JP5227722B2 - 多結晶薄膜とその製造方法及び酸化物超電導導体 - Google Patents

多結晶薄膜とその製造方法及び酸化物超電導導体 Download PDF

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Description

本発明は、多結晶薄膜とその製造方法及び酸化物超電導導体に係り、より詳細には、良好な結晶配向性を維持しつつ、薄膜化が図れる多結晶薄膜とその製造方法、及びこの多結晶薄膜を利用した酸化物超電導導体に関する。
近年になって発見されたRE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X :REはYを含む希土類元素)は、液体窒素温度以上で超電導性を示すことから実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体として用いることが強く要望されている。
そして、酸化物超電導体を線材に加工するための方法としては、強度が高く、耐熱性もあり、線材に加工することが容易な金属を長尺のテープ状に加工し、この金属基材上に酸化物超電導体を薄膜状に形成する方法が検討されている。
ところで、酸化物超電導体はその結晶自体は結晶軸のa軸方向とb軸方向には電気を流し易いが、c軸方向には電気を流しにくいという電気的異方性を有している。従って、基材上に酸化物超電導体を形成する場合には、電気を流す方向にa軸あるいはb軸を配向させ、c軸をその他の方向に配向させる必要がある。
しかしながら、金属基材自体は非結晶もしくは多結晶体であり、その結晶構造も酸化物超電導体と大きく異なるために、基材上に上記のような結晶配向性の良好な酸化物超電導体膜を形成することは困難である。また、基材と超電導体との間には熱膨張率及び格子定数の差があるため、超電導臨界温度までの冷却の過程で、超電導体に歪みが生じたり、酸化物超電導体膜が基板から剥離する等の問題もある。
そこで、上記のような問題を解決するために、まず金属基板上に熱膨張率や格子定数等の物理的な特性値が基板と超電導体との中間的な値を示すMgO、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SrTiO等の材料から成る中間層(バッファー層)を形成し、この中間層の上に酸化物超電導体膜を形成することが行われている。
この中間層は基板面に対して直角にc軸が配向するものの、基板面内でa軸(又はb軸)がほぼ同一の方向に面内配向しないため、この上に形成される酸化物超電導層もa軸(又はb軸)がほぼ同一の方向に面内配向せず、臨界電流密度Jcが向上しないという問題があった。
イオンビームアシスト法(IBAD法:Ion Beam Assisted Deposition)は、この問題を解決する技術であり、スパッタリング法によりターゲットから叩き出した構成粒子を基材上に堆積させる際に、イオン銃から発生されたアルゴンイオンと酸素イオン等を同時に斜め方向(例えば、45度)から照射しながら堆積させるもので、この方法によれば、基材上の成膜面に対して、高いc軸配向性及びa軸面内配向性を有する中間層が得られる。
図6及び図7は、前記IBAD法により、中間層をなす多結晶薄膜を基材上に形成した一例を示すものであり、図6において100は板状の基材、110は基材100の上面に形成された多結晶薄膜を示している。
前記多結晶薄膜110は、立方晶系の結晶構造を有する微細な結晶粒120が、多数、結晶粒界を介して接合一体化されてなり、各結晶粒120の結晶軸のc軸は基材100の上面(成膜面)に対して直角に向けられ、各結晶粒120の結晶軸のa軸どうしおよびb軸どうしは、互いに同一方向に向けられて面内配向されている。また、各結晶粒120のc軸が基材100の(上面)成膜面に対して直角に配向されている。そして、各結晶粒120のa軸(あるいはb軸)どうしは、それらのなす角度(図7に示す粒界傾角K)を30度以内にして接合一体化されている。
IBAD法は、線材の機械的特性が優れる、安定した高特性が得られ易い等、実用性の高い製法であると言われているが、従来、IBAD法によって成膜された中間層(以下、「IBAD中間層」ともいう。)は、1000nm程度の膜厚がないと良好な配向性が得られないとされていた。一方、無配向の金属テープ上でイオンビーム衝撃によって結晶配向制御を行う関係で、IBAD法は蒸着速度が3nm/分程度と遅いため成膜に時間が掛かり、生産性の点で問題があった。
この問題を解決する方法として、YSZ、GdZrO等の蛍石構造系列の酸化物を用いる場合(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)と、MgO等の岩塩構造系列の酸化物を用いる場合(例えば、特許文献1を参照)があり、精力的に開発研究が進められている。また、IBAD法により作製可能なMgO膜として、MgO(111)軸が基板法線方向に向いたものと、MgO(100)軸が基板法線方向に向いたものが知られている。
米国特許第6933065号 国際公開2001−040536号公報
しかしながら、蛍石構造系列の酸化物を用いる前者の技術においては積層の構造が単純で成膜条件が広く、長尺化が先行して進んだが、中間層膜厚を厚くする必要があるために、生産速度が遅くなるほか、膜の内部応力が大きくなって基材が反り返るという問題があった。
また、岩塩構造系列の酸化物を用いる後者の方法は、前述の問題を抜本的に解決するものとして期待されているが、この方法は数10nm以下の非常に薄い膜を多数積層する方法であるため、長尺にわたって同一の狭い成膜条件を維持するために多くのノウハウを要するという問題があった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、良好な結晶配向性を維持しつつも中間層を薄膜化することで、膜の内部応力に起因する基板の反り返りを防止し、生産性にも優れた多結晶薄膜を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、膜の内部応力に起因する基板の反り返りが防止されるとともに生産性に優れ、結晶配向性が良好で、臨界電流密度が高く超電導特性の良好な酸化物超電導導体を提供することを第二の目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の多結晶薄膜は、金属基材上に、拡散防止層とベッド層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする。
