JP5222720B2 - HGFβ鎖変異体 - Google Patents

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Description

(関連出願)
本出願は、その全体の内容が本明細書中に出典明記によって援用される2005年4月15日出願の仮出願第60/671610号に基づく米国特許法第119条第(e)項の優先権を主張して、米国特許法施行規則第1.53条第(b)項第(1)号に基づき出願された非仮出願である。
(技術分野)
本発明は一般に分子生物学及び増殖因子調節の分野に関する。より詳細には、本発明はHGF/c-metシグナル伝達経路の修飾因子(モジュレーター)及び該修飾因子の用途に関する。
(背景技術)
散乱因子(SF)としても知られている肝細胞増殖因子(HGF)はc-metプロトオンコジーンによってコードされているレセプターチロシンキナーゼ(Cooper等, 1984a & b)であるMetに対するリガンドである(Bottaro等, 1991)。Metに結合しているHGFは細胞内キナーゼドメインのリン酸化を誘導し、様々な細胞型において細胞増殖、分化及び遊走を生じる細胞内経路の複合集団の活性化を生じる;幾つかの最近発刊された概説が包括的な概要を提供する(Birchmeier等, 2003;Trusolino及びComoglio, 2002;Maulik等, 2002)。胚発生及び組織再生におけるその基本的な重要性に加えて、HGF/Metシグナル伝達経路はまた浸潤性腫瘍増殖及び転移に関係しており、それ自体、興味ある治療標的(Birchmeier等, 2003;Trusolino及びComoglio, 2002;Danilkovitch-Miagkova及びZbar, 2002;Ma等, 2003)である。
HGFはプラスミノーゲン関連増殖因子ファミリーに属し、N末端フィンガードメイン(N)と4つのクリングル(K1−K4)ドメインを含む69kDaのα鎖と、Clan PA(S)/ファミリーS1由来のキモトリプシン様セリンプロテアーゼのプロテアーゼドメインに強い類似性を有している34kDaのβ鎖を含む(Nakamura等, 1989;Donate等, 1994;Rawlings等, 2002)。プラスミノーゲン及び他のセリンプロテアーゼチモーゲンと同様に、HGFは単鎖前駆体型(scHGF)として分泌される。scHGFはヘパリン硫酸プロテオグリカン、例えば細胞表面上又は細胞外マトリックス内のシンデカン-1(Derksen等, 2002)に結合する。ヘパリン硫酸プロテオグリカンがNドメインに結合し(Hartmann等, 1998)、それがまたK1に位置しているアミノ酸と共に高親和性のMet結合に寄与している(Lokker等, 1994)。scHGFは高親和性でMetに結合することができるが、レセプターを活性化させることができない(Lokker等, 1992;Hartmann等, 1992)。HGFシグナル伝達活性の獲得は、scHGFのArg494-Val495でのタンパク分解的切断(活性化)時に付随的であり、成熟HGFつまりジスルフィド結合α/βヘテロ二量体の生成を生じる(Lokker等, 1992;Hartmann等, 1992;Naldini等, 1992)。HGFのプロテアーゼ様ドメイン(HGFβ鎖)は、Gln534[c57]及びTyr673[c195]を有する全てのセリンプロテーゼ(Perona及びCraik, 1995;Hedstrom, 2002)に見出される必要とされるAsp[c102]-His[c57]-Ser[c195](括弧での標準的なキモトリプシノーゲン番号付け)触媒三連構造を欠いているので、触媒的活性がない。
HGF活性の調節におけるその重要性のため、このプロセスはHGF変換酵素とその対応する生理学的阻害剤によって密に制御されなければならない。scHGF活性化は、肝細胞増殖因子活性因子(HGFA)(Miyazawa等, 1993)、マトリプターゼ/MT-SP1(Takeuchi等 1999;Lin等, 1999)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(Naldini等, 1992)、第XIIa因子(Shimomura等, 1995)、第XIa因子(Peek等, 2002)及び血漿カリクレイン(Peek等, 2002)を含むキモトプシン様セリンプロテアーゼによってインビトロで媒介される。scHGFと同様に、これらのプロテアーゼは不活性な前駆体として産生される;その酵素活性はまた他の活性化プロテアーゼ及びKunitz及びセルピン型両方の阻害剤によって堅固に調節される。
セリンプロテアーゼとその活性化プロセスは開示されている(Donate等, 1994)。セリンプロテアーゼでは、チモーゲンの活性化切断は適切に形成された活性部位を生じるいわゆる「活性化ドメイン」と基質/阻害剤相互作用領域のコンホメーション再構成をなす。活性化ドメインは[c140]-、[c180]-及び[c220]-ループと命名された表面曝露ループと新たに形成されたN末端の疎水性ポケットへの挿入を構成する(Huber及びBode, 1978)。相同リガンド/レセプター対マクロファージ刺激タンパク質(MSP)/Ronにおいて、セリンプロテアーゼ様MSPβ鎖はレセプター結合のために主要なエネルギーを提供する(Wang等, 1997;Miller及びLeonard, 1998)。これは、Metのための高親和性レセプター結合部位がHGFα鎖中に存在しているHGF/Met系とは逆である(Lokker等, 1994;Okigaki等, 1992)。
正常な細胞の機能及び臨床疾患の病因におけるHGF/Metシグナル伝達軸の重要性から、この軸の調節に基づいた非常に有効な治療的手段を開発するために必要であることを示唆する。しかしながら、特にHGF-HGF及びHGF/Met相互作用のあまり明らかとなっていないメカニズムを考慮すると、この経路の複雑さはこの分野の発展を減速させ、HGF-HGF及びHGF/Met相互作用の作用機構の理解に基づく手法を開発するために必要であることを浮き彫りにした。以下に開示される本発明はこの必要性を満たし、他の利点を提供するものである。
特許出願及び刊行物を含むここで引用した全ての文献はその全体を出典明示により援用する。
(発明の開示)
プラスミノーゲン関連の増殖因子である肝細胞増殖因子(HGF)はそのレセプターチロシンキナーゼMet(本明細書において、C-Met、c-Met又はc-metとも称される)と結合し、発生、組織再生及び浸潤性腫瘍増殖に関係する。セリンプロテアーゼ様HGFβ鎖自体はMetと結合する。Metへの結合以外に、HGF/Met経路による適当なシグナル伝達に作用するためにHGFβ鎖のどの領域及び特定の残基が必要であるかは明らかでない。本発明者等は、β鎖内の特定の領域/位置が適当なHGF機能活性に重大に関与しており、この関与はその同種レセプターへのHGFβ鎖の結合を伴うか否かにかかわらないことを推測した。本明細書に記載の結果から、C-MetへのHGF(特にHGFβ鎖のもの)結合を実質的に害するか否かにかかわらず、HGFβ鎖の二量体化領域及び/又はN末端領域の突然変異がHGF/Met生物学的機能を破壊しうることが証明される。必ずではないが一般に、これらの突然変異は、野生型HGFの「活性化ドメイン」又は「活性部位領域」を含むと思われる位置と関係していない。
本明細書において記述される突然変異分析法により、作用強度の範囲全体の野生型HGF/HGF及びHGF/c-met相互作用を阻害できる多数のHGF変異体の設定の基準が提供される。このような変異体の例を本明細書中に記載する。これらの変異体は、c-metへの結合に関して野生型HGFと競合することができるが、c-met関連の生物学的機能への作用能が減弱している。このHGF/c-met軸の完全な又は実質的な阻害が望ましくない場合には特に有用であり、HGF及びc-metが正常な細胞及び組織において偏在して発現されるので、特に関心がある。また、これらの変異体は、HGF/c-met生物活性の完全な欠損ではなく減弱が望まれる病態を治療するための有益な治療剤として用いることができる。本発明の方法及び組成物は、少なくともある程度はこれらの所見に基づくものであり、以下により詳細に記載する。
一態様では、本発明は、HGFβ鎖N末端領域及び/又はHGFβ鎖二量体化領域に突然変異を含むHGF変異体を含んでなるHGF/C-Metアンタゴニスト分子を提供する。
HGFβ鎖N末端領域の突然変異は、HGF結合ポケットへのHGFβ鎖N末端の挿入を害する任意のものでありうる。一実施態様では、結果として生じるHGFβ鎖変異体は、野生型HGFβ鎖と比較して減弱した結合親和性でC-Metと結合する。一実施態様では、結果として生じるHGFβ鎖変異体は、野生型HGFβ鎖と実質的に同等の結合親和性でC-Metと結合する。一実施態様では、結果として生じる、変異したHGFβ鎖を含む完全長HGFは、完全長野生型HGFと比較して減弱した結合親和性でC-Metと結合する。一実施態様では、結果として生じる、変異したHGFβ鎖を含む完全長HGFは、完全長野生型HGFと実質的に同等の結合親和性でC-Metと結合する。一実施態様では、突然変異は、P1'位置(すなわち495[c16])にあるか又はP1'位置に隣接しており、該突然変異により切断可能なHGF変異体となり、HGFβ鎖のN末端が活性部位/結合ポケットに挿入されないものである。活性部位/結合ポケットに挿入されない例には、限定するものではないが、変異体が(i)疎水的相互作用、及び(ii)Asp672[c]194にN末端を伴う塩橋の形成の何れか又はその両方内で欠損している立体構造、例えば、正荷電の置換アミノ酸残基又は挿入アミノ酸残基などの突然変異をN末端に有する立体構造が含まれる。一実施態様では、この変異体を介するシグナル伝達が害される。一実施態様では、突然変異は、一又は複数の位置P1'、P2'、P3'及びP4'内又はこれらに隣接してある。
HGFβ鎖二量体化ドメイン内の突然変異は、2つのHGFβ鎖間の接触を害して、その2つの鎖(従って2つのHGF分子)の二量体化を害すると思われる任意のものでありうる。例えば、Kirchhofer等, J Biol Chem. (2004), 279(38): 39915-24に記載のあるように、このような突然変異はHGF複合体のアミノ酸構造から明白である。関連するアミノ酸位は、本明細書に記載のものを含むがこれに限定されるものではない。一実施態様では、結果として生じるHGF変異体は、他のHGFβ鎖との二量体化能が減弱している。一実施態様では、HGFβ鎖二量体化領域内の突然変異は、結果として生じるHGF変異体のC-Metへの結合を実質的に害さない。
二量体化ドメインは、(例えば、HGF/Met活性化複合体内で)二量体を形成するために他のHGFβ鎖と相互作用するHGFβ鎖の領域を指す。プロHGFの切断の際に、HGFβ鎖に立体配置的な変化が起こる。HGFβ鎖N末端残基495は残基Asp672との塩橋を形成する。いくつかの実施態様では、HGFβの二量体化領域は、およそ495から502までのHGFβの残基、Y619、T620、G621を含む[c140ループ]アミノ酸、662から665を含む[c180]ループアミノ酸、又はこれらの混合物に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基(最大すべてのアミノ酸残基)を含んでなるか、基本的にこれらから成るか、あるいはこれらから成る。一実施態様では、二量体化ドメインには、上記の位置の一又は複数の近くに/隣接して配置される位置であって、該一又は複数の位置に影響すると予測される位置が含まれる。例えば、本実施態様では、二量体化ドメインは位置622及び626を更に含んでもよい。
一態様では、本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子はHGFβ鎖N末端領域に突然変異を含んでおり、該突然変異が位置V495、G498、R502+T503、及び/又はD672にあるものである。突然変異は、HGFβ鎖のN末端領域の一次、二次及び/又は三次構造を変化させる何れかの形態であってもよい。例えば、一実施態様では、HGFβ鎖N末端領域内の突然変異は、置換、挿入及び/又は欠失、例えばV495G、V495A、G498I、G498P、G498V、R502欠失+T503欠失、又はD672Nである。他の実施態様では、HGFβ鎖N末端領域の突然変異はV495の欠失である。また、HGFβ鎖のN末端領域の一次、二次及び/又は三次構造を変える突然変異は、HGFβ鎖N末端領域自体にないアミノ酸位にあってもよい。例えば、HGFβ鎖N末端との塩橋形成を取り除くD672の突然変異(例えばD672N)もまた、HGFβ鎖N末端領域の一次、二次及び/又は三次構造を変えると思われる。ゆえに、HGFβ鎖N末端領域及びHGFβ鎖二量体化領域の突然変異が、必ずしも排他的であるという必要はない。例えば、本明細書において、記述され、図1に例証されるように、特定の位置の突然変異はHGFβ鎖のN末端及び二量体化ドメインの両方に作用すると思われる。
一態様では、本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子はHGFβ鎖二量体化ドメイン内に突然変異を含んでおり、該突然変異は位置N497、G498、P500内にあるか、T501及びR502、又はR502にあるか、これらに隣接してある。突然変異は、HGFβ鎖の二量体化領域の一次、二次及び/又は三次構造を変化させる何れかの形態であってもよい。HGFβ鎖の二量体化領域の構造を変える突然変異の例には、荷電性の残基か又は野生型配列に大きな側鎖(例えば嵩)を有する残基を導入する突然変異が含まれ、荷電性残基により反発性の相互作用が起こり、大きな側鎖により有害な立体相互作用が生じる。さらに、マレイミド及びハロアセチル基を含有するものなどの特定のチオールアルキル化試薬による修飾に有用なシステイン突然変異(例えばL622C、I664C、P500C及びN497C)がまた導入されうる。一実施態様では、HGFβ鎖二量体化領域内の突然変異は、置換、挿入及び/又は欠失、例えばN497R又はK、G498A又はS、P500W、H又はE、T501とR502間の挿入(例えばR及び/又はSの挿入)、又はR502欠失である。一実施態様では、位置N497の突然変異はN497F、A又はEでない。一実施態様では、突然変異は一又は複数の位置495から503にあり、このような突然変異はレセプターへの結合及び/又はHGFβ鎖二量体化を変更しうる。他の実施態様では、二量体化ドメインに作用する突然変異は、二量体化ドメイン外の一又は複数の位置にある突然変異、例えば494−495の切断部位にある又はこれに隣接した突然変異と組み合わされうる。例えば、非切断部位であると思われる突然変異(例えばR494E:V495G二重突然変異)であり、二量体化ドメイン内にも突然変異を含む変異体では、このような変異体は、たとえインビボで切断される場合であっても障害された生物学的機能を表す。
