JP5216116B2 - 動力伝達装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
このような、ロック可能なフリーホイール装置(1-wayクラッチ機構)を有する駆動装置(動力伝達装置)において、被駆動軸から駆動軸へ駆動力を回生させるためには、偏心体駆動装置(変速機)をバイパスして被駆動軸から駆動軸へ駆動力を回生させる回生機構が必要となる。このような回生機構として、クラッチを用い、偏心体駆動装置(変速機)の接続を解除して、被駆動軸から駆動軸へ接続させるバイパスを接続させる構成とした場合、駆動装置(動力伝達装置)全体が大型化し、制御が複雑化する。
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置Sの構成図である。
図1示す本実施形態に係る動力伝達装置Sは、図示しない車両(移動体)に搭載されており、動力源1で発生した駆動力を駆動輪7に伝達し、車両(移動体)の駆動力を発生する装置である。また、駆動輪7は、1つのみ図示されているが、複数であってもよい。なお、車両(移動体)は、四輪車に限定されず、二輪車、三輪車でもよい。
図1に示すように、動力伝達装置Sは、動力源1と、駆動軸2と、駆動側変速機3と、駆動側変速機出力軸4と、駆動側1-wayクラッチ機構5と、出力軸6と、駆動輪7と、回生側変速機8と、回生側変速機出力軸9と、回生側1-wayクラッチ機構10と、ECU20(Electronic Control Unit、電子制御装置)とを備えている。
また、駆動軸2には、駆動軸2の回転速度を検出する駆動軸回転速度検出機構33が配置されている。駆動軸回転速度検出機構33は、検出した回転速度を示す信号をECU20に送信されるようになっている。
駆動側変速機3は、レシオを無段階で変更可能な無段変速機であってもよく、レシオを段階的に変更する有段変速機であってもよい。また、駆動側変速機3は、後段に駆動側1-wayクラッチ機構5を有しているため、特許文献1に示すような「てこクランク機構」を用いて駆動軸2の回転運動を揺動運動に変換する変速機であってもよい。なお、てこクランク機構を用いた変速機は、間欠的な駆動力とあるため、複数のパスを備える変速機とすることが望ましい。
また、出力軸6には、出力軸6の回転速度を検出する出力軸回転速度検出機構34が配置されている。出力軸回転速度検出機構34は、検出した回転速度を示す信号をECU20に送信されるようになっている。
回生側変速機8は、レシオを無段階で変更可能な無段変速機であってもよく、レシオを段階的に変更する有段変速機であってもよい。また、回生側変速機8は、後段に回生側1-wayクラッチ機構10を有しているため、特許文献1に示すような「てこクランク機構」を用いて出力軸6の回転運動を揺動運動に変換する変速機であってもよい。なお、てこクランク機構を用いた変速機は、間欠的な駆動力とあるため、複数のパスを備える変速機とすることが望ましい。
ECU20は、アクセル31のアクセル開度、シフトポジション32、駆動軸回転速度検出機構33の回転速度、出力軸回転速度検出機構34の回転速度の信号が入力されるようになっている。
ここで、図4を参照しつつ、動力伝達装置Sの動作例について説明する。なお、図4において、ECU20等は省略して図示している。
例えば、駆動側変速機3のレシオ(駆動側レシオ)を4、回生側変速機8のレシオ(回生側レシオ)を3とし、動力源1が1000rpm(回転/秒)で駆動軸2を回転させた場合について説明する。
そして、回生側1-wayクラッチ機構10の入力側である回生側変速機出力軸9が750rpmで回転するのに対し、回生側1-wayクラッチ機構10の出力側である駆動軸2が1000rpmで回転しているため、回生側1-wayクラッチ機構10は、不接続となる。
例えば、駆動側変速機3のレシオ(駆動側レシオ)を4、回生側変速機8のレシオ(回生側レシオ)を3とし、駆動輪7が250rpm(回転/秒)で回転しているときに、動力源1の発生駆動力を停止させた場合について説明する。
そして、駆動側1-wayクラッチ機構5の入力側である駆動側変速機出力軸4が約188rpmで回転するのに対し、駆動側1-wayクラッチ機構5の出力側である出力軸6が250rpmで回転しているため、駆動側1-wayクラッチ機構5は、不接続となる。
図5(A)に示すように、駆動側レシオと回生側レシオが等しい場合(図5(A)では、どちらも4とする)、駆動側1-wayクラッチ機構5および回生側1-wayクラッチ機構10が共に、接続状態となる。しかし、部品誤差や経年劣化等により、駆動側レシオと回生側レシオとの間に齟齬が生じると、ギヤ等を破損させるおそれがある。
図5(B)に示すように、動力源1が駆動軸2を1000rpmで回転させることにより、駆動側変速機3、駆動側変速機出力軸4および駆動側1-wayクラッチ機構5を介して、出力軸6が250rpmで回転される。
一方、出力軸6が250rpmで回転することにより、回生側変速機8、回生側変速機出力軸9および、回生側1-wayクラッチ機構10を介して、駆動軸2を1250rpmでさせようとする。
