JP2006047360A - 液晶パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 モアレ縞の発生を低減させながら、正面輝度、視野角特性とも良好な液晶パネルを提供する。
【解決手段】 一対の透明性基板5,6、透明性基板5,6間に充填される液晶層7、透明性基板5と液晶層7との間に配置され、開口部8が形成される反射板9、透明性基板6と液晶層7との間に配置されるカラーフィルタ層10を含む表示パネル2と、バックライト3と、バックライト光立ち上げ部材4とを含んで構成される液晶パネル1において、透明性基板5のバックライト3側表面に、頂部に凹部12を有する凸型マイクロレンズアレイ11を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 一対の透明性基板5,6、透明性基板5,6間に充填される液晶層7、透明性基板5と液晶層7との間に配置され、開口部8が形成される反射板9、透明性基板6と液晶層7との間に配置されるカラーフィルタ層10を含む表示パネル2と、バックライト3と、バックライト光立ち上げ部材4とを含んで構成される液晶パネル1において、透明性基板5のバックライト3側表面に、頂部に凹部12を有する凸型マイクロレンズアレイ11を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶パネルおよびその製造方法に関する。
液晶パネル、プラズマディスプレイ、エレクトロミルネッセンスディスプレイ、電界放出ディスプレイなどの平面ディスプレイは、薄型化が可能なことから、テレビジョンなどのディスプレイの主流になっている。その中でも、液晶パネルは、軽量性、消費電力の低さなどの点で他の平面ディスプレイを上回り、現時点では最も普及が進み、デレビジョンだけでなく、パーソナルコンピュータ、携帯電話、個人用携帯情報端末(Personal
digital assistance、PDA)などにも汎用され、さらなる需要の拡大が期待できるディスプレイである。
digital assistance、PDA)などにも汎用され、さらなる需要の拡大が期待できるディスプレイである。
このため、液晶パネルには、一層の性能向上が要求される。特に、液晶パネルの大型化が進み、大画面において高品位画質を達成するために、画面の輝度および視野角をさらに高めることが切望される。このような要請に基づいて、液晶パネルにマイクロレンズアレイを配置し、輝度、視野角などを向上させることが提案されている。
液晶パネルにマイクロレンズアレイを配置する場合について、携帯電話、PDAなどのモバイル用途の製品を例にとって説明する。これらのモバイル製品では、バックライトの光を利用して表示を行う透過型液晶パネルと、外光を利用して表示を行う反射型液晶パネルの両方の特徴をもつ半透過液晶パネルが採用される。半透過液晶パネルは、絵素を形成する反射板に微小な開口部を設け、反射板により外光を反射し、開口部によりバックライトの光を透過させることで表示を行う。したがって、透過表示を明るくしようとすると、開口部を大きくする必要があり、反射面の面積が減るため、反射表示が暗くなるという問題が生じる。このため、たとえば、表示パネルのバックライト側に凸型マイクロレンズアレイを設け、レンズの集光作用にて開口部に入射する光量を増やすことにより、開口部を大きくすることなく、透過表示を明るくすることができ、透過表示と反射表示の明るさを両立する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
一方、液晶パネルは、規則正しい絵素の配列を持つことに基因して、モアレ縞の発生による視認性の低下という解決すべき課題を有する(たとえば、特許文献2参照)。すなわち、液晶パネルのバックライトの光を立ち上げるための立ち上げ部材には、規則的なピッチの構造物パターンを持つ光学シートが用いられる。規則的なピッチを成す絵素と光学シートの構造物パターンとを重ね合わせると、明暗格子が重ね合わされ、モアレ縞が発生する。特許文献2は、絵素の配列ピッチおよび光学シートの構造物パターンのピッチを、モアレ縞のピッチ間隔が最小になるように設定するモアレ縞低減方法を提案する。また、モアレ縞のピッチが人間の眼の分解能以下になるように、開口部および光学シートのピッチを設定することで、モアレの影響を防ぐという方法が提案されている。
