JP4281424B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、変速機に駆動力源および出力部材および回転装置が連結され、かつ、駆動力源と出力部材との間で変速を実行することの可能な車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊星歯車機構を有する変速機に、エンジンおよび発電機を連結するとともに、発電機を反力要素として機能させ、発電機の回転数を制御してエンジン回転数の制御をおこない、エンジンを燃費の良好な運転点で運転するように構成された駆動装置が知られている。この駆動装置のその一例が、下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載されたハイブリッド車両では、複数組の遊星歯車機構を組み合わせて動力分割手段が構成されている。この動力分割手段は、第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構を有しており、第1遊星歯車機構のリングギヤにエンジンが連結される一方、第1の遊星歯車機構のサンギヤが出力軸に連結されている。この出力軸には、中間軸を経由してデファレンシャルが連結されている。さらに、各遊星歯車機構におけるキャリヤ同士が互いに連結されるとともに、第2遊星歯車機構のサンギヤに発電機が連結されている。そして、第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構のキャリヤは、第1ブレーキを介して変速機のケーシングに結合可能であり、発電機のロータは第2ブレーキを介して変速機のケーシングに結合可能である。また、左右の前輪を個別に駆動する電動機が設けられている。
【0004】
上記構成において、第1ブレーキおよび第2ブレーキを解放した状態で、エンジンの出力トルクを第1の遊星歯車機構のリングギヤに伝達すると、そのトルクの一部がサンギヤを介して出力軸に伝達され、また前記トルクの一部が第2の遊星歯車機構のサンギヤを経由して発電機に伝達される。その発電機で得られた電力によって電動機が駆動される。したがって、エンジンの出力トルクの一部が駆動輪に伝達される一方、電力に変換されたエネルギによって電動機が駆動され、そのトルクが駆動輪に伝達される。その場合、第2遊星歯車機構のサンギヤによる反力トルクを、発電機により制御すれば、エンジンの回転数を連続的に変化させることができる。つまり、動力分割手段が無段変速機として機能し、エンジンの回転数を最適燃費での運転状態となるように制御できる。
【0005】
また、第2ブレーキを締結して発電機をケーシングに回転不能に固定するとともに、第1ブレーキを解放すると、エンジンの回転は増速されて出力軸に伝達される。これにより、変速比が1未満の第1のオーバードライブ状態が実現される。さらに、第2ブレーキを締結して動力分割手段のキャリヤをケーシングに固定し、かつ、発電機を電動機として逆転駆動すると、エンジンの回転は前述の場合よりも増速されて出力軸に伝達される。これにより、第1のオーバードライブ状態よりも、更に変速比が小さい第2のオーバードライブ状態が実現される。なお、差動歯車装置にエンジンおよび発電機が連結された構成のハイブリッド車が、下記の特許文献2にも記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−16101号公報(段落番号0015〜0023、図1ないし図3)
【特許文献2】
特開平9−156387号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1に記載されているハイブリッド車において、第2ブレーキを締結して第2のオーバードライブ状態を実現する場合は、発電機および第2遊星歯車機構のサンギヤの回転速度が、変速後の回転速度に同期するまでの間に、発電機および第2遊星歯車機構のサンギヤの慣性力により、出力軸に回転変化が生じて、ショックとして体感される可能性があった。
【0008】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、変速機で変速を実行する場合に生じるショックを抑制することの可能な車両の制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、相対回転可能な第1ないし第4の回転要素を有する変速機と、第1の回転要素に連結された第1の駆動力源と、第2の回転要素に連結されたモータ・ジェネレータと、第3の回転要素に連結された出力部材と、第4の回転要素に力を加え、かつ、前記第4の回転要素の回転速度を制御する回転速度制御機構とが設けられており、前記モータ・ジェネレータの回転速度を制御することにより、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間における変速比を変更し、かつ、前記回転速度制御機構から前記第4の回転要素に加える力を変更する変速制御を実行することの可能な車両の制御装置において、前記第1の駆動力源の反力トルクを前記モータ・ジェネレータで受け持っている際に、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間における変速比を変更する場合は、前記モータ・ジェネレータの回転速度を制御することにより、前記第2の回転要素の回転速度を前記変速比の変更後に対応する回転速度に近づける制御を実行した後、前記回転速度制御機構から前記第4の回転要素に加える力を、前記モータ・ジェネレータに連結された第2の回転要素の回転速度に基づいて変更する変速制御手段を有しており、前記変速の実行にともなう車両の駆動力変化を抑制する第2の駆動力源が前記出力部材に連結されており、前記変速制御手段は、前記第2の回転要素の回転速度を前記変速比の変更後に対応する回転速度に近づける制御を実行するときに、前記モータ・ジェネレータで受け持つ反力トルクの低減量に応じて、前記第2の駆動力源で消費されるエネルギを減少させることにより、前記変速の実行にともなう車両の駆動力変化を抑制する手段を含むことを特徴とするものである。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、「第1の駆動力源の反力トルクをモータ・ジェネレータで受け持っている際に、モータ・ジェネレータの回転速度を制御することにより、第1の駆動力源と出力部材との間における変速比を変更し、かつ、回転速度制御機構から第4の回転要素に加える力を変更する変速制御」を実行する場合は、モータ・ジェネレータの回転速度を制御して第2の回転要素の回転速度を、変速比の変更後に対応する回転速度に近づけた後、回転速度制御機構から第4の回転要素に加える力が変更される。したがって、変速制御の実行中に、モータ・ジェネレータおよび第2の回転要素で生じる慣性力のうち、回転速度制御機構で受け止めるべき慣性力が可及的に抑制される。