上記の課題を解決するため、本発明の多結晶薄膜は、金属基材上に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする。
本発明の多結晶薄膜において前記第二層は、<111>配向している初期部と、<100>配向している成長部とからなることを特徴とする。
上記の課題を解決するため、本発明の多結晶薄膜の製造方法は、金属基材上に、拡散防止層とベッド層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向している多結晶薄膜の製造方法であって、前記第一層と前記第二層とをイオンビームアシスト法により形成することを特徴とする。
上記の課題を解決するため、本発明の多結晶薄膜の製造方法は、金属基材上に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向している多結晶薄膜の製造方法であって、前記第一層と前記第二層とをイオンビームアシスト法により形成することを特徴とする。
上記の課題を解決するため、本発明の酸化物超電導導体は、金属基材上に、拡散防止層とベッド層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層と、キャップ層と、酸化物超電導層とを有する酸化物超電導導体であって、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする。
上記の課題を解決するため、本発明の酸化物超電導導体は、金属基材上に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層と、キャップ層と、酸化物超電導層とを有する酸化物超電導導体であって、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする。
本発明の多結晶薄膜とその製造方法では、第一層と第二層の結晶構造をそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造とし、第一層は<111>配向とし、前記第二層は<100>配向とすることで、良好な結晶配向性を維持しつつも中間層を薄膜化することができる。これにより膜の内部応力を低減して基材の反り返りを防止した多結晶薄膜を提供することができる。
また、良好な結晶配向性を維持しつつも中間層を従来のものより薄膜化して製造することができるので、製造速度を飛躍的に高めることができ、製造コストを低減することが可能となる。
更に、金属基材と中間層との間に、拡散防止層とベッド層を介挿した構造とすることにより、金属基材から多結晶薄膜の表面側に向かう金属基材構成元素の拡散を確実に抑制することができる。
また、金属基材と中間層との間に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介挿した構造とすることにより、金属基材から多結晶薄膜の表面側に向かう金属基材構成元素の拡散を抑制することができる。
本発明の酸化物超電導導体では、中間層をなす第一層と第二層の結晶構造をそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造とすることで、良好な結晶配向性を維持しつつも中間層を薄膜化することができる。これにより膜の内部応力を低減して基材の反り返りが防止されるとともに、結晶配向性が良好で、臨界電流密度が高く超電導特性の良好な酸化物超電導導体を提供することができる。
更に、金属基材と中間層との間に、拡散防止層とベッド層を介挿した構造とすることにより、金属基材から多結晶薄膜の表面側の酸化物超電導層に向かう金属基材構成元素の拡散を抑制することが確実にできる結果、酸化物超電導層に対する不要元素の拡散を抑制できる結果として、酸化物超電導層の超電導特性向上効果を得ることができる。
<第一の実施形態>
図1は、本発明に係る多結晶薄膜10の一例を模式的に示す図である。
本発明の多結晶薄膜10は、金属基材11上に順に、拡散防止層9とベッド層12を介して、第一層13と第二層14を積層してなる中間層15を構成し、第一層13と第二層14の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする。
本発明では、中間層15を第一層13と第二層14の積層体とし、第一層13と第二層14の結晶構造をそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造とし、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることで、良好な結晶配向性を維持しつつも中間層15を薄膜化することができる。これにより膜の内部応力が低減され、金属基材11の反り返りを防止した多結晶薄膜10を提供することができる。
岩塩構造を有する第一層13としては、組成式γOで示される酸化物もしくはδNで示される窒化物もしくはεCで示される炭化物が挙げられる。ここでγは2価、δは3価、εは4価の金属元素を示すが、γは特にアルカリ土類金属Be,Mg,Ca,Sr,Baが望ましく、δ、εは特にTi,Zr,Hf,V,Nb,Taが望ましい。第一層13は、これらの元素うち1つを含む構成例の他に、2つ以上を含む構成例としてもよい。
蛍石構造を有する第二層14としては、組成式(α2x(β(1−X) で示されるものが挙げられる。ここで、αはZr,Hf,Ti又は4価の希土類元素(例えばCeなど)であり、βは3価の希土類元素で、かつ0≦x≦1に属するものを指すが、特にαがZr、Hfで、0.4≦x≦1.0であるものが望ましい。
