JP2004050607A - 光拡散性樹脂積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、重量平均粒子径1〜20μmの光拡散剤0.1〜10重量部、および蛍光体0.0001〜0.01重量部を含有する樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類およびオキサルアニリド類から選ばれる紫外線吸収剤0.01〜3重量部を含有する樹脂層(B)を積層してなる光拡散性樹脂積層板。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光拡散剤、蛍光体および紫外線吸収剤を含有する樹脂積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光拡散剤を含有する樹脂板は、照明カバー、照明看板、透過型ディスプレイ用光拡散板のような各種光拡散性部材の用途に、広く用いられている。近年、照明分野や透過型ディスプレイの分野では、省エネルギー化が進んでおり、上記樹脂板としても、光源ランプからの光をより効率的に拡散透過できるものが要求されている。また、一方で光源ランプの高輝度化も進んでおり、上記樹脂板としても、耐光性に優れるものが要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに、光拡散剤を含有する樹脂板については数多くのものが提案されているが、光の拡散透過性や耐光性の点で必ずしも満足できるものではなく、さらに透過光や反射光が黄色味を帯びることがあり、これが照明や画像の色調に悪影響を与えることもあった。
【0004】
そこで本発明の目的は、光の拡散透過性と耐光性に優れ、透過光や反射光の黄色味も抑制された光拡散性樹脂板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を行った結果、特定の光拡散剤および蛍光体を特定量配合したメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂からなる樹脂層に、特定の紫外線吸収剤を特定量配合したメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂からなる樹脂層を積層してなる樹脂積層板が、上記目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、重量平均粒子径1〜20μmの光拡散剤0.1〜10重量部、および蛍光体0.0001〜0.01重量部を含有する樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類およびオキサルアニリド類から選ばれる紫外線吸収剤0.01〜3重量部を含有する樹脂層(B)を積層してなる光拡散性樹脂積層板に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の樹脂積層板は、メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂を基材とし、光拡散剤および蛍光体を含有する樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂を基材とし、紫外線吸収剤を含有する樹脂層(B)を積層してなるものである。
【0008】
ここでメタクリル酸メチル系樹脂とは、単量体単位としてメタクリル酸メチルを50重量%以上含むものであり、実質的にメタクリル酸メチル単独の重合体であってもよいし、メタクリル酸メチル50重量%以上とこれと共重合可能な単量体50重量%以下とからなる共重合体であってもよい。
【0009】
またスチレン系樹脂とは、単量体単位としてスチレンを50重量%以上含むものであり、実質的にスチレン単独の重合体であってもよいし、スチレン50重量%以上とこれと共重合可能な不飽和単量体50重量%以下とからなる共重合体であってもよい。
【0010】
メタクリル酸メチル系樹脂に単量体単位として含まれうるメタクリル酸メチル以外の単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸のような不飽和酸類;スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。また、メタクリル酸メチル系樹脂には、無水グルタル酸単位やグルタルイミド単位が含まれていてもよい。
【0011】
またスチレン系樹脂に単量体単位とし含まれうるスチレン以外の単量体としては、メタクリル酸メチルの他、スチレンを除く上記のメタクリル酸メチル系樹脂に含まれうる単量体と同様のものが挙げられる。
【0012】
樹脂層(A)には、重量平均粒子径が1〜20μmの光拡散剤を含有させる。この光拡散剤の重量平均粒子径があまり大きくても小さくても、積層板の光拡散性が十分でなく、またあまり大きいと、積層板の強度が十分でないことがある。
【0013】
上記光拡散剤の含有量は、基材のメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部とする。この光拡散剤の含有量があまり少ないと、積層板の光拡散性が十分でなく、あまり多いと、積層板の光透過性が十分でなく、また積層板の強度が十分でないことがある。この光拡散剤の含有量は、基材樹脂100重量部に対して、好ましくは0.3〜7重量部であり、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0014】