特許文献1のように、正面輝度を向上させるためにマイクロレンズアレイを形成すると、バックライトからコントラストの高い正弦波形の輝度分布をもった光がそのまま開口部に入射し、ほぼ一点で結像する。したがって、正面輝度は高まるものの、モアレ縞のコントラストを強調することになり、結果として、液晶パネルの視認性をさらに劣化させる。さらに詳しく説明すると、次の通りである。マイクロレンズアレイは、バックライトから出射され、光学シートなどのバックライト光立ち上げ部材により立ち上げられる光を集光し、反射板に設けられる開口部に効率良く導くための部材である。マイクロレンズアレイに入射する光は、通常、光学シートの形状を反映した輝度分布になる。したがって、レンズの結像作用により、レンズの焦点面付近にある開口部には、光学シート上に生じる輝度分布に対応する像が結像する。光学シートは通常等間隔ピッチを持つので、光学シート上に生じる輝度分布は正弦波形になり、コントラストが高くかつ規則正しいピッチを有する明暗の縞として作用する。これが、規則正しく配列される開口部付近に結像することで、開口部との重なり合いにより、モアレ縞を発生させることになり、液晶パネルの視認性を劣化させる原因になる。特に、レンズの集光特性が良いものほど、結像性が良くなるため、正面輝度は向上するものの、モアレ縞の発生が顕著になり、正面輝度の向上とモアレ縞の発生との間での二律背反性が顕著になる。
また、特許文献2のように、モアレ縞を低減させるために、絵素のピッチおよび光学シートの構造物パターンのピッチを最適に設計すると、モアレ縞の影響は小さくなり、視認性は確かに向上する。しかしながら、ピッチがモアレ縞の抑制を目的とした構成になるので、設計の自由度が小さくなる。そのため、正面輝度、視野角などの液晶パネルの特性を低下させることが考えられる。その他、絵素と光学シートとの間に角度をつけて配置するなどの手法も知られているけれども、その場合、絵素によって入射光が遮られ、正面輝度、視野角などが劣化するという問題が生じる。
また、マイクロレンズアレイを備える液晶パネルの従来の製造方法では、開口部とマイクロレンズアレイとの位置合せに、新たな工程および/または高価な装置が必要になるので、製造に時間を要し、かつコストが高くなるという解決すべき課題がある。
本発明の目的は、モアレ縞の影響を低減させながら、正面輝度および視野角の特性を向上させた液晶パネルおよびその製造方法を提供することである。
本発明は、一対の透明性基板、該透明性基板間に充填される液晶層および開口部を有する表示パネルと、表示パネルに光を照射するバックライトと、バックライト光の立ち上げ部材とを含む液晶パネルにおいて、
一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に設けられる凸型マイクロレンズアレイを含み、
凸型マイクロレンズアレイが、その凸レンズ面とバックライトとが対向するように配置され、かつ凸レンズの頂部に凹部が形成されることを特徴とする液晶パネルである。
一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に設けられる凸型マイクロレンズアレイを含み、
凸型マイクロレンズアレイが、その凸レンズ面とバックライトとが対向するように配置され、かつ凸レンズの頂部に凹部が形成されることを特徴とする液晶パネルである。
また本発明の液晶パネルは、凸レンズの頂部に形成される凹部底面が平坦面であることを特徴とする。
さらに本発明の液晶パネルは、凸レンズの頂部に形成される凹部底面が、その光軸を中心とする面として形成されることを特徴とする。
さらに本発明の液晶パネルは、凸レンズの光軸の延長線上に存在する開口部に投影される凹部底面の平坦部の面積が、該開口部の面積の30〜40%(30%以上、40%以下)であることを特徴とする。
さらに本発明の液晶パネルは、マイクロレンズアレイは、シリンドリカル形状であることを特徴とする。
また本発明は、一対の透明性基板、該透明性基板間に充填される液晶層および開口部を有する表示パネルと、表示パネルに光を照射するバックライトと、バックライト光の立ち上げ部材とを含む液晶パネルの製造方法であって、
一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に光硬化性樹脂層を成形する工程と、
光硬化性樹脂層に透明性基板側から平行光を照射し、表示パネルの開口部を介して、光硬化性樹脂層に対して所定角度の光を走査して光硬化性樹脂層を露光し、光硬化性樹脂層の非露光部分を除去し、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程とを含むことを特徴とする液晶パネルの製造方法である。
一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に光硬化性樹脂層を成形する工程と、