詳しくは、特徴の異なるIBAD中間層15を2種類の層の組み合わせた構造とすることによって、配向性の良好な中間層15をより薄く形成することができる。従来、1000nm以上の厚さが必要であった蛍石構造を有するGdZr(以下、「GZO」と略記する)からなる中間層15(本形態では第二層14)が、岩塩構造を有するMgOからなる中間層15(本形態では第一層13)と組合せることによって、300nm以下の厚さで面内方向の結晶軸分散の半値幅(Δφ)を15度以下とすることができる。ゆえに、厚さが従来の半分以下となるため製造速度を飛躍的に高めることができ、製造コストを低減することが可能となる。
また、蛍石構造を有するGZOからなる中間層15(第二層14)を積層したことによって、MgOからなる中間層15(第一層13)においては、30nm以上の厚さ、の面内半値幅が15度以上程度の品質であっても、この多結晶薄膜10上に酸化物超電導層(例えば、YBCO)を形成する場合、酸化物超電導層において良好な配向性、高特性を得ることができ、安定した歩留りを得ることができる。
金属基材11は、本実施形態ではテープ状のものを用いているが、これに限定されず、例えば板材、線材、条体等の種々の形状のものを用いることができ、例えば、銀、白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイ等のニッケル合金等の各種金属材料、もしくは各種金属材料上に各種セラミックスを配したもの、等が挙げられる。
拡散防止層9は、金属基材11の構成元素拡散を防止する目的で形成されたもので、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)等から構成される。
ベッド層12は、耐熱性が高く、界面反応性をより低減するためのものであり、その上に配される被膜の配向性を得るために機能する。このようなベッド層12は、必要に応じて配され、例えば、希土類酸化物層を用いることができ、例えば希土類酸化物として、組成式(α2x(β(1−X)で示されるものが挙げられる。ここで、αとβは希土類元素で0≦x≦1に属するものを指す。より具体的には、Y、CeO、 Dy、Er、Eu、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sc、Sm、Tb、Tm、Ybなどを例示することができる。
このベッド層は、例えばスパッタリング法等により形成され、その厚さは例えば10〜100nmである。
前記拡散防止層9とベッド層12の2層構造とする場合、拡散防止層9をアルミナから構成し、ベッド層12をYで形成する構造を例示できる。
なお、本発明では、拡散防止層9とベッド層12の2層構造に限定するものではなく、図2に示す如く拡散防止層9のみの1層構造とすることも可能であるが、その場合の構造については後述の第2の実施形態において説明する。
本実施形態の如く拡散防止層9とベッド層12の2層構造とするのは、ベッド層12の上に後述の実施形態で説明する如く酸化物超電導層やキャップ層を形成する場合に、必然的に加熱されたり熱処理される結果として熱履歴を受ける場合、金属基材11の構成元素の一部が拡散防止層9とベッド層12を介して酸化物超電導層側に拡散することを抑制するためであり、拡散防止層9とベッド層12の2層構造とすることで金属基材11側からの元素拡散を効果的に抑制することができる。
また、これらの拡散防止層9とベッド層12の結晶配向性は特には問われないので、通常のスパッタ法などの成膜法により形成すれば良い。
中間層15は、第一層13と第二層14の積層体から構成される。
第一層13は、結晶構造が岩塩構造を有する。このような岩塩構造を有する材料としては、例えばMgO等が挙げられる。
第二層14は、結晶構造が蛍石構造を有する。このような蛍石構造を有する材料としては、例えばYSZ、GZO等が挙げられる。
なお、図1に示すように、多結晶薄膜10をなす中間層15において、第一層13と第二層14の配向軸が異なり、第一層13は<111>配向し、第二層14は<100>配向している。このように、前記第一層13と前記第二層14の配向軸を異なるものとすることにより、第一層の材料や膜構造の仕様について、選択の自由度を格段に大きくすることができる。
本実施例では、第一層13が<111>配向した膜であっても第二層14は<100>配向するので、この第二層14を用いることでc軸垂直配向した酸化物超電導層の面内配向制御を問題なく実施できる。このとき、第一層13は第二層14の面内軸を固定する機能を持つので、第二層14の厚さを従来よりも極めて薄くすることができる。
この多結晶薄膜10上に酸化物超電導層(例えば、YBCO)を形成する場合、<111>配向したMgO中間層15(第一層13)を採用することにより、MgO中間層15(第一層13)が30nm以上の厚さであっても、酸化物超電導層において良好な配向性、高特性を得ることができ、さらに安定した歩留まりを得ることができる。
この場合、前記第一層13の厚さは、5〜200nmの範囲が好ましく、第二層14の厚さは、100〜300nmの範囲が好ましい。第一層の厚さが5nm未満だと、膜厚を安定に維持しにくくなって膜厚にばらつきが生じる虞がある。また、この多結晶薄膜10上に酸化物超電導層を形成する場合、第二層14の膜厚の下限値は、その上に形成されるキャップ層11(CeO層)の膜厚にも依存し、10nm以上あればよいが、好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上である。10nm未満であるとこの上にCeO層を蒸着しても、配向度が10度以上となり、十分な臨界電流が流れない。
一方、第一層13及び第二層14を合わせた厚さが500nmを越えると第一層13及び第二層14の内部応力が増大し、これにより多結晶薄膜10全体の内部応力が大きくなり、多結晶薄膜10が金属基材11から剥離しやすくなるので好ましくない。また、500nmを越えると表面粗さが大きくなり、臨界電流密度が低下するので好ましくない。
第一層13及び第二層14の膜厚は、金属基材11の送出速度を調整することにより増減させることができる。