本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子のいくつかの実施態様では、分子は、位置534、578、619、673、692、693、694、695、696、699及び/又は702に野生型アミノ酸を含んでなる。本発明のHGF/Metアンタゴニストのいくつかの実施態様では、アンタゴニストは、位置L622(例えばL622C又はK)、I623(例えばI623C)、D626(例えばD626K)、L622+D626(例えばL622K+D626K)、K663(例えばK663C)、I664(例えばI664C)、R502(例えば502C)、P500(例えばP500C)、N497(例えばN497C)、R494+I623(例えばR494E+I623C)、N497+G498(例えばN497R+G498A、又はN497K+G498A)、N497+P500(例えばN497R+P500H、又はN497K+P500H)、G498+P500(例えばG498A+P500H)、N497+G498+P500(例えばN497R+G498A+P500H、又はN497K+G498A+P500H)、N497+L622(例えばN497R+L622K、又はN497K+L622K)、N497+D626(例えばN497R+D626K、又はN497K+D626K)、N497+L622+D626(例えばN497R+L622K+D626K、又はN497K+L622K+D626K)に突然変異を含む。
一実施態様では、本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子は、HGF活性部位単独に、又は、本明細書に記載の突然変異の一又は複数と組み合わせて突然変異を含む。活性部位の突然変異は位置667及び/又は704に突然変異を含む。好適な突然変異には、これらの位置の一又は両方のC又はWへの置換が含まれる。
通常は、本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子は、通常野生型HGFと関係している生物学的特徴の一又は複数を減弱するHGFβ鎖に突然変異を有するHGF分子を含んでなる。例えば、一実施態様では、前記分子は、野生型HGFと比較してC-Metシグナル伝達能(例えばMetリン酸化)を減弱している。他の実施態様では、前記分子は、野生型HGFと比較して細胞遊走を促進する能力を減弱している。他の実施態様では、前記分子は、野生型HGFと比較して細胞増殖を促進する能力を減弱している。他の実施態様では、前記分子は、野生型HGFと比較して血管新生を促進する能力を減弱している。一般的に、本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子は、Metへの結合に伴い、本明細書に記載の変異したHGFβ鎖に結合するHGFa鎖の少なくとも一部を含んでなる。
本明細書に記載の変異解析で示されるように、HGFβ鎖の特定の領域及びその中の特定のアミノ酸位は、HGF生物学的機能の調節に重要な役割を果たす。したがって、一態様では、本発明は、これらの領域を特異的に標的とするHGF/Metモジュレーターも提供する。このようなモジュレーターには、アプタマーなどの核酸、結合ペプチド及び抗体などのポリペプチドが含まれる。
ここでの使用では、数の前の文字は野生型ヒトHGFポリペプチド内のその数により示されるアミノ酸位にみられる対応の野生型アミノ酸を示し、数の後の文字(一又は複数)は(ある場合には)突然変異型/アミノ酸(例えば、置換アミノ酸、欠失(del)又は挿入(ins)を示す。
一態様では、本発明は、HGF/c-met調節活性を有するHGF変異体、例えばHGF/c-met活性のアンタゴニスト又はHGF生物活性の欠損ではなく減少を表すHGF変異体(例えば細胞増殖刺激活性)を提供する。一実施態様では、本発明のアンタゴニストは、インビボ又はインビトロで野生型HGFの生物活性(このような生物活性には、レセプターリン酸化、細胞増殖の刺激、細胞生存の促進、血管新生の促進、細胞遊走の誘導/促進が含まれるがこれに限定されるものではない)を阻害することが可能である。一実施態様では、HGF変異体は、減弱した細胞増殖促進活性(例えば細胞増殖、細胞生存、血管形成、細胞遊走)を提供する。
一実施態様では、本発明のアンタゴニスト分子は、Metへの結合について野生型HGFと競合する。いくつかの実施態様では、前記分子は、c-metレセプター多量体化(例えば二量体化)を阻害する。いくつかの実施形態では、前記分子は、他のβ鎖分子と相互に作用する(例えば、多量体化/二量体化)能力を減弱している変異体(突然変異体)β鎖を含んでなる。いくつかの実施態様では、前記分子は、HGFβ鎖多量体化(例えば二量体化)を阻害する。いくつかの実施態様では、前記分子はc-metと結合するが、減弱したc-met活性化能を示す(これは例えば、c-metリン酸化、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)リン酸化の減少、及び/又はHGF/c-met依存性細胞遊走、細胞増殖、細胞生存、細胞形態形成、血管新生などの減少により示される)。
野生型対応配列に対して一又は複数の位置が変異されている本発明の任意の分子では、突然変異は対応する野生型残基の機能的効果を変更する任意の形態でありうる。突然変異は、当該分野で知られている任意の好適な形態、例えば置換、挿入、付加及び/又は欠失によって得ることができる(及び/又は実験的に決定することができる)。ある実施態様では、変異は非保存的置換を含む。好適な置換には、限定されるものではないが、ここに(特に実施例に)記載されたもの、例えばアラニン及びセリンのようなアミノ酸のものが含まれる。
一態様では、分子/物質(例えばここに記載されたHGF/c-met調節物質)は細胞傷害剤のような毒素に結合している。これらの分子/物質は、例えば放射線及び/又は化学療法剤のような添加剤/促進剤と組み合わせて処方又は投与することができる。
本発明はまたHGF/c-metシグナル伝達軸の調節不全に関連する疾患状態を調節するのに有用な方法と組成物を提供する。よって、一態様では、本発明は、被検体におけるc-met活性化を調節する方法において、本発明のHGF/c-metアンタゴニスト分子を被検体に投与することを含み、c-met活性化が調節される方法を提供する。一実施態様では、上記分子はHGF/c-met活性を阻害するHGF/c-metアンタゴニストである。一実施態様では、上記アンタゴニストはc-metへの野生型HGFβ鎖の特異的結合を阻害する。一態様では、本発明は、被検体におけるc-metの活性化に関連した病理的症状を治療する方法であって、本発明のc-metアンタゴニストを被検体に投与することを含み、c-met活性化が阻害される方法を提供する。
HGF/c-metシグナル伝達経路は、例えば細胞成長刺激(例えば細胞増殖、細胞生存、細胞遊走、細胞形態形成)及び血管新生を含む複数の生物学的及び生理学的機能に関与している。よって、他の態様では、本発明はc-met活性化細胞成長(例えば増殖及び/又は生存)を阻害する方法であって、本発明のアンタゴニストに細胞又は組織を接触させることを含み、それによってc-met活性化に関連する細胞増殖が阻害される方法を提供する。更に他の態様では、本発明は、血管新生を阻害する方法であって、異常な血管新生に関連する細胞、組織、及び/又は被検体に本発明のHGF/Metアンタゴニストを投与することを含み、それによって血管新生が阻害される方法を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫)疾患及び/又は血管新生関連疾患のような疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明のアンタゴニストの使用を提供する。アンタゴニストは、抗体、抗体断片、ポリペプチド(例えばオリゴペプチド、HGFポリペプチド突然変異体/変異体)、核酸(アプタマー)、又はそれらの組み合わせを含むここに記載の任意の形態であり得る。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫)疾患及び/又は血管新生関連疾患のような疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の核酸の使用を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫)疾患及び/又は血管新生関連疾患のような疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の発現ベクターの使用を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫)疾患及び/又は血管新生関連疾患のような疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の宿主細胞の使用を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫)疾患及び/又は血管新生関連疾患のような疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の製造品の使用を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫)疾患及び/又は血管新生関連疾患のような疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明のキットの使用を提供する。
一態様では、本発明は、c-met活性化細胞増殖を阻害する方法であって、本発明の有効量のアンタゴニストに細胞又は組織を接触させることを含み、それによってc-met活性化に関連する細胞増殖が阻害される方法を提供する。
一態様では、本発明は、被検体におけるc-met活性化の調節不全に関連する病理症状を治療する方法であって、本発明の有効量のアンタゴニストを被検体に投与することを含み、それによって上記症状が治療される方法を提供する。
一態様では、本発明は、c-met又は肝細胞増殖因子又は両方を発現する細胞の成長を阻害する方法であって、本発明のc-metアンタゴニストに上記細胞を接触させることを含み、それによって上記細胞の成長の阻害を生じさせる方法を提供する。一実施態様では、細胞には異なった細胞によって(例えばパラ分泌効果によって)発現されるHGFが接触させられる。
一態様では、本発明は、c-met又は肝細胞増殖因子又は両方を発現する細胞を含む癌性腫瘍を持つ哺乳動物を治療的に処置する方法であって、本発明のアンタゴニストの有効量を上記哺乳動物に投与することを含み、それによって上記哺乳動物を効果的に治療する方法を提供する。一実施態様では、細胞には異なった細胞によって(例えばパラ分泌効果によって)発現されるHGFが接触させられる。
一態様では、本発明は、c-met又は肝細胞増殖因子又は両方の発現又は活性の増加に関連した細胞増殖性疾患を治療又は予防する方法であって、本発明のアンタゴニストの有効量を、そのような治療を必要とする被検体に投与することを含み、それによって上記細胞性増殖疾患を効果的に治療又は防止する方法を提供する。一実施態様では、上記増殖性疾患は癌である。
一態様では、本発明は、細胞の増殖がc-met又は肝細胞増殖因子又は両方の増殖促進効果に少なくとも部分的に依存する細胞の増殖を阻害する方法であって、本発明のアンタゴニストの有効量に上記細胞を接触させることを含み、それによって上記細胞の増殖を阻害する方法を提供する。一実施態様では、細胞には異なった細胞によって(例えばパラ分泌効果によって)発現されるHGFが接触させられる。
一態様では、本発明は、腫瘍の増殖がc-met又は肝細胞増殖因子又は両方の増殖促進効果に少なくとも部分的に依存する被検体における腫瘍を治療的に処置する方法であって、本発明のアンタゴニストの有効量に上記細胞を接触させることを含み、それによって上記腫瘍を効果的に治療する方法を提供する。一実施態様では、細胞には異なった細胞によって(例えばパラ分泌効果によって)発現されるHGFが接触させられる。
本発明の方法は任意の好適な病理的状態、例えばHGF/c-metシグナル伝達経路の調節不全に関連する細胞及び/又は組織に影響を及ぼしめるために使用することができる。一実施態様では、本発明の方法において標的とされる細胞は癌細胞である。例えば、癌細胞は、乳癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、乳頭癌細胞(例えば甲状腺)、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頸癌細胞、中枢神経系癌細胞、骨原性肉腫細胞、腎臓癌細胞、肝細胞癌細胞、膀胱癌細胞、胃癌細胞、頭頸部扁平上皮癌、メラノーマ細胞、多発性骨髄腫細胞及び白血病細胞からなる群から選択されるものでありうる。一実施態様では、本発明の方法において標的とされる細胞は過剰増殖及び/又は過形成性細胞である。一実施態様では、本発明の方法において標的とされる細胞は形成異常細胞である。更に他の実施態様では、本発明の方法において標的とされる細胞は転移性細胞である。
本発明の方法は更なる治療工程を更に含みうる。例えば、一実施態様では、方法は標的細胞及び/又は組織(例えば癌細胞)が放射線治療又は化学療法剤に曝露される工程を更に含む。一実施態様では、本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子は、一又は複数の他の治療的薬剤、例えばエルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))及びリツキシマブ(RITUXAN(登録商標))と組み合わせて被検体に投与される。併用療法における治療薬の投与を同時に又は連続して行うことができる。
ここに記載されるように、c-met活性化は、その調節不全が多くの病理的症状に至る重要な生物学的プロセスである。従って、本発明の方法の一実施態様では、標的とされる細胞(例えば癌細胞)は、同じ組織由来の正常細胞と比較してc-metの活性化が高められるものである。一実施態様では、本発明の方法は標的細胞の死を引き起こす。例えば、本発明のアンタゴニストとの接触はc-met経路を通してシグナル伝達する細胞の無能を生じ得、それが細胞死を生じる。
c-met活性化(よってシグナル伝達)の調節不全は、例えばHGF(c-metの同種リガンド)及び又はc-met自体の過剰発現を含む多くの細胞変化から生じうる。従って、ある実施態様では、本発明の方法は、同じ組織由来の正常細胞と比較してc-met又は肝細胞増殖因子又は両方が上記細胞(例えば癌細胞)によってより豊富に発現される細胞を標的とすることを含む。c-met発現細胞は、様々な供給源からのHGFによって、つまり自己分泌又はパラ分泌形式で調節されうる。例えば、本発明の方法の一実施態様では、標的細胞に、(例えばパラ分泌効果を介して)異なった細胞に発現される肝細胞増殖因子が接触/結合する。上記異なった細胞は同じ又は異なった組織由来でありうる。一実施態様では、標的細胞に、(例えば自己分泌効果/ループを介して)標的細胞自身によって発現されるHGFが接触/結合する。
ある実施態様では、本発明のHGF/Metアンタゴニストは、その阻害及び/又は治療効果(例えば向上した親和性、改善された薬物動態学的性質(例えば半減期、安定性、クリアランス速度)、被検体に対する低減した毒性)を向上させる修飾を含むHGF突然変異体を含む。そのような修飾には、例えば、グリコシル化、ペグ化、非天然発生であるが機能的に等価なアミノ酸、結合基等での置換が含まれる。好適な修飾は当該分野でよく知られており、更に必要に応じて実験的に決定することができる。
