JP5125935B2 - 光均一素子、光学シート、それを用いたバックライトユニットおよびディスプレイ装置 - Google Patents

光均一素子、光学シート、それを用いたバックライトユニットおよびディスプレイ装置 Download PDF

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本発明は、光路制御に用いられる光均一素子、光学シート、それを用いたバックライトユニットおよびディスプレイ装置に関するものである。
液晶パネルを利用した液晶表示装置が、携帯電話や個人用携帯情報端末、パーソナルコンピュータ用ディスプレイの画像表示手段だけでなく、家電製品としてのテレビにも幅広く普及してきている。さらには、これまでのカソード・レイ・チューブ(CRT)テレビでは困難であった大型面対応の情報家電の画像表示装置として一般家庭にも普及し、液晶表示装置の利点をより活用させるために、大型化だけでなく、高輝度化、薄型・軽量化に向けた開発も非常に早いスピードで進められてきている。
このような液晶表示装置では、装置内部に光源を内蔵していることが多く、画像を表示するために必要な明るさを得るために、液晶パネルの背面側に光源を含めたバックライトユニットを配置している。このバックライトユニットに採用されている光源としては、大別して冷陰極管等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、画像表示素子とこの光源との間に光散乱性の強い拡散板および光学フィルムを配置して、冷陰極管やLEDなどが直接視認されない構成を有する「直下型方式」があり、特に直下型方式は導光板の利用が困難な大型の液晶ディスプレイなどの表示装置に用いられている。
光源である冷陰極管から出射される光は、冷陰極管の直上が最も明るく、冷陰極管と冷陰極管の中間が最も暗くなっている。直下型方式に使用される拡散板は、この光源の明暗である輝度ムラ(ランプイメージ)を低減させることを主な目的としていることから、光を散乱させる微細な材料が含まれており、使用する目的に合わせて様々な拡散板が開発させている。また、拡散板は、その上に配置される光学フィルムを支持する役割を担うことから、通常1〜3mm程度の厚さが必要とされている。さらに、液晶表示装置は年々薄型化が進んでいく傾向があり、これを構成する拡散板も薄型化が要求されつつあると同時に、更なる拡散性の向上が求められてきている。
最近の液晶表示装置の流れとしては、地球環境問題対策の一環である消費エネルギーを低減させることを目的とした、消費電力抑制が大きな課題となってきている。液晶表示装置においては、光源となるバックライトの消費電力が最も大きく、このバックライトの消費電力を抑制する取組みが幅広い分野で行われてきている。
この一つの取組みとして、光源である冷陰極管の本数を低減させて消費電力を低く抑える試みが行われており、その消費電力低減の効果は社会に広く認められつつある。しかしながら、冷陰極管の本数を減らすことは光源の明暗である輝度ムラ(ランプイメージ)を強めることになり、これまでの拡散板および光学フィルムの組合せでは完全にランプイメージを消すことは困難となってきている。ランプイメージを消すために、拡散板内部に拡散粒子を増やした場合は拡散板の全光線透過率を下げることになり、画像表示に必要な輝度を得ることが出来なくなる。この場合、光源である冷陰極管からの光を強くすることで必要とされる輝度は得られるが、光を強くすることで消費電力低減の効果が大幅に低下してしまうという問題が生じることになる。
特許文献1〜3には、拡散性能を向上させる手段として、拡散板の光出射面にレンズ形状を賦形した例が開示されている。一例として、拡散板の上に凸型曲面を有するレンズが配置されている。このような拡散板では、光源の配置に合わせてレンズの形状を設計し、レンズのアライメントを決定することが必要となる場合があり、製造工程が煩雑化することが生じる。また、拡散板の光出射面にレンズ形状を賦形することにより、拡散板の全光線透過率が低下して、画面表示に必要な輝度を得ることが難しくなることもある。さらにまた、拡散板の上に配置したレンズシートと液晶画素とからモアレ干渉縞が生じる問題も考えられる。
特開2007−103321号公報 特開2007−12517号公報 特開2006−195276号公報
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、複数の光源からの入射光を均一にして射出させることでランプイメージを低減/消滅させることが可能であり、光源と光学素子、および光均一素子との距離が近づいた場合、または光源の間隔が拡がった場合に対応が可能である光均一素子を提供することを目的とする。更に上記光均一素子から射出された光を効率良く観察者側へと射出させることで観察者側への輝度を向上させる光学フィルムを、該光均一素子と一体積層した光学シート、該光学シートを備えたバックライトユニットおよびディスプレイ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。即ち、本発明の請求項1は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材が透明樹脂に光拡散剤が混入されてなる光拡散部材であって、前記光拡散剤は立方体形状の炭酸カルシウム微粒子と球状の架橋シロキサン系樹脂微粒子とが配合されてなり、前記炭酸カルシウム微粒子と前記架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が1:0.5〜10の範囲に設定され
前記光偏向要素が弧状表面又は稜線を有する第一頂部と、第一頂部から前記光伝搬層の光入射面に至る第一傾斜部とを有し、前記光伝搬層の屈折率をnとし、前記光偏向要素のピッチをPとし、前記第一傾斜面が前記光伝搬層に接合する接合点における前記第一傾斜面への接線が、前記光伝搬層の光入射面となす角をθとしたとき、前記光伝搬層の厚さTが下記の数式1を満たし、かつ
前記光偏向要素の形状が、前記第一頂部と、前記第一傾斜部が湾曲してなる第一湾曲傾斜部を有する形状であり、前記第一湾曲傾斜部の各点における接線と、前記光伝搬層の光入射面側となす角が、20度以上90度以下で連続して変化している
ことを特徴とする光均一素子である。
Figure 0005125935

前記光拡散基材に含まれる炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子の粒子形状および配合比の最適化を図ることにより、光の透過率を維持しながら光を効果的に拡散させることができ、結果的に輝度を保持すると同時に光源の輝度ムラを消すことが出来る光均一素子を提供することが可能となる。
請求項2は、前記炭酸カルシウム微粒子を構成する炭酸カルシウムの結晶構造が六方晶系であることを特徴とする請求項1に記載の光均一素子である。光拡散性に寄与する炭酸カルシウム微粒子の屈折率を最適な範囲に設定することができ、光の拡散性を向上させることが可能となる。
請求項3は、前記炭酸カルシウム微粒子の一辺の長さが1〜10μmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光均一素子である。炭酸カルシウム微粒子の一辺の長さが1μm未満の場合には、光の透過性が乏しく隠蔽性のみが顕著に発現するため好ましくない。一方、10μmより大きい場合には、炭酸カルシウム微粒子を立方体形状に形成することが困難であるため、製造上の不都合が生じる。本発明においては、これらを勘案して炭酸カルシウム微粒子の一辺の長さが1〜10μmの範囲に設定されているために上記欠点が解消される。
請求項4は、前記架橋シロキサン系樹脂微粒子の粒径が0.1〜10μmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光均一素子である。架橋シロキサン系樹脂微粒子の粒径が0.1μmより小さいと光散乱性の波長依存性が大きくなるため、黄色が強くなり色ムラが生じる可能性があり、10μmより大きい場合には、散乱光のムラが顕著となってしまうため好ましくない。本発明に係る光拡散部材においてはこれらを勘案して、粒径が0.1〜10μmの範囲に設定されているため、上記欠点が解消される。
請求項5は、前記透明樹脂が、ポリスチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂のいずれかから選択され、一種又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光均一素子である。これにより、光の透過性および剛性に優れた光拡散部材を提供することができる。
請求項6は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光偏向要素の頂部が稜線を有することを特徴とする請求項1に記載の光均一素子である。
請求項7は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材の光入射面側に光伝搬層が形成され、前記光伝搬層の光入射面側に光偏向要素が形成されており、前記光拡散基材は、透明樹脂に光拡散領域が分散されてなり、全光線透過率が10%〜60%、ヘイズ値が95%以上であり、前記伝搬層は全光線透過率が80%以上、ヘイズ値が95%以下であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の光均一素子である。
請求項8は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材の光出射面側に微細な凹凸が設けられたことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の光均一素子である。