【0012】
また、請求項1の発明によれば、第2の回転要素の回転速度に基づいて、回転速度制御機構から第4の回転要素に加えるべき力が判断される。さらに、請求項1に係る発明によれば、第2の駆動力源により、車両の駆動力の変化が抑制される。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、前記変速制御手段により実行される変速制御には、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間の変速比が1以上である状態から、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間の変速比が1未満である状態に変更する変速制御が含まれることを特徴とする発明である。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、変速制御の実行後に、第1の駆動力源と出力部材との間の変速比が1未満となる場合がある。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記変速機は、小径サンギヤおよび大径サンギヤと、一体的に回転しかつ前記小径サンギヤに噛合された大ピニオンギヤおよび前記大径サンギヤに噛合された小ピニオンギヤと、この小ピニオンギヤおよび前記大ピニオンギヤを自転可能かつ公転可能に支持するキャリヤと、前記大ピニオンギヤが噛合されたリングギヤとを有しており、前記キャリヤが前記第1の回転要素であり、前記小径サンギヤが前記第2の回転要素であり、前記リングギヤが前記第3の回転要素であり、前記大径サンギヤが前記第4の回転要素であることを特徴とする発明である。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の作用が生じる。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記変速機は、前記第1の駆動力源から伝達された動力を、モータ・ジェネレータおよび車輪に分配する機能を、更に有していることを特徴とする発明である。
【0020】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の作用が生じる他に、第1の駆動力源から変速機に伝達された動力は、モータ・ジェネレータおよび車輪に分配される。
【0021】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。まず、図2に示す車両Veのパワートレーンの概略構成を説明する。図2において、エンジン1および第1のモータ・ジェネレータ2が動力分配装置3に連結され、その動力分配装置3の出力軸4にファイナルギヤ5が連結され、ファイナルギヤ5にはドライブシャフト6を経由して車輪(後輪)7が連結されている。また、出力軸4には変速機8を経由して第2のモータ・ジェネレータ9が連結されている。
【0022】
まず、前記エンジン1としては、内燃機関、具体的にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることが可能である。一方、第1のモータ・ジェネレータ2および第2のモータ・ジェネレータ9は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有している。第1のモータ・ジェネレータ2および第2のモータ・ジェネレータ9には、インバータ(図示せず)を経由して電力装置(図示せず)が接続されている。
【0023】
この電力装置としては、燃料電池または蓄電装置を用いることが可能である。電力装置として燃料電池を用いた場合は、燃料電池から第1のモータ・ジェネレータ2および第2のモータ・ジェネレータ9に電力を供給することが可能である。これに対して、蓄電装置を用いた場合は、蓄電装置から、第1のモータ・ジェネレータ2または第2のモータ・ジェネレータ9の少なくとも一方に電力を供給する一方、第1のモータ・ジェネレータ2または第2のモータ・ジェネレータ9で発電された電力を、蓄電装置に充電することも可能である。この実施例においては、蓄電装置を用いた場合について説明する。
【0024】
前記動力分配装置3は、複数の差動機構として、2組の遊星歯車機構10,11を有している。遊星歯車機構10はサンギヤ12と、サンギヤ12と同心状に配置されたリングギヤ13と、サンギヤ12およびリングギヤ13に噛合するピニオンギヤ14とを有している。また、遊星歯車機構11は、サンギヤ15と、サンギヤ15と同心状に配置されたリングギヤ16と、サンギヤ15およびリングギヤ16に噛合するピニオンギヤ17とを有している。そして、遊星歯車機構10のピニオンギヤ14と、遊星歯車機構11のリングギヤ16とを連結するキャリヤ18が設けられている。このため、ピニオンギヤ14の公転速度と、リングギヤ16の自転速度とが同一となる。また、遊星歯車機構10のリングギヤ13と、遊星歯車機構11のピニオンギヤ17とを連結するキャリヤ19が設けられている。このため、ピニオンギヤ17の公転速度と、リングギヤ13の自転速度とが同一となる。さらに、キャリヤ19と入力軸20とが一体回転するように連結されている。この入力軸20はエンジン1のクランクシャフト(図示せず)に連結されており、入力軸20および出力軸4は、車両Veの前後方向に配置されている。また、前記サンギヤ12は前記第1のモータ・ジェネレータ2に連結されている。
【0025】
さらに、遊星歯車機構11のサンギヤ15と出力軸4とが一体回転するように連結されている。さらにまた、キャリヤ18の回転を選択的に阻止するブレーキ21が設けられている。この実施例においては、ブレーキ21として、油圧制御式の摩擦係合装置を用いている場合について説明する。さらにまた、変速機8は、第2のモータ・ジェネレータ9に連結された入力部材(図示せず)と、出力軸4との回転速度の比、すなわち変速比を制御可能に構成されている。変速機8は、有段変速機または無段変速機のいずれを用いてもよい。