光硬化性樹脂層に透明性基板側から平行光を照射し、表示パネルの開口部を介して、光硬化性樹脂層に対して所定角度の光を走査して光硬化性樹脂層を露光し、光硬化性樹脂層の非露光部分を除去し、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程とを含むことを特徴とする液晶パネルの製造方法である。
さらに本発明の液晶パネルの製造方法は、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程において、
露光は、最初に、光硬化性樹脂層の凸レンズを形成する部分に対して行われることを特徴とする。
露光は、最初に、光硬化性樹脂層の凸レンズを形成する部分に対して行われることを特徴とする。
本発明によれば、マイクロレンズアレイを含む液晶パネルにおいて、マイクロレンズアレイとして、凸レンズの頂部に凹部が形成された凸型マイクロレンズアレイを用いることによって、凹部を設けた凸レンズからなる凸型マイクロレンズアレイを用いることによって、凸レンズから出射するバックライト光が、開口部の中央部〜端部の間で適度に分散するので、開口部全体としての正面輝度および視野角が向上する。また、本発明の液晶パネルは、後述の製造方法に基因して、凸型マイクロレンズアレイの各凸レンズの光軸と、それに対応する開口部の中心とがほぼ完全に一致するので、光利用効率が高いという長所をも有する。
また本発明によれば、本発明液晶パネルが備える凸型マイクロレンズアレイにおいて、凸レンズの頂部に形成される凹部底面を平坦面に形成することによって、正面輝度がさらに向上する。
また本発明によれば、本発明液晶パネルが備える凸型マイクロレンズアレイにおいて、凸レンズ頂部の凹部底面を、凸レンズの光軸を中心とする面として形成することによって、バックライト光を凹部底面から開口部に効率良く入射させることができ、正面輝度が一層向上する。
また本発明によれば、本発明液晶パネルが備える凸型マイクロレンズアレイにおいて、凸レンズの光軸の延長線上に存在する開口部に投影される凹部底面の面積を、該開口部の面積の30〜40%にすることによって、本発明液晶パネルの正面輝度が特に向上する。
また本発明によれば、本発明液晶パネルが備える凸型マイクロレンズアレイとして、集光特性の良好なシリンドリカル形状の凸型マイクロレンズアレイを用いることによって、本発明液晶パネルの正面輝度、視野角のさらに一層の向上、モアレ縞のさらなる低減化を図ることができる。
また本発明によれば、表示パネルと、バックライトと、バックライト光立ち上げ部材とを含む液晶パネルにおいて、表示パネルの両端に配置される一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に光硬化性樹脂層を形成し、この光硬化性樹脂層に、表示パネルに設けられている開口部を介して、所定角度の光を照射して露光を行い、光硬化性樹脂層の非露光部分(非硬化部分)を除去する、本発明の液晶パネルの製造方法が提供される。本発明の製造方法によれば、液晶パネルの各絵素の開口部を介して照射される光によってマイクロレンズアレイを形成するため、改めて開口部とマイクロレンズアレイとの位置合わせを行う必要がなく、高価な装置、煩雑な作業などを要しないので、コストの低減化、製造時間の短縮化などを図ることができる。
また本発明によれば、本発明の製造方法のうち、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイの形成工程において、光硬化性樹脂層の凸レンズを形成する部分を最初に露光することによって、本発明の液晶パネルに用いられる凸型マイクロレンズアレイを効率良く製造できる。
本発明の液晶パネルは、一対の透明性基板および該透明性基板間に充填される液晶層を含む表示パネルと、バックライトと、バックライト光を立ち上げるためのバックライト光立ち上げ部材を含む液晶パネルであって、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に、レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを設けたことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の第1形態である液晶パネル1の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す液晶パネル1を切断面線I−Iから見た断面図である。
