JP5225327B2 - カーボン粉粒複合樹脂の成形方法 - Google Patents

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本発明は、電磁誘導加熱が可能な炊飯釜などに使用するカーボン粉粒複合樹脂の成形方法に関する。カーボン粉粒と高炭素含有物質である結合材を主体とするカーボン粉粒複合樹脂の射出成形に用いる金型構造に特徴があるものである。
誘導加熱コイルの渦電流による電磁誘導加熱を利用したコンロや炊飯器は、磁性金属にアルミニウムや銅などの高熱伝導金属を積層したクラッド材の成形品が主流である。しかし、クラッド材は、鍋や釜などの形状に加工することが困難であるうえ、フッ素樹脂などの耐熱樹脂塗装面との界面で剥離し易いという課題があった。
このため、従来の電磁誘導加熱の素材に代えて、優れた導電性と伝導度を有するカーボン凝結体を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、コークスなどのカーボン粉粒と結合材であるフェノールやピッチなどの高炭素含有物との混合物を棒柱状に加圧して成型したものを無酸素雰囲気下の1000〜3000℃で加熱して得たカーボン凝結体とし、これを炊飯釜などの調理器具に切削加工したものが、高温での調理器具として有効であることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
上述の調理器具の製造方法によれば、カーボン焼結体を切削加工の大半を占める凹状容器の中空部分にある素材の廃棄が多く、加工工数も大きい、という課題があった。さらに、カーボン圧縮体の欠陥の内在を事前に検知することが困難なうえ、切削によって露出するなどによって意匠および強度などに悪影響を及ぼし、使用できないこともあった。
これらの課題を解決する手段として、カーボンの粉粒とフェノール樹脂の原料液やタールピッチなどの結合材との混合物である成形材料を金型内に注入して加圧して賦型した後、得られた成形品を焼成処理することにより、鍋状に成形されたカーボン凝結体を得る手段が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、電磁誘導加熱が可能な調理器具として使用するうえで必要な強度、電気伝導、熱伝導に優れた特性を備えたカーボン凝結体成形品を得るためには、成形材料のフェノール樹脂含有量を少なくすることが必須である。反面、カーボン粉粒表面が十分な濡れを有しないために凝集し易く、見掛けの粘度が向上して流動性が低下すると共に、流動の先端が合流するウエルド部分は剛直な筋状として意匠上の欠陥が認められ、強度の低下とともに成形品の壁面としての均質性が喪失し易いという課題があった。
特開平9−75211号公報 特開平9−70352号公報 特開2007−44257号公報
上述の如く、ウエルドを形成することなしに射出成形による炊飯釜の成形を行うには、炊飯釜の上部にあるフランジの外周に成形材料が同時に到達する流動形態を確保することが肝要で、成形品の底面中央部分にゲートを設けることが最も好適である。しかし、ゲートから吐出した成形材料は、ゲートに相対する成形品内壁面を形成する内金型表面に衝突して乱流を生じ、成形品の当該部分の色や光沢に変調を来す。また、衝突速度を緩和する大口径のゲートを設けた場合には、ゲート切断部分の処理に多くの手間を要するほか、金型内でのゲート切断の負荷を受けて成形品壁内に亀裂発生を来す、という不具合を生じる。
また、ゲートが位置する底面中央部では、金型温度より低温度の溶融状態を成す成形材料が下金型に衝突して冷却した局部に最終の充填物が滞留するので、周辺部より反応が遅延して硬化収縮によって発生する引張応力が集中して内部応力を蓄積し、クラックの発生や物性の極端な低下を招く、という課題を有していた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、以下に示す事項を目的とするカーボン粉粒複合樹脂の成形方法を提供する。
(1)射出成形金型の鍋状成形品の底面中央に相当する部位の内型表面において、黒鉛粉粒の固着や金型の摩耗による意匠性の低下、成形品層内におけるクラック発生や物性低下を回避する。
(2)ゲート近傍における反応遅延に起因する応力残留に伴うクラック発生や衝撃強度の低下を抑止する。
この発明に係るカーボン粉粒複合樹脂の成形方法は、ロッドを内在する吐出管を設けた金型に、ロッドの上死点直下にゲートを設け、ゲートからカーボン粉粒とフェノール樹脂を含む混合物である成形材料を注入して加熱・加圧によるカーボン粉粒複合樹脂の成形方法であって、金型内への射出による注入直後に保持圧を解放してロッドを降下させて吐出管内にある成形材料を追加注入した後、金型の保持圧を回復させるようにしたことを特徴とする。
この発明に係るカーボン粉粒複合樹脂の成形方法は、射出成形金型の炊飯釜内面中央相当部位の内型表面における黒鉛粉粒の固着や金型の摩耗による意匠性の低下、成形品層内におけるクラック発生や物性低下を回避できた。
一方、成形材料が流入する底面中央相当部分に、既に底面中央部に滞留する成形材料を排除して積層状態を成す成形材料に集中した加圧した成形品を得たので、クラック発生や衝撃強度の低下抑止を達成できた。
実施の形態1を示す図で、成形金型10の概念断面図。 実施の形態1を示す図で、炊飯釜の底面中央部における落球衝撃強度の比較結果を示す図。 比較のために示す図で、従来の成形金型110(ゲート101近傍)の概念図。
実施の形態1.