【0026】
つぎに、車両Veの制御系統を説明すれば、車両Veの全体を制御する電子制御装置22が設けられており、電子制御装置22には、車速、加速要求、制動要求、蓄電装置の充電量などの検知信号が入力され、電子制御装置22からは、エンジン出力を制御する信号、第1のモータ・ジェネレータ2および第2のモータ・ジェネレータ9の回転速度および回転方向、さらには、力行機能と回生機能との切り換えを制御する信号、ブレーキ21の係合圧を制御する信号、変速機8の変速比を制御する信号などが出力される。
【0027】
上記構成のパワートレーンの制御を、図3の速度線図を参照しながら説明する。このパワートレーンを制御する場合には、通常モードまたはオーバードライブモードを選択的に切換可能である。例えば、要求駆動力が所定値以上である場合、または加速要求が所定値以上である場合は、通常モードが選択される。通常モードが選択された場合は、エンジン1の動力が動力分配装置3を経由して車輪7に伝達されるとともに、ブレーキ21の係合圧が低下される。また、エンジン1から動力分配装置3に伝達された動力の一部が、第1のモータ・ジェネレータ2に伝達されるとともに、第1のモータ・ジェネレータ2が反力要素として機能する。
【0028】
このため、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を制御することにより、エンジン回転速度が無段階(連続的)に制御され、動力分配装置3の変速比、具体的には、エンジン回転速度と出力軸回転速度との比が制御される。これが無段変速状態であり、基本的には、エンジン1の回転速度の目標値および変速比として、エンジン1が最適燃費となるように、エンジン回転速度および変速比が制御される。この図3においては、通常モードに対応する各回転要素の回転速度の一例が、直線A1で示されている。つまり、エンジン1の回転を正回転とした場合に、第1のモータ・ジェネレータ2の回転方向は逆回転となっている。なお、直線A1は、エンジン回転速度よりも出力軸回転速度の方が高速となる例であるが、通常モードにおいては、エンジン回転速度よりも出力軸回転速度の方を低速としたり、またはエンジン回転速度と出力軸回転速度とが同一回転速度となるように、動力分配装置3の変速比を制御することも可能である。
【0029】
これに対して、オーバードライブモードは、要求駆動力が所定値未満である場合、または、加速要求が所定値未満である場合などに選択される。このオーバードライブモードが選択された場合は、エンジン1が駆動されるとともに、ブレーキ21の係合圧を高めてキャリヤ18が停止される。このオーバードライブモードに対応する各回転要素の回転速度が、図3に直線B1で示されている。つまり、キャリヤ18が反力要素となり、エンジン回転速度よりも出力軸4の回転速度の方が高速となる。これが、エンジン回転速度と、出力軸回転速度との比である変速比が1未満となる状態、いわゆるオーバードライブ状態である。このオーバードライブ状態においては、第1のモータ・ジェネレータ2は、発電機または電動機のいずれとしても機能せず、第1のモータ・ジェネレータ2は空転状態となる。なお、図3の速度線図は、サンギヤ12とリングギヤ13との歯数比が1に設定され、キャリヤ18とリングギヤ16との歯数比、およびリングギヤ13とキャリヤ19との歯数比がρ1に設定され、リングギヤ13とサンギヤ15との歯数比、およびキャリヤ19とサンギヤ15との歯数比がρ1/ρ2に設定されている場合を示す。
【0030】
さらに、駆動力要求に応じて、第2のモータ・ジェネレータ9を電動機として駆動させ、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを車輪7に伝達することも可能である。つまり、図2に示す車両Veは、複数の種類の駆動力源としてエンジン1および第2のモータ・ジェネレータ9を有し、エンジン1または第2のモータ・ジェネレータ9のうち、少なくとも一方の動力を車輪7に伝達することの可能なハイブリッド車である。なお、図2に示す車両Veは、エンジン1および第2のモータ・ジェネレータ9が、共に同じ車輪7と動力伝達可能に連結されている。
【0031】
つぎに、オーバードライブモードと通常モードとの切換制御を含む車両Veの制御例を、図1に基づいて説明する。まず、
(a)現在選択されているモードがオーバードライブモードであることが、肯定または否定されるかの判断と、
(b)通常モードからオーバードライブモードへの切り換え途中であることが、肯定されるかまたは否定されるかの判断と
が実行される(ステップS1)。このステップS1において、(a)の判断、または(b)の判断のいずれか一方で肯定された場合は、ステップS2に進む。このステップS2においては、オーバードライブモードから通常モードへ切り換える要求があるか否かが判断される。このステップS2で否定的に判断された場合は、ステップS3に進む。また、前記ステップS1で否定的に判断された場合も、ステップS3に進む。
【0032】
このステップS3においては、通常モードからオーバードライブモードに切り換える要求があるか否かが判断される。ステップS3で肯定的に判断された場合は、通常モードからオーバードライブモードに切り換えることが、禁止されているか否かが判断される(ステップS4)。例えば、変速機8で変速制御が実行される場合は、変速機8における変速制御の少なくとも一部と、モードの切換制御の少なくとも一部とが、同じ時間内または同時刻におこなわれることを防止するため、モードの切り換えが禁止される。
【0033】
ステップS4で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンの前回の実行時に、通常モードからオーバードライブモードへの切り換え途中であったか否かが判断される(ステップS5)。ステップS5で否定的に判断された場合は、オーバードライブモードから通常モードに切り換えるカウンタをクリアするとともに、通常モードからオーバードライブモードへ切り換える制御の開始時点からタイマをスタートし(ステップS6)、ステップS7に進む。また、ステップS5で肯定的に判断された場合もステップS7に進む。
【0034】
