JP5224745B2 - ガラスブロック耐力壁の壁構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスブロック耐力壁の壁構造に関し、特に、上下一対の横架材と左右一対の柱材とによって形成される矩形架構の内側に、複数のガラスブロックを縦横に配置接合したブロック集合体を取り付けてなるガラスブロック耐力壁の壁構造に関する。
ガラスブロックは、透光性を備えており、装飾性や断熱遮音効果にも優れるため、従来より、例えば採光が必要な壁や、断熱遮音性能が要求される壁の構成材料として用いられ、屋内空間に意匠性に富んだ様々なデザインを付与している。これらのガラスブロックは、変形に弱い脆性材料であるため、非構造材として、単に内装用又は外装用に用いられるのが一般的であり、風荷重や地震荷重等を支持するための耐力壁を構成する建築材料としては採用することができないものと考えられていた。
一方、ガラスブロックの採光機能や、優れた装飾性に着目し、建築物の多くの部分にガラスブロックを用いることを可能にして設計の自由度を増すことにより、斬新な住宅のデザインが得られるようにするための種々の工夫がなされており、例えばガラスブロックを耐力壁の構成材料としても使用できるようにする研究が種々行われている(例えば、特許文献1,2、非特許文献1,2参照)。
特許文献1や特許文献2は、金属枠に複数のガラスブロックを嵌め込んでなるガラスブロック壁を開示しており、非特許文献1は、複数のガラスブロックの周囲を鋼板で囲んで一体化したものを試験体として、これの剛性、耐力、終局状態等を調査している。また、非特許文献2は、ガラスブロックとは異なる材料である鉄線の入った厚い板ガラスの面内せん断力に着目し、これを木造や軽量鉄骨造の柔軟なフレームと組み合わせて構成される耐力壁の可能性を試験している。
特開2006−9430号公報 特開平5−230899号公報 「ガラスブロック耐震壁の耐震性能に関する実験」、日本建築学会大会学術講演梗概集(2004年8月) 「住宅デザインと木構造」、飯塚五郎蔵著、丸善株式会社発行
特許文献1,2や非特許文献1,2の記載内容からは、ガラスブロックを用いて耐力壁を形成できることが示唆されるが、これらの文献は、木造住宅建築物を施工するにあたって、ガラスブロックによる耐力壁を、実際に所望の壁耐力が得られる状態で効率良く設置するための具体的手段については何等言及していない。
このため、本願出願人は、特願2006−26743号や特願2006−132729号において、ガラスブロックを耐力壁の構成材料として住宅建築物に実際に用いることを可能にした、ガラスブロック耐力壁の壁構造を具体的に開示している。
また、ガラスブロックは、耐力壁の構成材料として十分な圧縮強度等を備える材料である一方で、変形に対して脆い硬質材料であり、例えば地震時の小さな変形によっても壊れやすいため、ガラスブロックを用いた耐力壁の靭性を向上させ、変形に追随する能力を高めることにより、外力に対する剛さとねばり強さを併せ持つことができるようにする新たなガラスブロック耐力壁の壁構造を開発することが望まれている。
本発明は、このようなガラスブロック耐力壁に特有の技術課題に着目してなされたものであり、ガラスブロック耐力壁の靭性を向上させて、変形に追随する能力を効果的に高めることのできるガラスブロック耐力壁の壁構造を提供することを目的とする。
本発明は、木造建物の壁部分の骨組として、上下一対の横架材と左右一対の柱材とによって形成される矩形架構の内側に、複数のガラスブロックを縦横に配置接合したブロック集合体を取り付けてなるガラスブロック耐力壁の壁構造であって、前記ブロック集合体は、下側横架材の上方に取り付けられた下部受け材と、上側横架材の下方に取り付けられた上部受け材と、下部受け材と上部受け材との間に立設して取り付けられた左右一対の側部受け材とによる矩形受け枠の内周面に、四方枠を介在させて外周面を接合することにより、前記矩形受け枠の内側に一体として固定されており、且つ前記左右一対の柱材と前記左右一対の側部受け材との間には、各々間隔が保持されると共に、各間隔部分を覆うようにして、耐力面材が、四方の周縁部分を前記下部受け材、前記上部受け材、前記側部受け材、及び前記柱材に接合固定して取り付けられており、前記耐力面材は、30〜50mmの重ねしろで、その周縁部分を前記下部受け材、前記上部受け材、前記側部受け材、及び前記柱材に各々重ね合わされる大きさ及び形状を備えており、前記間隔部分を囲む前記下部受け材、前記上部受け材、前記側部受け材、及び前記柱材のみに接合固定されているガラスブロック耐力壁の壁構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造では、前記上部受け材は、前記上側横架材との間に間隔を保持して取り付けられていることが好ましい。