以下、この発明を実施するための形態の一例を説明する。本実施の形態は、カーボン粉粒複合樹脂の成形方法(ゲート遮断と圧縮機能を備えた射出成形ゲートの構造)に関する。先ず、実施の形態1の概要について説明する。
黒鉛粉粒の含有率が高いフェノール樹脂との混合物を用いてL/Tの大きな薄肉成形品の射出成形を行う際に、前記混合物である成形材料の粘度が極めて高く、流動性に劣るために成形品の密度分布が大きい、という課題を有する。特に、炊飯釜のような鍋状の成形品では、ウエルド部分の強度低下と過度な残留応力の抑制に加え、成形品の外観意匠性を確保するために、成形品底面中央部のゲート設置を必須とし、密度分布の偏在と金型充填後に射出圧力の分布を均一化する挙動である二次流動が発生しないように、成形材料の金型内における流動を制御する必要がある。このため、成形材料には成形機内の保持などに要する可使時間と流動粘度の過度な上昇を抑制しうる好適な反応速度を備えるが、炊飯釜の場合はL/Tが大きいうえに薄肉成形品であることから、流動の制御に困難を伴う。
尚、L/Tは、一定厚みの平面部を有し、この平面部の厚みをTとし、ゲートから最も離れた該平面部の末端と該ゲート間の距離をLとしたときの両者の比を言う。
また、底面中央部に設置したゲートから射出する成形手段は、前記ゲートから吐出した成形材料が、相対する内壁面に衝突して局部的に乱流を生じさせる。このため、当該部分の色調や光沢に変調を来し、これを避けるためのゲートの口径拡大は、成形品のゲート部分を処理するのに多くの手間を要するほか、金型内でのゲート切断の際に過度な負荷を受けた成形品の内層部分に亀裂が発生する、という不具合を生じる。
また、ゲートが位置する底面中央部では、金型温度より低温の成形材料が衝突する部分が局部的に冷却されるとともに最終の充填物が滞留するので、周辺各部より反応遅延に伴う硬化収縮の引張応力が集中して内部応力が集中し、クラックの発生や物性の極端な低下を招く、という課題を有していた。
フェノール樹脂に黒鉛粉粒を高い含有率で混合した成形材料を用いた射出成形品を焼成処理して得る誘電加熱の発熱効率が高いカーボン凝結成形品を得る成形金型において、本発明は、前記成形材料の吐出位置に相当する成形品の底部中央相当位置である底面中央に円筒状の吐出管を設け、前記吐出管内を滑動するロッドの上死点直下にゲートを内蔵して、上記課題を解消する。
つまり、金型の吐出管上部に設けたゲートから吐出した成形材料が内部を充填した後に、金型キャビティ内に流入する。さらに、吐出管の内部に残留した成形材料をロッドによって金型キャビティ内に押し出す際に、金型の保持圧を解放することによって、成形品の底面中央部近傍に成形材料を追加注入した後、保持圧を付加して、該部分に密な状態の成形材料を備えるようにした。
さらに、ロッドのみを下降させて圧力を保持することによって、常に圧力を付加した状態を確保する。
つまり、ロッド下降に伴って金型キャビティに充填する成形材料が底面中央部に滞留した成形材料を排除するとともに加圧状態を確保することによって、強度と熱伝導率および発熱効率に有効な黒鉛の密な充填状態を確保するようにした。
さらに、吐出管の圧力付加段階で、ロッドには圧力の付加と解放を成形材料のゲル化前まで繰り返すことによって、密な充填状態にある黒鉛粒の端辺同士が当接して過度な歪みが保持した状態を抑制するようにしたのち、圧力の付加を脱型まで継続した。
以上、一連の金型駆動を含む成形材料の射出完了から硬化完了まで、金型と吐出管は保持圧と温度を保持し、この段階が完了した後に金型を開放して射出成形品を取り出すことになる。
