JP5217770B2 - 厚鋼板の冷却装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、この冷却装置は、冷却速度が遅いだけでなく、鋼板の冷却設備への搬送に時間を要するという問題があった。
その結果、冷却待機を余儀なくされ、圧延機の稼働に空き時間が発生するため、圧延能率が低下するという問題があった。
この強冷却装置は、搬送時間の短縮化を目的として、圧延機に極力近接させた状態で使用される。
ところで、一般に、鋼板の圧延においては、圧延の不均一等に起因して圧延の途中で上反りや下反りが発生する場合があるが、鋼板の厚みが肉厚の段階で上反りが発生すると、上反りした鋼板先端が冷却ヘッダーに衝突し、冷却装置を破損させるという重大な問題が生じるおそれがあった。
かような破損が生じた場合、その回復のためにその都度修理時間が必要になり、圧延能率の大幅な低下を招いていた。
しかしながら、ただ単にかようなプロテクターを設けただけでは、上反りの発生が肉厚の段階で、衝突の際に多大のエネルギーを受ける場合には、やはり冷却装置の破損の回避は困難と考えられる。
そこで、発明者らはさらに、かような多大なエネルギーが付加された場合でも破損を回避する方法について検討を重ねた結果、衝突の際にプロテクターに付加されるエネルギーを効果的に緩和できる装置構造を開発し、本発明を完成させるに到った。
1.厚板圧延機の入側および/または出側に設けた冷却装置であって、該厚板圧延機に対し、圧延ラインに沿って設けたレール上を接近・退避移動が可能な台車をそなえ、該台車に冷却ヘッダーを固定して設置すると共に、該台車の底部に、該冷却ヘッダーを被圧延材の衝突から保護するプロテクターを設け、該プロテクターに対し被圧延材の衝突により一定値以上の負荷が作用した場合にその負荷を受けて台車を後退移動させること、および、台車を載せるレール長さは、鋼板の衝突により台車に加えられたエネルギーを吸収可能なレール長とすることを特徴とする厚鋼板の冷却装置。
3.前記台車が後退するレール後退位置に緩衝装置を設置することを特徴とする前記1に記載の厚鋼板の冷却装置。
図1に、本発明に従う冷却装置を圧延機の片側に配置した圧延ラインを斜視面で示す。図中、符号1は圧延機、2はテーブルローラ、3は被圧延材(鋼板)であり、4で冷却装置全体を示す。冷却装置4において、符号5が台車、6が冷却ヘッダー、7がレールであり、台車5は冷却ヘッダー6ともどもレール7上を前進・後退移動可能に設置されている。なお、8はCRシャワーである。
図示したところにおいて、鋼板3はテーブルローラ2上を往復移動する間に、冷却装置4により冷却されつつ圧延機1により所定の厚さまで圧延される仕組みになっている。なお、冷却装置4は冷却能率向上の観点から、図示したとおり、圧延機1に極力近接した配置とされる。
図2(a)は、従来の冷却装置を厚板圧延機の片側に設けた場合である。構成の骨子は、図1に示した装置と共通するので、同一の符合を付して示し、図中番号9が冷却ヘッダー6を搭載した固定式の架台、また番号10が架台の底部に設けたプロテクターである。
この例のように、冷却装置4を台車式にして、冷却ヘッダー6を搭載した架台5がレール7上を移動可能とすることにより、鋼板が厚肉、例えば板厚が100mm以上にも及ぶ厚鋼板の段階で上反りが生じ、極めて大きな衝撃エネルギーがプロテクター10に作用したとしても、ある一定値以上の衝撃エネルギーが付加された場合には、冷却装置4は台車5を介して後退移動することになる。従って、冷却装置4には一定値以上の負荷がかかることはない。なお、図中5−1は台車の車輪である。
このように、プロテクター10の破壊許容度を上回る一定値以上の負荷がかかった場合には、台車5そのものを後方に移動させることにより、冷却装置4の破壊を免れることができる。
この例では、冷却ヘッダー6を搭載した架台は、架台の厚板圧延機側が、それとは反対側の架台端部を支軸として、図中に矢印で示すように上方に回動可能な構造になっている。図中、符号11が回動式の架台である。
従って、鋼板が厚肉、例えば板厚が100mm以上にも及ぶ厚鋼板に上反りが生じ、極めて大きな衝撃エネルギーがプロテクターに作用した場合には、架台の衝突した側が上方に回動して、プロテクター10に対する一定値以上の負荷を回避できるので、これにより上記と同様に冷却装置4の破壊を免れることができる。
なお、衝突により後退した台車は、自動的に元の位置に戻る仕組みとすることが好ましい。
なお、この場合に、回動の支軸になる圧延機と反対側の架台端部に設けた回転機構をバネ仕掛けとし、一定値以上の負荷がかかった場合には、その力で架台の回動が容易に行われる仕組みとすることが好ましい。
そして、架台の所定位置への復帰が必要となった場合には、自動またはわずかの力の手動で架台が元の位置に戻るような仕組みとすることが好ましい。
2 テーブルローラ
3 被圧延材(鋼板)
4 冷却装置
5 台車
5-1 車輪
6 冷却ヘッダー
7 レール
8 CRシャワー
9 固定式の架台
10 プロテクター
11 回動式の架台
Claims (3)
- 厚板圧延機の入側および/または出側に設けた冷却装置であって、該厚板圧延機に対し、圧延ラインに沿って設けたレール上を接近・退避移動が可能な台車をそなえ、該台車に冷却ヘッダーを固定して設置すると共に、該台車の底部に、該冷却ヘッダーを被圧延材の衝突から保護するプロテクターを設け、該プロテクターに対し被圧延材の衝突により一定値以上の負荷が作用した場合にその負荷を受けて台車を後退移動させること、および、台車を載せるレール長さは、鋼板の衝突により台車に加えられたエネルギーを吸収可能なレール長とすることを特徴とする厚鋼板の冷却装置。
- 厚板圧延機の入側および/または出側に設けた冷却装置であって、該厚板圧延機に近接して配置した架台に冷却ヘッダーを固定して設置し、該架台の該厚板圧延機側が、その反対側を支軸として上方に回動可能な構造にすると共に、該架台の底部に、該冷却ヘッダーを被圧延材の衝突から保護するプロテクターを設け、該プロテクターに対し被圧延材の衝突により一定値以上の負荷が作用した場合にその負荷を受けて架台の厚板圧延機側を上方に回動させることを特徴とする厚鋼板の冷却装置。
- 前記台車が後退するレール後退位置に緩衝装置を設置することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の冷却装置。
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