このため、図4に示すように、駆動側レシオは、回生側レシオよりも大きく設定されている。
図4、図5に示すように、駆動側レシオは回生側レシオよりも大きく設定されている必要がある。
ECU20が実行する駆動側変速機3または回生側変速機8のレシオの変更処理について、図2および図3を用いて説明する。
まず、図2を用いて、ECU20の運転状態決定部21が実行する変速機(駆動側変速機3、回生側変速機8)の変速要求処理について説明する。
力行状態である場合(S101・Yes)、運転状態決定部21の処理は、ステップS102に進む。一方、力行状態でない場合(S101・No)、運転状態決定部21の処理は、ステップS106に進む。
駆動側レシオを変更する場合(S104・Yes)、運転状態決定部21の処理は、ステップS105に進む。一方、駆動側レシオを変更しない場合(S104・No)、運転状態決定部21の処理を終了する。
そして、運転状態決定部21の処理を終了する。
回生側レシオを変更する場合(S108・Yes)、運転状態決定部21の処理は、ステップS109に進む。一方、駆動側レシオを変更しない場合(S108・No)、運転状態決定部21の処理を終了する。
そして、運転状態決定部21の処理を終了する。
次に、図3を用いて、ECU20のレシオ変更制御部23が実行する変速機(駆動側変速機3、回生側変速機8)の変速制御(レシオ変更制御)処理について説明する。
変速要求がある場合(S201・Yes)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS202に進む。一方、変速要求がない場合(S201・No)レシオ変更制御部23の処理は、ステップS211に進む。
変速要求が駆動側である場合(S202・Yes)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS203に進む。一方、変速要求が駆動側でない場合(S202・No)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS207に進む。
ここで、所定値Aとは、部品公差、部品の経年劣化、センサ計測誤差等により設定される正数であり、実際の回生側レシオが実際の駆動側レシオよりローレシオとならないようにするための数値である。
駆動側レシオ(目標値)が回生側レシオ(現在値)に所定値Aを加算したものより小さい場合(S203・Yes)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS204に進む。一方、駆動側レシオ(目標値)が回生側レシオ(現在値)に所定値Aを加算したものより小さくない場合(S203・No)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS205に進む。
ここで、回生側変速機8の変更後のレシオである回生側レシオ(次回値)は、駆動側レシオ(目標値)−Aとなるように変速する。即ち、「回生側レシオ(次回値)=駆動側レシオ(目標値)−A」とする。
なお、回生側変速機8がギヤ比(レシオ)を段階的に変速する有段変速機である場合には、「回生側レシオ(次回値)≦駆動側レシオ(目標値)−A」を満たす最もローレシオなギヤを選択して、回生側レシオ(次回値)とする。
なお、駆動側1-wayクラッチ機構5および回生側1-wayクラッチ機構10が共に接続状態となることを防止するためには、「回生側レシオ(次回値)≦駆動側レシオ(目標値)−A」であればよい。
そして、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS206に進む。
そして、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS206に進む。
ここで、駆動側変速機3の変更後のレシオである駆動側レシオ(次回値)は、駆動側レシオ(目標値)となるように変速する。即ち、「駆動側レシオ(次回値)=駆動側レシオ(目標値)」とする。
そして、レシオ変更制御部23の処理を終了する。
駆動側レシオ(現在値)が回生側レシオ(目標値)に所定値Aを加算したものより小さい場合(S207・Yes)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS208に進む。駆動側レシオ(現在値)が回生側レシオ(目標値)に所定値Aを加算したものより小さくない場合(S207・No)、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS209に進む。
ここで、駆動側変速機3の変更後のレシオである駆動側レシオ(次回値)は、回生側レシオ(目標値)+Aとなるように変速する。即ち、「駆動側レシオ(次回値)=回生側レシオ(目標値)+A」とする。
なお、駆動側変速機3がギヤ比(レシオ)を段階的に変速する有段変速機である場合には、「駆動側レシオ(次回値)≧回生側レシオ(目標値)+A」を満たす最もハイレシオなギヤを選択して、駆動側レシオ(次回値)とする。
