発明の要約
本発明は本明細書に開示するように、3DGが皮膚に存在するという驚くべき知見に基づく。本発明はさらに皮膚に特異的なキナーゼがフルクトース−リシンをフルクトース−リシン−3−ホスフェート(FL3P)にATP依存的反応で転換し、そのFL3Pが分解して3DG、無機ホスフェートおよび遊離リシンを形成する代謝経路が存在するという知見に基づく。したがって本発明は、皮膚で酵素的に誘導された3DG合成分解および蓄積を阻害するための組成物および方法;3DG機能を阻害するか、または3DGを皮膚から除去するための組成物および方法;ならびに本明細書に記載する代謝経路および組成物および方法に基づき、ならびに3DGおよびその生産を媒介する酵素的経路が皮膚に存在するという驚くべき知見に基づき、3DGの解毒および皮膚からの除去速度を増す組成物および方法を包含する。
発明の詳細な説明
本発明は一般に3DGおよびその生産のための経路(1つまたは複数)が皮膚に存在するという新規知見に関する。さらに3DGレベルは非糖尿病の皮膚よりも糖尿病の皮膚で多く、ならびに非強皮症患者よりも強皮症患者の皮膚で多い。したがって本発明は皮膚における3DGの生産または機能を阻害する方法、および皮膚から3DGを除去する方法を包含する。過剰な3DGは糖尿病および他の疾患の病原に関与することが示されたが、本発明まで皮膚における3DGの存在または不存在は決定されなかった。正常な皮膚機能および皮膚疾患における3DGの役割も調査されなかった。本明細書に記載するデータは初めて3DGがヒトの皮膚に存在し、そして3DGの合成を調節する酵素をコードする遺伝子が皮膚で発現することを証明する。さらに3DGのレベルは強皮症患者の皮膚で多いことが見いだされた。本発明はさらに3DGが架橋化、および皮膚の皺、老化、疾患および障害に関連する他の問題を生じることを阻止できる化合物を開示する。
定義
特に限定しない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は本発明が属する分野の当業者が普通に理解している意味と同じ意味を有する。本明細書に記載するものに類似の、または均等な任意の方法および材料を本発明の実施および試験に使用することができるが、好適な方法および材料を本明細書では記載する。
本明細書で使用する以下の各用語は、この章でのその意味を有する。
本明細書で使用する冠詞「a」および「an」は、1以上(すなわち少なくとも1つ)の物体の文法的対象を指す。例えば「要素(an element)」は、1つの要素または1より多くの要素を意味する。
本明細書で使用する用語「3DGの蓄積」または「アルファ−ジカルボニル糖の蓄積」とは、経時的な3DGおよび/またはアルファ−ジカルボニル糖レベルの検出可能な増加を指す。
本明細書で使用する「アルファ−ジカルボニル糖」とは3−デオキシグルコソン、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含む化合物のファミリーを指す。
「アルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚の皺、老化、疾患または障害のパラメーター」とは、3DGレベル、3DFレベル、フルクトサミンキナーゼレベル、タンパク質の架橋化およびアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚の皺、老化、疾患または障害の他のマーカーまたはパラメーターを含む本発明に記載する生物学的マーカーを指す。
本明細書で使用する「3−デオキシグルコソン」または「3DG」は、1,2−ジカルボニル−3−デオキシ糖(3−デオキシヘキュロソン(deoxyhexulosone)としても知られている)を指し、これは酵素的経路を介して形成することができ、または非酵素的経路を介して形成することができる。本記載の目的には、用語3−デオキシグルコソンは、図1に記載する非酵素的経路、および図2に記載するFL3Pの分解を生じる酵素的経路を含む経路を介して形成することができるアルファ−ジカルボニル糖である。3DGの別の供給源は食物である。3DGはアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの一員であり、2−オキソアルデヒドとしても知られている。
本明細書で使用する「3DG関連(3DG associated)」または「3DG関連(3DG related)」疾患または障害とは、3DGにより引き起こされる、示される、または付随する疾患、状態または障害を指し、強化された3DGの合成、生産、形成および蓄積に関する欠損、ならびに減少したレベルの3DGの分解、解毒、結合およびクリアランスにより引き起こされ、媒介され、または付随する疾患、状態または障害を含む。
化合物の「3DG阻害量」または「アルファ−ジカルボニル阻害量」とは、3DGまたは別のアルファ−ジカルボニル糖の合成、形成、蓄積および/または機能のような目的の機能またはプロセスを阻害するために十分な化合物の量を指す。
「3−O−メチルソルビトールリシン(3−O−Me−ソルビトールリシン)」は、本明細書に記載するフルクトサミンキナーゼのインヒビターである。これは用語「DYN12と互換的に使用する。
本明細書で使用する「疾患または障害の症状を緩和する」とは、症状の重篤度を下げることを意味する。
本明細書で使用する用語「AGE−タンパク質」(後期糖化反応生成物で修飾されたタンパク質)は、糖とタンパク質との間の反応の生成物を指す(Brownlee,1992,Diabetes Care,15:1835;Niwa et al.,1995,Nephron,69:438)。例えばタンパク質のリシン残基とグルコースとの間の反応、これはフルクトース−リシン(FL)の形成で止まらない。FLは多数の脱水を受け、そして転位反応により非酵素的な3DGを生成し、これは遊離アミノ基と再び反応して関与するタンパク質の架橋化および褐変を導く。AGEsは限定するわけではないが図16に示すような3DGと他の化合物との反応から形成される生成物も含む。
本明細書で使用する「アマドラーゼ」は、3−DG生産の原因であるフルクトサミンキナーゼを指す。さらに具体的にはこれは、高エネルギーホスフェート源がさらに供給された時、上で定義したFLをFL3Pに酵素的に転換することができるタンパク質を称する。
本明細書で使用する用語「アマドリ生成物(Amadori products)」は、限定するわけではないがフルクトースリシンのようなケトアミンを指し、グルコースとリシン含有タンパク質のε−NH2基との相互作用後の転位生成物である。
本明細書で使用する「アミノ酸」は以下の表に示すように、それらの完全名により、それらに対する3文字暗号により、またはそれらに対する1文字暗号により表される:
用語「結合する」は、限定するわけではないが酵素対基質、リガンド対レセプター、抗体対抗原、タンパク質のDNA結合ドメイン対DNA、およびDNAまたはRNA鎖対相補鎖のような分子の互いの付着を指す。
本明細書で使用する「結合パートナー」とは、別の分子へ結合することができる分子を指す。
本明細書で使用する用語「生物学的サンプル」は、皮膚、毛髪、組織、血液、血漿、細胞、汗および尿を含む生きている器官から得られるサンプルを指す。
本明細書で使用する用語「クリアランス」は、拡散、剥離、血流による除去、および尿中への排出により、または他の汗もしくは他の流体を介するような化合物または分子の除去の生理学的プロセスを指す。
遺伝子の「コード領域」は、遺伝子の転写により生成されるmRNA分子のコード領域にそれぞれ相同的もしくは相補的な遺伝子のコード領域のヌクレオチド残基および非コード領域のヌクレオチドからなる。
本明細書で使用する「相補的」とは、2つの核酸間、例えば2つのDNA分子の間のサブユニット配列の相補性の広い概念を指す。両分子中のヌクレオチド位が、通常は互いに塩基対合できるヌクレオチドにより占められている時、核酸はその位置で互いに相補的であると考えられる。すなわち2つの核酸は、各分子において対応する位置の実質的数(少なくとも50%)が、通常、互いに塩基対合できるヌクレオチド(例えばA:TおよびG:Cヌクレオチド対)により占有されている時、互いに相補的である。このように第1核酸領域のアデニン残基は、第1領域に逆平行である第2核酸領域の残基と、この残基がチミンまたはウラシルならば特異的な水素結合(「塩基対」)を形成することができることが知られている。同様に第1核酸鎖のシトシン残基は、第1鎖に逆平行である第2核酸鎖の残基と、この残基がグアニンならば塩基対を形成することができることが知られている。2つの領域が逆平行の様式で並べられた時、第1領域の少なくとも1つのヌクレオチド塩基が第2領域の残基と塩基対合できる場合、核酸の第1領域は、同じかまたは異なる核酸の第2領域に相補的である。好ましくは第1領域は第1部分を含んでなり、そして第2領域は第2部分を含んでなり、これにより第1および第2部分が逆平行の様式で並べられた時、少なくとも約50%、そして好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の第1部分のヌクレオチド残基が、第2部分のヌクレオチド残基と塩基対合することができる。より好ましくは第1部分のすべてのヌクレオチド残基が、第2部分のヌクレオチドと塩基対合することができる。
本明細書で使用する「化合物」は、通常は薬剤または薬剤としての使用の候補物質と考えられる任意の種類の物質または作用物質(agent)、ならびに上記の組み合わせおよび混合物、化合物の修飾された変更体または誘導体を指す。
本明細書で使用する用語「保存的変異」または「保存的置換」とは、別の生物学的に類似する残基によるアミノ酸残基の置き換えを指す。保存的変異または置換は、ペプチド鎖の形状を有意に変えないと思われる。保存的変異または置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはアラニンのような疎水性残基の別の残基への置き換え、またはアルギニンからリシンへの、グルタミン酸へアスパラギン酸からの、またはグルタミンからアスパラギンへのような1つの荷電したアミノ酸の別のアミノ酸への置換を含む。
3DGの「解毒」とは、3DGのその正常な機能を行うことができない形態への分解または転換を指す。解毒は「薬理学的解毒」、または3DGの解毒を引き起こすことができる代謝経路を含む任意の組成物または方法によりもたらされるか、または刺激することができる。
3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖の「薬理学的解毒」とは、化合物が3DGに結合または修飾し、次いでこれを不活性となるようにするか、または限定するわけではないが排出のような代謝的経路により除去されるプロセスを指す。
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、そして疾患が緩和されなければ、動物の健康が悪化し続ける、動物の健康状態を指す。本明細書で使用するように、正常な加齢は疾患として含む。
動物の「障害」は、動物が恒常性を維持することができるが、動物の健康状態は障害が無い場合よりも順調ではない、動物の健康状態を指す。未処置のままで、障害は動物の健康状態にさらなる低下を必ずしも引き起こさない。
本明細書で使用する用語「ドメイン」は、限定するわけではないが疎水性、極性、球状および螺旋状ドメインのような共通する物理化学的特徴、またはリガンド結合、シグナル伝達、細胞透過等のような特性を共有する分子または構造の部分を指す。結合ドメインの具体例は、限定するわけではないが、DNA結合ドメインおよびATP結合ドメインを含む。
化合物の「有効量」または「治療に有効な量」は、化合物が投与される個体に有益な効果を提供するか、または化粧料として治療的効果を提供する外観を与えるために十分な化合物の量である。
本明細書で使用する用語「エフェクタードメイン」は、生物学的経路を調節することができる細胞質中のエフェクター分子、化学物質または構造と直接相互作用することができるドメインを指す。
「コードする」とは、定めたヌクレオチド配列(すなわちrRNA、tRNAおよびmRNA)または定めたアミノ酸配列のいずれか、およびそれらから生じる生物学的特性を有する、生物学的プロセスにおける他のポリマーまたは高分子の合成に鋳型として役立つための遺伝子、cDNAまたはmRNAのようなポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特別な配列の固有な特性を指す。すなわち遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的系でタンパク質を生産する場合、そのタンパク質をコードする。コード鎖(そのヌクレオチド配列はmRNA配列と同一であり、そして通常は配列表に提供されている)、および非コード鎖(遺伝子またはcDNAの転写の鋳型として使用される)の両方が、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると言うことができる。外に特定しない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重変異体であり、そして同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列はイントロンを含むことができる。
本明細書で使用する用語「自由な(floating)」とは、置換基が環構造上に任意の利用可能な炭素連結で結合することができるような環構造への置換基の結合を指す。「固定」結合とは、置換基が特定の部位で結合することを意味する。
「3DGの形成」は、合成経路を介して必ずしも形成される必要はないが、自然な、または誘導された前駆体の分解のような経路を介して形成することができる3DGを指す。
本明細書で使用するタンパク質またはペプチドに適用する用語「断片」は、通常、少なくとも約3〜15アミノ酸長、少なくとも約15〜25アミノ酸、少なくとも約25〜50アミノ酸長、少なくとも約50〜75アミノ酸長、少なくとも約75〜100アミノ酸長、そして100アミノ酸長よりも大きくなることができる。
核酸に適用する本明細書で使用する用語「断片」は、通常、少なくとも約20ヌクレオチド長、典型的には少なくとも約50ヌクレオチド長、さらに典型的には約50ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約100〜約200ヌクレオチド、一層好ましくは少なくとも約200〜約300ヌクレオチド、より一層好ましくは少なくとも約300〜約350ヌクレオチド、さらにより一層好ましくは少なくとも約350〜約500ヌクレオチド、さらにより一層好ましくは少なくとも約500〜約600ヌクレオチド、さらにより一層好ましくは少なくとも約600ヌクレオチド〜約620ヌクレオチド、さらにより一層好ましくは少なくとも約620〜約650、そして最も好ましくは核酸断片は約650ヌクレオチド長より大きくなるだろう。
本明細書で使用する用語「フルクトース−リシン(FL)」は、タンパク質/ペプチドに包含されていても、またはタンパク質/ペプチドからタンパク質分解的消化により放出されても任意の糖化リシンを示すために使用する。この用語は、タンパク質のリシン残基とグルコースとの反応から形成されると報告されるフルクトース−リシンと一般に呼ばれる化学構造に特に限定されない。上記のように、リシンのアミノ基は広い種々の糖と反応することができる。実際に1つの報告は、グルコースが試験した16種の糖の中で最も反応性の低い糖であることを示している(Bunn et al.,Science,213:222(1981))。すなわち自然に存在してもしなくても、すべての他の糖との縮合生成物であるので、この記載では用語フルクトース−リシンを挙げていも、グルコースと同様にガラクトースとリシンとから形成されるタガトース−リシンも含める。本明細書の記載から、タンパク質−リシン残基と糖との間の反応には多くの反応段階が関与していると考えられるだろう。この反応順序の最終段階にはタンパク質の架橋化およびAGE−タンパク質として知られている多量体種(その幾つかは蛍光性である)の生成が関与する。いったんAGEタンパク質が形成されれば、そのようなAGE−タンパク質のタンパク質分解的消化は糖部分に共有結合したリシンを生じない。このようにこれらの種は本明細書で使用するような「フルクトース−リシン」の意味には含めない。
本明細書で使用する用語「フルクトース−リシン−3−ホスフェート」は、ATPからの高エネルギーリン酸基をFLに酵素的に転移することにより形成される化合物を指す。本明細書で使用する用語、フルクトース−リシン−3−ホスフェート(FL3P)は、遊離もしくはタンパク質に結合していても、酵素的に形成され得るすべてのリン酸化されたフルクトース−リシン部分を含むことを意味する。
本明細書で使用する「フルクトース−リシン−3−ホスフェートキナーゼ」(FL3K)は、アマドラーゼのような1以上のタンパク質を指し、これは高エネルギーホスフェート源を供給した時、本明細書に記載するようにFLをFL3Pに酵素的に転換することができる。この用語は「フルクトース−リシンキナーゼ(FLK)」および「アマドラーゼ」と互換的に使用する。
本明細書で使用する用語「FL3Pリシン回収経路」は、ヒトの皮膚および腎臓、そして恐らくは他の組織に存在し、そして非修飾リシンを遊離アミノ酸として、またはポリペプチド鎖に取り込まれたものとして再生するリシン回収経路を指す。
本明細書で使用する用語「糖化された食物」とは、標準的なタンパク質の割合が糖化されたタンパク質に置き換えられている上記の任意の食物を指す。「糖化された食物」および「糖化されたタンパク質食」は本明細書で互換的に使用する。
本明細書で使用する「糖化されたリシン残基」とは、還元糖とリシン含有タンパク質の反応により生成される安定な付加産物の修飾されたリシン残基を指す。
タンパク質のリシン残基のほとんどは、正に荷電したアミノ酸について予想されるようにタンパク質の表面上に位置する。すなわち血清または他の生物学的流体と接触することになるタンパク質上のリシン残基は、溶液中の糖分子と自由に反応することができる。反応は多段階で起こる。最初の段階にはリシンの遊離アミノ基と糖のケト基との間のシッフ塩基の形成が含まれる。この初期生成物はアマドリ転位を受けて、安定なケトアミン化合物を生成する。
この一連の反応は、種々の糖で生じることができる。関与する糖がグルコースである時、最初のシッフ塩基生成物は、グルコースのC−1上のアルデヒド部分とリシンのε−アミノ基との間のイミン形成を含む。アマドリ転位は、フルクトースのC−1炭素上へ結合したリシンの形成、本明細書でフルクトース−リシンまたはFLと呼ぶ1−デオキシ−1−(ε−アミノリシン)−フルクトースを生じる。同様の反応が他のアルドース糖、例えばガラクトースおよびリボースとも起こる(Dills,1993,Am.J.Clin.Nutr.58:S779)。本発明の目的には、任意の還元糖とタンパク質のリシンのε−アミノ残基との反応の初期生成物を、修飾された糖分子の正確な構造にかかわらず、糖化されたリシン残基の意味に含める。
本明細書で使用する「相同的」とは、2つのポリマー性分子の間、例えば2つの核酸分子、例えば2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子、または2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列の類似性を指す。2つの両方の分子中のサブユニット位が同じモノマー性サブユニットにより占められている場合、例えば2つの各DNA分子の位置がアデニンにより占められている場合、それらはその位置で相同的である。2つの配列の相同性は、対合または相同的位置の数の直接関数であり、例えば2つの化合物の配列のうちの半分(例えば10個のサブユニット長のポリマーの5個の位置)が相同的ならば、2つの配列は50%相同的であり、もし位置の90%、例えば10のうちの9が対合または相同的ならば、2つの配列は90%の相同性を共有する。例として、3’ATTGCC5’および3’TATGGCは50%の相同性を共有する。
本明細書で使用する「相同的」または「相同性」は、「同一性」と同義的に使用する。2つのヌクレオチドもしくはアミノ酸配列間の同一性または相同性の割合の決定は、数学的アルゴリズムを使用して計算することができる。例えば2つの配列を比較するために有用な数学的アルゴリズムは、KarlinおよびAltschul(1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268)、KarlinおよびAltschulの修飾(1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877)である。このアルゴリズムはAltschul,et al.のNBLASTおよびXBLASTプログラムに包含され(1990,J.Mol.Biol.215:403−410)、そして例えばナショナル センター フォー バイオテクノロジー インフォメーション(National Center for Biotechnology Information:NCBI)の世界中のウェッブサイトからアクセスすることができる。BLASTヌクレオチドサーチは、NBLASTプログラム(NCBIのウェブサイトでは“blastn”と命名されている)を用いて、以下のパラメーター:ギャップペナルティー=5;ギャップエクステンションペナルティー=2;ミスマッチペナルティー=3;マッチリワード=1:期待値10.0;およびワードサイズ=11を使用して行って、本明細書に記載する核酸に対して相同的なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質サーチは、XBLASTプログラム(NCBIのウェブサイトでは“blastn”と命名されている)またはNCBI“blastp”を用いて、以下のパラメーター:期待値10.0、BLOSUM62スコアリングマトリックスを使用して、本明細書に記載するタンパク質に対して相同的なアミノ酸配列を得ることができる。比較の目的でギャプ化アライメントを得るために、ギャップ化BLASTを、Altschul,et al.(1997,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)に記載されているように利用することができる。あるいはPSI−BlastまたはPHI−Blastは使用して、分子間(Id.)の顕著な関係および共通パターンを共有する分子間の関係を検出する反復調査を行うことができる。BLAST、ギャップ化BLAST、PSI−BlastおよびPHI−Blastプログラムを利用する時、各プログラムのデフォルトパラメーター(例えばXBLASTおよびNBLAST)を使用することができる。
2つの配列間の同一性の割合は、ギャップを認め、または認めずに上記に類似する技術を使用して決定することができる。同一の割合を計算するにあたり、典型的には正確な対合をカウントする。本明細書で使用する用語「3DGの誘導」または「3DGを誘導する」は、3DGの合成、生産もしくは形成またはそのレベルの増加を導く経路または出来事を開始または刺激するか、あるいは3DG機能の上昇を刺激する方法または手段を指す。同様に、「アルファ−ジカルボニル糖の誘導」という句は、3DG、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの員の誘導を指す。
本明細書で使用する「3DGを阻害する」とは、3DG合成、生産、形成、蓄積、または機能を阻害する任意の方法または技術、ならびに3DGの合成、形成、蓄積または機能の誘導または刺激を阻害する方法を指す。またこの用語は3DG機能または誘導を調節できる任意の代謝経路も指す。またこの用語は3DGを解毒することにより、または3DGのクリアランスを引き起こすことにより、3DG機能を阻害するための組成物または方法も指す。阻害は直接的または間接的であることができる。誘導とは3DGの合成の誘導または機能の誘導を指す。同様に「アルファ−ジカルボニル糖を阻害する」という句は、3DG、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの員を阻害することを指す。
本明細書で使用する用語「3DGの蓄積を阻害する」とは、結果が組成物または方法で処置しなかった組織中のレベルと比較して、調査または処置した組織中で3DGもしくは機能的3DGが低いレベルとなるように、3DGの合成を減少させ、分解を増加し、またはクリアランスを増加する任意の組成物または方法の使用を指す。同様に、句「アルファ−ジカルボニル糖の蓄積を阻害する」とは、3DG、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンおよびそれらの中間体を含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの員の蓄積を阻害することを指す。
本明細書で使用する「使用説明書」には、本明細書で言う種々の疾患または障害の緩和を行うキットの中の本発明のペプチドの有用性を伝えるために使用することができる刊行物、記録、図および任意の表現媒体を含む。場合によりまたは選択的に、使用説明書は哺乳動物の細胞または組織における疾患または障害を緩和する1以上の方法を記載することができる。本発明のキットの使用説明書は例えば、確認された化合物発明を含む容器に張り付けられ、または確認された化合物を含む容器と一緒に輸送され得る。あるいは使用説明書は、使用説明書および化合物が受容者に協同して使用されることを意図して、容器と別個に輸送することができる。
「単離された核酸」は、自然に存在する状態でそれを挟む配列から分離された核酸セグメントまたは断片、例えば通常は断片に隣接する配列、例えば自然に存在するゲノム中で断片に隣接する配列が除去されたDNA断片を指す。この用語は、核酸に自然に付随する他の成分、例えば細胞中で自然に付随するRNAまたはDNAまたはタンパク質から実質的に精製された核酸配列にも適用する。したがってこの用語は、例えばベクターに、自律的に複製するプラスミドもしくはウイルスに、または原核もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた、あるいは他の配列から独立して別個の分子として存在する(例えばcDNAまたはPCRもしくは制限酵素消化により生成されたゲノムもしくはcDNA断片)組換えDNAを含む。これはまたさらなるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。本明細書で使用する「修飾された」化合物は、化合物の機能的能力または活性を増すか、または変えるために、化学的に化合物を改変するような、化学的修飾であることができる化合物の修飾または誘導化を指す。
用語「突然変異性」とは、化合物が突然変異を誘導するか、またはその頻度を上げる能力を指す。用語「核酸」は典型的には大きなポリヌクレオチドを指す。
用語「オリゴヌクレオチド」は典型的には、一般に約50ヌクレオチドよりは大きくない短いポリヌクレオチドを指す。これはヌクレオチド配列がDNA配列(すなわちA、T、G、C)により表される時、これは“T”を“U”に置き換えるRNA配列(すなわちA、U、G、C)も含むと理解されるだろう。
用語「ペプチド」は典型的には短いポリペプチドを指す。
本明細書で使用する「透過(permeation)強化」および「透過強化剤」とは、すなわち薬剤が皮膚を通り、そして血流に入る速度が増すように、皮膚を良く透過しない薬理学的に活性な作用物質に対する皮膚の透過性を上げることをもたらすプロセスおよび添加材料に関する。「透過強化剤」とは「浸透(penetration)強化剤」と互換的に使用する。
本明細書で使用する用語「製薬学的に許容され得る担体」は、それと適切な化合物または誘導体とを組み合わせることができ、そして組み合わせた後、適切な化合物を個体に投与するために使用することができる化学的組成物を意味する。
本明細書で使用する用語「生理学的に許容され得る」エステルまたは塩は、製薬学的組成物の他の成分と適合性であり、組成物が投与される個体に対して有害ではない有効成分のエステルまたは塩形態を意味する。