液晶パネル1は、表示パネル2と、表示パネル2に光を照射するバックライト3と、バックライト3から照射される光を立ち上げるバックライト光立ち上げ部材4とを含んで構成される。
表示パネル2は、間隔を空けて対向配置される一対の透明性基板5,6と、透明性基板5,6間に充填される液晶層7と、透明性基板5と液晶層7との間に配置され、バックライト3から照射される光を通過させるための開口部8が形成され、それ自体は外光を反射する反射板9と、透明性基板6と液晶層7との間に配置されるカラーフィルタ層10と、透明性基板5のバックライト3側表面に形成される凸型マイクロレンズアレイ11とを含んで構成される。
透明性基板5,6には、たとえば、ガラス基板、石英基板、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの透明性合成樹脂からなる樹脂基板などが使用できる。
液晶層7には、この分野で常用される液晶材料を使用できる。具体的には、たとえば、TN液晶、STN液晶(超ツイステッドネマティック)、F−STN液晶、ECB液晶、コレステリック液晶などである。なお、このSTN液晶には、F−STN(Film
compensated Super−Twisted Nematic)液晶などの色補償用光学異方体を用いるSTN液晶、色補償用の光学異方体を用いずに液晶の複屈折性を積極的に利用するSTN液晶などがある。
compensated Super−Twisted Nematic)液晶などの色補償用光学異方体を用いるSTN液晶、色補償用の光学異方体を用いずに液晶の複屈折性を積極的に利用するSTN液晶などがある。
反射板9には、たとえば、拡散層と複屈折多層反射偏光層とが一体化した拡散層一体型複屈折多層反射偏光板などを使用できる。さらに反射板9には、バックライト2からの光を通過させる複数の矩形状の開口部8が形成される。開口部8は、所定の面積密度で、カラーフィルタ層10のRGB配列に対応するように、かつ反射板9の短手方向および/または長手方向に等ピッチで形成される。
カラーフィルタ層10には、液晶層7表面にカラー画像を表示するものであり、たとえば、図示しないRGB配列の着色層と透明性樹脂層とを含むカラーフィルタを使用できる。
凸型マイクロレンズアレイ11は、バックライト3から照射されかつバックライト立ち上げ部材4によって立ち上げられる光を、できるだけ多く開口部8に集め、透過させるために配置される部材である。したがって、凸型マイクロレンズアレイ11を、その焦点面と開口部8とが一致またはほぼ一致し、かつレンズの光軸と開口部8の中心部とが一致またはほぼ一致するように配置される。
凸型マイクロレンズアレイ11には、開口部のR,G,Bの並び方向を長手方向とするシリンドリカル形状のマイクロレンズアレイが使用され、凸型マイクロレンズアレイ11の頂部には、凹部12が形成される。凹部12は、平坦部を有する底面12aと、底面12aの凸型マイクロレンズアレイ11長手方向の両側に形成される山部12bとを含んで構成される。この凹部12を形成することにより、凸型マイクロレンズアレイ11の集光性を低下させ、透過光の進行方向を適度に分散させ、凸型マイクロレンズアレイ11の結像性を意図的に悪化させることができる。
図3は、頂部に凹部12を有する凸型マイクロレンズアレイ11の作用を説明するための要部拡大断面図である。バックライト3から出射される光は、バックライト光立ち上げ部材である光学シート4により立ち上げられ、正弦波形の輝度分布13が生じる。この輝度分布13は、波形高すなわちコントラストが高いものであり、凸型マイクロレンズアレイ11に向けて光を出射する。
凸型マイクロレンズアレイ11に入射する光のうち、凹部12の底面12aの平坦部に垂直に入射する光14aは、凸型マイクロレンズアレイ11内を屈折せずに直進し、凸型マイクロレンズアレイ11の焦点面に配置される開口部8の中心部に到達する。山部12bの外方に臨む傾斜面上段に角度を持って入射する光14dは、凸型マイクロレンズアレイ11内で、光軸に近接する方向に屈折して進み、開口部8の中心部に到達する。このように、開口部8の中心部において、いつくかの光が重なり合うので、正面輝度が向上する。平坦なレンズ面を有するマイクロレンズアレイを用いた場合に比較しても、正面輝度が低下することがない。さらに、凹部12の形状を最適化することにより、平坦なレンズ面を有するマイクロレンズアレイを用いた場合に比較し、さらに10%程度向上する。
また、山部12bの内方に臨む傾斜面寄りに入射する光14cおよび底面12a寄りに入射する光14bは、凸型マイクロレンズアレイ11内で、光軸から離反する方向に屈折して進み、開口部8の端部に到達する。このように、開口部8の中心部から端部にかけて、適度に分散した状態で光が入射するので、視野角を向上させることができる。
