JP5217404B2 - 光学シート、ディスプレイ用バックライト・ユニット及び表示装置 - Google Patents

光学シート、ディスプレイ用バックライト・ユニット及び表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、主にフラットパネルディスプレイに代表される光学表示装置における照明光路制御に使用される光学シート、これを用いたバックライト・ユニット及び表示装置に関するものである。
近年、TFT型液晶パネルやSTN型液晶パネルを使用した液晶表示装置は、主としてOA分野のカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。このような液晶表示装置においては、液晶パネルの背面側(観察者側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、いわゆるバックライト方式が採用されている。
この種のバックライト方式に採用されているバックライト・ユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFL)等の光源ランプを光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、導光板を用いないで光源ランプからの光を照射する「直下型方式」とがある。
導光板ライトガイド方式のバックライト・ユニットが搭載された液晶表示装置としては、例えば図15に示すものが一般に知られている。
この液晶表示装置は、上部に偏光板71,73に液晶素子72が挟まれた液晶パネルが設けられ、その下側に、略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板79が設置されており、導光板79の上面(光射出側)に拡散フィルム(拡散層)78が設けられている。
さらに、この導光板79の下面に、導光板79に導入された光を効率よく液晶パネル方向に均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部が印刷などによって設けられている(図示せず)と共に、散乱反射パターン部の下方に反射フィルム(反射層)77が設けられている。
散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO2)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンに印刷して乾燥、形成したものであり、導光板79内に入射した光に指向性を付与し、光射出面側へと導くようになっており、高輝度化を図るための工夫である。
また、導光板79には側端部に光源ランプ76が取り付けられている。光源ランプ76の光を効率よく導光板79中に入射させるべく、光源ランプ76の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター81が設けられている。
さらに、最近では、光利用効率をアップして高輝度化を図るべく、図16に示すように、拡散フィルム78と液晶パネルとの間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)74,75を設けることが提案されている。このプリズムフィルム74,75は導光板79の光射出面から射出され、拡散フィルム78で拡散された光を高効率で液晶素子72の有効表示エリアに集光させるものである。
しかしながら、図15に例示した液晶表示装置では、視野角の制御は、拡散フィルム78の拡散性のみに委ねられており、その制御は難しく、ディスプレイの正面方向の中心部は明るく、周辺部に行くほど暗くなる特性は避けられない。そのため、液晶画面を横方向から見たときの輝度の低下が大きく、光の利用効率の低下を招いていた。
さらに、図16に例示したプリズムフィルム74,75を用いる装置では、プリズムフィルム74,75が2枚必要であるため、プリズムフィルム74,75の光吸収による光量の低下が大きいだけでなく、部材数の増加によりコストが上昇する原因にもなっていた。
一方、直下型方式のバックライトユニットは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの表示装置に用いられている。
直下型方式の液晶表示装置としては、図17に例示する装置が一般的に知られている。この装置においては、上部に偏光板71、73に液晶素子72が挟まれた液晶パネルが設けられ、その下側に蛍光管等からなる光源51から射出され、拡散フィルム82のような光学シートで拡散された光を、高効率で液晶パネルの有効表示エリアに集光させるものである。 光源51からの光を効率よく照明光として利用するために、光源51の背面には、リフレター52が配置されている。
しかしながら、図17に例示する装置でも、視野角の制御は拡散フィルム82の拡散性のみに委ねられており、その制御は難しく、ディスプレイの正面方向の中心部は明るく、周辺部にいくほど暗くなる特性は避けられない。そのため、この場合も液晶画面を横方向から見たときの輝度の低下が大きく、光の利用効率の低下を招いていた。
そのため、一つの解決手段として、図18に示すように、拡散フィルム85の上に図19に示す米国3M社の登録商標である輝度強調フィルム(Brightness Enhancement Film:BEF)86を配置し、さらにその上に光拡散フィルム87を配置する装置が採用されている。ここでBEFとは、透明部材上に断面三角形状の単位プリズムが一方向に周期的に配列されたフィルムである。
このプリズムは光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。BEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。
ディスプレイの使用時(観察時)に、BEF86は軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させる。ここでいう「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。