「ポリペプチド」はアミノ酸残基からなるポリマー、関連する自然に存在する構造バリアント、およびペプチド結合を介して連結されたその合成の自然には存在しない同族体、関連する自然に存在する構造バリアント、およびその合成の自然には存在しない同族体を指す。
「ポリヌクレオチド」は核酸の1本鎖または平行および逆平行鎖を意味する。すなわちポリヌクレオチドは1本鎖または2本鎖核酸のいずれかでよい。
「プライマー」は設計したポリヌクレオチド鋳型に特異的にハイブリダイズし、そして相補的ポリヌクレオチドの合成のための開始点を提供することができるポリヌクレオチドを指す。そのような合成はポリヌクレオチドプライマーが、合成が誘導される条件下、すなわちヌクレオチド、相補的なポリヌクレオチド鋳型およびDNAポリメラーゼのような重合のための作用物質の存在下に配置された時に起こる。プライマーは典型的には1本鎖であるが、2本鎖でもよい。プライマーは典型的にはデオキシリボ核酸であるが、広い種々の合成および自然に存在するプライマーが多くの応用に有用である。プライマーは、それにハイブリダイズして合成の開始に部位として役立つように設計された鋳型に相補的であるが、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。そのような場合、プライマーの鋳型に対する特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存する。プライマーは例えば発色性、放射性または蛍光性部分で標識し、そして検出可能な部分として使用することができる。
本明細書で使用する用語「プロモーター/調節配列」は、プロモーター/調節配列に操作可能に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を意味する。場合により、この配列はコアのプロモーター配列でよく、そして他の場合にはこの配列はエンハンサー配列および遺伝子産物の発現に必要な他の調節要素も含んでよい。プロモーター/調節配列は例えば、組織特異的様式で遺伝子産物を発現するものでよい。
「構成的プロモーター」は、操作可能に連結された遺伝子の発現を細胞中で一定の様式で駆動するプロモーターである。例として、細胞のハウスキーピング遺伝子の発現を駆動するプロモーターは構成的プロモーターであると考えられる。
「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは特定するポリヌクレオチドに操作可能に連結された時、プロモーターに対応するインデューサーが細胞に存在する時にのみ実質的に遺伝子産物を生きている細胞で生産させるヌクレオチド配列である。
「組織−特異的」プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは特定するポリヌクレオチドに操作可能に連結された時、細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である場合にのみ実質的に遺伝子産物を生きている細胞で生産させるヌクレオチド配列である。
「予防的」処置は、疾患に関連する病状が発症するリスクを下げる目的で、疾患の兆候を表していないか、または疾患の初期兆候を表しているだけの個体へ投与される処置である。
「タンパク質」は典型的には大きなポリペプチドを指す。
酸素の種々の有害な形態である活性酸素種は、体内で生成される;1重項酸素、スーパーオキシドラジカル、過酸化水素およびヒドロキシルラジカルはすべて組織傷害を引き起こす。これらおよび類似の酸素関連種に関して適用できる用語は、「活性酸素種(ROS)」である。この用語はAGEsの細胞へのインターナリゼーションにより形成されたROS、およびそれらから形成されるROSも含む。
本明細書で使用する「3−デオキシグルコソンを除去する」は、組成物の不存在下での3DGのレベルまたは機能的3DGのレベルと比べた時、任意の組成物または方法を使用することにより、より低いレベルの3−デオキシグルコソン(3DG)またはより低いレベルの機能的3DGをもたらす任意の組成物および方法を指す。より低レベルの3DGは、その減少した合成または形成、上昇した分解、上昇したクリアランスまたはそれらの任意の組み合わせから生じ得る。より低レベルの機能的3DGは、3DGが糖化のプロセスで効率的には機能できないように3DGを修飾することから生じることができ、または3DGが機能する能力を遮断阻害する別の分子と3DGとの結合から生じ得る。より低レベルの3DGは、尿中の3DGの増加したクリアランスおよび排出からも生じることができる。この用語は「3DGの蓄積を阻害する」とも互換的に使用する。同様に、句「アルファ−ジカルボニル糖を除去する」とは、3DG、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの員の除去を指す。
また本明細書では互換的に使用する用語、糖化されたリシン残基、糖化されたタンパク質およびグリコシル化されたタンパク質もしくはリシン残基は、そのような用語が技術的に認識されて互換的に使用される当該技術分野での現在の使用と一致している。
本明細書で使用する用語「皮膚」は、一般的に使用されている皮膚の定義、例えば表皮および真皮、および皮膚を構成する細胞、腺、粘膜および結合組織を指す。
本明細書で使用する用語「標準」は、比較に使用されるものを指す。例えば試験化合物を投与した時に結果を比較するために投与および使用される既知の標準的な作用物質または化合物であることができ、あるいはパラメーターまたは機能について作用物質または化合物の効果を測定する時、対照値を得るために測定される標準的パラメーターまたは機能であることができる。「標準」は、既知の量でサンプルに加えられ、そしてサンプルが精製もしくは抽出手順で処理された、またはかけられた時、目的のマーカーを測定する前に、精製もしくは回収率のような事柄を測定するために有用な作用物質または化合物のような「内部標準」も指す。内部標準はしばしば、しかし限定するわけではないが、放射性同位体のような標識された目的の精製されたマーカーであり、サンプル中の内因性物質から区別することが可能である。
本明細書で使用する「感受性の試験動物」は、例えば特定の遺伝子突然変異の存在により、糖尿病、ガン等のような選択した疾患障害または状態に対して高い傾向を有する実験動物の種を指す。
本明細書で使用する「3DGの合成」は、3DGの形成または生産を指す。3DGは酵素依存的経路または非酵素依存的経路に基づき形成され得る。同様に、句「アルファ−ジカルボニル糖の合成」は、3DG、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンおよび本明細書に開示する付加物を含むアルファ−ジカルボニル糖のファミリーの員の合成または自然な形成を指す。
「合成ペプチドまたはポリペプチド」は、自然には存在しないペプチドまたはポリペプチドを指す。合成ペプチドまたはポリペプチドは、例えば自動化ポリペプチド合成器を使用して合成することができる。当業者は種々の固相ペプチド合成法について知っている。
「治療的」処置は、病気の兆候を消失または排除する目的で、病気の兆候を表す個体に投与される処置である。
「経皮的(transdermal)」送達は、経皮的(または「経皮的(percutaneous)」および経粘膜(transmucosal)投与、すなわち薬剤の皮膚または粘膜組織を通した血流への送達の両方を意図する。経皮的とはまた、皮膚に薬剤または化合物を局所適用することにより、薬剤または化合物の投与のためのポータル(portal)としての皮膚を指す。
本明細書で使用する用語「局所適用」は、皮膚のような表面への投与を指す。この用語は「皮膚適用」と互換的に使用する。
本明細書で使用する用語「処置する」は、患者または個体が経験する症状の頻度を下げること、または経験される症状の頻度を下げるための作用物質または化合物を投与すること意味する。
本明細書で使用する「疾患または障害を処置する」とは、患者が経験する疾患または障害の症状の頻度を下げることを意味する。疾患および障害は本明細書では互換的に使用する。
本明細書で使用する用語「野生型」とは、自然に存在する種のほとんどの員に特徴的な遺伝型および表現型を指し、そして変異体の遺伝型および表現型とは対照的である。
皮膚における3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖の合成、形成および蓄積を阻害する方法
本発明では、3DG生産の酵素的合成経路に関与する酵素が皮膚に高レベルで存在することが見いだされた(実施例20を参照にされたい)。さらに本発明では、3DGが皮膚に高レベルで存在することも見いだされた(実施例19を参照にされたい)。したがって本発明は皮膚における3DGの酵素的または非酵素的に基づく両方の合成または形成を妨害し、ならびに皮膚における3DGの機能も妨害する組成物および方法を含む。3DGはアルファ−ジカルボニル糖と呼ばれる化合物のファミリーの一員である。このファミリーの他の員にはグリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含む。本発明は皮膚における3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖の蓄積を阻害するための、および3DGに依存的または関連する皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚の疾患または障害、ならびに他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚の疾患または障害を阻害する組成物および方法に関する。また本発明は、3DGの解毒、分解または皮膚からのクリアランスを導く経路、または経路の成分を刺激する組成物および方法を使用して、皮膚の3DGの蓄積を阻害することを含む。
3DGはアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの分子の員であることに注目すべきである。またアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの他の員は本明細書に記載するように3DGに類似する機能および3DG様の機能を行うことができ、アルファ−ジカルボニル糖ファミリーの他の員の機能も阻害可能であることに注目すべきである。このように本発明は他のアルファ−ジカルボニル糖の合成、形成および蓄積も阻害する方法を含むと解釈すべきである。
皮膚における3DG合成、形成および蓄積の阻害は、直接的または間接的であることができる。例えば3DG合成の直接的阻害は、アマドラーゼ、またはフルクトース−リシン−3−ホスフェート(FL3P)の3DG、リシンおよび無機ホスフェートへの転換を遮断するような3DG合成または形成の経路において、直前または上流で起こる出来事を遮断することを指す。間接的阻害は、3DGの合成を導く上流の前駆体、酵素または経路の遮断または阻害することを含むことができる。上流経路の成分には例えば、アマドラーゼ遺伝子およびアマドラーゼmRNAを含む。本発明は本明細書に記載する酵素的および非酵素的経路の阻害のみを含むと解釈されるべきではなく、皮膚における3DG合成、形成および蓄積の他の酵素的および非酵素的経路を阻害する方法も含むと解釈すべきである。本発明は応用可能な場合はグリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの他の員を含むとも解釈すべきである。
本明細書に記載する様々なアッセイが3DG合成または3DGのレベルを直接測定するために使用することができ、あるいはアッセイは3DGの分解生成物である3DFの測定のような3DG合成またはレベルと相関的なアッセイを使用してもよい。
本発明は皮膚における3DG合成の新規阻害法を含む。好ましくは皮膚は哺乳動物の皮膚であり、そしてより好ましくは哺乳動物の皮膚はヒトの皮膚である。
1つの観点では、インヒビターは3DGの合成に関与する酵素を阻害する。1つの態様では、酵素はフルクトサミンキナーゼである。さらに別の態様では、フルクトサミンキナーゼは米国特許第6,004,958号明細書に記載されているようなアマドラーゼである。
本発明のさらに別の観点では、インヒビターは皮膚における3DGの非酵素的合成および形成を阻害する。
本発明の1つの態様では、インヒビターは皮膚における3DGの蓄積を阻害する。1つの観点では、3DGは皮膚で合成または形成される。しかしインヒビターは3DGの供給源が皮膚以外である皮膚における3DGの蓄積を阻害することもできる。1つの観点では、3DGの供給源は食物であり、すなわち3DGは内部の供給源ではなく外部の供給源に由来し、次いで皮膚に蓄積する。このように本発明の1つの観点には、皮膚における3DG合成または形成の阻害、および/または皮膚における3DGの蓄積の阻害を含む。後者の場合、3DGの供給源は皮膚で直接的な3DGの酵素的合成、皮膚以外の組織中での3DGの酵素的合成、皮膚または皮膚ではない組織での3DGの非酵素的合成または形成でよく、あるいは3DGの供給源は例えば食物のような外部の供給源でよい。3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖の蓄積を、これらの経路のいずれか1つを介して阻害するために使用する方法を本明細書のいたるところでさらに完全に記載する。
皮膚から3DGを除去する方法
また本発明は3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖を皮膚から除去し、そして3DGに依存的または関連する皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚の疾患もしくは障害、ならびに他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚の疾患および障害を抑制する組成物および方法に関する。このために、本発明は皮膚における3DGの生産、合成、形成および蓄積を阻害する組成物および方法を含む。また本発明は3DGの解毒、分解または皮膚からのクリアランスを導く経路、または経路の成分を刺激する組成物および方法も含む。
3DG合成を阻害する抗体の使用
本発明の1つの観点では、フルクトサミンキナーゼのインヒビターは抗体である。抗体は当該技術分野で知られている任意の抗体であることができ、または既知の技術およびフルクトサミンキナーゼ/アマドラーゼの公開された配列(寄託番号NP 071441)を使用して調製された抗体であることができる。また抗体は、3DGの任意の前駆体に対して、またはフルクトサミンキナーゼもしくは3DGの前駆体から上流の3DG合成を調節する分子に対して調製されるものでもよい。
1つの観点では、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および合成抗体からなる群から選択される。
本発明は、抗体インヒビターを生成することができ、そして3DG合成または機能のインヒビターとして使用することができる方法を含む。抗体はフルクトサミンキナーゼまたは3DG合成の酵素的経路の他のタンパク質に対して、または3DGの前駆体を含む経路の一部である他の分子に対して調製することができる。タンパク質合成または機能を阻害するための、あるいは他の分子もしくはそれらの合成を阻害するための抗体の調製および使用は、当該技術分野において周知であり、そして例えばHarlow et al.(Harlow et al.、1988、抗体:ア ラボラトリーマニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク;Harlow et al.、1999,抗体を使用して;ア ラボラトリーマニュアル(Using Antibodies:A Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版、ニューヨーク州)に記載されている。本発明の抗体は、3DG経路の成分であるかもしれないタンパク質または他の分子を検出するためにも使用することができる。
ポリクローナル抗体の生成は、所望の動物に抗原を接種し、そして抗原に特異的に結合する抗体をそれらから単離することによりなされる。
モノクローナル抗体は、取り込みの問題を回避するために、遺伝子をクローニングし、そして抗体をコードする遺伝子をトランスフェクションすることにより、細胞内で効果的に使用することができる。本明細書に記載する手順を使用して得たモノクローナル抗体遺伝子をコードするような核酸は、当該技術分野で利用可能な技術を使用してクローン化し、そしてシークエンシングすることができる。
タンパク質またはペプチドの完全長またはペプチド断片に対するモノクローナル抗体は、周知なモノクローナル抗体調製手法を使用して調製することができる。所望するペプチドの量は、化学的合成技術を使用しても合成することができる。あるいは所望のペプチドをコードするDNAをクローン化し、そして大量のペプチドを生成するために適する細胞中で適切なプロモーター配列から発現させることができる。ペプチドまたは他の分子に対するモノクローナル抗体は、本明細書に引用した標準的手法を使用して、ペプチドで免疫感作したマウスから生成される。本明細書に記載した手法を使用して得た、モノクローナル抗体をコードする核酸を、当該技術分野で利用可能で、そして例えばWright et al.(1992,Critical Rev.Immunol.12:125−168)およびそこに引用されている参考文献に記載されている技術を使用してクローン化し、そして配列決定することができる。さらに本発明の抗体は、例えばWright et al.同上およびそこに引用されている参考文献、およびGu et al.(1997,Thrombosis and Hematocyst 77:755−759)、に記載されている既存の技術、および当該技術分野で周知な、またはこれから開発される抗体をヒト化する他の方法を使用して「ヒト化」することができる。そのように抗体を修飾して細胞に留まるように修飾する技術も当該技術分野では周知である。本発明は抗体をコードする核酸を投与することを包含し、ここで分子はさらに細胞内保持配列(intracellular retention sequence)を含んでなる。しばしば「イントラボディ(intrabodies)」と呼ばれるそのような抗体は、当該技術分野では周知であり、そして例えばMarasco et al.(米国特許第6,004,490号明細書)およびBeerli et al.(1996,Breast Cancer Research and Treatment 38:11−17)に記載されている。
所望のタンパク質、例えば所望の抗体をファージ表面に発現するファージ抗体ライブラリーを作成するために、最初にcDNAライブラリーを、細胞(例えばハイブリドーマ)から単離されたmRNAから得る。mRNAのcDNAコピーは、逆転写酵素を使用して生成する。免疫グロブリン断片を特定するcDNAはPCRにより得、そして生成したDNAを適当なバクテリオファージベクターにクローン化して、免疫グロブリン遺伝子を特定するDNAを含んでなるバクテリオファージDNAライブラリーを作成する。ヘテロロガスなDNAを含んでなるバクテリオファージライブラリーを作成するための手法は、当該技術分野では周知であり、そして例えばSambrook et al.(1989、モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)に記載されている。
所望の抗体をコードするバクテリオファージは、抗体の対応する結合タンパク質、例えば抗体が向けられる抗原に対する結合に利用できるような様式で、タンパク質がその表面に展示されるように工作することができる。すなわち特異的抗体を発現するバクテリオファージが対応する抗原を発現する細胞の存在下でインキュベーションされる時、バクテリオファージは細胞に結合する。抗体を発現しないバクテリオファージは、細胞に結合しない。そのようなパンニング(panning)技術は当該技術分野では周知であり、そして例えばWright et al.(同上)に記載されている。
上記のような方法は、M13バクテリオファージ展示を使用したヒト抗体の生産に開発された(Burton et al.,1994,Adv.Immunol.57:191−280)。本質的にcDNAライブラリーは抗体生産細胞の集団から得たmRNAから生成される。mRNAは再配列した免疫グロブリン遺伝子をコードし、そしてすなわちcDNAをはそれをコードする。増幅したcDNAはM13発現ベクターにクローン化され、表面にヒトFab断片を発現するファージのライブラリーを作成する。目的の抗体を展示するファージは抗原の結合により選択され、そしてバクテリア中で増殖させて可溶性のヒトFa免疫グロブリンを生産する。このように、通常のモノクローナル抗体合成とは対照的に、この手法はヒトの免疫グロブリンを発現する細胞ではなくヒトの免疫グロブリンをコードするDNAを不滅化する。
今、提示した手順は、抗体分子のFab部分をコードするファージの生成を記載する。しかし本発明はFab抗体をコードするファージの生成にのみ限定されるとは解釈すべきではない。むしろ単鎖抗体(scFv/ファージ抗体ライブラリー)をコードするファージも本発明に含まれる。Fab分子は全Ig軽鎖を含んでなり、すなわちそれらは軽鎖の可変および定常領域の両方を含んでなるが、重鎖の可変領域および第1定常領域(CH1)のみを含む。単鎖抗体分子は、IgFv断片を含んでなるタンパク質の単鎖を含んでなる。IgFv断片は抗体の重および軽鎖の可変領域のみを含み、それらに含まれる定常領域は無い。scFv DNAを含んでなるファージライブラリーは、Marks et al.(1991,J.Mol.Biol.222:581−597)に記載されている手順に従い生成することができる。所望の抗体を単離するためにそのように生成されたファージのパンニングは、Fab DNAを含んでなるファージライブラリーについて記載した様式に準じて行われる。
本発明は、重および軽鎖可変領域がほぼすべての可能な特異性を含むように、それらを合成できる合成のファージ展示ライブラリーを含むと解釈すべきである(Barbas,1995,Nature Medicine 1:837−839;de Kruif et al.1995,J.Mol.Biol.248:97−105)。
本明細書で使用する用語「合成抗体」は、例えば本明細書に記載するバクテリオファージにより発現される抗体のような、組換えDNA技術を使用して生成された抗体を意味する。またこの用語は抗体をコードするDNA分子を合成により生成された抗体を意味すると解釈すべきであり、そしてそのDNA分子は抗体タンパク質または抗体を特定するアミノ酸配列を発現し、ここでDNAまたはアミノ酸配列は当該技術分野で利用可能な周知の合成のDNAまたはアミノ酸配列技術を使用して得られた。
1つの態様では、抗体はアマドラーゼ(配列番号2)に対して、またはその誘導体または断片に対して作成される。別の態様では、抗体は3DGに対して作成される、本発明の別の観点では、抗体は3DG経路の他の成分に対して作成される。そのような抗体は、そのコグネイト抗原に結合し、そしてその機能を阻害するように調製することができる。別の態様では抗体はアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの分子の他の員に対して作成される。
アンチセンス技法を使用してフルクトサミンキナーゼ機能を阻害することによる3DG合成、生産、蓄積および機能の阻害
1つの態様では、フルクトサミンキナーゼmRNAに相補的なアンチセンス核酸を使用して、対応するmRNAの発現または翻訳を遮断することができる(配列番号1を参照にされたい)(実施例20および22を参照にされたい)。アマドラーゼのようなフルクトサミンキナーゼをコードする核酸に相補的なアンチセンス核酸を含んでなるアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび発現ベクターは、当業者により日常的に行われ、そして例えばSambrook et al.(1989,モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル、コールドスプリングハーバーラボラトリー、ニューヨーク)に、Ausubel et al.(1997,分子生物学における現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、ジョン ウィリー & サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク)に、およびGerhardt et al.(編集、1994、一般および分子細菌学のための方法(Methods for General and Molecular Bacteriology)、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントン、DC.)に記載されている技術に基づき調製し、そして使用することができる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定するわけではないがホスホロチオエートオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの他の修飾体を含む。オリゴヌクレオチド、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドおよび他の修飾されたオリゴヌクレオチドを合成する方法は、当該技術分野では周知である(米国特許第5,034,506号明細書;Nielsen et al.1991,Science 254:1497)。少なくとも1つのホスホロチオエート修飾を含むオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼに対する強化された耐性を付与することが知られている。修飾されたオリゴヌクレオチドの具体例には、ホスホロチオエート、ホスホロトリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式糖間(「骨格」)連結を含むものを含む。さらにモルホリノ骨格構造(米国特許第5,034,506号明細書)またはポリアミド骨格構造(Nielsen et al.1991,Science 254:1497)を有するオリゴヌクレオチドを使用してもよい。
本明細書に記載するオリゴヌクレオチド修飾の例は網羅的ではなく、そして本発明は本発明のオリゴヌクレオチドのアンチセンスのさらなる修飾を含み、この修飾はアンチセンスオリゴヌクレオチドの基本的配列を認め得るほどに変化させることなくアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療的特性を強化するために役立つと理解される。
ヌクレアーゼ分解に対して大変低い感度を有するホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを使用することができる。オリゴヌクレオチドの中にはCGモチーフを含まずに調製できるものもあり、これはインビボ使用で毒性を下げるために役立つ。
別の観点では、アマドラーゼmRNAのようなフルクトサミンキナーゼmRNAに相補的なアンチセンス核酸は、フルクトサミンキナーゼmRNAの翻訳を阻害することにより、フルクトサミンキナーゼの機能、そして続いて3DG合成および機能を遮断するために使用することができる。これは適切なアンチセンス配列をトランスフェクションすることにより行うことができる。フルクトサミンキナーゼ遺伝子は配列決定され、そしてこれらのデータに基づき、アンチセンス核酸は当業者に知られている技術を使用して容易に調製することができる。
フルクトサミンキナーゼのアンチセンスオリゴヌクレオチドインヒビターは、本質的に本明細書に記載するように(実施例20〜22を参照にされたい)細胞培養系で独立して使用されるか、または動物に投与することができる。本発明の1つの態様では、フルクトサミンキナーゼのインヒビターは好ましくは5〜25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。別の態様では、オリゴヌクレオチドは25〜50ヌクレオチド長である。さらに別の態様では、オリゴヌクレオチドは50〜100ヌクレオチド長である。さらなる態様では、オリゴヌクレオチドは100〜400ヌクレオチド長である。