第二層14は、<111>配向している初期部と、<100>配向している成長部とからなることが好ましい。これにより、<111>配向した第一層13と第二層14との界面が安定する。したがって、<111>配向した第一層13上に、第二層14の<111>配向した初期部を介して、<100>配向した第二層14を、再現性よく、かつ広い製造条件で形成することができる。第二層14の初期部から成長部は、第一層13と第二層14との積層方向において、軸が倒れていき、次第に<111>配向から<100>配向するようになる。
<第二の実施形態>
次に、本発明の多結晶薄膜の第二の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、その説明を省略する。
図2は、本発明に係る多結晶薄膜20の一例を模式的に示す図である。
本実施形態の多結晶薄膜20は、金属基材21上に、拡散防止層22を介して、第一層23と第二層24を積層してなる中間層25を構成してなることを特徴とする。
本実施形態の構造では、金属基材21と中間層25の間に1つの拡散防止層22を設けた例を示す。この第二実施形態の構造において第一実施形態の構造と異なっているのは、ベッド層を省略した構造である。
先の第一の実施形態の如く、拡散防止層9とベッド層12の2層構造とすることが、拡散防止の面では望ましいが、層数を多くすると、その分、成膜時間が長くかかり、酸化物超電導導体の如く数100mもの長さのテープ状の線材とする場合は、全体の製造時間をできる限り短縮するため、ベッド層12を略して拡散防止層22のみとすることも可能である。
その場合に用いる拡散防止層22は、先の第一実施形態の場合と同様に、アルミナを用いることが好ましい。
また、拡散防止層22を構成する希土類金属酸化物層として、GdZr層を用いることができる。この場合の拡散防止層22は、結晶配向性は特別に問われないので、第1の実施形態の場合と同様、通常のスパッタ法などの成膜法により形成すれば良い。特に拡散防止層22として、GdZr層を用いるならば、先の第一の実施形態の拡散防止層9とベッド層12の2層構造に近い拡散防止効果が得られ、その上に形成される酸化物超電導層の超電導特性が向上するので有利である。
なお、拡散防止層22について結晶配向性を整えるためにIBAD法などの特別な成膜法を採用すると、成膜レートが低くなり、成膜に時間がかかるが、中間層15の下地としての拡散防止層22であるならば、結晶配向性は問われないので、成膜レートの高い通常のスパッタ法などを選択して用いることができ、拡散防止層22の成膜により製造時間を必要以上に長くするおそれは少ない。
<酸化物超電導導体の構造>
次に、上述のような多結晶薄膜を用いた酸化物超電導導体について説明する。
図3は、本発明に係る酸化物超電導導体の一例を模式的に示す図である。
本実施形態の酸化物超電導導体30は、金属基材31上に順に、拡散防止層29とベッド層32を介して、第一層33と第二層34を積層してなる中間層35と、キャップ層37と、酸化物超電導層38とを、少なくとも重ねて配した酸化物超電導導体であって、第一層33と第二層34はそれぞれ、前記第1の実施形態の第一層13、第二層14と同等の構造である。
本実施形態では、多結晶薄膜において中間層35をなす第一層33と第二層34の結晶構造をそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造とし、更に、第一層33は<111>配向し、第二層34は<100>配向させることで、良好な結晶配向性を維持しつつも中間層を薄膜化することができる。これにより膜の内部応力が低減され、基材の反り返りが防止されるとともに、結晶配向性が良好で、臨界電流密度が高く超電導特性の良好な酸化物超電導導体を提供することができる。
キャップ層37はCeO層で構成する。また、このCeO層は、全てがCeOからなる必要はなく、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで一部置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいてもよい。このCeO層は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができるが、大きな成膜速度を得られる点でPLD法を用いることが望ましい。PLD法によるCeO層の成膜条件としては、基材温度約500〜800℃、約0.6〜40Paの酸素ガス雰囲気中で、レーザーエネルギー密度が1〜5J/cmで行うことができる。
CeO層の膜厚は、50nm以上であればよいが、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましく、500nm以上であれば更に好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、500〜600nmとすることが好ましい。
酸化物超電導層38の材料としては、RE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X :REはY、La、Nd、Sm、Eu、Gd等の希土類元素)を用いることができる。RE−123系酸化物として好ましいのは、Y123(YBaCu7−X :以下では「YBCO」という。)又はSm123(SmBaCu7−X 、以下では「SmBCO」という。)である。
酸化物超電導層38は、通常の成膜法によって成膜することができるが、生産性の点から、TFA−MOD法(トリフルオロ酢酸塩を用いた有機金属堆積法、塗布熱分解法)、PLD法又はCVD法を用いることが好ましい。
前記MOD法は、金属有機酸塩を塗布後熱分解させるもので、金属成分の有機化合物を均一に溶解した溶液を基材上に塗布した後、これを加熱して熱分解させることにより基材上に薄膜を形成する方法であり、真空プロセスを必要とせず、低コストで高速成膜が可能であるため長尺のテープ状酸化物超電導導体の製造に適している。
ここで前述のように、良好な配向性を有する多結晶薄膜36上に酸化物超電導層37を形成すると、この多結晶薄膜36上に積層される酸化物超電導層37も多結晶薄膜1の配向性に整合するように結晶化する。よって前記多結晶薄膜36上に形成された酸化物超電導層37は、結晶配向性に乱れが殆どなく、この酸化物超電導層37を構成する結晶粒の1つ1つにおいては、金属基材31の厚さ方向に電気を流しにくいc軸が配向し、金属基材2の長さ方向にa軸どうしあるいはb軸どうしが配向している。従って得られた酸化物超電導層12は、結晶粒界における量子的結合性に優れ、結晶粒界における超電導特性の劣化が殆どないので、金属基材2の長さ方向に電気を流し易くなり、十分に高い臨界電流密度が得られる。