プリズムの反復的アレイ構造が1方向のみの並列では、その並列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能である。水平面内で互いに直交する二方向での表示光の輝度制御を行なうために、プリズム群の並列方向が互いに略直交するように、2枚のBEF86を重ねて組み合わせて用いられる。
BEF86の採用により、ディスプレイ設計者が電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができるようになった。
BEF86に代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材をディスプレイに採用する旨が開示されている特許文献としては、下記特許文献1乃至3に例示されるように多数のものが知られている。
上記のようなBEF86を輝度制御部材として用いた光学シート88では、屈折作用によって、光源からの光が、最終的には、制御された角度でBEF86より出射されることによって、視聴者の視覚方向の光の強度を高めるように制御することができる。
しかしながら、このようなBEFを含む光学シートを用いても、視聴者の視覚方向と共に視聴者の視覚方向から外れた横方向に無駄に出射する、想定外の光線が存在する。そのため、BEF86を用いた光学シート88から出射される光強度分布は、図20の光強度分布図において破線で示すように、視聴者の視覚方向すなわち視覚方向Fに対する光の出射角度0°(軸上方向にあたる)における光強度が最も高められるものの、正面より±90°近辺に小さな光強度ピークが生じる光、即ちサイドローブが増えてしまうという問題がある。サイドローブ光は視覚方向から外れた横方向に無駄に出射される。
このような光強度ピークを有する輝度分布は望ましくなく、±90°近辺での無駄な光強度ピークのない図20で実線で示すような正規分布状の滑らかな輝度分布が望ましい。
また、軸上輝度のみが過度に向上すると、輝度分布の曲線のピーク幅が著しく狭くなり、視域が極端に限定されるため、ピーク幅を適度に拡げるために上述のようにプリズムシートとは別部材の光拡散フィルムを新たに併用する必要があり、部材数の増加を伴ってしまうという問題がある。
また、上述の光学シートは、光の利用効率の向上だけでなく、光源のムラの除去、ディスプレイの視域の確保など様々な機能が求められており、一般的には複数枚の光学シートを重ね合わせることによって構成されている。しかしながら、光学シートの構成枚数が多いとディスプレイの組立て時の作業が煩雑になり、また光学シートの間に付着するゴミの影響を受け易く、小型化や薄型化の妨げになるなどの問題がある。
一方、このような光学シートを備えた液晶表示装置では、軽量、低消費電力、高輝度、薄型であることが市場ニーズとして強く要請されており、それに伴い、液晶表示装置に搭載されるバックライト・ユニットも、軽量、低消費電力、高輝度であることが要求されている。
特に最近、目覚しい発展をみるカラー液晶表示装置においては、液晶パネルのパネル透過率がモノクロ対応の液晶パネルに比べて格段に低く、そのため、バックライト・ユニットの輝度向上を図ることが、装置自体の低消費電力を得るために必須となっている。
しかしながら、上述したように従来の装置では、高輝度、低消費電力の要請に充分に応えられているとは言いがたく、ユーザからは低価格、高輝度、高表示品位で、低消費電力の液晶表示装置を実現できるバックライト・ユニット及びディスプレイ装置の開発が待ち望まれている。
特公平1−37801号公報 特開平6−102506号公報 特表平10−506500号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高輝度で広い視野角を有する光学特性を備えた光学シート、この光学シートを用いたバックライト・ユニット及び表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による光学シートは、シート状で光透過性を有する基材の光が射出する側の一方の面に複数の単位レンズを配列してなるレンチキュラーを有する光学シートであって、単位レンズは、両側に湾曲側面を有する複数のプリズムレンズを単位レンズの配列方向に一部重ねて一体化した複合レンズ形状であると共に、単一のプリズムレンズのピッチをP0とし、単位レンズにおける一のプリズムレンズと隣接する他のプリズムレンズとの単位レンズの配列方向にずれた重ならない距離をシフト量Δとしたとき、
(1/5)P0≦Δ≦(2/3)P0 …(1)
となり、プリズムレンズの湾曲側面はそのレンズ形状が下記(2)式によって規定されることで形成されており、プリズムレンズの一端部から延びる湾曲側面の他端部における接線の基材の面に対する傾斜角度θが25°以上50°以下とされていることを特徴とする。
Figure 0005217404
また、上記(2)式において、単位レンズのピッチを1と正規化したとき、zは単位レンズの高さ方向の位置関数、rは前記単位レンズの幅方向の位置変数、係数kは、k=0で球面、−1<k<0で楕円、k=−1で放物面、k<−1で双曲面となり、1/Rはrにかかる係数であり、A、B、Cは補正項係数である。
本発明による光学シートによれば、単位レンズは湾曲側面を有する複数のプリズムレンズを一部重ねて一体化した複合レンズ形状で形成したから、複数のプリズムレンズの湾曲側面による集光効果が大きく高輝度で広い視野角を得られ、サイドローブを抑制できるために視覚方向を外れた無駄な光を低減できる。
しかも、単位レンズの湾曲側面が(2)式で規定するレンズ形状によって形成されているために集光効果を高めることができ、また湾曲側面の他端部での接線の傾斜角度θを25°〜50°の範囲に設定したことで集光効果と視野範囲のバランスを確保できる。しかも、湾曲側面は上記(2)式で規定する外側に凸をなす湾曲形状と傾斜角度θとがマッチした範囲でのみ集光効果と視野範囲のバランスがとれた光学シートが得られ、(2)式における各係数が規定した範囲から外れると集光効果が得られないか、或いはサイドローブが生じ易くなる。
また、プリズムレンズにおける湾曲側面の他端部は当該プリズムレンズの頂部に達していることが好ましく、これによって複数のプリズムレンズを一部重ねて複合化させた単位レンズの集光効果を高めることができる。
また、プリズムレンズにおける湾曲側面の他端部は当該プリズムレンズの頂部に到達しない途中位置にあり、他端部から頂部までのレンズ形状が略直線状であってもよい。