ステップS7では、通常モードからオーバードライブモードに切り換える場合に選択する「第1のモータ・ジェネレータ2の目標回転速度Ngtag 」として、「動力分配装置3で変速制御を実行した後の変速比に対応する第1のモータ・ジェネレータ2の同期回転速度に、所定値αを加算した値」を選択する。ここで、第1のモータ・ジェネレータ2の同期回転速度とは、キャリヤ18の回転速度が零となる回転速度を意味する。なお、所定値αについては後述する。ステップS7についで、要求駆動力に応じたエンジントルクの制御をおこない、かつ、第2のモータ・ジェネレータ9のトルク制御を実行する(ステップS8)。第2のモータ・ジェネレータ9のトルク制御は、「動力分配装置3で変速制御を実行した場合に、変速制御の実行前と実行後とで駆動力が変化することを抑制する制御」である。上記のステップS7およびステップS8の処理が変速準備制御である。
【0035】
このステップS8についで、ブレーキ21の油圧室の油圧をスイープアップさせる制御を実行し(ステップS9)、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを補正する制御を実行する(ステップS10)。前述のように、キャリヤ18の回転速度を零に近づけると、第1のモータ・ジェネレータ2で受け持つ反力トルクが低減して、駆動力が変化する可能性がある。そこで、反力トルクの低減量に応じて、第2のモータ・ジェネレータ9で消費されるエネルギを減少させて、駆動力変化を抑制するために、ステップS10で第2のモータ・ジェネレータ9の制御を実行している。ここで、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクの変化率ΔTmは、次式(1)で算出可能である。
【0036】
ΔTm=ρ1/(ρ1ρ2+ρ2)×ΔTg ・・・(1)
【0037】
上記式(1)において、ρ1、ρ2は図3の速度線図で説明した意味と同じであり、ΔTgは第1のモータ・ジェネレータ2のトルクを意味する。
【0038】
上記ステップS10についで、第1のモータ・ジェネレータ2のフィードバック制御に用いる目標トルクと、実際のトルクとの偏差が所定値未満になったか否かが判断される(ステップS11)。このステップS11で否定的に判断された場合は、ステップS6で開始したタイマのカウンタ値(経過時間)が所定値を越えたか否かが判断される(ステップS12)。このステップS12で肯定的に判断された場合は、ステップS13に進む。また、ステップS11で肯定的に判断された場合も、ステップS13に進む。上記のステップS9からステップS13の処理を実行する過程で、エンジントルクを受け持つ反力要素が、第1のモータ・ジェネレータ2からブレーキ21に移行する。
【0039】
このステップS13においては、通常モードからオーバードライブモードに切り換える要求をクリアし、かつ、第1のモータ・ジェネレータ2のシャットダウン制御を実行することが可能である。シャットダウン制御とは、第1のモータ・ジェネレータ2とインバータとの間の回路をオフすることを意味する。また、ステップS13において、第2のモータ・ジェネレータ9のシャットダウン制御を実行することも可能である。このようなシャットダウン制御を実行することにより、蓄電装置の電力消費量の増加を抑制することが可能である。なお、ステップS13においては、シャットダウン制御を実行することなく、第1のモータ・ジェネレータ2および第2のモータ・ジェネレータ9を発電機として起動させ、発生した電力を蓄電装置に充電することも可能である。蓄電装置に充電された電力は、車両に搭載されている補機の駆動電力として消費される。
【0040】
さらに、通常モードからオーバードライブモードに切り換えられた直後に、要求駆動力が増加して、オーバードライブモードから通常モードに切り換えられて、動力分配装置3における変速制御が頻繁に生じる現象、いわゆるハンチングを抑制するために、オーバードライブモードが選択された場合に、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを車輪7に伝達することにより、要求駆動力に対するトルク不足を回避することも可能である。
【0041】
上記のステップS13についで、前述したステップS6における処理のカウンタをインクリメントし(ステップS14)、ステップS1に戻る。なお、前述のステップS12で否定的に判断された場合は、ステップS14に進む。さらに、前述のステップS4で肯定的に判断された場合、または、ステップS3で否定的に判断された場合も、ステップS14に進む。
【0042】
ここで、通常モードからオーバードライブモードに切り換える制御に相当するタイムチャートの一例を、図4に基づいて説明する。この図4において、出力軸の回転速度、言い換えれば、車速が略一定である場合を想定している。この図4においては、時刻t1以前においては、CVT運転が実行されている。CVT運転とは、通常モードが選択されて、動力分配装置3が無段変速機として機能していることを意味する。この時刻t1以前において、所定のエンジン回転速度Neに制御され、ブレーキ回転速度、具体的には、キャリヤ18の回転速度Nbは、逆方向に所定の回転速度で回転している。
【0043】
また、エンジントルクTeも所定のエンジントルクに制御され、ブレーキ21のトルク容量Tbは零に制御されている。さらに、第1のモータ・ジェネレータ2のトルクTgおよび第2のモータ・ジェネレータ9のトルクTmは負の値(回生トルク)となっている。つまり、図4のタイムチャートは、エンジン1の動力の一部を第2のモータ・ジェネレータ9に伝達して、第2のモータ・ジェネレータ9を発電機として起動している場合を示す。
【0044】
そして、通常モードからオーバードライブモードに切り換える要求が生じて、時刻t1以降で変速準備制御が実行されている。変速準備制御とは、前述したステップS7およびステップS8の制御に相当する。まず、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を、ステップS7の処理のように制御して、負のトルクを零に近づけていくと、エンジン回転速度が徐々に上昇するとともに、キャリヤ18の逆方向における回転速度が低下して、その回転速度が零に近づく。また、ステップS8の処理のように、エンジントルクが低下し、かつ、第2のモータ・ジェネレータ9の負のトルクが零に近づけられる。
【0045】
