバインダーの相溶性を高くする或いは低くする。相溶性が高ければ磁性層が塗布乾燥される際の研磨剤粒子の移動を抑制でき研磨剤の突出高さを低くでき、逆に相溶性を低くすれば研磨剤の突出高さを高くできる。
2)カレンダの強押し:高圧力、高温度の下、金属ロールなどの硬いロールで磁性層表面を成形し高い研磨剤突起を磁性層中に押し込ませる。線圧力としては、好ましくは2,000〜4,500N/cm(200〜450kg/cm)、より好ましくは2,500〜4,000N/cm(250〜400kg/cm)で処理温度は、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃である。また、処理速度は、好ましくは50〜400m/min、より好ましくは80〜300m/minである。線圧力及び処理温度が上記範囲であると、H15/H10が適切な範囲であり、走行耐久性及び電磁変換特性に優れる。
3)バインダーの調整:磁性層のバインダーの種類や配合比を調整してカレンダ前の磁性層のTgを小さくすると、同じ条件でカレンダしてもH15/H10は小さくなる。また、磁性体に対するバインダーの量を分散を損ねない程度に適度に少なくすると、カレンダ前の磁性層の空隙が多くなり、同じ条件でカレンダしてもH15/H10を小さくできる。
4)混練条件;磁性塗料の調整の際には、磁性体とバインダーと少量の溶剤で、ニーダーなどの装置を用いて強い剪断力で混練処理を行うのが一般的である。混練処理により磁性体とバインダーの吸着力が増し磁性層の充填度が大きくなりまた磁性層の強度が大きくなる。強く混練すると充填度が大きくなるが塗布後の磁性層の空隙が少なくなりカレンダされにくくなりH15/H10が大きくなる。
また、磁性体、非磁性下層に用いる非磁性粉体の粒子サイズ及び分散条件によっては、粉体の凝集物が磁性層及び非磁性下層に含まれる。そのような媒体の表面には粗大な突起を生じ、H15/H10は大きくなる。
5)ブレード処理:磁気テープを研磨テープにラッピングしたり、ダイヤモンド粉末などの硬い粉末を散りばめた回転ロールにラッピングさせて、磁性層を研磨処理し、研磨剤の突起をトップカットする。
本発明の磁気記録媒体における磁性層は、本発明の飽和アルキル炭酸エステルを含有し、強磁性粉末を結合剤中に分散した層であり、磁気記録及びその再生に寄与する層である。
本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性粉末は、コバルト含有強磁性酸化鉄又は強磁性合金粉末でSBET比表面積が、好ましくは40〜80m2/g、より好ましくは50〜70m2/gである。結晶子サイズは、好ましくは12〜25nm、より好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は、好ましくは0.05〜0.25μmであり、より好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。
六方晶フェライトとしてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等がある。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nb、Zrなどの原子を含んでもかまわない。例えば、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn,Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを好ましく使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
板状比(板径/板厚)は1〜15が好ましく、より好ましくは2〜7である。板状比が上記範囲であると、十分な配向性が得られ、また、粒子間のスタッキングが少なくノイズを低く抑えることができる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積(SBET)は10〜200m2/gを示す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。
結晶子サイズは、好ましくは50〜450Å(5〜45nm)、より好ましくは100〜350Å(10〜35nm)である。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。たとえば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
飽和磁化σsは40emu/g〜80emu/g(40A・m2/kg〜80A・m2/kg)である。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜10程度が好ましく選択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが、好ましくは0.01〜2.0%である。
本発明に用いることができる窒化鉄粒子は、Fe及びNを少なくとも構成元素とした球状または回転楕円状の窒化鉄系磁性体である。ここで、「球状」とは粒子径の最大長/最小長の比が1以上2未満である粒子を意味し、「回転楕円体」とは粒子径の最大長/最小長の比が2以上4未満である粒子を意味する。
Fe及びNを少なくとも構成元素として有する球状または楕円状の窒化鉄系磁性体
窒化鉄粒子は、少なくともFe16N2相を含むことが望ましく、他の窒化鉄の相を含まないことが好ましい。これは、窒化鉄(Fe4NやFe3N相)の結晶磁気異方性は1×10-1J/cm3(1×105erg/cc)程度であるのに対し、Fe16N2相は2〜7×10-1J/cm3(2〜7×106erg/cc)の高い結晶磁気異方性を有するからである。これにより、微粒子化した際にも高い保磁力を維持することができる。