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、トランスフェクションまたは電気穿孔の必要無しに細胞に容易に入り、これにより実験を混乱させるかもしれないストレス応答の非特異的インデューサーに細胞を供することが避けられる。オリゴヌクレオチドは当業者に知られ、そして本明細書に記載する幾つかの技法を使用して投与することができる。ホスホロチオエートの効果的な阻害濃度は1から50μMの間の範囲であるので、ウエスタンブロットにおけるフルクトサミンキナーゼシグナルの減少に関する滴定曲線は、使用する各オリゴヌクレオチドに関して効果的濃度を確立するために作成することができる。いったん細胞内に入れば、ホスホロチオエート−オリゴヌクレオチドは転写開始部位(アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害に最も大きな効果を有する部位)に大変近くで新生mRNAにハイブリダイズする。
フルクトサミンキナーゼまたは他の遺伝子の転写を、特異的なアンチセンス分子で選択的に阻害する能力は、皮膚疾患または障害における3DGの合成または誘導に関与する増大したフルクトサミンキナーゼ合成または他のタンパク質の誘導の阻害も可能にすると期待される。すなわち本発明は目的のタンパク質の定常状態レベルの減少に効果的となるアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用法を提供する。さらにフルクトサミンキナーゼまたは他の重要なタンパク質の阻害は、3DGの合成、生産、蓄積または機能に関与するタンパク質の定常状態の合成を下げる。本発明は3DGだけでなくアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの分子の他の員も含むと解釈されるべきできる。
本発明はアンチセンス技法を使用したフルクトサミンキナーゼ阻害のみを含むと解釈するべきではなく、3DG合成経路に関与する他の遺伝子およびそれらのタンパク質の阻害も含むと解釈するべきである。さらに本発明は本明細書に記載するこれらの特定なアンチセンス法のみを含むと解釈すべきではない。
3DG合成を阻害する化合物の使用
1つの態様では、本発明は哺乳動物の皮膚における3DG合成の阻害法を含み、該方法は哺乳動物に有効量の3DG合成のインヒビター、またはその誘導体または修飾体を投与し、これにより哺乳動物の皮膚における3DG合成の阻害することを含んでなる。好ましくは哺乳動物はヒトである。
1つの態様では、インヒビターは製薬学的組成物の約0.0001%〜約15重量%を構成する。1つの観点では、インヒビターは放出制御製剤として投与される。別の観点では、製薬学的組成物はローション、クリーム、ゲル、塗布剤、軟膏、ペースト、歯磨き粉、口中洗浄剤、経口リンス、コーティング、溶液、粉末および懸濁液を含んでなる。さらに別の観点では、組成物はさらに保湿剤、湿潤剤、粘滑剤、油、水、乳化剤、増粘剤、希釈剤、表面活性剤、香料、保存剤、抗酸化物質、水屈性剤、錯化剤、ビタミン、ミネラル、浸透強化剤、化粧用補助剤、漂白剤、脱色素剤、発泡剤、コンディショナー、粘度調整剤、緩衝剤およびサンスクリーンを含んでなる。
本発明は局所、経口、筋肉内および静脈内を含む種々の投与法を含むと解釈すべきである。
本発明の1つの観点では、3DG合成のインヒビターはフルクトサミンキナーゼ/アマドラーゼのインヒビターである。フルクトサミンキナーゼのインヒビターは、式(式XIX):
式中、Xは、−NR’−、−S(O)−、−S(O)2−または−O−であり、R’はH、および直鎖もしくは分枝鎖アルキル基(C1−C4)および非置換もしくは置換アリール基(C6−C10)またはアラアルキル基(C7−C10)またはn=1〜5のCH2(CHOR2)nCH2OR2、またはn=1〜4のCH(CH2OR2)(CHOR2)nCH2OR2(ここでR2はH、アルキル(C1−C4)または非置換もしくは置換アリール基(C6−C10)またはアラアルキル基(C7−C10)である)からなる群から選択され;Rは、H、アミノ酸残基、ポリアミノ酸残基、ペプチド鎖、直鎖もしくは分枝鎖脂肪族基(C1−C8)(これは非置換であるか、または少なくとも1つの窒素−もしくは酸素−含有置換基で置換される)、直鎖もしくは分枝鎖脂肪族基(C1−C8)(これは非置換であるか、または少なくとも1つの窒素−もしくは酸素−含有置換基で置換され、そして少なくとも1つの−O−、−NH−または−NR3−部分で中断される)からなる群から選択される置換基であり、R3は、直鎖もしくは分枝鎖アルキル基(C1−C6)および非置換もしくは置換アリール基(C6−C10)またはアラルキル基(C7−C10)であり、ただしXが−NR1−を表し、RおよびR1がそれらに結合している窒素原子と一緒に5〜7個の環原子を有する置換もしくは非置換複素環式環(少なくとも1つの窒素および酸素が該環中の唯一のヘテロ原子である)を表すことができる時、該アリール基(C6−C10)またはアラルキル基(C7−C10)および該複素環式環置換基は、H、アルキル(C1−C6)、ハロゲン、CF3、CN、NO2および−O−アルキル(C1−C6)からなる群から選択される、のような化合物であることができる。
別の適当な反応物には限定するわけではないが、非置換もしくは置換アリール(C6−C10)化合物(ここで置換基はアルキル(C1−C3)、アルコキシ、カルボキシ、ニトロまたはハロゲン基であることができ)、非置換もしくは置換アルカン(ここで置換基は少なくとも1つのアルコキシ基であることができる);あるいは非置換もしくは置換の窒素−含有複素環式化合物(ここで置換基はアルキル(C1−C3)、アリール(C6−C10)、アルコキシ、カルボキシ、ニトロまたはハロゲン基であることができる)を含む。反応物の最後に挙げた基の具体例には、m−メチル−、p−メチル−、m−メトキシ−、o−メトキシ−およびm−ニトロ−アミノベンゼン、o−およびp−アミノ安息香酸;n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン;モルホリンおよびピペルジンを含む。
本発明の1つの観点では、上記式を有する代表的なインヒビター化合物には、ガラクチトールリシン、3−デオキシソルビトールリシン、3−デオキシ−3−フルオロ−キシリトールリシンおよび3−デオキシ−3−シアノソルビトールリシンおよび3−O−メチルソルビトールリシンを含む。本発明の実施においてインヒビターとして使用できる既知の化合物の例には、限定するわけではないがメグルミン、ソルビトールリシン、ガラクチトールリシンおよびマンニトールリシンを含む。好適なインヒビターは、3−O−ソルビトールリシンである。
本発明の化合物は、本明細書に記載する数種の方法により、および当業者に既知な他の方法により、例えば細胞、組織または個体に投与することができる。
本発明は式XIXおよび本明細書に記載する代表的化合物の修飾体、誘導体または置換体のみを含むと解釈すべきではない。また本発明は本明細書に記載しない他の修飾体、ならびに式XIXを表す本明細書には記載しない化合物も含むと解釈すべきである。
1つの観点では、3DGの酵素的合成を阻害する本発明のインヒビターは、当該技術分野で既知の技術を使用してインビトロで合成することができる(実施例8を参照にされたい)。
3DG機能を阻害するために有用な化合物および方法
本明細書に記載するように本発明は、種々の皮膚疾患および障害の発症における3DGの関与、および3DGに関連する皮膚疾患および障害を緩和また処置するために3DGの機能を阻害する方法に関する。また本発明は、歯肉疾患または障害のような他の疾患および障害における3DGの関与に関する。そのような歯肉疾患および疾患には限定するわけではないが、歯肉炎、歯肉の退化、および他の3DGまたはアルファ−ジカルボニル糖が関連する歯肉疾患および疾患を含む。上記のように、3DG機能の阻害は直接的または間接的であることができる。したがって3DG機能は、本明細書に記載する多くの取り組みを使用して阻害または低下を引き起こすことができる。3DG機能の阻害は、本明細書に記載する技術ならびに当業者に知られている他の技術を使用してアッセイまたはモニタリングすることができる。機能は直接測定することができ、または3DG機能と相関すると知られているパラメーターを測定する技術を使用して予測することができる。例えばタンパク質の架橋化およびタンパク質生産は、電気泳動分析(図12および実施例7および18を参照にされたい)ならびに他の技術(実施例21〜24を参照されたい)のような技術を使用して直接測定することができる。本発明は3DGが誘導するコラーゲン、エラスチンおよびプロテオグリカンのような分子の架橋化を防止するために有用な化合物だけを含むと解釈すべきではなく、他の分子の架橋化も阻害する化合物を含むと解釈すべきである。本発明は、アポトーシスおよび活性酸素種の形成のような他の3DG機能をモジュレートするための化合物の使用も含むと解釈すべきである。マクロファージに由来する細胞では、アポトーシスによる細胞死がメチルグリオキサールおよび3DGにより誘導できることが知られている(Okado et al.,1996,Biochem.Biophys.Res.Commun.225:219−224)。さらに本発明の別の観点では、3DGのインヒビターは活性酸素種を阻害する(Vander Jagt et al.,1997,Biochem.Pharmacol.53:1133−1140)。本発明は他のアルファ−ジカルボニル等も含むと解釈すべきである。3DGおよびその解毒産物である3DFは、細胞、組織、血液、血漿および尿サンプルを使用して数種の方法で測定することができ(実施例4、5、6、14、15および17)、そして3DGの合成中に生成される生成物であるFL(実施例5を参照にされたい)も、FL3P(図1および2、および実施例1、2および3を参照にされたい)の前駆体のように測定することができる。
本発明は、皮膚における3DG機能を阻害するために有用な方法を開示する。そのような方法には1以上の3DG機能のインヒビター、またはその修飾体または誘導体の有効量を製薬学的組成物中で個体に投与することを含む。
本発明の1つの観点では、3DG機能のインヒビターはタンパク質の架橋化を阻害する。別の観点ではインヒビターは後期糖化反応生成物で修飾されたタンパク質の形成を阻害する。別の観点では、3DG機能のインヒビターは、構造式I−XIXの1つの構造を含んでなるか、またはそれはアルギニンまたはその誘導体または修飾体である。
当業者は本明細書に提供する開示に基づき、タンパク質架橋化のインヒビターが図18に例示し、そして絵で表すような広い種々の付加物の形成を阻害すると考えるだろう。本発明は本明細書に開示する付加物に限定されず、本明細書に提供する開示に基づき当業者に明白であるような付加物、および将来知られるようになるような付加物も含む。
1つの態様では、インヒビターは製薬学的組成物の約0.0001%〜約15重量%を構成する。1つの観点では、インヒビターは放出制御製剤として投与される。別の観点では、製薬学的組成物はローション、クリーム、ゲル、塗布剤、軟膏、ペースト、歯磨き粉、口中洗浄剤、経口リンス、コーティング、溶液、粉末および懸濁液を含んでなる。さらに別の観点では、組成物はさらに保湿剤、湿潤剤、粘滑剤、油、水、乳化剤、増粘剤、希釈剤、表面活性剤、香料、保存剤、抗酸化物質、水屈性剤、錯化剤、ビタミン、ミネラル、浸透強化剤、化粧用補助剤、漂白剤、脱色素剤、発泡剤、コンディショナー、粘度調整剤、緩衝剤およびサンスクリーンを含んでなる。
本発明は局所、経口、筋肉内および静脈内を含む種々の投与法を含むと解釈すべきである。
例とて3DG機能のインヒビターは、フルクトサミンキナーゼのmRNAに相補的であり、そしてアンチセンス方向の核酸をコードする単離された核酸であることができる。他のインヒビターにはアンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、または低分子のような他の化合物または作用物質を含む。
3DGの合成または生産を導く経路、出来事および前駆体を阻害する組成物および方法は、3DG合成を阻害するだけでなく、その蓄積および最終的にはその機能も阻害すると理解すべきである。本発明は3DG合成を導くすべての経路および前駆体を阻害する組成物および方法を含むと解釈すべきである(図1および2を参照にされたい)。
本発明の別の態様では、この開示は種々の皮膚疾患および障害と関連する3DGの機能を直接阻害する方法を提供する。1つの観点では、皮膚における3DG機能を阻害する方法は、3DGを本明細書に記載する構造式I−XVIIIを含んでなるもののような化合物で阻害することを含む。これらの式を含んでなる化合物は、本明細書に記載するように3DGに結合し、かつ/またはその機能を阻害する。さらに本発明は抗体のような結合し、そして3DG機能を遮断することができる他の分子を含む。
本発明の方法は3DG機能の阻害または遮断するために、構造式により具体的に説明される以下の化合物の使用を含む。
本発明の実施に使用することができる化合物には、以下の1以上の(すなわち組み合わせ)を含む:
式Iは、R1およびR2が独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシまたはアリール基であるか、または窒素原子と一緒に1〜2個のヘテロ原子および2〜6個の炭素原子を含有する複素環式環を形成し、第2の該ヘテロ原子は窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される構造を含んでなり、そしてそれらの生物適合性の、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩を含む。
式(I)の化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。低級アルコキシ基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。アリール基は置換および非置換の両方のフェニルおよびピリジル基を含む。典型的なアリール基置換基は、低級アルキル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子のようなものである。
式Iに包含される化合物の中で、特定の置換基の組み合わせが好適である。例えばR,が水素原子である時、R2は好ましくは水素またはアリール基である。
R,およびR2が両方ともアルキル基である時、同一のR,およびR2アルキル基を有する化合物が好ましい。
R,およびR2が窒素原子と一緒に1〜2個のヘテロ原子を含む複素環式環を形成する時、該ヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され、好適な複素環式環はモルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニルおよびチオモルホリノとなり、モルホリノが最も好ましい。
式(I)の代表的化合物は:
N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
イミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N−フェニルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N−(アミノイミノメチル)−4−モルホリンカルボキシミドアミド;
N−(アミノイミノメチル)−4−チオモルホリンカルボキシミドアミド;
N−(アミノイミノメチル)−4−メチル−1−ピペリジンカルボキシミドアミ;
N−(アミノイミノメチル)−1−ピペリジンカルボキシミドアミド;
N−(アミノイミノメチル)−1−ピロリジンカルボキシミドアミド;
N−(アミノイミノメチル)−I−ヘキサヒドロアゼピンカルボキシミドアミド;
(アミノイミノメチル)−I−ヘキサヒドロアゼピンカルボキシミドアミド;
N−4−ピリジルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N,N−ジ−n−ヘキシルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N,N−ジ−n−ペンチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N,N−d−n−ブチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N,N−ジプロピルイミドジカルボンイミド酸ジアミド;
N,N−ジエチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドおよびそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩である。
式(II)はZがNまたはCH−−であり;X、YおよびQがそれぞれ独立して水素、アミノ、ヘテロシクロ、アミノ低級アルキル、低級アルキルまたはヒドロキシ基であり、そしてR3が水素またはアミノ基である構造、それらの対応する3−オキシドを含んでなり、そしてそれらの生物適合性の、そして製薬学的に許容され得る塩を含む。
X、YまたはQ置換基が環の窒素上にある式(II)の化合物は互換異性体として存在し、すなわち2−ヒドロキシピリミジンは2−(1H)−ピリミジンとしても存在することができる。両形態を本発明の実施に使用することができる。
式(II)の化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。式(II)の化合物の複素環式基は3〜6個の炭素原子を含み、そしてピロリジニル、−メチルピロリジニル、ピペリジノール、2−メチルピペリジノモルホリノおよびヘキサメチレンアミノのような基により例示される。
式(II)中の「自由な」X、Y、QおよびNHR3結合は、これらのバリアントが利用可能な炭素結合で環構造に結合できることを示す。X、YおよびQのヒドロキシバリアントは、窒素原子上でも存在することができる。
式IIにより包含される化合物の中で、特定の置換基の組み合わせが好適である。例えばR3を水素として、CH基として、そして少なくとも1つのX、YおよびQを別のアミノ基として有する化合物が好適である。R3が水素であり、ZがCH基であり、そしてXまたはYの1つがアミノ低級アルキル基である化合物群も好適である。別の好適な化合物群は、Rが水素であり、そしてZがN(窒素)であるものである。特定の置換パターンが好適であり、すなわち6−位(IUPAC番号付け、Z.bdb.CH)が好ましくは置換され、そして最も好ましくはアミノまたはニトロ含有基により置換される。また好適であるのは、X、YおよびQの2以上が水素以外である化合物である。
式IIの代表的化合物は:4,5−ジアミノピリミジン;4−アミノ−5−アミノメチル−2−メチルピリミジン;6−(ピペリジノ)−2,4−ジアミノピリミジン3−オキシド;4,6−ジアミノピリミジン;4,5,6−トリアミノピリミジン;4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン;2,4,5−トリアミノ−6−ヒドロキシピリミジン;2,4,6−トリアミノピリミジン;4,5−ジアミノ−2−メチルピリミジン;4,5−ジアミノ−2,6−ジメチルピリミジン;4,5−ジアミノ−2−ヒドロキシ−ピリミジン;および4,5−ジアミノ−2−ヒドロキシ−6−メチルピリミジンである。
式IIIは、R4が水素またはアシルであり、R5が水素または低級アルキルであり、Xaが低級アルキル、カルボキシ、カルボキシメチル、場合によりハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシまたはアセチルアミノ基で置換されたフェニルまたはピリジル基からなる群から選択される置換基であり、ただしXが場合によっては置換されたフェニルまたはピリジル基である時、R5は水素である構造を含んでなり、そしてそれらの生物適合性があり、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩を含む。
式(III)の化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、および対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。ハロバリアントは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード置換基であることができる。
本発明の目的について、式IIIの化合物の均等物は、それらの生物適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
塩は、限定するわけではないがメタンスルホン酸、塩酸、トルエンスルホン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸およびリン酸を含む種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式IIIにより包含される化合物の中で、特定の置換基が好適である。例えばR4は好ましくはメチル基であり、そしてXaは好ましくはフェニルまたは置換フェニル基である。
式IIIの代表的化合物は:N−アセチル−2−(フェニルメチレン)ヒドラジンカルボキシミドアミド;2−(フェニルメチレン)ヒドラジンカルボキシミドアミド;2−(2,6−ジクロロフェニルメチレン)ヒドラジンカルボキシミドアミドピリドキサールグアニルヒドラゾン;ピリドキサールホスフェートグアニルヒドラゾン、2−(1−メチルエチリデン)ヒドラジンカルボキシミドアミド;ピルビン酸グアニルヒドラゾン;4−アセトアミドベンズアルデヒドグアニルヒドラゾン;4−アセトアミドベンズアルデヒドN−アセチルグアニルヒドラゾン;アセト酢酸グアニルヒドラゾンおよびそれらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩である。
式IVは、R6が水素または低級アルキル基、または1〜3個のハロ、アミノ、場合によってはヒドロキシまたは低級アルキル基により置換されるフェニル基であり、R7が水素、低級アルキル基またはアミノ基であり、そしてR8が水素または低級アルキル基である構造を含んでなり、そしてそれらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩を含む。
式(IV)の化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、および対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。ハロバリアントは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード置換基であることができる。フェニル環が置換されている場合、置換基の点(1つまたは複数)は、直鎖分子に対してオルトメタまたはパラのフェニル環の結合点であることができる。
式IVの代表的合物は:等価のn−ブタンヒドラゾン酸ヒドラジド;4−メチルベンズアミドラゾン;N−メチルベンゼンカルボキシミド酸ヒドラジド;ベンゼンカルボキシミド酸1−メチルヒドラジド;3−クロロベンズアミドラゾン;4−クロロベンズアミドラゾン;2−フルオロベンズアミドラゾン;3−フルオロベンズアミドラゾン;4−フルオロベンズアミドラゾン;2−ヒドロキシベンズアミドラゾン;3−ヒドロキシベンズアミドラゾン;4−ヒドロキシベンズアミドラゾン;2−アミノベンズアミドラゾン;ベンゼンカルボヒドラゾン酸ヒドラジド;ベンゼンカルボヒドラゾン酸1−メチルヒドラジド;およびそれらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
式Vは、R9およびR10が独立して水素、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシ基である構造を含んでなり、ただし「自由な」アミノ基が固定されたアミノ基に隣接し、そしてそれらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩を含む。
式(V)の化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。同様に式(V)の化合物中の低級アルコキシ基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシおよびヘキソキシおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。
本発明の目的に関して式Vの化合物に均等であるのは、それらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
そのような塩は限定するわけではないが、メタンスルホン酸、塩酸、トルエンスルホン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸およびリン酸を含む種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式Vにより包含される化合物の中で、特定の置換基が好適である。例えばR9が水素である時、R10も好ましくは水素である。
式Vの代表的化合物は:3,4−ジアミノピリジン;2,3−ジアミノピリジン;5−メチル−2,3−ジアミノピリジン;4−メチル−2,3−ジアミノピリジン;6−メチル−2,3−ピリジンジアミン;4,6−ジメチル−2,3−ピリジンジアミン;6−ヒドロキシ−2,3−ジアミノピリジン;6−エトキシ−2,3−ジアミノピリジン:6−ジメチルアミノ−2,3−ジアミノピリジン;ジエチル2−(2,3−ジアミノ−6−ピリジル)マロネート;6(4−メチル−1−ピペラジニル)−2,3−ピリジンジアミン;6(メチルチオ)−5−(トリフルオロメチル)−2,3−ピリジンジアミン;5−(トリフルオロメチル)−2,3−ピリジンジアミン;6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)−2,3−ピリジンジアミン;6−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2,3−ピリジンジアミン;5−メトキシ−6−(メチルチオ)−2,3−ピリジンジアミン;5−ブロモ−4−メチル−2,3−ピリジンジアミン;5−(トリフルオロメチル−2,3−ピリジンジアミン;6−ブロモ−4−メチル−2,3−ピリジンジアミン;5−ブロモ−6−メチル−2,3−ピリジンジアミン;6−メトキシ−3,4−ピリジンジアミン;2−メトキシ−3,4−ピリジンジアミン;5−メチル−3,4−ピリジンジアミン;5−メトキシ−3,4−ピリジンジアミン;5−ブロモ−3,4−ピリジンジアミン;2,3,4−ピリジントリアミン;2,3,5−ピリジントリアミン;4−メチル−2,3,6−ピリジントリアミン;4−(メチルチオ)−2,3,6−ピリジントリアミン;4−エトキシ−2,3,6−ピリジントリアミン;2,3,6−ピリジントリアミン;3,4,5−ピリジントリアミン;4−メトキシ−2,3−ピリジンジアミン;5−メトキシ−2,3−ピリジンジアミン;6−メトキシ−2,3−ピリジンジアミンおよびそれらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
式VIは、nが1または2であり、R11がアミノ基またはヒドロキシエチル基であり、そしてR12がアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、低級アルキ基または式alk−Yaの基であり、ここでalkは低級アルキレン基であり、そしてYaがヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、および4〜7環の員および1〜3個のヘテロ原子を含む複素環式基からなる群から選択され、ただしR11がヒドロキシエチル基である時、R,はアミノ基である構造;それらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩を含んでなる。