また、本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造では、前記四方枠は、アルミニウム製の四方枠であることが好ましい。
さらに、本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造では、前記左右一対の柱材と前記左右一対の側部受け材との間に添え材を介在させて、前記間隔部分の間隔が保持されていることが好ましい。
さらにまた、本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造では、内側に前記ブロック集合体が一体として固定された前記上部受け材、前記下部受け材、及び前記左右一対の側部受け材による前記矩形受け枠を、前記下側横架材と前記上側横架材との間に複数段設けるようにすることもできる。
また、本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造では、前記ブロック集合体は、複数のガラスブロックを複数列複数層に一体化してなるガラスブロックパネルユニットを、前記矩形受け枠の内側に一段又は複数段に重ねて配置して取り付けられていることが好ましい。
本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造によれば、ガラスブロック耐力壁の靭性を向上させて、変形に追随する能力を効果的に高めることができる。
本発明の好ましい一実施形態に係るガラスブロック耐力壁の壁構造は、図1に示すように、例えば木造住宅建築物の外壁や仕切り壁を、ブロック集合体11を組み込んだガラスブロック耐力壁12によって形成することを可能にするために採用されたものである。すなわち、本実施形態のガラスブロック耐力壁の壁構造は、十分な圧縮強度等を備える一方で、変形に対して脆い硬質材料であるガラスブロック13を、靭性を向上させて変形に追随する能力を高めた状態で耐力壁の構成材料として組み込むことにより、ガラスブロック13の透光性による豊富な採光を得ることができ、且つ装飾性や断熱遮音効果にも優れた耐力壁を形成するために採用されたものである。
そして、本実施形態のガラスブロック耐力壁の壁構造10は、図2及び図3に示すように、木造住宅建築物(木造建物)の壁部分の骨組として、上下一対の横架材14,15と左右一対の柱材16,16とによって形成される矩形架構17の内側に、複数のガラスブロック13を縦横に配置接合したブロック集合体11を取り付けてなる耐力壁の壁構造であって、ブロック集合体11は、下側横架材14の上方に取り付けられた下部受け材18と、上側横架材15の下方に取り付けられた上部受け材19と、下部受け材18と上部受け材19との間に立設して取り付けられた左右一対の側部受け材20,20とによる矩形受け枠21の内周面に、四方枠22を介在させて外周面を接合することにより、矩形受け枠21の内側に一体として固定されており、且つ左右一対の柱材16,16と左右一対の側部受け材20,20との間には、各々間隔sが保持されると共に、各間隔部分23を覆うようにして、耐力面材24が、四方の周縁部分を下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に接合固定して取り付けられており、耐力面材24は、30〜50mmの重ねしろで、その周縁部分を下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に各々重ね合わされる大きさ及び形状を備えており、間隔部分23を囲む下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16のみに接合固定されている
また、本実施形態では、上部受け材19は、上側横架材15との間に間隔を保持して取り付けられている。
