JP5220298B2 - 電圧型インバータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、交流電力を受けて機構部分に回転運動や直線運動を実現する交流電気機械機器を駆動制御する制御装置である電圧型インバータ制御装置に関するものである。
交流電力を受けて機構部分に回転運動や直線運動を実現する交流電気機械機器には、誘導型や同期型の交流電動機(交流回転機やリニアモータ)、ソレノイドなどの電磁アクチュエータを挙げることができる。そして、インバータ制御装置は、直流電力を交流電力に変換して交流電気機械機器に供給するインバータ部である電力変換器と、この電力変換器に電力変換動作を実行させる制御部とで構成される。
ところで、理解を容易にするため交流電動機を例に挙げると、交流電動機の運転では、停止と再起動とが行われるが、この運転停止と再起動は、交流電動機に交流電力を供給する電力変換器の動作停止とその解除を制御部が実施することによって実現される。このとき、電力変換器の動作を停止して交流電動機への交流電力の供給を止めて停止制御を行う場合、交流電動機は直ちには回転運動や直線運動を停止せずその運動を継続する期間が存在し、その運動期間では誘導電圧は直ちにゼロにはならず、ある期間残留電圧として存在する。
その結果、電力変換器の停止制御後、残留電圧が存在している間に電力変換器の動作を再開して交流電動機に交流電力を供給し再起動を掛けるとき、電力変換器の通電位相と交流電動機の残留電圧の位相とが合わない場合は、電力変換器及び交流電動機に過電圧が発生し、また過大な電流が流れることが起こる。
この発明は、電圧指令を生成してインバータ部である電力変換器を駆動する電圧型インバータ制御装置において、この問題を解決しようとするものであるが、この問題に対する方策としては、例えば、特許文献1に開示されるように、電力変換器の動作を停止する直前に交流電動機の残留電圧を減衰させる方法が有効である。
すなわち、特許文献1では、電圧指令を必要としない電流型インバータ制御装置への適用例であるが、誘導電動機の磁束基準を算出する磁束基準設定手段と、前記誘導電動機の磁束を検出する磁束検出手段と、この磁束検出手段からの磁束検出信号と前記磁束基準設定手段からの磁束基準信号とを比較し、前記誘導電動機の一次電流のうち磁束発生に寄与する磁束電流の基準値を算出する電流基準算出手段とを備えた誘導電動機の駆動装置において、停止時に前記磁束基準設定手段からの磁束基準信号を低減することにより、前記誘導電動機に発生していた磁束を減少するよう磁束電流信号を所定時間流し、その後、前記誘導電動機への電流供給を停止する制御手段を設ける技術が提案されている。
なお、特許文献2では、誘導電動機の電流、電圧から回転角速度及び磁束を推定する技術が開示されている。
特開昭63−190576号公報(請求項2、図1) 特開2003−302413号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、交流電気機械機器を駆動制御する制御装置内の電力変換器が停止する直前に交流電気機械機器の残留電圧を減衰させるために、交流電気機械機器の磁束を検出する磁束検出手段が必要であるので、当該制御システムのコストアップを招来する。
また、磁束検出手段は磁束センサであることが多いが、磁束センサは取り付けることが難しく、交流電気機械機器の振動や粉塵などによって簡単に故障しやすいものである。そのため、磁束センサを取り付けることにより当該制御システムの信頼性を低下させる。
したがって、電圧指令を生成してインバータ部である電力変換器を駆動する電圧型インバータ制御装置では、磁束検出手段無しで、電力変換器の動作を停止する直前に交流電気機械機器の残留電圧を減衰させる措置を講ずることが望まれるが、どのように構成するかが問題である。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、電圧型インバータ制御装置を用いて交流電気機械機器の運転を制御する場合に、交流電気機械機器の停止後の再起動制御を過電流や過電圧を発生させずに安定して行うことができる電圧型インバータ制御装置を得ることを目的とする。
上述した目的を達成するために、この発明は、入力する電圧指令に従った交流電力を交流電気機械機器に供給して駆動する電力変換器と、前記電力変換器に接続される前記交流電気機械機器に対応した通常運転時の前記電圧指令を生成して前記電力変換器の変換動作を制御する制御部とを備える電圧型インバータ制御装置において、前記制御部は、前記交流電気機械機器の運転を停止する手段として、前記電力変換器の変換動作を停止するときに前記交流電気機械機器の磁束を打ち消す方向に流す励磁電流を指示する運転停止時励磁電流指令及び前記交流電気機械機器にトルクを発生させない方向に流すトルク電流を指示する運転停止時トルク電流指令を設定する運転停止時用電流指令設定手段と、前記電力変換器が前記交流電気機械機器に供給する電流値を前記運転停止時励磁電流指令及び前記運転停止時トルク電流指令にそれぞれ一致させるように演算して運転停止時用の前記電圧指令を求める運転停止時用電流制御手段と、運転停止指示を受けたときに前記電力変換器に与える電圧指令を前記通常運転時の電圧指令から前記運転停止時用の電圧指令に切り替える電圧指令切り替え手段と、前記運転停止指示を受けた後の所定遅延時間後に前記電力変換器の変換動作を停止させる停止遅延手段とを備え、前記運転停止時用電流制御手段は、予め、残留電圧を前記所定遅延時間までに打ち消すことができるように制御応答が設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、運転停止指令が入力すると、電力変換器を直ちに停止させるのではなく、電力変換器に与える電圧指令を運転停止時用の電圧指令に切り替えて電力変換動作を実行させ、それを交流電気機械機器の残留電圧を十分に減少させ得る所定期間継続した後に電力変換器の動作を停止するので、電力変換器の動作を停止したときには、交流電気機械機器を残留電圧が存在しないか存在しても極めて少ない状態にすることができる。