JP5213666B2 - 遠隔操作型アクチュエータ - Google Patents
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Description
この発明は、工具の姿勢を遠隔操作で変更可能で、医療用、機械加工等の用途で用いられる遠隔操作型アクチュエータに関する。
医療用として骨の加工に用いられたり、機械加工用としてドリル加工や切削加工に用いられたりする遠隔操作型アクチュエータがある。遠隔操作型アクチュエータは、直線形状や湾曲形状をした細長いパイプ部の先端に設けた工具を遠隔操作で制御する。ただし、従来の遠隔操作用アクチュエータは、工具の回転のみを遠隔操作で制御するだけであったため、医療用の場合、複雑な形状の加工や外からは見えにくい箇所の加工が難しかった。また、ドリル加工では、直線だけではなく、湾曲状の加工が可能なことが求められる。さらに、切削加工では、溝内部の奥まった箇所の加工が可能なことが求められる。以下、医療用を例にとって、遠隔操作型アクチュエータの従来技術と課題について説明する。
整形外科分野において、骨の老化等によって擦り減って使えなくなった関節を新しく人工のものに取り替える人工関節置換手術がある。この手術では、患者の生体骨を人工関節が挿入できるように加工する必要があるが、その加工には、術後の生体骨と人工関節との接着強度を高めるために、人工関節の形状に合わせて精度良く加工することが要求される。
例えば、股関節の人工関節置換手術では、大腿骨の骨の中心にある髄腔部に人工関節挿入用の穴を形成する。人工関節と骨との接触強度を保つには両者の接触面積を大きくとる必要があり、人工関節挿入用の穴は、骨の奥まで延びた細長い形状に加工される。このような骨の切削加工に用いられる医療用アクチュエータとして、細長いパイプ部の先端に工具を回転自在に設け、パイプ部の基端側に設けたモータ等の回転駆動源の駆動により、パイプ部の内部に配した回転軸を介して工具を回転させる構成のものがある(例えば特許文献1)。この種の医療用アクチュエータは、外部に露出した回転部分は先端の工具のみであるため、工具を骨の奥まで挿入することができる。
人工関節置換手術では、皮膚切開や筋肉の切断を伴う。すなわち、人体に傷を付けなければならない。その傷を最小限に抑えるためには、前記パイプ部は真っ直ぐでなく、適度に湾曲している方が良い場合がある。このような状況に対応するためのものとして、次のような従来技術がある。例えば、特許文献2は、パイプ部の中間部を2重に湾曲させて、パイプ部の先端側の軸心位置と基端側の軸心位置とをずらせたものである。このようにパイプ部の軸心位置が先端側と軸心側とでずれているものは、他にも知られている。また、特許文献3は、パイプ部を180度回転させたものである。
特開2007−301149号公報
米国特許第4,466,429号明細書
米国特許第4,265,231号明細書
特開2001−17446号公報
生体骨の人工関節挿入用穴に人工関節を嵌め込んだ状態で、生体骨と人工関節との間に広い隙間があると、術後の接着時間が長くなるため、前記隙間はなるべく狭いのが望ましい。また、生体骨と人工関節の接触面が平滑であることも重要であり、人工関節挿入用穴の加工には高い精度が要求される。しかし、パイプ部がどのような形状であろうとも、工具の動作範囲はパイプ部の形状の制約を受けるため、皮膚切開や筋肉の切断をできるだけ小さくしながら、生体骨と人工関節との間の隙間を狭くかつ両者の接触面が平滑になるように人工関節挿入用穴を加工するのは難しい。
一般に、人工関節置換手術が行われる患者の骨は、老化等により強度が弱くなっていることが多く、骨そのものが変形している場合もある。したがって、通常考えられる以上に、人工関節挿入用穴の加工は難しい。
そこで、本出願人は、人工関節挿入用穴の加工を比較的容易にかつ精度良く行えるようにすることを目的として、先端に設けた工具の姿勢を遠隔操作で変更可能とすることを試みた。工具の姿勢が変更可能であれば、パイプ部の形状に関係なく、工具を適正な姿勢に保持することができるからである。なお、細長いパイプ部を有しない医療用アクチュエータでは、手で握る部分に対して工具が設けられた部分が姿勢変更可能なものがある(例えば特許文献4)が、遠隔操作で工具の姿勢を変更させるものは提案されていない。
この発明の目的は、細長いパイプ部の先端に設けられた工具の姿勢を遠隔操作で変更することができ、異常があった場合に工具を回転停止または回転させないようにできる遠隔操作型アクチュエータを提供することである。
この発明にかかる遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、前記スピンドルガイド部の基端が結合された駆動部ハウジングとを備え、前記先端部材は、工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記駆動部ハウジング内に設けられた工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記姿勢操作部材を進退させる姿勢変更用駆動源を前記駆動部ハウジング内に設け、前記スピンドル回転時または非回転時の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出した場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる工具回転制御手段とを設けたことを特徴とする。
この構成によれば、回転用駆動源の回転が回転軸を介して先端部材のスピンドルに伝達されて、このスピンドルに保持された工具が回転する。この回転する工具により、骨等の切削加工を行う。姿勢変更用駆動源により姿勢操作部材を進退させると、この姿勢操作部材の先端が先端部材に対して作用することにより、スピンドルガイド部の先端に先端部連結部を介して姿勢変更可能に取付けられた先端部材が姿勢変更する。姿勢変更用駆動源は、スピンドルガイド部の基端側の駆動部ハウジング内に設けられており、上記先端部材の姿勢変更は遠隔操作で行われる。姿勢操作部材はガイド孔に挿通されているため、姿勢操作部材が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材に対し適正に作用することができ、先端部材の姿勢変更動作が正確に行われる。切削加工中、何らかの異常が生じた場合、その異常を異常検出手段が検出して、工具回転制御手段が工具回転用駆動源の回転を停止させる。また、切削加工前に、異常検出手段により何らかの異常が発見された場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源を回転させない。