光拡散剤としては、通常、基材のメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂と屈折率の異なる無機系または有機系の透明微粒子が用いられる。光拡散剤の屈折率と基材の屈折率との差については、その絶対値が、0.02以上であるのが光拡散性の観点から好ましく、また、0.13以下であるのが光透過性の観点から好ましい。なお、このように光拡散剤と基材との屈折率差を設けることにより、所謂内部拡散性を付与することができる。
【0015】
無機系の光拡散剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられ、これらは脂肪酸等で表面処理が施されたものであってもよい。また、有機系の光拡散剤としては、例えば、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等が挙げられ、重量平均分子量が50万〜500万の高分子量重合体粒子や、アセトンに溶解させたときのゲル分率が10%以上の架橋重合体粒子が好適に用いられる。これらの光拡散剤は、必要に応じてその2種以上を用いることもできる。
【0016】
スチレン系重合体粒子としては、その構成単量体としてラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有するスチレン系単量体を50重量%以上含む重合体粒子が用いられ(以下、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体を単官能単量体といい、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体を多官能単量体ということがある)、例えば、スチレン系単官能単量体を重合させて得られる高分子量重合体粒子;スチレン系単官能単量体と他の単官能単量体を重合させて得られる高分子量重合体粒子;スチレン系単官能単量体と多官能単量体を重合させて得られる架橋重合体粒子;スチレン系単官能単量体と他の単官能単量体と多官能単量体を重合させて得られる架橋重合体粒子等が用いられる。これらスチレン系重合体粒子を得るための重合方法としては、通常、懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等が採用される。
【0017】
スチレン系重合体粒子におけるスチレン系単官能単量体としては、スチレンの他、クロロスチレン、ブロモスチレンのようなハロゲン化スチレンや、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのようなアルキルスチレン等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0018】
スチレン系重合体粒子におけるスチレン系単官能単量体以外の単官能単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸エステル類;アクリロニトリル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0019】
スチレン系重合体粒子における多官能単量体としては、例えば、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートのような多価アルコール類のジ−またはそれを越えるメタクリレート類;1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートのような多価アルコール類のジ−またはそれを越えるアクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートのような芳香族多官能単量体等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0020】
スチレン系重合体粒子の屈折率は、その構成成分にもよるが、通常1.53〜1.61程度である。一般的に、その構成単量体として、フェニル基を有する単量体を多く含むほど、またハロゲノ基を有する単量体を多く含むほど、屈折率が上がる傾向にある。
【0021】
アクリル系重合体粒子としては、その構成単量体としてアクリル系単官能単量体を50重量%以上含む重合体粒子が用いられ、例えば、アクリル系単官能単量体を重合させて得られる高分子量重合体粒子;アクリル系単官能単量体と他の単官能単量体を重合させて得られる高分子量重合体粒子;アクリル系単官能単量体と多官能単量体を重合させて得られる架橋重合体粒子;アクリル系単官能単量体と他の単官能単量体と多官能単量体を重合させて得られる架橋重合体粒子等が用いられる。これらアクリル系重合体粒子を得るための重合方法としては、通常、懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等が採用される。
【0022】
アクリル系重合体粒子におけるアクリル系単官能単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0023】
アクリル系重合体粒子におけるアクリル系単官能単量体以外の単官能単量体としては、前記スチレン系重合体粒子におけるスチレン系単官能単量体と同様のものやアクリロニトリル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、アクリル系重合体粒子における多官能単量体としては、前記スチレン系重合体粒子における多官能単量体と同様のものが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0024】
