JP5217769B2 - 厚鋼板の冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板の冷却装置に関し、特に厚鋼板圧延時に従来懸念された上反りの発生に起因した冷却装置の破損を効果的に回避しようとするものである。
従来、厚鋼板の冷却装置としては、圧延機から離れた位置で水冷シャワーにより鋼板を徐冷するCRシャワー冷却装置が知られている。
しかしながら、この冷却装置は、冷却速度が遅いだけでなく、鋼板の冷却設備への搬送に時間を要するという問題があった。
その結果、冷却待機を余儀なくされ、圧延機の稼働に空き時間が発生するため、圧延能率が低下するという問題があった。
上記の問題を解決するものとして、近年、冷却速度を大幅に向上させた斜方ノズルを用いる強冷却装置が開発された(例えば特許文献1)。
この強冷却装置は、搬送時間の短縮化を目的として、圧延機に極力近接させた状態で使用される。
特開2007−203370号公報
上記した強冷却装置は、圧延機の入側および/または出側に固定配置とされ、また冷却能率を上げるために冷却ヘッダーを鋼板面に極力接近させた状態で使用される。
ところで、一般に、鋼板の圧延においては、圧延の不均一等に起因して圧延の途中で上反りや下反りが発生する場合があるが、鋼板の厚みが肉厚の段階で上反りが発生すると、上反りした鋼板先端が冷却ヘッダーに衝突し、冷却装置を破損させるという重大な問題が生じるおそれがあった。
かような破損が生じた場合、その回復のためにその都度修理を施す時間が必要になり、圧延能率の大幅な低下を招く。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、仮に圧延の途中で上反りが発生したとしても、冷却装置の破損を効果的に回避することができる構造になる厚鋼板の冷却装置を提案することを目的とする。
上記の問題を解決する手段として冷却装置の底部に、冷却装置を被圧延材の衝突から保護するためのプロテクターを設けることが考えられる。
しかしながら、ただ単にかようなプロテクターを設けただけでは、上反りの発生が肉厚の段階で、衝突の際に多大のエネルギーを受ける場合には、やはり冷却装置の破損が免れ得ない。
そこで、本発明では、かような多大なエネルギーが付加されるおそれのある場合には、冷却装置を正規の設置位置から退避させておくことにより、上記の問題を解決するものとした。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.厚板圧延機の入側および/または出側に設置され、被圧延材に対し冷却水を射出する冷却ヘッダーをそなえる冷却装置であって、該冷却装置が、台車に冷却ヘッダーを搭載した構造になり、厚板圧延機の入側および/または出側において圧延ラインに沿って敷設したレール上を前進・後退移動させて、該厚板圧延機に対する接近・退避移動を可能ならしめる移動手段をそなえると共に、該厚板圧延機に対する接近・退避移動時期を、被圧延材の板厚100mmを基準として判断する移動時期制御手段をそなえることを特徴とする厚鋼板の冷却装置。
本発明によれば、厚板圧延において、鋼板の板厚がまだ厚肉の段階で上反りが生じた場合に懸念される冷却装置の破損を効果的に防止することができ、その結果、破損に伴う修理作業や圧延能率の低下を回避することができる。
また、本発明によれば、冷却装置を退避可能としたことにより、従来、非常に難しかった冷却装置の下部に設けられた機器の保全作業を簡便に行えるという効果もある。
以下、本発明を図面を用いて具体的に説明する。
図1に、本発明に従う冷却装置を圧延機の片側に配置した圧延ラインを斜視面で示す。図中、符号1は圧延機、2はテーブルローラ、3は被圧延材(鋼板)であり、4で冷却装置全体を示す。冷却装置4において、符号5が台車、6が冷却ヘッダー、7がレールであり、台車5は冷却ヘッダー6ともどもレール7上を前進・後退移動可能に設置されている。なお、8はCRシャワーである。