この発明において、前記異常検出手段として、前記先端部材の姿勢が固定状態にあるか否かを検出する固定検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記固定検出手段により前記先端部材の姿勢が固定状態でないと検出された場合に前記工具回転用駆動源を回転させない構成とするのがよい。前記固定検出手段は、例えば、前記姿勢変更用駆動源と前記姿勢操作部材との間に設けた力伝達機構の歪みを検出する歪みセンサ、および前記姿勢変更用駆動源の動作位置を検出するエンコーダのいずれか、または両方とすることができる。
先端部材に外力が作用していない状態で、先端部材を初期姿勢に姿勢変更する際に、姿勢操作部材に過剰な力が作用する場合、姿勢操作部材と先端部材との間に異物が挟まっている可能性がある。また、先端部材が初期姿勢にある状態で、姿勢操作部材を先端部材に押付けた際、姿勢操作部材が前進する場合は、姿勢操作部材の一部が欠落している可能性がある。このような場合、先端部材の姿勢を正しく固定することができないため、スピンドルを回転させるのは危険である。そこで、固定検出手段により先端部材の姿勢が固定状態にあるか否かを検出し、固定状態でない場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源を回転させないようにする。これにより、危険を回避することができる。
先端部材に外力が作用していない状態で、先端部材を初期姿勢に姿勢変更する際に、姿勢操作部材に過剰な力が作用したことは、歪みセンサの出力から推定できる。また、先端部材が初期姿勢にある状態で、姿勢操作部材を先端部材に押付けた際、所定の位置を超えて姿勢操作部材が前進したことは、エンコーダの出力から推定できる。このように、歪みセンサおよびエンコーダの出力を利用することにより、実際に先端部材の姿勢を測定しなくても、先端部材の姿勢が固定状態にあるか否かを検出することができる。
先端部材に外力が作用していない状態で、先端部材を初期姿勢に姿勢変更する際に、姿勢操作部材に過剰な力が作用したことは、歪みセンサの出力から推定できる。また、先端部材が初期姿勢にある状態で、姿勢操作部材を先端部材に押付けた際、所定の位置を超えて姿勢操作部材が前進したことは、エンコーダの出力から推定できる。このように、歪みセンサおよびエンコーダの出力を利用することにより、実際に先端部材の姿勢を測定しなくても、先端部材の姿勢が固定状態にあるか否かを検出することができる。
この発明において、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時に前記先端部材に作用する力の大きさを検出する作用力検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記作用力検出手段により検出された作用力が規定作用力よりも大きい場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる構成とするのがよい。前記作用力検出手段は、例えば、前記姿勢変更用駆動源と前記姿勢操作部材との間に設けた力伝達機構の歪みを検出する歪みセンサとすることができる。
スピンドル回転時に先端部材に過剰な力が作用すると、遠隔操作型アクチュエータの各部に変形等が生じたり破損したりする可能性である。そこで、作用力検出手段により先端部材に作用する力の大きさを検出し、この検出された作用力が規定作用力よりも大きい場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源の回転を停止させる。これにより、遠隔操作型アクチュエータの変形や破損を防げる。実際に先端部材の作用力を検出しなくても、歪みセンサで力伝達機構の歪みを検出することにより、先端部材の作用力を容易に求められる。
この発明において、前記異常検出手段として、前記スピンドルの回転数を検出する回転検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記回転検出手段により検出された回転数と規定回転数との差が所定の範囲外にある場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる構成とするのがよい。前記回転検出手段は、例えば、前記工具回転用駆動源の回転数を検出する回転センサとすることができる。
工具回転用駆動源の出力軸や、工具回転用駆動源の回転をスピンドルに伝達する回転軸を支持する軸受が故障した場合、スピンドルの回転数が異常に高くなったり低くなったりする。このような状態でスピンドルを回転させるのは危険である。そこで、回転検出手段によりスピンドルの回転数を検出し、検出された回転数と規定回転数との差が所定の範囲外にある場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源の回転を停止させる。これにより、危険を回避することができる。実際にスピンドルの回転数を検出しなくても、回転センサで工具回転用駆動源の回転数を検出することにより、スピンドルの回転数を容易に求められる。
この発明において、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時の前記スピンドルの振動の大きさを検出する振動検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記振動検出手段により検出された振動の大きさが規定大きさよりも大きい場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる構成とするのがよい。前記振動検出手段は、例えば、前記工具回転用駆動源の振動の大きさを検出する振動センサとすることができる。
