JP5217714B2 - 光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法及びこれから得られるワニスを用いてなる光導波路アンプ - Google Patents

光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法及びこれから得られるワニスを用いてなる光導波路アンプ Download PDF

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Description

本発明は、光導波路アンプの光導波路用材料として好適なワニスの製造方法、及びこれから得られるワニスを用いてなる光導波路アンプに関する。
従来、光信号の長距離伝送を可能にする技術として、伝送過程で減衰する光信号の強度を中継増幅する光導波路アンプ(光増幅器)が知られている。この光導波路アンプは、一般的に、希土類金属が添加(ドープ)された石英ガラスやポリマーからなる光導波路(コア部)を有するものであり、強度が減衰した信号光は、当該光導波路を通る際に、信号光よりも大きいエネルギーを有する励起光(ポンプ光)により励起された希土類金属から放出される信号光波長相当の光により増幅されることになる。上記希土類金属は、増幅させる光信号の波長に応じて、プラセオジム(Pr、1.3μm帯)、エルビウム(Er、1.55〜1.61μm帯)、ツリウム(Tm、1.45及び1.65μm帯)等が用いられている。この中でも、エルビウムは通信で好適に用いられる波長帯の光を増幅させる点から、好ましく用いられている。
一方、エルビウムの励起効率を高くするために、増感剤としてイッテルビウム(Yb)が共添加されたガラスが知られている。
近年では、上記光導波路アンプを小型、軽量化するための開発が活発に行われており、例えば、有機化合物が希土類金属に配位した錯体(複合体)をポリマー中に高濃度で添加することで、信号光の増幅効果を向上させ、増幅に必要な光導波路長を短縮すること等が行われている(特許文献1〜5参照)。
特開2000−208851号公報 特開2003−258340号公報 特開2005−064025号公報 国際公開第06/004187号パンフレット 特開2006−222403号公報
しかし、YbがErと共に添加されたガラスにおいて、Erの励起効率を上げるためには、YbをErの30倍近く添加する必要があり、実用向けではない。
ところで、光導波路用材料として、耐熱性、耐湿性に優れ、かつ光通信波長帯(1.3〜1.6μm)において非常に高い透明性を有するフッ素化ポリイミドが知られている。本願発明者等は、フッ素化ポリイミドの前駆体ワニス中に、従来から知られている希土類金属の複合体の添加を試みるとゲル化してしまいワニスが調整できないこと、そのため薄膜形成が困難となり、生産レベルではフッ素化ポリイミドを光導波路アンプの光導波路用材料として用いることはできないことを見出した。
そこで、本発明は、光ドーピング用材料としての希土類金属、特にエルビウムを高濃度で添加し、且つ増感剤としてイッテルビウムを適量共添加することで、光増幅効率が高いフッ素化ポリイミド前駆体のワニス、及びこれを用いた光導波路アンプを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明者等は、エルビウムの塩(以下、「Er塩」ともいう)とイッテルビウムの塩(以下、「Yb塩」ともいう)とを予めカルボン酸化合物と混合して光ドーピング用材料を得、該混合物をフッ素化ポリイミド前駆体ワニスに添加することで、エルビウムイオンを高濃度で添加でき、適量のイッテルビウムイオンで増感性が効率よく得られ、且つ透明な薄膜が得られるワニスを作製することに成功し、本発明を為すに至った。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(11)に記載の事項をその特徴とするものである。
(1)下記(a)及び(b)工程を含む、光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
(a)エルビウム(Er)の塩とイッテルビウム(Yb)の塩とカルボン酸化合物とを、有機溶媒中にて混合し、光ドーピング用材料を得る光ドーピング用材料生成工程、
(b)前記光ドーピング用材料とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスとを混合して、光ドーピング用材料含有ワニスを得るワニス合成工程。
(2)前記エルビウムの塩と前記イッテルビウムの塩の配合量が、モル比で1:1〜1:6であることを特徴とする上記(1)に記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
(3)前記エルビウムの塩が、酢酸エルビウムである上記(1)又は(2)に記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
(4)前記イッテルビウムの塩が、酢酸イッテルビウムである上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
(5)前記カルボン酸化合物が、トリフルオロ酢酸である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法で得られた光ドーピング用材料含有ワニスを用いて形成された光導波路を少なくとも備える、光導波路アンプ。
(7)前記光導波路のコア部におけるエルビウムの濃度が0.01〜50質量%である上記(6)に記載の光導波路アンプ。
本発明によれば、エルビウムイオンが高濃度で添加され、イッテルビウムイオンによる増感性が効率よく得られ、且つ透明薄膜を作製することが可能なフッ素化ポリイミド前駆体のワニスを提供することが可能となり、その結果、従来よりも小型、軽量で、増幅効率に優れた光導波路アンプを提供することが可能となる。
本発明における光ドーピング用材料含有ワニスは、下記(a)及び(b)の工程を含む製造方法により得られる。
(a)エルビウム(Er)の塩とイッテルビウム(Yb)の塩とカルボン酸化合物とを、有機溶媒中にて混合し、光ドーピング用材料を得る光ドーピング用材料生成工程、
(b)前記光ドーピング用材料とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスとを混合して、光ドーピング用材料含有ワニスを得るワニス合成工程。
これによれば、エルビウムをフッ素化ポリイミド前駆体ワニス中に高濃度で分散させることができ、且つイッテルビウムの添加量を多くしなくともエルビウムに対する高い増感性を有することが可能となる。
エルビウムは1.55〜1.61μm帯の光を増幅させ、またイッテルビウムはエルビウムの0.98μm励起帯を等価的に広げるため、エルビウムの増感剤としてガラスに共添加して利用できることは既に知られている。しかし、前述のように、Ybが増感剤として効力を発揮するには、イッテルビウムの添加量は、エルビウムの30倍(モル換算)以上である。
本発明者等は、イッテルビウムが効率的にエルビウムを増感させるには、光導波路アンプとしたとき、あるいはワニスの状態で、両者の距離間が重要であることを予測した。つまり、ガラスにおいては、エルビウムとイッテルビウムの存在距離が離れているため、ガラス中にイッテルビウムを多く配合させないと、エルビウムの光増幅を増感させることが難しいと考えた。本発明者等は、光導波路アンプとしたとき、あるいはワニスの状態で、両者の存在距離が近ければ、例え、両者が光ドーピング用材料内で均一に分散されていなくとも、また、エルビウムに対してイッテルビウムを多量に加えなくとも、効率的にエルビウムの光増幅性を上げることができると予測した。そこで、鋭意検討した結果、Er塩とYb塩とカルボン酸化合物とを、有機溶媒中にて混合した混合物を光ドーピング用材料に用いると、エルビウムとイッテルビウムがモル比で1対1であっても、効率的にエルビウムの光増幅を増感させることが可能であることを見出した。つまり、Er塩とYb塩とカルボン酸化合物とを有機溶媒中で混合することにより、エルビウムとイッテルビウムとが互いに近い距離で存在した化合物となることが考えられる。
以下、各成分について詳細に説明する。
<Er塩>
本発明におけるEr塩としては、特に限定されないが、例えば、エルビウムの硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩等を用いることができ、この中でもエルビウムの酢酸塩であることが好ましい。また、上記Er塩は、110〜120℃で1〜2時間程度脱水したものであることが好ましい。
<Yb塩>
本発明におけるYb塩としては、特に限定されないが、例えば、イッテルビウムの硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩等を用いることができ、この中でもイッテルビウムの酢酸塩であることが、熱安定性が高く、有機溶媒への溶解性が高いことから好ましい。また、上記Yb塩は、110〜120℃で1〜2時間程度脱水したものであることが好ましい。
<カルボン酸化合物>
本発明におけるカルボン酸化合物としては、特に限定されないが、そのpKa値(水中、25℃における酸解離定数)が1.5以下であるものが好ましく、1.0以下であるものがより好ましい。このpKa値が1.5を超えるカルボン酸化合物を用いた場合には、ワニスがゲル化してしまう傾向にある。
また、上記カルボン酸化合物は、その沸点が300℃未満のものであることが好ましく、また、上記有機溶媒の沸点以下のものであることが好ましい。上記カルボン酸化合物の沸点が300℃を超えるもしくは有機溶媒の沸点を超えるものであると、本発明におけるのワニスからなる膜中に余剰のカルボン酸化合物が残存し易くなる。
また、上記カルボン酸化合物は、その構造中に脂肪族C−H結合を含まないものであることが好ましい。光導波路用材料中に脂肪族C−H結合が含まれると、励起された希土類金属イオン、特にエルビウムイオンから放出される光を当該結合が振動エネルギーとして吸収してしまうため、所望の増幅効果を得ることができない(振動失活)。従って、脂肪族C−H結合を含むカルボン酸化合物は、ハロゲン等によりC−H結合の水素を置換しておくことが好ましい。具体的には、上記カルボン酸化合物として、下記一般式(I)又は下記一般式(II)