一態様では、本発明は、本発明の一又は複数のHGF/c-metアンタゴニスト及び担体を含有する組成物を提供する。一実施態様では、担体は薬学的に許容可能である。
一態様では、本発明は本発明のHGF/c-metアンタゴニストをコードする核酸を提供する。一実施態様では、本発明の核酸は、ポリペプチド(例えばHGF突然変異体/変異体)であるか又はそれを含むHGF/c-metアンタゴニストをコードする。一実施態様では、本発明の核酸は、抗体又はその断片であるか又はそれを含むHGF/c-metアンタゴニストをコードする。
一態様では、本発明は本発明の核酸を含むベクターを提供する。
一態様では、本発明は本発明の核酸又はベクターを含む宿主細胞を提供する。ベクターは任意のタイプであり得、例えば発現ベクターのような組換えベクターである。様々な宿主細胞の任意のものを用いることができる。一実施態様では、宿主細胞が原核細胞、例えば大腸菌である。一実施態様では、宿主細胞は真核細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物細胞である。
一態様では、本発明は、本発明のHGF/c-metアンタゴニストの作製方法を提供する。例えば、本発明は、抗体(又はその断片)である又は抗体を含んでなるアンタゴニストの作製方法であって、適切な宿主細胞において該抗体(又はその断片)をコードする本発明の組み換えベクターを発現させ、該抗体を回収することを含む方法を提供する。他の例では、本発明は、ポリペプチド(例えばHGF突然変異体/変異体)である又はポリペプチドを含んでなるHGF/c-metアンタゴニストの作製方法であって、適切な宿主細胞において該ポリペプチドをコードする本発明の組換えベクターを発現させ、該ポリペプチドを回収することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、容器、及び、容器に内包される組成物を具備する製造品であって、該組成物が本発明の一又は複数のHGF/c-metアンタゴニストを含有してなるものである製造品を提供する。一実施態様では、組成物は本発明の核酸を含有してなる。一実施態様では、HGF/c-metアンタゴニストを含有してなる組成物は担体を更に含有し、いくつかの実施態様ではその担体は薬学的に受容可能である。一実施態様では、本発明の製造品は、被検体に組成物を投与するための指示書を更に具備する。
一態様では、本発明は、本発明の一又は複数のHGF/c-metアンタゴニストを含有してなる組成物を含む第一容器と、バッファーを含んでいる第二容器を具備するキットを提供する。一実施態様では、バッファーは薬学的に受容可能である。一実施態様では、HGF/c-metアンタゴニストを含有してなる組成物は担体を更に含有し、いくつかの実施態様ではその担体は薬学的に受容可能である。一実施態様では、キットは、被検体に組成物を投与するための指示書を更に具備する。
(発明を実施するための形態)
本発明はHGF/c-metシグナル伝達経路を調節するための方法、組成物、キット及び製造品を提供する。
これらの方法、組成物、キット及び製造品の詳細をここに提供する。
一般的方法
本発明の実施には、別段の記載がない限り、当業者の技量の範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の一般的な技術を使用する。かかる技術は、例えば“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 2版 (Sambrook等, 1989);“Oligonucleotide Synthesis” (M. J. Gait編, 1984);“Animal Cell Culture” (R. I. Freshney編, 1987);“Methods in Enzymology” (Academic Press, Inc.);“Current Protocols in Molecular Biology” (F. M. Ausubel等編, 1987、及び定期的に最新のもの);“PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis等編, 1994);“A Practical Guide to Molecular Cloning” (Perbal Bernard V., 1988)のような文献に十分に記載されている。
定義
本明細書において使用するように、アミノ酸名称の言及は、一又は複数の以下の様式で当分野で認められている表示であり、これらは本明細書中で相互に交換可能に用いられる:(i) 省略しない名称(例えばトリプトファン、セリン、グリシンなど)、(ii) 3文字略記号(例えばTrp、Ser、Glyなど)、及び(iii) 1文字表記(例えばW、S、Gなど)。
ペプチド又はポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる同類置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、特定のペプチド又はポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、米国特許第6828146号に記載のように、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用することによって得られる。
本明細書中で用いる「ペプチド」及び「ポリペプチド」なる用語は交換可能に用いられるが、一般的に「ペプチド」なる用語は200未満の連続したアミノ酸を含んでなるポリペプチドを指す場合は除く。一般的に、「ペプチド」なる用語は、ペプチジル結合によって結合した、連続した、相対的に短い配列のアミノ酸を指す。典型的に、必ずではないが、ペプチドはおよそ2から50のアミノ酸、4から40のアミノ酸又は10から30のアミノ酸の長さを有する。
ここで使用される「ベクター」という用語は、それが連結しているその他の核酸を輸送することのできる核酸分子を指す。一つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、付加的なDNAセグメントをライゲーションすることができる環状二重鎖DNAループを指す。他のタイプのベクターはファージベクターである。その他の型のベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノムへライゲーションすることができる。所定のベクターは、それらが導入される宿主内において自己複製することができる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター、及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入によって宿主細胞のゲノムに組み込まれ、宿主ゲノムと共に複製される。更に、所定のベクターは、それらが作用可能に連結している遺伝子の発現を方向づけ得る。このようなベクターは、ここでは、「組換え発現ベクター」(あるいは単に「組換えベクター」)と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術で利用する発現ベクターは、しばしばプラスミドの形をとる。本明細書では、プラスミドが最も広く使用されているベクターの形態であるので、「プラスミド」及び「ベクター」は相互交換可能に使用することができる。
ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体(アナログ)、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、もしくは合成反応によりポリマー中に取り込み可能な任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前又は後になされ得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは合成後に、例えば標識との結合により、さらに修飾されてもよい。他のタイプの修飾には、例えば「キャップ(caps)」、類似体との自然に生じたヌクレオチドの一又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)及び荷電連結(ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リジン等)を含むもの、インターカレータ(intercalators)を有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート剤(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結を含むもの(例えばアルファアノマー核酸等)、並びにポリヌクレオチド(類)の未修飾形態が含まれる。更に、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されてもよく、又は付加的なヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体又は半固体担体に結合していてもよい。5'及び3'末端のOHはホスホリル化可能であり、又は1〜20の炭素原子を有する有機キャップ基部分又はアミンで置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されてもよい。またポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをさらに含み得、これらには例えば2'-O-メチル-、2'-O-アリル、2'-フルオロ又は2'-アジド-リボース、炭素環式糖の類似体、アルファ-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO又はCH(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのR及びR'は独立して、H又は、エーテル(-O-)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNA及びDNAを含むここで引用される全てのポリヌクレオチドに適用される。
ここで使用される「オリゴヌクレオチド」とは、短く、一般的に単鎖であり、また必ずしもそうではないが、一般的に約200未満のヌクレオチド長さの、一般的に合成のポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
ここで用いられる「肝細胞増殖因子」又は「HGF」という用語は、別段の記載をしない限り、HGF/c-metシグナル伝達経路を、そのようなプロセスが生じることを可能にする条件下で活性化させることができる任意の天然又は変異体(天然であろうと合成であろうと)HGFポリペプチドを意味する。「野生型HGF」という用語は一般に天然に生じるHGFタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。「野生型HGF配列」という用語は一般に天然に生じるHGFに見出されるアミノ酸配列を意味する。
本明細書で用いる「実質的に害しない」、「実質的に減弱しない」、「実質的に同様な」又は「実質的に同等である」なる句及びその変形語は、2つの数値間の類似性が十分に高く、当分野の技術者が2つの値間の相違をこれらの値により測定される生物学的特性の範囲内でほとんど又は全く生物学的な有意差がないとみなす程度のものであることを示す。前記の2つの値の相違は、好ましくはおよそ50%未満、好ましくはおよそ40%未満、好ましくはおよそ30%未満、好ましくはおよそ20%未満、好ましくはおよそ10%未満である。「2つの数値」の例には、野生型タンパク質と関係している値と、前記タンパク質の変異型と関係している値とが含まれる。
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、最も広い意味で互換性をもって使用され、モノクローナル抗体(全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限りにおいての二重特異性抗体)を含み、またある種の抗体断片(ここに更に詳細に記載)を含みうる。抗体はヒト、ヒト化及び/又は親和性成熟でありうる。
「抗体断片」は、無傷の抗体に存在するときその部分に通常は不随する機能の少なくとも一つ、好ましくは殆ど又は全てを好ましくは保持している無傷の抗体の一部のみを含む。一実施態様では、抗体断片は無傷の抗体の抗原結合部位を含み、よって抗原に結合する能力を保持している。他の実施態様では、抗体断片、例えばFc領域を含むものは、無傷の抗体に存在するときFc領域に通常は不随する生物学的機能の少なくとも一つ、例えばFcRn結合、抗体半減期調節、ADCC機能及び補体結合を保持する。一実施態様では、抗体断片は、無傷の抗体に実質的に同様なインビボ半減期を有している一価抗体である。例えば、そのような抗体断片は断片にインビボ安定性を付与することができるFc配列に結合した抗原結合アームを含みうる。
ここで用いられる「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、即ち、集団を構成する個々の抗体が少量で存在しうる自然に起こりうる突然変異以外は同一であるものを意味する。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原に向けられている。更に、典型的に異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対するものである。
ここで、モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、鎖の残りの部分は他の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限りにおいてそれらの抗体の断片を特に含む(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 (1984))。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であって、そのレシピエントの高頻度可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性及び容量を持つマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域に由来する残基で置換されている。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(FR)領域残基が対応する非ヒト残基で置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、ドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体の性能を更に精密にするために施される。一般に、ヒト化抗体は、高頻度可変ループの全て又は実質上全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全て又は実質上全てがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むであろう。更なる詳細については、Jones等, Nature 321: 522-525 (1986);Riechmann等, Nature 332: 323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)を参照のこと。また次の概説論文とそこに引用されている文献を参照のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のものに相当する、及び/又はここに開示されたヒト抗体を製造する何れかの技術を使用して製造されたアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除く。