請求項9は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材の光出射面側に凹凸を有する光拡散レンズが設けられたことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の光均一素子である。
請求項10は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記拡散基材の光出射面側が略平坦であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の光均一素子である。
請求項11は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光偏向要素、光伝搬層および光拡散基材が多層押出法により一体成形されていることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の光均一素子である。
請求項12は、光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材と光伝搬層とが多層押出法により一体成形されており、シート状に成形された光偏向要素と光伝搬層とが固定層を介して積層されていることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の光均一素子である。
請求項13は、請求項1から12の何れか1項に記載の光均一素子の、前記光拡散基材の光出射面側に集光レンズと光透過基材から成る光学フィルムが設けられており、前記集光レンズは複数で一定のピッチで配列されて、前記集光レンズの形状が凸曲面形状を有し、弧状表面を有する第三頂部と、前記第三頂部から前記光透過基材へ至る第三傾斜面とを有しており、前記第三頂部に行くに従い、対向する前記第三傾斜面の間の距離が次第に減少するように形成されていることを特徴とする光学シートである。
請求項14は、集光レンズと光透過基材からなる前記光学フィルムと前記光均一素子との間に、複数の光マスクと、前記光マスクを離間する光透過用開口部とが設けられており、前記光透過開口部が、前記集光レンズの前記第三頂部に対応して設けられ、前記光マスクを介して前記光学フィルムと前記光均一素子とが一体積層されていることを特徴とする請求項13に記載の光学シートである。
請求項15は、集光レンズと光透過基材からなる前記光学フィルムと前記光均一素子との間にドット状または線状のリブが配列され、前記リブを介して前記光学フィルムと前記光均一素子とが一体積層されてなることを特徴とする請求項13に記載の光学シートである。
請求項16は、請求項1から12の何れか1項に記載の光均一素子と光源を備えることを特徴とするバックライトユニットである。
請求項17は、請求項13から15の何れか1項に記載の光学シートと光源を備えることを特徴とするバックライトユニットである。
請求項18は、前記光源が線状光源であり、前記光偏向要素の形状がレンチキュラー型レンズであり、平面視したときに、前記レンチキュラー型レンズの長軸方向と前記線状光源の長軸方向とのなす角が20度以下であることを特徴とする請求項16または17に記載のバックライトユニットである。
請求項19は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する画像表示素子と、請求項16から18の何れか1項に記載のバックライトユニットを備えることを特徴とするディスプレイ装置である。
これまで述べてきた構成および光拡散材基材に利用する炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子の粒子形状および配合比の最適化を図ることにより、光源との距離が近づいた構成または光源の間隔が拡がった構成に対しても、画面表示側に輝度ムラのない均一な光を射出することが可能であり、多層構成において各層の厚みや材質を変えることで、光源から発せられる熱による反りを防止することができる光均一素子を提供することができる。また光均一素子から射出された光を効率良く液晶表示画像を観察する人の方向へと射出させることで、観察者側の輝度を向上させる光学フィルムと、該光均一素子とを一体積層した光学シート、該光学シートを備えるバックライトユニットおよびディスプレイ装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、図1から図12は、本実施形態による光均一素子および光路制御部材の構成およびその利用形態を示す断面概略図の一例であり、各部位の縮尺または比率は実際とは一致しない。また、これに限定されるものでもない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の光均一素子、バックライトユニットおよびディスプレイ装置の一例を示す断面模式図である。本発明の実施形態であるディスプレイ装置70は、画像表示素子35とバックライトユニット55とから構成されている。また、本発明の実施形態であるバックライトユニット55は、ランプハウス(反射板)43内に複数の光源41が配置され、その上(観察者側方向F)に本発明の実施形態である光均一素子25、光学部材2が単一、又は複数配置されて構成されている。光源41から射出された光Hは、光均一素子25で拡散され、その上に配置された単一、又は複数の光学部材で拡散・反射・集光・カラーシフトされ、バックライトユニット55から射出される光Kが、画像表示素子35に入射し、観察者側Fへと射出される。
光源41は、画像表示素子35へと光を供給するものである。そこで光源41としては、たとえば、複数の線状光源を用いることができる。複数の線状光源としては、たとえば、複数の蛍光灯、冷陰極管(CCFL)、EEFLあるいは線状に配置されたLEDなどを用いることができる。反射板43は、複数の光源41の観察者側Fと反対側に配置され、光源41から全方向に出射された光のうち、観察者側Fと反対側の方向に出射された光を反射させて観察者側Fに出射させることができる。その結果、観察者側Fに出射された光Hは、ほぼ光源41から全方向に出射された光となる。このように反射板43を用いることによって、光の利用効率を高めることができる。反射板43としては、光を高効率で反射させる部材であればよく、たとえば、一般的な反射フィルム、反射板などを使用することができる。
本発明の実施形態である光均一素子25は、光偏向要素28および光伝搬層23と光拡散基材26で構成される。また、光偏向要素28は、表示装置70の光源41側に向けて配置され、光偏向要素28の入射面から入射した光Hを偏向して光伝搬層23に射出し、光伝搬層23の光射出面から拡散光を射出するものである。光拡散基材26は、観察者側Fと反対側の面26aに光伝搬層23の観察者側Fの面23bが重ねられて形成されている。上述した光均一素子25は、液晶装置のみならず、背面投射型スクリーン、太陽電池、有機又は無機EL、照明装置など、光路制御を行うものであれば何れのものにも使用することができる。
図2(a)は、本発明の実施形態である光均一素子25の機能を説明する図である。光源41はランプハウス(反射板)43内に、Ve方向(画面垂直方向)に一定のピッチで配列されている。光源41から射出した光Hは、光均一素子25の観察者側Fと反対側の面、すなわち光偏向要素28より入射し、光均一素子25の観察者側Fの面、すなわち光拡散基材26の観察者側Fの面26bより観察者側Fへ射出する。光均一素子25の拡散性能が足りない場合、光拡散基材26の観察者側Fの面26bには、光源41に対向する領域が明るく、光源41と光源41との間に対向する領域が暗く見え、輝度ムラ(光源イメージ)として視認される。本発明の実施形態である光均一素子25は、観察者側Fとは反対側の面に光偏向要素28が配列されている。光源41から入射する強い正面光Hを光偏向要素28にて、その進行方向を偏向し、光伝搬層23において偏向された入射光を拡げ、光拡散基材26において拡散し、均一な光を観察者側Fへ射出する。
光偏向要素28としては凹凸形状を有するレンズであることが望ましい。光偏向要素28の第一傾斜面28bが光伝搬層23と接合する点30における第一傾斜面への接線mと、光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23aとがなす角度をθ、光偏向要素28の単位レンズのピッチをP、光伝搬層23の厚みをT、光伝搬層23の屈折率をnとしたとき、以下の数式1を満たすことが望ましい。
Figure 0005125935
すなわち、図2(b)に示されるように、光伝搬層23の厚みTは、光偏向要素28の第一傾斜面28bが光伝搬層23と接合する点30に入射した光が、角度θの面で偏向され、光伝搬層23内にてVe方向に光偏向要素28のピッチP以上拡がるために必要な厚みと定義される。ここで光偏向要素28の単位レンズのピッチPは、光偏向要素28を断面視した際に、光伝搬層23と接合する2点間の距離と定義される。尚、数式1が有効な光偏向要素28のピッチPは10μm以上300μm以下であることが望ましい。光偏向要素28のピッチPが10μmより小さい場合は、構造周期が波長に近づくため、回折の影響が無視できなくなってくるためである。光偏向要素28のピッチPが300μmを超える場合、性能上は問題ないが、光伝搬層23の厚みTが非常に厚くなってしまう。この場合、光伝搬層23の厚みは2mm以下に収まるよう設定することが望ましい。