そして、時刻t2において、第1のモータ・ジェネレータ2の回転数が、「動力分配装置3で変速制御を実行した後の変速比に対応する第1のモータ・ジェネレータ2の回転数に、所定値αを加算した値」になると、ステップS9で述べた処理が実行される。ここで、所定値αについて説明する。第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を制御する場合に、この実施例では、キャリヤ18が一旦正方向に所定回転速度で回転され、ついで、キャリヤ18の回転速度を零に収束させるように、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度が制御される。そして、キャリヤ18を一旦正方向に所定回転速度で回転させるための第2モータ・ジェネレータ2の回転速度と、キャリヤ18の回転速度を零にするための第1のモータ・ジェネレータ2の同期回転速度との差が、前記所定値αに相当する。
【0046】
また、時刻t2以降はブレーキ21のトルク容量が徐々に増加され、エンジントルクも略一定に制御されている。さらに、エンジン回転速度は、時刻t2以降、キャリヤ18の回転速度と同様の変化特性を示している。具体的には、時刻t2の時点におけるエンジン回転速度よりも低速の状態と高速の状態とが交互に繰り替えさせる。そして、時刻t3以降は、エンジン回転速度が略一定に制御されている。なお、時刻t3以降のエンジン回転速度は、時刻t2におけるエンジン回転速度よりも低速となっている。さらにまた、第1のモータ・ジェネレータ2のトルクおよび第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを、変速制御の実行後における零トルクに近づける制御が実行される。
【0047】
そして、時刻t3でブレーキ21の係合が完了して、ブレーキ21のトルク容量が、変速制御の実行後に対応するトルク容量に制御され、かつ、キャリヤ18の回転速度が零となる。また、時刻t3以降において、エンジン回転速度は、変速制御の実行後の変速比に対応するエンジン回転速度に制御されている。さらに、第1のモータ・ジェネレータ2および第2のモータ・ジェネレータ9を共にシャットダウンする制御が実行されて、第1のモータ・ジェネレータ2のトルク、および第2のモータ・ジェネレータ9トルクは共に零となっている。
【0048】
つぎに、前記ステップS2で肯定的に判断された場合について説明する。この場合は、前回の制御ルーチン実行時に、オーバードライブモードから通常モードに切り換える制御の実行中であったか否かが判断される(ステップS15)。このステップS15で否定的に判断された場合は、通常モードからオーバードライブモードに切り換えるカウンタをクリアするとともに、オーバードライブモードから通常モードへ切り換える制御の開始時点からタイマをスタートし(ステップS16)ステップS17に進む。一方、前記ステップS15で肯定的に判断された場合も、ステップS17に進む。
【0049】
ステップS17においては、ブレーキ21に供給される油圧を低下させて、ブレーキ21を解放させる制御が実行される。ここで、ブレーキ21に供給される油圧の低下制御は、スイープダウン制御が実行される。このステップS17についで、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度が、「オーバードライブモードから通常モードへ切り換える制御を実行した後に、動力分配装置3で選択される変速比における同期回転速度に、所定値βを加えた回転速度」を越えているか否かが判断される(ステップS18)。
【0050】
この実施例では、オーバードライブモードから通常モードに切り換える途中で、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を、「オーバードライブモードから通常モードへ切り換える制御を実行した後に、動力分配装置3で選択される変速比における同期回転速度を一旦経由させて、その同期回転速度とは異なる回転速度に制御する。その後、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を同期回転速度に収束させる制御が実行される。ここで、前記「異なる回転速度」と「同期回転速度」との差が、所定値βに相当する。
【0051】
ステップS18で肯定的に判断された場合は、第1のモータ・ジェネレータ2オン回転速度を、目標回転速度Ngtag に近づけるフィードバック制御を実行する(ステップS19)。ここで、目標回転速度Ngtag は、前述した「同期回転速度に、所定値βを加えた回転速度」である。上記のステップS17およびステップS19の処理により、エンジントルクを受け持つ反力要素が、ブレーキ21から第1のモータ・ジェネレータ2に移行する。このステップS19についで、第1のモータ・ジェネレータ2のトルクが、負の所定値を越えたか否かが判断される(ステップS20)。このステップS20で肯定判断されるということは、第1のモータ・ジェネレータ2の負のトルクの絶対値の方が、負の所定値の絶対値よりも大きいことを意味する。また、ステップS20で肯定的に判断されるということは、ブレーキ21が完全解放されて、ブレーキ21のトルク容量が零になっていることを意味する。
【0052】
このステップS20で否定的に判断された場合は、オーバードライブモードから通常モードに切り換えられた時点からの経過時間(カウンタ値)が、所定値を越えたか否かが判断される(ステップS21)。このステップS21で肯定的に判断された場合は、ステップS22に進む。また、前記ステップS20で肯定的に判断された場合もステップS22に進む。このステップS22においては、オーバードライブモードから通常モードに切り換える制御が終了したものと判定される。すなわち、動力分配装置3は、前述した無段変速機として機能する状態になる。
【0053】
また、ステップS22においては、車速、加速要求などのパラメータに基づく通常制御が開始される。ここで、通常制御とは、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を、目標回転速度に近づけるフィードバック制御が開始される。このステップS22で実行されるフィードバック制御は、エンジン回転速度が、最適燃費曲線に沿って設定されるように、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を制御することを意味する。このステップS22の実行後は、ステップS14に進み、ステップS16の処理におけるカウンタをインクリメントする。また、ステップS21で否定的に判断された場合も、ステップS14に進む。さらに、ステップS18で否定的に判断された場合も、ステップS14に進む。なお、ステップS18で否定的に判断された場合は、第1のモータ・ジェネレータ2の制御として、シャットダウン制御が継続される。