本実施形態では、ガラスブロック耐力壁10の骨組である矩形架構17を構成する横架材14,15は、土台や梁の他、下枠、上枠、頭繋等を含むものであり、例えば木製の角材を用いて設置される。横架材14,15は、例えば1800〜3500mm程度の高さ方向の中心間間隔をおいて横方向に平行に延設することにより、耐力壁10の上下の枠部分を形成する。
横架材14,15と共に矩形架構17を構成する左右一対の柱材16,16は、柱や間柱の他、竪枠等を含むものであり、例えば木製の角材を用いて設置される。一対の柱材16,16は、例えば900〜1500mm程度の横方向の中心間間隔をおいて縦方向に平行に延設することにより、耐力壁10の左右の枠部分を形成する。
また、内側にブロック集合体11が一体として固定される矩形受け枠21は、矩形架構17を骨組とする耐力壁10の厚さに納まるようにして、矩形架構17の内側に矩形状に取り付けられる。本実施形態では、矩形受け枠21の下部受け材18は、例えば木製の角材からなり、下側横架材14の上方に密着させるように重ねて設置される。下部受け材18は、両端面を両側の柱材16,16の内側面に当接させた状態で、下側横架材14に向けて例えばスクリューボルトを打ち込むと共に、柱材16,16に向けて固定釘や固定ビス等を打ち込むことにより、下側横架材14の上方に強固に固定される。
矩形受け枠21の上部受け材19は、例えば木製の角材からなり、本実施形態では、上側横架材15の下方に80〜540mm程度の高さ方向の間隔を保持して設置される。上部受け材19は、両端面を両側の柱材16,16の内側面に当接させた状態で、柱材16,16に向けて固定釘や固定ビス等を打ち込むことにより、上側横架材15の下方に強固に固定される。また上部受け材19は、これの上面と柱材16,16の内側面との角部分に角金物25を設置して、上部受け材19及び柱材16,16に留め付けることにより、上側横架材15から下方に離れた位置にさらに強固且つ安定した状態で固定しておくことが可能になる。
矩形受け枠21の左右一対の側部受け材20,20は、例えば半割りした木製の角材からなり、これらの外側の左右一対の柱材16,16との間に30〜390mm程度の幅の間隔sを保持した状態で平行に立設配置される。側部受け材20,20は、下端面及び上端面を下部受け材18の上面及び上部受け材19の下面に各々当接させた状態で、下部受け材18及び上部受け材19に向けて固定釘や固定ビス等を打ち込むことにより、下部受け材18と上部受け材19との間に立設して強固に固定される。
また、本実施形態では、左右一対の側部受け材20,20と左右一対の柱材16,16との間の各間隔部分23には、下部受け材18と当接する下端部分、上部受け材19と当接する上端部分、及びこれらの間の中間部分に、下部添え材26a、上部添え材26b、及び中間部添え材26cが各々介在して取り付けられている。これらの添え材26a,26b,26cによって、側部受け材20,20と柱材16,16との間の間隔部分23が、強固且つ安定した状態で保持されることになる。
なお、本実施形態では、矩形架構17を構成する横架材14,15及び柱材16,16の前面側及び背面側の面と、矩形受け枠21を構成する下部受け材18、上部受け材19及び側部受け材20,20の前面側及び背面側の面とが、各々同じ鉛直面P(図3参照)に沿って配置されるように、矩形受け枠21が矩形架構17の内側に設けられている。
本実施形態では、ブロック集合体11を構成するガラスブロック13は、例えば縦横100〜150mm角で、厚さが50〜100mm程度のガラスブロックを使用することができ、より具体的には、例えば商品名「ハウスパネル」(日本電気硝子(株)製)に用いられるガラスブロックを使用することができる。ガラスブロック13は、好ましくは図4(a),(b)に示すように、複数(本第1実施形態では9個)のガラスブロック13を、複数列複数層(本実施形態では3列3層)に配置すると共に、例えばこれらの側周面にステンレス製の帯板27を巻回締着して一体化することにより、ガラスブロックパネルユニット28として予め工場等において製造しておく。そして、建築現場に搬入したガラスブロックパネルユニット28を、矩形受け枠21の内側に、四方枠22を介在させつつ、一段又は複数段(本実施形態では5段)に重ねて配置して取り付けることにより(図2、図3参照)、ブロック集合体11が形成されることになる。またガラスブロックパネルユニット28は、3列3層に限定されることなく、4列3層等に配置して用いることもできる。