よって一定のピッチで配列された光偏向要素28に入射した正面光Hは、光偏向要素28で偏向された光が光伝搬層23内で混ざり合い、光拡散基材26にて拡散、観察者側Fへと射出される。光伝搬層23の厚みTが数式1を満たさない場合、光偏向要素28にて偏向された光は混ざり合わずに光拡散基材26へ入射するため、光均一素子25の拡散性能が不足する。
さらにまた、2つ隣の光偏向要素28によって偏向された光が光伝搬層23内で混ざり合うことがより好ましい。すなわち、以下の数式2を満たすことが望ましい。
Figure 0005125935
図2(c)に示されるように、2つ隣の光偏向要素28によって偏向された光が光伝搬層23内で混ざり合う厚さTであれば、その拡散性能は更に増すため、光源41との距離が10mm以下と近づいても、ランプイメージを低減/消滅することが可能となる。
光偏向要素28としては、図3(a)のような三角プリズム形状が望ましい。レンズ成形が容易であり、且つ正面からの入射光Hを大きく偏向することが出来るためである。また、図3(b)のような凸湾曲レンズ形状が望ましい。第一頂部28a、および第一傾斜面28bの各点における接線が連続的に変化しているため、正面からの入射光Hを様々な角度へ偏向することが出来るためである。凸湾曲レンズ形状としては、図3(c)のような非球面形状であることが更には望ましい。第一頂部28aの曲率半径が小さくできるため、拡散性能が増すためである。さらに光偏向要素28としては、図3(d)のような湾曲三角プリズムであることが望ましい。第一頂部28aが稜線であるため、入射光Hがレンズのどの箇所へ入射しても必ず大きく偏向することができる。また、第一傾斜面28bの各点における接線が連続的に変化しているため、正面からの入射光Hを様々な角度へ拡散することが出来るためである。このとき、図3(d)に示すように、第一傾斜面28bの各点における接線が、光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23bとなす角度が、20度〜90度の間で連続的に変化していることが更には望ましい。20度を下回る面がある場合、偏向角が非常に小さくなるため、拡散性能が弱くなってしまう。特に0度となる面がある場合、全く偏向せずに入射光Hを通すことになる。湾曲三角プリズムは第一傾斜面28bの各点における接線が、光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23bとなす角度が、20度より小さくなる面がないため、第一傾斜面28bのどの箇所に光が入射しても大きな角度で偏向することが可能である。
また、第一傾斜面28bの各点における接線が、光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23bとなす角度が大きく変化しない場合、第一傾斜面28bのどの点に光が入射しても、偏向角がほとんど一緒となるため、同じ領域に光が集中してしまう。湾曲三角プリズムは第一傾斜面28bの各点における接線が、光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23bとなす角度が、20度〜90度の範囲で大きく変化しているため、様々な角度に入射光Hを偏向し、光を均一にすることができる。さらに、光偏向要素28は上記レンズ形状を複数組み合わせて用いることができる。例えば図3(e)に示されるように、凸湾曲レンズの上に三角プリズムを組み合わせたような形状でも良い。または図3(f)のように2つの湾曲三角プリズムをVe方向にシフトさせて重ねた形状でも良い。2つ以上のレンズ形状による拡散効果により、更に拡散性能が増すためである。
光偏向要素28は図4(a)に示されるように、凹レンズ形状でも良い。凹レンズ形状としては、上記三角プリズム、凸湾曲レンズ、湾曲三角プリズム、その他組合せレンズの逆形状であることが望ましい。この場合、上述の数式1、2におけるθは、図5に示されるように、第一傾斜面28bが第一頂部28aと接合する点30における接線mと、光伝搬層23の観察者側と反対側の面23aとのなす角度θと定義される。従って、光伝搬層23の厚みTの定義は、凹レンズの第一頂部28aから光拡散基材26までの距離となる。そのため、凸レンズ形状と比べて、光学素子24および光均一素子25の厚さを薄くすることが可能となるため望ましい。また、図4(b)に示されるように、凹レンズの第一頂部28aは略平坦面であっても良い。平坦面である方が、光偏向要素28を成形する金型の磨耗や欠けが少ないためである。さらにまた、図4(c)に示されるように、略平坦面である第一頂部28aの上に、光拡散/反射層28cを形成しても良い。このとき、第一傾斜面28bに回り込み量Δは、第一傾斜面28bの幅p1の30%以下であることが望ましい。さらにまた、図4(d)に示されるように、凹レンズの凹面に光カバー層28cを形成しても良い。凹レンズの凹面は偏向角が小さい領域であるため、凹面に光カバー層28cを形成することで拡散性能が向上する。形成する方法としては、例えばインクジェット方式、撥水/撥油処理方法等が挙げられる。
光偏向要素28は上述のレンズ等を、適宜複数組み合わせて配列しても良い。または図6(a)および図6(b)に示されるように単位レンズのピッチPや高さを変えて配列しても良い。これにより、光偏向要素28の最遠交点αは光伝搬層23内に不均一に配置されている。図6(c)には、光偏向要素28の単位レンズの配列方向に対して、最遠交点αが平行且つ直線上に配置されたものを示す。光偏向要素28に正面光Hが入射したとき、単位レンズの中心線上に集光点が生じるが、該中心線上に収差が生じる。そこで本発明においては説明を簡略化するために、最もレンズ頂点から離れた点で集光する点を最遠交点αと定義する。図6(a)から(c)においては、単位レンズの両端に入射した光が偏向されて交わる点を最遠交点αとなる一例を示している。
図6(c)において、例えば全ての光偏向要素28が同一形状である場合は、各々の光偏向要素28に入射した光の最遠交点αの位置は、同一面上に存在する。従って、光学素子24および光均一素子25の入射面から入射した光Hは、どの領域においても同一の拡散性能が得られるため、ムラの無い光学素子24および光均一素子25を提供することができる。しかしながら、図6(a)および図6(b)で示されるように、光偏向要素28のレンズ形状が一定ではない場合は、各々の光偏向要素28に入射した光の最遠交点αが同一面上には存在しない。したがって各々の光偏向要素28毎に光伝搬層23の厚みTが異なることとなる。このとき、光伝搬層23の厚さTは、組み合わせる各レンズの中で最も厚くなるTを選択することが望ましい。最も厚くなるTを選択することで、配列される全ての光偏向要素28において、上述の数式1および2を満足することができるため、確実に拡散効果を得ることができる。例えば、光源41が極端に光学素子24および光均一素子25と近接する場合や、光源41間の距離が極端に離れている場合、光源41間の距離が不均一な場合などに、光偏向要素28の最遠交点αを不均一にすると有効である。とくに複数組み合わせる場合、図7に示されるように、光源41の位置に合わせて規則的に配列しても良い。このとき、光源41の真上の領域には、光伝搬層23の厚みTが最も薄く設定できる光偏向要素28を配置することが望ましい。結果として光源41の真上の領域の拡散性能を高めることが出来るため、輝度ムラをより低減することが可能となる。光偏向要素28のピッチPは適宜決定できるが、光偏向要素28のピッチPが大きいほど、光伝搬層23の厚さTも厚くなるため、現実的には10μm以上300μm以下、望ましくは10μm以上200μm以下であることが求められる。
光偏向要素28は、光伝搬層23の観察者側Fと反対側の面23aに、UV硬化樹脂などのような電子線硬化樹脂を用いて成形することができる。たとえば、光拡散基材26と光伝搬層23とを押出法等により一体で板状部材として成形して、光伝搬層23の観察者側Fと反対側の面23aに光偏向要素28をUV成形することができる。さらにまた、光伝搬層23を押出法や射出成形法等により板状部材として成形して、これを光拡散基材26と一体化する前/後に、光伝搬層23の観察者側Fと反対側の面23aに光偏向要素28をUV成形することができる。また、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを用いて、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって光偏向要素28を形成することもできる。また、同様に作製したシート材の表面に、光偏向要素28を、放射線硬化樹脂を用いて成形することもできる。
光偏向要素28と光伝搬層23は、押出成形で同時に作製することができる。また図8(a)に示されるように本発明の光偏向要素28および光伝搬層23と光拡散基材26から成る光均一素子25は多層押出成型等により一体で成形してもよい。一方で図8(b)に示されるように、シート状に成形した後、光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23aに、ラミネート等により固定層20によって貼合することもできる。この場合、シート状に成形した光偏向要素28に紫外線吸収材を含有させることが好ましい。シート状に成形した光偏向要素28に紫外線吸収材を含有させることで、固定層20の紫外線劣化による剥れを防ぐことができる。