したがって、次の再起動時に過電流や過電圧が発生することなく安定な再起動を行うことができる。
この発明によれば、電圧型インバータ制御装置を用いて交流電気機械機器の運転を制御する場合に、交流電気機械機器の停止後の再起動制御を過電流や過電圧を発生させずに安定して行うことができるという効果を奏する。
以下に図面を参照して、この発明にかかる電圧型インバータ制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電圧型インバータ制御装置の構成を示すブロック図である。この発明にかかる電圧型インバータ制御装置は、交流電力を受けて機構部分に回転運動や直線運動を実現する交流電気機械機器を駆動制御する制御装置である。交流電気機械機器には、誘導型や同期型の交流電動機(交流回転機やリニアモータ)、ソレノイドなどの電磁アクチュエータを挙げることができる。
この実施の形態1では、上記した交流電気機械機器のいずれか1つを駆動制御する場合において停止制御時の残留電圧の影響なく再起動できる構成例として、理解を容易にするため、上記した交流電気機械機器のうち誘導型の交流回転機を取り上げて説明する。
図1において、交流電気機械機器の一例としての誘導型の交流回転機である誘導機(回転誘導機)1は、インバータ部である電力変換器2に接続されている。この電力変換器2に通常運転時での電力変換動作と運転停止時での残留電圧低減動作とを実行させる制御部として、dq軸/三相変換手段3と、電流検出手段4と、運転時用dq軸電圧指令演算手段5と、運転停止時用dq軸電圧指令演算手段6と、位相演算手段7と、停止遅延手段8と、電圧指令切り替え手段9とを備えている。
なお、請求項1で言う御部に設けた「交流電気機械機器の運転を停止する手段」における電圧指令切り替え手段」には電圧指令切り替え手段9が対応し、「停止遅延手段」には停止遅延手段8が対応している。
ここで、停止遅延手段8及び電圧指令切り替え手段9には、外部から第1の停止信号が入力する。この第1の停止信号は、図示しない運転装置や運転台などの上位のコントローラから誘導機1の運転とその停止とを指示するために送られてくる2値のレベル信号であり、特別に設けた信号ではない。この実施の形態1及び以降に示す各参考例では、「第1の停止信号が入力するまで」とは、第1の停止信号が例えば低レベルである期間を指し、その期間内では誘導機1を駆動制御する通常運転時の動作が従前の通りに行われる。そして、「第1の停止信号が入力すると」とは、第1の停止信号が低レベルから高レベルに変化する時を指し、その時以降は、この実施の形態1及び以降に示す各参考例による運転停止時での残留電圧の低減動作が行われる。以下、この実施の形態1による運転停止時での残留電圧の低減動作を図1の構成に従って順に説明する。
電力変換器2は、dq軸/三相変換手段3から入力する三相の電圧指令に従って上下アームの半導体スイッチング素子がオン・オフ動作することにより、直流電源からの直流電力を任意周波数の電圧・電流からなる三相の交流電力に変換し、それを誘導機1に与えて駆動する。そして、電力変換器2は、停止遅延手段8から第2の停止信号が入力すると、上下アームの半導体スイッチング素子がオン・オフ動作を中止して誘導機1への電力供給を停止する。
電流検出手段4は、誘導機1に発生する三相の相電流iu,iv,iwを検出する。この三相の検出相電流iu,iv,iwは、運転停止時用dq軸電圧指令演算手段6の入力段に配置される三相/dq軸変換手段6aに与えられる。なお、図1では、直接検出する構成として、電力変換器2と誘導機1とを接続する3本の結線の全てに電流検出手段4としてのCT(電流変成器)を配置した場合を示したが、iu+iv+iw=0の関係が成立するので、例えばu相とv相の2結線にCTを配置し、w相の結線にはCTを配置せず、w相の相電流iwは演算によって求めることでも良い。また、間接的に検出する構成として、電力変換器2内部に流れる母線電流から三相の電流iu,iv,iwを検出して三相/dq軸変換手段6aに与える構成でも良い。
位相演算手段7に外部から入力する角周波数ωは、例えば、誘導機1に速度センサが取り付けてある場合はその速度センサから得られる速度情報、または、速度制御を行うシステムでは速度指令ω*が得られるのでその速度指令ω*、或いは、誘導機1に速度センサを取り付けない速度センサレス制御では速度推定値が演算されるのでその速度推定値である。
位相演算手段7は、そのような任意の角周波数ωを積分して、三相・二相の座標変換を行う際の制御座標軸であるdq座標軸上での位相θを求める。この求めた位相θは、dq軸/三相変換手段3と三相/dq軸変換手段6aとに与えられる。