先端部材の姿勢保持力の低下、工具回転用駆動源や軸受の故障、遠隔操作型アクチュエータ各部の組付け不良等があると、スピンドルが振動する。このような状態でスピンドルを回転させるのは危険である。そこで、振動検出手段によりスピンドルの振動の大きさを検出し、この検出された振動の大きさが規定大きさよりも大きい場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源の回転を停止させる。これにより、危険を回避することができる。実際にスピンドルの振動の大きさを検出しなくても、振動センサで工具回転用駆動源の振動の大きさを検出することにより、スピンドルの振動の大きさを容易に求められる。
この発明において、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時の前記スピンドルの温度を検出する温度検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が規定温度よりも高い場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる構成とするのがよい。
軸受を潤滑する潤滑剤の不足、軸受の故障等により、スピンドルの温度が上昇することがある。そのような場合、そのままスピンドルの回転を続けると、遠隔操作型アクチュエータの変形や破損を招く。そこで、温度検出手段によってスピンドルの温度を検出し、この検出された温度が規定温度よりも高い場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源の回転を停止させる。これにより、遠隔操作型アクチュエータの変形や破損を防げる。
この発明において、前記スピンドルガイド部内の前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、この軸受を潤滑する潤滑用流体を前記スピンドルガイド部内に供給する潤滑用流体供給装置とを有し、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時の前記潤滑用流体供給装置により前記スピンドルガイド部内に供給される潤滑用流体の圧力を検出する潤滑用流体圧力検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記潤滑用流体圧力検出手段により検出された潤滑用流体の圧力と規定圧力との差が所定の範囲外である場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる構成とするのがよい。
スピンドルガイド部内の回転軸を回転自在に支持する軸受を、潤滑用流体供給装置によってスピンドルガイド部内に供給される潤滑用流体で潤滑する場合、潤滑用流体が不足すると、潤滑用流体の圧力が低下し、また潤滑用流体の経路に目詰まりが生じると、潤滑用流体の圧力が上昇する。潤滑用流体の不足や経路の目詰まりがあると、軸受の潤滑が良好に行われず、軸受が損傷する可能性がある。そこで、潤滑用流体圧力検出手段によって潤滑用流体の圧力を検出し、この検出された圧力と規定圧力との差が所定の範囲外である場合は、工具回転制御手段により工具回転用駆動源の回転を停止させる。これにより、軸受の損傷を防げる。
この発明において、前記異常検出手段による異常検出時に異常項目を表示する表示機を設けるのが望ましい。
表示機に異常項目を表示するようにすれば、複数種の異常検出手段が設けられている場合でも、何が異常であるかを容易に知ることができる。
表示機に異常項目を表示するようにすれば、複数種の異常検出手段が設けられている場合でも、何が異常であるかを容易に知ることができる。
この発明の遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、前記スピンドルガイド部の基端が結合された駆動部ハウジングとを備え、前記先端部材は、工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記駆動部ハウジング内に設けられた工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記姿勢操作部材を進退させる姿勢変更用駆動源を前記駆動部ハウジング内に設け、前記スピンドル回転時または非回転時の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出した場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる工具回転制御手段とを設けたため、細長いパイプ部の先端に設けられた工具の姿勢を遠隔操作で変更することができ、異常があった場合に工具を回転停止または回転させないようにできる。
この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1において、この遠隔操作型アクチュエータは、アクチュエータ本体5と、このアクチュエータ本体5と電気ケーブル6で結ばれた制御ボックス7と、アクチュエータ本体5に潤滑用流体を供給する潤滑用流体供給装置8とでなる。
アクチュエータ本体5は、回転式の工具1を保持する先端部材2と、この先端部材2が先端に姿勢変更自在に取付けられた細長形状のスピンドルガイド部3と、このスピンドルガイド部3の基端が結合された駆動部ハウジング4aとでなる。駆動部ハウジング4aは、内蔵の工具回転用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cと共に駆動部4を構成する。
図2に示すように、先端部材2は、略円筒状のハウジング11の内部に、一対の軸受12によりスピンドル13が回転自在に支持されている。スピンドル13は、先端側が開口した筒状で、内径のスプライン部13aに工具1のシャンク1aが回転不能に嵌合し、抜け止めピン14によりシャンク1aの抜け止めがされている。この先端部材2は、先端部材連結部15を介してスピンドルガイド部3の先端に取付けられる。先端部材連結部15は、先端部材2を姿勢変更自在に支持する手段であり、球面軸受からなる。具体的には、先端部材連結部15は、ハウジング11の基端の内径縮径部からなる被案内部11aと、スピンドルガイド部3の先端に固定された抜け止め部材21の鍔状部からなる案内部21aとで構成される。両者11a,21aの互いに接する各案内面F1,F2は、先端部材2の中心線CL1上に曲率中心Oが位置し、基端側ほど径が小さい球面とされている。これにより、スピンドルガイド部3に対して先端部材2が抜け止めされるとともに、姿勢変更自在に支持される。先端部材2のハウジング11には、このハウジング11の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ16が設けられている。