一方、開口部8への入射光の進行方向が適度に分散することによって、入射光の重なり合いが少なくなる。その結果、光学シート4により発生する正弦波形の輝度分布13は、反射板9上に設けられる開口部8付近にあるレンズ焦点面で、波形高さが輝度分布13よりも相対的に低い正弦波形の輝度分布13になり、凸型マイクロレンズアレイ11の結像特性そのものが低下する。これによって、開口部8と輝度分布13aとの間で発生するモアレ縞のコントラストを低下させ、液晶パネル1の視認性を向上させることができる。
凸型マイクロレンズアレイ11において、凸レンズ(シリンドリカル形状レンズ)の光軸の延長線上に存在する開口部8に投影される、凹部底面12aの平坦部の面積が、開口部8の面積の30〜40%であることが好ましい。この範囲にあるとき、正面輝度および視野角の向上と共に、モアレ縞の低減を達成できる。30%未満では、正面輝度および視野角の向上が不充分になる場合がある。正面40%を超えると、モアレ縞の発生が顕著になり、液晶パネル1の視認性が低下する場合がある。
ここで、凹部底面12aの平坦部の面積について、図4に基づいて説明する。図4は、シリンドリカル形状の凸型マイクロレンズアレイ11の、長手方向に垂直な方向の断面図である。凸型マイクロレンズアレイ11の頂部に形成される凹部12には、平坦部を有する底面12aがあり、底面12aの両側に連なって対向する内周面12c,12dがある。内周面12c,12dは、その断面において曲線状であり、底面12aに近接するほど曲率が大きくなるように形成され、それぞれに対応する漸近線A,Bを引くことが可能である。漸近線A,Bを延長すると、底面12aの断面線と交差し、交点X,Yを持つ。したがって、本発明では、この交点X,Y間の長さに、開口部8により投影される長手方向の長さを乗じて得られる数値が、凹部底面12aの平坦部の面積と定義する。
さらに本発明では、正面輝度および視野角の向上とともに、モアレ縞の低減を両立させるためには、凸型マイクロレンズアレイ11の凹部底面12aの面積とともに、モアレ縞の影響がなくなるギャップが重要である。モアレ縞の影響がなくなるギャップとは、凸型マイクロレンズアレイ11とバックライト光立ち上げ部材である光学シート4とを離反させて行き、モアレ縞のコントラストが低下し、目視によりモアレ縞の影響が確認できなくなる、凸型マイクロレンズアレイ11と光学シート4との距離を意味する。したがって、ギャップ値の大きいものほど、モアレ縞の影響が強いことになる。
下記表1に、開口部8の面積に対する凹部底面12aの面積の割合が10〜40%にある凸型マイクロレンズアレイ11を有する本発明の液晶パネル1について、正面輝度とギャップ値との関係を示す。比較のため、頂部に凹部ではなく平坦部を有する平坦なレンズからなるマイクロレンズアレイ(開口部8の面積に対する平坦部面積の割合=65%)を有する液晶パネルおよびマイクロレンズアレイを有しない液晶パネルについても、正面輝度とギャップ値との関係を示す。
表1から、頂部に凹部12を有する凸型マイクロレンズアレイ11を有する本発明の液晶パネル1は、正面輝度が高く、ギャップ値も一般的な凹部を有しないレンズからなるマイクロレンズアレイよりも小さく、モアレ縞の影響が低減化することが判る。また、液晶パネル1は、マイクロレンズアレイを持たない液晶パネルに比べ、正面輝度が著しく向上することが判る。さらに、凸型マイクロレンズアレイ11において、開口部8の面積に対する凹部底面12aの面積の割合が30〜40%のものは、正面輝度が一層向上することが判る。
レンズ頂部に凹部を有しないマイクロレンズアレイを用いた場合は、該レンズによって光が散乱することがないので、正面輝度は向上する。しかしながら、バックライトからのコントラストの高い正弦波形の輝度分布を持った光がそのまま開口部に入射するので、モアレ縞の影響が大きくなる。
液晶パネル1によれば、バックライト3から出射する光を、凸型マイクロレンズアレイ11により、反射板9上に規則正しく設けられる開口部8に集光し、その光によって、液晶層7に画像情報に基づいて表示される画像を視認可能にする。
このように、本発明のマイクロレンズアレイ付液晶パネル1によれば、レンズ面頂部に凹部12を有するマイクロレンズアレイ7を用いることにより、レンズの結像特性を悪化させることができるため、モアレ縞のコントラストを低下させ、且つ、液晶パネルの視認性を向上させることができる。
また、凹部12の底面12aの一部を平坦面で形成することにより、平坦面を透過したバックライトの光はレンズに曲げられることなく開口部8に入射するため、液晶パネル1の正面輝度を向上させることができる。