この高い結晶磁気異方性は、Fe16N2相の結晶構造に起因する。結晶構造は、N原子がFeの八面体格子間位置に規則的に入った体心正方晶であり、N原子が格子に入る際の歪が、高い結晶磁気異方性の発生原因と考えられる。Fe16N2相の磁化容易軸は窒化により伸びたC軸である。
なお、本明細書において「粒径の変動係数」とは、円相当径での粒径分布の標準偏差を求め、これを平均粒径で除したものを意味する。また「組成の変動係数」とは、粒径の変動係数と同様に、合金ナノ粒子の組成分布の標準偏差を求め、これを平均組成で除したものを意味する。本発明においては、これらの値を100倍して%表示とする。
表面化合物層は、Fe16N2相を徐酸化して形成することも出来るが、希土類元素あるいはホウ素、シリコン、アルミニウム、リンの中から選ばれた少なくとも1種の元素を含む表面化合物層を用いることが好ましい。
表面化合物層の厚さは1〜5nmが好ましい。これは、1nmより薄いと、酸化安定性に劣り、5nmより厚いと、磁性粉末中に占める表面化合物層の割合が増加して、粒子サイズが小さくなるにつれて、適度な飽和磁化量を維持できなくなるからである。
表面化合物層の組成は、鉄に対する希土類元素あるいはホウ素、シリコン、アルミニウム、リンの総含有量は、0.1〜40.0atm%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜30.0atm%、より好ましくは3.0〜25.0atm%であるのがよい。これらの元素が少なすぎると、表面化合物層の形成が困難となり、磁性粉末の磁気異方性が減少するだけでなく、酸化安定性に劣る。またこれらの元素が多すぎると、飽和磁化の過度な低下が起こりやすい。
また、この磁性粉末は、BET比表面積(SBET)が40〜100m2/gであることが好ましい。これは、BET比表面積が小さすぎると、粒子サイズが大きくなり、磁気記録媒体に適用すると粒子性ノイズが高くなり、また磁性層の表面平滑性が低下して、再生出力が低下しやすい。
また、BET比表面積が大きすぎると、Fe16N2相を含む粒子が凝集しやすくなり均一な分散物を得ることが難しく、平滑な表面を得ることが難しくなるからである。
Fe16N2相を含む粒子の製造方法について、説明する。Fe16N2相はα−Feを窒化することにより得られる。α−Feを得るには鉄系酸化物または水酸化物(たとえば、ヘマタイト、マグネタイト、ゲータイトなど)を気相中で還元して得る方法と、液相中で合成する方法がある。まず、気相中で還元する方法について説明する。鉄系酸化物または水酸化物の平均粒子サイズは、とくに限定されないが、通常は、5〜100nm程度であるのが望ましい。粒子サイズが小さすぎると、還元処理時に粒子間焼結が生じやすく、また粒子サイズが大きすぎると、還元処理が不均質となりやすく、粒子径や磁気特性の制御が困難となる。
水酸化物や水和物に対して、希土類元素とホウ素、シリコン、アルミニウム、リンなどの中から選ばれた少なくとも1種の元素を同時にあるいは交互に被着させてもよい。また、これらの被着処理を効率良く行うために、還元剤、pH緩衝剤、粒径制御剤などの添加剤を混入させることも好ましく行われる。
還元温度としては、250〜600℃とするのが好ましく、より好ましくは300〜500℃である。この温度範囲では、還元温度が十分に進み、粒子の焼結も防止できる。
次に合金ナノ粒子の製造方法を説明する。
合金ナノ粒子は、1種以上の金属化合物を含む逆ミセル溶液(I)と還元剤を含む逆ミセル溶液(II)とを混合して還元処理を施す還元工程と、必要に応じて前記還元処理後に熟成処理を施す熟成工程とにより製造できる。かかる製造方法により、鉄ナノ粒子が製造される。以下、各工程について説明する。
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と1種以上の金属化合物を含む水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。逆ミセル溶液(I)は、鉄ナノ粒子を形成するのに用いられる鉄塩が含有される。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤の添加量は、20〜200g/lであることが好ましい。
得られる粒子が均一な組成を有するよう、金属化合物水溶液中にキレート剤を添加することが好ましい。具体的には、DHEG(二ヒドロキシエチルグリシン)、IDA(イミノ二酢酸)、NTP(ニトリロ三プロピオン酸)、HIDA(二ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)、EDDP(エチレンジアミン二プロピオン酸二塩酸塩)、BAPTA(二アミノフェニルエチレングリコール四酢酸四カリウム塩水和物)などをキレート剤として使用することが好ましい。また、キレート安定度定数(logK)は、10以下であることが好ましい。
キレート剤の添加量は、金属化合物1モル当たり、0.1〜10モルであることが好ましく、0.3〜3モルであることがより好ましい。
水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して3〜50モルであることが好ましい。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、温度がT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限及び下限は、上記還元温度(−5〜30℃)の範囲にあるものとする。
還元反応は、合金の粒径分布の単分散性に大きな影響を与えるため、できるだけ高速撹拌(例えば約3,000rpm以上)しながら行うことが好ましい。
好ましい撹拌装置は高剪断力を有する撹拌装置であり、詳しくは撹拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端又は羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる撹拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業(株)製)、オムニミキサー(ヤマト科学(株)製)、ホモジナイザー((株)SMT製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散なナノ粒子を安定な分散液として合成することができる。