本明細書で言う低級アルキル基、低級アルキレンおよび低級アルコキシ基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、メチレン、メトキシ、エチル、エチレン、エトキシ、プロピル、プロピレン、プロポキシ、ブチル、ブチレン、ブトキシ、ペンチル、ペンチレン、ペンチルオキシ、ヘキシル、ヘキシレン、ヘキシルオキシ、および対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。本明細書で言う複素環式基は、少なくとも1個、そして最高3個のヘテロ原子をその中に有する4〜7員環を含む。
代表的な複素環式基は、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ、メチルピペラジノおよびヘキサメチレンイミノのような基である。
本発明の目的に関して式VIの化合物に均等であるのは、それらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
そのような塩は限定するわけではないが、メタンスルホン酸、塩酸、トルエンスルホン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸およびリン酸を含む種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式VIの化合物の中で、特定の置換基の組み合わせが好適である。例えばR11がヒドロキシエチル基である時、R12はアミノ基である。R11がアミノ基である時、R12は好ましくはヒドロキシ低級アルキルアミノ、低級アルキル基、または式alk−Yの基であり、ここでalkは低級アルキレン基であり、そしてYはヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、および4〜7環の員および1〜3個のヘテロ原子を含む複素環式基からなる群から選択される。
代表的な式(VI)の化合物は:1−アミノ−2−[2−(2−ヒドロキシエチル)ヒドラジノ]−2−イミダゾリン;1−アミノ−[2−(2−ヒドロキシエチル)ヒドラジノ]−2−イミダゾリン;1−アミノ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−イミダゾリン;1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン;1−(2−ヒドロキシエチル)2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン;1−アミノ−2−([2−(4−モルホリノ)エチル]アミノ)イミダゾリン;([2−(4−モルホリノ)エチル]アミノ)イミダゾリン;1−アミノ−2−([3−(4−モルホリノ)プロピル]アミノ)イミダゾリン;1−アミノ−2−([3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル]アミノ)イミダゾリン;1−アミノ−2−([3−(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ)イミダゾリン;1−アミノ−2−([3−(エトキシプロピル)アミノ]イミダゾリン、1−アミノ−2−([3−(1−イミダゾリル)プロピル]アミノ)イミダゾリン、1−アミノ−2−(2−メトキシエチルアミノ)−2−イミダゾリン、(2−メトキシエチルアミノ)−2−イミダゾリン、1−アミノ−2−(3−イソプロポキシプロピルアミノ)−2−イミダゾリン;1−アミノ−2−(3−メチルチオプロピルアミノ)−2−イミダゾリン;1−アミノ−2−[3−(1−ピペリジノ)プロピルアミノ)イミダゾリン;1−アミノ−2−[2,2−ジメチル−3−(ジメチルアミノ)プロピルアミノ]−2−イミダゾリン;1−アミノ−2−(ネオペンチルアミノ)−2−イミダゾリン;およびそれらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
式VIIは、R13が水素またはアミノ基であり、R14およびR15は独立してアミノ基、ヒドラジノ基、低級アルキル基またはアリール基であり、ただしR13、R14およびR15の1つはアミノ基またはヒドラジノ基でなければならない構造を含んでなり、そしてそれらの生物学的に、そして製薬学的に許容され得る酸またはアルカリ付加塩を含む。
上で言う低級アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、および対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。
式VIIにより包含されるアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換フェニル、例えばトリルおよびキシリル、および1〜2個のハロ、ヒドロキシまたは低級アルコキシ基で置換されたフェニルのような、6〜10個の炭素原子を含むものである。
式VII中のハロ原子は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであることができる。低級アルコキシ基は1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等により具体的に説明される。
本発明の目的に関して式VIIの化合物に均等であるのは、それらの生物学的に、そして製薬学的に許容され得る酸付加塩である。そのような酸付加塩は、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、桂皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸、アスコルビン酸および関連する酸のような種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式VIIにより包含される化合物の中で、特定の置換基の組み合わせが好適である。例えばR13が水素である時、R14は好ましくはアミノ基である。R14がヒドラジノ基である時、Rは好ましくはアミノ基である。
代表的な式(VII)の化合物は:3,4−ジアミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール;3,5−ジメチル−4H−1,2,4−トリアゾール−4−アミン;4−トリアゾール−4−アミン;4−トリアゾール−4−アミン;4−トリアゾール−4−アミン;4−トリアゾール−4−アミン;2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−(1−エチルプロピル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−シクロヘキシル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−プロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン;5−シクロヘキシル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミンである。
式VIIIは、R16が水素またはアミノ基であり、R17はR16が水素である時、アミノ基またはグアニジノ基であるか、あるいはR17はR16がアミノ基である時、アミノ基であり、R18およびR19が独立して水素、ヒドロキシ、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはアリール基である構造を含んでなり、そしてそれらの生物学的または製薬学的に許容され得る酸またはアルカリ付加塩を含む。
式VIIIの化合物中の低級アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。低級アルコキシ基も同様に1〜6個の炭素原子を含み、そして好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等により具体的に説明される。
上記式により包含されるアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換フェニル、例えばトリルおよびキシリル、および1〜2個のハロ、ヒドロキシまたは低級アルコキシ基で置換されたフェニルのような、6〜10個の炭素原子を含むものである。
上記式VIIIの化合物中のハロ原子は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであることができる。
式VIIIの化合物の生物学的または製薬学的に許容され得る塩は、哺乳動物の身体により耐容されるものであり、そして硫酸、リン酸、塩酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、桂皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸、アスコルビン酸および関連する酸のような種々の有機および無機酸から誘導することができる酸付加塩を含む。式VIIIの化合物に包含される化合物の中で、特定の置換基が好ましい。例えばR,がアミノ基である化合物は好適な基である。
代表的な式(VIII)の化合物は:2−グアニジノベンズイミダゾール;1,2−ジアミノベンズイミダゾール;1,2−ジアミノベンズイミダゾールヒドロクロライド;5−ブロモ−2−グアニジノベンズイミダゾール;5−メトキシ−2−グアニジノベンズイミダゾール;5−メチルベンズイミダゾール−1,2−ジアミン:5−クロロベンズイミダゾール−1,2−ジアミン;および2,5−ジアミノベンズイミダゾールである。
R20−CH−(NHR21)−COOH(IX)を含んでなる式IXは、R20が水素;1または2個のヒドロキシ、チオール、フェニル、ヒドロキシフェニル、低級アルキルチオール、カルボキシ、アミノカルボキシまたはアミノ基で場合により置換された低級アルキルからなる群から選択され、そしてR21が水素およびアシル基からなる群から選択される構造式;およびそれらの生物適合性の、そして製薬的学的に許容され得る酸付加塩である。
式IXの化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。
本明細書で言うアシル基は、2〜10個の炭素原子を有する低級アルキル、アリールおよびヘテロアリールカルボン酸の残基である。それらはアセチル、プロピオニル、ブタノイル、バレリル、ヘキサノイルおよび対応するより高級な鎖およびそれらの分枝鎖同族体により典型的に表される。アシル残基は1以上の二重結合および/またはさらなる酸官能基、例えばグルタリルまたはスクシニルも含むことができる。
本明細書で使用するアミノ酸はL&D;立体化学的配座を有するか、またはそれらの混合物として使用することができる。しかしL−立体配座が好適である。
本発明の目的について式IXの化合物に均等であるのは、それらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。そのような塩は、メタンスルホン酸、塩酸、トルエンスルホン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸、リン酸および関連する酸のような種々の無機および有機酸から誘導することができる。
代表的な式IXの化合物は;リシン;2,3−ジアミノコハク酸;システインおよびそれらの生物適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。
式Xは、R22およびR23が独立して水素、アミノ基またはモノ−もしくはジ−アミノ低級アルキル基であり、R24およびR25が独立して水素、低級アルキル基、アリール基またはアシル基であり、ただしR22およびR23の1つはアミノ基またはモノ−もしくはジ−アミノ低級アルキル基でなければならない構造を含んでなり、そしてそれらの生物学的または製薬的学的に許容され得る酸またはアルカリ付加塩を含む。
式Xの化合物中の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。モノ−もしくはジ−アミノ低級アルキル基は、1または2個のアミノ基により鎖中が置換された低級アルキル基である。
本明細書で言うアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換フェニル、例えばトリルおよびキシリル、および1〜2個のハロ、ヒドロキシおよび低級アルコキシ基で置換されたフェニルのような、6〜10個の炭素原子を含むものである。本明細書で言うアシル基は、低級アルキル、アリールおよび2〜10個の炭素原子を有するヘテロアリールカルボン酸の残基である。それらはアセチル、プロピオニル、ブタノイル、バレリル、ヘキサノイルおよび対応するより高級な鎖およびそれらの分枝鎖同族体により典型的に表される。アシル残基は1以上の二重結合および/またはさらなる酸官能基、例えばグルタリルまたはスクシニルも含むことができる。
上で言うヘテロアリール基は、3〜6個の炭素原子および酸素、窒素または硫黄のような1以上のヘテロ原子を含有する芳香族複素環式基を包含する。
上記式X中のハロ原子は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであることができる。低級アルコキシ基は1〜6個、そして好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等により具体的に説明される。
生物学的または製薬学的に許容され得る塩という用語は、哺乳動物の身体により耐容されるものであり、そして硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、桂皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸、アスコルビン酸および関連する酸のような種々の有機および無機酸から誘導することができる酸付加塩により例示される。
式Xにより包含される化合物の中で、特定の置換基の組み合わせが好適である。例えばR22およびR23が両方ともアミノ基である時、R24およびR25は好ましくは両方とも水素原子である。R22またはR23がアミノ基であり、そしてR24またはR25の1つがアリール基である時、もう1つのR24およびR25は好ましくは水素である。
代表的な式Xの化合物は:1,2−ジアミノ−4−フェニル[1H]イミダゾール;1,2−ジアミノイミダゾール;1−(2,3−ジアミノプロピル)イミダゾールトリヒドロクロライド;4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール−1,2−ジアミン;4−(4−クロロフェニル)イミダゾール−1,2−ジアミン;4−(4−ヘキシルフェニル)イミダゾール−1,2−ジアミン;4−(4−メトキシフェニル)イミダゾール−1,2−ジアミン;4−フェニル−5−プロピルイミダゾール−1,2−ジアミン;1,2−ジアミノ−4−メチルイミダゾール;1,2−ジアミノ−4,5−ジメチルイミダゾール;および1,2−ジアミノ−4−メチル−5−アセチルイミダゾールである。
式XIは、R26がヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、アミノ低級アルコキシ、モノ−低級アルキルアミノ低級アルコキシ、ジ−低級アルキルアミノ低級アルコキシまたはヒドラジノ基、または式−−NR29R30の基であり、ここでR29が水素または級アルキルであり、そしてR30が1〜20個の炭素原子のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基または4〜7個の環員および1〜3個のヘテロ原子を含む複素環式基であるか;あるいはR29およびR30は窒素と一緒にモルホリノ、ピペリジニルまたはピペラジニル基を形成し;あるいはR29が水素である時、R30もヒドロキシ基であることができ;R27が0〜3個のアミノまたはニトロ基、および/またはヒドラジノ基、ヒドラジノスルホニル基、ヒドロキシエチルアミノまたはアミジノ基であり;R28が水素、または1もしくは2個のフルオロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、カルボキシ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノまたはヒドロキシ低級アルキルアミノ基であり;ただしR26がヒドロキシまたは低級アルコキシ基である時、R27は非−水素置換基であり;さらにR26がヒドラジノである時、少なくとも2つの非−水素置換基がフェニル環上になければならず;そしてさらにR28が水素である時、R30はアミノイミノ、グアニジル、アミノグアニジニルまたはジアミノグアニジル基であることもできる構造を含んでなり、そしてそれらの製薬学的に許容され得る塩および水和物を含む。
式XIの化合物の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。シクロアルキル基は4〜7個の炭素原子を含み、そしてシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルおよびシクロヘプチル基のような基により例示される。
式XIの化合物の複素環式基には、少なくとも1個および最高3個のヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄を中に有し、そして様々な不飽和度を含む4〜7員環を含む。
代表的なそのような複素環式基は、モルホリノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、ピペラジノ、メチルピペラジノ、ヘキサメチレンイミノ、ピリジル、メチルピリジル、イミダゾリル、ピロリジニル、2,6−ジメチルモルホリノ、フルフラル、1,2,4−トリアゾイリル、チアゾリル、チアゾリニル、メチルチアゾリル等のような基である。
本発明の目的に関して、式XIの化合物に均等であるのは、それらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩および水和物である。そのような塩は、限定するわけではないがメタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トルエンスルホン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸およびリン酸を含む種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式XIの化合物が1以上の不斉炭素原子を含む時、鏡像異性体の混合物ならびに純粋な(R)もしくは(S)鏡像異性体を本発明の実施に使用することができる。
さらに、フェニル環上に3,4−ジアミノまたは2,3−ジアミノ−5−フルオロ置換基のパターンを有する化合物が高度に好適である。
代表的な式XIの化合物は:4−(シクロヘキシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミンヒドロクロライド;3,4−ジアミノベンズヒドラジド;4−(n−ブチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレン−ジアミンジヒドロクロライド;4−(エチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレン−ジアミンジヒドロクロライド;4−カルバモイル−o−フェニレンジアミンヒドロクロライド;4−(モルホリノ−カルボニル)−o−フェニレン−ジアミンヒドロクロライド;4−[(4−モルホリノ)ヒドラジノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−(1−ピペリジニルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミンジヒドロクロライド;2,4−ジアミノ−3−ヒドロキシ安息香酸;4,5−ジアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸;3,4−ジアミノベンズアミド;3,4−ジアミノベンズヒドラジド;3,4−ジアミノ−N,N−ビス(1−メチルエチル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N,N−ジエチルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N,N−ジプロピルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(2−フラニルメチル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(2−メチルプロピル)ベンズアミド;ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(5−メチル−2−チアゾリル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(6−メトキシ−8−キノリニル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(6−メチル−2−ピリジニル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(2−ピリジニル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(2−チアゾリル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−(4−ピリジニル)ベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−[9H−ピリド(3,4−b)インドール−6−イル]ベンズアミド 3,4−ジアミノ−N−ブチルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−シクロヘキシルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−シクロペンチルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−デシルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−ドデシルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−メチルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−オクチルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−ペンチルベンズアミド;3,4−ジアミノ−N−フェニルベンズアミド;4−(ジエチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(tert−ブチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−イソブチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ネオペンチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ジプロピルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(n−ヘキシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン、4−(n−デシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(n−ドデシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(1−ヘキサデシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(オクタデシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ヒドロキシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(2−ヒドロキシエチルアミノ−カルボニル)−o−フェニレン;4−[(2−ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−[(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチルアミノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−(6−ヒドロキヘキシルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(3−エトキシプロピルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(3−イソプロポキシプロピルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(3−ジメチルアミノプロピルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−[4−(2−アミノエチル)モルホリノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−[4−(3−アミノプロピル)モルホリノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−N−(3−アミノプロピル)ピロリジノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−[3−(N−ピペリジノ)プロピルアミノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−[3−(4−メチルピペラジニル)プロピルアミノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−(3−イミダゾイルプロピルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(3−フェニルプロピルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアミノ−カルボニル]−o−フェニレンジアミン;4−(イミダゾリルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ピロリジニル−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ピペリジノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(1−メチルピペラジニル−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(2,6−ジメチルモルホリノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ピロリジン−1−イルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(ホモピぺリジン−1−イルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(4−メチルピぺラジン−1−イルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(1,2,4−トリアゾール−1−イルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(グアニジニル−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−(グアニジニルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン;4−アミノグアニジニルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン、4−(ジアミノグアニジニルアミノ−カルボニル)−o−フェニレンジアミン、3,4−アミノサリチル酸4−グアニジノ安息香酸;3,4−ジアミノベンゾヒドロキサム酸;3,4,5−トリアミノ安息香酸;2,3−ジアミノ−5−フルオロ−安息香酸;および3,4−ジアミノ安息香酸であり;そしてそれらの製薬学的に許容され得る塩を含む。