上記課題を解消するために、成形材料の大半を金型内に射出後、金型の保持圧を解放した状態で一部を吐出管に保持した後に金型キャビティ内に圧入流入させ、既に底面中央部近傍に滞留している成形材料を底部中央位置から排除しながら積層状態を形成、これに金型の保持圧を再度に付加することにより、成形品の該部分における強度の向上を達成させるようにした。
上記目的を達成させるために、金型の成形材料が流入する底面中央相当部分にロッドを内蔵する円筒状の吐出管を設けるとともに、前記吐出管上部に設けたゲートから吐出した成形材料が吐出管を経て金型キャビティに充填し、吐出管の内部に残留した成形材料の一部をロッドによって金型キャビティ内に押し出した後に残りの成形材料を押し付けるようにして金型保持圧を再度に付加、脱型時まで保持するようにした。
ここで用いる吐出管は、例えば特開平09−057157号公報に記載されたものと略同様の構造を備え、また特開平07−171856号公報に記載された油圧駆動のラムによる残留する樹脂および触媒を金型内に排出する態様を備える。本実施の形態は、金型保持圧を解放した状態で駆動させることによって、成形材料の吐出に伴って金型が僅かに開放させながら、先に底面中央相当部分に充填している成形材料の表面層の一部を排除しながら積層状態を形成した後、金型の保持圧を再度に付加することによって炊飯釜などの鍋状を成す成形品に賦型する、ことが上記特開平09−057157号公報、特開平07−171856号公報と異なる。本実施の形態は、金型保持圧を解放した状態で駆動させることによって、成形材料の吐出に伴って金型が僅かに開放させながら、先に底面中央相当部分に充填している成形材料の表面層の一部を排除しながら積層状態を形成した後、金型の保持圧を再度に付加することによって炊飯釜などの鍋状を成す成形品に賦型することを特徴とする。
また、本実施の形態による成形方法に用いる成形材料が、フェノール基を含む化合物とアルデヒド基を含む化合物を界面活性剤の存在下の水中で重合したフェノール樹脂未硬化物を被覆したカーボン粉粒を用いて成る。
炊飯釜内面中央部に相当する部位で内金型の表面における黒鉛粉粒の固着や金型の摩耗による意匠性の低下、局部におけるクラック発生や物性低下を回避できた。
一方、射出直後に金型の圧力を解放して吐出管内に残留する成形材料の排出とともに、加圧と解放を繰り返したことにより、当該部分の反応の遅延抑制に伴う引張応力の残留に伴うクラック発生や衝撃強度の低下を抑止するとともに、射出成形品の黒鉛粒子の鋭角な端辺が当接したことによる変形が、安定な平面部分の当接状態に戻して密な充填状態が確保できるので、成形品の均質化を達成することができた。
射出成形によって鍋状の成型品を得る手段であって、カーボン粉粒と結合材であるフェノール樹脂との混合物を成形材料として鍋状の成形品である炊飯器の内釜を射出成形によって賦型して得た後、これを無酸素雰囲気下で焼成処理して得る電磁誘導加熱調理器である炊飯器の内釜の製造方法について、以下に詳述する。
成形材料は、石油コークスを無酸素状態の高温(3000℃)で焼成処理して0.1mm以下に粉砕したカーボン粉粒、水で希釈したフェノール、第四級アンモニウム塩型カチオン活性剤を界面活性剤として加え、任意温度に加温しながらカーボン粉粒が均一分散するように撹拌しながらホルムアルデヒドを添加して重合させたものである。反応時の温度と時間を調整して任意重合度を成す半硬化フェノール樹脂が、カーボン粉粒物の表面に25wt%の被覆量になるようしたものであり、得られた成形材料Aは40℃以下の低温で減圧乾燥処理を行った。
界面活性剤には、例えば、高分子電解質挙動を示して重合過程のフェノール樹脂とポリイオンコンプレックスを形成したものを用いる。