アクリル系重合体粒子の屈折率は、その構成成分にもよるが、通常1.46〜1.55程度である。これもスチレン系重合体粒子と同様に、一般的に、フェニル基を多く有するほど、またハロゲノ基を多く有するほど、屈折率が上がる傾向にある。
【0025】
シロキサン系重合体粒子としては、一般的にシリコーンゴムと呼称されるものや、シリコーンレジンと呼称されるものであって、常温で固体状のものが用いられる。シロキサン系重合体は、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン類を加水分解、縮合することによって、製造することができる。このようにして得られた重合体は、さらに、過酸化ベンゾイル、過酸化−2,4−ジクロルベンゾイル、過酸化−p−クロルベンゾイル、過酸化ジキュミル、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンのような過酸化物を作用させることにより架橋させてもよいし、また、末端にシラノール基を有するものであれば、アルコキシシラン類と縮合架橋させてもよい。該重合体としては、珪素原子1個あたりに有機基が2〜3個結合した架橋重合体が好ましい。
【0026】
シロキサン系重合体粒子は、例えば、シロキサン系重合体を機械的に微粉砕することにより得てもよいし、その製造の際、特開昭59−68333号公報に記載されているように、線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化性重合体またはその組成物を噴霧状態で硬化させることにより、球状粒子として得てもよいし、特開昭60−13813号公報に記載されているように、アルキルトリアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物を、アンモニアまたはアミン類の水溶液中で、加水分解・縮合させることにより、球状粒子として得てもよい。
【0027】
シロキサン系重合体粒子の屈折率は、その構成成分にもよるが、通常1.40〜1.47程度である。一般的に、フェニル基を多く有するほど、また珪素原子に直結した有機基を多く有するほど、屈折率が上がる傾向にある。
【0028】
また、樹脂層(A)には、上記光拡散剤に加えて、蛍光体を含有させる。ここで蛍光体とは、紫外線により励起され可視光を発光するものであり、一般に、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などとも称さるものである。このように樹脂層(A)に蛍光体を含有させることにより、積層板の透過光や反射光の黄色味を抑制することができ、また透過光の輝度を高めることもできる。
【0029】
上記蛍光体の含有量は、基材のメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、0.0001〜0.01重量部とする。この蛍光体の含有量があまり多くても少なくても、積層板の透過光や反射光の黄色味を抑制する効果が十分でない。この蛍光体の含有量は、基材樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0003〜0.005重量部であり、さらに好ましくは0.0005〜0.003重量部である。
【0030】
蛍光体としては、例えば、フルオレセイン,チオフラビン,エオシン,ローダミン、それらの誘導体や、クマリン系、イミダゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、カルバゾール系、ピリジン系、ナフタル酸系、イミダゾロン系、ジアミノスチルベンジスルホン酸系のもの等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0031】
一方、樹脂層(B)には、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類およびオキサルアニリド類から選ばれる紫外線吸収剤を含有させる。このように、樹脂層(B)に特定の紫外線吸収剤を含有させることにより、積層板の透過光や反射光の色調に悪影響を与えることなく、積層板の耐光性を優れたものにすることができ、また、前記蛍光体による積層板の透過光や反射光の黄色味を抑制する効果や、透過光の輝度を高める効果を十分に発揮させることができる。これは、この紫外線吸収剤が、極大吸収波長を比較的低波長領域に有することから、可視光をほとんど吸収せず、しかも前記蛍光体の励起に必要な紫外線もあまり吸収しないためと考えられる。
【0032】
上記紫外線吸収剤の含有量は、基材のメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部とする。この紫外線吸収剤の含有量があまり少ないと、積層板の耐光性が十分でなく、あまり多いと、積層板の表面に紫外線吸収剤がブリードしやすくなり、積層板の外観が損われることがある。この紫外線吸収剤の含有量は、基材樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜2重量部であり、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。
【0033】
2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類としては、下記一般式(1)
【0034】
【化1】