Figure 0005217714
(式中、Xは0〜5の整数、Yはハロゲンであって、各々のYは同じでも異なっていても良い。)
Figure 0005217714
(式中、Xは0〜5の整数、Yはハロゲンであって、各々のYは同じでも異なっていても良い。)
で表されるカルボン酸化合物を用いることが好ましい。Yはフッ素、塩素が好ましい。
上記式(I)又は(II)で表される化合物として具体的には、トリフルオロ酢酸(TFA)フルオロクロロ酢酸(C(FCl)COOH)、ブロモクロロ酢酸(C(BrClH)COOH)、ペンタフルオロプロパン酸(FPA)、ヘプタフルオロブタン酸(FBA)、トリデカフルオロヘプタン酸(FHA)、トリクロロ酢酸、ペンタフルオロ安息香酸等が挙げられる。より好ましくは、一般式(I)又は(II)のXが0〜2のカルボン酸化合物であり、特に好ましくはトリフルオロ酢酸(TFA)である。
<本発明のワニスの製造方法>
本発明における光ドーピング用材料含有ワニスは、下記(a)及び(b)の工程を含む製造方法により得られる。
(a)エルビウム(Er)の塩とイッテルビウム(Yb)の塩とカルボン酸化合物とを、有機溶媒中にて混合し、光ドーピング用材料を得る光ドーピング用材料生成工程、
(b)前記光ドーピング用材料とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスとを混合して、光ドーピング用材料含有ワニスを得るワニス合成工程。
次に各工程について、説明する。
(a)光ドーピング用材料生成工程
(a)光ドーピング用材料生成工程に用いられるEr塩、Yb塩、カルボン酸化合物は前述したものが挙げられる。
(a)光ドーピング用材料生成工程において、用いられる有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γーブチロラクトン、プロピレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングルコールモノエチルエーテル、プロピレングルコールモノプロピルエーテル、プロピレングルコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
(a)光ドーピング用材料生成工程において、上記Er塩と上記Yb塩とカルボン酸化合物とを有機溶媒中混合させる方法としては、特に制限はなく、上記Er塩と上記Yb塩とカルボン酸化合物とを有機溶媒中に混合すればよい。もちろん、有機溶媒中に上記Er塩を含む溶液と、有機溶媒中に上記Yb塩を含む溶液と、有機溶媒中にカルボン酸化合物を含む溶液とを混合してもよい。
上記(a)光ドーピング用材料生成工程において、Yb塩の使用量は、Er塩を基準にしてモル換算で1〜6当量であるのが好ましく、より好ましくは1.0〜4当量である。この範囲でYb塩を使用することにより、効率よくエルビウムの光増幅を増感させることができる。
このようにしてEr塩とYb塩とカルボン酸化合物とを有機溶媒中で混合することにより、ワニスの状態としたとき、あるいは光導波路アンプとしたときに、エルビウムとイッテルビウムが互いに近くに存在した光ドーピング用材料が得られると考えられ、多量のYbを添加せずとも効率よくエルビウムの光増幅を増感することができる。なお、Er塩とYb塩とカルボン酸化合物とを混合する方法や条件は特に限定されない。
上記カルボン酸化合物は、Er塩とYb塩の各希土類金属1モルに対して3〜6モルの範囲となるように配合することが好ましく、3〜4.5モルの範囲となるように配合することがより好ましい。上記カルボン酸化合物の配合量を上記範囲とすることで、ワニスのゲル化を効果的に抑制することが可能となる。理論上は、カルボン酸化合物は希土類金属1モルに対して3モルで足りるため、過剰に配合しても過剰分を分離精製することになることから、各希土類金属1モルに対して3〜6モルが好ましい。
なお、本発明における光ドーピング用材料は、Er塩とYb塩とを同じカルボン酸化合物と有機溶媒中で混合して得られるが、異なるカルボン酸化合物と有機溶媒中で混合した2つ以上の組み合わせであっても構わない。具体的には、Er塩とYb塩と第一のカルボン酸化合物とを、有機溶媒中で混合して得られた第一の光ドーピング用材料と、Er塩とYb塩と第二のカルボン酸とを、有機溶媒中で混合して得られた第二の光ドーピング用材料を併用して用いることができる。
Er塩とYb塩とカルボン酸化合物とを有機溶媒中で混合しておくことで、Er塩とYb塩を直接フッ素化ポリイミド前駆体ワニスに添加した場合に生じるゲル化を抑制することが可能となる。
本発明の光ドーピング用材料は、(a)工程で得られる混合溶液を溶液のまま用いることも可能である。また、(a)工程で得られた混合溶液から有機溶媒を留去して、固体として取り出してもよい。有機溶媒の留去方法は特に制限されないが、有機溶媒だけでなく、原料であるカルボン酸化合物も同時に留去されることが好ましい。あるいは、得られた混合溶液をそのまま、(b)ワニス合成工程において、フッ素化ポリイミド前駆体ワニスと混合することが可能である。
(c)ワニス合成工程
本発明の製造方法により得られたワニスは、上記光ドーピング用材料とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを含むことをその特徴とするものであり、例えば、上記光ドーピング用材料を混合溶液のまま、フッ素化ポリイミド前駆体ワニスを混合することによって得ることができ、また、上記光ドーピング用材料中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを重合させてフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを合成することによって得ることもできる。なお、前者の場合、フッ素化ポリイミド前駆体ワニスの合成で使用した溶媒と上記光ドーピング用材料を生成する際に用いる有機溶媒が同一のものであることが好ましく、また、後者の場合、(a)工程で用いる有機溶媒は、フッ素化ポリイミド前駆体ワニスの合成で使用される公知の溶媒であることが好ましい。また、光ドーピング用材料は、固体状態でフッ素化ポリイミド前駆体ワニスと混合しても良い。
本発明の製造方法により得られたワニスは、製膜性に優れ、なおかつエルビウムイオンを高濃度に含ませることも可能であるため、光導波路アンプの光導波路(コア部)用材料として好適であり、これを塗布、硬化させてなる膜は、フッ素化ポリイミドの膜と同様、優れた強度や透明性を示す。
フッ素化ポリイミド前駆体ワニスに添加する際に、エルビウムとイッテルビウム以外のその他の希土類金属の塩とカルボン酸化合物とを有機溶媒中にて混合して得られた他の光ドーピング用材料を併用して添加しても良い。この場合、前記(a)工程において、Er塩とYb塩とそれ以外の希土類金属塩(以下、「他の希土類金属塩」ともいう)とを同一フラスコ内で有機溶媒中にてカルボン酸化合物と混合して得られる、他の希土類金属を含有した光ドーピング用材料を併用して用いても良い。あるいは、前記(a)工程と同様に、異なるフラスコで他の希土類金属塩をカルボン酸化合物と混合して、他の光ドーピング用材料としたものをワニスに混合しても良い。なお、後者の場合、他の希土類金属塩と混合するカルボン酸化合物は、Er塩とYb塩と混合したカルボン酸化合物と異なっていてもよい。
なお、他の希土類金属塩の希土類金属とは、ランタニド類(ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ルテチウム(Lu))、スカンジウム及びイットリウムを指し、本発明においては、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ツリウム(Tm)が有用であり、好ましい。また、上記他の希土類金属塩は、110〜120℃で1〜2時間程度脱水したものであることが好ましい。
上記光ドーピング用材料とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスの配合比は、所望するフッ素化ポリイミド膜中の、エルビウムイオンとイッテルビウムイオンと、それ以外の希土類金属イオンの濃度を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、ワニスのゲル化抑制や製膜性、光増幅効果等を考慮すると、フッ素化ポリイミド前駆体ワニス100質量部に対して光ドーピング用材料0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%配合することがより好ましい。
また、本発明の製造方法により得られたワニスは、特に、上記光ドーピング用材料を含有するフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを調整する際にゲル化等の不均化を生じさせること無く均一に上記光ドーピング用材料が分散した状態を実現することができることに特徴がある。したがって、本発明の製造方法により得られたワニスを成膜することによって、上記光ドーピング用材料を均一に分散させた樹脂膜を得ることができる。均一分散を実現するために、上記光ドーピング用材料に特段の特徴を有している。その意味で、本発明における光ドーピング用材料は、フッ素化ポリイミド前駆体ワニスをマトリックスとするワニスに好適に利用されるが、フッ素化ポリイミド系以外の樹脂をマトリックスとするワニスにも利用可能であることは言うまでも無い。すなわち、本発明の製造方法により得られたワニスは、本発明における光ドーピング用材料と、マトリックスとしてフッ素化ポリイミド系以外の樹脂もしくはその前駆体ワニスとを混合したものをも包含する。
上記フッ素化ポリイミド系以外の樹脂(以下、マトリックス用樹脂)としては、光学用途として一般的に用いられ、その成形物が透明性を有するものであれば特に制限はない。具体的には、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリシクロオレフィン、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエン等の(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテル等のポリエーテル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート等のポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、ポリスルフィド等が好ましく挙げられ、これらは単独又は2種以上併用して用いることもできる。