特に、以下の本マイクロレンズアレイの製造方法で示すように、本発明の凸型マイクロレンズアレイ11は、レンズの光軸と開口部の中心が一致するように形成するため、レンズ面頂部にある凹部12の底面12aの平坦面は、光軸を中心にして配置すると、効率よく開口部8に入射させることができる。
図1および図2に戻り、バックライト3には、表示パネル2に光を出射するためのものであり、液晶パネル分野で常用されるものが使用でき、たとえば、冷陰極管、LED、エレクトロルミネッセンス素子などが挙げられる。
またバックライト3の表示パネル2側には、バックライト3に対向するように、バックライト光立ち上げ部材4が配置される。バックライト光立ち上げ部材4は、バックライト3から出射される光を、表示パネル2の方向に立ち上げるものである。バックライト光立ち上げ部材4には、光学シートなどが使用できる。光学シートには、等間隔ピッチで三角柱を並べたプリズムシートなどがあり、液晶パネル内での輝度分布特性が優れるため、広く用いられる。
本発明の製造方法は、表示パネルと、バックライトと、バックライト立ち上げ部材とを含む液晶パネルの製造方法である。本発明の製造方法では、表示パネル中、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に、直接、頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程以外は、従来の製造方法と同様に実施できる。したがって、従来の方法と同様に実施できる工程については、説明を省略する。
頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程は、
(1)表示パネル中、一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に光硬化性樹脂層を成形する工程と、
(2)光硬化性樹脂層に透明性基板側から平行光を照射し、表示パネルの開口部を介して、光硬化性樹脂層に対して所定角度の光を走査して光硬化性樹脂層を露光し、光硬化性樹脂層の非露光部分を除去し、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程とを含む。
(1)表示パネル中、一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に光硬化性樹脂層を成形する工程と、
(2)光硬化性樹脂層に透明性基板側から平行光を照射し、表示パネルの開口部を介して、光硬化性樹脂層に対して所定角度の光を走査して光硬化性樹脂層を露光し、光硬化性樹脂層の非露光部分を除去し、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程とを含む。
以下に、図5を参照しつつ、本発明の製造方法について詳しく説明する。図5は、頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイ11の形成工程を示す工程図である。図中、紙面に対して左側の図面は、凸型マイクロレンズアレイ11を含む表示パネル2のレンズ方向の断面図である。また、紙面に対して右側の図面は、凸型マイクロレンズアレイ11を含む表示パネル2のレンズ長手方向の断面図である。
図5(a)の工程では、まず、透明性基板5、液晶層7、開口部8を有する反射板9、カラーフィルタ層10および透明性基板6を積層した表示パネル2が製造される。この表示パネル2の、バックライド寄りに配置される透明性基板5のバックライト側表面に、光硬化性樹脂層15を形成する。光硬化性樹脂層15に含まれる光硬化性樹脂としては公知のものを使用できるけれども、405nm以上の波長域における感度の高いものが好ましく、405〜420nm程度の波長域における感度の高いものがさらに好ましい。これは、本発明の製造方法の特徴に基づくものである。すなわち、本発明の製造方法では、後述するように、光硬化性樹脂層15に対する露光が、透明性基板5の光硬化性樹脂層15を形成した表面の反対側の面から行われる。さらに具体的には、透明性基板6の外方から、反射板9の開口部10を介して、光硬化性樹脂層15に露光が行われる。この際、RGB配列がなされたカラーフィルタ層10によって、405nm以下の波長の光がカットされる。一方、光硬化性樹脂の硬化物がR、G、Bの光を吸収すると、液晶パネル1の輝度が低下するおそれがあるため、可視光領域420〜700nm付近に感度を持たない光硬化性樹脂が好ましい。このような理由から、405nm以上の波長域における感度の高い光硬化性樹脂が好ましく、405〜420nmの波長域における感度の高い光硬化性樹脂が特に好ましい。このような光硬化性樹脂として、たとえば、ネガ型ドライフィルムレジストが挙げられる。