「親和性成熟」抗体とは、変化を有しない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめるその一又は複数のCDRsに一又は複数の変化を有する抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルでさえの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該分野において知られている方法によって生産される。Marks等 Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91: 3809-3813(1994);Schier等, Gene 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol. 155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol. 154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol. 226:889-896(1992)に記載されている。
「阻止(ブロック)」抗体又は「アンタゴニスト」抗体はそれが結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減させるものである。好適な阻止(ブロック)抗体又はアンタゴニスト抗体は抗原の生物学的活性を実質的に又は完全に阻害する。
ここで使用される「アゴニスト抗体」は、対象のポリペプチドの機能的活性の少なくとも一を模倣する抗体である。
「疾患」又は「病態」は本発明の物質/分子又は方法で治療することで恩恵を得るあらゆる症状のことである。これには、問題の疾患に哺乳動物を罹患させる素因になる病理状態を含む、慢性及び急性の疾患又は病気が含まれる。ここで治療される疾患の非限定的な例は、悪性及び良性の腫瘍ないしは癌;非白血病及びリンパ悪性腫瘍;ニューロン、神経膠、星状細胞、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮、ストロマ及び胞胚腔の疾患;及び炎症性疾患、免疫性疾患、神経変性疾患、血管新生関連疾患及びミトコンドリアないしは代謝不全に関する疾患が含まれる。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖を伴う疾患を意味する。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」、「癌性」、「癌増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」という用語はここで意味するように互いに排除するものではない。
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長/増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより具体的な例には、多発性骨髄腫、扁平細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平癌腫、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(例えば腎細胞癌)、肝臓癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝癌及び頭頸部癌の様々なタイプが含まれる。
ここで使用される「治療」とは、治療されている個体又は細胞の自然の過程を変えることを試みる臨床的介入を意味し、予防か又は臨床的病理の過程の何れかで実施され得る。治療の所望の効果には、疾患の発生又は再発の防止、症状の軽減、疾患のあらゆる直接的又は間接的病理的結果の消失、転移の予防、疾患進行速度の減少、疾患状態の寛解(amelioration)又は緩和、及び寛解(remission)又は改善された予後が含まれる。ある実施態様では、本発明の抗体は疾患又は障害の発生を遅延させるために使用される。
「有効量」は、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要な用量及び時間での有効な量を意味する。
本発明の物質/分子の「治療的有効量」という用語は、疾患状態、年齢、性別、及び個体の体重、及び個体において所望の応答を生じさせるための物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの能力のような因子に応じて変化しうる。治療的有効量はまた物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストのあらゆる毒性又は有害な作用に治療的に恩恵のある効果が優るものである。「予防的に有効な量」は所望の予防結果を達成するのに必要な用量及び時間での有効量を意味する。典型的には、必ずしも必要ではないが、予防的用量は疾患の前又は疾患の初期段階で被検体に使用されるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。
ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射性同位元素)、化学治療薬、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞毒性剤を以下に記載する。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標登録))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドゥオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAgnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド(maytansinoid)類、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANETMパクリタキセルのクレモフォー無添加アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナアナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン(capecitabine);及び上述したものの薬学的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
また上記の「化学療法剤」の定義に含まれるものには、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTONトレミフェン;副腎のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に付着細胞の増殖に結びつくシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC-α、Ralf、及びH-Ras;リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチン等のワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;及び上記のものの製薬的に許容される塩類、酸類又は誘導体を含む。
ここで用いられる際の「増殖阻害剤」は、増殖がインビトロ又はインビボの何れかでHGF/c-met活性化に依存する細胞の増殖を阻害する化合物又は組成物を意味する。よって、増殖阻害剤は、S期にHGF/c-met依存性細胞の割合を有意に減少させるものでありうる。増殖阻害剤の例には、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤が含まれる。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。G1を停止させる薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びアラ-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael編, Chapter 1, 表題"Cell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs" Murakami等, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は、共にイチイに由来する抗癌剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標), Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標), Bristol-Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合を促進し、細胞の有糸分裂を阻害する結果となる脱重合を防ぐことによって微小管を安定化する。
「ドキソルビシン」はアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの完全な化学名は(8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオンである。
HGF/Metアンタゴニスト−ペプチド/ポリペプチド(抗体を含む)
本発明の一態様は、HGFβ鎖-β鎖相互作用及びHGF-Met相互作用の単離されたペプチド/ポリペプチド及び抗体モジュレーターに関係する。一実施態様では、モジュレーター(例えばペプチド/ポリペプチド及び抗体)は、標準的なタンパク質精製技術を用いた適切な精製スキームによって細胞又は組織源から単離できる。他の実施態様では、モジュレーターは組換えDNA技術により産生される。組換え発現に代えて、モジュレーターは、標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成されてもよい。
本発明のHGF/Metアンタゴニスト分子は図1に記載のものを含む。また、本発明は、調節活性を有するペプチド/ポリペプチドをコードしたままで、これらのペプチド/ポリペプチドの対応する残基から何れかの残基が変化している突然変異体又は変異体タンパク質を提供する。一実施態様では、ペプチド/ポリペプチドアンタゴニストの変異体は、参照ペプチド/ポリペプチドアンタゴニストの配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%のアミノ酸配列同一性を有する。通常、変異体は、所望の程度のアンタゴニスト活性を有しながら、当分野で認められる結合アッセイ定量化単位/測定基準に基づいて、参照の結合体ペプチド/ポリペプチドアンタゴニストと実質的に同じかそれよりも大きな結合親和性、例えば参照の結合体ペプチド/ポリペプチド/リガンドの少なくとも0.75×、0.8×、0.9×、1.0×、1.25×又は1.5×の結合親和性を示す。
通常、本発明の変異体には、配列の特定位置の残基が他のアミノ酸により置換されている変異体が含まれ、そして更に、親のタンパク質/ペプチドの2つの残基の間に付加的な一又は複数の残基を挿入する可能性、並びに親配列から一又は複数の残基を欠失する可能性、又は一又は複数の残基を親配列に付加する可能性を有する。本発明には任意のアミノ酸置換、挿入又は欠失が包含される。好ましくは、置換は本明細書に記載の保存的な置換である。
「単離された」又は「精製された」ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は生物学上活性な断片は、その自然環境の成分から単離及び/又は回収される。混入成分には、一般的にポリペプチドの診断的使用又は治療的使用を妨げる物質が含まれ、酵素、ホルモン類及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の物質が含まれうる。乾燥重量にして好ましくは30%未満、好ましくは20%未満、10%及び好ましくは5%未満の望ましくない混入物質(汚染物質)を有する調製物は、実質的に単離されているとみなす。単離され、組換え産生されたペプチド/ポリペプチド又はその生物学的に活性な部分は、実質的に培養液を含まないのが好ましい。すなわち、培養液がペプチド/ポリペプチド調製物の好ましくは20%未満、好ましくはおよそ10%未満及び好ましくはおよそ5%未満の容量を表すものである。混入物の例には、細胞片、培養液、及びペプチド/ポリペプチドのインビトロ合成の間に用いられ産生される物質などがある。
ペプチド/ポリペプチドの保存的置換を「好ましい置換」と題して表Aに示す。これらの置換が生物学的活性に変化をもたらす場合、表Aに「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化が導入され、生成物がスクリーニングされうる。
表A
Figure 0005222720
ペプチド/ポリペプチドの生物学的特性における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又はへリックス構造、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性、もしくは(c)側鎖の嵩を、維持する効果について有意に異なる置換基を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループ分けできる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類のものに交換することが必要であろう。
また、抗体修飾因子の変異体は、抗体の活性に実質的に影響することなく当分野で公知の情報に基づいて作製することができる。例えば、抗体変異体は、抗体分子中に異なる残基によって置換された少なくとも一のアミノ酸残基を有しうる。抗体について、置換の突然変異誘発のために最も関心のある部位は一般的に高頻度可変領域を含むが、フレームワーク領域(FR)変異も考慮される。