スピンドルガイド部3は、駆動部ハウジング4a内の工具回転用駆動源41(図3)の回転力を前記スピンドル13へ伝達する回転軸22を有する。この例では、回転軸22はワイヤとされ、ある程度の弾性変形が可能である。ワイヤの材質としては、例えば金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤは単線であっても、撚り線であってもよい。図2(C)に示すように、スピンドル13と回転軸22とは、自在継手等の継手23を介して回転伝達可能に接続されている。継手23は、スピンドル13の閉塞した基端に設けられた溝13aと、回転軸22の先端に設けられ前記溝13aに係合する突起22aとで構成される。上記溝13aと突起22aとの連結箇所の中心は、前記案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置である。回転軸22と突起22aは別部材として構成しても良い。
スピンドルガイド部3は、このスピンドルガイド部3の外郭となる外郭パイプ25を有し、この外郭パイプ25の中心に前記回転軸22が位置する。回転軸22は、それぞれ軸方向に離れて配置された複数の転がり軸受26によって回転自在に支持されている。各転がり軸受26間には、これら転がり軸受26に予圧を発生させるためのばね要素27A,27Bが設けられている。ばね要素27A,27Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受26の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素27Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素27Bとがあり、これらが交互に配置されている。前記抜け止め部材21は、固定ピン28により外郭パイプ25のパイプエンド部25aに固定され、その先端内周部で転がり軸受29を介して回転軸22の先端部を回転自在に支持している。パイプエンド部25aは、外郭パイプ25と別部材とし、溶接等により結合してもよい。
外郭パイプ25の内径面と回転軸22の間には、互いに120度の位相にある周方向位置に、両端に貫通する3本のガイドパイプ30がそれぞれ設けられている。そして、各ガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に、力伝達部材である複数のボール31aと両端の柱状ピン31bとでなる姿勢操作部材31(31U,31L,31R)が進退自在に挿通されている。ボール31aおよび柱状ピン31bは、ガイド孔30aの長さ方向に沿って一列に配列されて隙間無く並んでいる。先端部材2側の柱状ピン31bの先端は球面状で、その球面状の先端が、ハウジング11の基端面に形成された径方向の溝部11bの底面に当接している。溝部11bおよび柱状ピン31bは回転防止機構37を構成し、溝部11bに挿入された柱状ピン31bの先端部が溝部11bの側面に当たることで、先端部材2がスピンドルガイド部3に対して先端部材2の中心線CL1回りに回転するのを防止している。駆動部ハウジング4a側の柱状ピン31bの先端も球面状で、後記レバー43bの側面に当接している。
また、外郭パイプ25の内径面と回転軸22の間には、前記ガイドパイプ30とは別に、このガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に、複数本の補強シャフト34が配置されている。これらの補強シャフト34は、スピンドルガイド部3の剛性を確保するためのものである。ガイドパイプ30と補強シャフト34の配列間隔は等間隔とされている。ガイドパイプ30および補強シャフト34は、外郭パイプ25の内径面におよび前記転がり軸受26の外径面に接している。これにより、転がり軸受26の外径面を支持している。
図3および図4に示すように、工具回転用駆動機構4bは、工具回転用駆動源41を備える。工具回転用駆動源41は、例えば電動モータであり、その出力軸41aが前記回転軸22の基端に結合させてある。回転軸22は、後記レバー43bに形成された開口44を貫通している。工具回転用駆動源41の回転数は、回転センサ45により検出される。この回転センサ45は、スピンドル13の回転数を検出する回転検出手段である。また、工具回転用駆動源41には、この工具回転用駆動源41の振動の大きさを検出する振動センサ46が取付けられている。この振動センサ46は、スピンドル13の振動の大きさを検出する振動検出手段である。
姿勢変更用駆動機構4cは、各姿勢操作部材31(31U,31L,31R)にそれぞれ対応する3個の姿勢変更用駆動源42(42U,42L,42R)を備える。姿勢変更用駆動源42は、例えば電動リニアアクチュエータであり、図3の左右方向に移動する出力ロッド42aの動きが、姿勢変更用駆動源41と姿勢操作部材31との間に設けた力伝達機構43を介して前記姿勢操作部材31に伝達される。出力ロッド42aの進退位置、すなわち姿勢変更用駆動源42の動作位置が、エンコーダ47(47U,47L,47R)により検出される。これらエンコーダ47は、先端部材2の姿勢が固定状態にあるか否かを検出する固定検出手段である。
前記力伝達機構43は、支軸43a回りに回動自在なレバー43bを有し、このレバー43bにおける支軸43aからの距離が長い作用点P1に出力ロッド42aの力が作用し、支軸43aからの距離が短い力点P2で姿勢操作部材31に力を与える構成であり、姿勢変更用駆動源42の出力が増力して姿勢操作部材31に伝達される。レバー43bの中間部には肉厚の薄い起歪部43baが設けられ、この起歪部43baの両側に起歪部43baに発生する歪みを検出する歪みセンサ48(48U,48L,48R)が取付けられている。これら歪みセンサ48は、先端部材2の姿勢が固定状態にあるか否かを検出する固定検出手段であり、かつ先端部材2に作用する力の大きさを検出する作用力検出手段である。