上記の他にも、ポリイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体変性物、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸エステル系ゴム、ポリイソブチレン、アタクチックポリプロピレン、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、エチレンセルロース、ポリアミド、シリコーン系ゴム、ポリクロロプレン等の合成ゴム類、シリコーン、ポリビニルエーテル等が適用可能であり、これらは単独又は2種以上併用して用いることもできる。
また、シリコーン樹脂や、ポリシラン、ポリシラザン、ゾルゲル法による有機無機ハイブリッド樹脂等を用いることもできる。
上記マトリックス用樹脂は、用途に応じて適切に選択されることが必要である。本発明の光導波路アンプ用途にあっては、使用される波長域における透明性が考慮される必要がある。ここで、使用される波長域とは、励起光に使用する波長域と信号光として使用される波長域との両者について考慮されるべきである。
光導波路アンプの製造工程や使用環境等で耐熱性を要求される用途では、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリキノリン系樹脂等が好ましい。ポリイミド系樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂等が挙げられる。
光導波路アンプで用いられる励起光は、信号光に比べて光強度が大きい光源が使用されるため、励起光源に対する耐性、長期信頼性等も考慮して、マトリックス樹脂が選択されるべきである。この観点でも、励起光による温度上昇等を考慮して、上述のような耐熱性の高い樹脂を選定することが好ましい。
光導波路アンプに用いられる光源の波長が近赤外線領域の場合には、透明性の観点からフッ素を含む樹脂を用いることが好ましい。フッ素を含む樹脂としては、非晶質のフッ素樹脂を好適に用いることができる、例えば、デュポン社製のテフロンAF(登録商標)や、旭硝子社製のサイトップ等が挙げられる。そして、透明性と耐熱性とを兼ね備えるという観点からは、やはりフッ素化ポリイミドが最も好ましい。なお、本発明において、「フッ素化ポリイミド」とは、フッ素を構造中に有するポリイミド系樹脂のことであり、例えば、フッ素を有するポリイミド樹脂、フッ素を有するポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、フッ素を有するポリエーテルイミド樹脂、フッ素を有するポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
また、光導波路アンプを製造するにあたっては、光導波路としてのコア層とクラッド層を積層しなければならないことを考慮してマトリックス用樹脂を選択することが必要である。すなわち、コア層とクラッド層を成膜によって積層する場合にあっては、上層を成膜する際に下層が溶解するもしくは、下層とインターミキシングを起こす等の問題を回避できる樹脂ならびに製造方法を選択する必要がある。この観点では、成膜時もしくは成膜後の適切な処理によって下層が架橋等して不溶化する樹脂や成膜時もしくは成膜後の反応によって溶剤に対する溶解性が変化して不溶化する樹脂を選定することが好ましい。前者の例としては、狭義での熱硬化性樹脂、すなわち、ネットワーク構造を構成する樹脂(具体的には、エポキシ樹脂硬化物、アクリル系熱硬化性樹脂硬化物、フェノール樹脂硬化物、メラミン樹脂硬化物等、又はこれらを混合硬化した硬化物等)や分子間架橋を生じる樹脂が挙げられる。また、後者の例としては、ポリアミド酸等のポリイミド前駆体ワニスを挙げることができ、当該前駆体ワニスは、200〜400℃の熱処理でポリアミド酸骨格構造がポリイミド骨格構造に変化し、溶剤に対して不溶となる。このポリアミド酸としては、特に限定されないが、脂肪族C−H結合の水素がフッ素により置換されたフッ素化ポリアミド酸が好ましく、下記一般式(III)
Figure 0005217714
(式中、nは1である)
で表されるフッ素化ポリアミド酸であることがより好ましい。
ポリイミド前駆体ワニスは、通常、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの反応により得られ、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの少なくとも一方がフッ素を有するものであれば、フッ素化ポリイミド前駆体ワニスとなる。ジアミン成分とカルボン酸二無水物成分とはほぼ等モルとして反応させることが好ましく、反応温度は、通常0〜40℃とされ、反応時間は、通常30分〜50時間の範囲とされる。なお、本発明では、特に断らない限り、全フッ素化ポリイミドも部分フッ素化ポリイミドもフッ素化ポリイミドとして表現する。
フッ素を有するテトラカルボン酸二無水物の例としては、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2−ビス{(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、等が挙げられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
フッ素を有しないテトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル3,4,3″,4″−テトラカルボン酸二無水物、m−ターフェニル3,4,3″,4″−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8,テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−スルホニルジフタル酸二無水物、3,3′,4,4′−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3′−4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、1−(2,3−ジカルボキシフェニル)−3−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物)、プロパンジオールビス(トリメリット酸無水物)、ブタンジオールビス(トリメリット酸無水物)、ペンタンジオールビス(トリメリット酸無水物)、ヘキサンジオールビス(トリメリット酸無水物)、オクタンジオールビス(トリメリット酸無水物)、デカンジオールビス(トリメリット酸無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホンビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、等が挙げられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
フッ素を有するジアミンの例としては、4−(1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パ−フルオロ−1−ブタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−ペンタフルオロフェノキシ−1,3−ジアミノベンゼン、4−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−フルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ドデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、(2,5−)ジアミノベンゾトリフルオライド、ビス(トリフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノテトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロヘキシル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロブチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス{2−〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロイソプロピル}ベンゼン2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、オクタフルオロベンジジン、ビス{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジ(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラ(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラフロオロ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラ(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−p−テルフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラフロオロ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフルオロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス〔{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−3,4,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−クロロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−3−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メチル−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−クロロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ブロモ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−3,4,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−クロロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−3−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メチル−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−クロロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ブロモ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン等が挙げられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
フッ素を有しないジアミンの例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジイソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジイソプロピル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′,5,5′−テトラブロモ−4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス−(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス−(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、ビス−(4−アミノフェノキシフェニル)ビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−4−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3′−スルホンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル−4−スルホンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルメタン−3−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルメタン−4−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルメタン−3′−スルホンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルメタン−4−スルホンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン−3−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン−4−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン−3′−スルホンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン−4−スルホンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルサルファイド−3−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルサルファイド−4−スルホンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルサルファイド−4−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルサルファイド−3′−スルホンアミド、1,4−ジアミノベンゼン−2−スルホンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−4−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3′−カルボンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル−4−カルボンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルメタン−3−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルメタン−4−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルメタン−3′−カルボンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルメタン−4−カルボンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン−3−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン−4−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン−3′−カルボンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン−4−カルボンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルサルファイド−3−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルサルファイド−4−カルボンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルサルファイド−4−カルボンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルサルファイド−3′−カルボンアミド、1,4−ジアミノベンゼン−2−カルボンアミド、4−アミノフェニル3−アミノ安息香酸、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフインオキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−ブチルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、2,4−ビス−(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス−(p−β−アミノ−t−ブチル−フェニル)エーテル、ビス−(p−β−メチル−γ−アミノ−ペンチル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、プロピレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4′−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシ−ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノアイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、等が挙げられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、ジアミンの一部として、シリコンジアミンを使用してもよい。シリコンジアミンとしては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,1−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,1−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,1−テトラメチルジシロキサン等がある。シリコンジアミンを使用するときは、これらは、ジアミンの総量に対して、0.1〜10モル%使用するのが好ましい。上記のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンは二種以上を併用してもよい。ポリイミド系樹脂の前駆体ワニス溶液として、感光性を有するものを使用することもできる。
また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物成分を反応させる場合、極性溶媒中の水が多いと両者が反応しにくく、所定の粘度が得られなくなるが、光導波路アンプ等光導波路用材料、光増幅機能を利用する光学材料、電子部品材料への適用に適したフッ素化ポリイミド前駆体ワニスの粘度は、塗膜強度、塗膜厚等から、1ポイズ以上が好ましく、より好ましくは5ポイズ以上、特に10ポイズ以上であることが好ましい。粘度が1ポイズ以上のフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを得るには、反応時における極性溶媒中の水含有量を0.05質量%以下にすることが好ましく、より好ましくは水含有量を0.03質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下とされる。水含有量の少ない極性溶媒は、モレキュラーシーブ等の脱水剤を極性溶媒中に添加して保管することにより得られる。