【0054】
以上のように、この実施例においては、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度と、エンジントルクと、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクと、ブレーキ21に作用する油圧とを、相互に協調制御している。具体的には、「通常モードからオーバードライブモードへの切り換えをおこない、かつ、エンジン回転速度と出力軸回転速度との間の変速比を変更する変速制御」を実行する場合は、第1のモータ・ジェネレータ2およびサンギヤ12の回転速度を、変速制御の実行後に対応する目標回転速度に近づけた後、ブレーキ21のトルク容量が変更される。より具体的には、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を、目標回転速度に近づける制御を開始する時期の方が、ブレーキ21のトルク容量を増加する制御の開始時期よりも早い。また、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度が、目標回転速度と一致する時点で、ブレーキ21のトルク容量が、変速制御終了後の目標トルク容量に制御される。
【0055】
このため、変速制御の実行途中において、第1のモータ・ジェネレータ2のロータおよびサンギヤ12の回転変化により生じる慣性力のうち、ブレーキ21の係合力(制動力)で受け止めることとなる慣性力の増加を、可及的に抑制することができる。したがって、変速制御の実行にともなう出力軸4の回転変化を抑制でき、変速制御の実行に伴う駆動力変化により、車両Veの乗員がショックを体感することを抑制できる。
【0056】
また、この実施例によれば、ブレーキ21を係合させる場合に、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度に基づいて、ブレーキ21で受け止めるべき慣性力を判断し、その判断結果に基づいて、ブレーキ21のトルク容量を制御している。したがって、ブレーキ21のトルク容量を、必要トルク容量に対して過不足なく高精度に制御することが可能となり、変速制御の応答性が向上する。
【0057】
また、この実施例によれば、オーバードライブモードから通常制御に切り換え、かつ、変速制御を実行する場合は、ステップS17でブレーキ21の係合圧を低下させた後、ステップS19で、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を、目標回転速度に近づける制御が実行される。より具体的には、ブレーキ21の係合圧を低下させる制御の開始時期の方が、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を同期回転速度に近づける制御の開始時期よりも早い。したがって、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を制御する時点では、ブレーキ21の制動力が低下しているため、第1のモータ・ジェネレータの回転速度が急激に変化することを抑制でき、ショックの発生を回避できるとともに、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度の制御の確実性が向上する。さらに、この実施例においては、第2のモータ・ジェネレータ9を電動機として起動させ、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを車輪7に伝達することにより、変速制御の実行にともなう車両Veの駆動力の変化を抑制することが可能である。
【0058】
さらに、この実施例においては、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を、目標回転速度に近づけるフィードバック制御をおこなう場合に、第1のモータ・ジェネレータ2のトルクを負のトルクとして、発電を実行することが可能である。さらにまた、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクにより、要求トルクを補う場合のトルクは、「オーバードライブモードと通常モードとの切り換え時以外の条件で実行されるアシスト制御で選択されるトルク」とは異なるトルクが選択される。具体的には、車両Veの駆動力を優先するアシストトルク、または蓄電装置の電力収支を優先するアシストトルクを設定可能である。ここで、電力収支とは、蓄電装置に充電される電力と、蓄電装置から取り出される電力との対応関係を意味する。
【0059】
また、この実施例においては、オーバードライブモードから通常モードに切り換える制御の終了判定、または通常モードからオーバードライブモードに切り換える制御の終了判定を、キャリヤ18の回転速度、または制御開始時点からの経過時間に基づいておこなっている。したがって、各制御の終了判定を確実におこなうことが可能となる。
【0060】
また、この実施例においては、ステップS4で肯定判断された場合のように、モードの切り換え制御と、変速機8における変速制御とが並行して実行される状態である場合は、モードの切り換え制御を禁止することにより、モードの切り換え制御と、変速機8における変速制御とが同時期に実行されることを回避している。したがって、車両Veの駆動力変化を一層確実に抑制できる。
【0061】
さらに、この実施例においては、通常モードとオーバードライブモードとの切り換え判断を、要求駆動力の変化量、ブレーキ21の油圧室に供給されるオイルの油温、エンジン水温、蓄電装置の充電状態などに基づいて、実行することも可能である。すなわち、要求駆動力の変化量程度により、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度の制御で対処すること、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを制御すること、変速機8の変速比を制御することなどで対処することにより、通常モードとオーバードライブモードとの切り換えをおこなわなくても済む場合がある。