構造式としては、R−NH2、H2N−R−NH2、H2N−R(NH2)−NH2、R−COOH、HOCO−R−COOH、HOCO−R(COOH)−COOH、R−SO3H、HOSO2−R−SO3H、HOSO2−R(SO3H)−SO3H、R−SO2H、HOSO−R−SO2H、HOSO−R(SO2H)−SO2Hで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐若しくは環状の飽和又は不飽和の炭化水素残基である。
その他、エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸と同様に用いることができる(例えば、8〜22の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独又は組み合わせて用いることができる。)。
本発明の製造方法は、前記還元反応が終了した後、さらに反応後の溶液を熟成温度まで昇温させる熟成工程を有する。
熟成温度は、30〜90℃の間で一定の温度とすることが好ましく、その温度は、前記還元反応の温度より高くすることが適当である。また、熟成時間は、5〜180分とすることが好ましい。熟成温度及び熟成時間が上記範囲内であれば、凝集や沈殿が起こり難く、かつ反応を完結させ、組成を一定にすることができる。より好ましい熟成温度及び熟成時間は40〜80℃、10〜150分であり、さらに好ましい熟成温度及び熟成時間は40〜70℃、20〜120分である。
前記熟成を行った後は、水と1級アルコールとの混合溶液で前記熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。かかる洗浄・分散工程を設けることにより、不純物が除去され、磁気記録媒体の磁性層形成時の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄及び分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくはそれぞれ2回以上行う。
鉄ナノ粒子合成後に溶液から塩類を除くことは、ナノ粒子の分散安定性を向上させる意味から好ましい。脱塩にはアルコールを過剰に加え、軽凝集を起こし、自然沈降あるいは遠心沈降させ塩類を上澄みと共に除去する方法があるが、このような方法では凝集が生じやすいため、限外濾過法を採用することが好ましい。
窒化処理に先立ち、鉄ナノ粒子の酸化が懸念される場合には、水素あるいは水素と不活性ガス(H2、Ar、He等)との混合ガス気流中還元処理を行うことができる。温度としては200℃〜300℃が好ましく、より好ましくは250℃〜300℃である。上記範囲であると、粒子の融着が起こらず、また、十分に還元することができる。
窒化ガスについては、窒素ガス、窒素+水素の混合ガス、アンモニアガス等が使用できるが、アンモニアガスが使用に便宜である。
NH3雰囲気中での窒化処理は、アンモニア(NH3)気流中あるいはアンモニアガスを含んだ混合ガス気流中(例えばアルゴン、水素、窒素のいずれか一つ以上のガスを含んだ、アンモニアガスとの混合ガス)で行うのが好ましく、しかも100〜250℃の比較的低温度域で行うのがより好ましい。窒化処理温度が上記範囲であると、Fe16N2相が十分得られ、また、Fe16N2相生成の進行が十分速い。なお、これらのガスは高純度(5N以上)もしくは酸素量が数ppm以下であることが好ましい。
100〜250℃の温度範囲で0.5〜48時間の範囲が工業的に好ましく、処理時間は粒径にも依存するが、0.5〜24時間で処理することがより好ましい。
酸化皮膜を形成するには酸素濃度1〜5%の不活性ガス(N2、Ar、He、Ne等)の雰囲気下で0〜100℃の温度で1〜10時間処理することにより前述の厚みの酸化皮膜を形成することができる。
これらの被着処理として、希土類元素とシリコン、アルミニウムなどを同時にあるいは交互に被着させるようにしてもよい。
本発明において、磁性層に用いることができる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が好ましくは−100〜150℃、数平均分子量が好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000、重合度が好ましくは50〜1,000である。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が挙げられる。
前記ポリウレタン系バインダーとしては、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリエーテルエステルウレタン、アクリル系ポリウレタン等を好適に用いることができる。前記のポリウレタン系バインダーは上記潤滑剤との親和性が高く表面潤滑剤量を最適な範囲に制御することができるため好ましい。
結合剤が有していてもよい極性基は、スルホン酸塩、スルファミン酸塩、スルホベタイン、リン酸塩、ホスホン酸塩などが好ましい。極性基の量は1×10-5eq/g〜2×10-4eq/gが好ましい。
特に非磁性下層用バインダーは、SO3Naのような強い極性基と骨格に芳香環を多く含有する骨格が好ましい。これにより潤滑剤と非磁性下層バインダーとの親和性がより高まり、潤滑剤が非磁性下層に多く且つ安定的に存在することができる。
潤滑剤とバインダーとの親和性が適度であると、バインダーと潤滑剤とが完全に分子レベルで相溶せず、潤滑剤は上層に移行することができるため好ましい。
本発明の磁気記録媒体における磁性層は、研磨剤を含有することが好ましい。