以上説明したように、本発明では、多結晶薄膜において、結晶構造の異なるIBAD中間層を組み合わせることによって、配向性の良好な中間層をより薄く形成することができる。従来1000nm以上の厚さが必要であった蛍石構造を有するGZOからなる中間層(第二層)に対し、岩塩構造を有するMgO中間層(第一層)を組合せることによって、300nm以下の厚さで面内半値幅15度以下とした中間層35を提供することができる。これにより膜の内部応力が低減され、金属基材の反り返りを防止することができる。
以上、本発明の多結晶薄膜及び酸化物超電導導体について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、多結晶薄膜を酸化物超電導導体に適用した場合について説明したが、これに限定されず、本発明の多結晶薄膜を、光学薄膜、光磁気ディスクの磁性薄膜、集積回路用微細配線用薄膜、高周波導波路や高周波フィルタ及び空洞共振器等に用いられる誘電体薄膜のいずれにも適用することができる。
即ち、結晶配向性の良好な多結晶薄膜上に、これらの薄膜をスパッタリング、レーザ蒸着、真空蒸着、CVD(化学蒸着)等の成膜法で形成するならば、多結晶薄膜と良好な整合性でこれらの薄膜が堆積または成長するので、配向性が良好になる。
これらの薄膜は、配向性の良好な高品質の薄膜が得られるので、光学薄膜においては光学特性に優れ、磁性薄膜においては磁気特性に優れ、配線用薄膜においてはマイグレーションの生じない、誘電体薄膜においては誘電特性の良好な薄膜が得られる。
まず、本実施例で用いた、IBAD法による成膜装置について説明する。
図4は、多結晶薄膜を製造する装置の一例を示すものであり、この例の装置は、スパッタ装置にイオンビームアシスト用のイオンガンを設けた構成となっている。
この成膜装置は、基材Aを水平に保持する基材ホルダ51と、この基材ホルダ51の斜め上方に所定間隔をもって対向配置された板状のターゲット52と、前記基材ホルダ51の斜め上方に所定間隔をもって対向され、かつ、ターゲット52と離間して配置されたイオンガン53と、前記ターゲット52の下方においてターゲット52の下面に向けて配置されたスパッタビーム照射装置54を主体として構成されている。また、図中符号55は、ターゲット52を保持したターゲットホルダを示している。
また、前記装置は図示略の真空容器に収納されていて、基材Aの周囲を真空雰囲気に保持できるようになっている。更に前記真空容器には、ガスボンベ等の雰囲気ガス供給源が接続されていて、真空容器の内部を真空等の低圧状態で、かつ、アルゴンガスあるいはその他の不活性ガス雰囲気または酸素を含む不活性ガス雰囲気にすることができるようになっている。
なお、基材Aとして長尺の金属テープを用いる場合は、真空容器の内部に金属テープの送出装置と巻取装置を設け、送出装置から連続的に基材ホルダ51に基材Aを送り出し、続いて巻取装置で巻き取ることでテープ状の基材上に多結晶薄膜を連続成膜することができるように構成することが好ましい。
前記基材ホルダ51は内部に加熱ヒータを備え、基材ホルダ51の上に位置された基材Aを所用の温度に加熱できるようになっている。また、基材ホルダ51の底部には、基材ホルダ51の水平角度を調整できる角度調整機構が付設されている。なお、角度調整機構をイオンガン53に取り付けてイオンガン53の傾斜角度を調整し、イオンの照射角度を調整するようにしても良い。
前記ターゲット52は、目的とする多結晶薄膜を形成するためのものであり、目的の組成の多結晶薄膜と同一組成あるいは近似組成のもの等を用いる。ターゲット52として具体的には、MgOあるいはGZO等を用いるがこれらに限るものではなく、形成しようとする多結晶薄膜に見合うターゲットを用いれば良い。
前記イオンガン53は、容器の内部に、イオン化させるガスを導入し、正面に引き出し電極を備えて構成されている。そして、ガスの原子または分子の一部をイオン化し、そのイオン化した粒子を引き出し電極で発生させた電界で制御してイオンビームとして照射する装置である。ガスをイオン化するには高周波励起方式、フィラメント式等の種々のものがある。フィラメント式はタングステン製のフィラメントに通電加熱して熱電子を発生させ、高真空中でガス分子と衝突させてイオン化する方法である。また、高周波励起方式は、高真空中のガス分子を高周波電界で分極させてイオン化するものである。
本実施例においては、図5に示す構成の内部構造のイオンガン53を用いる。このイオンガン53は、筒状の容器56の内部に、引出電極57とフィラメント58とArガス等の導入管59とを備えて構成され、容器56の先端からイオンをビーム状に平行に照射できるものである。
前記イオンガン53は、図4に示すようにその中心軸を基材Aの上面(成膜面)に対して傾斜角度θでもって傾斜させて対向されている。この傾斜角度θは30〜60度の範囲が好ましいが、MgOの場合に特に45度前後が好ましい。従ってイオンガン53は基材Aの上面に対して傾斜角θでもってイオンを照射できるように配置されている。なお、イオンガン53によって基材Aに照射するイオンは、He+、Ne+、Ar+、Xe+、Kr+ 等の希ガスのイオン、あるいは、それらと酸素イオンの混合イオン等で良い。
前記スパッタビーム照射装置54は、イオンガン53と同等の構成をなし、ターゲット52に対してイオンを照射してターゲット52の構成粒子を叩き出すことができるものである。なお、本発明装置ではターゲット53の構成粒子を叩き出すことができることが重要であるので、ターゲット52に高周波コイル等で電圧を印可してターゲット52の構成粒子を叩き出し可能なように構成し、スパッタビーム照射装置54を省略しても良い。
次に前記構成の装置を用いて基材A上に多結晶薄膜を形成する場合について説明する。
基材A上に多結晶薄膜を形成するには、所定のターゲットを用いるとともに、角度調整機構を調節してイオンガン53から照射されるイオンを基材ホルダ51の上面に45度前後の角度で照射できるようにする。次に基材を収納している容器の内部を真空引きして減圧雰囲気とする。そして、イオンガン53とスパッタビーム照射装置54を作動させる。