【0035】
(式中、Xは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
で示される化合物が好適に用いられる。
【0036】
上記一般式(1)中、Xで表されるアルキル基およびXで表されるアルコキシ基におけるアルキル基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。Xは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であるのが好ましく、Xの置換位置は、パラ位であるのが好ましい。
【0037】
また、上記一般式(1)中、R1およびR2で表されるアルキル基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましい。
【0038】
オキサルアニリド類としては、下記一般式(2)
【0039】
【化2】
【0040】
(式中、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示される化合物が好適に用いられる。
【0041】
上記一般式(2)中、R3およびR4で表されるアルキル基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。R3およびR4は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましく、また、R3およびR4Oの置換位置は、それぞれオルト位であるのが好ましい。
【0042】
なお、上記紫外線吸収剤は、必要に応じて樹脂層(A)にも含有させることが可能である。この場合、この紫外線吸収剤の含有量は、基材のメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以下であり、好ましくは0.003〜0.05重量部、さらに好ましくは0.005〜0.03重量部である。
【0043】
本発明の積層板には、さらに耐光性を向上させるために、ヒンダードアミン(Hindered Amine)類、特に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を有する化合物を含有させてもよい。この場合、ヒンダードアミン類は、樹脂層(A)および樹脂層(B)のいずれか一方に含有させてもよいし、両方に含有させてもよい。ヒンダードアミン類の使用量は、積層板中に含有される紫外線吸収剤の、通常1重量倍以下であり、好ましくは0.1〜0.8重量倍である。
【0044】
ヒンダードアミン類としては、例えば、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、2−(2,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)や、下記一般式(3)
【0045】
【化3】
【0046】
(式中、Yは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、全炭素数2〜20のカルボキシアルキル基、全炭素数2〜25のアルコキシアルキル基または全炭素数3〜25のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。)
で示される化合物等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0047】
上記一般式(3)中、Yで表されるアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシアルキル基における2つのアルキル基(アルコキシ基のアルキル基およびアルコキシ基で置換されたアルキル基)、ならびにアルコキシカルボニルアルキル基における2つのアルキル基(アルコキシ基のアルキル基およびアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基)は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であってもよい。Yは、水素原子または全炭素数5〜24のアルコキシカルボニルアルキル基であるのが好ましく、水素原子またはアルコキシカルボニルエチル基であるのがさらに好ましい。該アルコキシカルボニルエチル基としては、例えば、ドデシルオキシカルボニルエチル基、テトラデシルオキシカルボニルエチル基、ヘキサデシルオキシカルボニルエチル基、オクタデシルオキシカルボニルエチル基等が挙げられる。
【0048】
本発明の積層板は、例えば照明カバーとして用いる場合等、必要に応じて、その少なくとも一方の面を凹凸形状の所謂艶消し面としてもよい。この凹凸形状は、十点平均粗さ(Rz)が通常1〜50μmとなるように、また平均山間隔(Sm)が通常10〜300μmとなるように調整される。Rzがあまり小さいと、艶消し効果が十分でなく、あまり大きいと、積層板の面衝撃性が十分でない。またSmがあまり大きいと、艶消し効果が十分でなく、あまり大きいと、積層板の面衝撃性が十分でない。
【0049】
積層板の表面に凹凸形状を付与する方法としては、例えば、押出成形により積層板を製造するのであれば、凹凸形状を付与したい表面を構成する樹脂層の基材樹脂に、それに不溶の樹脂粒子を含有させる方法や、凹凸をロール転写する方法が挙げられる。また、キャスト成形により積層板を製造するのであれば、凹凸をセル転写する方法等が挙げられる。
【0050】