プリズムレンズの先端部のレンズ形状を直線状とすることで、この領域の視野範囲をより狭めて集光効果を高めることができる。
また、プリズムレンズの頂部は凸曲面形状であり、その曲率半径をRとしたとき、
R≦P0/5
であることが好ましい。このような構成は、湾曲側面が頂部に達するプリズムレンズや湾曲側面の他端部から頂部までが略直線状をなす山形形状のものにも採用できる。
プリズムレンズの頂部が例えば曲率半径Rをなす円弧状等の凸曲面状に形成されていることで視野範囲が広がり耐摩耗性が向上する。一方、頂部の曲率半径RがP0/5より大きいと輝度低下につながる。
また、プリズムレンズは両側の湾曲側面と先端部が頂部に対して対称なレンズ形状を有することが好ましく、これによって視野範囲と輝度とのバランスがとれる。
また、単位レンズはそのピッチ(P)が不規則なランダムに設定されていてもよく、或いは、単位レンズはそのピッチ(P)が不規則なランダムに設定されていると共にプリズムレンズのシフト量Δは(1)式の範囲内でランダムに設定されていてもよい。
これによってモアレの発生を抑制できる。
また、単位レンズは基材からのレンズ高さが一定であることが好 ましく、外観上におけるムラをなくすことができる。
また、隣り合う二つの単位レンズの間の谷部と、単位レンズの隣り合う二つのプリズムレンズの間の谷部とは、それぞれ凹曲面状に形成されていることが好ましい。
これにより、視野範囲が広がると共に谷部の谷線が見えずらくなることでモアレコントラスト低減の効果を期待できる。
本発明による光学シートは、基材における一方の面に対向する他方の面には、単位レンズ間の谷部に対向する位置に凸部が形成されていることが好ましい。
光学シートの基材における他方の面に、単位レンズ間の谷部に対向する位置に凸部を形成したことで単位レンズに対向する位置には凹部が形成されており、凹部内に空気層が形成されるため、輝度の低下を最小限に抑えることができる。しかも、凹部の両側に位置する凸部で光学シートを光拡散層と一体化することが可能になる。
また、凸部のピッチは単位レンズのピッチの整数倍であることが好ましく、これにより単位レンズと凹部との間にモアレを生じることはない。
更に、単位レンズ間の谷部と凸部の中心とのズレ量は、単位レンズピッチの10%以内とされていてもよい。
単位レンズ間の谷部と凸部の中心とのズレ量を単位レンズピッチの10%以内に収めることで、単位レンズの最も集光効果の高いレンズ中心部への入射面に空気層を確実に確保できるため単位レンズ中心部の輝度低下を最小限に抑えることができる。
本発明によるディスプレイ用バックライト・ユニットは、表示画像を規定する画像表示素子の背面に設けられている光源と、光源から光の出射方向前方に配設されている請求項1乃至13の何れか1項に記載の光学シートとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、上述した光学シートを採用することで、直下型やサイドエッジ型のバックライト・ユニットにおいて、隣接する光源同士の間に暗い箇所が生じる等の視認性に悪影響を与えることがなく高輝度の特性が得られる。
本発明による表示装置は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、画像表示素子の背面に設けられていて請求項14に記載のディスプレイ用バックライト・ユニットとを備えることを特徴とする。
本発明による表示装置によれば、視野角が広くサイドローブを抑えて高輝度の表示特性が得られ、しかも本発明による光学シートを採用したことで、薄型化できて強度が高く部品点数を低減できる。
上述したように、本発明に係る光学シートによれば、単位レンズの湾曲側面による集光効果が高く、しかもシフト量Δを(1)式で規定した範囲に設定したことで視野範囲を拡大できると共に高輝度でサイドローブを抑制して視覚方向を外れた無駄な光を低減できるという効果を奏する。
また本発明による光学シートを含むバックライト・ユニット及び表示装置によれば、上述した光学シートを採用することで、集光効果が高く、隣接する光源同士の間に暗い箇所が生じる等の視認性に悪影響を与えることがなく、視野角が広くサイドローブを抑えて高輝度の特性が得られる。しかも本発明による光学シートを採用したことで、例えば従来のこの種の装置のように2枚のプリズムフィルムやBEF等を設ける必要がなくなる等、部品点数を削減できると共に従来構成と比較して薄型で所望の輝度や配光範囲、均一性などを達成できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図8は本発明の第一実施形態による光学シートとディスプレイ装置を示すものであり、図1は本発明の実施の形態による光学シートを含むディスプレイ装置の縦断面図、図2は図1のバックライトユニットに用いられる光学シートの斜視図、図3、図4は同じく正面図、平面図、図5は光学シートに入射する光の透過特性を示す図、図6は単位レンズのプリズムレンズの形状を示す図、図7はプリズムレンズの態様を示す断面図、図8は単位レンズにおけるプリズムレンズのシフト量と光学特性との関係を示す図である。
図1に示す本発明の第一実施形態による光学シートを含むディスプレイ装置1は、バックライト・ユニット2と画像表示素子としての液晶パネル3とで構成されている。バックライト・ユニット2は、ランプハウス4内に所定間隔で収納された例えばシリンダー形状の複数の光源5と、各光源5から進入する光Hを拡散する光拡散層としての光拡散板6と、光拡散板6を透過した光を液晶パネル3に供給する光学シート7とを概略で備えている。
液晶パネル3は偏光板8,8間に液晶素子9が挟持されて構成されている。そのため、本実施形態によるディスプレイ装置1は液晶表示装置を示すが、これに限らず、上述の光学シート7を含んだ投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等、画像を光により表示する表示装置であればディスプレイ装置1の種類は問わない。
バックライト・ユニット2において、ランプハウス4に設けた各光源5は、本実施形態では冷陰極蛍光ランプを用いているが、これに代えて近年、ディスプレイ用光源として注目を浴びているLED、EL、半導体レーザー等を用いてもよい。