スパッタビーム照射装置54からターゲット52にイオンを照射すると、ターゲット52の構成粒子が叩き出されて基材A上に飛来する。そして、基材A上に、ターゲット52から叩き出した構成粒子を堆積させると同時に、イオンガン53からArイオンと酸素イオンの混合イオンを照射する。このイオン照射する際の照射角度θは、たとえばMgOを形成する際には、40〜60度の範囲が好適である。
「製造例1」
金属基材として、表面を研磨した10mm幅のハステロイテープを使用した。この金属基材上に、薄いイットリア膜(Y膜)(約20nm)をスパッタリング法により形成した後、中間層を構成する第一層としてIBAD法によってMgO膜(約200nm)を形成した。
次いで、MgO膜上に、中間層を構成する第二層としてIBAD法によって200nm程度の厚さのGZO膜を積層形成した。このときMgO膜及びGZO膜は、200℃以下の基材温度で、Ar等の希ガスイオンビームによるイオンビームアシストを行いながら作製した。
更に、GZO膜上に、PLD法によってCeO膜を500nm積層形成した。このようにして得られたMgO膜およびGZO膜、CeO膜について、面内方向の結晶軸分散の半値幅を測定した。その結果を表1に示す(試料1〜4)。
また、比較例として、中間層としてGZO膜のみを形成し、さらにGZO膜上に、PLD法によってCeO膜を500nm積層形成した。この場合の半値幅測定結果も表1に併せて示す(試料5,6)。
Figure 0005227722
適切な成膜条件下において、MgO膜は基材に垂直に<111>軸が配向し、イオンビーム方向に<100>軸が配向し、面内結晶軸は半値幅20度以内となる。この構造の薄膜は、広い条件下で同様の構造を持って成膜される特徴があり、膜厚は5〜200nm程度まで変えることができる。
高特性の超電導層を得るためには、基板に垂直に超電導層のc軸が配向し、面内結晶軸の半値幅を10度以内とする必要がある。中間層との格子整合によってこのような超電導層を得るためには、立方晶材料で<100>軸が垂直に配向し、かつ面内結晶軸の半値幅を10度以内とした中間層を構成することが不可欠である。これを安定して得られる方法として、IBAD法によってGZOからなる蛍石構造系中間層を積層した。これにより、半値幅20度で<111>配向したMgOからなる中間層(第一層)上に、半値幅10度程度でなおかつ<100>軸が垂直に配向したGZOからなる中間層(第二層)を成長させることに成功した(試料4)。
これまで、第一層と明らかに異なる配向構造の中間層が整合して作製された例はなく、本発明により広い条件下で安定して高性能膜を高速合成する道が開けた。
更に、GZOからなる中間層上に、PLD法によって積層形成されたCeO層において、面内方向の結晶軸分散は半値幅が4度程度となった。
即ち、表1中、試料3と試料5とを比較することにより、試料5では、GZOからなる中間層において1400nm厚で13.5度の半値幅が得られているのに対し、試料3では、前記と同程度の半値幅(14.2度)が、合計290nm[MgOからなる中間層(30nm)+GZOからなる中間層(260nm)]の厚さで得られている。
上述したとおり、実施例1で作製した多結晶薄膜は、結晶構造の異なる中間層を積層(2層)化し、1層目を岩塩構造、2層目を蛍石構造とすることで、従来と同レベルの半値幅がおよそ1/5の薄さの中間層で実現できることが確認された。即ち、本発明の構成によれば、多結晶薄膜をなす中間層を1/5の膜厚とすることができるので、膜の内部応力が低減され、基材の反り返りという従来の問題を解決することができる。更に、膜厚が1/5となったことで製造速度を飛躍的に高めることができ、また製造コストの低減を図ることもできる。
また、このCeO層上にYBCO超電導層をPLD法によって1000nmの厚さに形成した。このYBCO超電導層には、成膜後500℃5時間の酸素雰囲気中熱処理を施している。その特性を評価した結果、液体窒素温度にて、臨界電流密度Jc=2MA/cm、臨界電流Ic=200Aの高特性が得られていることが確認された。
次に、前記試験例1の構造に代えて、ハステロイテープの金属基材上に拡散防止層としてのGZO膜をスパッタ法により厚さ約20μm成膜し、この拡散防止層上に実施例1と同等の構造、即ち、IBAD法によるMgO膜、第二層としてのIBAD法によるGZO膜、PLD法によるCeO膜を形成して多結晶薄膜を得た。即ち、各膜の膜厚や成膜条件は試験例1と同等とした。
この構造の多結晶薄膜について、実施例1と同等の面内方向軸分散半値幅を測定した結果、表1に示す結果と同等の結果を得ることができた。
更に、この多結晶薄膜のCeO層上にYBCO超電導層をPLD法によって1000nmの厚さに形成し、酸化物超電導導体を得た。その特性を評価した結果、液体窒素温度にて、臨界電流密度Jc=3MA/cm、臨界電流Ic=300Aの高特性が得られていることを確認できた。
これらの値は、先のイットリア膜(Y膜)(約20nm)を用いた酸化物超電導導体よりも優れた超電導特性を発揮していることから、GZO膜においては、熱処理時の熱履歴を経る際、金属基材からの元素拡散をより効率的に抑制できた結果と思われる。
次に、前記イットリア膜あるいはGZO膜の単層構造に代えて、金属基材上にアルミナ膜(厚さ100nm)とイットリア膜(Y膜)(約20nm)の2層積層構造を採用して多結晶薄膜を形成した。アルミナ膜とイットリア膜はいずれもスパッタ法にて形成した。
得られた多結晶薄膜のCeO層上にYBCO超電導層をPLD法によって1000nmの厚さに形成し酸化物超電導導体を得た。その特性を評価した結果、液体窒素温度にて、臨界電流密度Jc=3.5MA/cm、臨界電流Ic=350Aの高特性が得られていることを確認できた。
以上の結果から、単層構造の対比で言えば、イットリア膜よりもGZO膜の方が金属基材構成元素の元素拡散抑制効果としては有利であり、単層構造よりもアルミナ膜とイットリア膜との2層構造の方が金属基材構成元素の元素拡散抑制効果としてはより有利であることが明らかとなった。