【0062】
また、オイルの油温が低温である場合は、オイルの粘度が高まり、ブレーキ21の作動応答性が低下するためである。また、エンジン水温が低いときは、燃料の燃焼状態が不安定であり、エンジントルクの変動が生じ易いからである。また、蓄電装置の充電量が所定値以上である場合は、蓄電装置への充電が制限されるからである。また、オーバードライブモードが選択されている場合は、第1のモータ・ジェネレータ2または第2のモータ・ジェネレータ9の少なくとも一方がシャットダウン制御され、ステップS19において、少なくとも第1のモータ・ジェネレータ2のシャットダウン制御を解除する。
【0063】
ここで、この実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS3ないしステップS13の処理が、この発明における変速制御手段に相当する。また、キャリヤ19が、この発明の第1の回転要素に相当し、サンギヤ12が、この発明の第2の回転要素に相当し、サンギヤ15が、この発明の第3の回転要素に相当し、キャリヤ18が、この発明の第4の回転要素に相当し、動力分配装置3が、この発明の変速機に相当し、エンジン1が、この発明の第1の駆動力源に相当し、第1のモータ・ジェネレータ2が、この発明のモータ・ジェネレータに相当し、出力軸4が、この発明の出力部材に相当し、ブレーキ21が、この発明の回転速度制御機構に相当し、前記ブレーキ21に作用する油圧、ブレーキ21の係合力もしくは制動力などにより、この発明の「回転速度制御機構から第4の回転要素に加える力」が決定される。エンジン回転速度と出力軸回転速度との間の変速比を変更し、かつ、ブレーキ21の係合圧を変更する制御が、この発明の変速制御に相当し、同期回転速度が、この発明の「変速比の変更後に対応する回転速度」に相当する。
【0064】
つぎに、前述した動力分配装置3の他の構成例を、図5に基づいて説明する。この動力分配装置3は、2組の遊星歯車機構30,31を有している。まず、入力軸20と一体回転するキャリヤ32が設けられており、キャリヤ32により大ピニオンギヤ33および小ピニオンギヤ34が自転可能、かつ、公転可能に支持されている。ここで、大ピニオンギヤ33と小ピニオンギヤ34とは、一体的に自転および公転する。大ピニオンギヤ33はサンギヤ35に噛合されており、サンギヤ35と第1のモータ・ジェネレータ2のロータとが一体回転するように連結されている。さらに、大ピニオンギヤ33に噛合するリングギヤ36が設けられており、リングギヤ36と出力軸4とが一体回転するように連結されている。リングギヤ36はサンギヤ35と同心状に配置されている。一方、小ピニオンギヤ34と噛合するサンギヤ37が設けられており、サンギヤ37の回転を選択的に阻止するブレーキ38が設けられている。これらサンギヤ35、リングギヤ36、大ピニオンギヤ33、キャリヤ32などにより、遊星歯車機構30が構成され、サンギヤ37、小ピニオンギヤ34、キャリヤ11などにより、遊星歯車機構31が構成されている。
【0065】
この図5に示す動力分配装置3においては、サンギヤ35の方がサンギヤ37よりも小径に設定され、かつ、リングギヤ36を共用しているので、遊星歯車機構30におけるギヤ比(サンギヤとリングギヤとの歯数の比)ρ1が、遊星歯車機構31のギヤ比ρ2より小さくなっている。図5に示す動力分配装置3に対応する速度線図の一例を、図6に基づいて説明する。通常モードが選択された場合は、エンジン1の動力が動力分配装置3を経由して車輪7に伝達されるとともに、ブレーキ38の係合圧が低下される。この図6においては、通常モードに対応する各回転要素の回転速度の一例が、直線A2で示されている。この通常モードが選択された場合は、第1のモータ・ジェネレータ2の回転速度を制御することにより、エンジン回転速度と出力軸回転速度との比を無段階に制御することが可能な状態、いわゆる無段変速状態となる。
【0066】
これに対して、オーバードライブモードが選択された場合は、ブレーキ38の係合圧を高めてサンギヤ37が停止される。このオーバードライブモードに対応する各回転要素の回転速度が、図6に直線B2で示されている。このオーバードライブモードが選択された場合は、エンジン回転速度と出力軸回転速度との比が1未満に設定される。なお、図5に示す動力分配装置3のその他の機能は、図2に示された動力分配装置3の機能と同じである。この図2に示す動力分配装置3に代えて、図5に示す動力分配装置3を有する車両においても、図1に示す制御例を実行可能である。この場合、前述した「ブレーキ21」を「ブレーキ38」と読み替える。
【0067】
ここで、図5に示された構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、キャリヤ32が、この発明の第1の回転要素に相当し、サンギヤ35が、この発明の小径サンギヤおよび第2の回転要素に相当し、リングギヤ36が、この発明の第3の回転要素に相当し、サンギヤ37が、この発明の大径サンギヤおよび第4の回転要素に相当し、ブレーキ38が、この発明の回転速度制御機構に相当する。図5のその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、図2の構成とこの発明の構成との対応関係と同じである。
【0068】
この実施例では各回転要素の回転状態を示すパラメータとして「回転速度」が挙げられているが、回転速度と等価のパラメータとして回転数を用いることも可能であり、図面においては便宜上、「回転速度」に代えて「回転数」と記されている。
【0069】
なお、特許請求の範囲に記載された発明において、回転速度制御機構には、油圧制御式の摩擦係合装置(ブレーキ)、空気圧制御式の摩擦係合装置、電磁式のブレーキなどが含まれる。また、特許請求の範囲に記載された発明において、回転速度は回転数と等価のパラメータであり、特許請求の範囲に記載されている回転速度の概念には、回転数も含まれる。また、第1の駆動力源の動力と、第2の駆動力源の動力とが、異なる車輪に伝達される構成のパワートレーンを有する車両に対しても、特許請求の範囲に記載された発明を適用可能である。また、第1の駆動力源および第2の駆動力源の回転軸線が、車両の幅方向に配置されている構成のパワートレーンにおいても、特許請求の範囲の各発明を適用可能である。
【0070】