研磨剤としては無機質非磁性粉末が使用できる。無機質非磁性粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機質化合物から選択することができる。無機質化合物としては例えば、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを単独又は組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、α−アルミナ、べんがら、酸化クロムである。
本発明に用いることができる研磨剤は、磁性層表面に存在している研磨剤の突出高さ分布であるH15/H10が、上記範囲になるように、種類、量、粒径、組み合わせ、形状等を種々変えて使用する。
研磨剤を1種のみ使用する場合、本発明で使用する研磨剤の平均粒径は、0.05〜0.4μmのものが好ましく、0.1〜0.3μmのものがより好ましい。また、平均粒径より0.1μm以上大きい粒径の粒子が1〜40%存在していることが好ましく、5〜30%であることがより好ましく、10〜20%であることが最も好ましい。この研磨剤単体での粒子サイズは、実際の磁性層表面に存在している研磨剤粒子の粒子サイズに影響は与えるが等しくはない。磁性層表面に存在する研磨剤粒子の粒子サイズは研磨剤の分散条件等よっても変化するし、塗布乾燥工程でも磁性層表面に出やすい粒子と出にくい粒子がある。
また、2種の研磨剤それぞれの分散条件を変えて、粒子サイズを制御することもできる。例えば研磨剤Aをあらかじめ結合剤と溶剤とともに分散しておき、これと、粉体のままの研磨剤Bを、別途結合剤と溶剤とともに混練処理した強磁性金属粉末の混練処理液に添加して、分散処理を行えば、研磨剤Aと研磨剤Bで分散処理条件を違えることができる。すなわち、Bに比べてAは強く分散される。研磨剤粉末のタップ密度は、好ましくは0.05〜2g/ml、より好ましくは0.2〜1.5g/mlである。
研磨剤粉末の含水率は、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.2〜3重量%である。研磨剤の比表面積は、好ましくは1〜100m2/g、より好ましくは5〜50m2/gである。DBPを用いた吸油量は、好ましくは5〜100ml/100g、より好ましくは10〜80ml/100gである。比重は、好ましくは1〜12、より好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでもよい。これらの研磨剤の表面は、当該研磨剤の主成分とは異なる化合物で、その少なくとも一部が被覆されていてもよい。この例として、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3、ZnOを挙げることができる。特にAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2を用いると分散性が良好になる。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いてもよい。
本発明の磁気記録媒体における磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤、カーボンブラック、などを挙げることができる。また、添加剤として、前記炭酸エステル以外の潤滑剤を併用してもよい。
これら添加剤としては、例えば、二硫化タングステン、グラファイト、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸基、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸及びそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、イソノニルホスホン酸、イソデシルホスホン酸、イソウンデシルホスホン酸、イソドデシルホスホン酸、イソヘキサデシルホスホン酸、イソオクタデシルホスホン酸、イソエイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸及びそのアルカリ金属塩、リン酸フェニル、リン酸ベンジル、リン酸フェネチル、リン酸α−メチルベンジル、リン酸1−メチル−1−フェネチル、リン酸ジフェニルメチル、リン酸ビフェニル、リン酸ベンジルフェニル、リン酸α−クミル、リン酸トルイル、リン酸キシリル、リン酸エチルフェニル、リン酸クメニル、リン酸プロピルフェニル、リン酸ブチルフェニル、リン酸ヘプチルフェニル、リン酸オクチルフェニル、リン酸ノニルフェニル等の芳香族リン酸エステル及びそのアルカリ金属塩、リン酸オクチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソオクチル、リン酸イソノニル、リン酸イソデシル、リン酸イソウンデシル、リン酸イソドデシル、リン酸イソヘキサデシル、リン酸イソオクタデシル、リン酸イソエイコシル等のリン酸アルキルエステル及びそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステル及びそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していてもよい一塩基性脂肪酸及びこれらの金属塩、又は、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していてもよい一塩基性脂肪酸と炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していてもよい1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していてもよいアルコキシアルコール又はアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル又は多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基及びF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基を持つものでもよい。