抗体について、ある種の置換変異体は、親抗体(例えばヒト化又はヒト抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般に、更なる開発のために選択されて得られた変異体は、それらが生成された親抗体と比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を生成する簡便な方法はファージディスプレイを用いた親和性成熟化である。簡単に述べれば、いくつかの高頻度可変領域部位(例えば6−7部位)を突然変異させて各部位において全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このようにして生成された抗体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内にパッケージ化されたM13の遺伝子III産物との融合体として表出される。ついで、ファージディスプレイ変異体を、ここに開示されるそれらの生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングする。修飾の候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。あるいは、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体と抗原との接触点を同定するのが有利である。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体がひとたび生成されたら、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択する。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、この分野で知られた種々の方法によって調製される。これらの方法は、これらに限られないが、天然源からの単離(自然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及び抗体の初期調製された変異体又は非変異体型のカセット突然変異誘発による調製を含む。
本発明の免疫グロブリンポリペプチドのFc領域に一又は複数のアミノ酸修飾を導入し、よってFc領域変異体を産生するのが望ましい場合がある。Fc領域変異体は、ヒンジのシステインを含む、一又は複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば置換)を有するヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4Fc領域)を含みうる。
一実施態様では、Fc領域変異体は、改変された新生児Fcレセプター(FcRn)結合親和性を示しうる。そのような変異体Fc領域は、Fc領域のアミノ酸位置238、252、253、254、255、256、265、272、286、288、303、305、307、309、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、386、388、400、413、415、424、433、434、435、436、439又は447の任意の一又は複数においてのアミノ酸修飾を含み得、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。FcRnへの結合性が低減させられたFc領域変異体は、Fc領域のアミノ酸位置252、253、254、255、288、309、386、388、400、415、433、435、436、439又は447の任意の一又は複数においてのアミノ酸修飾を含み得、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。上述のFc領域変異体は、あるいは、FcRnに対して増加した結合性を示し、Fc領域のアミノ酸位置238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の任意の一又は複数においてのアミノ酸修飾を含み得、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。
FcγRへの結合性が低減させられたFc領域変異体は、Fc領域のアミノ酸位置238、239、248、249、252、254、265、268、269、270、272、278、289、292、293、294、295、296、298、301、303、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、437、438又は439の任意の一又は複数においてのアミノ酸修飾を含み得、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。
例えば、Fc領域変異体はFcγRIへの減少した結合性を示し得、Fc領域のアミノ酸位置238、265、269、270、327又は329の任意の一又は複数においてアミノ酸修飾を含み、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。
Fc領域変異体はFcγRIIへの減少した結合性を示し得、Fc領域のアミノ酸位置238、265、269、270、292、294、295、298、303、324、327、329、333、335、338、373、376、414、416、419、435、438又は439の一又は複数においてアミノ酸修飾を含み得、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。
対象とするFc領域変異体はFcγRIIIへの減少した結合性を示し得、Fc領域のアミノ酸位置238、239、248、249、252、254、265、268、269、270、272、278、289、293、294、295、296、301、303、322、327、329、338、340、373、376、382、388、389、416、434、435又は437の一又は複数においてのアミノ酸修飾を含み得、ここでFc領域の残基の番号付けはKabatにおけるEUインデックスのものである。
改変された(すなわち改善されたか減少させられた)C1q結合性及び/又は補体依存性細胞障害性(CDC)を持つFc領域変異体は国際公開第99/51642号に記載されている。そのような変異体はFc領域のアミノ酸位置270、322、326、327、329、331、333又は334の一又は複数においてアミノ酸置換を含みうる。また、Fc領域変異体については、Duncan及びWinter Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及び国際公開第94/29351号を参照のこと。
ベクター構築
ここに記載されたペプチド/ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は標準的な組換え技術を用いて得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列は適切な供給源細胞から単離し配列決定することができる。抗体に対する供給源細胞はハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞を含む。あるいは、ポリヌクレオチドはヌクレオチド合成機又はPCR技術を用いて合成することができる。一度入手したら、免疫グロブリンをコードする配列を、宿主細胞中で異種ポリヌクレオチドを複製して発現することができる組換えベクター中に挿入する。当該分野で公知の入手可能な多数のベクターが本発明の目的のために使用できる。適当なベクターの選択は主としてベクターに挿入される核酸の大きさ及びベクターにより形質転換する特定の宿主細胞に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、又は双方)とそれが存在する特定の宿主細胞とのその適合性に応じて様々な成分を含む。一般に、ベクター成分には、限定されるものではないが、複製開始点(特にベクターが原核細胞に挿入される場合)、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入片及び転写終結配列が含まれる。
一般に、レプリコン及び宿主細胞に適する種由来のコントロール配列を含むプラスミドベクターをこれらの宿主と共に用いる。通常、ベクターは複製部位、並びに形質転換細胞における表現型選択を提供し得るマーカー配列を有する。例えば、大腸菌は典型的には大腸菌種由来のプラスミドのpBR322を用いて形質転換する。pBR322はアンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含むため、形質転換細胞を同定するための容易な手段を提供する。pBR322、その誘導体、又は他の微生物のプラスミドないしはバクテリオファージはまた内因性タンパク質の発現のために微生物によって使用され得るプロモーターを含んでもよいしまたは含むよう改変してもよい。
また、レプリコンと宿主微生物に適するコントロール配列とを含むファージベクターを形質転換ベクターとしてこれらの宿主と共に用いてもよい。例えば、λGEM.TM.-11などのバクテリオファージを組換えベクターの作製に利用してもよく、これを用いて大腸菌LE392などの感受性宿主細胞を形質転換することができる。
当業者が確認できる特定の状況の必要性に従って、恒常的プロモーター又は誘導プロモーターの何れかを本発明で使用することができる。種々の可能性ある宿主細胞によって認識される多数のプロモーターがよく知られている。制限酵素消化によって供給源DNA由来のプロモーターを除去し、単離したプロモーター配列を選択したベクターに挿入することで、選択したプロモーターをここに記載のポリペプチドをコードするシストロンDNAに機能しうる形で連結させることができる。天然のプロモーター配列と多数の異種プロモーターの双方を用いて標的遺伝子の増幅及び/又は発現を導くことができる。しかしながら、異種プロモーターが好ましく、これはそれらが一般に天然の標的ポリペプチドプロモーターと比べ、より多くの転写と高い収量の発現標的遺伝子を可能にするからである。
原核生物宿主との使用に適したプロモーターには、PhoAプロモーター、βガラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系及びハイブリッドプロモーター、例えばtac又はtrcプロモーターが含まれる。しかしながら、細菌において機能的な他のプロモーター(例えば、他の既知のバクテリア又はファージプロモーター)も同様に適している。そのヌクレオチド配列は公開されているので、当業者は、リンカー又はアダプターを用いてそれらを標的の軽鎖及び重鎖をコードするシストロンと連結させて任意の必要な制限酵素部位を供給することができる(例えば、Siebenlist等, (1980) Cell 20:269)。
ある実施態様では、組換えベクター内の各シストロンは、発現されたポリペプチドの膜を越えての移行を指示する分泌シグナル配列要素を含む。一般に、シグナル配列はベクターの成分であってよく、又はベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であってもよい。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は宿主細胞によって認識され、プロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。異種ポリペプチドの本来のシグナル配列を認識せずプロセシングしない原核生物の宿主細胞に対しては、シグナル配列を例えば、アルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、又は熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物のシグナル配列で置換する。
ポリペプチドを発現させるのに好適な原核生物の宿主細胞としては、グラム陰性又はグラム陽性生物などの古細菌及び真正細菌が挙げられる。有用な細菌の例としてはエシェリキア属(例えば、大腸菌)、桿菌(例えば、枯草菌)、腸内細菌、シュードモナス種(例えば、緑膿菌)、ネズミチフス菌、セラチア・マルセスカンス、クレブシエラ属、プロテウス属、赤痢菌属、根粒菌、ビトレオスシラ(Vitreoscilla)、又はパラコッカス(Paracoccus)が挙げられる。好ましくは、グラム陰性細胞が使用される。好ましくは、宿主細胞は最少量のタンパク分解性酵素を分泌すべきであり、更なるプロテアーゼ阻害剤は細胞培養物中に望ましくは導入してもよい。
ペプチド/ポリペプチド産生
宿主細胞に上述した発現ベクターを形質転換又は形質移入して、誘導プロモーターに適するように改変した一般的な栄養培地で培養し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅する。
形質移入は、コード配列が実際に発現されようとされまいと、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。数多くの形質移入法が当業者に知られており、例えばCaPO沈殿法及びエレクトロポレーションである。成功裏の形質移入は、一般に、このベクターの作用の任意の指標が宿主細胞内で生じる場合に認識される。
形質転換とはDNAが染色体外要素としてか又は染色体成分によってのいずれかで複製されうるようにDNAを原核生物の宿主に導入することを意味する。形質転換は、用いる宿主細胞に応じて、かかる細胞に適当な標準的な技術を用いて行う。一般に、かなりの細胞壁障壁を含む細菌細胞には塩化カルシウムを用いるカルシウム処理を用いる。他の形質転換法はポリエチレングリコール/DMSOを用いる。用いられる更に別の技術はエレクトロポレーションである。
本発明のペプチド/ポリペプチドを生産するために用いられる原核細胞は、当該分野で既知であり選択した宿主細胞の培養に好適な培地中で増殖させる。好適な培地の例としては必要な栄養素を添加したルリア・ブロス(LB)が挙げられる。好ましい実施態様では、発現ベクターを含有する原核細胞の増殖を選択的に可能にするために、培地はまた発現ベクターの構成を基に選択した選択剤も含んでもよい。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖のためには、アンピシリンを培地に加える。
炭素、窒素、及び無機リン酸供給源の他に、任意の必要なサプリメントも適当な濃度で単独で又は他のサプリメントもしくは窒素錯体供給源などの培地との混合物として取り入れて含めてもよい。場合によっては、培養培地はグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリスリトール及びジチオスレイトールからなる群から選択される一又は複数の還元剤を含んでもよい。
原核宿主細胞を好適な温度で培養する。大腸菌増殖には、例えば、好ましい温度は約20℃から約39℃、より好ましくは約25℃から約37℃にわたり、更により好ましくは約30℃である。培地のpHは、主として宿主生物に依存して、約5から約9の範囲の任意のpHであってもよい。大腸菌には、pHは好ましくは約6.8から約7.4であり、より好ましくは約7.0である。