図1および図5に示すように、駆動部ハウジング4aの左右両側面には、左右一対の把手50L,50Rが取付けられている。そして、左側の把手50Lの先端には、スピンドル13を回転および回転停止させる回転オン・オフ操作具51が設けられている。回転オン・オフ操作具51は、例えば押しボタン式スイッチである。また、右側の把手50Rの先端には、先端部材2の姿勢を変更させる姿勢変更操作具53が設けられている。姿勢変更操作具53は、例えば、十字に配された4つの操作部を有する十字スイッチであり、各操作部がそれぞれ、先端部材2を上向きに傾動させる上傾動操作部53a、下向きに傾動させる下傾動操作部53b、左向きに傾動させる左傾動操作部53c、および右向きに傾動させる右傾動操作部53dになっている。図5に二点鎖線で示すように、両手で把手50L,50Rをつかんでアクチュエータ本体5を保持する。この状態において、左手で回転オン・オフ操作具51を操作し、右手で姿勢変更操作具53を操作することができる。
制御ボックス7には、各種制御を行うコンピュータ70(図6)が内蔵されている。各種制御については後で説明する。制御ボックス7の外正面には、図1に示すように、液晶表示式等の表示機61、表示ランプ62、および初期姿勢操作具63が設けられている。初期姿勢操作具63は、例えば押しボタン式スイッチである。
潤滑用流体供給装置8は、配管81を介して、スピンドルガイド部3の基端付近に接続されている。潤滑用流体供給装置8から供給される潤滑用流体は、スピンドルガイド部3および先端部材2の内部を通り、先端部材2の先端から工具1に向けて吐出される。この間、スピンドルガイド部3の転がり軸受26および先端部材2の転がり軸受29を潤滑する。また、工具1に向けて吐出された潤滑用流体により、工具1および被切削箇所を冷却する。配管81の途中には、この配管81内を通る潤滑用流体の圧力を検出する圧力センサ82が設けられている。この圧力センサ82は、スピンドルガイド部3内に供給される潤滑用流体の圧力を検出する潤滑用流体圧力検出手段である。
図6に示すように、制御ボックス7のコンピュータ70は、工具回転用駆動源41を制御する工具回転制御手段71、および姿勢変更用駆動源42(42U,42L,42R)を制御する姿勢変更制御手段72を備える。
姿勢変更制御手段72は、姿勢変更制御部72aと初期姿勢制御部72bとでなる。
姿勢変更制御部72aは、姿勢変更操作具53の入力操作による動作指令信号に応じてモータドライバ74に出力し、姿勢変更用駆動源42(42U,42L,42R)を駆動する。例えば、姿勢変更用駆動源42の駆動量は、姿勢変更操作具53の操作時間に比例する。操作部53a,53b,53c,53dのうちどれが操作されたかで、姿勢変更用駆動源42U,42L,42R毎に出力方向と出力の大きさとを変えることにより、先端部材2の姿勢を変更する。
姿勢変更制御部72aは、姿勢変更操作具53の入力操作による動作指令信号に応じてモータドライバ74に出力し、姿勢変更用駆動源42(42U,42L,42R)を駆動する。例えば、姿勢変更用駆動源42の駆動量は、姿勢変更操作具53の操作時間に比例する。操作部53a,53b,53c,53dのうちどれが操作されたかで、姿勢変更用駆動源42U,42L,42R毎に出力方向と出力の大きさとを変えることにより、先端部材2の姿勢を変更する。
例えば、操作部53aを入力操作した場合、各姿勢変更用駆動源42U,42L,42Rに出力して、図2における上側の1つの姿勢操作部材31Uを先端側へ進出させ、かつ他の2つの姿勢操作部材31L,31Rを後退させる。すると、上側の姿勢操作部材31Uによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図2(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。操作部53bを入力操作した場合、各姿勢操作部材31が上記と逆に進退し、左右の姿勢操作部材31L,31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図2(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
また、操作部53cを入力操作した場合、左右の各姿勢変更用駆動源42L,42Rに出力して、右側の姿勢操作部材31Rを先端側へ進出させ、かつ左側の姿勢操作部材31Lを後退させる。すると、右側の姿勢操作部材31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は左向き、すなわち図2(A)において紙面の表側向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。操作部53dを入力操作した場合、姿勢操作部材31L,31Rが上記と逆に進退し、左の姿勢操作部材31Lによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は右向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
姿勢操作部材31が円周方向の3箇所に設けられているため、上記のように、先端部材2を上下左右の2軸方向に姿勢変更することができる。先端部材連結部15には、3つの姿勢操作部材31の圧力、および抜け止め部材21からの反力が作用しており、これらの作用力の釣り合いにより先端部材2の姿勢が決定される。3つの姿勢操作部材31で先端部材2のハウジング11に加圧されるため、先端部材2の姿勢安定性が高い。
初期姿勢制御部72bは、前記初期姿勢操作具63から出される動作指令信号により、先端部材2を所定の初期姿勢にさせる制御を行う。例えば、遠隔操作型アクチュエータに電源を投入した直後や、工具1交換後の初動操作時には、図7(A)に示すように、先端部材2のハウジング11の基端面と、姿勢操作部材31の柱状ピン31bとの間に隙間Sが生じている可能性があるため、一度先端部材2を初期姿勢に戻して、前記隙間Sを無くす必要があるのである。初期姿勢は、例えば図7(B)に示すように、先端部材2の中心線CL1とスピンドルガイド部3の中心線CL2とが一致する姿勢である。この初期姿勢における各姿勢変更用駆動源42の動作位置は、記憶手段76に記憶させてある。なお、図7(A),(B),(C)は、図2(B)のXII−CL2−XII断面に相当する断面を簡略化して表してある。