図示したところにおいて、鋼板3はテーブルローラ2上を往復移動する間に、冷却装置4により冷却されつつ圧延機1により所定の厚さまで圧延される仕組みになっている。なお、冷却装置4は冷却能率向上の観点から、図示したとおり、圧延機1に極力近接した配置とされる。
次に、圧延の途中で上反りの発生が懸念される場合における冷却装置の退避動作を、図2を参照しつつ説明する。
図2(a)は、冷却装置を厚板圧延機の後方に退避させた状態を示したものである。なお、冷却装置4の底面には、通常、冷却ヘッダー6を保護するためにプロテクター(図示省略)が設けられている。
さて、圧延の途中に、上反りが発生した場合に、上反りの先端はプロテクターに衝突することになる。この際、衝突する鋼板の板厚が薄く、衝突による衝撃エネルギーが小さい場合には、かかる衝撃エネルギーはプロテクターで十分に支えることができるけれども、上反りが生じた鋼板が厚肉、例えば板厚が100mm以上にも及ぶ厚板の場合には、衝突による衝撃エネルギーは極めて大きいため、プロテクターごと鋼板に押され、その結果、冷却装置4は破損する。
そこで、本発明では、鋼板の厚みが、上反りの発生により冷却装置の破損をもたらすおそれのある厚肉の段階では、圧延中の鋼板先端がプロテクターに衝突しない地点まで冷却装置を退避させておくのである。
これにより、鋼板が肉厚100mm以上の厚肉段階で上反りが発生したとしても、冷却装置が破損することはない。
そして、圧延が進み、鋼板の板厚が、上反りの発生によりその先端がプロテクターに衝突したとしても、破損のおそれがない厚みとなった段階で、冷却装置を正規の位置まで前進させて冷却を開始するのである。
図2(b)に、冷却装置を正規位置まで前進させた状態を示す。
本発明で対象とする厚板圧延では、上反り部が衝突した際にその衝撃エネルギーによりプロテクターが破損するおそれがあるのは、板厚がだいたい100mm程度までである。従って、板厚が100mmまで薄くなるまでは冷却装置を退避させておく必要がある。
圧延が進み、板厚が100mm以下となり、上反り部の衝突によってもプロテクターの破損が回避できるようになったら、冷却装置を圧延機に向け前進させて冷却を開始する。この際、冷却能率向上のためには、冷却ヘッダーを鋼板面に極力接近させた状態で冷却を行うことが好ましい。
上記したように、本発明では、冷却装置を厚板圧延機に対して接近または退避移動させる時期を、鋼板の板厚100mmを基準として判断する。従って、冷却装置には、鋼板の板厚に基づいて冷却装置の移動を自動的に判断する移動時期制御手段を設けておく
また、冷却装置の移動方式としては、モータ駆動で台車を動かす方式や、シリンダーなどのアクチュエーターで駆動する方式などが特に有利に適合する。
また、上記の例では、本発明を厚板圧延に適用した場合について主に説明したが、本発明はそれだけに限るものではなく、厚板工場や熱延工場での冷却装置として適用できるのはいうまでもない。
本発明に従う冷却装置を圧延機の片側に配置した圧延ラインを示す斜視図である。 冷却装置を厚板圧延機の後方に退避させた状態(a)および冷却装置を正規位置まで前進させた状態(b)を示す模式図である。
符号の説明
1 圧延機
2 テーブルローラ
3 被圧延材(鋼板)
4 冷却装置
5 台車
6 冷却ヘッダー
7 レール
8 CRシャワー

Claims (1)

  1. 厚板圧延機の入側および/または出側に設置され、被圧延材に対し冷却水を射出する冷却ヘッダーをそなえる冷却装置であって、該冷却装置が、台車に冷却ヘッダーを搭載した構造になり、厚板圧延機の入側および/または出側において圧延ラインに沿って敷設したレール上を前進・後退移動させて、該厚板圧延機に対する接近・退避移動を可能ならしめる移動手段をそなえると共に、該厚板圧延機に対する接近・退避移動時期を、被圧延材の板厚100mmを基準として判断する移動時期制御手段をそなえることを特徴とする厚鋼板の冷却装置。
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