これらの添加物の具体例としては、例えば、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジェルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオンアーマー社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41G、三洋化成社製:プロファン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等が挙げられる。
カーボンブラックの種類はゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。放射線硬化層のカーボンブラックは所望する効果によって、以下のような特性を最適化すべきであり、併用することでより効果が得られることがある。
次に、非磁性層(非磁性下層、下層塗布層)に関する詳細な内容について説明する。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末を結合剤に分散させた少なくとも1層の非磁性層を有していてもよい。
結合剤としては、上記の磁性層の結合剤と同じ樹脂であることが好ましい。
非磁性層に使用する非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、非磁性層には非磁性粉末と共に、必要に応じてカーボンブラックを混合してもよい。
本発明における下層塗布層に用いられる無機粉末は、非磁性粉末であり、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機質化合物から選択することができる。
α−酸化鉄(ヘマタイト)は以下のような諸条件の基で実施される。即ち、本発明に用いることができるα−Fe2O3粒子粉末は、通常の(1)第一鉄水溶液に等量以上水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト粒子を生成させる方法、(2)第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCO3を含む懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、(3)第一鉄塩水溶液に等量未満の水酸化アルカリ水溶液または炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し等量以上の水酸化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法、及び(4)第一鉄水溶液と等量未満の水酸化アルカリ又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法等により得られた針状ゲータイト粒子を前駆体粒子とする。
用いられるAl化合物は酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩やアルミン酸ソーダ等のアルミン酸アルカリ塩を使用することができる。
この場合のAl化合物添加量はα−Fe2O3粒子粉末に対してAl換算で0.01〜50重量%である。上記範囲であると、結合剤樹脂中における分散が十分であり、粒子表面に浮遊するAl化合物同士が少なく、Al化合物同士が相互作用しにくいため好ましい。
また、水系ばかりでなく酸化チタン粉体にAlCl3、SiCl4の蒸気を通じその後水蒸気を流入してAl、Si表面処理を施すことも可能である。その他の顔料の製法については、G. D. Parfitt and K. S. W. Sing“Characterization of Powder Surfaces”Academic Press, 1976を参考にすることができる。
下層塗布層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmが好ましい。
本発明の磁気記録媒体には、平滑化層を設けてもよい。平滑化層とは、非磁性支持体表面の突起を埋めるための層であり、非磁性支持体上に磁性層を設けた磁気記録媒体の場合は非磁性支持体と磁性層の間、非磁性支持体上に非磁性層及び磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体の場合には非磁性支持体と非磁性層の間に設けられる。
平滑化層は、放射線硬化型化合物を放射線照射により硬化させて形成することができる。放射線硬化型化合物とは、紫外線または電子線などの放射線を照射すると重合または架橋を開始し、高分子化して硬化する性質を有する化合物をいう。
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して繰り返し走行性が強く要求される。このような高い保存安定性を維持させるために、非磁性支持体の非磁性層及び磁性層が設けられた面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層用塗料は、研磨剤、帯電防止剤などの粒子成分と結合剤とを有機溶媒に分散させる。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができる。また、結合剤としては、例えば、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独又はこれらを混合して使用することができる。
本発明で用いられる磁気記録媒体の構成において、非磁性支持体の好ましい厚さは、3〜80μmである。また、非磁性支持体と非磁性層又は磁性層の間に平滑化層を設けた場合、平滑化層の厚さは0.01〜0.8μmであることが好ましく、0.02〜0.6μmであることがより好ましい。また、非磁性支持体の非磁性層及び磁性層が設けられた面とは反対側の面に設けられたバックコート層の厚さは、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.2〜0.8μmであることがより好ましい。