式XIIは、R31が水素、低級アルキル基またはヒドロキシ基であり;R32が水素、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキル基またはアリール基であり;R33が水素またはアミノ基である構造;およびそれらの生物学的または製薬学的に許容され得る酸付加塩を含んでなる。
式XIIの化合物の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。同様に低級アルコキシ基は1〜6個、そして好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ等を含む。ヒドロキシ低級アルキルは、1級、2級および3級アルコール置換基パターンを含む。
式XIIの化合物のアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換フェニル、例えばトリルおよびキシリル、および1〜2個のハロ、ヒドロキシまたは低級アルコキシ基で置換されたフェニルのような、6〜10個の炭素原子を含むものを包含する。
上記式XIIのハロ原子は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードであることができる。
生物学的または製薬学的に許容され得る塩という用語は、哺乳動物の身体により耐容されるものを指し、そして硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、桂皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸、アスコルビン酸および関連する酸のような種々の有機および無機酸から誘導することができる酸付加塩により例示される。
式XIIの化合物に包含される化合物の中で、特定の置換基が好ましい。例えばR32がヒドロキシであり、そしてR33がアミノ基である化合物が好適である。
代表的な式XIIの化合物は:3,4−ジアミノピラゾール;3,4−ジアミノ−5−ヒドロキシピラゾール;3,4−ジアミノ−5−メチルピラゾール;3,4−ジアミノ−5−メトキシピラゾール;3,4−ジアミノ−5−フェニルピラゾール;1−メチル−3−ヒドロキシ−4,5−ジアミノピラゾール;1−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジアミノピラゾール;1−(2−ヒドロキシエチル)−3−フェニル−4,5−ジアミノピラゾール;1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−4,5−ジアミノピラゾール;1−(2−ヒドロキシエチル)−4,5−ジアミノピラゾール;1−(2−ヒドロキシプロピル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジアミノピラゾール;3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール;および1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジアミノピラゾール;およびそれらの生物学的および製薬学的に許容され得る酸付加塩である。
式XIIIは、Xが−NR1−、−S(O)−、−S(O)2−または−O−であるn=1〜6の場合、R1がH、直鎖アルキル基(C1−C6)および分枝鎖アルキル基(C1−C6)からなる群から選択される構造を含んでなる。Y=−N−、−NH−または−O−、そしてZがH、直鎖アルキル基(C1−C6)および分枝鎖アルキル基(C1−C6)からなる群から選択される。
式XIVについて、式中、R37が低級アルキル基、または式NR41NR42の基(式中、R41が水素であり、そしてR42が低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基であるか;あるいはR41およびR42が窒素原子と一緒に、4〜6個の炭素原子および窒素原子に加えて、0〜1個の酸素、窒素または硫黄原子を含む複素環式基である)あり:R38が水素またはアミノ基であり;R39が水素またはアミノ基であり;R40が水素または低級アルキル基であり;ただしR38、R39およびR40の少なくとも1つは水素以外であり;そしてさらにR37およびR38は両方がアミノ基であることはできず;およびそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩。
式XIVの化合物の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。
NR41R42基により形成される複素環式基には、0〜1個のさらなるヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄を中に有し、そして様々な不飽和度を含む4〜7員環である。代表的なそのような複素環式基は、モルホリノ、ピペリジノ、ヘキサヒドロアゼピノ、ピペラジノ、メチルピペラジノ、ヘキサメチレンイミノ、ピリジル、メチルピリジル、イミダゾリル、ピロリジニル、2,6−ジメチルモルホリノ、1.2.4−トリアゾイリル、チアゾリル、チアゾリニル等のような基である。
本発明の目的に関して式XIVの化合物に均等であるものは、それらの生物学的に適合性があり、そして製薬学的に許容され得る塩である。そのような塩は限定するわけではないが、メタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トルエンスルホン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸およびリン酸を含む種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式XIVの化合物が1以上の不斉炭素原子を含む時、鏡像異性体の混合物ならびに純粋な(R)もしくは(S)鏡像異性体を本発明の実施に使用することができる。
式XIVにより包含される化合物の中で、特定の置換基の組み合わせが好適である。例えばR37が複素環式基、そして特にモルホリノまたはヘキサヒドロアゼピノ基である化合物が高度に好ましい。
代表的な式XIVの化合物は:2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ヒドラジンカルボキシミド酸ヒドラジド;N−(4−モルホリノ)ヒドラジンカルボキシミドアミド;1−メチル−N−(4−モルホリノ)ヒドラジンカルボキシミドアミド;1−メチル−N−(4−ピペリジノ)ヒドラジンカルボキシミドアミド;1−(N−ヘキサヒドロアゼピノ)ヒドラジンカルボキシミドアミド;N,N−ジメチルカルボンイミド酸ジヒドラジド;1−メチルカルボンイミド酸ジヒドラジド;2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)カルボヒドラゾン酸ジヒドラジドおよびN−エチルカルボンイミド酸ジヒドラジである。
式XVは、(R43NH=)CR44−W−CR45(=NHR43)(XV):
を含んでなる構造であり、式中、R43がピリジル、フェニルまたは式のカルボン酸置換フェニル基であり;式中、R46が水素、低級アルキル基または水−可溶化エステル部分であり;Wが炭素−炭素結合または1〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、R44が低級アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、そしてR45が水素、低級アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;そしてこれはそれらの生物学的または製薬学的に許容され得る酸付加塩を含む。
式XVの化合物の低級アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。これらの基は1以上のハロ、ヒドロキシ、アミノまたは低級アルキルアミノ基により場合によっては置換される。
式XVの化合物のアルキレン基も同様に、直鎖もしくは分枝鎖であることができ、そしてエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンおよびそれらの対応する分枝鎖異性体により例示される。
この式のカルボン酸置換フェニル基であるR基において:
式中、R44は水素、低級アルキルまたは水−可溶化エステル部分であり、水−可溶化エステル部分は当該技術分野で知られているそのような種々のエステルから選択することができる。典型的にはこれらのエステルは、ジアルキレンまたはトリアルキレングリコールまたはそれらのエーテル、ジヒドロキシアルキル基、アリールアルキル基、例えばニトロフェニルアルキルおよびピリジルアルキル基、およびヒドロキシおよびカルボキシ置換アルキル基のカルボン酸エステルおよびリン酸エステルに由来する。特に好適な水可溶化エステル部分は、2,3−ジヒドロキシプロパンおよび2−ヒドロキシエチルホスフェートに由来するものである。
上記式XVにより包含されるアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換フェニル、例えばトリルおよびキシリル、および1〜2個のハロ、ヒドロキシまたは低級アルコキシ基で場合により置換されたフェニルのような、6〜10個の炭素原子を含むものである。 フェニルまたはアリール環の置換について可能性がある場合、置換基の位置はヒドラジン基の窒素に関するフェニルまたはアリール環の結合点に対して、オルト、メタまたはパラであることができる。
上記式XV中のハロ原子は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであることができる。低級アルコキシ基は、1〜6個、そして好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等により具体的に説明される。
上記式XV中のヘテロアリール基は1〜2個のヘテロ原子、すなわち窒素、酸素または硫黄を含み、そしてそしてフリル、ピロリニル、ピリジル、ピリミジニル、チエニル、キノリルおよび対応するアルキル置換化合物により例示される。
本発明の目的に関して、式XVの化合物に均等であるのは、それらの生物学的および製薬学的に許容され得る酸付加塩である。そのような酸付加塩は、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、桂皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸および関連する酸のような種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式XVにより包含される化合物の中で特定の置換基が好適である。例えばWが炭素−炭素結合であり、R44がメチル基であり、そしてR45が水素である化合物が好ましい。
代表的な式XVの化合物は:メチルグリオキサールビス−(2−ヒドラジノ−安息香酸)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(ジメチル−2−ヒドラジノベンゾエート)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(フェニルヒドラジン)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(ジメチル−2−ヒドラジノベンゾエート)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(4−ヒドラジノ安息香酸)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(ジメチル−4−ヒドラジノベンゾエート)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(2−ピリジル)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(ジエチレングリコールメチルエーテル−2−ヒドラジノベンゾエート)ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−[1−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−2−ヒドラジンベンゾエートヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−[1−(2−ヒドロキシエタン)−2−ヒドラジノベンゾエート]ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−[(1−ヒドロキシメチル−1−アセトキシ))−2−ヒドラジノ−2−ベンゾエート]ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−[(4−ニトロフェニル)−2−ヒドラジノベンゾエート]ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−[(4−メチルピリジル)−2−ヒドラジノベンゾエート]ヒドラゾン;メチルグリオキサールビス−(トリエチレングリコール2−ヒドラジノベンゾエート)ヒドラゾンおよびメチルグリオキサールビス−(2−ヒドロキシエチルホスフェート−2−ヒドラジンベンゾエート)ヒドラゾンである。
式XVIは、R47およびR48がそれぞれ水素であるか、または一緒に2〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、あるいはR47が水素である時、R48は式alk−−N−R50R51の基であることができ、ここでalkは1〜8個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基であり、そしてR50およびR51は独立してそれぞれ1〜6個の炭素原子の低級アルキル基であるか、あるいは該窒素原子と一緒にモルホリノ、ピペリジニルまたはメチルピペラジニル基を形成し;R49が水素であるか、またはR47およびR48が一緒に2〜3個の炭素原子のアルキレン基である時、ヒドロキシエチル基であり;Wが炭素−炭素結合または1〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、そしてR52が低級アルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり、そしてR53が水素、低級アルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり;ただしWが炭素−炭素結合である時、R52およびR53は一緒に1,4−ブチレン基であることもでき;あるいはWが場合により1もしくは2個の低級アルキルまたはアミノ基で置換された1,2−、1,3−または1,4−フェニレン基、2,3−ナフチレン基;2,5−チオフェニレン基;または2,6−ピリジレン基であり;そしてR52およびR53が両方とも水素であるか、または両方が低級アルキル基であり;あるいはWがエチレン基であり、そしてR52およびR53が一緒にエチレン基であるか;あるいはWがエテニレン基であり、そしてR52およびR53が一緒にエテニレン基であるか;あるいはWがメチレン基であり、そしてR52およびR53が一緒に式=C(−CH3)−N−(H3C−)C=またはC−W−C−の基であり、そしてR52およびR53が一緒にビシクロ−(3,3,1)−ノナンまたはビシクロ−3,3,1−オクタン基を形成し、そしてR47およびR48が一緒に2〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、そしてR49が水素である構造を含んでなり;そしてそれらの生物学的または製薬学的に許容され得る酸付加塩を含む。
式XVIの化合物の低級アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。これらの基は1以上のハロ、ヒドロキシ、アミノまたは低級アルキルアミノ基により場合によっては置換される。
式XVIの化合物のアルキレン基も同様に、直鎖もしくは分枝鎖であることができ、そしてエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンおよびそれらの対応する分枝鎖異性体により例示される。
上記式XVIにより包含されるアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換フェニル、例えばトリルおよびキシリル、および1〜2個のハロ、ヒドロキシまたは低級アルコキシ基で場合により置換されたフェニルのような、6〜10個の炭素原子を含むものである。
上記式XVI中のハロ原子は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであることができる。低級アルコキシ基は、1〜6個、そして好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等により具体的に説明される。
上記式XVI中のヘテロアリール基は1〜2個のヘテロ原子、すなわち窒素、酸素または硫黄を含み、そしてそしてフリル、ピロリニル、ピリジル、ピリミジニル、チエニル、キノリルおよび対応するアルキル置換化合物により例示される。
本発明の目的に関して、式XVIの化合物に均等であるのは、それらの生物学的および製薬学的に許容され得る酸付加塩である。そのような酸付加塩は、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、桂皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸および関連する酸のような種々の有機および無機酸から誘導することができる。
式XVIにより包含される化合物の中で特定の置換基が好適である。例えばR48およびR49が一緒に2〜3個の炭素原子のアルキレン基である化合物が好適である、R52およびR53が一緒にブチレン、エチレンまたはエテニレン基である化合物、およびR52およびR53が両方ともメチルまたはフリル基である化合物も高度に好ましい。
代表的な式XVIの化合物は:メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン);メチルグリオキサールビス(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);テレフタルジカルボキシアルデヒドビス(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);テレフタルジカルボキシアルデヒドビス(グアニルヒドラゾン);フェニルグリオキサールビス(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);フリルグリオキサールビス(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);メチルグリオキサールビス(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンヒドラゾン);メチルグリオキサールビス(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンヒドラゾン);フェニルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン);フェニルグリオキサールビス(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);フリルグリオキサールビス(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンヒドラゾン);フェニルグリオキサールビス(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンヒドラゾン);フリルグリオキサールビス(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドラジノ−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−ヒドラゾン);2,3−ブタンジオンビス(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);1,4−シクロヘキサンジオンビス(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン−ヒドラゾン);o−フタル酸ジカルボキシアルデヒドビス(2−ヒド カルボキシミド酸ヒドラゾン);フリルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)ジヒドロクロライドジハイドレート;2,3−ペンタンジオンビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;1,2−シクロヘキサンジオンビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;2,3−ヘキサンジオンビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;1,3−ジアセチルビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;2,3−ブタンジオンビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;2,6−ジアセチルピリジン−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンヒドラゾン)ジヒドロブロミド;2,6−ジアセチルピリジンビス(グアニルヒドラゾン)ジヒドロクロライド;2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンヒドラゾン)ジヒドロブロミドトリハイドレート;2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド−ビス(グアニルヒドラゾン)ジヒドロクロライド;1,4−ジアセチルベンゼン−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンヒドラゾン)ジヒドロブロミドジハイドレート:1,3−ジアセチルベンゼン−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;1,3−ジアセチルベンゼン−ビス−(グアニル)ヒドラゾンジヒドロクロライド;イソフタルアルデヒド−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;イソフタルアルデヒド−ビス−(グアニル)ヒドラゾンジヒドロクロライド;2,6−ジアセチルアニリンビス−(グアニル)ヒドラゾンジヒドロクロライド;2,6−ジアセチルアニリンビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;2,5−ジアセチルチオフェンビス(グアニル)ヒドラゾンジヒドロクロライド;2,5−ジアセチルチオフェンビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;1,4−シクロヘキサンジオンビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;3,4−ヘキサンジオンビス(2−テトラヒドロピリミジン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;メチルグリオキサール−ビス−(4−アミノ−3−ヒドラジノ−1,2,4−トリアゾール)ヒドラゾンジヒドロクロライド;メチルグリオキサール−ビス−(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール)ヒドラゾンジヒドロクロライド;
2,3−ペンタンジオン−ビス−(2−ヒドラジノ−3−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;2,3−ヘキサンジオン−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;3−エチル−2,4−ペンタンジオン−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;メチルグリオキサール−ビス−(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−エチル−1,2,4−トリアゾール)ヒドラゾンジヒドロクロライド、メチルグリオキサール−ビス−(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール)ヒドラゾンジヒドロクロライド;メチルグリオキサール−ビス−(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール)ヒドラゾンジヒドロクロライメチルグリオキサール−ビス−(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−シクロブチル−1,2,4−トリアゾール)ヒドラゾンジヒドロクロライド;1,3−シクロヘキサンジオン−ビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミド;6−ジメチルピリジンビス(グアニル)ヒドラゾンジヒドロクロライド;3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチルピリジンビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリンヒドラゾンジヒドロブロミド;ビシクロ−(3,3,1)ノナン−3,7−ジオンビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミドおよびシス−ビシクロ−(3,3,1)オクタン−3,7−ジオンビス−(2−ヒドラジノ−2−イミダゾリン)ヒドラゾンジヒドロブロミドである。
式XVIIは、R54およびR55が水素、ヒドロキシ(低級)アルキル基、低級アシルオキシ(低級)アルキル基、低級アルキル基からなる群から独立して選択されるか、またはR54およびR55がそれらの環の炭素と一緒に芳香族縮合環であることができ;Zaが水素またはアミノ基であり;
Yaが水素、または式−CH2C(=O)−R56の基(式中、Rは低級アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノまたはアリール基であり);または式−−CHR’の基(式中、R’は水素または低級アルキル、低級アルキニルまたはアリール基であり)であり;そしてAはハライド、トシラート、メタンスルホネートまたはメシチレンスルホネートイオンである構造を含んでなる。
式XVIIの化合物の低級アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。低級アルキニル基は2〜6個の炭素原子を含む。同様に低級アルコキシ基も1〜6個の炭素原子を含み、そしてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシおよびヘキソキシおよび対応するそれらの分枝鎖異性体を含む。これらの基は1以上のハロ、ヒドロキシ、アミノまたは低級アルキルアミノ基により場合によっては置換される。