ここで、ディスプレイ装置1の光源5としてLEDを用いる場合、赤色、緑色、青色のLEDのアレイを使用し、導光板等で赤色、緑色、青色のLEDのアレイからの光を混ぜ合わせて白色光として均一に出射するものや、拡散板等を用いた赤色、緑色、青色のLEDのアレイからの光を混ぜ合わせて白色光として均一に出射することができるものにも使用できる。
ランプハウス4の背面には光反射板11が配設され、複数の光源5から背面側に出射する光を液晶パネル3側に反射させて集光するようにしている。
ランプハウス4の前方に配設された光拡散板6は、透明樹脂とこの透明樹脂の中に分散された透明粒子とで構成されている。これら透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率が異なるものである必要がある。透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率の差は0.02以上であることが望ましい。屈折率の差がこれより小さいと十分な光散乱性能が得られない。また、その屈折率差は0.5以下でよい。屈折率差が0.5より大きいと光の散乱の度合いが大きくなり、光を液晶パネル3に向けて十分集光させることができなくなるおそれがある。
光拡散板6は、この光拡散板6に入射した光Hを散乱させながら透過させる必要がある。このため、光拡散板6に含まれる透明粒子の平均粒径は0.5〜10.0μmであることが望ましい。好ましくは1.0〜5.0μmである。或いは、透明粒子に代えて光拡散板6の透明樹脂中に空気を含む微細な空洞を分散して設けてもよい。この場合、透明樹脂と空洞中の空気との屈折率差で拡散性能を得ることができる。
光拡散板6の透明樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等を使用することができる。
ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルスチレン樹脂及びシクロオレフィンポリマーの線膨張係数は、それぞれ6.7×10-5(cm/cm/℃)、7×10-5(cm/cm/℃)、7×10-5(cm/cm/℃)、6〜7×10-5(cm/cm/℃)である。
ここで、光学シート7が例えばPETを含む場合、PETの線膨張係数は2.7×10-5(cm/cm/℃)であるから光拡散板6の上述した線膨張係数の方が大きい。この場合、光学シート7が熱を受けて変形する場合には光拡散板6側に反りが発生する。
しかしながら、本発明の実施の形態では、光学シート7の線膨張係数が小さいことを考慮し、光拡散板6の線膨張係数を7.0×10-5(cm/cm/℃)より小さくすることにより上述の変形を防止することが可能である。
なお、光学シート7としてポリカーボネート樹脂を用いて押出し方法で作成する場合には、その線膨張係数が光拡散板6の透明樹脂とほぼ同等であるため、そりは発生しない。
また、透明粒子として、無機酸化物からなる透明粒子又は樹脂からなる透明粒子を使用できる。例えば、無機酸化物からなる透明粒子としてはシリカやアルミナ等からなる粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる透明粒子としてはアクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体;メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン?テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子等を挙げることができる。
これら透明粒子は、2種類以上を混合して使用してもよい。
そして、上述した透明樹脂中に透明粒子を分散して押出し成形することにより、板状の光拡散板6を製造することができる。その厚みは1〜5mmであることが望ましい。厚さが1mm未満の場合には光拡散板25が薄く腰がないのでたわむという欠点があり、5mmを越えると、光源5からの光の透過率が悪くなるという欠点がある。
次に、光拡散板6と液晶パネル3との間に配設された光学シート7について説明する。
図2乃至図4に示す光学シート7は、透光性の基材13上に複合プリズムレンズである略かまぼこ形状の単位レンズ14が同一方向に配列されて構成されている。
単位レンズ14は、図3に示すように、断面視略凸レンズの略半分の形状をなす二つのプリズムレンズ15、15が一部重なって且つ単位レンズ14の配列方向にシフト量Δだけズレて複合化(一体化)された例えば略花びら形状をなしている。二つのプリズムレンズ15、15は本実施形態ではそれぞれ左右対称をなす同一形状とするが、必ずしも同一である必要はない。
シフト量Δは、プリズムレンズ15の配列ピッチをP0とした場合、下記の(1)式の
の範囲に設定される。
(1/5)P0≦Δ≦(2/3)P0 …(1)
ここで、シフト量Δが下限値(1/5)P0より小さいと集光効果が小さく、上限値(2/3)P0を越えるとサイドローブが生じ易いため望ましくない。
(1)式について更に説明する。プリズムレンズ15のピッチP0に対するシフト量Δを10%、20%、40%、66%、75%に設定した各単位レンズ14を配列した光学シート7をそれぞれ製作した。これらの各光学シート7を図1に示すバックライト・ユニット2に順次装着して、光源5から均一な光を照射して光強度を測定すると、図8(a)〜(e)に示す光強度が得られた。
図8(a)〜(e)において、(1)式で示すシフト量Δを種々変更させた場合の視野方向に対する光強度を示すものであり、横軸に0°を軸上方向とした視野方向に対する角度(−90°〜+90°)を示すものであり、縦軸の光強度を輝度(cd/cm2)で示す。図8(a)〜(e)に示す結果から、シフト量ΔがピッチP0の20%〜66%の範囲で軸上(中心部)の輝度が0.5(cd/cm2)以上であり、サイドローブも発生しないか、或いは極めて小さい値になった。この場合、サイドローブが発生しても軸上輝度の曲線とサイドローブのピークとの間の谷の落ち込みが比較的小さいから、液晶パネル3の偏光板8やAG(アンチ・グレア)の拡散機能で消されてしまい輝度ムラは視認できない。
これに対し、シフト量ΔがピッチP0の10%と75%では軸上輝度が比較的小さく、しかもサイドローブが0.15(cd/cm2)以上と大きな値になった。
そのため、シフト量Δは上述した(1)式の範囲に設定することが好ましい。