また、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を反応させて得られるフッ素化ポリイミド前駆体ワニスは、40〜80℃に加熱して所望の粘度に調整するが、この加熱調整前に水分を添加すると、低温で保存したときに粘度安定性の優れたフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを得ることができる。水の添加量は、粘度安定性の点から、フッ素化ポリイミド前駆体ワニス中の水含有量が0.13質量%以上1.0質量%以下になるよう添加することが好ましく、0.20質量%以上1.0質量%以下になるよう添加することがより好ましく、0.25質量%以上1.0質量%以下になるよう添加することが特に好ましい。なお、当該水含有量は、極性溶媒に含まれる水の量も考慮する。フッ素化ポリイミド前駆体ワニス中の水含有量が0.13質量%未満の場合、低温でフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを保存すると、増粘を生じる傾向にある。一方、フッ素化ポリイミド前駆体ワニス中の水含有量が1.0質量%を超えると、ポリイミド塗膜を形成した時に塗膜が白化しやすくなる。なお、塗膜の白化は、希土類金属の塩、又はその錯体とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスとの相溶性に関係したものであり、ワニスのゲル化とは無関係と考えられる。
本発明の製造方法により得られたワニスの固形分(コア層)におけるエルビウムの含有量は、当該ワニスを用いて作製される硬化物(膜)の透明性、誘導放出による増幅率、屈折率等を使用形態に応じて適宜決定すればよく、特に制限はないが、0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜40質量%の範囲であることがより好ましい。さらに好ましくは、0.5〜20質量%、より好ましくは、1.0〜10質量%である。なお、ワニスの固形分(コア層)におけるイッテルビウムの含有量は、上述したとおり、エルビウムの1〜6当量が好ましい。
光導波路アンプの光導波路を構成する場合には、光導波路の長さが長ければ、すなわち、光信号の増幅に寄与する長さが長ければ、本発明の製造方法により得られたワニスの固形分(コア層)中のエルビウムの含有量が少量でも光アンプとしての効果を得ることができる。この場合には、ワニスが光ドーピング用材料を含有することによる透明性の低下、すなわち、光損失の増大を最小限にとどめることができる上、光ドーピング用材料含有による屈折率の増大をも少なくすることができるので、コアとクラッドの屈折率差を小さくとった光導波路アンプを実現することができ、その結果、通常の光ファイバとの接続における結合損失を低減することができる。従来の希土類(特にエルビウム)添加光ファイバでは、コアとクラッドとの比屈折率差が大きくなるため、光ファイバとの接続での損失が大きくなる問題があった。これを回避するためには、接続部をTEC処理等特殊な処理を施す等工程を追加する必要があり、製造コストの増大を招いていた。
一方、従来、ワニスの固形分(コア層)中の光ドーピング用材料の含有量を多くすると、すわなち、エルビウムの含有量を多くすると、濃度消光やマルチフォノン緩和によって、蛍光が失活してしまい、励起エルビウムイオンが発光過程以外の形でエネルギーを失ってしまい増幅効果が得られないという問題点があった。しかし、本発明では、後述の実施例に示すとおり、ワニスの固形分(コア層)中にエルビウムが高濃度に含まれていても失活することなく、蛍光を観測することができる。このように、高濃度にエルビウムを含有することができるのは、本発明の効果のひとつであり、また、エルビウムが高濃度に含まれていると、単位長さあたりの増幅率を高めることができ、短尺でも所定の光増幅率を得ることができる。さらに、本発明の製造方法により得られたワニスは、イッテルビウムを含有することにより、エルビウムの光増幅を増感させることができる。つまり、イッテルビウムで効率よく増感されるエルビウムを高濃度に含有した、本発明の製造方法により得られたワニスを用いて光導波路アンプの光導波路を構成すれば、光導波路アンプを小型化でき、なおかつ製造コストを大幅に低減することが可能となる。
なお、上記エルビウムの含有量は、本発明の製造方法により得られたワニスもしくはその硬化物を空気(酸素)雰囲気下、900℃まで昇温速度10〜50℃/分で加熱し、熱分解して得られる残渣(酸化物(Er)の質量を測定し、エルビウムの質量を算出する)より正確に測定できる。イッテルビウムの含有量も同様に測定できる。
また、本発明の製造方法により得られたワニスを熱や光等で硬化させて得られる硬化物の形状は、使用形態に応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、本発明における光導波路アンプとして用いる場合には、薄膜状であることが望ましい。また、空間結合タイプや微小光学素子として光アンプやレーザ、レーザを用いた位置決めセンサ等の各種センサを構成する場合には、バルク状、ブロック状又はリング状等の形状に加工して用いることもできる。また、本発明における光ドーピング用材料もしくは本発明の製造方法により得られたワニスを液状のままで、励起レーザと組合わせて光アンプやレーザを構成することもできる。
<光導波路アンプ>
本発明の光導波路アンプは、上記本発明の製造方法により得られたワニスを用いて形成された光導波路(コア部)を少なくとも備えることをその特徴とするものであり、エルビウムイオンを高濃度に含む本発明の製造方法により得られたワニスを用いることで、前述のとおり、光導波路アンプの小型、軽量化を実現することが可能となる。また、信号光は、励起光と共に本発明の光導波路アンプのコア層内部を通過させることで増幅させることができ、この際に用いる励起光の波長は、コア層に含まれるエルビウムが吸収し、且つイッテルビウムが増感作用を有する980nm付近(970〜990nm)とする。
図1に、基板1、当該基板1上に形成された下部クラッド層2、当該下部クラッド層2上に本発明の製造方法により得られたワニスを用いて形成されたコア層3及び当該コア層3上に形成された上部クラッド層4を備える本発明の光導波路アンプの一実施形態を示す。
本発明の光導波路アンプの構成を得るためには、少なくとも、本発明の製造方法により得られたワニスを、塗布法、成型法、ラミネート法等公知の方法により塗布し、200〜400℃で熱処理してこれを硬化させ、コア層を形成する。通常のシングルモード光ファイバを入出力として用いた光導波路アンプを構成する場合には、光導波路アンプ部の光モードフィールドと光ファイバ部の光モードフィールドを合致させるためにコア層の厚さ、幅を小さくすることが好ましいため、スピンコート等薄膜の膜厚を正確に制御できる方法が好ましい。また、本発明の製造方法により得られたワニスからなる被膜を公知の方法により、エッチングあるいは光を含む電磁波や電子線を含む粒子線の照射によって光回路パターンを有する光導波路を形成することもできる。
また、上記基板としては、石英、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリン等からなるものを用いることができ、特に限定されない。なお、図1では、上記基板と下部クラッド層とを異なる層として記載してあるが、基板自身を下部クラッド層として機能させることも可能である。すなわち、図1の下部クラッド層を省略した構成とすることができる。この場合には、光導波路コア層の屈折率が基板の屈折率よりも大きく選択されるべきであることは、言うまでも無い。また、例えば、シリコン基板を用い、当該基板表面の酸化膜層をクラッド層として用いることもできる。このようにすると、安価に得られるシリコンウェハの平坦性を有効に活用することができ、好ましい。
また、上記クラッド層は、本発明の製造方法により得られたワニスにより形成されたコア層よりも屈折率の小さな層であればよく、例えば、前述のマトリックス用樹脂や、硬化物の屈折率がコア層よりも小さくなる本発明の製造方法により得られたワニスを用いて形成することができる。
前者の場合、すなわち、コア層のみに本発明の製造方法により得られたワニスを採用した場合には、高Δ(比屈折率差)の光導波路を実現することが容易となるという利点がある。高Δとすることで、特に、励起光を同軸で入射する場合においては、コア領域への光の閉じ込めを強くすることができるため、増幅効率を大きくとることが可能となり、好ましい。また、後述するように、チャネル型光導波路を構成する場合等に、高Δな光導波路とすることで、曲げ損失の増加を低減することが可能となるため、曲率半径の小さな曲げ光導波路を採用することもでき、光導波路アンプのサイズを小型化することが可能である。一方、閉じ込めが強すぎる、すなわち、コアとクラッドとの比屈折率差が大きくなりすぎると、通常の光ファイバを信号光の入出力として使用した場合に、接続損失が大きくなってしまうので、コア層、クラッド層の構成は、光アンプ全体としての要求増幅率、寸法、コスト等を総合的に加味して決定すべきである。コアとクラッドとの比屈折率差が大きくなりすぎる場合には、例えば、クラッド層を構成する樹脂として、コア層を構成するマトリックス樹脂(フッ素化ポリイミド)よりも屈折率が大きいものを採用して調整することが好ましく、温度依存性、偏波依存性、波長依存性等を考慮すると、さらにコア層を構成するマトリックス樹脂と同種で構造が異なるものを採用して調整するのが好ましい。共重合組成を連続的に変化させられるポリイミド樹脂の場合には、好適にクラッドとコアを選択することが可能である。
従来の希土類添加光ファイバでは、希土類イオンのみを添加した場合には、多くの場合、添加前に比べて屈折率が高くなるが、本発明のように、Er塩やYb塩等の希土類イオンを、カルボン酸化合物と混合して得られた混合物(以下、「希土類イオンの有機化合物」ともいう)を光ドーピング用材料として添加する場合においては、カルボン酸化合物の組成、構造などによって、屈折率を高める効果には差がある。カルボン酸化合物としてTFAと混合したフッ素化合物を上記希土類イオンの有機化合物として用いることで、屈折率を高める効果を低減することができる。これは、フッ素原子の導入によって分子容が大きくなる効果によるところが大きい。そこで、本発明のように、カルボン酸化合物としてフッ素化合物を採用することは、フッ素を含まない化合物を採用する場合に比べて、コア層とクラッド層との比屈折率差が過剰に大きくなることを防ぐことができるため好ましい。