dq軸/三相変換手段3は、位相演算手段7から得た位相θに基づき、電圧指令切り替え手段9から入力するdq座標軸上でのd軸電圧指令Vd及びq軸電圧指令Vqを三相の電圧指令に変換し、それを電力変換器2に出力する。
通常運転時用dq軸電圧指令演算手段5は、通常運転時に電力変換器2を駆動制御するdq座標軸上での通常運転時用d軸電圧指令Vd1及び通常運転時用q軸電圧指令Vq1を生成し、電圧指令切り替え手段9に与える。図2は、通常運転時用dq軸電圧指令演算手段5の構成例を示すブロック図である。通常運転時用dq軸電圧指令演算手段5は、例えば図2に示すように、誘導機1の一次抵抗値Rsと所定の係数kとを乗算して通常運転時用d軸電圧指令Vd1を出力する乗算器5aと、電圧と速度(周波数)の関係パターン(V/fパターン)テーブルが設定され、入力する速度指令ω*に対応する通常運転時用q軸電圧指令Vq1を出力する記憶手段5bとで構成することができる。
そして、運転停止時用dq軸電圧指令演算手段6は、三相/dq軸変換手段6aと、残留電圧用d軸電流指令設定手段6bと、残留電圧用q軸電流指令設定手段6cと、残留電圧用d軸電流制御手段6dと、残留電圧用q軸電流制御手段6eとの構成によって、運転停止時における誘導機1の残留電圧を減少させるように電力変換器2を駆動制御するdq座標軸上での残留電圧用d軸電圧指令Vd2及び残留電圧用q軸電圧指令Vq2を生成し、電圧指令切り替え手段9に与える。
なお、請求項で言う制御部に設けた「交流電気機械機器の運転を停止する手段」における「運転停止時用電流指令設定手段」には残留電圧用d軸電流指令設定手段6bと残留電圧用q軸電流指令設定手段6cとの全体が対応し、「運転停止時用電流制御手段」には残留電圧用d軸電流制御手段6dと残留電圧用q軸電流制御手段6eとの全体が対応している。
運転停止時用dq軸電圧指令演算手段6の動作を具体的に説明する。三相/dq軸変換手段6aは、位相演算手段7から入力する位相θに基づき、電流検出手段4から得られた相電流iu、iv、iwをdq座標軸上でのd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqに変換し、そのd軸電流検出値idを残留電圧用d軸電流制御手段6dの一方の入力端に与え、そのd軸電流検出値iqを残留電圧用q軸電流制御手段6eの一方の入力端に与える。
残留電圧用d軸電流指令設定手段6bは、電力変換器2を停止する時に誘導機1の磁束を打ち消す方向に励磁電流が流れるようにする残留電圧用d軸電流指令id2*を設定する。具体的には、残留電圧用d軸電流指令id2*を零以下のマイナスの値に設定する。この残留電圧用d軸電流指令id2*は、残留電圧用d軸電流制御手段6dの他方の入力端に与えられる。
また、残留電圧用q軸電流指令設定手段6cは、電力変換器2を停止する時に誘導機1に不要なトルクが発生しないようにする残留電圧用q軸電流指令iq2*を設定する。具体的には、零のトルク電流が流れるように残留電圧用q軸電流指令iq2*を零に設定する。この残留電圧用q軸電流指令iq2*は、残留電圧用q軸電流制御手段6eの他方の入力端に与えられる。
残留電圧用d軸電流制御手段6dは、d軸電流検出値idが残留電圧用d軸電流指令id2*に一致するように、dq座標軸上のd軸電圧指令Vd2を演算し、それを電圧指令切り替え手段9に出力する。具体的には、残留電圧用d軸電流制御手段6dは、例えば一般的なPI制御(比例・積分制御)を用いて、d軸電流検出値idと残留電圧用d軸電流指令id2*とを式(1)に適用して残留電圧用d軸電圧指令Vd2を演算し、それを電圧指令切り替え手段9に与える。
Figure 0005220298
但し、式(1)において、比例ゲインKidには、残留電圧を打ち消すことができる程度に十分大きな所定値を設定する。また、積分時定数Tidには、残留電圧を打ち消すことができるように誘導機1のモータ定数である2次インダクタンスLsを2次抵抗Rrで割った値よりも十分小さい所定値を設定する。
また、残留電圧用q軸電流制御手段6eは、d軸電流検出値iqが残留電圧用q軸電流指令iq2*に一致するように、dq座標軸上のq軸電圧指令Vq2を演算し、それを電圧指令切り替え手段9に出力する。具体的には、残留電圧用d軸電流制御手段6dも、同様に、例えば一般的なPI制御(比例・積分制御)を用いて、d軸電流検出値iqと残留電圧用q軸電流指令iq2*とを式(2)に適用して残留電圧用q軸電圧指令Vq2を演算し、それを電圧指令切り替え手段9に与える。
Figure 0005220298
但し、式(2)において、比例ゲインKiqには、残留電圧を打ち消す時に誘導機1が不要なトルクを発生しない程度に十分大きな所定値を設定する。また、積分時定数Tiqには、残留電圧を打ち消す時に誘導機1に不要なトルクを発生させないような所定値を設定する。
次に、図3〜図5を参照して外部から第1の停止信号が入力する電圧指令切り替え手段9及び停止遅延手段8の動作について説明する。なお、図3は、電圧指令切り替え手段9の構成例を示す回路図である。また、図4は、停止遅延手段8の構成例を示す回路図であり、図5は、停止遅延手段8の遅延制御動作を説明するタイムチャートである。