ここで固定層20は、粘着剤、接着剤を用いて形成する。粘着剤、接着剤には、ウレタン系、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ビニル系の樹脂等を用いることができる。また、粘着剤、接着剤には、1液型で押圧して接着するもの、熱や光で硬化させるものを用いることができ、2液、もしくは複数の液を混合して硬化させるものを用いることができる。さらに、固定層20内にフィラーを分散してもよい。固定層20内にフィラーを分散することで、接合層の弾性率を増加することが可能となる。固定層20の形成方法において、接合面へ直接塗布する方法や、あらかじめドライフィルムとして準備したものを貼り合わせる方法がある。固定層20をドライフィルムとして準備した場合、製造工程上、簡易的に扱うことが可能となるため好ましい。
また固定層20は反り防止作用があることが望ましい。固定層20の熱線膨張係数を、光拡散基材26の熱線膨張係数とほぼ同じになるように合せ込むことで、光均一素子25自体の反りを防止することができる。さらにまた、シート状に成形した光偏向要素28の熱線膨張係数を、光拡散基材26の熱線膨張係数とほぼ同じになるように合せ込むことで、光均一デバイス25自体の反りを防止することができる。シート状に成形した光偏向要素28の厚みは10μm〜1mmであることが望ましい。更には25μm〜500μmであることが望ましい。シート状に成形した光偏向要素28の厚みが薄すぎると皺等が発生し、厚すぎると光伝搬層23との貼合が容易ではなくなるためである。ここで、シート状に成形した光偏向要素28の基材領域を光伝搬層23とみなすことができる。したがって厚いシート状に光偏向要素28を成形することで、光伝搬層23の厚みを薄くすることができる。また、直接光拡散基材26に貼り合わせることも可能となる。
光偏向要素28の表面に、さらに微細な凹凸を有していても良い。微細な凹凸が、光偏向要素28による偏向効果を更に高めることができる。このとき、表面粗さRaは、0.1μm〜10μmの範囲であることが望ましい。0.1μmを下回る凹凸構造では偏向効果は得難く、また10μmを超える凹凸構造はそれ自体が光偏向要素28となる。微細な凹凸の形成方法としては、例えば光偏向要素28自身、又は成形用金型の表面を、エッチングやサンドブラストなどによって荒らす方法、または光偏向要素28の成形用金型に、更に微細な凹凸形状を切削する等の方法が挙げられる。また、光偏向要素28は、入射光Hを偏向させるものであれば、上述のようなレンズ形状でなくても良い。また、光偏向要素28は、入射光Hを偏向させるものであれば、上述のようなレンズ形状でなくても良い。例えば、光偏向要素28は樹脂フィラーや気泡等による拡散層であっても良い。光偏向要素28で入射光Hを偏向し、光伝搬層23で偏向された光を拡げ、光拡散基材26で更に拡散することで、拡散性能が向上するためである。
本発明の光均一素子25を構成する光伝搬層23は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。全光線透過率が80%以上であれば、観察者側Fへ出射させる光の輝度を低下させることがない。逆に、全光線透過率が80%未満の場合には、観察者側Fへ出射させる光の輝度低下を生じさせるため好ましくない。なお、全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠した測定値である。また、光伝搬層23は、ヘイズ値が95%以下であることが好ましい。光伝搬層23は、光偏向要素28によって偏向拡散された入射光を効果的に拡げて伝搬し、光拡散基材26へ入射させる。従って、ヘイズ値が95%を超える場合には、十分な光拡散効果を得ることが出来ないため好ましくない。なお、ヘイズ値は、JIS K7136に準拠した測定値である。
光伝搬層23に用いられる材料は、熱可塑性樹脂からなる透明樹脂が好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを挙げることができる。また、光伝搬層23は、少なくとも1軸方向に延伸されていてもよい。
光伝搬層23は、少なくとも2層以上の多層構造とすることができる。このとき、光偏向要素28側の層23Aの屈折率をn1、光拡散基材26側の層23Bの屈折率をn2、光偏向要素28の屈折率をn0としたとき、数式3を満たすことが望ましい。
Figure 0005125935
数式3について、図9(a)を用いて説明する。
光Hが光偏向要素28に入射すると、空気の屈折率と光偏向レンズ28の屈折率n0とにより光Hは偏向される。このとき光偏向要素28の屈折率n0が大きいほど屈折角は大きくなるため、光偏向要素28の屈折率n0は大きい方が望ましい。図9(a)においては、光偏向要素28、光伝搬層23の光偏向要素28側の層23A、および光伝搬層23の光拡散基材26側の層23Bのそれぞれの界面において、光が光源41側から観察者側Fに進むにあたり、界面での屈折率が高くなる場合を2点鎖線、屈折率が変わらない場合を点線、屈折率が低くなる場合を実線で表している。例えば、光偏向要素28により偏向された光が光伝搬層23に入射する際、n0>n1、すなわち屈折率が低くなる場合、実線で図示される方向へ偏向する。偏向された光と光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23aとのなす角度が小さくなるため、拡散性能は向上する。
逆に、n0<n1、すなわち屈折率が高くなる場合、2点鎖線で図示される方向へと偏向される。偏向された光と光伝搬層23の観察者側Fと反対側の面23aとのなす角度が大きくなるため、拡散性能は低下する。同様に、光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aと光伝搬層23の光拡散基材26側の層23Bとの界面においても、n1>n2、すなわち屈折率が低くなる場合、拡散性能は向上することとなる。従って、光偏向要素28の屈折率n0と光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aの屈折率n1とは、等しいか又は光偏向要素28の屈折率n0の方が大きいことが望ましく、光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aの屈折率n1と光伝搬層23の光拡散基材26側の層23Bの屈折率n2とでは、等しいか又は光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aの屈折率n1の方が大きいことが望ましい。
ここで、光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aの厚さより、光伝搬層23の光拡散基材26側の層23Bの厚さの方が厚いことがより望ましい。光伝搬層23の光拡散基材26側の層23B内で光を大きく拡げることが可能となるためである。更には、図9(b)に示すように、光偏向要素28の単位レンズの両端に入射した光が偏向して交差する点が、光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aに位置することが望ましい。また、光伝搬層23が少なくとも2層以上の多層構成である場合には、光偏向要素28の最遠交点αが光偏向要素28の光射出面(すなわち光伝搬層23の観察者側Fと反対側の面23a)と接する層内に含まれることが良い。これにより、光伝搬層23内の光偏向要素28に近い点に最遠交点があるため、大きく光を拡散することができる。
上述した光伝搬層23は、屈折率の異なる複数の層を多層押出法等により成形することができる。また、押出法や射出成形法によって成形した光伝搬層23に、該光伝搬層23よりも屈折率の高い材料を用いて光偏向要素28をシート状に成形し、ラミネート法等により貼合することでも実現することが出来る。
光伝搬層23は多層構成とすることで反りを防止することが出来る。この場合、最も観察者側から離れた層の熱線膨張係数を、光拡散基材26の熱線膨張係数とほぼ同じ程度に合せ込むことで、光均一素子25の反りを防止することができる。また、光伝搬層23の厚さを調整することによっても光均一素子25の反りを防止できる。
光均一素子25は、光拡散基材26と光伝搬層23をそれぞれ別々に押出法、射出成形等により形成した後に、接着材又は粘着材により一体化して形成しても良い。たとえば、接着材又は粘着材としては、一般的に用いられるラミネートなどを用いて光拡散基材26と光伝搬層23を貼り合せることができる。
光拡散基材26は、全光線透過率が10%〜60%であることが好ましい。全光線透過率が10%未満の場合には、観察者側Fへの出射光の輝度低下を生じさせるので好ましくなく、逆に、全光線透過率が60%を超える場合には、拡散性能が不十分となり、面内輝度の均一性が悪化するため好ましくない。また、光拡散基材26は、ヘイズ値が95%以上であることが好ましい。ヘイズ値が95%未満の場合は、拡散性能が不十分となり、面内輝度の均一性が悪化するため好ましくない。
光拡散基材26は、透明樹脂とこの透明樹脂の中に混入・分散された光拡散剤とを具備して構成されており、これら透明樹脂の屈折率と光拡散剤との屈折率は異なるものとされている。透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができ、例えば、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂、ガラス、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フルオレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体、脂環式アクリル樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、オレフィン・マレイミド交互共重合体、シクロヘキサジエン系ポリマー、非晶ポリエステル樹脂、非晶フッ素系樹脂等を用いることができる。中でもポリスチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。なお、これらの1種から構成されていても良いし、2種以上を組み合わせて構成されたものであってもよい。