以上の方法によって得られた未硬化状態のフェノール樹脂は、カーボン粉粒物の表面がフェノール樹脂の重合に供して水にエマルジョンとして分散した原料で常に濡れた状態で重合したので、カーボン粉粒の外周面に膜として保持されて成る粒状の成形用原料として得た。
また、成形材料Bとして、石油コークスを無酸素状態の高温(3000℃)で焼成処理した塊状物を粉砕した0.1mm以下の黒鉛粉粒とノボラック系フェノール樹脂との混合物を、75:25の割合で混合したものを用いた。混合物は、フェノール樹脂をアルコールなどに溶かし、混練機内で黒鉛に噴霧しながら混練した後、乾燥することによって得た。
また、黒鉛粉粒には多くの微粉末を含んでいるうえ、破砕によって形成した鋭角な端辺が当接して固着し易いので、射出成形機内の回転するスクリューの溝内で混練する際に凝集してスクリュー内に滞留し、計量が困難な状況に陥る。このため、黒鉛粉粒は、100〜300μmに粒径を揃えたものを用いることにより、前記課題の解消が可能となる。
次に、該成形用原料(成形材料A並びに成形材料B)をシリンダー温度が60℃、ノズル温度が110℃、金型温度が165℃の射出成形条件にて金型外周面に設けたゲート部(ゲート)から射出して加圧し、3分間の硬化時間として保持後に脱型して、成形品(本実施の形態、比較例)を得た。
このとき、低融点のフェノール樹脂と混合した成形材料Bの射出時圧力が10.5Mpaであったのに対し、本実施の形態に係る成形材料Aは、7.5MPaの低圧で金型充填を完了した。これは、成形材料Aが金型内を流動する際に、黒鉛粉粒表面に未硬化のフェノール樹脂を被覆したことによって、黒鉛粉粒が破砕により形成した鋭角な端辺が丸みを帯びて、前記フェノール樹脂の溶融とともに流動に伴う圧力によって凝集し難いので、流動性が向上したことによる。
図3は比較のために示す図で、従来の成形金型110(ゲート101近傍)の概念図である。射出成形機(成形金型)内で溶融した成形材料は、内釜成形品を賦形する金型キャビティ内を充填する。このとき、炊飯器内釜を成形する成形材料を金型キャビティ内に充填する底面中央位置における従来の成形金型110の構造は、図3に示すとおりである。
従来の成形金型110は、上金型107表面にゲート101を配して吐出する構造であるが、ゲート101から吐出した成形材料は高速で下金型106の下金型内壁面106aに衝突した後、金型キャビティ103内を流動することになる。
そのため、従来の成形金型110では、ゲート101から吐出した成形材料は、ゲート101に相対する成形品内壁面を形成する下金型内壁面106aに衝突して乱流を生じ、成形品の当該部分の色や光沢に変調を来す。
また、射出された成形材料の温度は110℃程度であって、165℃に加温した金型表面温度を低下させるので、射出完了時の最後に充填した成形材料であるうえに滞留位置に相当する金型表面温度が、他の部位にあって、金型表面温度と金型内を移動して加温された成形材料に比較して低く、反応が遅延する傾向にある。従って、フェノール樹脂の硬化収縮を受けて、歪みが残留するほか、微細クラックの発生を来すこともあった。
図1は実施の形態1を示す図で、成形金型10の概念断面図である。成形金型10(射出成形用金型)は、成形材料が金型に充填を開始する底面中央部分に進退自在なロッド5を内蔵する円筒状の吐出管4(内在するロッド5の上死点近傍外壁の接点位置にゲート1を設けた吐出管)を上金型7に設けて成り、吐出管4上部に設けたゲート1から成形材料を吐出して、衝突させた後、吐出管4を経て金型キャビティ3(上金型7と下金型6との間)内を充填するようにした。