ブロック集合体11の外周面と矩形受け枠21の内周面との間に介在して取り付けられる四方枠22は、本実施形態では、その材料として、アルミニウム製の板材に折曲げ加工等を施して形成されたアルミ枠、或いはアルミニウムを押し出し成型したアルミ枠30が用いられる。四方枠22は、例えば図5(a),(b)に示すように、略横長矩形断面形状の受け枠側基台22aの中央部分から略矩形断面形状のブロック接合部22bを突出させた略逆T字形の中空箱形断面形状を備えている。四方枠22には、適宜の位置に複数のビス穴が開口形成されており、固定ビス等を介して矩形受け枠21の内側面に当該四方枠22を留め付けることができるようになっている。また受け枠側基台22aの底面接着部に例えばエポキシ樹脂接着剤を塗布して、矩形受け枠21の内側面に四方枠22を強固に接合固定することができるようになっている。さらに、ブロック接合部22bの先端接着部に例えばエポキシ樹脂接着剤を塗布して、四方枠22の内側面にガラスブロックパネルユニット28の外周面を強固に接合固定することができるようになっている。
なお、四方枠22は、図5(a)に示すように、受け枠側基台22aとブロック接合部22bとを別のピースとして折り曲げ加工し、受け枠側基台22aの嵌込み凹部にブロック接合部22bを嵌め込んだ状態で、例えばエポキシ樹脂接着剤を介して一体接合したアルミ枠30として用いることができる。また、図5(b)に示すように、受け枠側基台22aとブロック接合部22bとを一体成型したアルミ枠30として用いることもできる。これらの四方枠22は、矩形受け枠21の取付け箇所等に応じて適宜選択して用いることができる。
そして、本実施形態では、図2に示すように、左右一対の柱材16,16と左右一対の側部受け材20,20との間の各間隔部分23を覆うようにして、耐力面材24が取り付けられる。耐力面材24は、例えば厚さ12mm程度の構造用合板からなる。耐力面材24は、30〜50mm程度の重ねしろで、その周縁部分を下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に各々重ね合わせた状態で、間隔部分23を覆って配置される。また耐力面材24は、これの周縁部分に、例えば100〜150mm程度のピッチで、下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に向けて固定ビス等を打ち込むことにより、当該間隔部分23を覆って強固に固定設置されることになる。
なお、耐力面材24は、左右一対の柱材16,16と左右一対の側部受け材20,20との間の各間隔部分23を覆って、矩形架構17及び矩形受け枠21の前面側及び背面側の双方に取り付けることが好ましいが、一方に取り付けるだけでも所望の耐力が得られる場合には、前面側、或いは背面側のいずれか一方のみに取り付けておくこともできる(図10(a),(b)参照)。
そして、上述の構成を備えるガラスブロック耐力壁の壁構造10を形成するには、上下一対の横架材14,15と左右一対の柱材16,16とからなる矩形架構17に対して、図6(a)に示すように、まず、下側横架材14の上方に重ねて下部受け材18を取り付ける。すなわち、下部受け材18を、両端面を両側の柱材16,16の内側面に当接させた状態で、下側横架材14に向けてスクリューボルトを打ち込んだり、柱材16,16に向けて固定釘や固定ビス等を打ち込むことにより、下側横架材14の上方に固定する。
次に、図6(b)に示すように、左右一対の柱材16,16の内側に、下部受け材18から立設させて左右一対の側部受け材20,20を取り付ける。すなわち、左右一対の柱材16,16との間に下部添え材26a、上部添え材26b、及び中間部添え材26cを各々介在させて間隔sを保持しつつ、一対の側部受け材20,20を、固定釘や固定ビス等を用いて、柱材16,16の内側にこれらと平行に配置して固定する。