本発明で用いられる磁気記録媒体の磁性層塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及び、これらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる六方晶フェライト強磁性粉末又は強磁性金属粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨材、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は磁性粉末又は非磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(但し、全結合剤の30%以上が好ましい)及び磁性体100重量部に対し15〜500重量部の範囲で混練処理されることが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用液および非磁性層用液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。このようなガラスビーズは、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できるようにすることが好ましく、塗布速度は20〜1,000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
カレンダ処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。本発明の磁気記録媒体は、表面の中心面平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜4.0nmの範囲であることが好ましく、0.5〜3.0nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることがより好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダ処理を施すことにより行われる。カレンダ処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは200〜450kg/cmの範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cmの範囲である。
本発明の磁気記録媒体における磁性層の飽和磁束密度は、好ましくは100〜300mT(1,000〜3,000G)である。また磁性層の抗磁力(Hr)は、好ましくは143.3〜318.4kA/m(1,800〜4,000Oe)であるが、より好ましくは159.2〜278.6kA/m(2,000〜3,500Oe)である。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDrは0.6以下、さらに好ましくは0.2以下である。
磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が保存安定性は好ましいことが多い。
本発明の磁気記録媒体は、磁気記録媒体に磁気記録された信号を再生するヘッドについては特に制限はないが、MRヘッドのために用いることが好ましい。本発明の磁気記録媒体の再生にMRヘッドを用いる場合、MRヘッドには特に制限はなく、例えばGMRヘッドやTMRヘッドを用いることもできる。また、磁気記録に用いるヘッドは特に制限されないが、飽和磁化量が1.0T以上であることが好ましく、1.5T以上であることがより好ましい。
〔潤滑剤Aの合成例〕
フラスコに、1−オクタデカノール108.2部、ヘキサン290部及びピリジン35部を入れ、撹拌しながら冷却した。このフラスコにさらに冷却と攪拌を続けながらクロロギ酸2−エチルヘキシル42部を2時間かけて滴下した。さらにこのフラスコ内部を撹拌しながら、室温に出して6時間経過させた。この反応液に水を加えて撹拌し、静置して分液漏斗を用いて水層を廃棄し、メタノールを加えて撹拌、静置、メタノール相を分離する操作を3回繰り返した。残ったヘキサン溶液を減圧濃縮し、153部の無色透明液体である潤滑剤Aが得られた。
この液体を酢酸エチルで10倍希釈して、うち1μlを薄層クロマトグラフィーで分離したが、1−オクタデカノールは検出されなかった。
〔潤滑剤Bの合成例〕
実施例1のメタノールをアセトニトリルに変更した以外は同様の操作を行ったところ、150部の無色透明液体である潤滑剤Bが得られた。
この液体を酢酸エチルで10倍希釈して、うち1μlを薄層クロマトグラフィーで分離したが、1−オクタデカノールは検出されなかった。
〔潤滑剤Cの合成例〕
実施例1のメタノールを水に変更した以外は同様の操作を行い、水相を廃棄したヘキサン溶液を減圧濃縮したところ、室温で結晶成分が多数析出し、潤滑剤Cを得た。
これを再度ヘキサンで10倍希釈して、うち1μlを薄層クロマトグラフィーで分離したところ、1−オクタデカノールが検出された。
〔潤滑剤D及びEの合成例〕
実施例1の1−オクタデカノール、クロロギ酸2−エチルヘキシルをそれぞれ、表1中のR1,R2の構造を有するアルコール、クロロギ酸エステルに変更した以外は、実施例1と同様の抽出処理を行い、潤滑剤D及びEを得た。
得られた潤滑剤D及びEをそれぞれ酢酸エチルで10倍希釈して、うち1μlを薄層クロマトグラフィーで分離したが、それぞれは対応するアルコールは検出されなかった。
実施例1の1−オクタデカノール、クロロギ酸2−エチルヘキシルをそれぞれ、表1中のR1,R2の構造を有するアルコール、クロロギ酸エステルに変更した以外は、実施例1と同様の抽出処理を行い、潤滑剤F及びGを得た。