光学シート7は光拡散板6と面接触して密着していてもよいが、図1に示すように、光拡散板6との間に間隙(空気層)16が設けられていることが好ましい。そして、光学シート7は、光源5から光拡散板6及び間隙16を通過する光を光学シート7の入射面7aから入射させ、単位レンズ14が配列された側の出射面7bから光学利得が1以上の光Kとして出射させるようにしている。
ここで光学利得とは、光学的な拡散部材の拡散性を示す指標の一つであり、完全拡散する拡散体の輝度を1として、その光の輝度との比で表される。測定する拡散部材の拡散性が方向によって偏っている場合、方向ごとの光学利得を出すことで、その拡散部材の拡散特性を示すことが出来る。
また、完全拡散とは、吸収が0で、かつ、どの方向にも一定の強度をもつとする理想的な拡散体のことを示す。つまり、光学利得が1以上であるということは、その測定する方向に光を集める効果を持つことを示し、その値が大きいほど集光効果が強いことを示す。
図5は、光学シート7に入射する光の光路を示す光路図である。単位レンズ14は各プリズムレンズ15の両側に湾曲側面15a、15bを有している。単位レンズ14,14間の谷部18aは例えば逆円弧状等の凹曲面を形成している。同様に、単位レンズ14における二つのプリズムレンズ15,15間の谷部18bも例えば逆円弧状等の凹曲面を形成している。
隣り合う単位レンズ14、14同士の谷部18aや1つの単位レンズ14の二つのプリズムレンズ15,15同士の谷部18bをそれぞれ凹曲面で形成することで、集光効果を高めて視覚方向の輝度を向上させると共に光学シート7の視野範囲が拡大する。しかも、凹曲面によって谷部18a、18bの谷線が見えづらくなるためモアレコントラスト低減の効果が得られる。
このように単位レンズ14が長短の凸曲面をなす湾曲側面15a、15bを四面形成しているため、光学シート7を透過する光源5からの光の輝度分布は正面方向(軸上方向)への集光効果が高く、図19に示す所謂三角プリズムシートのようにサイドローブが生じ難い。また下記(2)式で規定する湾曲側面15a、15b等に関して設計に自由度があるため、例えば正面に強く集光したい場合、または広い視野角を得たい場合、それぞれに側面形状を変更することで所望の特性を得ることが可能である。
ここで単位レンズ14の湾曲側面15a、15bは次のように定義される。
図6は単位レンズ14を形成する一のプリズムレンズ15を上下反転して示すものである。図中、プルズムレンズ15の頂部R0を境界とする一方のレンズ曲面に着目して基材13と重なるレンズ一端部をR1とする。
そして、湾曲側面15aがレンズ一端部R1から始まるとして、レンズ一端部R1から頂部R0までの間で、基材13の面に対するレンズ曲面の任意の点での接線Lの傾斜角度θが25°以上50°以下となる点を湾曲側面15a、15bの他端部R2とする。この場合、レンズ一端部R1から他端部R2までの間では任意の点での接線Lの基材13に対する傾斜角度θは50°を超えた大きさの凸曲面に設定され、レンズ一端部R1から他端部R2に向けて漸次接線Lの傾斜角度θが小さくなり、レンズ他端部R2において初めて接線Lの傾斜角度θが25°以上50°以下の範囲となるものとする。
ここで、他端部R2における傾斜角度θが25°未満では視野範囲は広くなるが集光効果が低く、逆に50°を越えると視野範囲が狭く且つサイドローブが生じ易くなる。
このレンズ一端部R1から他端部R2までの間の外側へ凸形状をなすレンズ曲面を湾曲側面15a、15bと定義するものとし、そのレンズ形状は下記(2)式で示す非球面レンズ形状の一般式が適用される。但し、単位レンズ14において湾曲側面15bは湾曲側面15b、15b同士が交差する谷部18bから他端部R2までの比較的短い長さに規定される。
Figure 0005217404
上記(2)式について図6に基づいて更に説明する。
図6において、zは、単位レンズ14の幅方向位置変数であるrの関数であり、その値は単位レンズ14の高さ方向を表す。(2)式において、k=0で球面、−1<k<0で楕円、k=−1で放物面、k<−1で双曲面となり、1/Rはrにかかる係数であり、A、B、Cは補正項係数である。
また上記(2)式における各係数1/R,A,B,Cが規定範囲(−10<1/R<10,−5<A<5,−10<B<10,−30<C<30)から外れた場合、集光効果が得られないか、サイドローブが生じ易い欠点がある。すなわち(2)式で示す湾曲形状と傾斜角度θとがマッチした範囲でのみ、集光効果と視野範囲とのバランスが取れたレンズシートが提供される。
単位レンズ14を構成するプリズムレンズ15,15は、定義された湾曲側面15a、15bを有し、その形状は谷部18bから頂部R0までの短い長さの湾曲側面15bの範囲で左右対称であることが望ましい。この場合、単位レンズ14も左右対称となるため、視野範囲の偏りのない光学シート7が形成される。
ここで、単位レンズ14の各プリズムレンズ15の頂部R0を含む先端部15cの第一の態様として、例えば図5及び図7(a)に示すように湾曲側面15a、15bが頂部R0まで延びて一点で交差する先端部15c1を形成していてもよい。この場合には、頂部R0が湾曲側面15a、15bの他端部R2と重なる。そのため、頂部R0での湾曲側面15a、15bの各傾斜角度θが25°〜50°の範囲になる。
また、各プリズムレンズ15の頂部R0を含む先端部15cの第二の態様として、図7(b)に示すように、プリズムレンズ15の湾曲側面15a、15bはプリズムレンズ15の頂部R0に到達しない頂部近傍の位置に他端部R2が設けられ、他端部R2と頂部R0を直線で結ぶことで屋根形状の先端部15c2を形成してもよい。この構成については図6でも一点鎖線で図示されている。先端部15cを直線で屋根形に形成することで視野範囲をより狭めて集光効果を高めることができる。先端部15cを屋根型に形成する場合、各直線はレンズ他端部R2での接線Lと一致するか、接線Lの傾斜角度θの範囲(25°〜50°)内に含まれることが好ましい。
また、プリズムレンズ15の先端部15cの第三の態様として、図7(c)に示すように、プリズムレンズ15の湾曲側面15a、15bの他端部R2はプリズムレンズ15の頂部R0に到達しない頂部R0近傍の位置とされ、他端部R2と頂部R0を曲率半径Rの凸曲面で形成して先端部15c3を形成してもよい。この構成については図6でも実線で図示されている。先端部15c3を凸曲面で形成することで視野範囲が広がり、耐磨耗性が向上する。