また、特許請求の範囲に記載されている変速制御手段を、変速制御器または変速制御用コントローラと読み替えることも可能である。この場合、電子制御装置22が、変速制御器または変速制御用コントローラに相当する。さらに、特許請求の範囲に記載されている変速制御手段を、変速制御ステップと読み替え、車両の制御装置を、車両の制御方法と読み替えることも可能である。また、特許請求の範囲に記載されている車両の制御装置を、ハイブリッド車の制御装置またはパワートレーンの制御装置と読み替えることも可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、変速制御の実行中に、回転装置および第2の回転要素の回転で生じる慣性力のうち、回転速度制御機構で受け止めるべき慣性力の増加を可及的に抑制することができる。したがって、変速制御にともなう出力部材の回転変化を抑制でき、ショックを回避できる。
【0072】
また、請求項1の発明によれば、第2の回転要素の回転速度に基づいて、回転速度制御機構から第4の回転要素に加えるべき力を判断することができる。したがって、回転速度制御機構から第4の回転要素に加えるべき力を過不足無く制御することができ、変速制御の応答性が向上する。さらに、請求項1の発明によれば、第2の駆動力源により、車両の駆動力の変化を抑制することができる。したがって、ショックを一層確実に抑制することができる。
【0074】
請求項2に係る発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる他に、変速制御の実行後に、第1の駆動力源と出力部材との間の変速比が1未満となる場合がある。
【0075】
請求項3に係る発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得ることができる。
【0076】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得ることができる他に、第1の駆動力源から変速機に伝達された動力を、モータ・ジェネレータおよび車輪に分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御例を示すフローチャートである。
【図2】 図1に示す制御例を実行可能な車両の構成を示す概念図である。
【図3】 図2に示す動力分配装置についての共線図である。
【図4】 図1に示す制御例に対応するタイムチャートの一例である。
【図5】 図1に示す動力分配装置の他の構成例を示すスケルトン図である。
【図6】 図5に示す動力分配装置についての共線図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…第1のモータ・ジェネレータ、 3…動力分配装置、 4…出力軸、 7…車輪、 8…変速機、 9…第2のモータ・ジェネレータ、12…サンギヤ、 15,35,37…サンギヤ、 19,32…キャリヤ、21,38…ブレーキ、 33…大ピニオンギヤ、 34…小ピニオンギヤ、36…リングギヤ、 Ve…車両。

Claims (4)

  1. 相対回転可能な第1ないし第4の回転要素を有する変速機と、第1の回転要素に連結された第1の駆動力源と、第2の回転要素に連結されたモータ・ジェネレータと、第3の回転要素に連結された出力部材と、第4の回転要素に力を加え、かつ、前記第4の回転要素の回転速度を制御する回転速度制御機構とが設けられており、前記モータ・ジェネレータの回転速度を制御することにより、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間における変速比を変更し、かつ、前記回転速度制御機構から前記第4の回転要素に加える力を変更する変速制御を実行することの可能な車両の制御装置において、
    前記第1の駆動力源の反力トルクを前記モータ・ジェネレータで受け持っている際に、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間における変速比を変更する場合は、前記モータ・ジェネレータの回転速度を制御することにより、前記第2の回転要素の回転速度を前記変速比の変更後に対応する回転速度に近づける制御を実行した後、前記回転速度制御機構から前記第4の回転要素に加える力を、前記モータ・ジェネレータに連結された第2の回転要素の回転速度に基づいて変更する変速制御手段を有しており、
    前記変速の実行にともなう車両の駆動力変化を抑制する第2の駆動力源が前記出力部材に連結されており、
    前記変速制御手段は、前記第2の回転要素の回転速度を前記変速比の変更後に対応する回転速度に近づける制御を実行するときに、前記モータ・ジェネレータで受け持つ反力トルクの低減量に応じて、前記第2の駆動力源で消費されるエネルギを減少させることにより、前記変速の実行にともなう車両の駆動力変化を抑制する手段を含むことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記変速制御手段により実行される変速制御には、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間の変速比が1以上である状態から、前記第1の駆動力源と前記出力部材との間の変速比が1未満である状態に変更する変速制御が含まれることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記変速機は、小径サンギヤおよび大径サンギヤと、一体的に回転しかつ前記小径サンギヤに噛合された大ピニオンギヤおよび前記大径サンギヤに噛合された小ピニオンギヤと、この小ピニオンギヤおよび前記大ピニオンギヤを自転可能かつ公転可能に支持するキャリヤと、前記大ピニオンギヤが噛合されたリングギヤとを有しており、前記キャリヤが前記第1の回転要素であり、前記小径サンギヤが前記第2の回転要素であり、前記リングギヤが前記第3の回転要素であり、前記大径サンギヤが前記第4の回転要素であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記変速機は、前記第1の駆動力源から伝達された動力を、前記モータ・ジェネレータおよび車輪に分配する機能を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の制御装置。
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