不溶樹脂粒子を含有させることにより表面凹凸形状を付与する場合、該粒子としては、通常、重量平均粒子径が1〜50μmのものが用いられる。不溶樹脂粒子は、樹脂層(A)および樹脂層(B)のいずれか一方に含有させてもよいし、両方に含有させてもよいが、少なくとも樹脂層(B)に含有させるのが望ましい。不溶樹脂粒子の使用量は、樹脂層(A)に含有させる場合も、樹脂層(B)に含有させる場合も、その層の基材樹脂100重量部に対して、通常3〜20重量部である。また、積層板の面衝撃性の観点から、不溶樹脂粒子の単量体組成と基材樹脂の単量体組成は近似したものとしておくのが好ましく、例えば、基材樹脂がメタクリル酸メチル系樹脂である場合、不溶樹脂粒子はメタクリル酸メチル系の架橋または高分子量の樹脂粒子であるのが好ましく、基材樹脂がスチレン系樹脂である場合、不溶樹脂粒子はスチレン系の架橋または高分子量の樹脂粒子であるのが好ましい。
【0051】
本発明の積層板には、必要に応じてさらに種々の添加剤を含有させることができる。該添加剤としては、例えば、アクリル系多層構造重合体やグラフトゴム状重合体のような耐衝撃剤;アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセライド、ポリエーテルエステルアミドのような帯電防止剤;ヒンダードフェノールのような酸化防止剤;燐酸エステル類のような難燃剤;パルミチン酸、ステアリルアルコールのような滑剤;染料等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0052】
本発明の積層板の厚さは、用途等により適宜調整されるが、通常、0.8〜5mmである。積層板における樹脂層(A)の厚さと樹脂層(B)の厚さの比率については、例えば、積層板が樹脂層(A)の一方の面に樹脂層(B)を積層してなる場合には、通常、[樹脂層(A)の厚さ]/[樹脂層(B)の厚さ]=99/1〜1.1/1であり、積層板が樹脂層(A)の両方の面に樹脂層(B)を積層してなる場合には、通常、[樹脂層(B)の厚さ]/[樹脂層(A)の厚さ]/[樹脂層(B)の厚さ]=1/198/1〜1/2.2/1である。また、本発明の積層板としては、耐光性の観点から、樹脂層(A)の両方の面に樹脂層(B)を積層してなるものが好ましく、さらに樹脂層(B)の厚さの合計が樹脂層(A)の厚さの1/2以下であるのが好ましい。
【0053】
本発明の積層板は、例えば、共押出成形法、貼合法、熱接着法、溶剤接着法、重合接着法、キャスト重合法、表面塗装法等の方法により、製造することができる。
【0054】
共押出成形法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物を、それぞれ別々の一軸または二軸の押出機を用いて溶融混練し、両者をフィードブロックダイやマルチマニホールドダイを介して積層一体化した後、ロールユニットを用いて冷却固化することにより行うことができる。
【0055】
貼合法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物のいずれか一方を板状に加工しておき、これに、他方の樹脂組成物を溶融状態で貼り合わせることにより行うことができる。
【0056】
熱接着法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物をそれぞれ板状に加工しておき、両板状物を、両者の基材樹脂の軟化点よりも高い温度でプレスして一体化することにより行うことができる。
【0057】
溶剤接着法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物をそれぞれ板状に加工しておき、両板状物を、両者の少なくとも一方の基材樹脂を溶解する溶剤を用いて接着することにより行うことができる。
【0058】
重合接着法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物をそれぞれ板状に加工しておき、両板状物を、熱重合性または光重合性の接着剤を用いて接着することによりおこなうことができる。ここで、接着剤としては、樹脂層(A)や樹脂層(B)の基材樹脂の原料となる単量体またはその部分重合体に、熱重合開始剤または光重合開始剤を添加したものが、好適に用いられる。
【0059】
キャスト重合法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物のいずれか一方を板状に加工しておき、これをキャスト成形用のセルの内面に設置し、このセルの中に、他方の樹脂組成物の基材樹脂の原料となる単量体またはその部分重合体に必要な成分を配合したものを注入して、重合させることにより行うことができる。
【0060】
表面塗装法による製造は、例えば、樹脂層(A)を構成する樹脂組成物および樹脂層(B)を構成する樹脂組成物のいずれか一方を板状に加工しておき、これに、他方の樹脂組成物の基材樹脂の原料となる単量体またはその部分重合体に必要な成分を配合したもの塗布して、重合させることにより行うことができる。
【0061】
以上のようにして得られる本発明の積層板は、屋内外の各種光拡散性部材の用途に好適に採用することができる。この光拡散性部材の具体例としては、看板、照明看板、照明カバー、ショーケース、ディスプレイ用光拡散板等が挙げられるが、中でも、照明看板、照明カバー、ディスプレイ用光拡散板等の、冷陰極管やLED光源のような光源とともに光源装置を構成する光拡散性部材が代表的である。ここでディスプレイ用光拡散板としては、液晶ディスプレイの直下型またはエッジライト型のバックライトにおける光拡散板が代表的である。