また、上述した第一及び第二の態様における各プリズムレンズ15の各先端部15c1、15c2の頂部R0を上述した曲率半径Rの凸曲面形状で形成して湾曲側面15a、15bに滑らかに接続されるようにしてもよい(図6参照)。頂部R0を凸曲面形状とすることで視野範囲が広がり、耐磨耗性が向上する。
しかしながら先端部15cの凸曲面の曲率半径Rが大きすぎると輝度低下につながるため、その半径Rはプリズムレンズ15のピッチをP0としたとき、R≦P0/5 であることが望ましい。
また、光学シート7の厚みに関しては光学特性への影響よりはむしろ製造プロセス或いは要求される光学シート7の物理特性等により決められる。
例えば、紫外線硬化 樹脂プロセスにより単位レンズ14を形成した場合、その基材13を形成する支持基材フィルムの基材厚さTは50um以下だとシワが出てしまうので、50μmより大きい必要がある。
さらに、使用するバックライト・ユニット2やディスプレイ装置1の寸法サイズによりその基材13の厚みは変化する。例えば、対角37インチサイズ以上のディスプレイ装置1では基材13の厚さTは0.05mmから3mmの範囲が望ましい。
一般に液晶パネル3等のディスプレイは周期的な画素構造をもつものが多く、さらに図4により光学シート7も周期的な構造を持つ。そのため、それぞれの周期構造同士のモアレ、3つ以上の周期構造で発生する2次モアレなどの高次のモアレが生じて、見た目を損なう欠点が生じることがある。
そこで光学シート7のレンチキュラー方向を、ディスプレイの周期構造の方向からβの角度だけずれて構成してもよい。ここで角度βは30°以内に設定することが好ましい。これにより、ディスプレイの周期的な画素構造の横、或いは縦の構造との間で生じるモアレを防止することができる。
モアレを防ぐ手段として、上述の手段に代えて単位レンズ14を蛇行させる構成を採用してもよく、これによっても上述のモアレを防ぐことが可能である。
またモアレを防ぐ別の手段として、図3に示す単位レンズ14のレンズピッチPをランダムとする構成を採用してもよい。この場合、単位レンズ14の高さとピッチPを変えてランダムとする構成と単位レンズ14の高さを変えずにピッチPのみをランダムとする構成、そしてプリズムレンズ15のシフト量Δをランダムとする構成を採用することができる。
これらの手段のうち、外観上におけるムラの観点から単位レンズ14の高さを変えないでピッチPやシフト量Δをランダムとする手段が望ましく、またそのランダム率(標準ピッチに対するピッチの増減率)は20%以下が望ましく、更に望ましくは10%以下が望ましい。
この単位レンズ14は、透光性の基材13上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されるか、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いて、当該技術分野では良く知られている押し出し成形法、射出成形法、あるいは熱プレス成形法によって形成することができる。
本実施形態による光学シート7を含むディスプレイ装置1は上述した構成を備えているから、ランプハウス4の光源5を点灯すると、光源5から液晶パネル3側に出射する光は光拡散板6を透過する。また、光源5から背面側に出射する光は反射板11で反射し、光拡散板6へ向かう。
光拡散板6へ入射する光は、透明樹脂とその中に分散された透明粒子との屈折率の差0.02以上、0.5以下となっているために十分な光散乱性能を発揮でき、拡散した均一な光として光拡散板6を出射する。光拡散板6を出射した光は光学シート7の入射面7aに入射する。
光学シート7では、出射面側に複数の単位レンズ14が配列されていて、各単位レンズ14の湾曲側面15a、15bが(2)式を満足する非球面形状の凸曲面を形成しているから、単位レンズ14毎に四面の湾曲側面15a、15bで屈折して集光させられるため、液晶パネル3に向かう集光効果が大きく、サイドローブの発生を抑制できる。
また、単位レンズ14の半径Rを有する凸曲面形状の各先端部15c、15cを通過する光は、輝度低下を抑制できる範囲で屈折して視野範囲が広げられる。
そのため、液晶パネル3で集光させられた光は軸上輝度が高く輝度分布の曲線のピーク幅も適度に広げられてサイドローブを抑制できる。
上述のように、本実施形態による光学シート7によれば、各単位レンズ14の湾曲側面15a、15bによって集光させられ、しかも湾曲側面15a、15bが外側に膨らむ形状とされたことで視野範囲を拡大できると共に集光特性を高めて高輝度でサイドローブのない滑らかな輝度分布特性を発揮できる。
更に各プリズムレンズ15の先端部15cを曲率半径R≦P0/5の凸曲面または直線を交差させた屋根型とすれば、単位レンズ14中心部の輝度を高く維持して視野範囲を広げることができる。
また本実施形態による光学シート7を含むバックライト・ユニット2及びディスプレイ装置1によれば、視野範囲を拡大できると共に高輝度でサイドローブのない滑らかな輝度分布特性を発揮できる。しかも、光学シート7に互いに直交する2枚のプリズムフィルムやBEF等が不要であり部品点数を削減できると共に、光学シート7の単位レンズ14、14間の谷部18aやプリズムレンズ15、15間の谷部18bを凹曲面で形成したから谷部18a、18bの谷線が見えにくくなりモアレコントラストを低減できる。
またバックライト・ユニット2においては、ますます薄型化が進んでおり、それに従い光源5と光学シート7間の距離も短くなっているが、本実施形態による光学シート7を使用すれば直下型やサイドエッジ型のバックライト・ユニットにおいても、集光特性を高めて光源5,5同士の間に暗い箇所が生じる等の視認性の悪影響を生じない。
さらにディスプレイ装置1もますます大型化の一途をたどっており、それに伴い光学シート7のサイズも大きくなっていくが、本実施形態による光学シート7は薄くて強度が高く表示品位も優れているため、大型ディスプレイ装置にも十分に使用できる。
なお、本発明における光学シートは、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、単位レンズ14の湾曲側面15a、15bが左右非対称である場合や、単位レンズ14の対向する湾曲側面15a、15a同士が非対称である場合等、異なる形状の単位レンズ14が複数配列されてなる光学シート7も本発明に含まれており、本発明の技術思想を逸脱するものではない。