本実施形態の光拡散基材26において、上記透明樹脂に分散される光拡散剤として、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子とが混合されたものが使用される。炭酸カルシウム微粒子は、化学的に立方体形状に合成されており、その一辺の長さは1〜10μmの範囲に設定されている。この一辺の長さが1μm未満の場合、光拡散基材26の透過性が乏しくなり隠蔽性が顕著に発現してしまうため光拡散剤の材料として好ましくない。また、一辺の長さが10μmよりも大きい場合には、その形状を立方体形状に形成することが困難となるため好ましくない。なお、炭酸カルシウム微粒子を化学的に立方体形状に合成する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、緻密質石灰石を焼却炉で焼成して炭酸ガスと生石灰に分解した後、この生石灰に水を加えて水化精製し石灰乳とする。これに炭酸ガスを吹込み回分式で反応させることで立方体形状の炭酸カルシウム微粒子を得ることができる。本実施形態においては、炭酸カルシウム微粒子として、例えば、市販されているシプロ化成社製のシプロンA、シプロンB等を用いることができる。
また、このような炭酸カルシウム微粒子を形成する炭酸カルシウムの結晶構造は六法晶系のものが好ましく、その場合の屈折率nは複屈折する性質上、n=1.486〜1.658の範囲に設定される。
架橋シロキサン系樹脂微粒子は、一般的にシリコーンゴム、シリコーンレジンと呼称されるものであり、常温で固体の状態を保っている。この架橋シロキサン系樹脂微粒子を形成するシロキサン系重合体は主にクロロシランの加水分解と縮合とによって製造される。本実施形態の光拡散基材26においては、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシランに代表されるクロロシラン類を加水分解と縮合することによって得られた架橋シロキサン系重合体が用いられている。さらに、これらの架橋シロキサン系重合体を過酸化ベンゾイル、過酸化−2、4−ジクロルベンゾイル、過酸化ジ−p−クロルベンゾイル、過酸化ジキュミル、過酸化ジ−t−ブチル、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン等の過酸化物により架橋させ、また、ポリシロキサン化合物の末端にシラノール基を導入し、アルコキシシラン類と縮合架橋させたものを用いてもよい。この中でも、珪素原子1個あたりに有機基が2〜3個結合した架橋シロキサン系重合体が好ましい。そして、このようにして得られた架橋シロキサン系重合体を球状に形成することにより、本実施形態の架橋シロキサン系樹脂微粒子を得ることができる。
このようにして得られた架橋シロキサン系樹脂微粒子のその粒子形状は、その粒子形状が0.1〜10μmの真球形状又は楕円球形状であるものが好ましく、特に真球形状に近い粒子形状で粒子径が2〜6μmのものが最も好ましい。この架橋シロキサン系樹脂微粒子の粒径が0.1μmより小さいと光散乱性の波長依存性が大きくなるため、黄色が強くなり色ムラが生じる可能性があり、10μmより大きい場合には、散乱光のムラが顕著となるために好ましくない。
そして、本実施形態の光拡散基材26においては、光拡散剤における炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子の重量配合比は1:0.5〜10の範囲に設定されており、より好ましくは1:0.5〜5の範囲に設定されている。
以上説明した透明樹脂と光拡散剤とは、例えば溶融状態にて均一に混合される。透明樹脂と光拡散剤の混合割合は、例えば重量比で9:1として作製することができるが、これに限定されず適宜変更することが可能である。そして、この溶融状態の透明樹脂と光拡散剤との混合物に溶融押出成形又は射出成形を施すことによって板状の光拡散基材26が成形される。その板厚は0.5〜5mmに設定されており、特に0.5〜3mmのものが最も好ましい。この光拡散基材26の厚さが0.5mm未満の場合は拡散性能が不足し、光拡散基材26自体の強度を確保することができない。また、5mmを超える場合には、樹脂量が多いため吸収による輝度低下が生じること、そしてバックライトユニット55やディスプレイ装置70の薄型化に対応することができないと同時に軽量化の妨げとなる。なお、光拡散基材26は、単一の層で構成されてもよいし二層以上の多層で構成されてもよい。
光均一素子25は、光拡散基材26と光伝搬層23と光偏向要素28とを多層押出法により一体成形して形成することが製造工程上好ましい。また、光均一素子25は、少なくとも1軸方向に延伸されていてもよい。多層押出法を用いることにより、製造工程を簡略化・効率化することができるとともに、製造コストを下げることができる。
本発明の光均一素子25は、光拡散基材26の観察者側Fの面26bに凹凸形状を備えることができる。図10に示されるように、光均一素子25の射出面26bに例えば第2頂部21aおよび第2傾斜面21bを備えた微細な凹凸形状が付与されることで、光拡散基材26の観察者側Fの面26bが略平坦である場合と比べて、様々な角度の射出面が形成されることにより、より広い範囲へ光を射出することができ、拡散性能が向上しランプイメージを低減/消滅させることが可能となる。このような凹凸を形成する方法としては、マット加工やエンボス加工等が挙げられる。これらの方法によれば、加熱されることにより柔らかくなった状態の透明樹脂を凹凸のある部材に押し付けて当該部材の形状を転写し、その後に透明樹脂を硬化させて凹凸形状を得ることができる。また、その他の方法として、粒径30〜100μm程の透明粒子を溶融状態の透明樹脂に配合し、当該透明粒子を最外層側に押し出すことで表面に凹凸を生じさせるものであってもよい。この方法を用いる場合には、透明樹脂と透明粒子との屈折率が等しくされていることが好ましい。
観察者側に付与する凹凸形状としては、光拡散レンズ21が挙げられる。光拡散レンズ21としては、図11(a)のような三角プリズム形状が望ましい。レンズ成形が容易であり、射出光の方向を容易に制御することができるためである。また、図11(b)のような凸湾曲レンズ形状が望ましい。射出面を様々な角度に設定できるため、拡散性能が向上するためである。凸湾曲レンズ形状としては、図11(c)のような非球面形状であることが更に望ましい。頂部の曲率半径が小さくできるため、拡散性能が増すためである。さらに光拡散レンズ21としては、図11(d)のような湾曲三角プリズムであることが望ましい。光拡散基材26の観察者側の面26bと平行な面がないため、また、射出面を様々な角度に設定できるため、拡散性能が向上する。また、光拡散レンズ21は上記レンズ形状を複数組み合わせることができる。例えば図11(e)に示されるように、凸湾曲レンズの上に三角プリズムを組み合わせたような形状でも良い。2つ以上のレンズ形状による拡散効果により、更に拡散性能が増すためである。この他、光偏向要素28として挙げられたレンズ形状でも良い。光拡散レンズ21は上述のレンズ等を適宜複数組み合わせて配列しても良い。例えば光源41の真上にあたる領域は拡散性能の高い拡散レンズ21を配置し、光源41と光源41との間には、拡散性能の低い拡散レンズ21を配置することもできる。
しかしながら、光拡散基材26の表面に拡散レンズ21を配置する場合、光学部材2として例えばレンズシート2を配置した場合、拡散レンズ21とレンズシート2とでモアレ干渉縞が生じる場合がある。そのため、拡散レンズ21の周期構造とレンズシート2のレンズの周期構造とを、モアレ干渉縞が生じないピッチに合わせ込むか、角度をつける、またはさらに光学部材2として拡散フィルムをのせるなどの方法が挙げられる。光学部材2として拡散フィルム、または偏向分離反射シート等、周期構造のない部材を配置する場合には、上述のような問題は生じない。
本発明の光均一素子は、射出面、すなわち光拡散基材26の観察者側Fの面26bが略平坦であることが望ましい。その理由について図12を用いて説明する。図12は、本発明の光学シート、バックライトユニットおよびディスプレイ装置の一例を示す断面模式図である。光学シート52は、光学フィルム1と本発明の光均一素子25とが固定層20によって一体積層されている。光学フィルム1は、光透過基材17と集光レンズ16とからなり、光透過基材17の観察者側の面17bには複数の集光レンズ16が一定のピッチで配列されている。集光レンズ16を、光透過基材17の観察者側の面17bに形成することにより、光均一素子25を通過してきた光を観察者側Fに集光させて、観察者側Fの輝度を向上させることができる。
光透過基材17の観察者側Fと反対側の面17aは略平坦な面とされており、複数の光マスク22が形成され、さらに固定層20を介して光均一素子25が接合されている。光透過基材17の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができ、光均一素子25に用いた材料を用いてもよい。光均一素子25に用いた材料を接合することで、反りの発生を抑制することができる。
なお、一つの部材の一面と他面にそれぞれ単位レンズを形成した場合には、モアレ干渉縞が生ずる場合があるが、本発明の光学シート52は、集光レンズ16と光偏向要素28との間に光拡散基材26が挿入される構成であるため、モアレ干渉縞を防ぐことができる。ここで、集光レンズ16と光拡散基材26との間には拡散要素がないため、また、光学フィルム1をムラなく光拡散基材26の観察者側Fの面26bに貼合するために、光拡散基材26の観察者側の面26bは略平坦であることが望ましい。