発現ベクターに誘導プロモーターを用いる場合には、タンパク質発現はプロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。例えば、転写の制御にPhoAプロモーターを用いる場合、形質転換された宿主細胞は誘導のためにリン酸制限培地で培養されうる。用いられるベクターコンストラクトによっては、当該分野で周知のように、種々の他の誘導物質を用いてもよい。
ここに記載したペプチド/ポリペプチドは宿主細胞の周辺質に分泌されそこから回収される。タンパク質回収は典型的には、一般に浸透圧ショック、超音波処理又は溶解といった手段による微生物の破壊を伴う。細胞を破壊したら、細胞細片又は全細胞を遠心分離又は濾過によって取り除くことができる。タンパク質は、例えば、親和性樹脂クロマトグラフィーによって更に精製してもよい。あるいは、タンパク質が培養培地に移行され、そこから単離される場合もある。細胞を培養物から取り除き、培養物上清を濾過し、産生されたタンパク質の更なる精製のために濃縮することができる。発現されたポリペプチドは更に単離され、一般的に既知の方法、例えば免疫親和性又はイオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEでのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;セファデックスG-75を使用するゲル濾過;マトリックスに固定した適切な抗原を使用するリガンドアフィニティ、疎水性アフィニティー樹脂及びウェスタンブロットアッセイを使用して更に単離、同定することができる。
原核宿主細胞の他に、真核宿主細胞系もまた当該分野で十分に確立されている。好適な宿主には哺乳動物細胞株、例えばCHO、及び昆虫細胞、例えば以下に記載のものが含まれる。
ペプチド/ポリペプチド精製
産生されたペプチド/ポリペプチドを精製して、更なるアッセイ及び使用のために実質的に均質な調製物を得ることができる。当該分野で周知の標準的なタンパク質精製法を用いることができる。以下の手順は好適な精製手順の例である:免疫親和性又はイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ又はDEAEなどのカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過。
発明の方法
本発明は、HGFβ鎖の特定の領域内の突然変異により分子の生物学的活性の修飾が生じ、このような突然変異体分子がHGF/Met経路の調節にアンタゴニスト的な作用を示すという発見に基づいた種々の方法を提供する。
(ペプチド/ポリペプチド等を含む)様々な物質又は分子を、本発明の方法に従って治療剤として用いることができる。これらの物質又は分子を薬学的に有用な組成物を調製するために既知の方法に従って製剤することができ、その生成物は薬学的に許容可能な担体ビヒクルと混合されて組み合わされる。所望の純度を有する活性成分を、任意成分の生理学的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、保存用の治療製剤が調製される(Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版、Osol, A.編(1980))。許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及びその他有機酸などのバッファー;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含むその他炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトール又はソルビトール;塩類形成対イオン、例えばナトリウム;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTM、又はPEGを含む。
インビボ投与に使用される製剤は滅菌されていなければならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後に滅菌濾過膜を通した濾過によって即座に達成される。
本明細書中の治療用組成物は一般に滅菌アクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針による貫通可能なストッパーを持つ静脈内溶液バッグ又はバイアル中に配される。
投与経路は既知の方法、例えば静脈内注射又は注入、腹腔内、大脳内、筋肉内、眼球内、動脈内又は病巣内経路、局所投与、又は徐放系による。
本発明の薬学的組成物の用量及び所望の薬剤濃度は、想定する特定の使用によって変化しうる。適当な用量の測定又は投与の経路は、一般的な医師の技量の範囲内である。動物実験は、ヒト治療のための有効な用量の決定のための信頼性のある手引きとなる。有効な用量の異種間スケーリングは、Mordenti, J. 及び Chappell, W. "The use of interspecies scaling in toxicokinetics", Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi等編, Pergamon Press, New York 1989, pp.42-46に記載の原理に従って実施することができる。
本発明の物質又は分子のインビボ投与が用いられるとき、正常な用量は投与経路によって、1日当たり約10ng/kg哺乳動物体重から約100mg/kg哺乳動物体重又はそれより多く、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日と変わりうる。特定の用量及び運搬の方法に関する手引きは、文献に示される;例えば、米国特許第4657760号;第5206344号;又は第5225212号を参照。異なる製剤が異なる処置及び異なる疾患のために効果的であり、特定の器官又は組織を治療することを目的とする投与は他の器官又は組織への投与と異なる方法で送達する必要があることは予想される。
物質又は分子の投与を必要とする疾患又は障害の治療に好適な放出特性を有する製剤で物質又は分子の徐放投与が望ましい場合、物質又は分子のマイクロカプセル化が考えられる。除放のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN-)、インターロイキン-2、及びMNrgp120を用いて成功裏に行われている。Johnson等, Nat. Med., 2: 795-799 (1996);Yasuda, Biomed. Ther., 27: 1221-1223 (1993);Hora等, Bio/Technology, 8: 755-758 (1990);Cleland, "Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems", Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell及びNewman編 (Plenum Press: New York, 1995), pp. 439-462;国際公開第97/03692号;国際公開第96/40072号;国際公開第96/07399号;及び米国特許第5654010号。
これらのタンパク質の徐放製剤は、その生体適合性及び広範囲の生分解特性に基づきポリ-乳酸-コグリコール酸(PLGA)ポリマーを用いて開発された。PLGAの分解生成物である乳酸及びグリコール酸は、ヒト身体内で即座に排除されうる。更に、このポリマーの分解性は、その分子量及び組成に依存して数ヶ月から数年まで調節できる。Lewis, "Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer": M. Chasin及び R. Langer (編), Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems (Marcel Dekker: New York, 1990), pp1-41。
HGF/Metシグナル伝達経路においてHGF機能に重要であるHGFβ鎖内の領域の同定により、アンタゴニストが標的としうるHGFβ鎖内の部位が示される。潜在的なアンタゴニストの例には、HGFβ鎖のN末端及び/又は二量体化領域に結合するオリゴヌクレオチド(それはアプタマーであってもよい)及び、特に、ポリ-及びモノクローナル抗体及び抗体断片、一本鎖抗体、抗イディオタイプ抗体、及びこのような抗体ないし断片のキメラ型ないしはヒト化型、並びにヒト抗体及び抗体断片を含むがこれに限定されない抗体が含まれる。アプタマーは、標的分子に結合できる核酸分子である。アプタマーの生成及び治療的使用は当分野で十分に確立されている。例として、米国特許第5475096号、及び加齢性黄斑変性症の治療のためのMacugen(登録商標)(Eyetech, New York)の治療的有効性を参照のこと。
本明細書に記載のように、本発明のHGF/Metアンタゴニスト物質/分子はペプチド又はポリペプチド(抗体を含む)であってもよい。このようなペプチド及びポリペプチドを得る方法は当分野に周知であり、適切な標的抗原に対する結合体についてのペプチド及びポリペプチドライブラリーのスクリーニングを含む。一実施態様では、適切な標的抗原はHGFβ鎖(又は、N末端及び/又は二量体化領域を含んでなるその部分)を含んでなり、これは本明細書において、詳述される。一実施態様では、適切な標的抗原は、Met、例えばMetの細胞外ドメインを含んでなる。ペプチド及びポリペプチドのライブラリーは当分野で公知であり、当分野の方法に従って調製することもできる。例として、Clark等、米国特許第6121416号、及び、Garrard等、同第5750373号、同第5733743号、同第5837242号、同第5969108号、同第6172197号、同第5580717号及び同第5658727号を参照のこと。例えば上掲のClark等、及びGarrard等に記述されているように、ファージコートタンパク質などの異種性タンパク質成分に融合したポリペプチド及びペプチドのライブラリーは当分野で周知である。第一の選択されたペプチド又はポリペプチド結合体の変異体は、対象とする特性(例えば、亢進した標的結合親和性、改善された薬物動態、低減された毒性、改善された治療指標など)を得るためにペプチド又はポリペプチドの変異体をスクリーニングすることによって、生成できる。例えば、対象とする特性は、Metに結合できるが、HGF関連の生物活性、例えば細胞増殖、Metリン酸化、細胞遊走及び血管新生を活性化する能力が減弱している。突然変異誘発技術は当分野で公知であり、突然変異のための領域はHGFβ鎖内、特に本明細書に記載のHGFβ鎖N末端挿入及び/又はβ鎖-β鎖二量体化と関係している特定の位置内である。さらに、スキャニング突然変異誘発技術(例えばアラニンスキャニングに基づくもの)は、特にペプチド又はポリペプチド内の個々のアミノ酸残基の構造的及び/又は機能的な重要性を評価するために役立ちうる。
HGF/c-metシグナル伝達及び/又は前記シグナル伝達と関係している生物活性を調節する本発明の候補物質/分子の能力の決定は、インビトロ又はインビボのアッセイにおいて、物質/分子の調節能を試験することにより行うことができる。これらのアッセイは、例えば、上掲のOkigaki等、上掲のMatsumoto等、Date等, FEBS Let. (1997), 420:1-6、上掲のLokker等、上掲のHartmann等、Kirchhofer等, J Biol. Chem. (2004), 279:39915-24、Stamos等 (2004) EMBO J. 23: 2325-35、Kirchhofer等, FEBS Lett. (2005) 579: 1945-50、及びNakatsu等 (Microvasc.Res. 66: 102, 2003)に記載のように、当分野で十分に確立されている。
HGFβ鎖抗体
本発明は、さらに、抗体の使用を含んでなる方法を提供する。例示的な抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、及びヘテロコンジュゲート抗体が含まれる。
1.ポリクローナル抗体
抗体はポリクローナル抗体を含みうる。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫剤と、所望されればアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免疫剤は、HGFβ鎖(又はその一部)又はその融合タンパク質を含みうる。免疫剤を免疫化される哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質にコンジュゲートさせるのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコレート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫剤により免疫化することで、免疫剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは生成可能なリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫化することもできる。
免疫剤は、典型的にはHGFβ鎖(又はその一部)又はその融合タンパク質を含む。一般にヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。ついで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫株化細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は増殖を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性であるものである。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫株であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Centerやバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も開示されている[Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984)、Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
ついでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、HGFβ鎖に対するモノクローナル抗体の存在について検定することができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)によるスキャッチャード解析法によって測定することができる。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法で増殖させることができる[上掲のGoding]。この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640倍地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物においてインビボで腹水として増殖させることもできる。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の一般的な免疫グロブリン精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製されうる。