即ち、本実施形態によるディスプレイ装置1では、光拡散板6と液晶パネル3との間には光学シート7のみが構成されているが、これに限らず、光拡散板6と光学シート7との間や光学シート7と液晶パネル3との間に、拡散シートやレンズシート、マイクロレンズシート、プリズムシート、偏光分離反射シート等を適宜組み合わせても良い。
次に、本発明の第二の実施の形態について図9及び図10により説明するが、上述した第一の実施形態によるディスプレイ装置1と同一または同様な構成については同一の符号を用いて説明を省略する。図9は第二の実施形態によるバックライトユニット及びディスプレイ装置を示す断面図、図10は図9に示す光学シートの拡大図である。
図9に示すディスプレイ装置20において、光学シート21は、光源5からの光が射出する射出面21bに、第一実施形態による光学シート7と同一構成の単位レンズ14が配列されてレンチキュラーを構成する。そして、単位レンズ14に対向する側の光が入射する入射面21aには凹部22が形成されて配列されている。凹部22は両側を基材13から突出する凸部23、23で仕切られて形成され、単位レンズ14の整数倍、例えば2倍のピッチで配列されている。
そのため、2つ連なる単位レンズ14、14を挟む両側の谷部18a,18aに対向して凸部23、23が谷部18aと反対側に突出して形成されている。なお、凹部22は第一実施形態による光学シート7における基材13の入射面7aを切除して形成してもよいし、或いは基材13に凸部23を突出させて形成してもよい。
そのため、図10に示すように単位レンズ14の中心線Oは必ず凹部22内にあり、単位レンズ14の中心を通る光の輝度の低下を抑制し、単位レンズ14と凹部22との間にモアレが生じることはない。
しかも、2つの連なる単位レンズ14,14間の谷部18aを通る線をO1とした場合、単位レンズ14の谷部18aの線O1と対向する凸部23の中心線O2とのズレ量は単位レンズ14のピッチPの10%以下となる精度で凸部23及び凹部22を形成する。
これにより、例えば図9に示すように光学シート21を凸部23を介して光拡散板6と積層して一体化した場合でも、単位レンズ14の最も集光効果の得られるレンズ中心部(中心線O)への入射面21aに凹部22即ち空気層を配設できる。そのため、単位レンズ14の中心部における輝度の低下を最小限に抑えて光学シート21を光拡散板6と一体化可能となる。
上述の光学シート21は、図9により、光源5から光拡散板6及び凹部22による間隙(空気層)を通過してきた光を入射面21aから入射し、さらにその光を入射面21aの反対側の単位レンズ14を配列した射出面21bから光学利得が1以上の光Kとして出射するものである。
光学利得については第一実施形態で述べた。
以下、本発明の光学シート7、21の実施例1,2,3と比較例について説明する。
(実施例1)
実施例1として、2軸延伸易接着PETフィルムからなるシート状の基材13上に、単位レンズ14におけるプリズムレンズ15,15の湾曲側面15a、15bを、(2)式において各係数(1/R)、A,B、C、r、kを調整することで決定して算出した。また、プリズムレンズピッチP0を100um、レンズ高さを50um、シフト量Δを30um、単位レンズ14のピッチPを130umとした第一実施形態による光学シート7をUV硬化樹脂にて作製した。
(実施例2)
実施例2として、2軸延伸易接着PETフィルムからなるシート状の基材13上に、単位レンズ14におけるプルズムレンズ15,15の湾曲側面15a、15bを、(2)式において各係数(1/R)、A,B、C、r、kを調整することで決定して算出した。また、プリズムレンズピッチP0を100um、レンズ高さを50um、シフト量Δを30um、単位レンズ14のピッチPを130umとした光学シート7をPC(ポリカーボネート)を用いて押し出し成形により作製した。
(比較例1)
比較例1として、2軸延伸易接着PETフィルムからなるシート状の基材13上に、単位レンズ14におけるプルズムレンズ15,15の湾曲側面15a、15bを、(2)式において各係数(1/R)、A,B、C、r、kを調整することで決定して算出した。また、プリズムレンズピッチP0を100um、レンズ高さを50um、シフト量Δを80um、単位レンズ14のピッチPを180umとした光学シート7をUV硬化樹脂にて作製した。
実施例1、2と比較例1として作製した光学シート7の各サンプルをSHARP製液晶表示装置「AQUOS」32インチに実際に搭載し、その輝度をEZContrast(Eldim社製の視野角測定器)によってそれぞれ測定した。測定された各輝度データの分布を図で示すと、図11、図12、図13に示す通りになった。
その結果、図11に示す実施例1による光学シート7は輝度が高くサイドローブの生じない良好な特性が得られた。実施例2は、実施例1よりも更に輝度が高くサイドローブの発生しない良好な特性が得られた。比較例1による光学シート7は、輝度が実施例1,2より低くサイドローブが発生した。この場合、サイドローブを除くために光学シート7の光進行方向前方側に拡散フィルムを使用しなければならず、拡散フィルムの使用によって更に中心の輝度が低下する不具合が発生する。
また、実施例3して、実施例2と同じ単位レンズ14のレンチキュラーを有する光学シートにおいて、光の入射面21a側には単位レンズ14の2倍のピッチ(2P)で凹部22と凸部23を形成して第二実施形態による光学シート21を得た。また、凸部23の高さ(凹部21の深さ)を30umとし、凸部23の領域を入射面21aの平面視による面積比で全体の10%とした。
そして、全光線透過率が50%、ヘイズが99%の光拡散板6を作成し、光拡散板6の光射出面を光学シート21の凸部23に塗布厚さ15umの粘着剤を塗布して積層して光拡散板6と一体化した光学シート21のサンプルを作製した。
その結果、一体化前の光学シート21と比較すると中心部近傍の輝度が若干低下しサイドローブも多少発生したが、実用性が十分高く、一体化前に比べて視野範囲が広がる分布となった。