集光レンズ16の形状は凸曲面形状であり、弧状表面を有する第三頂部16aと、第三頂部16aから光透過基材へ至る第三傾斜面16bとを有している。また、集光レンズ16は、第三頂部16aに行くに従い、対向する第三傾斜面16bの間の距離が次第に減少するように形成されている。さらにまた、集光レンズ16は、谷部13により離間されて一定のピッチで形成されている。
光学フィルム1と光均一素子25との間には、複数の光マスク22と、光マスク22を離間する光透過用開口部(空気層)100とが設けられている。光マスク22および空気層15のピッチは、集光レンズ16のピッチとほぼ同じピッチとされている。光マスク22の位置は、谷部13の位置に対応する位置に形成されている。そのため、空気層100の位置は、集光レンズ16の第三頂部16aに対応する位置に設けられている。
光マスク22は、遮光性の高い材料から構成されるとともに、観察者側Fの面17b上に形成された集光レンズ16を離間する谷部13の位置と対応する位置に形成されるので、光学フィルム1に入射される光の大部分は、光マスク22を離間して形成される空気層100を通り、集光レンズ16に入射するため、光均一素子25を通過してきた光を効率よく正面方向(観察者側)Fへ出射する。
ここで、光マスク22は、たとえば金属材料や白色反射材などの光反射性部材から構成することができる。この場合、光マスク22により反射された光は、光均一素子25を構成する光拡散基材26に戻されて、光拡散基材26で再び光拡散された後、一部は再び光学フィルム1へ入射し、一部は光均一素子25から光源側へ射出され、ランプハウスを構成する反射板にて反射された後、光均一素子に再入射、さらに拡散されて光学フィルム1へと再入射する。この工程が繰り返されることにより、光源41からの光の大部分を観察者側Fへ出射させることができる。光マスク22を光反射性部材で構成した場合、その反射率は80%以上であることが望ましい。反射率が80%以上であれば、光学フィルム1に入射する光の大部分を、空気層100から集光レンズ16へ入射することができるため、観察者側Fの輝度が上昇する。反射率が80%を下回ると、光マスク22を透過する光が増大し、非効率な光が集光レンズ16に入射する量が増大するため、観察者側Fの輝度低下を引き起こすためである。
光学フィルム1の作製方法としては、例えばセルフアライメントによる方法が挙げられる。光透過基材17の観察者側の面17bに集光レンズ16を成形し、光透過基材17の観察者側Fとは反対側の面17aには、感光性接着樹脂を貼りあわせる。集光レンズ16側からUV光を照射することで、集光レンズ16の第三頂部16aに対応する位置の感光性接着樹脂が露光されることで硬化し接着性を失う。その後、光マスク22を転写することで、集光レンズ16の谷部13に対応する位置に光マスク22を形成することができる。
上述のように作製した光学フィルム1を固定層20によって光均一素子25にラミネート等により貼り合わせることで、光学シート52は作製される。このとき、空気層100が保たれるよう、固定層20の材料を適宜選択する。
固定層20は、粘着剤、接着剤を用いて形成する。粘着剤、接着剤には、ウレタン系、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ビニル系の樹脂等を用いることができる。また、粘着剤、接着剤には、1液型で押圧して接着するもの、熱や光で硬化させるものを用いることができ、2液、もしくは複数の液を混合して硬化させるものを用いることができる。さらに、固定層20内にフィラーを分散してもよい。固定層20内にフィラーを分散することで、固定層20の弾性率を増加することが可能となる。固定層20の弾性率を増加した場合、光学フィルム1と光均一素子25とを一体化する際に、固定層20が空気層100の領域内に侵入しないため、空気層100を保持することが容易となる。固定層20の形成方法において、接合面へ直接塗布する方法や、予めドライフィルムとして準備したものを貼り合わせる方法がある。固定層20をドライフィルムとして準備した場合、製造工程上、簡易的に扱うことが可能となるため好ましい。
しかしながら、光学フィルム1を構成する光透過基材17をPETに代表される延伸フィルムを使用した場合、光源41から発せられる熱によって、光学シート52が光源41側に凸となる形状に反る場合がある。このとき、2層以上の多層構成とされる光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aの材料を反り防止層とすることができる。すなわち、熱によって光伝搬層23の光偏向要素28側の層23Aが、光学シート52を光源側に凹となる形状に反るモーメントを発生させることで、それぞれのモーメントをキャンセルし、反りを防止することができる。例えば光偏向要素28を光透過基材17と同材料上に成形し、固定層20によって光伝搬層23の観察者側Fとは反対側の面23aに貼合することで、反りを防止することができる。なお、図示していないが、前記光学フィルムと光均一素子との間にドット状または線状のリブを配列させ、このリブを介して光学フィルムと光均一素子とを一体積層させてもよい。
本発明の実施形態であるディスプレイ装置70は、先に記載の光学シート52により集光・拡散特性を向上させた光Kを利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を画像表示素子35に表示することができる。
本発明の実施形態であるディスプレイ装置70は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子35で、先に記載のバックライトユニット55により集光・拡散特性を向上させた光Kを利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を得ることができる。バックライトユニット55は、光源が線状光源であり、光偏向要素の形状がレンチキュラー型レンズであり、平面視したときに、前記レンチキュラー型レンズの長軸方向と前記線状光源の長軸方向とのなす角が20度以下であることが本発明の効果の点から好ましい。
本発明の実施形態であるディスプレイ装置70は、画像表示素子35が液晶表示素子であり、先に記載のバックライトユニット55により集光・拡散特性を向上させた光Kを利用する構成なので、観察者側Fの輝度を向上させ、光強度の視角方向の分布を滑らかにするとともに、ランプイメージを低減した画像を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下、本発明の光均一素子25、及び光学シート52を用いたディスプレイ装置70について、実施例においてその光学特性について述べる。
光偏向要素28として凸レンチキュラーレンズを用意した。凸レンチキュラーレンズのピッチPを100μm、光伝搬層23と凸レンチキュラーレンズとの接合点30における接線mと、光伝搬層23の観察者側と反対側の面23aとのなす角θが65度、凸レンチキュラーレンズの高さを45μmと設定した。また、光偏向レンズ28、光伝搬層23、及び拡散基材26の材料は、全てポリカーボネイト(屈折率=1.59)とした。拡散基材26に用いる光拡散剤としては、球状の架橋シロキサン系樹脂粒子(DY33−719、東レ・ダウ・コーニング社製、平均粒径2μm、屈折率1.42)と立方体形状の炭酸カルシウム微粒子(シプロンA、シプロ化成社製、平均粒径5μm、屈折率1.486−1.658)が配合されたものを用いた。具体的な作製方法としては、所定の配合比の炭酸カルシウム微粒子及び架橋シロキサン系樹脂微粒子とをヘンシェルミキサーで混合した後、これをペレット化して樹脂組成物を形成して光均一素子25を作製した。また、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて、当該重量配合比が1:0.1を実施例1、1:0.5を実施例2、1:2を実施例3、1:5を実施例4とした。 なお、これら作製した光拡散板においては、光拡散剤の混合割合は光拡散板の重量の10%した。
(実施例1)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:0.1とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定しや光均一素子25を作製した。
(実施例2)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:0.5とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定した光均一素子25を作製した。
(実施例3)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:2とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定した光均一素子25を作製した。
(実施例4)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:5とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定した光均一素子25を作製した。
(比較例1)
また、比較例1として、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量
配合比が0:1、即ち光拡散剤が上記の架橋シロキサン系樹脂粒子のみからなる比較例を作製して、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定した光均一素子25を作製した。