さらに、図7(a)に示すように、固定した下部受け材18の上面及び左右一対の側部受け材20,20の内側面に沿って、四方枠22のうちの下部及び両側部の三方の部分を、アルミ枠30を用いて取り付ける。すなわち、略逆T字形の断面形状を備えるアルミ枠30の受け枠側基台22aの部分(図5(a),(b)参照)を下側又は外側に向けて、例えばエポキシ樹脂接着剤を塗布した受け枠側基台22aの底面接着部を、下部受け材18の上面や側部受け材20,20の内側側面に押し付けると共に、固定ビス等を下部受け材18や側部受け材20,20打ち込むことにより、四方枠22の三方の部分のアルミ枠30を固定する。
また、本実施形態では、図7(b)に示すように、矩形受け枠21の上部受け材19の下面に、四方枠22のうちの上部の部分となるアルミ枠30を予め取り付けておく。なお、上部受け材19は、下部受け材18の上面及び左右一対の側部受け材20,20の内側面に沿って四方枠22の三方の部分を取り付けた状態(図7(a)参照)で、これの内側にガラスブロック13によるブロック集合体11を嵌め込んだ後に、嵌め込んだブロック集合体11の上方から当該上部受け材19を落し込んで、両側の柱材16,16に接合固定することにより、下部受け材18及び一対の側部受け材20,20と共に、内側にブロック集合体11を一体として固定した矩形受け枠21を構成することになる(図8参照)。
本実施形態では、上述のように、複数のガラスブロック13を複数列複数層に一体化したガラスブロックパネルユニット28を、矩形受け枠21の内側に複数段に重ねて配置することによって、ブロック集合体11をガラスブロック耐力壁12に取り付ける。すなわち、図8に示すように、下部受け材18の上面及び左右一対の側部受け材20,20の内側面に沿って取り付けた、四方枠22の三方の部分を構成するアルミ枠30のブロック接合部22bの先端接着部に、例えばエポキシ樹脂接着剤を塗布して、ガラスブロックパネルユニット28の、ステンレス製の帯板27が巻回締着された側周面を接合固定する。また、例えば下段のガラスブロックパネルユニット28の上部側周面に、例えば両面にエポキシ樹脂接着剤を塗布したアルミニウム製のスペーサー板を介在させた状態で、上段のガラスブロックパネルユニット28の下部側周面を接合固定することにより、上下に積み重ねたガラスブロックパネルユニット28を互いに接合一体化する。
そして、最上段のガラスブロックパネルユニット28の上部側周面の帯板27に、例えばエポキシ樹脂接着剤を塗布すると共に、上部受け材19の下面に取り付けたアルミ枠30のブロック接合部22bの下方を向いた先端接着部を押し付けるようにして、上部受け材19を上方から落し込んで、両側の柱材16,16に接合固定することにより、ブロック集合体11は、矩形受け枠21の内側に、嵌め込まれるようにして一体として固定されることになる。
なお、本実施形態では、落し込んだ上部受け材19の上面と柱材16,16の内側面との角部分には、上述の角金物25が留め付けられる。また、ガラスブロックパネルユニット28の側周面を巻回締着する帯板27には、折曲り耳部29が設けられており(図4(a)参照)、ガラスブロックパネルユニット28を四方枠22の内側に嵌め込む際に、この折曲り耳部29を、アルミ枠30のブロック接合部22bの側面にビスや接着剤等を用いて接合固定できるようになっている。さらに、スペーサー板を介在させて上下に積み重ねられるガラスブロックパネルユニット28間の目地部には、目地モルタル等が適宜施される。さらにまた、本実施形態では、上述のエポキシ樹脂接着剤としては、例えば商品名「シーカデュア30」(日本シーカ(株)製)等の、ニ液混合型エポキシ樹脂接着剤を使用することができる。このようなエポキシ樹脂接着剤は、粘性が高く液だれしないので作業性が良いといった長所の他、冬季以外であれば3日間で最終強度の90%程度まで強度が発現し、混練ラティチュードが広いので多少の混練不足でも不具合が生じない等の長所を有している。
矩形架構17の内側に矩形受け枠21及びブロック集合体11を固定したら、図9に示すように、左右一対の柱材16,16と左右一対の側部受け材20,20との間の各間隔部分23を覆うようにして、耐力面材24を取り付ける。すなわち、耐力面材24の周縁部分を下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に各々重ね合わせた状態で、当該周縁部分の表面から、下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に向けて固定ビス等を打ち込むことにより、耐力面材24を固定する。これによって、本実施形態のガラスブロック耐力壁の壁構造10が形成される。ここで、一本の柱材16を挟んだ両側に、矩形受け枠21及びブロック集合体11が各々固定される一対の矩形架構17が隣接する場合には、当該一本の柱材16を挟んだ両側の間隔部分23に跨って、耐力面材24を連続して取り付けるようにすることもできる。