一方で、上述のように、希土類イオンや希土類イオンの有機化合物を添加した場合の屈折率は、希土類イオンの有機化合物添加前の樹脂の屈折率によるので、たとえ、希土類イオンの有機化合物の添加による屈折率の増分が大きすぎるような場合であっても、本発明のように、樹脂として、共重合組成によって屈折率を連続的に変化させられる樹脂を利用した場合には、通常の樹脂選択とは反対に、クラッド層に用いる希土類イオンの有機化合物添加前の樹脂の屈折率を、コア層に用いる希土類イオンの有機化合物添加前の樹脂の屈折率に比べて高い樹脂を採用することで、比屈折率差を過剰になりすぎないように調整することが可能である。なお、通常のコア層、クラッド層の樹脂の選択では、コア層の屈折率をクラッド層の屈折率より高くなるように選択している。この場合、最終的に希土類イオンの有機化合物添加樹脂であるコア層の屈折率が希土類イオンの有機化合物添加樹脂であるクラッド層の屈折率に比べて高くなる範囲で樹脂を選択し、かつ、上述の結合損失が過大とならない程度とすることが好ましい。ここで、コア層に用いる希土類イオンの有機化合物添加前の樹脂の屈折率とクラッド層に用いる希土類イオンの有機化合物添加前の樹脂の屈折率との選択は、希土類イオンの有機化合物の添加量とは、独立に選択することができるので、最終的な光導波路の比屈折率差を所望の値に調整するための設計範囲が格段に広がることになる。同質の樹脂でありながら、共重合比を変えることで他の物性を損なうことなく連続的に屈折率を変化させることができることが有効に活用されている。
一方、石英ガラス、フッ化物ガラス、特殊ガラスなどを母材として、希土類イオン添加ガラスを得る場合などでは、母材のガラスの選択範囲が必ずしも広くないため、本発明のような屈折率調整方法を採用することが困難であったため、上述のように、接合部分において、TEC処理など特殊な結合方法を採用する必要があった。また、従来のガラス母材の希土類イオン添加ガラスにおいては、そもそも、希土類イオンの添加濃度に限界があり、低濃度で用いられることが多かった。
また、本発明においては、最終的に希土類イオンの有機化合物添加樹脂であるコア層の屈折率が希土類イオンの有機化合物非添加樹脂であるクラッド層の屈折率に比べて高くなる範囲で樹脂を選択し、かつ、上述の結合損失が過大とならない程度とすることもできる。
また、後者の場合、すなわち、コア層とクラッド層の双方を本発明の製造方法により得られたワニスを用いて形成する場合、両者を形成する本発明の製造方法により得られたワニス中の光ドーピング用材料の含有量は、同一であっても異なっていてもよく、屈折率とコアサイズ、励起波長、信号波長の設計にあわせて適宜選択すればよい。また、この場合、コア層及びクラッド層の各マトリックス樹脂を光ドーピング用材料非添加の場合の屈折率差を基礎として、光導波路設計を実施することが可能なので容易に低Δ光導波路を構成することができる。したがって、通常の光ファイバを入出力手段として用いた場合に、接続損失を小さく抑えることができ、好都合である。また、コア層、クラッド層共に同濃度に光ドーピング用材料を添加した樹脂を採用することで、特に耐熱性が低いマトリックス樹脂を採用した場合等に、光ドーピング用材料の拡散による、光増幅性能の長期的劣化を免れることができる。
また、コア層やクラッド層には、公知の透明高分子組成物、各種ガラス、金属酸化物、半導体酸化物等の無機材料が含まれていてもよく、用途に応じた選択をすることができる。
また、本発明の製造方法により得られたワニス中の光ドーピング用材料含有量が十分大きい場合には、単位長さあたりの増幅率を大きくとることができるので、必ずしも、図1のような光導波路構成をとる必要はなく、例えば、入出力2本の光ファイバの間隙に本発明の製造方法により得られたワニス硬化物を配置する構成とすることも可能となる。この構成の場合、単位長さあたりの増幅率と光アンプとしての要求増幅率とによって2本の光ファイバ間のギャップが決まることとなるが、単位長さあたりの増幅率が大きい場合には、両光ファイバには、コリメータ等の集光手段を設ける必要がないため、部品点数が低減でき、製造コストが下がるので好ましい。集光手段を必要としないギャップ幅は、例えば、100μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以下である。100μmを超える場合には、上記コリメータやレンズ等の集光手段を設けることが望ましい。また、スラブ光導波路型で光導波路アンプの光導波路部分を提供する場合には、上下方向は伝搬光が閉じ込められるが、横方向(基板面に水平で、信号光の伝搬方向に垂直な方向)には伝搬光が閉じ込められないので、長尺で設計する場合には、コリメータ等を併用することが望ましい。
また、上記光ファイバ2本を入出力とする場合と同様の構成であるが、ギャップ部分に通常の光導波路(増幅作用を有しない)を採用し、その光導波路の光路を横切るように溝を形成して、その溝部に本発明のワニス硬化物を挿入する(例えば、図3)、もしくは、本発明の製造方法により得られたワニスを溝に流し込んで硬化させる等の方法によって、溝部を充填した光導波路アンプを実現することもできる。この場合は、溝部の寸法を正確に製造することができ、好ましい。
また、光導波路アンプの光導波路部分として、3次元光導波路を構成することもできる。この構成では、スラブ型光導波路の場合と異なり、横方向にも光の閉じ込めを実現することができるので、長尺にわたっても、伝搬光の漏れもしくは回折広がりを防ぐことができ、好ましい。また、この場合、励起光を同軸照射する構成の場合に必要となる、励起光と信号光との合分波機能を合分波光導波路として、上記光導波路アンプの3次元光導波路部分と集積化することが容易なため、光アンプ全体としての小型化にとって好ましい。
また、本発明の光導波路アンプ、図2に示すように、コア層3上もしくは光導波路アンプ10上に、コア層3に光を入射するための光入射手段たる光入射用プリズム6と、コア層3から光を取り出すための光出射手段たる光出射用プリズム7を備えていてもよい。光の入射角度は、コア層3内で光が全反射し光が導波する範囲内の角度とする。なお、入射させる光は、励起光ならびに信号光の両者もしくは、いずれか一方である。励起光ならびに信号光の両者をプリズム介して入射する場合には、それぞれの波長に応じて、入射角度を設定する必要がある。励起光ならびに信号光の両者もしくは、いずれか一方の光をプリズムから入出力させる場合では、他方は、光導波路端部から入出力することができる。また、コア層に光を入射するための光入射手段、光出射手段の両者もしくは、一方に光ファイバを備えていてもよい。コア層は、フォトリソグラフィ、成型等公知の方法によって、パターン形成された3次元光導波路を構成していてもよい。光ファイバを備えた光導波路アンプを構成する場合には、光導波路アンプを設ける部分と一体の基板上に光ファイバ実装用のガイド溝を配置することが、光ファイバの実装を容易にできる(パッシブ実装)ため、好ましい(例えば、図3)。
本発明の光導波路アンプは、前述のとおり、光導波路の少なくともコア層が、本発明の製造方法により得られたワニスからなり、励起光の照射により、イッテルビウムにより増感したエルビウム(イオン)の電子が励起され、増幅始準位に緩和したのち、信号光による誘導放出によって信号光強度を増幅するものである。したがって、光導波路アンプを構成するためには、本発明の製造方法により得られたワニスからなる光導波路部分と光導波路へ光信号を入出力するための光ファイバもしくは光導波路が接続されるとともに、光増幅機能部位に励起光を照射する手段をもって構成される。励起光照射手段は、光導波路に対して横から照射することもできるし(例えば、図4)、光導波路を共通の導波路として、同軸的に照射することもできる。従来の希土類(特にエルビウム)添加光ファイバアンプでは、同軸励起が通例採られていたのは、エルビウム(イオン)の添加濃度を高濃度化することが困難であったこともその一因である。本発明では、高濃度にエルビウム(イオン)を添加するだけでなく、イッテルビウムで効率よくエルビウムの光増幅を増感させることができるので、励起光照射方法は適宜決定することができる。
また、本発明の光導波路アンプの光導波路コア層の厚みは、特に限定されないが、1〜50μmであることが好ましく、2〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましく、2〜7μmであることがさらに好ましい。コア層の厚みが50μmを超えると、光導波路アンプの厚みが大となり、また、基板との膨張係数の差に基づく応力によるそりが発生しやすくなる。また、コア層全体の厚みの均一性が達成されにくくなる。なお、コア層の厚さは、樹脂溶液の濃度、粘度、スピナの回転数等を変えることにより所定の厚さに制御する。
また、コア層の厚みは、検出光の入射、出射手段をも考慮して決定すべきであり、例えば、シングルモード光ファイバを入射及び出射、入射もしくは出射手段のいずれかに用いる場合では、一般には伝送路である光ファイバとの整合性を考慮し、コア層の厚みを5μm前後とすることが多い。また、例えば、マルチモード光ファイバを入射及び出射、入射もしくは出射手段のいずれかに用いる場合では、一般には伝送路である光ファイバとの整合性を考慮し、コア層の厚みを50μm前後とすることが多い。
また、光導波路コア層の厚さは、コア層とクラッド層との比屈折率差、使用波長等によっても適宜選択されるものであるが、信号光を入出力する光ファイバもしくは光導波路との結合損失を低減するように設計されることが好ましい。例えば、FTTHに用いられる波長域、すなわち、1.3μm帯、1.49μm帯、1.55μm帯等の信号光に対する光アンプを構成する場合、光導波路のコア層の厚さが4〜10μmの範囲にあるときの光導波路アンプ部の比屈折率差は、0.3〜3%程度であることが好ましく、0.3〜1%であることがより好ましく、さらに好ましくは、0.3〜0.5%である。このように設計することによって、通常の光ファイバを信号入出力に好適に用いることができ、接続部での結合損失を小さく抑えることができる。なお、この屈折率は、光ドーピング用材料の配合量等により制御することができる。また、コア層の厚みが1〜50μmの範囲にあるときの、励起光照射前の光導波路部分の、波長1200〜1600nmにおける光伝搬損失は、5dB/cm以下であることが好ましく、3dB/cmであることがより好ましく、さらに好ましくは、1dB/cm以下である。なお、上記では、光導波路のコア層の厚みについて説明したが、3次元光導波路コアを採用する場合には、これらの記述は、コアの横方向の幅にも同様に適用できることは、言うまでも無い。