(比較例2)
さらに、立方体形状の炭酸カルシウム微粒子の平均粒径が0.2μm(Brilliant-1500、白石工業社製、平均粒径0.2μm)を使用し、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比を1:0.25とし、他は実施例2と同様の構成としたものを比較例2として作製し、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定した光均一素子25を作製した。
(比較例3)
最後に、炭酸カルシウム微粒子として粒子形状が紡鐘型であり、平均粒径が3μm(PC、白石工業社製、平均粒径3μm)を用い、他は実施例2と同様の構成としたものを比較例3として作製し、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定した光均一素子25を作製した。
上記通り作製した光均一素子25の観察者側Fの面上に、拡散フィルム、90度三角プリズムシート、拡散フィルムの順番で重ねて配置した。これらを、CCFL間隔が38mm、CCFLと光均一素子25との距離が15mmとなるバックライト56に配置し、バックライト56の観察者側Fに液晶パネル35を配置することで、ディスプレイ装置70が得られた。
次に、上記作製した実施例1から4及び比較例1から3の光均一素子25の観察者側F面に、75μmPET基材上に150μmピッチで集光レンズ16を配置し、光マスク22の領域が集光レンズ16のピッチの50%となるよう形成した光学フィルム1を粘着材により一体積層して、光学シート52が得られた。
(実施例5)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:0.1とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
(実施例6)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:0.5とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
(実施例7)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:2とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
(実施例8)
上記設定された光均一素子25において、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比に応じて当該重量配合比が1:5とし、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
(比較例4)
また、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が0:1、即ち光拡散剤が上記の架橋シロキサン系樹脂粒子のみからなる比較例を作製して、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
(比較例5)
さらに、立方体形状の炭酸カルシウム微粒子の平均粒径が0.2μm(Brilliant-1500、白石工業社製、平均粒径0.2μm)を使用し、炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比を1:0.25とし、他は実施例6と同様の構成としたものを比較例5として作製し、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
(比較例6)
最後に、炭酸カルシウム微粒子として粒子形状が紡鐘型であり、平均粒径が3μm(PC、白石工業社製、平均粒径3μm)を用い、他は実施例6と同様の構成としたものを比較例6として作製し、光伝播層23の厚みを1.5mm、光伝搬層23の厚みを500μmに設定して上記光学フィルム1と一体化させた光均一素子25を作製した。
上記通り作製した実施例5から8及び比較例4から6のサンプルを、CCFL間隔が38mm、CCFLと光均一素子25との距離が15mmとなるバックライト56に配置し、バックライト56の観察者側Fに液晶パネル35を配置することで、ディスプレイ装置70が得られた。
(光学評価)
本実施例、及び比較例のディスプレイ装置を以下の測定方法により評価した。
(正面輝度評価)
ディスプレイ装置70を全白表示とし、画面中心部を分光放射輝度計(SR−3A:トプコンテクノハウス社製)にて測定した。
(輝度ムラ評価)
ディスプレイ装置70を全白表示とし、画面全体を輝度ムラ測定機(ProMetric1200:Radiant Imaging社製)にて測定、複数の冷陰極管の並びに対して垂直方向の輝度分布データにより解析を行った。なお、輝度分布は冷陰極管に対応した波型の分布が得られるので、中心の5本分の冷陰極管に相当する輝度データを抽出して平均輝度を算出した後、平均輝度に対する輝度変化(%)を算出した。この輝度変化の標準偏差σが1%以内であれば、光学シートの拡散性が良好と判定した。
表1に本実施例、及び比較例の測定結果を表に示す。
Figure 0005125935
実施例1は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが薄く認識された。
実施例2は、輝度の低下もなく、光源イメージがよく消えた。
実施例3は、輝度の低下もなく、光源イメージがよく消えた。
実施例4は、輝度の低下もなく、光源イメージがよく消えた。
比較例1は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが認識された。
比較例2は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが薄く認識された。
比較例3は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが薄く認識された。
実施例5は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが薄く認識された。
実施例6は、輝度の低下もなく、光源イメージがよく消えた。
実施例7は、輝度の低下もなく、光源イメージがよく消えた。
実施例8は、輝度の低下もなく、光源イメージがよく消えた。
比較例4は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが認識された。
比較例5は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが薄く認識された。
比較例6は、輝度の低下はなかったが、光源イメージが薄く認識された。
実施例1及び5(炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が1:0.1)は、拡散性が不十分なことから光源のイメージが透けて見られたため評価項目が不合格であった。一方、比較例1及び4(炭酸カルシウム微粒子を含まない)においても拡散性が不十分なことから光源のイメージが透けて見られたため評価項目が不合格であった。従って、光拡散板における光拡散剤として架橋シロキサン系樹脂微粒子のみを使用したもの及び重量配合比が1:0.1の仕様は、特性上好ましくないことが明らかとなった。
また、比較例2及び5(炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が1:0.5で、かつ、炭酸カルシウム微粒子の粒径が0.2μm)及び比較例3及び6の光拡散板(炭酸カルシウム微粒子と架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が1:0.5で、かつ、炭酸カルシウム微粒子の粒子形状が紡鐘状)は光源のイメージを完全には消すまでには至らないことから特性としては好ましくないことが分かった。
従って、実施例1と5及び比較例1から4の評価結果から、炭酸カルシウム微粒子と架
橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が1:0.5〜10の範囲に設定すること、炭酸カルシウム微粒子の粒径を1μm以上であり、粒子形状を立方体形状にすることが、光源のイメージを消すことに有効であることがわかった。