初期姿勢制御は、具体的には図8のフローチャートに示す順序で行う。初期姿勢操作具63が操作されて初期姿勢位置への動作指令を受けると(S1)、各姿勢変更用駆動源42を後退させる(S2)。各姿勢変更用駆動源42の動作位置は、前記エンコーダ47で検出する。全姿勢変更用駆動源42が進退範囲の最後端まで後退すると(S3)、今度は各姿勢変更用駆動源42を前進させる(S4)。各姿勢変更用駆動源42の初期位置への移動が完了したなら(S5)、各姿勢変更用駆動源42の前進を停止させて、初期姿勢位置移動を完了する(S6)。各姿勢変更用駆動源42が初期姿勢位置へ移動したことは、エンコーダ47の出力が示す実際の各姿勢変更用駆動源42の動作位置が、記憶手段76に記憶されている初期姿勢における各姿勢変更用駆動源42の動作位置と一致したことで確認する。この初期姿勢制御の進行具合は、前記表示ランプ62に段階的に表示される。
工具回転制御手段71は、工具回転制御部71aと異常停止制御部71bとでなる。
工具回転制御部71aは、前記回転オン・オフ操作具51からの回転指令信号に応じてモータドライバ73に出力し、工具回転用駆動源41をオン・オフする。これにより、スピンドル13が回転および回転停止させられる。例えば、回転オン・オフ操作具51を1回押すとスピンドル13が回転し、再度押すとスピンドル13の回転が停止する。
工具回転制御部71aは、前記回転オン・オフ操作具51からの回転指令信号に応じてモータドライバ73に出力し、工具回転用駆動源41をオン・オフする。これにより、スピンドル13が回転および回転停止させられる。例えば、回転オン・オフ操作具51を1回押すとスピンドル13が回転し、再度押すとスピンドル13の回転が停止する。
異常停止制御部71bは、下記の異常検出手段によりスピンドル回転時または非回転時の異常が検出された場合に工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御を行う。異常検出手段は、固定検出手段および作用力検出手段である歪みセンサ48(48U,48L,48R)、固定検出手段であるエンコーダ47(47U,47L,47R)、回転検出手段である回転センサ45、振動検出手段である振動センサ46、温度検出手段である温度センサ16、および潤滑用流体圧力検出手段である圧力センサ82である。異常停止制御には、以下の各制御がある。
第1の異常停止制御は、歪みセンサ48(48U,48L,48R)およびエンコーダ47(47U,47L,47R)の出力から先端部材2の姿勢が固定状態にあるか否かを検出して、固定状態でない場合に、工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御である。実際に先端部材2の姿勢を測定しなくても、歪みセンサ48およびエンコーダ47の出力から先端部材2の姿勢が固定状態にあるか否かを知ることができる。なお、この制御は、前記初期姿勢制御と同時に行っても、別に行ってもよい。
具体的には、図9のフローチャートに示す順で制御を行う。先端部材2のある姿勢において、3つのエンコーダ47が所定の位置であることを確認し(S1)、その際に歪みセンサ48の検出値を判定する(S2)。検出値が所定値範囲を超えたなら、異常有りとして、工具回転用駆動源41の回転を停止させる(S3)。歪みセンサ48の検出値が所定値より大きいときは、姿勢操作部材31に過剰な力が作用していることを意味する。例えば、図7(C)に示すように、姿勢操作部材31と先端部材2との間に異物49が挟まっている可能性がある。また、所定値より小さいときは、図7(A)に示すように、先端部材2のハウジング11の基端面と、姿勢操作部材31の柱状ピン31bとの間に隙間Sが生じている可能性がある。これらの状態では、姿勢操作部材31により先端部材2の姿勢を正しく固定することができないため、スピンドル13を回転させるのは危険である。そこで、工具回転用駆動源41の回転を停止させるのである。これにより、危険を回避することができる。
先端部材2のある姿勢において、3つのエンコーダ47が所定の位置であることを確認し、かつ歪みセンサ48の検出値が所定の範囲内にあれば、先端部材2の姿勢が固定状態にあることが確認されたことになり(S4)、制御を終了する。
第2の異常停止制御は、歪みセンサ48(48U,48L,48R)の出力からスピンドル回転時に先端部材2に作用する力の大きさを検出し、検出された作用力が規定作用力よりも大きい場合に工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御である。実際に先端部材2の作用力を検出しなくても、歪みセンサ48の出力から先端部材2の作用力を求められる。先端部材2に過剰な力が作用すると、遠隔操作型アクチュエータの各部に変形等が生じたり破損したりする可能性である。そこで、工具回転用駆動源41の回転を停止させることで、遠隔操作型アクチュエータの変形や破損を防ぐのである。
第3の異常停止制御は、回転数センサ45の出力からスピンドル13の回転数を検出し、検出された回転数と規定回転数との差が所定の範囲外にある場合に工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御である。実際にスピンドル13の回転数を検出しなくても、工具回転用駆動源41の回転数を検出する回転数センサ45の出力からスピンドル13の回転数を求められる。工具回転用駆動源41の出力軸41aや、回転軸22を支持する軸受12,26,29が故障した場合、スピンドル13の回転数が異常に高くなったり低くなったりする。このような状態でスピンドル13を回転させるのは危険である。そこで、スピンドル13の回転数が異常である場合、工具回転用駆動源41の回転を停止させることで、危険を回避するのである。
第4の異常停止制御は、振動センサ46の出力からスピンドル13の振動の大きさを検出し、検出された振動の大きさが規定の大きさよりも大きい場合に工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御である。実際にスピンドル13の振動の大きさを検出しなくても、工具回転用駆動源41の振動の大きさを検出する振動センサ46の出力からスピンドル13の振動の大きさを求められる。先端部材2の姿勢保持力の低下、工具回転用駆動源41や軸受26,29の故障、遠隔操作型アクチュエータ各部の組付け不良等があると、スピンドル13が振動する。このような状態でスピンドル13を回転させるのは危険である。そこで、スピンドル13の振動が異常に大きい場合、工具回転用駆動源41の回転を停止させることで、危険を回避するのである。