また、光導波路アンプの光導波路部分は、透明性、すなわち、伝搬損失が小さいことを兼ね備えている必要がある。光導波路の伝搬損失は、通例dB/cmの単位で示される。すなわち、伝搬距離が長いほど光導波路としての伝搬損失は大きくなる。一方で、光導波路アンプの増幅率もまた、通例dB/cmの単位で示される。光導波路の伝搬損失と増幅率とは、符号が異なるため、打ち消しあう。増幅率の絶対値が伝搬損失の絶対値を上回ることが好ましい。このため、光導波路アンプの大きさと共に光増幅率とによって要求される光導波路としての透明性は異なるが、全長でのトータルの伝搬損失が10dB以下であることが好ましい。更に好ましくは、全長でのトータルの伝搬損失が3dB以下である。特に好ましくは、全長でのトータルの伝搬損失が1dB以下である。すなわち、光導波路アンプの光導波路部の全長が、1cmである場合には、コア層に用いる光ドーピング用材料含有樹脂の伝搬損失(励起光を照射していない状況の伝搬損失)は、10dB/cm以下であることが好ましく、3dB/cm以下であることがより好ましく、1dB/cm以下であることが特に好ましい。また、光導波路アンプの光導波路部の全長が、10cmである場合の伝搬損失は、1dB/cm以下であることが好ましい。
<光特性の評価>
本発明における光ドーピング用材料は、下記の方法で光特性を評価することができる。
まず、光特性の評価に用いる測定サンプルとしての光導波路を作製する。測定サンプルとしての光導波路は、図5(a)に示すように、シリコンウェハ、石英、ポリイミド等の基板1(ワニスの効果温度である350℃以上の加熱に耐えられれば、材質は限定されない)、好ましくは酸化膜付きシリコンウェハ、より好ましくは、厚み1μmの酸化膜を持つ総厚み1mmのシリコンウェハの基板1上に、接着性向上のための表面処理剤や、必要な場合は、波長1.5ミクロン帯において本発明の製造方法により得られたワニスからなる膜よりも低屈折率な有機重合体をスピンコート法等により塗布(好ましくは5μm以上)し、熱又は紫外線により硬化(乾燥、縮合・重合・架橋反応)させ下部クラッド層又は接着補助膜となる膜2を形成する。なお、ここでいう接着補助膜とは、例えば、シランカップリング剤による表面改質層や、コア層3に用いられる材料に対して親和性の良い材料による層を用いることで、コア層3との接着性を向上させるための膜である。特に、屈折率がコア層よりも小さい材料は下部クラッド層として働く(図5の(b))。次に前記下部クラッド層又は接着補助膜となる膜2上に本発明のワニスをスピンコート法等により塗布し、同様に熱又は紫外線により硬化(乾燥、縮合・重合・架橋反応)させ、コア層3を形成する(図5の(c))。
次にダイシングソー((株)ディスコ製、オートマチックダイシングソーDAD−522等)を用い、前記コア層3を幅10〜20μm残すように、余分な部分を切削する(図5の(d))。好ましくは、側面を垂直にするため、シリコンウェハ等の基板1まで切削したほうが良い。続いて、光導波路方向と垂直な方向において(導波路長となる)所定の長さにおいて切削し、光導波路測定サンプル11を得る。図6に示すように、光導波路測定サンプル11を用いて、光特性評価を行う。詳細は図8を用いて後述する。
なお、接着性の問題により、切削時に剥離が見られる膜に関しては、例えば、ポリイミドフィルムの場合、イミド化前の温度、約200℃において乾燥のみを行ったのちに切削を行い、続いて350℃等においてイミド化を行う方法を採用することで、剥離の問題を解決することが出来る。
なお、図7は図5の断面図を示す。
光導波路測定用サンプルは、光ドーピング用材料として、例えば、酢酸エルビウムと、酢酸イッテルビウムと、トリフルオロ酢酸とを有機溶媒中に混合して得、それに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル及び2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物からなるフッ素化ポリイミド前駆体ワニスを混合したワニスより作製されたものである。
ヘリウムネオン(He−Ne)レーザ(波長632.8nm)を光導波路測定サンプルに結合した場合の出力側光導波路端面における近視野像を観察し、導波を確認する。
上記で得られた光導波路測定サンプルを用いて、図8に示すように、光特性評価を行う。励起する光源としては、波長980nm又は1480nmの半導体レーザを用いる。
信号光源としては波長1460〜1625nmの間で任意に選択可能な波長可変レーザを用いる。信号光源からの出射光はシングルモード光ファイバに結合され、光ファイバ端面等からの戻り光による光源の安定性への影響をなくす為、光を一方向にのみ透過する光アイソレーターを通過させる。励起光源からの出射光は同様にシングルモード光ファイバに結合される。続いて、励起光及び信号光はWDM(波長分割多重方式, Wavelength Division Multiplexing)カプラーにより、1本のシングルモード光ファイバに合波される。続いて、合波された励起光及び信号光は前記記載の方法で作製された光導波路に結合される。光導波路からの出射光は同様にシングルモード光ファイバに結合され、WDMカプラーにより分波される。分波された信号光は異なる光アイソレーターを通過し、分光器及び検出器等に結合され、蛍光発光スペクトルや信号光強度変化が測定される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら記載に限定されるものではない。
<フッ素化ポリイミド前駆体ワニスの合成>
(合成例1)
1リットルのガラス製の4つ口フラスコを用い、30ml/分の流量で乾燥窒素を通しながら、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル95.7g、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル6.7g、及び水含有量が0.008質量%のN,N−ジメチルアセトアミド375gを仕込み、溶解した後に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物147.6gを添加し、氷浴で1時間攪拌後、N,N−ジメチルアセトアミド375gを追加して、12時間撹拌して粘度800ポイズの含フッ素ポリイミド系前駆体溶液を得た。この溶液に水3.0gを添加した後、65℃で3時間撹拌し、粘度70ポイズのフッ素化ポリイミド前駆体ワニス1を得た。この溶液の水含有量は0.4質量%であった。
(合成例2)
1リットルのガラス製の4つ口フラスコを用い、30ml/分の流量で乾燥窒素を通しながら、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル62.8g、及び水含有量が0.008質量%のN,N−ジメチルアセトアミド850gを仕込み、溶解した後に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物87.2gを添加し、室温で15時間撹拌して粘度800ポイズの含フッ素ポリイミド系前駆体溶液を得た。この溶液に水3.0gを添加した後、65℃で3時間撹拌し、粘度50ポイズのフッ素化ポリイミド前駆体ワニス2を得た。この溶液の水含有量は0.4質量%であった。
(合成例3)
1リットルのガラス製の4つ口フラスコを用い、30ml/分の流量で乾燥窒素を通しながら、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル40.2g、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル16.8g、及び水含有量が0.008質量%のN,N−ジメチルアセトアミド225gを仕込み、溶解した後に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物93.0gを添加し、氷浴で1時間攪拌後、N,N−ジメチルアセトアミド625gを追加して、12時間撹拌して粘度800ポイズの含フッ素ポリイミド系前駆体溶液を得た。この溶液に水3.0gを添加した後、65℃で3時間撹拌し、粘度50ポイズのフッ素化ポリイミド前駆体ワニス3を得た。この溶液の水含有量は0.4質量%であった。
(合成例4)
1リットルのガラス製の4つ口フラスコを用い、30ml/分の流量で乾燥窒素を通しながら、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル46.6g、及び水含有量が0.01質量%のN−メチル−2−ピロリドン850gを仕込み、溶解した後に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物103.4gを添加し、室温で15時間撹拌して粘度800ポイズの含フッ素ポリイミド系前駆体溶液を得た。この溶液に水3.0gを添加した後、65℃で3時間撹拌し、粘度100ポイズのフッ素化ポリイミド前駆体ワニス4を得た。この溶液の水含有量は0.4質量%であった。
<光ドーピング用材料の調整>
(調製例1)
酢酸エルビウム4水和物及び酢酸イッテルビウム4水和物をバキュームオーブン中で温度120℃、減圧度約10mmHgの条件下に2時間加熱し、結合水を除去した。その後、乾燥した酢酸エルビウム2.00g及び酢酸イッテルビウム2.03gをナス型フラスコに秤取し、乾燥したジメチルアセトアミド(DMAc)16gを添加した後、室温にて攪拌して酢酸エルビウム及び酢酸イッテルビウムを分散させた。これに酢酸エルビウム及び酢酸イッテルビウムの各々に対して三倍モルのトリフルオロ酢酸(TFA)3.97gを添加した。室温にて攪拌しながら均一に溶解したことを確認後、約1時間同温度を保持したまま攪拌した。
その後、この混合溶液を90℃にて減圧して揮発分を除去した。固体が析出したことを確認した後、直ちに45℃の減圧真空装置で約5mmHgにて約4時間乾燥させて、光ドーピング用材料1を7.9g得た。