まず、電圧指令切り替え手段9は、例えば図3に示すように、外部から入力する第1の停止信号を切替制御信号とする2つの2入力1出力の切り替え手段9a,9bで構成することができる。図3において、切り替え手段9a,9bは、外部から第1の停止信号が入力するまでは、つまり第1の停止信号が低レベルである期間内は、通常運転時用dq軸電圧指令演算手段5からの電圧指令Vd1,Vq1を選択しそれを電圧指令Vd,Vqとしてdq軸/三相変換手段3に出力する。そして、外部から第1の停止信号が入力すると、つまり第1の停止信号が高レベルになると、選択切り替えを行って運転停止時用dq軸電圧指令演算手段6からの電圧指令Vd2,Vq2を選択しそれを電圧指令Vd,Vqとしてdq軸/三相変換手段3に出力する動作を行う。
また、停止遅延手段8は、例えば図4に示すように、第1の停止信号を所定時間だけ遅延させる遅延時間が設定される遅延時間設定手段8aと、外部から入力される第1の停止信号を遅延時間設定手段8aに設定される遅延時間だけ遅延させた第2の停止信号を出力する遅延操作手段8bとで構成することができる。すなわち、図5に示すように、停止遅延手段8は、外部から入力される第1の停止信号を遅延時間設定手段8aに設定される遅延時間11だけ遅延させた第2の停止信号を電力変換器2に出力する。
これによって、電力変換器2は、外部から第1の停止信号が入力しても、第2の停止信号が低レベルである期間内では、入力する三相の電圧指令に従った電力変換動作を行い、誘導機1に駆動電力を供給するが、第2の停止信号が高レベルに変化するタイミングで変換動作を停止し、誘導機1への駆動電力の供給を停止する。
以上の動作過程を要約すると、電力変換器2は、外部から第1の停止信号が入力するまでは、通常運転時用の電圧指令Vd1,Vq1に従って誘導機1への駆動電力の供給を行っているが、外部から第1の停止信号が入力すると、遅延時間設定手段8aから第2の停止信号が入力するまでの遅延時間11の間は、残留電圧用の電圧指令Vd1,Vq1に従って誘導機1への駆動電力の供給を行うので、この遅延時間11の間において誘導機1では残留電圧を減衰させる操作が行われる。したがって、遅延時間11の経過後における第2の停止信号によって電力変換器2が変換動作を停止するタイミングでは、誘導機1に残留電圧が存在しないか存在しても極めて少ない状態になっている。つまり、運転停止時の状態を、次に電力変換器2を再起動しても、過電圧や過電流が発生することのない状態にすることができる。
したがって、遅延時間11をどのように定めるかは重要である。すなわち、遅延時間11は、例えば誘導機1のモータ定数である2次インダクタンスLsを2次抵抗Rrで割った値よりも長く設定すれば、残留電圧をほとんど打ち消すことができる。しかし、次に電力変換器2を再起動する場合にその遅延時間11の分だけ遅くなる。そのため、この実施の形態1では、遅延時間設定手段8aに設定する遅延時間11は、誘導機1の特性と、電力変換器2が変換動作を停止し誘導機1への駆動電力の供給が無くなってから電力変換器2を再起動するまでの必要最低時間との兼ね合いで決めるようにしている。
以上のように、この実施の形態1によれば、駆動制御対象である交流電気機械機器の特性及び制御態様に基づき生成した電圧指令を電力変換器に与えて交流電気機械機器の運転を制御する電圧型インバータ制御装置において、運転停止時に存在する残留電圧を低減させる電圧指令を演算する手段を設け、運転停止指令が入力すると、電力変換器を直ちに停止させるのではなく、電圧指令を切り替えて電力変換器に残留電圧を低減させる電圧指令による電力変換動作を実行させ、それを交流電気機械機器の残留電圧を十分に減少させ得る所定期間継続した後に電力変換器の動作を停止するようにしたので、電力変換器の動作を停止したときには、交流電気機械機器を残留電圧が存在しないか存在しても極めて少ない状態にすることができる。したがって、次の再起動時に過電流や過電圧が発生することなく安定な再起動を行うことができる。
参考例1
図6は、この発明の参考例1による電圧型インバータ制御装置の構成を示すブロック図である。この参考例1では、上記した交流電気機械機器のいずれか1つを駆動制御する場合において停止制御時の残留電圧の影響なく再起動できる構成例として、実施の形態1と同様に上記した交流電気機械機器のうち誘導型の交流回転機を取り上げて説明するが、実施の形態1とは異なる制御態様を示す。なお、図6では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、この参考例1に関わる部分を中心に説明する。
図6において、交流電気機械機器の一例としての誘導型の交流回転機である誘導機(回転誘導機)1は、インバータ部である電力変換器2に接続されている。この電力変換器2に通常運転時での電力変換動作と運転停止時での残留電圧低減動作とを実行させる制御部として、dq軸/三相変換手段3、電流検出手段4、位相演算手段7及び停止遅延手段8の他に、三相/dq軸変換手段20、磁束推定手段21、回転角速度推定手段22、dq軸電流制御手段23、磁束制御手段24、磁束指令切り替え手段25、q軸電流切り替え手段26、残留電圧用磁束指令設定手段27及び残留電圧用q軸電流指令設定手段28を備えている。
外部から入力される実施の形態1にて説明した第1の停止信号は、停止遅延手段8と磁束指令切り替え手段25とq軸電流指令切り替え手段26とに与えられる。停止遅延手段8が遅延時間11(図5参照)の経過後に出力する第2の停止信号は、実施の形態1と同様に、電力変換器2に与えられる。