第5の異常停止制御は、温度センサ16の出力からスピンドル13の温度を検出し、検出された温度が規定温度よりも高い場合に工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御である。軸受12,26,29を潤滑する潤滑剤の不足、軸受12,26,29の故障等により、スピンドル13の温度が上昇することがある。そのような場合、そのままスピンドル13の回転を続けると、遠隔操作型アクチュエータの変形や破損を招く。そこで、スピンドル13が異常な高温となった場合、工具回転用駆動源41の回転を停止させることで、遠隔操作型アクチュエータの変形や破損を防ぐのである。
第6の異常停止制御は、圧力センサ82の出力からスピンドルガイド部3内に供給される潤滑用流体の圧力を検出し、検出された潤滑用流体の圧力と規定圧力との差が所定の範囲外である場合に工具回転用駆動源41の回転を停止させる制御である。潤滑用流体が不足したり潤滑用流体の経路が目詰まりしたりすると、軸受12,26,29の潤滑が良好に行われず、軸受12,26,29が損傷する可能性がある。そこで、潤滑用流体が不足して潤滑用流体の圧力が異常に低下した場合、および潤滑用流体の流れる経路に目詰まりが生じて潤滑用流体の圧力が異常に上昇した場合、工具回転用駆動源41の回転を停止させることで、軸受12,26,29の損傷を防ぐのである。
上記各異常停止制御において、異常検出手段により異常が検出された時、その異常項目が表示機61に表示される。このため、この実施形態のように複数種の異常検出手段が設けられている場合でも、何が異常であるかを容易に知ることができ、適切で迅速な対処を行える。
この遠隔操作型アクチュエータは、先に説明したように、左右の把手50L,50Rを両手でつかんでアクチュエータ本体5を保持する。そして、回転オン・オフ操作具51の操作により、スピンドル13を回転させて、工具1により骨等の切削を行う。加工中は、加工箇所の形状や加工の進行に応じて、姿勢変更操作具53を操作することで、先端部材2の姿勢を遠隔操作で2軸方向に変更させる。回転オン・オフ操作具51および姿勢変更操作具53は、左右の把手50L,50Rをつかんだまま手元操作できるので、操作者本人の感覚で操作を行え、作業がやり易い。
切削加工中、何らかの異常が生じた場合、その異常を異常検出手段16,45,46,48が検出して、工具回転制御手段71が工具回転用駆動源41の回転を停止させる。また、切削加工前に、異常検出手段47,48により何らかの異常が発見されれば、工具回転制御手段71により工具回転用駆動源41を回転させないようにする。このため、安全である。
先端部材2がスピンドルガイド部3に対して先端部材2の中心線CL1回りに回転するのを防止する回転防止機構37が設けられているため、姿勢変更用駆動機構4cや姿勢制御手段72の故障等により工具1を保持する先端部材2が制御不能となった場合でも、先端部材2が中心線CL1回りに回転して加工箇所の周りを傷つけたり、先端部材2自体が破損したりすることを防止できる。
姿勢操作部材31はガイド孔30aに挿通されているため、姿勢操作部材31が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材2に対し適正に作用することができ、先端部材2の姿勢変更動作が正確に行われる。また、姿勢操作部材31は、複数のボール31aおよび柱状ピン31bからなり、全体で可撓性の性質を有するため、スピンドルガイド部3が湾曲した状態でも先端部材2の姿勢変更動作が確実に行われる。さらに、スピンドル13と回転軸22との連結箇所の中心が案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置であるため、先端部材2の姿勢変更によって回転軸22に対して押し引きする力がかからず、先端部材2が円滑に姿勢変更できる。
この遠隔操作型アクチュエータは、例えば人工関節置換手術において骨の髄腔部を削るのに使用されるものであり、施術時には、先端部材2の全部または一部が患者の体内に挿入して使用される。このため、上記のように先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更できれば、常に工具1を適正な姿勢に保持した状態で骨の加工をすることができ、人工関節挿入用穴を精度良く仕上げることができる。
細長形状であるスピンドルガイド部3には、回転軸22および姿勢操作部材31を保護状態で設ける必要があるが、外郭パイプ25の中心部に回転軸22を設け、外郭パイプ25と回転軸22との間に、姿勢操作部材31を収容したガイドパイプ30と補強シャフト34とを円周方向に並べて配置した構成としたことにより、回転軸22および姿勢操作部材31を保護し、かつ内部を中空して軽量化を図りつつ剛性を確保できる。また、全体のバランスも良い。
回転軸22を支持する転がり軸受26の外径面を、ガイドパイプ30と補強シャフト34とで支持させたため、余分な部材を用いずに転がり軸受26の外径面を支持できる。また、ばね要素27A,27Bにより転がり軸受26に予圧がかけられているため、ワイヤからなる回転軸22を高速回転させることができる。そのため、スピンドル13を高速回転させて加工することができ、加工の仕上がりが良く、工具1に作用する切削抵抗を低減させられる。ばね要素27A,27Bは隣合う転がり軸受26間に設けられているので、スピンドルガイド部3の径を大きくせずにばね要素27A,27Bを設けることができる。
上記各実施形態はスピンドルガイド部3が直線形状であるが、この発明の遠隔操作型アクチュエータは、姿勢操作部材31が可撓性であり、スピンドルガイド部3が湾曲した状態でも先端部材2の姿勢変更動作が確実に行われるので、スピンドルガイド部3を初期状態で湾曲形状としてもよい。あるいは、スピンドルガイド部3の一部分のみを湾曲形状としてもよい。スピンドルガイド部3が湾曲形状であれば、直線形状では届きにくい骨の奥まで先端部材2を挿入することが可能となる場合があり、人工関節置換手術における人工関節挿入用穴の加工を精度良く仕上げることが可能になる。
1…工具
2…先端部材
3…スピンドルガイド部
4a…駆動部ハウジング
5…アクチュエータ本体
7…制御ボックス
13…スピンドル
15…先端部材連結部
16…温度センサ(温度検出手段)
22…回転軸
25…外郭パイプ
30…ガイドパイプ
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