上記式XVIIにより包含される低級アシルオキシ(低級)アルキル基は、アシルオキシ部分が2〜6個の炭素原子を含み、そして低級アルキル部分が1〜6個の炭素原子を含むものを含む。
典型的なアシルオキシ部分はアセトキシまたはエタノイルオキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシおよび対応するそれらの分枝鎖異性体のようなものである。典型的な低級アルキル部分は、本明細書の上記のような部分である。上記式により包含されるアリール基は、フェニルおよび低級アルキル置換−フェニル、例えばトリルおよびキシリルのような6〜10個の炭素原子を含むものであり、そしてに場合より1〜2個のハロ、ヒドロキシまたは低級アルコキシまたはジ(低級)アルキルアミノ基で置換される。好適なアリール基はフェニル、メトキシフェニルおよび4−ブロモフェニル基である。
上記式XVIIのハロ原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であることができる。
本発明の目的に関して、式XVIIの化合物は生物学的および製薬学的に許容され得る塩として形成される。有用な塩の形態はハライド、特にブロミドおよびクロライド、トシラート、メタンスルホネートおよびメシチレンスルホネート塩である。他の関連する塩は同様に非毒性の、そして生物学的および製薬学的に許容され得るアニオンを使用して形成することができる。
式XVIIにより包含される化合物の中で、特定の置換基が好適である。例えばR54およびR55が低級アルキル基である化合物が好適である。また高度に好適であるのは、Yaが2−フェニル−2−オキソエチルまたは2−[4’−ブロモフェニル]−2−オキソエチル基である化合物である。
代表的な式XVIIの化合物は:3−アミノチアゾリウムメシチレンスルホネート;3−アミノ−4,5−ジメチルアミノチアゾリウムメシチレンスルホネート;2,3−ジアミノチアゾリウムメシチレンスルホネート;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−チアゾリウムブロミド;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4,5−ジメチルチアゾリウムブロミド;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド;3−(2−フェニル−2−オキソエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド;3−(2−フェニル−2−オキソエチル)−4,5−ジメチルチアゾリウムブロミド;3−アミノ−4−メチルチアゾリウムメシチレンスルホネート;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−5−メチルチアゾリウムブロミド、3−(3−(2−フェニル−2−オキソエチル)−5−メチルチアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−ブロモフェニル)−2−オキソエチル]チアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−ブロモフェニル)−2−オキソエチル]−4−メチルチアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−ブロモフェニル)−2−オキソエチル]−5−メチルチアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−ブロモフェニル)−2−オキソエチル]−4,5−ジメチルチアゾリウムブロミド;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチル−5−(2−ヒドロキシエチル)チアゾリウムブロミド;3−(2−フェニル−2−オキソエチル)−4−メチル−5−(2−ヒドロキシエチル)チアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−ブロモフェニル)−2−オキソエチル]−4−メチル−5−(2−ヒドロキシエチル)チアゾリウムブロミド;3,4−ジメチル−5−(2−ヒドロキシエチル)チアゾリウムヨージド;3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド;3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロライド;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ベンゾチアゾリウムブロミド;3−(2−フェニル−2−オキソエチル)ベンゾチアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−ブロモフェニル)−2−オキソエチル]ベンゾチアゾリウムブロミド;3−(カルボキシメチル)ベンゾチアゾリウムブロミド;2,3−(ジアミノ)ベンゾチアゾリウムメシチレンスルホネート;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)チアゾリウムブロミド;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)−5−メチルチアゾリウムブロミド;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)4,5−ジメチルチアゾリウムブロミド;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)ベンゾアゾリウムブロミド;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)4−メチル−5−(2−ヒドロキシエチル)チアゾリウムブロミド;3−アミノ−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムメシチレンスルホネート;3−(2−メチル−2−オキソエチル)チアゾアゾリウムクロライド;3−アミノ−4−メチル−5−(2−アセトキシエチル)チアゾアゾリウムメシチレンスルホネート;3−(2−フェニル−2−オキソエチル)チアゾリウムブロミド;3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチル−5−(2−アセトキシエチル)チアゾリウムブロミド;3−(2−アミノ−2−オキソエチル)−4−メチル−5−(2−アセトキシエチル)チアゾリウムブロミド、2−アミノ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)チアゾリウムブロミド;2−アミノ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ベンゾチアゾリウムブロミド;2−アミノ−3−(2−アミノ−2−オキソエチル)チアゾリウムブロミド;2−アミノ−3−(2−アミノ−2−オキソエチル)ベンゾチアゾリウムブロミド;3−[2−(4’−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]チアゾリウムブロミド;3−[2−(2’,4’−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチル]−チアゾリニウムブロミド;3−[2−(4’−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]チアゾリニウムブロミド;3−[2−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−2−オキソエチル]−チアゾリニウムブロミド;3−[2−(4’−ジエチルアミノフェニル)−2−オキソエチル]チアゾリニウムブロミド、3−プロパルギル−チアゾリニウムブロミド;3−プロパルギル−4−メチルチアゾリニウムブロミド;3−プロパルギル−5−メチルチアゾリニウムブロミド;3−プロパルギル−4,5−ジメチルチアゾリニウムブロミド;および3−プロパルギル−4−メチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−チアゾリニウムブロミドである。
式XVIIIは、R57がOH、NHCONCR61R62またはN=C(NR61R62)2であり;
R61およびR62はそれぞれ、水素;直鎖もしくは分枝鎖のC1−10アルキル;アリールC1−4アルキル;およびモノ−もしくはジ−置換アリールC1−4アルキル(ここで置換基はフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、または直鎖もしくは分枝鎖のC1−10アルキルである)から独立して選択され;
さらにここでR58およびR59がそれぞれ、水素、アミノおよびモノ−もしくはジ−置換アミノからなる群から独立して選択され(ここで置換基はC1−10アルキル、直鎖もしくは分枝鎖のC3−8シクロアルキルであり;ただしR58およびR59が両方ともアミノまたは置換アミノではなく);そして
R60が水素、トリフルオロメチル;フルオロ;クロロ;ブロモ;またはヨードである構造、またはそれらの製薬学的に許容され得る塩を含んでなる。
本発明の別の観点では、3DG機能のインヒビターは、3DGと不可逆的に反応してイミダゾロンと呼ばれる5員環を形成するアミノ酸のアルギニンのような化合物であることができる。いったん反応が起こると、3DGは活性な架橋剤が除去されているので架橋化を引き起こすことができない。このようにアルギニンと3DGとの結合は、タンパク質の架橋化を防止する(実施例18および図12を参照にされたい)。本明細書に記載するように、コラーゲンを3DGで処理すると、コラーゲンがまるでより高分子量を有するかのような電気泳動的移動を引き起こし、これは架橋化を指示している。しかしコラーゲンのサンプルをアルギニンの存在下で3DGで処理すると、よりゆっくりと移動するタンパク質の出現が防止された(実施例18および図12を参照にされたい)。アルギニンは他のアルファ−ジカルボニル糖も阻害すると解釈すべきである。本発明はアルギニンを含むだけと解釈すべきではなく、それらの誘導体および修飾体も含むと解釈すべきである。本発明の1つの観点では、アルギニンは誘導化または修飾化されて皮膚または他の組織を透過もしくは通過するより高い効率を確実とし、またはより効力のある結果を確実とする。
アミノ酸アルギニンは構造:
を有する。
本発明の別の観点では、3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖機能のインヒビターは、L−システインまたはα−アミノ−β,β−メルカプト−β,β−ジメチル−エタンのような誘導体、またはその誘導体もしく修飾体であることができる。α−アミノ−β,β−メルカプト−β,β−ジメチル−エタンの員には、限定するわけではないが、D−ペニシラミン、L−ペニシラミンおよびD,L−ペニシラミンのような化合物(Jacobson et al.、国際公開第01/78718号パンフレットを参照にされたい)を含む。阻害される機能には、限定するわけではないが、タンパク質および他の分子の架橋化を阻害すること、ならびにタンパク質、脂質およびDNAのような分子に傷害を引き起こす機能のような本明細書に記載する種々の機能を含む。例えば脂質に対する傷害には脂質の過酸化を含むことができ、そしてDNAに対する傷害には突然変異誘発のような傷害を含むことができる。
本発明の1つの観点では、α−アミノ−β,β−メルカプト−β,β−ジメチル−エタンは誘導化または修飾されて皮膚または他の組織を透過もしくは通過するより高い効率を確実とし、または3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖の所望する機能の阻害により大きな効率を確実とする。
例えばα−アミノ−β,β−メルカプト−β,β−ジメチル−エタン誘導体、D−ペニシラミンは、構造:
を有する。
本明細書に記載する化合物は、3DG機能を阻害するか、または3DGに関連する皮膚疾患または障害あるいは他の組織および細胞の疾患および障害を処置することができる化合物だけではないと解釈すべきである。当業者は、3DG機能の阻害に関連して本明細書に記載する本発明の様々な態様は、3DG機能を阻害するために有用な他の方法および化合物も包含すると認識するだろう。また当業者は本発明を実施するために他の化合物および技術を使用することができると認識するだろう。本発明は、3DG機能を阻害し、そして3DGが関連する皮膚疾患または障害を処置する能力のために有用な化合物および方法を含むだけと解釈すべきではなく、グリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの化合物の他の員の機能を阻害する能力も含むと解釈すべきである。本発明は3DGが関連する歯肉疾患または障害のように、皮膚以外の3DGが関連する疾患および障害を処置することも含むと解釈すべきである。
3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖の合成、生産、蓄積および機能を阻害する化合物の同定法
本発明は、3DGインヒビターとして有用なさらなる化合物を同定するための様々な方法を含む。そのような方法は、試験化合物が3Dの合成、生産、形成、蓄積、機能および解毒に及ぼす効果を測定するために設計されるスクリーニングアッセイにおいて、試験化合物の使用を含む。3Dの合成、生産、形成、蓄積、機能および解毒は、本明細書に記載する様々なアッセイで測定することができ、すなわち試験化合物が3Dの合成、生産、形成、蓄積、機能および解毒に及ぼす効果もこれらのアッセイで測定することができる。同様に試験化合物が他のアルファ−ジカルボニル糖の合成、生産、形成、蓄積、機能および解毒に影響する能力も測定することができる。
1つの観点では、3DG合成の有力なインヒビターのスクリーニングに使用する方法には、フルクトサミンキナーゼ/アマドラーゼ活性またはアマドラーゼmRNAレベルを測定する1以上のアッセイの使用を含む(実施例17、21および22を参照にされたい)。別の観点では、そのようなアッセイは31P NMR分析を使用して、FL3Pの3DGおよびFLへの転換を測定する(実施例3を参照にされたい)。さらに別の観点では、3DG合成のインヒビターをスクリーニングするために使用する方法は、サンプル中の3DGのレベルを測定するか、またはサンプル中のその分解産物である3DFを測定する方法を含む。例えば尿、唾液、血漿、血液、組織、汗または細胞のようなサンプル中に得られる3DGは、本明細書に記載するようにガスクロマトグラフィー−質量分析を使用して測定することができ、そして3DFはHPLCを使用して測定することができる(実施例5、14および15を参照にされたい)。FLはHPLCを使用しても測定することができる。上記の種々の成分のレベルを決定するためのアッセイは、動物、好ましくはヒトから得た細胞、組織、血液、血漿、汗、唾液および尿サンプルについて行うことができる。さらに別の態様では、本発明は限定するわけではないが低分子、薬剤または他の作用物質を含む化合物の、架橋化タンパク質の形成を引き起こす3DG機能または3DGと他の分子の相互作用を破壊する能力について同定することを含む。1つのアッセイは、3DGが架橋化タンパク質を誘導する能力に基づく。本発明はコラーゲン、エラスチンおよびプロテオグリカンのような分子の架橋化を含むと解釈すべきである。1つの観点では、本発明はグリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの化合物の他の員の機能を破壊する能力に基づく化合物の同定も含む。
1つの態様では、本発明は3DG合成の酵素的経路の成分を阻害する化合物の同定を含む。そのような化合物には構造式XIXの化合物を含む。1つの観点では、本発明は哺乳動物の皮膚における3DG合成を阻害する化合物の同定法を含む。そのような方法は、試験化合物を該哺乳動物に投与し、そして該哺乳動物の皮膚における3DG合成のレベルを、該試験化合物を投与しないこと以外は同一である哺乳動物の皮膚における3DG合成のレベルと比較することを含んでなる。該試験化合物を投与した動物における低いレベルの3DG合成は、該試験化合物が3DG合成を阻害することの指標である。好ましくは試験化合物は試験化合物を受けなかった対照群と比べて、3DG合成を少なくとも20%まで阻害する。より好ましくは試験化合物は3DG合成を少なくとも50%まで阻害する。
別の態様では本発明は、構造式I−XVIIIを含んでなる化合物のような、3DGに結合するか、または後期糖化反応生成物により修飾されたタンパク質および架橋化タンパク質の形成を引き起こす3DGの能力を直接遮断する化合物の同定を含む。
さらに別の態様では、本発明は3DG合成の非酵素的経路を阻害する化合物の同定を含む。
本発明の別の態様では、本発明はグリオキサール、メチルグリオキサールおよびグルコソンを含むアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの化合物の員の蓄積および機能を阻害する化合物の同定を含む。本発明の別の観点では、本発明はアルファ−ジカルボニル糖合成の酵素的経路を阻害する化合物の同定を含む。
一般に、3DG(またはアルファ−ジカルボニル糖)の合成、生産、蓄積または機能に影響する化合物の同定法は、以下の一般工程を含む:
試験化合物を測定を行う細胞、組織、サンプルまたは個体に投与する。対照は試験化合物が加えられなかった細胞、組織、サンプルまたは個体である。より高い、またはより低いレベルの指標またはパラメーターが試験されれば、すなわち試験化合物により処理されなかったサンプル中の指標またはパラメーターのレベルに比べて、試験化合物の存在下で3DGレベル、合成、機能、分解等は、試験化合物が測定した指標またはパラメーターに効果を有することの指標であり、そしてそのままで所望した活性の阻害の候補である。試験化合物は使用すべき化合物の有効量、およびそれが投与されるべき効果的間隔を決定するために、変動する用量および頻度で加えることができる。別の観点では、試験化合物の誘導体または修飾体を使用することができる。
本発明の別の観点では、3DG機能インヒビターはタンパク質の架橋化を阻害する。別の観点では、インヒビターは後期糖化反応生成物により修飾されたタンパク質の形成を阻害する。さらに別の観点では、3DG機能のインヒビターは構造式I−XIXの1つの構造を含んでなるか、またはアルギニンまたはその誘導体もしくは修飾体である。
1つの態様では、インヒビターは製薬学的組成物の約0.0001%〜約15重量%を構成する。1つの観点では、インヒビターは放出制御製剤として投与される。別の観点では製薬学的組成物は、ローション、クリーム、ゲル、塗布剤、軟膏、ペースト歯磨き粉、口中洗浄剤、経口リンス、コーティング、溶液、粉末および懸濁液を含んでなる。さらに別の観点では組成物は、保湿剤、湿潤剤、粘滑剤、油、水、乳化剤、増粘剤、希釈剤、表面活性剤、香料、保存剤、抗酸化物質、水屈性剤、錯化剤、ビタミン、ミネラル、浸透強化剤、化粧用補助剤、漂白剤、脱色素剤、発泡剤、コンディショナー、粘度調整剤、緩衝剤およびサンスクリーンを含んでなる。
本発明は局所、経口、筋肉内および静脈内を含む種々の投与法を含むと解釈すべきである。
3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖の合成、形成、蓄積および機能の阻害を試験するアッセイ
本開示は、3DGの合成、形成、蓄積および機能の阻害を同定し、ならびに3DGの合成、形成、蓄積および機能に及ぼす種々のインヒビターの効果を測定するための一連のアッセイを提供する。またこのアッセイは3DGの分解、解毒およびクリアランスを測定するために使用されるアッセイも含む。本発明のアッセイには限定するわけではないが、HPLCアッセイ、電気泳動アッセイ、ガスクロマトグラフィー−質量分析アッセイ、アミノ酸分析、酵素活性アッセイ、最終糖化アッセイ、タンパク質架橋化アッセイ、NMR分析、イオン交換クロマトグラフィー、種々の化学分析、種々の標識技術、外科的および肉眼での切開技術、RNAの単離、RT−PCR、組織学的技術、種々の化学的、生化学的および分子合成技術、催奇性、突然変異誘発性および発癌性アッセイ、尿のアッセイ、排出物アッセイ、および様々な動物、組織、血液、血漿、細胞、生化学および分子技術を含む。合成技術を使用して:FL3Pの化学的または酵素的生産(実施例1、2および3);ポリオールリシン(実施例4);3−O−メチルソルビトールリシン(実施例8);フルクトシルスペルミン(実施例9);および糖化されたタンパク質食物(実施例13)のような化合物を生成することができる。本明細書には記載しないが、当業者には知られている他の技法を使用してもよい。
本発明の1つの態様では、新規な作用物質または化合物を試験する時、または本明細書に記載する種々のパラメーターを測定する時、標準を使用することができる。例えばフルクトース−リシンは3DGおよび3DFの既知のモジュレーターであり、そして試験作用物質または化合物の効果を比較することができる標準または対照として群または個体に投与することができる。さらにパラメーターを測定する時、標準の測定は個体が試験化合物で処置される前に個体から得た組織または流体中の3DGまたは3DF濃度のようなパラメーターを測定すること含むことができ、そして同じパラメーターを試験化合物での処置後に測定することができる。本発明の別の観点では、標準は外部から加えた標準であることができ、これはサンプルに加えられ、そして特にサンプルが幾つかの工程または手順を通して処理され、各工程で目的のマーカーの回収量を定めなければならない場合、内部対照として有用な作用物質または化合物である。そのような外部から加えられる内部標準は標識された形態、すなわち放射性同位体で加えられることが多い。
3DGに関連する皮膚の疾患または障害を診断する方法
本発明は皮膚における3DGの存在および皮膚における3DGレベルを測定する方法、および皮膚における3DG合成の原因である酵素を測定する方法を開示する(実施例19および20を参照にされたい)。また本発明は、皺、老化または他の様々な皮膚疾患もしくは障害と関連し得る皮膚における3DGレベルの変化を診断するために使用することができる方法も包含する。本発明は皮膚疾患および障害に関連する3DGを診断する方法のみを含むと解釈すべきではなく、他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚疾患および障害を診断する方法も含むと解釈すべきである。本発明は限定するわけではないが歯肉疾患および障害を含む他の細胞および組織の3DGが関連する疾患または障害を診断する方法も含むと解釈すべきである。
本発明の1つの態様では、皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚疾患もしくは障害がある患者を診断試験に供して、例えば皮膚中の3DGのレベル、3DGの機能的活性、3DFのレベル、3DF/3DG比、存在するアマドラーゼタンパク質またはmRNAの量、またはアマドラーゼ活性のレベルを決定することができる。そのような試験は本明細書に記載する種々の方法およびアッセイに基づくか、または当業者に既知である。影響を受けていない皮膚の領域または正常な患者の皮膚に比べて高いレベルの3DGもしくはアマドラーゼもしくはそれらの活性、または低いレベルの3DFは、皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚疾患もしくは障害が3DGに関連し、そして本発明の3DGインヒビターがこの問題に適切な処置となることの指標である。本発明は3DG以外のアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの分子が関連する皮膚疾患および障害を含むとも解釈されるべきである。
本発明の1つの観点では、3DG関連皮膚疾患または障害のさらなるマーカーを測定することができ、それらは限定するわけではないが3DFおよびFLレベル、架橋化タンパク質のレベル、ならびにグリオキサール、メチルグリオキサールおよびダルコソンのような他のアルファ−ジカルボニル糖のレベルを測定することを含む。
3DGの前駆体を測定することを含め、3DGレベルおよび機能を測定する多数のアッセイが本開示を通して記載されている(実施例1〜22を参照にされたい)。しかし本発明は本明細書に記載するアッセイを含むだけと解釈されるべきではなく、3DGレベルまたは機能活性を測定する間接的なアッセイまたは技法を含め、3DGレベルまたは機能を測定する他のアッセイを含むと解釈すべきである。例えば本発明の1つの観点では、3DGレベルおよび機能の間接的測定は、3DF、タンパク質の架橋化、プロテオグリカン架橋化のレベルのような事柄を測定すること、または3DGレベルと相関的であることが示された任意の他のアッセイにより決定することができる。
本発明の1つの観点では、3DGレベル等を測定するために使用するサンプルは皮膚のサンプルである。皮膚のサンプルは限定するわけではないが、穿刺生検、掻き取りおよび水疱形成技術を含む方法により得ることができる。
本発明の別の観点では、3DG関連皮膚疾患または障害に相関的な皮膚における3DGレベルまたは機能の間接的アッセイを使用することができる。このアッセイには限定するわけではないが、他の組織、汗、血液、血漿、唾液または尿中の3DGレベルまたは機能を測定するためのアッセイを含む。
本発明は3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚疾患または障害を診断する方法を開示し、被検者から生物学的サンプルを得、そして3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚の皺、老化、疾患または障害のパラメーターのレベルを、対照個体に由来する他は同一の生物学的サンプル中の同じパラメーターのレベルと比べることを含んでなる。対照は、同じ個体の影響を受けていない領域、または3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚疾患または障害により影響を受けていない個体に由来することができる。被検体中のより高いレベルのパラメーターは、被検体が3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖に関連する皮膚の皺、老化、疾患または障害を有することの指標である。測定できるパラメーターは本明細書に記載されているか、または当業者に知られており、そして限定するわけではないが、3DG、タンパク質の架橋化、プロテオグリカンの架橋化、後期糖化反応生成物で修飾化されたタンパク質、3DF、フルクトサミンキナーゼ/アマドラーゼレベルおよび活性、およびフルクトサミンキナーゼ/アマドラーゼmRNA、活性酸素種のレベルにおける変化を含む。
本発明のさらに別の観点において、3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖は、皮膚の老化、光加齢、皮膚の皺、皮膚ガン、角質増殖症、過形成、表皮肥厚症、乳頭腫症、皮膚病、色素過剰症、鼻瘤、強皮症および酒さを含んでなる群から選択される皮膚の疾患、障害状態、およびこれらの疾患、障害および状態の外観に関連し得る。本発明の別の観点では、3DGは限定するわけではないがタンパク質の架橋化、突然変異誘発性、催奇性、アポトーシス、活性酸素種の形成により引き起こされる酸化的傷害を含む機能に関連する。3DGおよび他のアルファ−ジカルボニル糖は、タンパク質だけでなく脂質およびDNAにも傷害を引き起こす機能と関連すると理解されている。本発明の観点では3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖は、限定するわけではないが、歯肉疾患および障害、膣および肛門粘膜疾患等を含む皮膚(限定するわけではないが粘膜を含む)の疾患および障害にも関連し得る。