図5(b)の工程では、光硬化性樹脂層15に露光を行う。すなわち、透明性基板5のバックライト側表面に形成される光硬化性樹脂層15に向けて、透明性基板6の外方から、405〜420nmの波長の光を含む平行光16を照射する。平行光16は、透明性基板6、図示しない偏光板、カラーフィルタ層10および液晶層7を透過し、さらに反射板9に形成される開口部8を透過し、光硬化性樹脂層15を露光する。露光は、光硬化性樹脂層15に対して所定の角度を有する光を走査することにより行われる。走査領域と走査速度とを適宜変更することで、積算露光量を適宜調整し、得られる凸型マイクロレンズアレイ11のレンズ高さおよびレンズ形状を制御できる。なお、405nmの波長の光は、RおよびBに対応する開口部8のみを透過するので、Gに対応する開口部8を補うように走査範囲を適宜決定することで、開口部8により投影される光硬化性樹脂層15の全ての部分が、レンズ形状の露光部17になる。
図6は、光硬化性樹脂層15の露光処理を示す工程図である。図6(a)の工程では、反射板9の開口部8から透過する光を走査し、光硬化性樹脂層15を露光してシリンドリカル形状の凸型マイクロレンズアレイ11を形成するに際し、まず、レンズ面頂部の凹部12が形成されるように、レンズ方向を固定した状態で、形成しようとする凹部12の山部12bに相当する部分の光硬化性樹脂層15を一定量露光する。露光量は、凹部12の底面12aの平坦部面積によって必要になる山部12bの高さに応じて適宜選択される。
たとえば、78μm×50μmの大きさの開口部8からの光を、レンズ方向を+12°および−12°に固定し、レンズ長手方向に走査速度6.4°/秒で動かし、レンズ長手方向±19°の範囲を走査すればよい。図6(b)の工程では、図6(a)の工程で形成される光硬化性樹脂層15の露光部17aを含む範囲を、レンズ方向−12°または12°から走査を開始し、レンズ方向を2°ずつずらしながら、レンズ長手方向に走査速度6.4°/秒で動かし、レンズ方向±12°、レンズ長手方向±19°の範囲を走査すればよい。このように走査することで、積算露光量分布である露光部分17が得られ、レンズ面に凹部を有するマイクロレンズアレイの形状が形成される。実際にはレジストの解像度などの影響があるため、凹部は図のように鋭いエッジにはならず、なだらかに形成される。
たとえば、78μm×50μmの大きさの開口部8からの光を、レンズ方向を+12°および−12°に固定し、レンズ長手方向に走査速度6.4°/秒で動かし、レンズ長手方向±19°の範囲を走査すればよい。図6(b)の工程では、図6(a)の工程で形成される光硬化性樹脂層15の露光部17aを含む範囲を、レンズ方向−12°または12°から走査を開始し、レンズ方向を2°ずつずらしながら、レンズ長手方向に走査速度6.4°/秒で動かし、レンズ方向±12°、レンズ長手方向±19°の範囲を走査すればよい。このように走査することで、積算露光量分布である露光部分17が得られ、レンズ面に凹部を有するマイクロレンズアレイの形状が形成される。実際にはレジストの解像度などの影響があるため、凹部は図のように鋭いエッジにはならず、なだらかに形成される。
図5(c)の工程では、現像により不要な部分18を除去し、その後、必要に応じて、UVキュア、ベーク処理などを行い、光硬化性樹脂を完全に硬化させて、頂部に凹部12を有する凸型マイクロレンズアレイ11が形成される。凸型マイクロレンズアレイの具体例としては、たとえば、開口部8のR、G、B配列方向が長手方向になる、レンズピッチ200μm、レンズ高さ30μmのレンズ面の頂部に凹部12を有する凸型シリンドリカルレンズアレイが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、表示パネル2における、反射板9の開口部8を利用し、開口部8を透過してきた光をスキャンさせながら光硬化性樹脂層15を露光し、凸型マイクロレンズアレイ11を形成する。そのため、開口部8と凸型マイクロレンズアレイ11間での特別な位置合わせ工程、位置合わせのための装置などを必要とせず、高精度の位置合わせで凸型マイクロレンズアレイ11を形成できる。したがって、高価な装置、別工程の付加などを行う必要がないので、製造時間の短縮、コストの低減化などを図ることができる。また、スキャンの速度や範囲を変化させるだけで、凸型マイクロレンズアレイ11の形状を容易に調整できる。
1 液晶パネル