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4816567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたら、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質をさもなければ生成しない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[上掲の米国特許第4816567号;Morrison等]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインに置換でき、あるいは本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインに置換でき、キメラ性二価抗体を生成する。
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られている。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意の点で切断される。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製には、またインビトロ法が適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の生成は、当該分野において知られている慣用的技術を使用して達成することができる。
抗体はHGFβ鎖(又は均等物)に適切な/所望の親和性をもって結合する抗体又は抗体断片についてファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることによってまた産生させることができる。そのような技術は、例えば米国特許第5750373号;第5780279号;第5821047号;第6040136号;第5427908号;第5580717号及びその中の文献に開示されているように、当該分野でよく知られている。
3.ヒト及びヒト化抗体
本発明のHGFβ鎖抗体は、更にヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖或いはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは殆ど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは殆ど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒト由来の一つ又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的にウィンター(Winter)及び共同研究者[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることにより実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリー[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381(1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。また、Cole等及びBoerner等の方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる[Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p.77 (1985)及びBoerner等, J. Immunol., 147(1):86-95 (1991)]。同様に、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子は部分的又は完全に不活性化されたマウスに導入することにより産生することができる。投与の際に、遺伝子再配列、組立、及び抗体レパートリーを含むあらゆる観点においてヒトに見られるものに非常に類似しているヒト抗体の生産が観察される。このアプローチは、例えば米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10, 779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368 856-859 (1994);Morrison, Nature 368, 812-13 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996);Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)に記載されている。
また、抗体は、上に記載のような既知の選択及び/又は突然変異誘発法を利用して親和的に成熟している。好ましい親和性成熟抗体は、5倍、より好ましくは10倍、更により好ましくは20又は30倍も成熟抗体の調製の元である出発抗体(一般的には、マウス、ヒト化又はヒト)より高い親和性を有する。
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合、結合特異性の一方はHGFβ鎖に対するものであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してであり得る。
二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生産は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305:537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内の一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日公開の国際公開第93/08829号、及びTraunecker等, EMBO J.,10:3655-3656 (1991)に開示されている。
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合できる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合には軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を作成するための更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
国際公開第96/27011号に記載された他の方法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第一抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第二の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロ二量体の収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab')二重特異性抗体)として調製できる。抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
大腸菌からFab'断片を直接回収でき、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等, J. Exp. Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')分子の製造を記述している。各Fab'断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役を受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞及び正常なヒトT細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。
また、組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法が既知である。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産されている。Kostelny等, J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させた。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の二つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーにより軽鎖可変ドメイン(V)に重鎖可変ドメイン(V)を結合してなる。従って、一つの断片のV及びVドメインは他の断片の相補的V及びVドメインと強制的に対形成させられ、二つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等, J.Immunol. 147:60 (1991)。
例示的な二重特異性抗体は、HGFβ鎖上の二つの異なるエピトープ又はHGFβ鎖上のエピトープ及び他のポリペプチド上のエピトープ(例えばc-met又はHGFα鎖)に結合しうる。
5.ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗体は、二つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4676980号]及びHIV感染の治療のために[国際公開第91/00360号;国際公開第92/200373号;欧州特許第03089号]提案されている。これら抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4676980号に開示されたものが含まれる。
6.エフェクター機能の加工
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば癌の治療における抗体の効能を向上させることが望ましい。例えば、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成するようにしてもよい。そのようにして生成されたホモ二量体抗体は、向上した内部移行能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体-依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有する可能性がある。Caron等, J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及びShopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)参照。また、向上した抗腫瘍活性を持つホモ二量体抗体は、Wolff等 Cancer Research, 53: 2560-2565 (1993)に記載されているヘテロ二官能性架橋剤を用いて調製することができる。あるいは、抗体は、二つのFc領域を有するように加工し、それにより補体溶解及びADCC能力を向上させることもできる。Stevenson等, Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)参照。
7.免疫コンジュゲート
また、本発明は、化学治療薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞毒性薬とコンジュゲートしている抗体、あるいは放射性同位体(つまり、放射性コンジュゲート)を含む免疫複合体(免疫コンジュゲート)に関する。
このような免疫複合体の生成に有用な化学治療薬は上に記載した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria oficinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。放射性コンジュゲート抗体の生成には、様々な放射性核種が利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reが含まれる。抗体及び細胞毒性薬の複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098 (1987)に記載されているように調製することができる。カーボン-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への結合のためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照のこと。
他の実施形態では、腫瘍の予備標的化に使用するために、抗体は「レセプター」(ストレプトアビジン等)にコンジュゲートされてもよく、抗体-レセプターコンジュゲートが患者に投与され、ついで清澄化剤を用いて未結合コンジュゲートを循環から除去し、次に細胞毒性薬(例えば、放射性ヌクレオチド等)にコンジュゲートされた「リガンド」(アビジン等)を投与する。
8.免疫リポソーム
また、ここに開示する抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688 (1985);Hwang等, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77:4030 (1980);及び米国特許第4485045号及び第4544545号に記載されたような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5013556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法によって生成されうる。リポソームは、所定の孔径のフィルターを通して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab'断片は、Martin等, J. Biol. Chem. 257:286-288 (1982)に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームにコンジュゲートされ得る。化学治療薬(ドキソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に包含される。Gabizon等, J. National Cancer Inst., 81(19): 1484 (1989)参照。
9.抗体の薬学的組成物
抗体は、様々な疾患の治療のために薬学的組成物の形態で投与することができる。