三相/dq軸変換手段20は、実施の形態1における三相/dq軸変換手段6aと同様に、位相演算手段7から入力する位相θに基づき、電流検出手段4から得られた相電流iu、iv、iwをdq座標軸上でのd軸電流(励磁電流)検出値id及びq軸電流(トルク電流)検出値iqに変換し、そのd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqを回転角速度推定手段22とdq軸電流制御手段23とに与える。
磁束推定手段21は、dq軸電流制御手段23がdq軸/三相変換手段3に出力するd軸電圧指令Vd及びq軸電圧指令Vqと位相変換手段6に入力される角周波数ωと誘導機1のモータ定数とに基づく公知の方法(例えば特許文献2)で、誘導機1に発生している磁束を検出する推定演算を行い、その推定した磁束推定値Φを回転角速度推定手段22と磁束制御手段24とに与える。
回転角速度推定手段22は、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqと磁束推定値Φと誘導機1のモータ定数とに基づく公知の方法(例えば特許文献2)で、誘導機1に発生している回転角速度を検出する推定演算を行い、その推定した角周波数ωを位相変換手段7に与える。
磁束指令切り替え手段25には、外部から通常運転時に発生させる磁束を指示する通常運転時用磁束指令Φ1*が入力する。また、磁束指令切り替え手段25には、残留電圧用磁束指令設定手段27から運転停止時に発生させる磁束を指示する残留電圧用磁束指令Φ2*が入力する。残留電圧用磁束指令Φ2*は、それまで発生していた磁束を運転停止時に打ち消すために、零に設定されている。
磁束指令切り替え手段25は、例えば図7に示すように、2入力1出力の切り替え手段25aで構成され、第1の停止信号が入力するまで、つまり、第1の停止信号が低レベルである期間内は、通常運転時用磁束指令Φ1*を選択し、それを磁束指令Φ*として磁束制御手段24に与える。そして、第1の停止信号が入力すると、つまり、第1の停止信号が高レベルになると、選択切り替えを行って残留電圧用磁束指令Φ2*を選択し、それを磁束指令Φ*として磁束制御手段24に与える。
磁束制御手段24は、磁束推定手段21から入力する現在の磁束推定値Φが磁束指令切り替え手段25から入力する誘導機1への磁束指令Φ*に一致させる励磁電流の供給指示であるdq座標軸上のd軸電流指令id*を演算し、それをdq軸電流制御手段23に出力する。具体的には、磁束制御手段24は、例えば一般的なPI制御(比例・積分制御)を用いて、磁束指令Φ*と磁束推定値Φとを式(3)に適用してd軸電流指令id*を演算し、それをdq軸電流制御手段23に与える。
Figure 0005220298
但し、式(3)において、比例ゲインKid2は、残留電圧を打ち消すのに十分大きな所定値に設定する。Tid2は、積分時定数である。
q軸電流指令切り替え手段26には、外部から通常運転時に発生させるトルクを指示する通常運転時用q軸電流指令iq1*が入力する。また、q軸電流指令切り替え手段26には、残留電圧用q軸電流指令設定手段28から運転停止時に発生させるトルクを指示する残留電圧用q軸電流指令iq2*が入力する。残留電圧用q軸電流指令iq2*は、不要なトルクを発生しないように、零に設定されている。
q軸電流指令切り替え手段26は、例えば図8に示すように、2入力1出力の切り替え手段26aで構成され、第1の停止信号が入力するまで、つまり、第1の停止信号が低レベルである期間内は、運転時用q軸電流指令iq1*を選択し、それをq軸電流指令iq*としてdq軸電流制御手段23に与える。そして、第1の停止信号が入力すると、つまり、第1の停止信号が高レベルになると、選択切り替えを行って残留電圧用q軸電流指令iq2*を選択し、それをq軸電流指令iq*としてdq軸電流制御手段23に与える。
dq軸電流制御手段23は、三相/dq軸変換手段20から入力する現在のdq軸電流検出値id,iqが磁束制御手段24から入力するd軸電流指令id*及びq軸電流切り替え手段26から入力するq軸電流指令iq*に一致するように、dq座標軸上のd軸電圧指令Vd及びq軸電圧指令Vqを演算し、それをdq軸/三相変換手段3と磁束推定手段21とに出力する。
具体的には、dq軸電流制御手段23は、例えば一般的なPI制御(比例・積分制御)を用いて、d軸電流指令id*とd軸電流検出値idとを式(4)に適用してd軸電圧指令Vdを演算する。なお、式(4)において、Kid3は比例ゲインであり、Tid3は積分時定数である。
Figure 0005220298
dq軸電流制御手段23は、同様に一般的なPI制御(比例・積分制御)を用いて、q軸電流指令iq*とq軸電流検出値iqとを式(5)に適用してq軸電圧指令Vqを演算する。なお、式(5)において、Kiq2は比例ゲインであり、Tiq2は積分時定数である。
Figure 0005220298
以上の動作過程を要約すると、図9に示すようになる。図9は、運転停止直前の所定期間における残留電圧低減動作を説明するタイムチャートである。図9において、外部から入力する第1の停止信号は、通常運転時では、低レベルであり、運転停止を指示する時に高レベルに立ち上がってそれを維持するレベル信号である。停止遅延手段8は、入力する第1の停止信号が低レベルである期間は、電力変換器2への出力信号である第2の停止信号を低レベルに維持し、第1の停止信号が高レベルに立ち上がっても、遅延時間11が経過するまでは、同様に第2の停止信号を低レベルに維持するが、遅延時間11が経過すると、第2の停止信号を低レベルから高レベルに立ち上げる。