本発明のさらに別の観点では、3DGレベルおよび機能を測定するアッセイは、皮膚の厚さまたは弾性および/または水分を測定するような皮膚の疾患および障害を測定するための他の方法と一緒に使用することができる。多くのこれらのアッセイを本発明に記載する。当業者は本明細書に記載されていない他のアッセイが3DGアッセイと一緒に使用されて、関与する皮膚の問題の種類および3DGが皮膚の問題に関連しているかどうかの完全な診断を形成することができると考えるだろう。
本発明はアルファ−ジカルボニル糖3DGのレベルを単に測定することにより皮膚疾患、状態または障害を診断することを含むと解釈されるべきではなく、アルファ−ジカルボニル糖ファミリーの他の員のレベル、ならびに限定するわけではないが3−デオキシフルクトースを含むそれらの分解産物を測定することも含むと解釈すべきである。
このように3DGと皮膚疾患または障害との間の関係を決定する診断アッセイの使用により、3DGのインヒビターでの処置を開始する前に適切な課題を選択できるようになる。
3DGまたは他のアルファ−ジカルボニル糖が関連する皮膚の皺、皮膚の老化または他の皮膚疾患、障害または状態を抑制または処置する方法
本発明は3DGに関連する皮膚疾患または障害を抑制または処置する方法も開示する。3DGが関連する疾患または障害の幾つかの例には、限定するわけではないが、皮膚ガン、乾癬、老化、皺、角質増殖症、過形成、表皮肥厚症、乳頭腫症、皮膚病、鼻瘤、および酒さを含む。ガンまたは他の疾患または障害は、本明細書に開示してきた任意の群のガンまたは他の疾患または障害、ならびに当業者に知られている任意の他の関連するガンまたは他の疾患または障害に属することができる。
本発明は、現在は知られていない他の3DG関連疾患または障害もいったん知られれば、本発明の方法を使用して処置できるので、これらの例のみに限定されると解釈するべきではない。当業者は3DGインヒビターが、3DGが皮膚の疾患または障害に関連することが知られているか、または知られるようになる皮膚の幾つかの疾患または障害に予防的に使用できると考える。例えば3DGインヒビターは日光(光加齢/光傷害)、熱、化学物質または寒冷のような苛酷な環境要素に暴露された個体の皺または他の皮膚の問題を防止するために適用することができる。そのような問題は3DGまたはアルファ−ジカルボニル糖により引き起こされるタンパク質または脂質もしくは核酸のような他の分子に対する傷害による。
当業者は本明細書に提供する開示に基づき、3DGが酸化的ストレスを増加し、そしてAGEsは次いで神経症および循環不全と関連するので、本発明が老化、強皮症および/または糖尿病の皮膚における微小循環および/または神経支配の損失を防ぐための方法を包含すると考えるだろう。
また本発明は、老化、強皮症および/または糖尿病の個体群における微小循環の損失および/または神経支配の損失に関連する、またはそれが媒介する毛髪の損失の防止法も包含する。これは3DGが、神経症の発症の原因に関係することが知られているAGEsの形成の既知の前駆体だからである。予備的データでは、DYN12で処置し、そして覚醒中の筋肉強度について測定した糖尿病のラットが、そのような処置をしなかった糖尿病のラットよりも強い筋肉強度を有することが示された。これは神経支配を支持する神経伝達(nerve conduction)および微小循環の維持が、AGEsだけでなく3DGによっても悪い影響を受けるという概念を支持する。同様に神経症の場合のように、3DGが毛包の神経支配を支持する微小循環の遮断を引き起こす場合、毛包は衰退し、そして死ぬ。したがって本発明は毛髪の損失を防止する方法を含み、ここでそのような毛髪の損失は毛包/毛幹に近い皮膚中の3DGの存在に関連するか、または媒介される。
同様に本発明は、毛髪の白髪化を防止する方法を含む。これは毛髪の損失に関してすでに検討したように、毛包または毛幹に関連する皮膚中の3DGの存在および/または活性を阻害することが、そのような毛髪に影響する微小循環に対する3DGの有害効果を防止でき、次いでそのような有害効果による毛髪の白髪化を防止するからである。
このように当業者は本明細書に提供される開示に基づき、本発明が毛髪の損失および/または毛髪の白髪化の防止に関する方法および組成物を包含すると考えるだろう。そのような組成物および方法には限定するわけではないが、3DGおよび/またはアマドラーゼの形成、蓄積および/または機能を阻害するように、本発明の化合物を投与する毛包に関連する毛髪および皮膚に適用することができるシャンプーまたは他の組成物を包含する。本明細書に提供する開示に基づき、当業者はそのような化合物には限定するわけではないが、メグルミンを含むと理解するだろう。さらに毛包に適用する組成物の製剤およびそれらの投薬用量および処方を本明細書に開示し、そしてそれはまた当業者には周知である。
本発明は皮膚の創傷治癒の処置法を包含する。これはROSが創傷の発生に関連しているからである。したがって当業者は本明細書に提供される開示に基づき、ROSの任意のインヒビターが創傷治癒に正に作用すると考えるだろう。ROS発生(originatin)における3DGの役割を仮定すれば、3DGの生成を阻害することによるROSの阻害は創傷を防止し、そして処置するために有用な方法をもたらすことができる。さらにすでに本明細書のいたるところで検討したように、糖尿病では3DGレベルが上昇し、そして非糖尿病よりも3DGの解毒効率が低いので、有用な創傷治療として皮膚における3DG阻害の使用の支持は、ジカエティックス(diqaetics)が特に創傷治癒の問題を起こす傾向があることを示す実験により提供される。このように3DGならびにその酵素的合成の原因となる酵素が皮膚に存在するという驚くべき知見は、初めて特に糖尿病について創傷治癒を促進するための新規治療薬の開発を可能とする。
3DGおよびその形成の経路が皮膚に存在し、そしてROSの生成に関与し、そしてROSが次いで炎症に関与するので、当業者は本発明が粘膜の炎症に関連する疾患、障害または状態も処置または改善する方法を包含すると考えるだろう。皮膚における3DGの形成、機能および/または蓄積の阻害は粘膜の炎症を抑えることができるので、粘膜(例えば鼻孔、膣、直腸、口腔等)の炎症に関係する状態はそのような阻害により抑制できる。例えば3DGの阻害は歯の褐変、口中の炎症、歯肉炎、歯周病、疱疹びらん等をモジュレートするために使用できる。
さらに3DG阻害は粘膜炎症を防止でき、そして創傷治癒を誘導することができるので、そのような阻害は感染が皮膚および/または粘膜を介する病原体の感染により媒介されるウイルス、バクテリアまたは真菌感染の防止および/または処置にも有用な治療薬を提供することができる。したがって本発明はアマドラーゼおよび/または3DGの不活性化剤(inactivator)を処置が必要な患者に提供することにより、真菌、ウイルスおよびバクテリア感染を防止または処置する方法および組成物を含む。
本発明は歯肉炎、歯周病、歯の黄ばみ等を処置または防止する方法を包含する。これは本明細書に記載するデータが、3DGが唾液中に存在し、そして皮膚に存在することを証明し、これは3DGが粘膜に存在する事を示唆すからである。すなわち当業者は本明細書に提供される開示に基づき、口中の粘膜に関連する3DGの阻害が、限定するわけではないが、歯肉炎、歯周病、歯の変色を含め、この分子に関連するか、または媒介される有害効果を抑えることができると考えるだろう。これは酸化的ストレスおよびAGEsがこれらの状態に関係し、そして3DGが酸化的ストレスおよびAGEsを誘導するからである。さらに当業者は本明細書に提供される教示から着手すれば、本発明がウィルソン病、慢性、関節リウマチ、進行性全身性硬化症、線維性肺疾患、レーノー現象、関節拘縮、シェーグレン症候群等を処置する方法を包含すると理解するだろう。これは3DGが活性酸素種の誘導を引き起こし、そして活性酸素種が炎症を引き起こし、ROSにより媒介されるか、またはROSが関連する炎症に関連する疾患は、3DGの阻害により防止または処置できるからである。したがってウィルソン病、慢性関節リウマチ、進行性全身性硬化症、線維性肺疾患、レーノー現象、関節拘縮、シェーグレン症候群等は、3DGおよびまたはアマドラーゼを阻害することに関して本明細書に説明する方法に従い処置することができる。
本発明は、乳ガンを処置する方法を含む。これは本明細書中のいたるところでさらに詳細に説明しているように、本明細書に開示するデータが、3DGが汗に存在することを証明するからである。乳腺は高度に特異化された汗腺であるので、当業者は本明細書に提供される開示に基づき、有害効果が3DGに関連するか、または媒介されると仮定すれば、そのような組織における3DGの阻害は有益な効果を提供すると考えるだろう。
本明細書に提供される開示に基づき当業者により想定されるように、3DGが酸化的ストレスおよび活性酸素種の形成を引き起こし、そして酸素的ストレスに打ち勝つ酵素を阻害するので、皮膚における3DGの阻害は乳ガンの処置に有用な治療薬を提供することができる。すなわち3DGは炎症に対して身体の防御を消耗させ、特に皮膚に高レベルの3DGが存在すると、皮膚および粘膜に存在する防御を悪く消耗させる。このように特定の理論に拘束されることは望まないが、3DGの効果は主にその酸化的ストレスに対する効果により、次いで全炎症カスケードによるものである。すなわち乳ガンでは1つの点突然変異ではなく、長期の酸化的ストレスがこの疾患を引き起こすと考えられていることが重要である。
同様に当業者は本明細書に開示する技術から着手すれば、3DGを含んでなる唾液、汗、リンパ液、尿、精液および血液のような体液が、皮膚により、または皮膚に関連して生産される場合、そのような流体と細胞、組織または器官との接触により媒介される疾患、障害または状態を、3DGの阻害により処置できると理解するだろう。体液中に存在する3DGにより媒介される、または関連するそのような疾患、障害または状態には、限定するわけではないが、非ホジキンリンパ腫を含み、この場合、3DGを含んでなる汗がリンパ腺を飽和する。さらに本発明は、3DG付加物も本明細書のいたるところに開示するものを含む3DGに関連する疾患、障害または状態に貢献するので、3DG付加物の形成を阻害し、および/またはこれらの付加物を不活性化する方法を含む。すなわち3DGの形成、蓄積および/または機能の防止が、老化および疾患に関連する化合物の有害効果、そしてさらに具体的には本明細書のいたるところに開示する皮膚に及ぼす3DGの有害効果を防止するように、いかなる場所で見いだされても3DG付加物および/または中間体の有害効果を阻止することは、同様にそれらの有害効果を防止する。当業者はいったん本明細書に提供される教示から着手すれば、そのような3DG付加物/中間体が、限定するわけではないが図18に表されるものを含み、そして3DGから形成されるそのような中間体/付加物がいかなる場所で見いだされても老化および疾患に貢献していると理解するだろう。
これらの付加物はこれまで未知であり、そして当業者は本明細書のそれらの新規開示に基づき、それら付加物を阻害することは皮膚において、およびそのような付加物が存在するいかなる場所でも付加物により媒介される、または関連する疾患プロセスを阻止すると考えるだろう。このように本発明は、当該技術分野で知られている本明細書に開示する、または将来開発される検出法を使用して検出される場合はいつでも、そのような3DG付加物の合成、形成および蓄積を阻害することを包含する。
本発明は、疾患の広い多血症を処置または改善する方法を包含し、この疾患は3DGと皮膚中のタンパク質、例えばコラーゲンおよびエラスチンとの相互作用による皮膚中の変化、およびROSの誘導、そして続いてそれらの皮膚中の成分との反応により媒介されるか、または関連する。すなわち本明細書に開示するデータは、皮膚中の3DGがコラーゲンの架橋化、そして次に皮膚の肥厚化を媒介し、またはそれに関連するので、皮膚の3DGおよび/またはアマドラーゼの蓄積、形成、機能を防止し、および/またはクリアランスを増加させることは、そのような肥厚化に媒介されるか、または関連する疾患障害または状態に治療的利益を提供することができる。
加えて、本発明は酸化的ストレスに媒介されるか、またはそれに関連する疾患、障害または状態を処置または改善することを包含する。これは3DGが酸化的ストレスを誘導する、すなわち3DGが酸化的ストレスを直接的に、またはAGEsの形成を通して誘導し、したがって3DGが炎症反応に関与するからである。このように3DGを阻害することは、炎症に関連する疾患、障害または状態を処置または防止する。そのような疾患、障害または状態には限定するわけではなが、歯肉炎、歯周病、歯の褐変/黄ばみ、疱疹損傷および瘢痕を含み、なぜならこれらはROSにより媒介されるか、または関連するからである。したがって例えば歯および/または口の組織(例えば歯肉等)を3DGのインヒビター、例えばメグルミンで処置することによりROSを防止することは、前述の疾患、障害または状態のような口腔前庭中のROSの有害効果を減らすことができる。
本発明はさらに3DG、その付加物/中間体の阻害、ならびにアマドラーゼおよび3DGの合成の阻害に基づく皮膚の外観に影響を及ぼす処置を包含する。すなわちたとえ状態、障害または疾患が処置または改善されない場合でも、本発明は皮膚の外観に影響を及ぼす処置法を含むので、わずかでも処置が無い場合よりも状態、障害または疾患が皮膚の外観に影響する程度は少なくなる。したがってこれらは化粧料であり、そして身体的外観に改善をもたらすことができる。
本発明は皮膚の弾力の損失に関連する皮膚の老化を処置する方法を含む。これは本明細書のいたるところでより完全に説明されているように、本明細書に開示するデータが初めて、3DGおよびその合成に関連する酵素が皮膚に存在し、そして3DGを阻害することが皮膚におけるその存在に関連する皮膚の弾力の損失を防止できるか、または逆行させることができることを示したからである。したがって当業者はいったん本明細書に提供される教示から着手すれば、皮膚の3DGを阻害することが皮膚における老化を減少させることができるので、本発明は皮膚の老化および皮膚の弾力の損失を抑制する有用な治療薬を提供すると考えるだろう。当業者はさらに皮膚の老化の治療薬が、限定するわけではないが、本明細書に開示する種々の処置を実行するために使用できる皮膚のラップ、剥離物(exfoiants)、マスク等を含め限定するわけでないが皮膚科学および美容外科学の技術において周知な様々の処置法を包含すると理解するだろう。
本発明は特に口中、直腸および膣経路におけるウイルス、真菌およびバクテリア感染に対する感受性を、アマドラーゼを阻害することにより、および/または3DGを不活性化することにより防止する方法を包含する。具体的には例えばHIV、パピローマウイルスおよびエプスタイン−バーウイルスによる感染に対する感受性を低下させることができ、それは皮膚中の変化が疾患に対する受容性に影響し、そして3DGがROSおよびAGEsの形成を誘導し、そしてまた皮膚のタンパク質、特にコラーゲンおよびエラスチンと活発に相互作用して、それらは受容性が改変されるように皮膚に影響を及ぼすからである。
当業者は本明細書に提供される開示に基づき、本発明が皮膚中の3DGに関連する疾患、障害または状態の広い多血症に有用な治療薬を提供することを理解するだろう。これはとりわけ、当該技術分野では3DGがROSの形成を媒介し、これは次に本明細書に説明する広い様々な疾患、障害または状態に関与することは周知であると知られているからである。
また本発明は、3DG以外のアルファ−ジカルボニル糖ファミリーの化合物の員と関連する皮膚の疾患または障害を抑制または処置する方法を含む。
本発明の1つの観点では、皮膚中の様々な変化を3DGのインヒビターで処置した後に測定することができる。皮膚の形状的特徴は:(a)皺の数;(b)皺の総面積;(c)皺の全長(d)皺の平均長;および(e)皺の平均の深さのようなパラメーターにより定めることができる。皺の種類は、深さ、長さおよび面積に基づき定めることができる。これらの特徴は、疾患または障害または皮膚に及ぼす処置の効果による皮膚中の変化を評価する時に使用することができる。様々な皮膚の質に及ぼす3DGレベルおよび機能の変化の効果は、当該技術分野で知られている技術に基づき決定することができる。皮膚の質を測定する方法には、限定するわけではないがバリストメーター(ballistometer)のような装置を用いて粘弾性を測定すること、カットメーター(cutometer)のような装置を用いて皮膚の機械的/垂直歪み特性を測定すること、コルネオメーター(corneometer)のような装置を使用して水和の程度における変化から生じる皮膚のキャパシタンスの変化を測定することを含む。
本発明は、本発明の方法を実行するために製薬学的または化粧用組成物中で同定された化合物の投与に関し、この組成物は化合物または化合物の適切な誘導体または断片および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる。例えば3DGの酵素依存的または非酵素依存的生産の適当なインヒビター、または3DG蓄積もしくは機能のインヒビター、または3DG除去、解毒もしくは分解の刺激物が組み合わされた化学的組成物が、適当な化合物を動物に投与するために使用される。本発明は3DGのインヒビターまたは3DG除去、分解または解毒の刺激物の1つ、または1以上の同時使用を含むと解釈すべきである。1より多くの刺激物またはインヒビターが使用される時、それらは一緒に投与することができるか、またはそれらは別個に投与することができる。
1つの態様では本発明の実施に有用な製薬学的組成物は、1ng/kg/日から100mg/kg/日の間の用量で送達するために投与することができる。別の態様では本発明の実施に有用な製薬学的組成物は、1ng/kg/日から100g/kg/日の用量を送達するために投与することができる。
有用な製薬学的に許容され得る担体には、限定するわけではないが、グリセロール、水、塩水、エタノールおよびリン酸塩および有機酸の塩のような他の製薬学的に許容され得る塩溶液を含む。これらおよび他の製薬学的に許容され得る担体の例は、レミングトンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)(1991、マック(Mack)出版社、ニュージャージー)に記載されている。
製薬学的組成物は、滅菌性の注入可能な水性または油性の懸濁液または溶液の状態で調製、包装または販売され得る。この懸濁液または溶液は既知の技術に従い製剤され、そして有効成分に加えて、本明細書に記載する分散剤、加湿剤または沈殿防止剤のようなさらなる成分を含んでなることができる。そのような滅菌性の注入可能な製剤は、例えば水または1,3−ブタンジオールのような非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒を使用して調製することができる。他の許容され得る希釈剤および溶媒には限定するわけではないが、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、および合成モノ−またはジ−グリセリドのような固定油を含む。
本発明の方法に有用な製薬学的組成物は、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻内、頬内、眼内または他の投与経路に適する製剤で投与され、調製され、包装され、かつ/または販売すれることができる。他の意図する製剤には、放射放出されるナノ粒子、リポソーム調製物、有効成分を含む再封入赤血球、および免疫学に基づく製剤を含む。
本発明の組成物は、限定するわけではないが経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻内、頬内または眼内投与経路を含む多数の経路を介して投与することができる。投与経路(1つまたは複数)は当業者には直ちに明白であり、そして処置する疾患の種類および重篤度、処置される動物またはヒト患者の種類および年齢等を含む任意の数の因子に依存する。
本発明の方法に有用な製薬学的組成物は、経口の固体製剤、眼内製剤、座薬、エーロゾル、局所または他の類似製剤で全身的に投与することができる。ヘパリン硫酸塩またはその生物学的均等物のような化合物に加えて、そのような製薬的組成物は、製薬学的に許容され得る担体および薬剤の投与を強化し、そして促進することが知られている他の成分を含むことができる。ナノ粒子、リポソーム、再封入赤血球および免疫学的に基づく系のような他の可能性のある製剤を使用して、本発明の方法による化合物を投与することもできる。
本明細書に記載する任意の方法を使用して同定される化合物を配合し、そして皮膚の老化、皮膚の皺、および本明細書に記載する種々の皮膚に関連する疾患、障害または状態を処置するために哺乳動物に投与することができる。
本発明は、皮膚の老化、光加齢および皮膚の皺を含む本明細書に記載する種々の皮膚に関連する疾患、障害または状態を処置するために有用な化合物を含んでなる製薬学的組成物の調製および使用を包含する。また本発明は限定するわけではないが、歯肉疾患および障害を含む皮膚以外の3DGが関連する疾患および障害も包含する。そのような製薬学的組成物は、個体に投与するために適当な形態の有効成分のみからなることができ、または製薬学的組成物は少なくとも1つの有効成分および1以上の製薬学的に許容され得る担体、1以上のさらなる成分、またはこれらの幾つかの組み合わせを含んでなるものでよい。有効成分は製薬学的組成物中に、当該技術分野で周知である生理学的に許容され得るカチオンもしくはアニオンとの組み合わせのような、生理学的に許容され得るエステルまたは塩の形態で存在することができる。
薬品の局所的投与に関する障害物は、表皮の角質層である。角質層はタンパク質、コレステロール、スフィンゴ脂質、遊離脂肪酸および様々な他の脂質を含んでなる高度に耐性の層であり、そして角化した、および生きている細胞を含む。角質層を通過する化合物の浸透速度(流れ)を制限する因子の1つは、皮膚表面上に乗せるか、または適用され得る活性物質の量である。皮膚の単位面積あたりに適用される活性物質の量が多いほど、皮膚表面と皮膚のより下層との間の濃度勾配が大きく、次に皮膚を通過する活性物質の拡散力(diffusion force)が大きい。したがって他が同じで、より低い濃度を要する製剤よりは、高濃度の活性物質を含む製剤は、活性物質が皮膚をより浸透し易くなり、そして浸透が多くなり、そしてより一定速度となる。
本明細書に記載する製薬学的組成物の製剤は、薬理学の分野で既知の、または今後開発される方法により調製することができる。一般にそのような調製法は、有効成分を担体または1以上の他の補助的成分と合わせるようにし、そして次いで必要または所望する場合、生成物を所望する単一−もしくは多−投与単位に成形または包装する工程を含む。
本明細書に提供する製薬学的組成物の記載は、主に認定基準に合ったヒトへの投与に適する製薬学的組成物を対象としているが、当業者にはそのような組成物が一般にすべての種の動物へ投与するためにも適すると理解するだろう。
組成物を種々の動物への投与に適するようにするために、ヒトへの投与に適する製薬学的組成物の修飾は十分に理解されており、そして通常の獣医薬理学者は、もし必要ならば実験を行って、単に通常のそのような修飾を計画し、そして行うことができる。本発明の製薬学的組成物が投与される個体は、限定するわけではないがヒトおよび他の霊長類、牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよびイヌのような商業的に興味のある哺乳動物を含む哺乳動物を含む。
本発明の方法に有用な製薬学的組成物は、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻内、頬内、眼内、硬膜下腔内または他の投与経路に適する製剤で調製され、包装され、または販売することができる。他の意図する製剤には、放射放出されるナノ粒子、リポソーム調製物、有効成分を含む再封入赤血球、および免疫学に基づく製剤を含む。
本発明の製薬学組成物は、バルクで、単回の単位用量として、または複数の単位用量として調製され、包装され、または販売することができる。本明細書で使用する「単位用量(unit dose)」とは、予め定めた量の有効成分を含んでなる製薬学的組成物の別個の量である。有効成分の量は一般に個体に投与される有効成分の投薬用量に等しいか、またはそのような投薬用量の例えば1/2または1/3のような便利な画分である。
本発明の製薬学的組成物中の有効成分、製薬学的に許容され得る担体および任意のさらなる成分の相対量は、処置する個体の同一性、サイズおよび状態に依存して、さらに組成物が投与される経路に依存して変動する。例として組成物は0.1%から100(重量/重量)%の有効成分を含んでなることができる。
有効成分に加えて、本発明の製薬学的組成物はさらに1以上の製薬学的に活性な作用物質を含んでなることができる。特に意図するさらなる作用物質には、制吐剤およびシアニドおよびシアネートスカベンジャーのようなスカベンジャーを含む。
本発明の製薬学的組成物の放出制御−または徐放性製剤は、通常の技術を使用して作成することができる。
局所的投与に適する製剤は、限定するわけではないが塗布剤、ローション、クリーム、軟膏もしくはペーストのような水中油および油中水乳液のような液体または半液体調製物、および溶液または懸濁液を含む。局所的に投与可能な製剤は、例えば約1%〜約10(重量/重量)%の有効成分を含んでなることができるが、有効成分の濃度は溶媒中の有効成分の溶解限界まででよい。局所投与用の製剤は、さらに本明細書に記載する1以上のさらなる成分を含んでなることができる。
浸透の強化剤を使用してもよい。これらの物質は皮膚をわたる薬剤の透過速度を増す。当該技術分野で典型的な強化剤には、エタノール、グリセロールモノラウレート、PGML(ポリエチレングリコールモノラウレート)、ジメチルスルフォキシド等を含む。他の強化剤にはオレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルフォキシド、極性脂質またはN−メチル−2−ピロリドンを含む。
本発明の組成物の幾つかを局所送達するために許容され得る賦形剤は、リポソームを含んでなることができる。リポソームの組成物およびそれらの使用は、当該技術分野では知られている(例えばConstanza、米国特許第6,323,219号明細書を参照にされたい)。
配合される活性化合物の供給源は、一般に化合物の特定の形態に依存する。低分子有機分子およびペプチドまたはオリゴ断片を化学的に合成し、そして製薬学的/化粧料用途に適する純粋状態で提供することができる。天然抽出物質の産物は、当該技術分野で既知の技術に従い精製することができる。組換え起源の化合物も当業者により利用可能である。
別の態様では局所的に活性な製薬学的または化粧料組成物は、保湿剤、化粧用補助剤、抗酸化物質、錯化剤、漂白剤、チロシンインヒビターおよび他の既知の脱色素剤、表面活性剤、発泡剤、コンディショナー、浸潤剤、加湿剤、乳化剤、香料、粘度調整剤、緩衝剤、保存剤、サンスクリーン等のような他の成分と任意に合わせることができる。別の態様では、浸透強化剤を欠く組成物に対して、浸透および透過強化剤は組成物に含められ、そして有効成分の角質中、そしてそれを通る皮下透過の改善に効果的である。オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルフォキシド、極性脂質またはN−メチル−2−ピロリドンを含む種々の浸透強化剤は、当業者には知られている。別の観点では、組成物はさらに角質の構造における障害を増すように機能する水分屈性剤を含んでなることができ、これにより角質をわたる輸送を増すようにする。イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、またはキシレンスルホン酸ナトリウムのような種々の水分屈性剤が当業者には知られている。本発明の組成物は、例えばトレチノイン、レチノール、トレチノインおよび/またはレチノールのエステル等を含む活性量のレチノイド(すなわちレチノイドレセプターのファミリーの任意の員に結合する化合物)を含んでもよい。