次に、先の製造例1の構造において、<111>配向した第一層(MgO膜)を形成する条件を検討した。
製造例1と同様に、金属基材上にイットリア膜をスパッタリングにより成膜した後、中間層を構成する第一層としてIBAD法によりMgO膜(200nm以下)を成膜した。その際、スパッタイオンガンの電圧を1500Vに固定し、電流を850mA〜1000mAとした。また、アシストイオンガンの電圧を800Vに固定し、電流を400mA〜900mAとした。この結果を表2に示す。
Figure 0005227722
表2において、白抜きの条件下で示される領域Bでは、<111>配向したMgO膜が形成されたことを示し、灰色で塗られている条件下で示される領域Aでは、<100>配向したMgO膜が形成されたことを示す。
図8に、MgO膜の成膜条件と配向軸方向を示す。横軸はアシストイオンビームの電流密度であり、縦軸はIBAD法によるMgO配向膜の面内結晶軸方向の分散の半値幅である。大部分の成膜条件において<111>配向(3−fold)となっており、アシストイオンビームの電流密度が100μA/cm程度の狭い領域においてのみ<100>配向膜が形成されていることがわかる。
表2及び図8から、<111>配向したMgO膜は広い条件下で形成されるのに対して、<100>配向したMgO膜は、特定の限られた条件下においてのみ得られることがわかった。したがって、<100>配向したMgO膜より<111>配向したMgO膜を形成する方が、広いマージンで形成することができる。
次に、この<111>配向したMgO膜上に、実施例1と同様にGZO膜をIBAD法により成膜した際の断面画像を、透過型電子顕微鏡(以下、TEMと呼ぶ)により観察した。その結果を図9及び図11に示す。
図9は、金属基材の上に、イットリア膜(Y膜)、IBAD法によるMgO膜及びGZO膜を順に重ねて設けた試料の暗視野断面TEM画像において、を示す。なお、GZO膜上には、TEMで断面を観察する際、安定して試料の切片を作製できるようにPt膜を成膜している。また、図10として、GZO膜に絞り込んで照射した電子線の回折像を示す。図9の暗視野TEM画像は、GZO(004)回折ピークを抽出した信号をもとにマッピングしたものである。明るく見える部分は、GZO膜が基板に垂直に<100>配向していることを示す。上方の膜表面に近い部分は非常に明るくなっており、強く<100>配向していることがわかる。一方、界面に近い位置150nm程度の厚さまでは暗くなっていることから、<100>配向した結晶粒がこの領域にはほとんど存在しないことがわかる。GZO膜全体に電子線を照射した図10の回折像を見ると、(004)回折ピークに加えて(222)回折ピークが見られることから、界面に近い位置に(222)配向した結晶粒が存在している可能性が示唆される。
図11は、図9の一部を拡大した明視野TEM画像である。図11(a)は、金属基材からイットリア膜、MgO膜及びGZO膜まで重ねた部分までの画像である。図11(b)は、その一部を拡大した高分解能画像で、MgO膜とGZO膜との界面を示している。
高分解能であるため、原子像から直接結晶構造が確認でき、どの向きに向いているかを特定することが出来る。図10(b)より界面付近においては、MgO膜もGZO膜もともに<111>軸が垂直に配列した構造となっていることが確認できる。
以上図9〜図11より、本実施例の構造は、<111>配向したMgO膜上に、<111>配向したGZO膜の初期部がまず積層された後、<100>配向したGZO膜が成長している構造が確認された。この構造で作製することにより、表2、図8で示す広いMgO膜の成膜条件を活用することが可能となる。
「製造例2」
金属基材として、表面を研磨した10mm幅のハステロイテープを使用した。この金属基材上に、薄いイットリア(Y)膜(約20nm)をスパッタリング法により形成した後、中間層を構成する第一層としてIBAD法によってMgO膜(200nm以下)を形成した。
次いで、MgO膜上に、中間層を構成する第二層としてIBAD法によって200nm程度の厚さのGZO膜を積層形成した。このときMgO膜及びGZO膜は、200℃以下の基材温度で、Ar等の希ガスイオンビームによるイオンビームアシストを行いながら作製した。
さらにGZO膜上に、PLD法によってCeO膜を500nm積層形成した。このようにして得られたMgO膜およびGZO膜、CeO膜について、面内方向の結晶軸分散の半値幅を測定した。
その結果、製造例2で作製した多結晶薄膜も、前述した製造例1の多結晶薄膜と同様の傾向を有する、すなわち、結晶構造の異なる中間層を積層(2層)化し、1層目を岩塩構造、2層目を蛍石構造とすることで、従来と同レベルの半値幅が極めて薄い中間層で実現できることが確認された。ゆえに、製造例2で作製した多結晶薄膜の場合でも、膜の内部応力が低減され、基材の反り返りという従来の問題を解決することができる。さらに、膜厚が極めて薄くなったことで製造速度を飛躍的に高めることができ、また製造コストの低減を図ることもできる。
より詳細には、適当な成膜条件下において、MgO膜は基材に垂直に<100>軸が配向し、イオンビーム方向に<110>軸が配向し、面内結晶軸は半値幅10度以内となることが分かった。しかしながら、この条件は狭く、例えば膜厚が10nmを超えると半値幅は急速に広がり、厚さ50nmでは15度程度となった。
高特性の超電導層を得るためには、半値幅を10度以内とする必要があり、これを安定して得られる方法として、IBAD法によってGZOからなる蛍石構造系中間層を積層した。これにより、半値幅15度で<100>配向したMgO中間層上に、半値幅10度で<100>配向したGZO中間層を成長させることに成功した。
さらにPLD法によってCeO層を500nm積層することにより、面内方向の結晶軸分散は半値幅4度程度となった。
また、このCeO層上にYBCO超電導層をPLD法によって1000nm形成した。その特性を評価した結果、液体窒素温度にて、臨界電流密度Jc=2MA/cm、臨界電流Ic=200Aの高特性が得られていることが確認された。
次に、<100>配向した第一層(MgO膜)を形成する条件を検討した。