なお、駆動側1-wayクラッチ機構5および回生側1-wayクラッチ機構10が共に接続状態となることを防止するためには、「駆動側レシオ(次回値)≧回生側レシオ(目標値)+A」であればよい。
そして、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS210に進む。
そして、レシオ変更制御部23の処理は、ステップS210に進む。
ここで、回生側変速機8の変更後のレシオである回生側レシオ(次回値)は、回生側レシオ(目標値)となるように変速する。即ち、「回生側レシオ(次回値)=回生側レシオ(目標値)」とする。
そして、レシオ変更制御部23の処理を終了する。
そして、レシオ変更制御部23の処理を終了する。
このような動力伝達装置Sによれば、次の効果を得る。
一方、条件を満たさない場合(図3のS203・Yes、S207・Yes参照)、先に変更要求が有る側と対向する側の変速機(回生側変速機8、駆動側変速機3)のレシオを変更し(図3のS204、S208参照)、その後、変更要求が有る側の変速機(駆動側変速機3、回生側変速機8)のレシオを変更要求に従って変更する(図3のS206、S210参照)。
また、「駆動側レシオが回生側レシオより大きい」という関係を保持しつつ、即ち、図5(A)および図5(B)に示すような駆動側1-wayクラッチ機構5および回生側1-wayクラッチ機構10の両方が接続状態で回転速度に不整合が生じた場合の駆動系部品の破損を防止して、動力伝達装置Sの破損や動力伝達装置Sが搭載された車両(図示せず)のドライバビリティの悪化を防止することができる。
1 動力源
2 駆動軸
3 駆動側変速機(第1変速手段)
4 駆動側変速機出力軸(第1変速手段)
5 駆動側1-wayクラッチ機構(第1の一方向動力伝達機構)
6 出力軸(被駆動軸)
7 駆動輪
8 回生側変速機(第2変速手段)
9 回生側変速機出力軸(第2変速手段)
10 回生側1-wayクラッチ機構(第2の一方向動力伝達機構)
20 ECU(制御手段)
21 運転状態決定部
22 動力源制御部
23 レシオ変更制御部
31 アクセル
32 シフトポジション
33 駆動軸回転速度検出機構
34 出力軸回転速度検出機構
Claims (5)
- 駆動軸と、
被駆動軸と、
前記駆動軸の動力を変速する第1変速手段と、
前記第1変速手段が変速した動力の一方向のみの動力を前記被駆動軸へ伝達する第1の一方向動力伝達機構と、
前記被駆動軸の動力を変速する第2変速手段と、
前記第2変速手段が変速した動力の一方向のみの動力を前記駆動軸へ伝達する第2の一方向動力伝達機構と、
前記第1変速手段および前記第2変速手段のレシオを変更する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1変速手段のレシオは、前記第2変速手段のレシオより大きくする
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 前記制御手段は、前記第1変速手段のレシオを変更する際、
前記第1変速手段の変更後のレシオが、前記第2変速手段の現在のレシオに所定値を加算したものより、小さい場合、
前記第2変速手段のレシオが、前記第1変速手段の変更後のレシオより所定値以上小さくなるように変更し、
その後、前記第1変速手段のレシオを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。 - 前記制御手段は、前記第2変速手段のレシオを変更する際、
前記第1変速手段の現在のレシオが、前記第2変速手段の変更後のレシオに所定値を加算したものより、小さい場合、
前記第1変速手段のレシオが、前記第2変速手段の変更後のレシオより所定値以上大きくなるように変更し、
その後、前記第2変速手段のレシオを変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力伝達装置。 - 前記第1変速手段は、
てこクランク機構を用い、回転運動を揺動運動に変換する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。 - 駆動軸と、
被駆動軸と、
前記駆動軸の動力を変速する第1変速手段と、
前記第1変速手段が変速した動力の一方向のみの動力を前記被駆動軸へ伝達する第1の一方向動力伝達機構と、
前記被駆動軸の動力を変速する第2変速手段と、
前記第2変速手段が変速した動力の一方向のみの動力を前記駆動軸へ伝達する第2の一方向動力伝達機構と、
前記第1変速手段および前記第2変速手段のレシオを変更する制御手段と、を備える動力伝達装置の制御方法であって、
前記制御手段は、
前記第1変速手段のレシオが前記第2変速手段のレシオより大きくする
ことを特徴とする動力伝達装置の制御方法。
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