これによって、電力変換器2は、外部から第1の停止信号が入力しても、第2の停止信号が低レベルである期間内では、入力する三相の電圧指令に従った電力変換動作を行い、誘導機1に駆動電力を供給するが、第2の停止信号が高レベルに変化するタイミングで変換動作を停止し、誘導機1への駆動電力の供給を停止する。以上は実施の形態1と同様である。
磁束指令Φ*は、第1の停止信号が低レベルである期間内は、通常運転時用磁束指令Φ1*であるが、第1の停止信号が高レベルに立ち上がると、残留電圧用磁束指令Φ2*に切り替わる。残留電圧用磁束指令Φ2*は、零に設定されているので、遅延時間11の期間内に磁束制御手段24に入力する磁束指令Φ*は、Φ*=0である。
磁束推定値Φは、第1の停止信号が低レベルである期間内は、所定の高値レベルにあるが、第1の停止信号が高レベルに立ち上がると、遅延時間11の期間内では時間の経過に伴って漸減し、遅延時間11の経過時では零レベルに近い低値になる。
d軸電流指令値id*(d軸電流検出値id)は、第1の停止信号が低レベルである期間内は、所定の高値レベルにあるが、第1の停止信号が高レベルに立ち上がると、零レベル以下の負の高値レベルに急激に低下し、それを遅延時間11の期間内維持し、遅延時間11の経過時では零レベルになる。遅延時間11の期間内では、零レベル以下の負の高値レベルに変化したd軸電流指令値id*がdq軸電流制御手段23に入力する。これによって、遅延時間11の期間内では、誘導機1に逆向きの励磁電流が供給され、減磁が行われるので、残留電圧の減衰が促進される。
q軸電流指令値iq*(q軸電流検出値iq)は、第1の停止信号が低レベルである期間内は、通常運転時用q軸電流指令値iq1*であるが、第1の停止信号が高レベルに立ち上がると、残留電圧用q軸電流指令値iq2*切り替わる。残留電圧用q軸電流指令値iq2*は、零に設定されているので、遅延時間11の期間内にdq軸電流制御手段23に入力するq軸電流指令値iq*は、iq*=0である。これによって、上記の減磁動作時に不要なトルクが発生しないようになる。
誘導機1に掛かっている電圧は、第1の停止信号が低レベルである期間内は、電圧指令Vd、Vqが所定の高値であるd軸電流指令値id*及び通常運転時用q軸電流指令値iq1*に基づくので、所定の高値レベルにあるが、第1の停止信号が高レベルに立ち上がると、零レベル以下の負の高値であるd軸電流指令値id*及び零である残留電圧用q軸電流指令値iq2*に基づく電圧指令Vd、Vqに切り替わるので、遅延時間11の期間内において誘導機1に不要なトルクを発生させることなく残留電圧を減衰させる動作が行われる。
遅延時間11が経過した電力変換器2の動作停止時での残留電圧29aは、幾らか存在するとしても、その後も減衰して行くので、再起動は、零もしくは零に近い小さい残留電圧29bの状態で行える。したがって、過電圧や過電流を起こすことなく、再起動が可能になる。
以上のように、この参考例1によれば、駆動制御対象である交流電気機械機器の通常運転時の磁束指令に磁束推定値を一致させる励磁電流の供給を指示する励磁電流指令及び通常運転時のトルクを指示するトルク電流指令から演算した通常運転時用の電圧指令を電力変換器に与えて交流電気機械機器の通常運転を制御する電圧型インバータ制御装置において、運転停止指令が入力すると、演算対象を、磁束零を指示する運転停止時の磁束指令に磁束推定値を一致させる励磁電流の供給を指示する励磁電流指令及びトルクを発生させないトルク電流指令に切り替えて運転停止時用の電圧指令を演算するようにし、電力変換器を直ちに停止させるのではなく、電力変換器に与える電圧指令を前記運転停止時用の電圧指令に切り替えて電力変換動作を実行させ、それを交流電気機械機器の残留電圧を十分に減少させ得る所定期間継続した後に電力変換器の動作を停止するようにしたので、電力変換器の動作を停止したときには、交流電気機械機器を残留電圧が存在しないか存在しても極めて少ない状態にすることができる。したがって、実施の形態1と同様に、次の再起動時に過電流や過電圧が発生することなく安定な再起動を行うことができる。
また、交流電気機械機器の磁束は、前記交流電気機械機器の角周波数と電力変換器に与える電圧指令と前記交流電気機械機器の定数とに基づき演算した推定値を用いるので、磁束を検出するセンサが不要な制御系で交流電気機械機器の運転停止時の残留電圧を零にすることができる。
また、交流電気機械機器の角周波数は、前記磁束推定値と電力変換器が前記交流電気機械機器に供給する電流値と前記交流電気機械機器の定数とに基づき演算するので、速度を検出するセンサが不要な制御系で交流電気機械機器の運転停止時の残留電圧を零にすることができる。
参考例2
図10は、この発明の参考例2による電圧型インバータ制御装置の構成を示すブロック図である。この参考例2では、上記した交流電気機械機器のうち同期型の交流回転機を駆動制御する場合において停止制御時の残留電圧の影響なく再起動できる構成例を示す。なお、図10では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、この参考例2に関わる部分を中心に説明する。