〔潤滑剤H(ノナデカン酸2−エチルヘキシル)の合成〕
ノナデカン酸29.8重量部と2−エチル−1−ヘキサノール19.5重量部とトルエン86.5重量部にp−トルエンスルホン酸1水和物0.1重量部を加えて撹拌しながら4時間加熱還流し、そのままトルエンを留去した。この反応液から減圧蒸留にて脂肪酸エステルである潤滑剤Hを得た。
<上層用磁性液の調製>
強磁性金属粉末(Co/Fe=30原子%、Hc:2,350エルステッド(187kA/m)、SBET:55m2/g、表面処理層:Al2O3,SiO2、Y2O3、平均長軸長:50nm、平均針状比:7、σs:120A・m2/kg)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで、
カーボンブラック(平均粒径80nm) 2部
塩化ビニル樹脂(日本ゼオン(株)製MR−110) 10部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡績(株)製UR8300) 6部(固形分)
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1 60部
を加えて60分間混練した。この混練物にオープンニーダーを運転しながら、
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1 200部
を6時間かけて添加した。次いで、
α−Al2O3分散液 20部
を加えてサンドグラインダーで120分間分散した。さらに
ポリイソシアネート 4部(固形分)
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート3041)
ステアリン酸 1部
下記表1中に記載の潤滑剤 2部
ステアリン酸アミド 0.2部
トルエン 50部
を加えて20分間撹拌混合した。その後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を調製した。
酸化チタン(平均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2含有量90%以上、表面処理層;アルミナ、SBET35〜42m2/g、真比重4.1、pH6.5〜8.0)85部、及びカーボンブラック(ケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製))15部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル系共重合体MR110(日本ゼオン製)を17部及びスルホン酸含有ポリウレタン樹脂東洋紡製UR8200 10部(固形分)、及びシクロヘキサノン60部を添加して60分間混練し、次いで、
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに表1の潤滑剤と
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート3041) 5部(固形分)
ステアリン酸 1部
下記表1中に記載の潤滑剤 2部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性塗料を調製した。
得られた非磁性塗料を1.5μmに、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後の厚さが0.2μmになるように、厚さ62μmのポリエチレンテレフタレート支持体の表面に同時重層塗布した。磁性塗料が未乾燥の状態で5,000ガウスのCo磁石と4,000ガウスのソレノイド磁石で磁場配向を行い、溶剤を乾燥したものを金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃)で行った後1/2インチ幅にスリットした。
1.磁性層表面の突起高さ分布
突起高さ分布は、原子間力顕微鏡(AFM;デジタルインストルメンツ(株)製ナノスコープ)により求めた。探針には正四面体で1/2稜角=35゜、曲率半径100nm以下のものを用いて、コンタクトモードでVer.3.25のソフトウェアで行った。測定試料は15μm×15μm角で、測定結果は3次の補正を行って傾き等の補正を行い、Roughness Analysisのピーク数を求めるコマンドで処理して突起分布を求めた。
記録ヘッド(MIGギャップ0.15μm、1.8T)と再生用MRヘッドをドラムテスタ−にとりつけて測定した。ヘッドとメディアの相対速度1〜3m/min、面記録密度0.57Gbit/(インチ)2で測定した時の再生出力を測定し比較例2を0dBとした相対値で示した。
テープの摺動耐久性を40℃10%環境下で磁性層面をAlTiC製の円柱棒に接触させて荷重100g(T1)をかけ、2m/secの摺動速度で繰り返し10,000パスまで摺動を行ったあとのテープダメージを以下のランクで評価した。
また、LTO−G3カートリッジ用のリールにテ−プを600m巻いた状態で60℃90%6ヶ月保存した。保存後のテープも同様に評価した。
優秀:ややキズが見られるが、キズのない部分の方が多い。
良好:キズがない部分よりもキズがある部分の方が多い。
不良:磁性層が完全に剥離している。
Claims (3)
- 請求項1に記載の製造方法により製造された炭酸エステル。
- 非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散した磁性層を有し、
該磁性層が請求項2に記載の炭酸エステルを含有し、
該磁性層表面に存在する突起数が式(2)を満足する
磁気記録媒体。
0.01≦H15/H10≦0.20 (2)
(H10は磁性層表面に存在する高さ10nm未満の突起の単位面積あたりの数(個/μm2)を表し、H15は磁性層表面に存在する高さ15nm以上の突起の単位面積あたりの数(個/μm2)を表す。)
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