41…工具回転用駆動源
42…姿勢変更用駆動源
43…力伝達機構
45…回転数センサ(回転検出手段)
46…振動センサ(振動検出手段)
47…エンコーダ(固定検出手段)
48…歪みセンサ(固定検出手段、作用力検出手段)
51…回転オン・オフ操作具
53…姿勢変更操作具
61…表示機
63…初期姿勢操作具
70…コンピュータ
71…工具回転制御手段
72…姿勢変更制御手段
2…先端部材
3…スピンドルガイド部
4a…駆動部ハウジング
5…アクチュエータ本体
7…制御ボックス
13…スピンドル
15…先端部材連結部
16…温度センサ(温度検出手段)
22…回転軸
25…外郭パイプ
30…ガイドパイプ
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
41…工具回転用駆動源
42…姿勢変更用駆動源
43…力伝達機構
45…回転数センサ(回転検出手段)
46…振動センサ(振動検出手段)
47…エンコーダ(固定検出手段)
48…歪みセンサ(固定検出手段、作用力検出手段)
51…回転オン・オフ操作具
53…姿勢変更操作具
61…表示機
63…初期姿勢操作具
70…コンピュータ
71…工具回転制御手段
72…姿勢変更制御手段
Claims (13)
- 細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、前記スピンドルガイド部の基端が結合された駆動部ハウジングとを備え、
前記先端部材は、工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記駆動部ハウジング内に設けられた工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記姿勢操作部材を進退させる姿勢変更用駆動源を前記駆動部ハウジング内に設け、
前記スピンドル回転時または非回転時の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出した場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる工具回転制御手段とを設けたことを特徴とする遠隔操作型アクチュエータ。 - 請求項1において、前記異常検出手段として、前記先端部材の姿勢が固定状態にあるか否かを検出する固定検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記固定検出手段により前記先端部材の姿勢が固定状態でないと検出された場合に前記工具回転用駆動源を回転させない遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項2において、前記固定検出手段が、前記姿勢変更用駆動源と前記姿勢操作部材との間に設けた力伝達機構の歪みを検出する歪みセンサである遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項2において、前記固定検出手段が、前記姿勢変更用駆動源の動作位置を検出するエンコーダである遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時に前記先端部材に作用する力の大きさを検出する作用力検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記作用力検出手段により検出された作用力が規定作用力よりも大きい場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項5において、前記作用力検出手段が、前記姿勢変更用駆動源と前記姿勢操作部材との間に設けた力伝達機構の歪みを検出する歪みセンサである遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記異常検出手段として、前記スピンドルの回転数を検出する回転検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記回転検出手段により検出された回転数と規定回転数との差が所定の範囲外にある場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項7において、前記回転検出手段が、前記工具回転用駆動源の回転数を検出する回転センサである遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時に前記スピンドルの振動の大きさを検出する振動検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記振動検出手段により検出された振動の大きさが規定の大きさよりも大きい場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項9において、前記振動検出手段が、前記工具回転用駆動源の振動の大きさを検出する振動センサである遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時に前記スピンドルの温度を検出する温度検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が規定温度よりも高い場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記スピンドルガイド部内の前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、この軸受を潤滑する潤滑用流体を前記スピンドルガイド部内に供給する潤滑用流体供給装置とを有し、前記異常検出手段として、前記スピンドル回転時に前記潤滑用流体供給装置により前記スピンドルガイド部内に供給される潤滑用流体の圧力を検出する潤滑用流体圧力検出手段を有し、前記工具回転制御手段は、前記潤滑用流体圧力検出手段により検出された潤滑用流体の圧力と規定圧力との差が所定の範囲外である場合に前記工具回転用駆動源の回転を停止させる遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記異常検出手段による異常検出時に異常項目を表示する表示機を設けた遠隔操作型アクチュエータ。
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