図10において、同期機であるシンクロナスモータ30は、インバータ部である電力変換器2に接続されている。この電力変換器2に通常運転時での電力変換動作と運転停止時での残留電圧低減動作とを実行させる制御部として、dq軸/三相変換手段3、電流検出手段4、位相演算手段7及び停止遅延手段8の他に、三相/dq軸変換手段31、dq軸電流制御手段32、電流指令切り替え手段33、残留電圧用d軸電流指令設定手段34及び残留電圧用q軸電流指令設定手段35を備えている。
外部から入力される実施の形態1にて説明した第1の停止信号は、停止遅延手段8と電流指令切り替え手段33とに与えられる。停止遅延手段8が遅延時間11(図5参照)の経過後に出力する第2の停止信号は、実施の形態1と同様に電力変換器2に与えられる。
三相/dq軸変換手段31は、実施の形態1における三相/dq軸変換手段6aと同様に、位相演算手段7から入力する位相θに基づき、電流検出手段4から得られた相電流iu、iv、iwをdq座標軸上でのd軸電流(励磁電流)検出値id及びq軸電流(トルク電流)検出値iqに変換し、そのd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqをdq軸電流制御手段32に与える。
電流指令切り替え手段33には、外部から通常運転時での励磁電流供給指示である通常運転時用d軸電流指令id1*、通常運転時でのトルク電流供給指示である通常運転時用q軸電流指令iq1*が入力する。また、電流指令切り替え手段33には、残留電圧用d軸電流指令設定手段34から残留電圧用d軸電流指令id2*が入力する。この残留電圧用d軸電流指令id2*は、電力変換器2を停止する時に同期機であるシンクロナスモータ30の磁束を打ち消す方向に励磁電流が流れるように、零もしくはマイナスの所定値に設定されている。また、電流指令切り替え手段33には、残留電圧用q軸電流指令設定手段35から残留電圧用q軸電流指令iq2*が入力する。この残留電圧用q軸電流指令iq2*は、電力変換器2を停止する時に同期機であるシンクロナスモータ30に不要なトルクが発生しないように、つまり零のトルク電流を流すように、零が設定されている。
電流指令切り替え手段33は、例えば図11に示すように、外部から入力する第1の停止信号を切替制御信号とする2つの2入力1出力の切り替え手段33a,33bで構成することができる。図11において、切り替え手段33a,33bは、外部から第1の停止信号が入力するまでは、つまり第1の停止信号が低レベルである期間内は、外部から入力する通常運転時用d軸電流指令id1*及び通常運転時用q軸電流指令iq1*を選択しそれをd軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*としてdq軸電流制御手段32に与える。そして、外部から第1の停止信号が入力すると、つまり第1の停止信号が高レベルになると、選択切り替えを行って残留電圧用d軸電流指令設定手段34及び残留電圧用q軸電流指令設定手段35からの電流指令id2*、iq2*を選択しそれをd軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*としてdq軸電流制御手段32に与える。
この場合、電流指令切り替え手段33は、残留電圧用d軸電流指令設定手段34が残留電圧用d軸電流指令id2*をマイナスの所定値に設定している場合は、第1の停止信号が入力すると、残留電圧用d軸電流指令id2*を一次遅れでマイナスの所定値から零に向かって上昇させる操作を行うようになっている。
dq軸電流制御手段32は、三相/dq軸変換手段31から入力する現在のdq軸電流検出値id,iqが電流指令切り替え手段33から入力するd軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*に一致するように、前記した式(4)(5)を用いて、dq座標軸上のd軸電圧指令Vd及びq軸電圧指令Vqを演算し、それをdq軸/三相変換手段3に出力する。
これによって、電力変換器2は、外部から第1の停止信号が入力しても、第2の停止信号が低レベルである期間内では、入力する三相の電圧指令に従った電力変換動作を行い、同期機であるシンクロナスモータ30に駆動電力を供給するが、第2の停止信号が高レベルに変化するタイミングで変換動作を停止し、同期機であるシンクロナスモータ30への駆動電力の供給を停止する。
以上の動作過程を要約すると、電力変換器2は、外部から第1の停止信号が入力するまでは、通常運転時用の電圧指令Vd1,Vq1に従って同期機であるシンクロナスモータ30への駆動電力の供給を行っているが、外部から第1の停止信号が入力すると、停止遅延手段8から第2の停止信号が入力するまでの遅延時間11(図5参照)の間は、残留電圧用の電圧指令Vd,Vqに従って同期機であるシンクロナスモータ30への駆動電力の供給を行うので、この遅延時間11の間において同期機であるシンクロナスモータ30では残留電圧を減衰させる操作が行われる。したがって、遅延時間11の経過後における第2の停止信号によって電力変換器2が変換動作を停止するタイミングでは同期機であるシンクロナスモータ30に残留電圧が存在しないか存在しても極めて少ない状態になっている。つまり、運転停止時の状態を、次に電力変換器2を再起動しても、過電圧や過電流が発生することのない状態にすることができる。