本実施形態では、さらに、図10(a),(b)に示すように、ガラスブロック耐力壁の壁構造10の周囲に仕上げ施工を施すことにより、ガラスブロック耐力壁12を形成する。すなわち、ガラスブロック耐力壁12が例えば間仕切り壁である場合、例えば耐力面材24の周囲に石膏ボード等による壁下地材31を取り付けたり、矩形受け枠21の内側周縁角部分に額縁32を取り付け、さらに壁仕上材等を取り付けることによって、ガラスブロック耐力壁12とする(図10(a)参照)。またガラスブロック耐力壁12が例えば外壁である場合、例えば矩形受け枠21の屋外側の部分の内側周縁角部分に、水切り枠33を取り付けると共に、矩形架構17や矩形受け枠21の屋外側の部分を覆って、壁下地材34や防水シート35を取り付けた後に、モルタルやサイディング材等による壁仕上材36を施して、ガラスブロック耐力壁12とする(図10(b)参照)。
そして、上述の構成を備える本実施形態のガラスブロック耐力壁の壁構造10によれば、ガラスブロック耐力壁12の靭性を向上させて、変形に追随する能力を効果的に高めることが可能になる。
すなわち、本実施形態によれば、ブロック集合体11は、下側横架材14の上方に取り付けられた下部受け材18と、上側横架材15の下方に取り付けられた上部受け材19と、下部受け材18と上部受け材19との間に立設して取り付けられた左右一対の側部受け材20,20とによる矩形受け枠21の内周面に、四方枠22を介在させて外周面を接合することにより、矩形受け枠21の内側に一体として固定されており、且つ左右一対の柱材16,16と左右一対の側部受け材20,20との間には、各々間隔sが保持されると共に、各間隔部分23を覆うようにして、耐力面材24が、四方の周縁部分を下部受け材18、上部受け材19、側部受け材20、及び柱材16に接合固定して取り付けられている。
したがって、本実施形態によれば、四方枠22を介してブロック集合体11が内側に固定された矩形受け枠21と、矩形架構17の少なくとも左右一対の側部受け材20,20との間には、間隔sが保持されているので、変形を効果的に吸収することが可能になると共に、ガラスブロック耐力壁12に負荷される荷重を、耐力面材24を介して矩形架構17から矩形受け枠21及びブロック集合体11に伝えて、相当の強度を有するブロック集合体11によっても効果的に支持することが可能になり、これらによって、所望の壁耐力を保持しつつ、変形に追随することが可能な壁構造10を容易に形成することが可能になる。
すなわち、本実施形態のガラスブロック耐力壁の壁構造10によれば、ガラスブロック13という硬質材料を用いているが、両側の間隔部分23を覆う耐力面材24による小壁によって、変形を吸収できるので、大変形時まで急激な耐力の低下を起こさずに、且つ強度のばらつきの少ない安定した壁構造10を構成することになる。
また、本実施形態によれば、上部受け材15と上側横架材19との間にも間隔が保持されているので、さらに効果的に変形を吸収することが可能になる。
なお、本発明者は、図9に示す構成の壁構造を試験体として、JIS A 1414「建築用構成材(パネル)及びその構造部分の性能試験方法」の面内せん断試験(B)(タイロッドを用いない場合)に従って、面内せん断試験を行った結果、低減係数を考慮した後の数値として壁倍率4.1倍の強度性能を確認することができた。このような壁倍率は、上述の架構に構造用合板を片面使用した場合の壁倍率(2.5倍)よりもはるかに大きく、筋違いをダブルで取り付けた場合の壁倍率(4.0倍)をも上回ることから、試験体の採光壁は、耐力壁として必要な壁耐力を備えており、木造住宅建築部の耐力壁部分に設けられて、耐力壁としての機能を十分に発揮できることが判明した。
本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば図11に示すように、内側にブロック集合体11が一体として固定された上部受け材19、下部受け材18、及び左右一対の側部受け材20による矩形受け枠21を、下側横架材14と上側横架材15との間に複数段設けて本発明のガラスブロック耐力壁の壁構造とすることもできる。