【0062】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各例で使用した光拡散剤、紫外線吸収剤および不溶樹脂粒子は、それぞれ次のとおりである。
【0063】
光拡散剤(1):スチレン/ジビニルベンゼン=95/5(重量比)の共重合体粒子(屈折率1.59、重量平均粒子径6μm)。表中、「スチレン系」と記す。
光拡散剤(2):架橋シロキサン系重合体粒子(東レダウコーニングシリコーン(株)製、トレフィルDY33−719;屈折率1.42、重量平均粒子径2μm)。表中、「シロキサン系」と記す。
光拡散剤(3):炭酸カルシウム粒子(丸尾カルシウム(株)製、CUBE30AS;屈折率1.61、重量平均粒子径4μm)。表中、「CaCO3」と記す。
【0064】
紫外線吸収剤(1):2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル(一般式(1)において、Xがメトキシ基でその置換位置がパラ位であり、R1およびR2がメチル基の化合物;Clariant社製、Sanduvor PR−25)。表中、「マロン酸エステル」と記す。
紫外線吸収剤(2):2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(住友化学工業(株)製、スミソーブ350)。表中、「ベンゾトリアゾール」と記す。
【0065】
不溶樹脂粒子(1):メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート=95/5(重量比)の共重合体粒子(屈折率1.49、重量平均粒子径4μm)。表中、「MMA系−1」と記す。
不溶樹脂粒子(2):メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート=99/1(重量比)の共重合体粒子(屈折率1.49、重量平均粒子径35μm)。表中、「MMA系−2」と記す。
【0066】
なお、上記光拡散剤および不溶樹脂粒子の重量平均粒子径は、光回折散乱粒径測定機(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分析計 Model 9220
FRA)で用いて測定したD50の値である。
【0067】
実施例1〜7、比較例1〜3
メタクリル酸メチル系樹脂(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体;屈折率1.49)100重量部、表1「樹脂層(A)」の欄に示す種類および量の光拡散剤、同表同欄に示す量の蛍光体(4,4−ビス−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン;住友化学工業(株)製、ホワイトフローPSN)、ならびに紫外線吸収剤(1)0.01重量部を、ヘンシェルミキサーで混合した後、スクリュー径40mmで一軸のベント付き押出機(田辺プラスチック機械(株)製)にて溶融混練し、2種3層分配のフィードブロック(田辺プラスチック機械(株)製)に供給した。
【0068】
一方、メタクリル酸メチル系樹脂(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体;屈折率1.49)100重量部、表1「樹脂層(B)」の欄に示す種類および量の紫外線吸収剤、ならびに同表同欄に示す種類および量の不溶樹脂粒子をヘンシェルミキサーで混合した後、スクリュー径20mmで一軸のベント付き押出機(田辺プラスチック機械(株)製)にて溶融混練し、上のフィードブロックに供給した。
【0069】
スクリュー径40mmの押出機からフィードブロックに供給された樹脂が中間層(樹脂層(A))となり、スクリュー径20mmの押出機かからフィードブロックに供給された樹脂が表層(樹脂層(B);両面)となるように、押出樹脂温度265℃で、リップ幅250mm、リップ間隔6mmのTダイを介して共押出成形を行い、縦型3本のポリシングロールを通して冷却し、幅22cmで厚さ2mm(中間層1.9mm、表層0.05mm×2)の3層構造積層板を作製した。得られた積層板について、以下の方法で評価を行い、結果を併せて表1に示した。
【0070】
(1)光透過性
JIS K 7361に準拠して、ヘイズ・透過率計((株)村上色彩技術研究所製、HR−100)を用いて、全光線透過率(Tt)を測定した。
【0071】
(2)隠蔽性および光拡散性
自動変角光度計((株)村上色彩技術研究所製、GP−1R)を用いて、垂直入射光による透過角0度の透過光強度(I0)、垂直入射光による透過角5度の透過光強度(I5)、および垂直入射光による透過角70度の透過光強度(I70)を測定し、隠蔽性の指標としてI5/I0を、光拡散性の指標としてI70/I0をそれぞれ求めた。
【0072】
(3)平均輝度
反射シートの上に直径3mm、長さ38cmの冷陰極管9本を3cm間隔で並べ、そこから14mm上に、20cm×30cmの積層板2枚を30cm端面同士を合わせて(サイズ40cm×30cm)平行に設置した。冷陰極管を点灯し、積層板から90cm上の輝度を、マルチポイント輝度計(キャノン(株)製)を用いて測定し、441ポイント[21(冷陰極管と直交する方向;2cm間隔)×21(冷陰極管と平行の方向;1.5cm間隔)]の平均値を求めた。
【0073】
(4)色度
上記輝度測定と同時に色度測定も行い、以下のx値およびy値を求めた。
・CIE−XYZ表色系から算出されるx値[x=X/(X+Y+Z)]
・CIE−XYZ表色系から算出されるy値[y=Y/(X+Y+Z)]