本実施の形態による金型キャビティ3への成形材料の充填方法は、ゲート1から射出した成形材料が、吐出管4の吐出管内壁4aに衝突した後にその内部を埋め、炊飯釜の底面中央部に相当する位置の下金型6には極めて遅い速度で到達したのち、金型キャビティ3内に流入することになる。
次に、成形材料の射出完了段階で金型の型締圧を解放するとともに、吐出管4内のロッド5を吐出管4の長さの約2/3の位置まで降下させる。ロッド5の降下に伴って、金型が僅かに開放して表面部分にある成形材料を押し除けるようにして積層状態を形成する。
この後、金型の保持圧を再度に付加することによって金型を密閉するとともに、ロッド5を降下させるための圧力を付加する。このときの金型の保持圧に比較してロッド5の圧力を僅かに高くすることが肝要であり、ロッド5の圧力を金型からの成形品脱型まで付加することにより、金型キャビティ3内の底面中央部近傍を中心に、反応の遅延に伴う硬化収縮に伴って発生する引っ張り応力を補足するので、成形品内に残留する前記応力を軽減することができる。つまり、後段の工程である焼成段階での高温下で、結合材であるフェノール樹脂の強度低下と分解ガスや残留する低分子物の気化ガスが微細気泡やクラックに集中するフクレや残留応力の解放挙動となるクラックなどの欠陥の発生を抑制することができる。
得られた成形品は、無酸素状態で1000℃の雰囲気下に放置してフェノール樹脂を炭化させ、カーボン凝結体の成形品を得る。このとき、焼成処理によって発生するフェノール樹脂の分解ガスが当該成形品の内部から円滑に放散するよう、フェノール樹脂の分解が活発になって急激な重量減少を来す350℃と500℃、800℃の近傍で緩い温度上昇と保持を行う。本実施の形態では、300℃迄を0.5℃/minで昇温した後に5時間保持し、さらに5℃/hr で450℃、1℃/hrで500℃に到達後に5時間の保持、750℃迄を5℃/hr、800℃迄を2℃/hrで到達後に3時間の保持、その後、0.5℃/minで1000℃に到達させて2時間の保持を行った。
図2は実施の形態1を示す図で、炊飯釜の底面中央部における落球衝撃強度の比較結果を示す図である。本実施の形態の上述手段によって得た炊飯釜のカーボン凝結体成形品の吐出管4またはゲート1近傍である底面中央に150gの鋼球を落下して、クラックを発生することなしに耐えうる最大高さで示した衝撃強度の極端な低下の抑止効果を備えたことが、図2に示す落球衝撃強度の測定結果から確認できた。
図2に示すように、落球衝撃強度の測定に供した試料は、比較例が二種類(#1、#2)、本実施の形態が四種類(#1〜#4)である。最も優れた本実施の形態の#4(焼成後にクラックの発生がなく、落球衝撃強度が50cmでも割れないもの)を基準にして、他の試料の測定結果を説明する。
(1)比較例の#1は、成形材料が本実施の形態の#4と異なり(比較例の#1は成形材料B、本実施の形態の#4は成形材料A)、さらに「金型の保持圧解放と吐出管4による成形材料の流入」を行わないものである。そのため、炊飯釜(カーボン凝結体成形品)に焼成後にクラックが発生するとともに、落球衝撃強度が、10cmで既に割れた。
(2)比較例の#2は、成形材料は成形材料Aであるが、「金型の保持圧解放と吐出管4による成形材料の流入」を行わないものである。そのため、炊飯釜(カーボン凝結体成形品)に焼成後にクラックが発生するとともに、落球衝撃強度が、10cmで既に割れた。
(3)本実施の形態の#1は、成形材料が本実施の形態の#4と異なる(本実施の形態の#1は成形材料B、本実施の形態の#4は成形材料A)。しかし、「金型の保持圧解放と吐出管4による成形材料の流入」を行っているため、炊飯釜(カーボン凝結体成形品)に焼成後にクラックが発生することなく、落球衝撃強度が、30cmでは割れたが、25cmでは割れなかった。比較例(#1、#2)に対して、優れていることが解る。