製造例2と同様に、金属基材上にイットリア膜をスパッタリングにより成膜した後、中間層を構成する第一層としてIBAD法によりMgO膜(200nm以下)を成膜した。その際、スパッタイオンガンの電圧を1500Vに固定し、電流を850mA〜1000mAとした。また、アシストイオンビームの電圧を800Vに固定し、電流を400mA〜900mAとした。この結果を実施例1と同様に表2に示す。
表2より、<100>配向したMgO膜は、特定の限られた条件下においてのみ得られることがわかった。
次に、前述のMgO膜の条件検討において、金属基材上の拡散防止層としてのイットリア(Y)膜をGZO膜に代えた試料と、金属基材上の拡散防止層としてのイットリア(Y)膜をアルミナ膜とイットリア膜の2層積層構造に代えた試料について、それぞれ作製し、前記と同等の条件検討を行ったところ、面内方向の結晶軸分散状態は、全く同等の傾向を示した。
以上の結果から、拡散防止層としてのイットリア(Y)膜をGZO膜、あるいは、アルミナ膜とイットリア膜の2層積層構造に代えてもMgO中間層とその上のGZO膜は、同等の<111>配向性と<100>配向性を示すことが分かった。そして、IBAD法によるMgO膜とGZO膜の結晶配向性に関し、下地が通常スパッタ法によるGZO膜単独の場合と、下地がアルミナ膜とイットリア膜との2層構造の場合も、イットリア膜の単層の場合と同等の結果を得ることが可能であることが分かった。
「製造例3」
前記製造例1で用いたイットリア(Y)膜に代えて、アルミナ(Al)膜を金属基材上に形成し、その上に製造例1と同等構造の第一層としてIBAD法によるMgO膜(約200nm厚)を形成し、第二層としてIBAD法によるGZO膜(約250nm厚)を積層形成した。このGZO膜の面内結晶軸の半値幅は17゜となった。
従ってこのGZO膜上に、PLD法によってCeO膜を500nm積層形成すると、先の製造例1と同等の4゜程度の優れた配向性のCeO膜を得ることができる。
図12は、上記アルミナ膜の上に成膜したIBAD法によるMgO膜(約200nm厚)のMgO(110)正極点図を示す。
この図から、イットリア膜に代えてアルミナ膜を用いることによっても、即ち、拡散防止層とベッド層の組み合わせではなく、拡散防止層のみの構造によっても、先のイットリア膜の場合と同様に本発明で目的とする優れた配向性を実現できることが明らかとなった。
図13は、前記IBAD法によるGZO膜の(222)正極点図である。図13の極点図からも、本発明で目的とした優れた配向性が得られていることが明らかである。
本発明に係る多結晶薄膜の一例を模式的に示す図である。 本発明に係る多結晶薄膜の一例を模式的に示す図である。 本発明に係る酸化物超電導導体の一例を模式的に示す図である。 IBAD法による成膜装置を模式的に示す図である。 図4に示す成膜装置が備えるイオンガンを模式的に示す図である。 従来の多結晶薄膜の一例を模式的に示す図である。 従来の多結晶薄膜の一例を模式的に示す図である。 MgO膜の成膜条件と配向軸方向を示した図である。 MgO膜とGZO膜との界面の断面TEM画像を示す図である。 <111>配向したMgO膜上に形成されたGZO膜の成長部の断面TEM画像を示す図である。 <111>配向したMgO膜上に形成されたGZO膜の回折ピークを示す図である。 アルミナ膜上に形成したMgO膜の(110)正極点図。 MgO膜の上に形成したIBAD法によるGZO膜の(222)正極点図。
符号の説明
9、22、29…拡散防止層、10、20、36…多結晶薄膜、11、21、31…金属基材、12、32…ベッド層、13、23、33…第一層、14、24、34…第二層、15、25、35…中間層、30…酸化物超電導導体、37…キャップ層、38…酸化物超電導層。

Claims (7)

  1. 金属基材上に、拡散防止層とベッド層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする多結晶薄
  2. 金属基材上に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする多結晶薄
  3. 前記第二層は、<111>配向している初期部と、<100>配向している成長部とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の多結晶薄膜。
  4. 金属基材上に、拡散防止層とベッド層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向している多結晶薄膜の製造方法であって、
    前記第一層と前記第二層とをイオンビームアシスト法により形成することを特徴とする多結晶薄膜の製造方法。
  5. 金属基材上に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層を有
    し、前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第
    一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向している多結晶薄膜の製造方法で
    あって、
    前記第一層と前記第二層とをイオンビームアシスト法により形成することを特徴とする
    多結晶薄膜の製造方法。
  6. 金属基材上に、拡散防止層とベッド層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層と、キャップ層と、酸化物超電導層とを有する酸化物超電導導体であって、
    前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする酸化物超電導導体。
  7. 金属基材上に、Gd Zr からなる一つの拡散防止層を介して、第一層と第二層を積層してなる中間層と、
    キャップ層と、酸化物超電導層とを有する酸化物超電導導体であって、
    前記第一層と前記第二層の結晶構造はそれぞれ、岩塩構造と蛍石構造であり、前記第一
    層は<111>配向し、前記第二層は<100>配向していることを特徴とする酸化物超
    電導導体。
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