2 表示パネル
3 バックライト
4 バックライト光立ち上げ部材4
5,6 透明性基板
7 液晶層
8 開口部
9 反射板
10 カラーフィルタ層
11 凸型マイクロレンズアレイ
12 凹部
12a 凹部底面
12b 凹部山部
12c,12d 凹部内周面
13,13a 輝度分布
14a,14b,14c,14d 光
15 光硬化性樹脂層
16 平行光
17,17a 露光部
18 非露光部
2 表示パネル
3 バックライト
4 バックライト光立ち上げ部材4
5,6 透明性基板
7 液晶層
8 開口部
9 反射板
10 カラーフィルタ層
11 凸型マイクロレンズアレイ
12 凹部
12a 凹部底面
12b 凹部山部
12c,12d 凹部内周面
13,13a 輝度分布
14a,14b,14c,14d 光
15 光硬化性樹脂層
16 平行光
17,17a 露光部
18 非露光部
Claims (7)
- 一対の透明性基板、該透明性基板間に充填される液晶層および開口部を有する表示パネルと、表示パネルに光を照射するバックライトと、バックライト光の立ち上げ部材とを含む液晶パネルにおいて、
一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に設けられる凸型マイクロレンズアレイを含み、
凸型マイクロレンズアレイが、その凸レンズ面とバックライトとが対向するように配置され、かつ凸レンズの頂部に凹部が形成されることを特徴とする液晶パネル。 - 凸レンズの頂部に形成される凹部底面は平坦面であることを特徴とする請求項1記載の液晶パネル。
- 凸レンズの頂部に形成される凹部底面は、その光軸を中心とする面として形成されることを特徴とする請求項1または2記載の液晶パネル。
- 凸レンズの光軸の延長線上に存在する開口部に投影される凹部底面の平坦部の面積は、該開口部の面積の30〜40%であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の液晶パネル。
- マイクロレンズアレイは、シリンドリカル形状であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の液晶パネル。
- 一対の透明性基板、該透明性基板間に充填される液晶層および開口部を有する表示パネルと、表示パネルに光を照射するバックライトと、バックライト光の立ち上げ部材とを含む液晶パネルの製造方法であって、
一対の透明性基板のうち、バックライト寄りに配置される透明性基板のバックライト側表面に光硬化性樹脂層を成形する工程と、
光硬化性樹脂層に透明性基板側から平行光を照射し、表示パネルの開口部を介して、光硬化性樹脂層に対して所定角度の光を走査して光硬化性樹脂層を露光し、光硬化性樹脂層の非露光部分を除去し、凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程とを含むことを特徴とする液晶パネルの製造方法。 - 凸レンズ頂部に凹部を有する凸型マイクロレンズアレイを形成する工程において、
露光は、最初に、光硬化性樹脂層の凸レンズを形成する部分に対して行われることを特徴とする請求項6記載の液晶パネルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004223947A JP2006047360A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | 液晶パネルおよびその製造方法 |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007256575A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Toppan Printing Co Ltd | レンズアレイシート、光学シートおよびバックライト |
JP2009139870A (ja) * | 2007-12-10 | 2009-06-25 | Toppan Printing Co Ltd | 光学シート、ディスプレイ用バックライト・ユニット及び表示装置 |
JP2010060906A (ja) * | 2008-09-04 | 2010-03-18 | Hitachi Displays Ltd | 液晶表示素子、および液晶表示装置 |
-
2004
- 2004-07-30 JP JP2004223947A patent/JP2006047360A/ja active Pending
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