本発明の実施の形態による光学シートを含むバックライト・ユニット及びディスプレイ装置の縦断面図である。 図1に示すバックライト・ユニットに用いられる光学シートの斜視図である。 図2に示す光学シートのプリズムレンズのシフト量を示す正面図である。 図2に示す光学シートの平面図である。 光学シートの単位レンズを透過する光の特性を示す拡大図である。 単位レンズにおけるプリズムレンズの形状を説明する図である。 (a)、(b)、(c)はプリズムレンズの先端部の各態様を示す要部断面図である。 単位レンズにおけるプリズムレンズのシフト量と光学特性との関係を示す図である。 本発明の第二実施形態によるディスプレイ装置の縦断面図である。 図9に示す第二実施形態による光学シートの正面図である。 実施例1による光学シートの輝度分布を示す図ある。 実施例2による光学シートの輝度分布を示す図ある。 比較例1による光学シートの輝度分布を示す図ある。 実施例3による光学シートの輝度分布を示す図ある。 従来のエッジライト方式による液晶表示装置の構成を示す説明図である。 従来の直下型方式による液晶表示装置の構成を示す説明図である。 従来の液晶表示装置の構成を示す説明図である。 従来の液晶表示用光学シートの構成と光の拡散を示す説明図である。 従来のBEFの斜視図である。 図18による光学シートから出射される光強度分布と理想的な光強度分布を示す説明図である。
符号の説明
1 ディスプレイ装置
2 ディスプレイ・ユニット
3 液晶パネル
5 光源
6 光拡散板
7、21 光学シート
14 単位レンズ
15 プリズムレンズ
15a、15b 湾曲側面
15c、15c1、15c2、15c3 先端部
18a、18b 谷部
22 凹部
23 凸部
R1 レンズ一端部
R2 他端部
R0 頂部
L 接線
P0 プリズムレンズのピッチ
P 単位レンズのピッチ
Δ シフト量

Claims (14)

  1. シート状で光透過性を有する基材の光が射出する側の一方の面に複数の単位レンズを配列してなるレンチキュラーを有する光学シートであって、
    前記単位レンズは、両側に湾曲側面を有する複数のプリズムレンズを前記単位レンズの配列方向に一部重ねて一体化した複合レンズ形状であると共に、
    単一の前記プリズムレンズのピッチをP0とし、前記単位レンズにおける一の前記プリズムレンズと隣接する他の前記プリズムレンズとの前記単位レンズの配列方向にずれた重ならない距離をシフト量Δとしたとき、
    (1/5)P0≦Δ≦(2/3)P0 …(1)
    となると共に、前記プリズムレンズの湾曲側面はそのレンズ形状が下記(2)式によって規定されることで形成されており、前記プリズムレンズの一端部から延びる前記湾曲側面の他端部における接線の前記基材の面に対する傾斜角度θが25°以上50°以下とされていることを特徴とする光学シート。
    Figure 0005217404
    また、上記(2)式において、前記単位レンズのピッチを1と正規化したとき、zは前記単位レンズの高さ方向の位置関数、rは前記単位レンズの幅方向の位置変数、係数kは、k=0で球面、−1<k<0で楕円、k=−1で放物面、k<−1で双曲面となり、1/Rはrにかかる係数であり、A、B、Cは補正項係数である。
  2. 前記プリズムレンズにおける湾曲側面の他端部は当該プリズムレンズの頂部に達していることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  3. 前記プリズムレンズにおける湾曲側面の他端部は当該プリズムレンズの頂部に到達しない位置にあり、前記他端部から頂部までのレンズ形状が略直線状であることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  4. 前記プリズムレンズの頂部は凸曲面形状であり、その曲率半径をRとしたとき、
    R≦P0/5
    であることを特徴とする請求項2乃至3のいずれかに記載の光学シート。
  5. 前記プリズムレンズは両側の湾曲側面が頂部に対して対称なレンズ形状を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学シート。
  6. 前記単位レンズは、そのピッチが不規則なランダムに設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学シート。
  7. 前記単位レンズは、そのピッチが不規則なランダムに設定されていると共に、前記プリズムレンズのシフト量Δは前記(1)式の範囲内でランダムに設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学シート。
  8. 前記単位レンズは、前記基材からのレンズ高さが一定であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学シート。
  9. 隣り合う二つの前記単位レンズの間の谷部と、前記単位レンズの隣り合う二つの前記プリズムレンズの間の谷部とは、それぞれ凹曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学シート。
  10. 前記基材における前記一方の面に対向する他方の面には、前記単位レンズ間の谷部に対向する位置に凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の光学シート。
  11. 前記凸部のピッチは前記単位レンズのピッチの整数倍であることを特徴とする請求項10に記載の光学シート。
  12. 前記単位レンズ間の谷部と前記凸部の中心とのズレ量は、前記単位レンズピッチの10%以内とされていることを特徴とする、請求項10または11に記載の光学シート。
  13. 表示画像を規定する画像表示素子の背面に設けられている光源と、
    前記光源から光の出射方向前方に配設されている請求項1乃至12の何れか1項に記載の光学シートと
    を備えることを特徴とするディスプレイ用バックライト・ユニット。
  14. 画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、
    前記画像表示素子の背面に設けられていて請求項13に記載のディスプレイ用バックライト・ユニットと
    を備えることを特徴とする表示装置。
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