本発明の実施形態であるディスプレイ装置の断面模式図である。 (a)本発明の実施形態である光均一素子の断面模式図である。(b)数式1を説明する図である。(c)数式2を説明する図である。 (a)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(b)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(c)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(d)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(e)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(f)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。 (a)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(b)光偏向要素のレンズ形状の一例を示す図である。(c)光偏向要素の第一頂部に光拡散/反射層を形成した一例を示す図である。(d)光偏向要素の凹部に光拡散/反射層を形成した一例を示す図である。 (a)光偏向要素が凹レンズの場合の数式1を説明する図である。(b)光偏向要素が凹レンズの場合の数式2を説明する図である。 (a)光偏向要素のレンズ高さ・ピッチが一定でない場合を説明する図である。(b)光偏向要素のレンズ高さ一定でない場合を説明する図である。(c)光偏向要素のレンズ高さ・ピッチが一定である場合を説明する図である。 光偏向要素を光源とアライメントする際の一例を示す図である。 (a)光均一素子を一体成形した場合の形態を示す図である。(b)光偏向要素をシート状に成形した場合の形態を示す図である。 (a)光伝搬層が多層構造である場合の光線を説明する図である。(b)光伝搬層が多層構造である場合の光線を説明する図である。 (a)光均一素子の射出面に凹凸が賦形された効果を説明する図である。(b)光均一素子の射出面が平坦である場合を説明する図である。 (a)光拡散レンズのレンズ形状の一例を示す図である。(b)光拡散レンズのレンズ形状の一例を示す図である。(c)光拡散レンズのレンズ形状の一例を示す図である。(d)光拡散レンズのレンズ形状の一例を示す図である。(e)光拡散レンズのレンズ形状の一例を示す図である。 (a)本発明の実施形態であるディスプレイ装置の断面模式図である。(b)本発明の実施形態であるディスプレイ装置の断面模式図である。
符号の説明
H、K…光、P…光偏向要素ピッチ、p1…光偏向要素第一傾斜面ピッチ、m…接線、T…光伝搬層の厚さ、θ…光伝搬層の一面と接線mがなす角度、θ1、θ2、θ3…光偏向要素の各点における接線と光伝搬層の一面とがなす角度、n…光伝搬層の屈折率、n0…光偏向要素の屈折率、n1…光伝搬層の第1層の屈折率、n2…光伝搬層の第2層の屈折率、F、F’…観察者側、X…平面視方向、Ve…画像表示装置垂直方向、Ho…画像表示装置水平方向、θ41…レンチキュラー型レンズの軸方向jが線状光源の軸方向kとなす角度、Δ…光拡散/反射層回り込み量、α…最遠交点、1…光学フィルム、2…光学部材、13…谷部、16…集光レンズ、16a…第三頂部、16b…第三傾斜面、17…光透過基材、17a…観察者と反対側の面、17b…観察者側の面(平坦面)、20…固定層、21…光拡散レンズ、21a…第二頂部、21b…第二傾斜面、22…光マスク、23…光伝搬層、23a…観察者と反対側の面、23b…観察者側の面、23A…光伝搬層の光偏向要素側の層、23B…光伝搬層の拡散基材側の層、25…光均一素子、26…拡散基材、26a…観察者と反対側の面、26b…観察者側の面、28…光偏向要素、28a…第一頂部、28b…第一傾斜面、30…接合点、31、33…偏光板、32…液晶パネル、35…画像表示素子、41…光源、43…反射板(反射フィルム)、45…バックライト部、52…光学シート、55、56…バックライトユニット、70、72…ディスプレイ装置、100…空気層。

Claims (19)

  1. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材が透明樹脂に光拡散剤が混入されてなる光拡散部材であって、前記光拡散剤は立方体形状の炭酸カルシウム微粒子と球状の架橋シロキサン系樹脂微粒子とが配合されてなり、前記炭酸カルシウム微粒子と前記架橋シロキサン系樹脂微粒子との重量配合比が1:0.5〜10の範囲に設定され
    前記光偏向要素が弧状表面又は稜線を有する第一頂部と、第一頂部から前記光伝搬層の光入射面に至る第一傾斜部とを有し、前記光伝搬層の屈折率をnとし、前記光偏向要素のピッチをPとし、前記第一傾斜面が前記光伝搬層に接合する接合点における前記第一傾斜面への接線が、前記光伝搬層の光入射面となす角をθとしたとき、前記光伝搬層の厚さTが下記の数式1を満たし、かつ
    前記光偏向要素の形状が、前記第一頂部と、前記第一傾斜部が湾曲してなる第一湾曲傾斜部を有する形状であり、前記第一湾曲傾斜部の各点における接線と、前記光伝搬層の光入射面側となす角が、20度以上90度以下で連続して変化している
    ことを特徴とする光均一素子。
    Figure 0005125935
  2. 前記炭酸カルシウム微粒子を構成する炭酸カルシウムの結晶構造が六方晶系であることを特徴とする請求項1に記載の光均一素子。
  3. 前記炭酸カルシウム微粒子の一辺の長さが1〜10μmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光均一素子。
  4. 前記架橋シロキサン系樹脂微粒子の粒径が0.1〜10μmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光均一素子。
  5. 前記透明樹脂が、ポリスチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂のいずれかから選択され、一種又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光均一素子。
  6. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光偏向要素の頂部が稜線を有することを特徴とする請求項に記載の光均一素子。
  7. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材の光入射面側に光伝搬層が形成され、前記光伝搬層の光入射面側に光偏向要素が形成されており、前記光拡散基材は、透明樹脂に光拡散領域が分散されてなり、全光線透過率が10%〜60%、ヘイズ値が95%以上であり、前記伝搬層は全光線透過率が80%以上、ヘイズ値が95%以下であることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の光均一素子。
  8. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材の光出射面側に微細な凹凸が設けられたことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の光均一素子。
  9. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材の光出射面側に凹凸を有する光拡散レンズが設けられたことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の光均一素子。
  10. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記拡散基材の光出射面側が略平坦であることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の光均一素子。
  11. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光偏向要素、光伝搬層および光拡散基材が多層押出法により一体成形されていることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の光均一素子。
  12. 光拡散基材の光入射面側に光伝搬層と光偏向要素を設けた構造を有する光均一素子において、前記光拡散基材と光伝搬層とが多層押出法により一体成形されており、シート状に成形された光偏向要素と光伝搬層とが固定層を介して積層されていることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の光均一素子。
  13. 請求項1から12の何れか1項に記載の光均一素子の、前記光拡散基材の光出射面側に集光レンズと光透過基材から成る光学フィルムが設けられており、前記集光レンズは複数で一定のピッチで配列されて、前記集光レンズの形状が凸曲面形状を有し、弧状表面を有する第三頂部と、前記第三頂部から前記光透過基材へ至る第三傾斜面とを有しており、前記第三頂部に行くに従い、対向する前記第三傾斜面の間の距離が次第に減少するように形成されていることを特徴とする光学シート。
  14. 集光レンズと光透過基材からなる前記光学フィルムと前記光均一素子との間に、複数の光マスクと、前記光マスクを離間する光透過用開口部とが設けられており、前記光透過開口部が、前記集光レンズの前記第三頂部に対応して設けられ、前記光マスクを介して前記光学フィルムと前記光均一素子とが一体積層されていることを特徴とする請求項13に記載の光学シート。
  15. 集光レンズと光透過基材からなる前記光学フィルムと前記光均一素子との間にドット状または線状のリブが配列され、前記リブを介して前記光学フィルムと前記光均一素子とが一体積層されてなることを特徴とする請求項13に記載の光学シート。
  16. 請求項1から12の何れか1項に記載の光均一素子と光源を備えることを特徴とするバックライトユニット。
  17. 請求項13から15の何れか1項に記載の光学シートと光源を備えることを特徴とするバックライトユニット。
  18. 前記光源が線状光源であり、前記光偏向要素の形状がレンチキュラー型レンズであり、平面視したときに、前記レンチキュラー型レンズの長軸方向と前記線状光源の長軸方向とのなす角が20度以下であることを特徴とする請求項16または17に記載のバックライトユニット。
  19. 画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する画像表示素子と、請求項16から18の何れか1項に記載のバックライトユニットを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
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