なお、光ドーピング用材料1において、エルビウムとイッテルビウムのモル比は1:1である。
(調製例2)
酢酸イッテルビウムを加えずに、TFAを1.99gとした以外は、調製例1と同様に光ドーピング用材料2を得た。
(調製例3)
酢酸エルビウム4水和物をバキュームオーブン中で温度120℃、減圧度約10mmHgの条件下に2時間加熱し、結合水を除去した。その後、乾燥した酢酸エルビウム2.00gをナス型フラスコに秤取し、乾燥したジメチルアセトアミド(DMAc)8gを添加した後、室温にて攪拌して酢酸エルビウムを分散させた。これに酢酸エルビウムに対して三倍モルのトリフルオロ酢酸(TFA)1.95gを添加した。室温にて攪拌しながら均一に溶解したことを確認後、約1時間同温度を保持したまま攪拌した。
その後、この混合溶液を90℃にて減圧して揮発分を除去した。固体が析出したことを確認した後、直ちに45℃の減圧真空装置で約5mmHgにて約4時間乾燥させて、第一の混合物aを得た。
続いて、酢酸イッテルビウム4水和物をバキュームオーブン中で温度120℃、減圧度約10mmHgの条件下に2時間加熱し、結合水を除去した。その後、乾燥した酢酸イッテルビウム2.03gをナス型フラスコに秤取し、乾燥したジメチルアセトアミド(DMAc)8gを添加した後、室温にて攪拌して酢酸イッテルビウムを分散させた。これに酢酸イッテルビウムの各々に対して三倍モルのトリフルオロ酢酸(TFA)1.95gを添加した。室温にて攪拌しながら均一に溶解したことを確認後、約1時間同温度を保持したまま攪拌した。
その後、この混合溶液を90℃にて減圧して揮発分を除去した。固体が析出したことを確認した後、直ちに45℃の減圧真空装置で約5mmHgにて約4時間乾燥させて、第二の混合物bを得た。
第一の混合物a、1gと第二の混合物b、1.02gを合わせて光ドーピング材料3とする。
なお、光ドーピング用材料3において、エルビウムとイッテルビウムのモル比は1:1である。
(実施例1)
<ワニスのゲル化の評価>
上記合成例1で得られたフッ素化ポリイミド前駆体ワニス1の10g(固形分量25%)に、上記の光ドーピング用材料1を0.666g添加し、室温で攪拌しながら溶解させた。その後、静置下に放置して脱泡して、均一でピンク色の透明液であるワニスAを得た。ワニスAは均一分散しており、ゲル化が生じることはなかった。
なお、光ドーピング用材料1はフッ素化ポリイミド前駆体ワニス1の固形分に対して26.6質量%であった(ワニスA中の固形分(フッ素化ポリイミド前駆体ワニス及び光ドーピング用材料の全質量)に対して21.0質量%)。また、ワニスA中のフッ素化ポリイミド前駆体ワニス固形分に対するのエルビウム濃度及び酢酸イッテルビウム濃度を酸化物(Er又はYb)換算で算出したところ、それぞれ5.0質量%、5.15質量%であった。
(実施例2)
<本発明のワニスを用いた光導波路アンプの作製と評価>
次いで、得られたワニスAを、スピンコータを用いて1μmの酸化膜付シリコン基板上に塗布し、100℃で1時間、200℃で1時間、350℃で2時間の条件で硬化させ、膜Aを作製した。
<光導波の観察>
上記で作製した酸化膜付シリコン基板上に膜Aが形成されたスラブ光導波路の膜Aに、プリズムカプラ法でプリズムを介して、波長632.8nm(He−Neレーザ)のビームを結合させたところ、光波が良好なストリークを示し直線的に伝搬している様子が観察された。また、出射プリズムを通して、良好なm−lineが観測された。このことから、上記光ドーピング用材料1は、上記ワニスA中においてフッ素化ポリイミドをマトリックスとして均一に分散されていることが確認できた。
<リッジ型光導波路の作製>
次に以下の方法で光導波路を作製した。厚み1μmの酸化膜を持つ総厚み1mmのシリコンウェハに、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製:KBM−573)をスピンコート法(1000rpm、30秒)により塗布し、120℃で10分間乾燥させた。ついで、上述のワニスAをスピンコート法(1000rpm、30秒)により塗布し、加熱(100℃において1時間、ついで200℃において1時間、ついで350℃において2時間)し、硬化させた。膜厚を探針式表面段差計(DEKTAK)により測定した結果、約8μmであった。次にダイシングソー((株)ディスコ製、オートマチックダイシングソーDAD−522等)を用い、前記膜を幅20μm残すように余分な部分を切削した。このようにして、断面8μm×20μmのリッジ型光導波路を得た。次に前記のダイシング方向と垂直方向に導波路の長さが2mmとなるように切断し、リッジ型光導波路1を得た。
<光特性の評価>
上記リッジ型光導波路を用い、コア径50μmのグレーデッドインデックス光ファイバを用い光導波路に結合し、波長977nmのレーザ(THORLABS社製、製品名:PL980P200)励起光として、0〜59.0mWにおける、波長1400〜1650nmのASE光強度スペクトルを評価した。結果を図9に示すように、波長1530nmをピークとする蛍光が確認された。蛍光スペクトルの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は約63nmであった。また、図10に示すように、励起光強度に比例して、ASE光強度が上昇した。
なお、図8に示す光学系を有する光導波路アンプを構成し、検出器としてリニアInGaAs(インジウムガリウム砒素)アレイ検出器(日本ローパー製、製品名OMA−V)を用い、上記リッジ型光導波路1の増幅特性の評価を行った。励起光をオフとした場合の出力信号強度に対する励起光をオンとした場合の出力信号の強度比を測定したところ、励起光強度の増加に伴い、波長1520nmにおける信号光強度増加にピークが見られた。
(比較例1)
<ワニスのゲル化の評価>
光ドーピング用材料1の代わりに、調製例2で得られた光ドーピング用材料2を0.331g添加する以外は、実施例1のワニスAと同様にワニスBを作製した。ワニスBは均一分散しており、ゲル化が生じることはなかった。なお、フッ素化ポリイミド前駆体ワニス1中の固形分に対するエルビウム濃度及び酢酸イッテルビウム濃度を酸化物(Er又はYb)換算で算出したところ、それぞれ5.0質量%、0質量%であった。
<光特性の評価>
ワニスBを用い、実施例2と同様にして光導波路長さが2mmのリッジ型光導波路2を作製して、蛍光特性の評価を行った結果を図10に示す。励起光強度を上げても、実施例2で得られたリッジ型光導波路2に比べ、ASE光強度がそれほど上がっていないことがわかる。
(比較例2)
<ワニスのゲル化の評価>
光ドーピング用材料1の代わりに、光ドーピング用材料3を用いる以外は同様にして、ワニスCを作製した。ワニスCは均一分散しており、ゲル化が生じることはなかった。なお、フッ素化ポリイミド前駆体ワニス1中の固形分に対するエルビウム濃度及び酢酸イッテルビウム濃度を酸化物(Er又はYb)換算で算出したところ、それぞれ5.0質量%、5.15質量%であった。
<光特性の評価>
ワニスCを用い、実施例2と同様にして光導波路長さが2mmのリッジ型光導波路3を作製して、蛍光特性の評価を行った結果を図10及び図11に示す。図11に示すように、波長1530nmをピークとする蛍光が確認された。蛍光スペクトルの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は約59nmであった。
しかし、図10からわかるように、励起光強度を上げるに従い、比例的にASE光強度も上がるが、実施例2で得られたリッジ型光導波路1に比べ劣っていることがわかる。
本発明の光導波路アンプの一構造形態を示す断面概略図。 本発明の光導波路アンプの一構造形態を示す断面概略図。 本発明の光導波路アンプの一構造形態を示す断面概略図。 本発明の光導波路アンプの一構造形態を示す断面概略図。 本発明における光ドーピング用材料の光特性の評価方法に用いる測定サンプルの図を示す。 本発明における光ドーピング用材料の光特性の評価方法に用いる測定サンプルの図を示す。 本発明における光ドーピング用材料の光特性の評価方法に用いる測定サンプルの断面図を示す。 本発明における光ドーピング用材料の光特性の評価方法を説明する図を示す。 実施例2で得られたリッジ型光導波路1のASE光強度を示すグラフ。 実施例2、比較例1及び比較例2で得られたリッジ型光導波路のASE光強度を示すグラフ。 比較例2で得られたリッジ型光導波路3のASE光強度を示すグラフ。
符号の説明
1 基板
2 下部クラッド層
3 コア層
4 上部クラッド層
5 光導波路
6 光入射用プリズム
7 光出射用プリズム
10 光導波路アンプ
11 光導波路測定サンプル

Claims (5)

  1. 下記(a)及び(b)工程を含む、光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
    (a)エルビウム(Er)の塩とイッテルビウム(Yb)の塩とカルボン酸化合物とを、有機溶媒中にて混合し、光ドーピング用材料を得る光ドーピング用材料生成工程、
    (b)前記光ドーピング用材料とフッ素化ポリイミド前駆体ワニスとを混合して、光ドーピング用材料含有ワニスを得るワニス合成工程。
  2. 前記エルビウムの塩と前記イッテルビウムの塩の配合量が、モル比で1:1〜1:6であることを特徴とする請求項1に記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
  3. 前記エルビウムの塩が、酢酸エルビウムである請求項1又は2に記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
  4. 前記イッテルビウムの塩が、酢酸イッテルビウムである請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
  5. 前記カルボン酸化合物が、トリフルオロ酢酸である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ドーピング用材料含有ワニスの製造方法。
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