全抗体が阻害剤として使用される場合、内部移行抗体が好ましい。しかし、また、リポフェクション又はリポソームを使用して、それが所望される細胞中に本発明の抗体を送達することができる。抗体断片が使用される場合、最小の阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、HGFβ鎖に結合する能力及び/又はHGFβ鎖とc-met間の相互作用を妨害する能力、HGFβ鎖N末端の挿入を妨害する能力、及び/又はHGFβ鎖-β鎖の相互作用を妨害する能力を保持するペプチド及びポリペプチドを設計することができる。そのようなペプチド及びポリペプチドは化学的に合成し、及び/又は組換えDNA技術により生産することができる。Marasco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7889-7893 (1993)を参照のこと。ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な一つ以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものを含んでもよい。あるいは、又はそれに加えて、組成物は、その機能を向上させる薬剤、例えば細胞毒性薬、サイトカイン、化学療法剤又は増殖阻害剤を含んでもよい。そのような分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセルに、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に封入されていてもよい。このような技術は、上掲のRemington's Pharmaceutical Sciencesに開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。除放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)等の分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に亘って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。安定化のための合理的な方法を、関与する機構に応じて、案出することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
次は本発明の方法及び組成物の実施例である。上に与えた一般的な記載に照らして、様々な他の実施態様を実施することができることが理解される。
材料と方法
基本的にKirchhofer等, J Biol. Chem. (2004), 279:39915-24、Stamos等 (2004) EMBO J. 23: 2325-35に記載されているように、HGF変異体を生成した。上掲のKirchhofer等及び上掲のStamos等に記載されているような試薬及び方法を使用して、Met結合及びMDA-MB435細胞遊走アッセイを行った。基本的に上掲のKirchhofer等に記載されているように、A549細胞を用いてMetリン酸化アッセイを行った。50ng/mlのHGFを用いてリン酸化を阻害するために用量依存的にHGF変異体を加えたことを除いては、同様にしてMetリン酸化の阻害を行った。基本的にKirchhofer等, FEBS Lett. (2005) 579: 1945-50に記載のように、BxPC3アッセイにおいて、細胞増殖の阻害を行った。基本的にNakatsu等 (Microvasc.Res. 66: 102, 2003)に記載されるように、インビトロ血管新生アッセイを行った。6日間の実験の間1日置きに10μg/mlの濃度のHGF変異体を培養液に加えた。実験終了後、1ビーズ当たりの出芽の数を定量化して、4つの独立した実験の平均的±SDとして表した。
結果
競合ELISAアッセイを用いて、野生型HGFβ鎖(β鎖単独及び完全長HGF)と比較したときの、示した突然変異を有するHGFβ鎖変異体(β鎖単独として及び、完全長HGFとして)のMetIgG結合能についての特性を示した。任意の潜在的なジスルフィド結合二量体の形成を最小限にするために、野生型HGFβ及びHGFβ鎖変異体をC604Sバックグラウンドにおいて作製したので、野生型HGFβは、実際にはHGFβ C604Sとした。更に、選択した完全長2鎖HGF変異体を細胞遊走アッセイにおいて、評価して、β鎖の突然変異の結果として生物学的機能に対する作用がある場合にはそれを決定した。結果を図1A、B、Cに示す。HGF変異体G498Iは、図2に示すように、用量に依存した形でMetのHGF依存性リン酸化を阻害した。また、HGF変異体R424A:R494E(単鎖HGF)についての結果も示す。HGF変異体G498I及びG498Pは、図3に示すように、Metリン酸化アッセイにおいて、野生型HGFと比較して有意にMetを活性化しなかった。また、HGF変異体R424A:R494Eについての結果も示す。MetのHGF依存性リン酸化は、用量に依存した形で調節された。また、変異体HGFであるG498I及びG498PはBxPC3細胞増殖を阻害したが、野生型HGFの活性の2.5%及び56%であった。さらに、10μg/mlの濃度の選択した完全長HGF変異体(D672N、V495G、G498I、R424A:R494E)はインビトロアッセイにおいて、血管新生を阻害した(図4)ので、HGFの全体の生物学的機能へのHGFβ鎖(及び選択したその突然変異)の重要性がさらに確認された。
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様々なHGF変異体の特徴付けを表す。HGFβ鎖N末端挿入変異体及びHGFβ鎖二量体化変異体を例示する。「細胞遊走」データは、示された突然変異(一又は複数)を含んでいる完全長HGFの存在下におけるMDA-MB435細胞の遊走に関するものであり、野生型HGFの存在下における遊走の割合として表される。「HGFβ/MetIgG結合」データは、MetIgGに対するHGFβ鎖(示された突然変異(一又は複数)を含むもの)の結合に関するものであり、競合結合アッセイにおいて、IC50(野生型)に対するIC50(変異体)の比率として表される。これらのデータにおいて、WTはC604S変異体を指す。HGFβ変異体もこの突然変異を含んでいた。注:一般的な参照として、突然変異は、それが潜在的なβ鎖-β鎖の相互作用を破壊すると思われる場合には太字で示し、それがN末端の挿入を破壊すると思われる場合には斜体及び下線(太字又は非太字)で示す。これらの予想は、それぞれの突然変異に対して観察され又は予測される主な効果−すなわち、β鎖-β鎖相互作用又は活性部位/結合ポケットに挿入するβ鎖N末端の能力の何れかに対する効果に基づく。それにも関わらず、熟練した技術者は、特定の突然変異が一つ又は両方の効果を有するかどうか、図1Aにそのように示されているか否かを容易に決定できるであろう。例えば、場合によって、突然変異はβ鎖-β鎖相互作用及びN末端の挿入の両方に作用し得、又は場合によって、β鎖-β鎖相互作用に作用すると予想される図1Aに示す突然変異がN末端の挿入に作用することが経験的に示されうる。同様に、外見上は「障害性の」Met結合値は斜体で示し、外見上は「正常な」結合値は太字の文字で示すが、「障害」及び「正常性」の程度は相対的なものである。 競合結合アッセイにおいて測定した、示した突然変異(一又は複数)を含む完全長HGFのMetへの結合。データは、IC50(野生型)に対するIC50(変異体)の比率として表している。 示した突然変異を含む完全長HGFによる細胞遊走及び細胞増殖の阻害。変異体HGF及び野生型HGFの存在下における細胞遊走及び細胞増殖それぞれの量(遊走については野生型HGF 1nM、増殖については野生型HGF 0.25nM)は、野生型HGF単独の存在下において観察される活性の割合として表す。 示したHGF変異体によるA549細胞におけるHGF依存性Metリン酸化の阻害。R424A:R494Eは一本鎖HGFを指す。Metリン酸化の量はRLU(相対光量)として示す。 示したHGF変異体によるA549肺カルシノーマ細胞におけるHGF依存性Metリン酸化の阻害。Metリン酸化の量はコントロールの割合として示す(このコントロールは、0.5nMの野生型HGFの存在下において観察される量である)。 野生型及び変異体HGFの存在下におけるA549細胞のMetのリン酸化。Metリン酸化の量は、それぞれの野生型の各HGF濃度の野生型HGFの存在下において観察される最大のリン酸化の割合として示す。 野生型及び変異体のHGF存在下におけるA549細胞のMetのリン酸化。Metリン酸化の量は、それぞれの野生型の各HGF濃度の野生型HGFの存在下において観察される最大のリン酸化の割合として示す。 変異体HGFの存在下における血管新生活性。血管新生の量は、示されるHGF変異体の存在下における出芽/ビーズの数として示す。

Claims (19)

  1. ヒトHGFβ鎖N末端領域のV495G、V495A、G498I、G498P、G498V、R502欠失+T503欠失及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異及び/又はヒトHGFβ鎖二量体化領域のN497R、N497K、G498A、G498S、P500W、P500H、P500E、T501とR502との間の挿入又はR502欠失からなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含むヒトHGF変異体を含んでなるHGF/C-Metアンタゴニスト分子。
  2. ヒトHGF変異体が野生型ヒトHGFと比較して減弱した細胞増殖、細胞遊走、Metリン酸化又は血管新生からなる群から選択される一又は複数の生物学的機能を有するものである、請求項に記載のアンタゴニスト分子。
  3. 結果として生じるヒトHGF変異体がV495G、V495A、G498I、G498P、G498V、R502欠失+T503欠失及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、野生型ヒトHGFと比較して減弱した結合親和性でC-Metに結合するものである、請求項1又は2に記載のアンタゴニスト分子。
  4. 結果として生じるヒトHGF変異体がN497R、N497K、G498A、G498S、P500W、P500H、P500E、T501とR502との間の挿入又はR502欠失からなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、野生型ヒトHGFと同等な結合親和性でC-Metに結合するものである、請求項1ないし3の何れか一に記載のアンタゴニスト分子。
  5. 前記分子が位置534、578、619、673、692、693、694、695、696、699及び/又は702にヒトHGFの野生型のアミノ酸を含有する、請求項1ないし4の何れか一に記載のアンタゴニスト分子。
  6. 前記分子がV495A、V495G、G498I、G498P、G498V及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、野生型ヒトHGFと比較して減弱したC-Metリン酸化能を有している、請求項1ないし5の何れか一に記載のアンタゴニスト分子。
  7. 前記分子がV495A、V495G、N497R、N497K、G498I、G498P、G498V及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、野生型ヒトHGFと比較して減弱した細胞遊走促進能を有している、請求項1ないし6の何れか一に記載のアンタゴニスト分子。
  8. 前記分子がV495G、G498I及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、野生型ヒトHGFと比較して減弱した細胞増殖促進能を有している、請求項1ないし7の何れか一に記載のアンタゴニスト分子。
  9. 前記分子がV495G、G498I及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、野生型ヒトHGFと比較して減弱した血管新生能を有している、請求項1ないし8の何れか一に記載のアンタゴニスト分子。
  10. 被検体のc-met活性化を調節するための薬剤であって、請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子を含有してなり、前記分子がヒトHGFのV495A、V495G、G498I、G498P、G498V及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、これによってc-met活性化が調節される薬剤。
  11. 被検体における細胞の増殖を調節するための薬剤であって、請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子を含有してなり、前記分子がヒトHGFのV495G、G498I及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、これによって被検体における細胞の増殖が調節される薬剤。
  12. 被検体における細胞の遊走を調節するための薬剤であって、請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子を含有してなり、前記分子がヒトHGFのV495A、V495G、G497R、G497K、G498I、G498P、G498V及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、これによって被検体における細胞の遊走が調節される薬剤。
  13. 被検体における細胞の血管新生活性を調節するための薬剤であって、請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子を含有してなり、前記分子がヒトHGFのV495G、G498I及びD672Nからなる群から選択される一又は複数の位置に突然変異を含み、これによって被検体における細胞の血管新生活性が調節される薬剤。
  14. 被検体のc-met活性化に関連する病態を治療するための医薬であって、請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子を含有してなり、これによって病態が治療される医薬。
  15. 前記病態が癌である、請求項14に記載の医薬。
  16. 請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子をコードする核酸。
  17. 請求項16に記載の核酸を含んでなる宿主細胞。
  18. 請求項1ないし9の何れか一に記載の一又は複数のHGF/c-metアンタゴニスト分子を含む容器を具備する製造品。
  19. 請求項1ないし9の何れか一に記載のHGF/c-metアンタゴニスト分子の作製方法であって、該アンタゴニスト分子をコードする核酸を宿主細胞内で発現させ、細胞からアンタゴニスト分子を回収することを含む方法。
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