(4)本実施の形態の#2は、成形材料が本実施の形態の#4と異なる(本実施の形態の#2は成形材料B、本実施の形態の#4は成形材料A)。また、「吐出管4の加圧による脱型迄の継続実施」を行わないものである。そのため、本実施の形態の#1より落球衝撃強度が弱いが(25cmで割れた)、クラックの発生もなく比較例(#1、#2)に対して、優れていることが解る。
(5)本実施の形態の#3は、本実施の形態の#4と比較すると、「吐出管4の加圧による脱型迄の継続実施」を行わないものである。落球衝撃強度が、本実施の形態の#4の50cm(割れない最大値)に対して、本実施の形態の#3は25cm(割れない最大値)であった。
さらに、金型の保持圧の回復段階に下降させて行う圧縮加圧を製品取り出しの金型開放時までその駆動圧力を保持することによって、一層の落球強度と焼成後のクラック発生のないことを確認した。
次に、炊飯釜としての使用には、凝結体成形品の外面には耐摩耗性と耐熱性に優れるシリコーン樹脂を、内面には調理具材の密着防止を目的にフッ素樹脂を、各々、吹付けて塗装を施した。表面に吹付けた塗料は、凝結体の粒子間で形成された空隙内を充填する含浸によるアンカー効果によって、強固な塗膜密着性が得られる。
以上の工程を経て得た炊飯釜は、炊飯器に内蔵され、誘電加熱の適正制御を得て炊飯に供する際に係る負荷に十分耐えうる耐性を保持するとともに、従来の黒鉛ブロックからの切削加工品に比較して大幅な工数短縮を達成するとともに、安定した製造と品質の確保を可能とした。
1 ゲート、3 金型キャビティ、4 吐出管、4a 吐出管内壁、5 ロッド、6 下金型、7 上金型、10 成形金型、101 ゲート、103 金型キャビティ、106 下金型、106a 下金型内壁面、107 上金型、110 成形金型。

Claims (6)

  1. ロッドを内在する吐出管を設けた金型に、前記ロッドの上死点直下にゲートを設け、該ゲートからカーボン粉粒とフェノール樹脂を含む混合物である成形材料を注入して加熱・加圧によるカーボン粉粒複合樹脂の成形方法であって、
    前記金型内への射出による注入直後に保持圧を解放して前記ロッドを降下させて前記吐出管内にある成形材料を追加注入した後、前記金型の保持圧を回復させるようにしたことを特徴とするカーボン粉粒複合樹脂の成形方法。
  2. 前記ロッドの降下が、前記成形材料を前記吐出管内に残存させた状態で停止することを特徴とする請求項1に記載のカーボン粉粒複合樹脂の成形方法。
  3. 前記吐出管に内在した前記ロッドが、前記金型の保持圧回復さらに加圧されて下降することを特徴とする請求項1に記載のカーボン粉粒複合樹脂の成形方法。
  4. 前記吐出管に内在した前記ロッドが、製品取り出しによる金型開放時までその駆動圧力を保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカーボン粉粒複合樹脂の成形方法。
  5. 前記成形材料が、フェノール基を含む化合物とアルデヒド基を含む化合物を界面活性剤の存在下の水中で重合したフェノール樹脂未硬化物を被覆したカーボン粉粒を用いて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカーボン粉粒複合樹脂の成形方法。
  6. 前記界面活性剤が、高分子電解質挙動を示して重合過程のフェノール樹脂とポリイオンコンプレックスを形成することを特徴とする請求項5に記載のカーボン粉粒複合樹脂の成形方法。
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