以上のように、この参考例2によれば、駆動制御対象である同期機の通常運転時の励磁電流指令及び通常運転時のトルク電流指令から演算した通常運転時の電圧指令を電力変換器に与えて同期機の通常運転を制御する電圧型インバータ制御装置において、運転停止指令が入力すると、演算対象を、運転停止時に磁束を打ち消す方向に励磁電流の供給を指示する励磁電流指令及びトルクを発生させないトルク電流指令に切り替えて運転停止時用の電圧指令を演算するようにし、電力変換器を直ちに停止させるのではなく、電力変換器に与える電圧指令を前記運転停止時用の電圧指令に切り替えて電力変換動作を実行させ、それを同期機の残留電圧を十分に減少させ得る所定期間継続した後に電力変換器の動作を停止するようにしたので、電力変換器の動作を停止したときには、同期機を、残留電圧が存在しないか存在しても極めて少ない状態にすることができる。したがって、実施の形態1と同様に、次の再起動時に過電流や過電圧が発生することなく安定な再起動を行うことができる。
以上のように、この発明にかかる電圧型インバータ装置は、交流電気機械機器の停止後の再起動時に過電流や過電圧を発生させずに安定して再起動制御を行うのに有用である。
この発明の実施の形態1による電圧型インバータ装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す通常運転時用dq軸電圧指令演算手段の構成例を示すブロック図である。 図1に示す電圧指令切り替え手段の構成例を示す回路図である。 図1に示す停止遅延制御手段の構成例を示す回路図である。 図4に示す停止遅延制御手段の遅延制御動作を説明するタイムチャートである。 この発明の参考例1による電圧型インバータ装置の構成を示すブロック図である。 図6に示す磁束指令切り替え手段の構成例を示す回路図である。 図6に示すq軸電流指令切り替え手段の構成例を示す回路図である。 運転停止直前の所定期間における残留電圧低減動作を説明するタイムチャートである。 この発明の参考例2による電圧型インバータ装置の構成を示すブロック図である。 図10に示す電流指令切り替え手段の構成例を示す回路図である。
符号の説明
1 交流電気機械機器の一例としての誘導型の交流回転機である誘導機(回転誘導機)
2 電力変換器
3 dq軸/三相変換手段
4 電流検出手段
5 通常運転時用dq軸電圧指令演算手段
5a 乗算器
5b 記憶手段
6 運転停止時用dq軸電圧指令演算手段
6a 三相/dq軸変換手段
6b 残留電圧用d軸電流指令設定手段
6c 残留電圧用q軸電流指令設定手段
6d 残留電圧用d軸電流制御手段
6e 残留電圧用q軸電流制御手段
7 位相演算手段
8 停止遅延手段
8a 遅延時間設定手段
8b 遅延操作手段
9 電圧指令切り替え手段
9a,9b 切り替え手段
20 三相/dq軸変換手段
21 磁束推定手段
22 回転角速度推定手段
23 dq軸電流制御手段
24 磁束制御手段
25 磁束指令切り替え手段
25a 切り替え手段
26 q軸電流指令切り替え手段
26a 切り替え手段
27 残留電圧用磁束指令設定手段
28 残留電圧用q軸電流指令設定手段
30 同期機であるシンクロナスモータ
31 三相/dq軸変換手段
32 dq軸電流制御手段
33 電流指令切り替え手段
33a,33b 切り替え手段
34 残留電圧用q軸電流指令設定手段
35 残留電圧用q軸電圧指令設定手段

Claims (2)

  1. 入力する電圧指令に従った交流電力を交流電気機械機器に供給して駆動する電力変換器と、前記電力変換器に接続される前記交流電気機械機器に対応した通常運転時の前記電圧指令を生成して前記電力変換器の変換動作を制御する制御部とを備える電圧型インバータ制御装置において、
    前記制御部は、前記交流電気機械機器の運転を停止する手段として、
    前記電力変換器の変換動作を停止するときに前記交流電気機械機器の磁束を打ち消す方向に流す励磁電流を指示する運転停止時励磁電流指令及び前記交流電気機械機器にトルクを発生させない方向に流すトルク電流を指示する運転停止時トルク電流指令を設定する運転停止時用電流指令設定手段と、
    前記電力変換器が前記交流電気機械機器に供給する電流値を前記運転停止時励磁電流指令及び前記運転停止時トルク電流指令にそれぞれ一致させるように演算して運転停止時用の前記電圧指令を求める運転停止時用電流制御手段と、
    運転停止指示を受けたときに前記電力変換器に与える電圧指令を前記通常運転時の電圧指令から前記運転停止時用の電圧指令に切り替える電圧指令切り替え手段と、
    前記運転停止指示を受けた後の所定遅延時間後に前記電力変換器の変換動作を停止させる停止遅延手段と
    を備え、
    前記運転停止時用電流制御手段は、予め、残留電圧を前記所定遅延時間までに打ち消すことができるように制御応答が設定されている
    ことを特徴とする電圧型インバータ制御装置。
  2. 前記交流電気機械機器は、誘導型回転機、同期型回転機、誘導型リニアモータ、同期型リニアモータ、電磁アクチュエータのうちのいずれか一つの機器である
    ことを特徴とする請求項に記載の電圧型インバータ制御装置。
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