本実施形態の好ましい一実施形態に係るガラスブロック耐力壁の壁構造を用いたガラスブロック耐力壁を例示する略示斜視図である。 本実施形態の好ましい一実施形態に係るガラスブロック耐力壁の壁構造の構成を説明する正面図である。 図2のA−Aに沿った断面図である。 (a)は、ガラスブロックパネルユニットの正面図、(b)は(a)のB部拡大上面図である。 (a),(b)は四方枠を構成するアルミ枠を例示する略示斜視図である。 (a)、(b)は、ガラスブロック耐力壁の壁構造を設置するための作業工程の説明図である。 ガラスブロック耐力壁の壁構造を設置するための作業工程の説明図である。 ガラスブロック耐力壁の壁構造を設置するための作業工程の説明図である。 ガラスブロック耐力壁の壁構造を設置するための作業工程の説明図である。 (a)、(b)は、ガラスブロック耐力壁の壁構造の周囲に壁仕上げを施した状態を例示する略示断面図である。 ガラスブロック耐力壁の壁構造の他の形態を例示する正面図である。
符号の説明
10 ガラスブロック耐力壁の壁構造
11 ブロック集合体
12 ガラスブロック耐力壁
13 ガラスブロック
14 下側横架材
15 上側横架材
16 柱材
17 矩形架構
18 下部受け材
19 上部受け材
20 側部受け材
21 矩形受け枠
22 四方枠
23 間隔部分
24 耐力面材
25 角金物
26a,26b,26c 添え材
27 ステンレス製の帯板
28 ガラスブロックパネルユニット
30 アルミ枠

Claims (6)

  1. 木造建物の壁部分の骨組として、上下一対の横架材と左右一対の柱材とによって形成される矩形架構の内側に、複数のガラスブロックを縦横に配置接合したブロック集合体を取り付けてなるガラスブロック耐力壁の壁構造であって、
    前記ブロック集合体は、下側横架材の上方に取り付けられた下部受け材と、上側横架材の下方に取り付けられた上部受け材と、下部受け材と上部受け材との間に立設して取り付けられた左右一対の側部受け材とによる矩形受け枠の内周面に、四方枠を介在させて外周面を接合することにより、前記矩形受け枠の内側に一体として固定されており、
    且つ前記左右一対の柱材と前記左右一対の側部受け材との間には、各々間隔が保持されると共に、各間隔部分を覆うようにして、耐力面材が、四方の周縁部分を前記下部受け材、前記上部受け材、前記側部受け材、及び前記柱材に接合固定して取り付けられており、
    前記耐力面材は、30〜50mmの重ねしろで、その周縁部分を前記下部受け材、前記上部受け材、前記側部受け材、及び前記柱材に各々重ね合わされる大きさ及び形状を備えており、前記間隔部分を囲む前記下部受け材、前記上部受け材、前記側部受け材、及び前記柱材のみに接合固定されているガラスブロック耐力壁の壁構造。
  2. 前記上部受け材は、前記上側横架材との間に間隔を保持して取り付けられている請求項1に記載のガラスブロック耐力壁の壁構造。
  3. 前記四方枠は、アルミニウム製の四方枠である請求項1又は2に記載のガラスブロック耐力壁の壁構造。
  4. 前記左右一対の柱材と前記左右一対の側部受け材との間に添え材を介在させて、前記間隔部分の間隔が保持されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスブロック耐力壁の壁構造。
  5. 内側に前記ブロック集合体が一体として固定された前記上部受け材、前記下部受け材、及び前記左右一対の側部受け材による前記矩形受け枠が、前記下側横架材と前記上側横架材との間に複数段設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスブロック耐力壁の壁構造。
  6. 前記ブロック集合体は、複数のガラスブロックを複数列複数層に一体化してなるガラスブロックパネルユニットを、前記矩形受け枠の内側に一段又は複数段に重ねて配置して取り付けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスブロック耐力壁の壁構造。
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