x値とy値の両方が大きいほど黄色味が強く、その両方が小さいほど青色味が強いことを意味する。
【0074】
(5)耐光性
積層板から6cm×7cmの試験片を切り出し、この試験片に、ATLAS−UVCON((株)東洋精機製作所製)を用いて、60℃にて350時間、紫外線を連続的に照射した。この照射前後の試験片について、JIS K 7103に準拠して、分光色差計(日本電色工業(株)製、SZ−Σ80)を用いて、透過光および反射光のL*、a*、b*を測定し、照射前後の色差ΔEを求めた。
【0075】
(6)表面粗さ
JIS B 0601に準拠して、表面粗さ形状測定機(東京精密(株)製、サーフコム550A)を用いて、十点平均粗さ(Rz)および平均山間隔(Sm)を測定した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1からわかるように、樹脂層(B)に紫外線吸収剤を配合していない比較例1では、紫外線照射前後の色差ΔEが大きくなっており、耐光性が十分でない。樹脂層(B)には紫外線吸収剤を配合するが、樹脂層(A)には蛍光体を配合していない比較例2では、樹脂層(B)中の紫外線吸収剤の存在により耐光性はやや向上しているものの、色度のx値が0.2981、y値が0.3010と、それぞれやや大きな値を示しており、これらの数値は、積層板を透過した光や積層板から反射した光が、やや黄色味を帯びていることを意味している。
【0078】
一方、比較例1に対して、樹脂層(B)に紫外線吸収剤を配合した組成に相当し、また比較例2に対しては、樹脂層(A)に蛍光体を配合した組成に相当する実施例2では、紫外線照射前後の色差ΔEが、比較例1に比べてはもとより、比較例2に比べても一層小さくなって、耐光性がさらに向上しており、また色度のx値およびy値は比較例1と同等であるので、積層板を透過した光や積層板から反射した光が黄色味を帯びず、良好な視感となることがわかる。樹脂層(A)中の光拡散剤の種類と量および/または樹脂層(B)中の紫外線吸収剤の量を変化させた実施例1および3〜5も、良好な耐光性と黄色味域に達しない色度を示している。粒径の大きい不溶樹脂粒子(2)(MMA系−2)を用いた実施例6では、耐光性がやや落ちているものの、色度は黄色味域に達していない。表面粗さを大きくしたい場合には、このようなやや大きめの粒子を配合するのが有効である。樹脂層(B)に不溶樹脂粒子を配合していない実施例7では、表面の凹凸、すなわち艶消しはないものの、耐光性と色度は良好である。
【0079】
これに対し、樹脂層(B)に一般的な紫外線吸収剤であるベンゾトリアゾール系の化合物を配合した比較例3では、耐光性は良好であるものの、色度のx値が0.2978、y値が0.3012と、それぞれやや大きな値を示しており、この場合も、積層板を透過した光や積層板から反射した光がやや黄色味を帯びることになる。したがって本発明においては、特定の紫外線吸収剤を用いることも重要である。
【0080】
ここには、紫外線吸収剤としてマロン酸エステル系の化合物、特に2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチルを用いた例を示したが、オキサルアニリド系の化合物、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキサルアニリド(前記一般式(2)において、R3およびR4がそれぞれエチル基であり、R3およびR4の置換位置がそれぞれオルト位である化合物)も、上記2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチルと類似の吸収特性を示すことを確認している。したがって、オキサルアニリド類を用いても、同様の効果が得られる。そこで、上記実施例1〜7における2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチルに代えて、一般式(2)に相当するアニリド類、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキサルアニリドを用いても、光の拡散透過性と耐光性に優れ、黄色味が抑制された積層板が得られる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、光の拡散透過性が良好で、耐光性に優れ、しかも透過光や反射光の黄色味も抑制された積層樹脂板を得ることができ、この積層板は、照明カバー、照明看板、透過型ディスプレイ用光拡散板等の各種光拡散性部材として好適に用いることができる。
Claims (2)
- メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、重量平均粒子径1〜20μmの光拡散剤0.1〜10重量部、および蛍光体0.0001〜0.01重量部を含有する樹脂層(A)の少なくとも一方の面に、メタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂100重量部に対して、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類およびオキサルアニリド類から選ばれる紫外線吸収剤0.01〜3重量部を含有する樹脂層(B)を積層してなることを特徴とする光拡散性樹脂積層板。
- 樹脂層(A)の両方の面に樹脂層(B)を積層してなる請求項1記載の光拡散性樹脂積層板。
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