局所的に活性な製薬学的または化粧料組成物は、所望の変化を及ぼすために有効な量で適用すべきである。本明細書で使用する「有効量」は、変化を望む皮膚表面の領域を覆うために十分な量を意味する。活性化合物は、組成物の約0.0001%〜約15重量容量%の量で存在すべきである。より好ましくは、これは組成物の約0.0005%〜約5%の量で存在すべきであり;最も好ましくは組成物の約0.001%〜約1%の量で存在すべきである。そのような化合物は合成に、または天然に由来することができる。
生物起源から直接作成された液体誘導体および天然抽出物を、約1〜約99(重量/容量)%の濃度で本発明の組成物に使用することができる。天然抽出物の画分およびプロテアーゼインヒビターは、組成物の約0.01%〜約20%、そしてより好ましくは約1%〜約10%の異なる好適な範囲を有する。もちろん本発明の活性剤の混合物を組み合わせ、そして同じ製剤中で、または異なる製剤の順次適用で使用することができる。
本発明の組成物は組成物の総重量の約0.005%〜2.0%の保存剤を含んでなることができる。保存剤は、治療用ゲルまたはクリームのような本発明の組成物を適用するために使用する指との接触を含め、組成物が空気または患者の皮膚に対する暴露から環境中の混入物に暴露された時に、水性ゲルの場合に患者の繰り返し使用から腐敗を防ぐために使用する。本発明に従い有用な保存剤の例は、限定するわけではないがベンジルアルコール、ソルビン酸、パラベン、イミドウレアおよびそれらの組み合わせを含む。特に好適な保存剤は、約0.5%〜2.0%のベンジルアルコールと0.05%〜0.5%ソルビン酸との組み合わせである。
組成物は好ましくは、水性ゲル製剤中での本発明の使用のための化合物の分解を阻害する抗酸化物質および錯化剤を含む。幾つかの化合物に好適な抗酸化物質は約0.01%〜0.3%の好適な範囲でのBHT、BHA、アルファトコフェロールおよびアスコルビン酸であり、そしてより好ましくは組成物の総重量の0.03%〜0.1重量%の範囲のBHTである。好ましくは錯化剤は組成物の総重量の0.01%〜0.5重量%の量で存在する。特に好適な錯化剤は、組成物の総重量の約0.01〜0.20%の重量範囲、そしてより好ましくは0.02〜0.10重量%のエデト酸塩(例えばエデト酸二ナトリウム)およびクエン酸を含む。錯化剤は製剤の寿命に有害となり得る組成物中の金属イオンを錯化するために有用である。BHTおよびエデト酸二ナトリウム塩はそれぞれ、幾つかの化合物に特に好適な抗酸化物質および錯化剤であるが、当業者に知られているように他の適当かつ均等な抗酸化物質および錯化剤も、それらに置き換えることができる。
放出制御調製物も使用でき、そしてそのような調製物の使用のための方法は、当業者に知られている。
幾つかの場合では、使用する剤形は所望の放出プロフィールを変動する比率で提供するために、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマー性マトリックス、ゲル、浸透膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、または微小球またはそれらの組み合わせを使用して、中の1以上の有効成分の緩効性または制御放出を提供することができる。本明細書に記載するものを含め当業者に知られている適当な放出制御製剤は、本発明の製薬学的組成物に使用するために容易に選択することができる。すなわち放出制御に適合した錠剤、カプセル、ゲルキャップおよびキャプレットのような経口投与用の単一の単位剤形が本発明に包含される。
すべての放出制御型の製薬学的製品は、非制御型により達成される薬剤治療を改善する共通目標を有する。理想的には薬剤処置において最適に設計された放出制御調製物の使用は、最少量の薬剤物質が最小量の時間で状態を治癒または制御するために使用されることを特徴とする。放出制御製剤の利点には、薬剤の長期活性、低減された投薬頻度および上昇した患者のコンプライアンスを含む。さらに放出制御製剤は、作用開始時期または薬剤の血中レベルのような他の特性に影響を与えるように使用することもでき、すなわち副作用の同時発生に影響を与える可能性がある。
最も放出が制御された製剤は、所望の治療効果を即座に生成する薬剤の量を最初に放出し、そしてこの治療効果のレベルを長期にわたり維持するために、別の薬剤量を徐々に、しかも持続的に放出するように設計されている。体内の一定の薬剤レベルを維持するために、薬剤は体内で代謝され、そして排出される薬剤の量を置き換える速度で剤形から放出されなければならない。
有効成分の放出制御は、種々のインデューサー、例えばpH、温度、酵素、水または他の生理学的状態または化合物により刺激され得る。本発明の内容において用語「放出制御成分(controlled−release component)」とは、本明細書では有効成分の放出制御を促進する化合物(1つまたは複数)と定め、それらには限定するわけではないがポリマー、ポリマー性マトリックス、ゲル、浸透膜、リポソーム、または微小球またはそれらの組み合わせを含む。
液体懸濁液は、水性または油性賦形剤に有効成分を懸濁液を達成する常法を使用して調製することができる。水性賦形剤には例えば、水および等張性塩水を含む。油性賦形剤には例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、落花生、オリーブ、ゴマ、またはヤシ油のような植物油、分別植物油、および液体パラフィンのような鉱物油を含む。液体懸濁液は限定するわけではないが、沈殿防止剤、分散剤または加湿剤、乳化剤、粘滑剤、保存剤、バッファー、塩、風味剤、着色剤および甘味料を含む1以上のさらなる成分をさらに含んでなることができる。油性懸濁液はさらに増粘剤を含むことができる。既知の沈殿防止剤には限定するわけではないが、ソルビトールシロップ、水素化可食脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アラビアガム、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体を含む。既知の分散または加湿剤には限定するわけではないが、レシチンのような自然に存在するホスファチド、アルキレンオキシドと脂肪酸との、長鎖脂肪族アルコールとの、脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルとの、または脂肪酸とヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの(それぞれ例えばポリオキシエチレンステアレート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)の縮合生成物を含む。既知の乳化剤には限定するわけではないが、レシチンおよびアラビアガムを含む。既知の保存剤には限定するわけではないが、メチル、エチルまたはn−プロピル−パラ−ヒドロキシベンゾエート、アスコルビン酸およびソルビン酸を含む。既知の甘味料には限定するわけではないが、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、シュクロースおよびサッカリンを含む。油性懸濁液用の既知の増粘剤には、例えば蜜蝋、硬質パラフィンおよびセチルアルコールを含む。
水性または油性溶媒中の有効成分の液体溶液は、液体懸濁液と実質的に同じ様式で調製することができ、主要な変更は有効成分が溶媒に懸濁されるのではなく溶解される点である。本発明の製薬学的組成物の液体溶液は、液体懸濁液に関して記載した各成分を含んでなることができるが、沈殿防止剤は有効成分を溶媒に溶解することを必ずしも促進する必要はないと考えられる。水性溶媒には例えば水および等張性塩水を含む。油性溶媒には例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、落花生、オリーブ、ゴマ、またはヤシ油のような植物油、分別植物油、および液体パラフィンのような鉱物油を含む。
本発明の製薬学的調製物の粉末および粒状製剤は、既知の方法を使用して調製することができる。そのような製剤は例えば錠剤を形成するために、カプセルに充填するために、またはそれらに水性もしくは油性賦形剤を加えることにより水性もしくは油性懸濁液もしくは溶液を形成するために使用して、個体に直接投与することができる。これらの各製剤は、さらに1以上の分散または加湿剤、沈殿防止剤および保存剤を含んでなることができる。充填剤および甘味料、風味剤、着色剤のようなさらなる補形剤もこれらの製剤に含めることができる。
本発明の製薬学的組成物は、水中油型乳液または油中水型乳液の形態で調製、包装または販売することができる。油性相はオリーブまたは落花生油のような植物油、液体パラフィンのような鉱物油、またはこれらの組み合わせでよい。そのような組成物はさらに、アラビアガムまたはトラガカントガムのような自然に存在するガム、ダイズまたはレシチンホスファチドのような自然に存在するホスファチド、ソルビタンモノオレートのような脂肪酸およびヘキシトール無水物との縮合生成物の組み合わせに由来するエステルまたは部分エステル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレートのようなエチレンオキシドとの部分エステルのような縮合生成物のような1以上の乳化剤を含んでなることができる。これらの乳液は、例えば甘味料または風味剤を含むさらなる成分も含むことができる。
本明細書で使用する「油性」液体は、炭素を含有する液体分子を含んでなり、そして水より低い極性を表すものである。
経口投与に適する本発明の製薬学的組成物の製剤は、限定するわけではないが各々が予め定めた量の有効成分を含有する錠剤、硬質もしくは軟質カプセル、小袋、トローチまたはロゼンジを含む別個の固体用量単位の状態で調製、包装または販売することができる。経口投与に適する他の製剤には限定するわけではないが、粉末化または粒状製剤、水性もしくは油性懸濁液、水性もしくは油性溶液、ペースト、ゲル、歯磨き粉、口中洗浄剤、コーティング、経口リンス、または乳液を含む。経口リンスおよび口中洗浄剤という用語は、本明細書では互換的に使用する。
本発明の製薬学的組成物は、経口もしくは頬内投与に適する製剤で調製、包装または販売することができる。そのような製剤には限定するわけではないが、ゲル、液体、懸濁液、ペースト、歯磨き粉、口中洗浄剤もしくは経口リンスおよびコーティングを含んでなることができる。例えば本発明の経口リンスは、約1.4%の本発明の化合物、クロルヘキシジングルコネート(0.12%)、エタノール(11.2%)、サッカリンナトリウム(0.15%)、FD&C Blue No.1(0.001%)、ペパーミント油(0.5%)、グリセリン(10.0%)、Tween60(0.3%)を含んでなり、水を加えて100%とすることができる。別の態様では本発明の歯磨き粉は、約5.5%の本発明の化合物、ソルビトール、水中70%(25.0%)、サッカリンナトリウム(0.15%)、ラウリル硫酸ナトリウム(1.75%)、カルボポール934、6%分散物で(15%)、スペアミントの油(1.0%)、水酸化ナトリウム、水中50%(0.76%)、二塩基性リン酸カルシウム二水和物(45%)を含んでなり、水を加えて100%とすることができる。本明細書に記載する製剤の例は網羅的ではなく、そして本発明は本明細書には記載しないこれらおよび他の製剤のさらなる修飾を含むが、それらは当業者には知られていると考えられる。
有効成分を含んでなる錠剤は、例えば有効成分、場合により1以上のさらなる成分を圧縮もしくは成形することにより作成することができる。圧縮錠剤は、適当なデバイス中で粉末または粒状調製物のような自由に流動する状態の有効成分を、場合により1以上の結合剤、潤滑剤、賦形剤、表面活性剤および分散剤と混合して圧縮することにより調製できる。成形された錠剤は、適当なデバイス中で有効成分、製薬学的に許容され得る担体および少なくとも混合物を湿らせるために十分な液体の混合物を成形することにより調製できる。錠剤の製造に使用される製薬学的に許容され得る補形剤には、限定するわけではないが不活性な希釈剤、造粒および崩壊剤、結合剤および潤滑剤を含む。既知の分散剤には限定するわけではないが、ジャガイモ澱粉およびグリコール酸ナトリウム澱粉を含む。既知の表面活性剤には限定するわけではないが、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。既知の希釈剤には限定するわけではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸ナトリウムを含む。既知の造粒および崩壊剤には限定するわけではないがトウモロコシ澱粉およびアルギン酸を含む。既知の結合剤には限定するわけではないが、ゼラチン、アラビアガム、糊化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。既知の潤滑剤には限定するわけではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクを含む。
錠剤はコートされていないか、または既知の方法を使用してコートして、個体の胃腸管で遅延した崩壊を達成し、これにより徐放性および有効成分の吸収を提供することができる。例としてモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような物質を錠剤をコートするために使用することができる。さらに例として、錠剤は米国特許第4,256,108号;同第4,160,452号;および同第4,265,874号明細書に記載にれている方法を使用してコートして、浸透圧で放出制御される錠剤を形成することができる。錠剤はさらに製薬学的に洗練され、そして味が良い調製物を提供するために、甘味料、風味剤、着色剤、保存剤またはこれらの幾つかの組み合わせを含んでなることができる。有効成分を含んでなる硬質カプセルは、ゼラチンのような生理学的に分解可能な組成物を使用して作成することができる。そのような硬質カプセルは有効成分を含んでなり、そして例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンのような不活性な固体希釈剤を含むさらなる成分をさらに含んでなることができる。
有効成分を含んでなる軟質ゼラチンカプセルは、ゼラチンのような生理学的に分解可能な組成物を使用して作成することができる。そのような軟質カプセルは、水またはピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油のような油性媒質と混合できる有効成分を含んでなる。
経口投与に適する本発明の製薬学的組成物の液体製剤は、液体状態、または水もしくは別の適当な賦形剤で使用前に再構成することを意図する乾燥生成物の状態で調製、包装、そして販売することができる。
本発明の製薬学的組成物は、直腸投与に適する製剤で調製、包装または販売することができる。そのような組成物は例えば座薬、滞留浣腸調製物および直腸もしくは結腸潅注用の溶液形態であることができる。
座薬製剤は有効成分を、通常の室温(すなわち約20℃)では固体であり、そして個体の直腸温度(すなわち健康なヒトでは約37℃)では液体である非炎症性の製薬学的に許容されうる補形剤と合わせることにより作成することができる。適当な製薬学的に許容され得る補形剤には限定するわけではないが、カカオ脂、ポリエチレングリコールおよび種々のグリセリドを含む。座薬製剤は限定するわけではないが、抗酸化物質および保存剤のような様々なさらなる成分をさらに含んでなることができる。
直腸もしくは結腸潅注用の滞留浣腸調製物または溶液は、有効成分を製薬学的に許容され得る液体担体と合わせることにより作成することができる。当該技術分野で周知であるように、浣腸調製物は個体の直腸の解剖学的構造に適合した送達デバイスを使用して投与し、そしてその中に包装することができる。浣腸調製物は限定するわけではないが、抗酸化物質および保存剤のような様々なさらなる成分をさらに含んでなることができる。
本発明の製薬組成物は、膣投与に適当な製剤で調製、包装または販売することができる。そのような組成物は例えば座薬、タンポンのような含浸またはコートした膣に挿入可能な材料、洗浄調製物、または膣潅注用のゲルもしくはクリームもしくは溶液の形態であることができる。
材料を化学組成物で含浸またはコートする方法は当該技術分野では知られており、そして限定するわけではないが、表面に化学組成物を沈積または結合する方法、化学組成物を材料の合成中に材料の構造に包含させる方法(すなわち、生理学的に分解可能な材料を用いるような)、および後の乾燥を含むか、または含まない、水性もしくは油性溶液または懸濁液の吸収材料への吸収法を含む。
膣潅注用の洗浄調製物または溶液は、有効成分を製薬学的に許容され得る液体担体と合わせることにより作成することができる。当該技術分野で周知であるように、洗浄調製物は個体の膣の解剖学的構造に適合した送達デバイスを使用して投与し、そしてその中に包装することができる。洗浄調製物は限定するわけではないが、抗酸化物質、抗生物質、抗カビ・菌剤および保存剤を含む様々なさらなる成分をさらに含んでなることができる。本明細書で使用する製薬学的組成物の「非経口投与」には、個体の組織を物理的に裂く(breaching)ことを特徴とする投与、および組織中の裂傷(breach)を介する製薬学組成物の投与の任意の経路を含む。このように非経口投与には限定するわけではないが、組成物の注入による、外科的切開を介する組成物の適用による、組織を透過する非外科的創傷を介する組成物の適用等による製薬学的組成物の投与を含む。特に非経口投与には限定するわけではないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注入、および腎臓透析潅流法を含むことを意図する。
非経口投与に適する製薬学的組成物の製剤は、滅菌水または滅菌等張性塩水のような製薬学的に許容され得る担体と合わせた有効成分を含んでなる。そのような製剤は、ボーラス投与または連続投与に適する形態で調製、包装または販売することができる。注入用製剤は、アンプルのような単位剤形または保存剤を含む多回投薬容器で調製、包装または販売することができる。非経口投与用の製剤には限定するわけではないが、懸濁液、溶液、油性もしくは水性賦形剤中の乳液、ペーストおよび移植可能な徐放性または生分解性製剤を含む。そのような製剤は、限定するわけではないが沈殿防止、安定化または分散剤を含む1以上のさらなる成分をさらに含んでなることができる。非経口投与用の製剤の1つの態様では、再構成した組成物の非経口投与前に、適当な賦形剤(例えば滅菌性の発熱物質を含まない水)で再構成するために、有効成分が乾燥(すなわち粉末または粒状)状で提供される。
製薬組成物は、滅菌性の注入可能な水性もしくは油性懸濁液または溶液の状態で調製、包装または販売されることができる。この懸濁液または溶液は、既知の技術に従い配合されることができ、そして有効成分に加えて、本明細書に記載する分散剤、加湿剤または沈殿防止剤のようなさらなる成分を含んでなることができる。そのような滅菌性の注入可能な製剤は、例えば水または1,3−ブタンジオールのような非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒を使用して調製することができる。他の許容され得る希釈剤および溶媒には、限定するわけではないが、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、および合成モノ−もしくはジ−グリセリドのような固定油を含む。有用な他の非経口的に投与可能な製剤には、微結晶形態で、リポソーム調製物に、または生分解性ポリマー系の成分として有効成分を含んでなるものを含む。徐放性または移植用の組成物は、乳液、イオン交換樹脂、溶解し難いポリマーまたは溶解し難い可溶性塩のよう製薬学的に許容され得るポリマー性または疎水性材料を含んでなることができる。
本発明の製薬学的組成物は、頬内投与に適する形態で調製、包装または販売することができる。そのような製剤は例えば、常法を使用して作成された錠剤またはロゼンジの形態でよく、そして例えば0.1〜20(重量/重量)%の有効成分、経口で溶解可能または分解可能な組成物を含んでなるバランス、および場合により本明細書に記載する1以上のさらなる成分でよい。あるいは頬内投与に適する製剤は、有効成分を含んでなる粉末またはエーロゾル化または噴霧化溶液または懸濁液を含んでなることができる。そのような粉末化、エーロゾル化またはエーロゾル化製剤は、分散した時、好ましくは約0.1〜約200ナノメーターの範囲の平均粒子または小滴サイズを有し、そしてさらに本明細書に記載する1以上のさらなる成分を含んでなることができる。
本明細書で使用する「さらなる成分」には限定するわけではないが以下の1以上を含む;補形剤;表面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒および崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味料;風味剤;着色剤;保存剤;ゼラチンのような生理学的に分解可能な組成物;水性賦形剤および溶媒;油性賦形剤および溶媒;沈殿防止剤;分散または加湿剤;乳化剤、粘滑剤;バッファー;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗カビ・菌剤;安定化剤;および製薬学的に許容され得るポリマー性または疎水性材料。本発明の製薬学的組成物に含むことができる他の「さらなる成分」は当該技術分野では知られており、そして例えば引用により本明細書に編入するGenaro編集(1985,レミングトンの製薬科学、マック出版社、イーストン、ペンシルバニア州)に記載されている。
典型的には動物、好ましくはヒトに投与することができる本発明の化合物の投薬用量は、限定するわけではないが、処置する動物の種類および疾患状態の種類、動物の年齢および投与経路を含む任意の数の因子に依存して変動するだろう。
化合物は、1日に数回もの頻度で投与でき、または1日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1カ月に1回のようなより少ない頻度で、あるいは数カ月に1回またはさらに1年に1回以下のようなさらに少ない頻度で動物に投与することができる。投与の頻度は当業者には直ちに明白であり、そして限定するわけではないが、処置する疾患の種類および重篤度、動物の種類、年齢等のような任意の数の因子に依存するだろう。
当業者は、3DGを阻害するか、または3DG関連疾患または状態を処置する方法に関連する上記の本発明の様々な態様が、本明細書には記載しない他の疾患および状態を含むと認識するだろう。
キット
本発明は、3DGを阻害または刺激し、3DGに関連する皮膚の疾患および障害を処置するキット、3DGおよび3DG関連パラメーターを測定するキット、および3DGに関連する皮膚の疾患および障害を診断するキットも含むと解釈すべきである。本発明は3DG以外のアルファ−ジカルボニル糖に関するキットも含むと解釈すべきである。
本発明は3DGのインヒビターまたは本発明で同定する化合物、標準、およびインヒビターまたはインヒビターもしくは化合物を含んでなる組成物を細胞または動物に投与することを記載する使用説明書を含んでなるキットを含む。これは標準、および細胞または動物に化合物を投与する前に、本発明の組成物を溶解または懸濁するために適当な(好ましくは滅菌性)溶媒を含んでなるキットのような当業者に知られているものである他のキットの態様を含むと解釈すべきである。好ましくは動物は哺乳動物である。より好ましくは哺乳動物はヒトである。
また本発明は、3DG分解、解毒またはクリアランスの刺激物、あるいは本発明で同定されるそのような刺激化合物、標準および細胞もしくは動物に刺激物、または刺激物もしくは化合物を含んでなる組成物を投与することを記載する使用説明書を含んでなるキットを含む。これは標準、および化合物を細胞もしくは動物に投与する前に、本発明の組成物を溶解または懸濁するために適する(好ましくは滅菌性)溶媒を含んでなるキットのような当業者に知られている他のキットの態様を含むと解釈されるべきである。
上記のように、または以下の実施例に記載するように、本発明に従い当業者に周知の通例の化学的、細胞的、組織化学的、生化学的、分子生物学的、微生物学的および組換えDNA技術を使用することができる。そのような技術は文献に完全に説明されている。例えばSambrook et al.,1989 モレキュラークローニング−ア ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning:a Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバー出版;Glover、(1985)DNAクローニング:実践的取り組み(a Practical Approach);Gait,(1984)オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis);Harlow et al.、1988、抗体−ア ラボラトリーマニュアル、コールドスプリングハーバー出版;Roe et al.、1996 DNA単離およびシークエンシング;必須技術(DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques)、ジョン ウィリー(John Wiley);およびAusubel et al.、1995 分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、グリーネ(Greene)出版を参照にされたい。
さらに記載しないが、当業者は前述の記載およびこれから具体的に説明する実施例を使用して、本発明の化合物を作成そして利用し、そして特許請求する方法を実施することができると考えられる。したがって以下の作業実施例は本発明の好適な態様を具体的に指摘するものであり、そして開示の残りを限定すると解釈されるべきではない。
本発明を今、以下の実施例を参考にして説明する。これらの実施例は具体的説明の目的のみに提供され、そして本発明をこれらの実施例に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ本明細書に提供する教示の結果として明らかになるありとあらゆる変更を包含すると解釈すべきである。
[実施例1]
FL3Pの単離および同定:
以下のアッセイはフルクトース−リシン(FL)がそのリン酸化された状態、例えばFL3Pで同定できることを確認するために行った。糖尿病のラット腎臓の過塩素酸抽出物の31P NMR分析を行い、そして非腎臓組織中には観察されず、そして非糖尿病の腎臓で大変低減したレベルで存在する6.24ppmでの新規な糖のモノホスフェート共鳴が示された。観察された共鳴の原因である化合物は、抽出物のクロマトグラフィーにより微晶質セルロースカラムで溶出液として1−ブタノール−酢酸−水(5:2:3)を使用して単離した。構造はプロトン2D COSYによりフルクトース−リシン−3−ホスフェートであることが決定された。これは以前に記載された(Finot and Mauson,1969,Helv.Chim.Acta,52:1488)ように調製したFLを動物に注射することにより後に確認し、そしてFL3Pへの直接的リン酸化が示された。
3−位を特異的に重水素化したFLを使用して、炭素−3でのホスフェートの位置を確認した。これはカップリングおよび脱カップリングの両方で、31P NMRスペクトルを分析することにより行った。標準P−O−C−Hカップリング手順では、10.3HzのJ値を有するFL3Pに二重項を生じ;一方、P−O−C−Dはカップリングが無く、そして3−重水素化FL3Pについて見いだされたようにカップリングまたは脱カップリングの両方に単重項を生じる。FL3Pの独自な特性は、水素化ホウ素ナトリウムで処理した時、これが2つの新規共鳴を、マンニトールおよびソルビトール−リシン−3−ホスフェートに対応する5.85および5.95ppmに転換する点である。
[実施例2]
FL3Pの合成:
1ミリモルのジベンジル−グルコース−3−ホスフェートおよび0.25ミリモルのα−カルボベンゾキシ−リシンを、50mlをMeOH中で3時間還流した。溶液を100mlの水で希釈し、そしてピリジニウム形のDow−50カラム(2.5×20cm)でクロマトグラフィーを行い、そして最初に水(200ml)で、次いで600mlのバッファー(0.1Mピリジンおよび0.3M酢酸)で溶出した。標的化合物は水洗浄の終わりおよびバッファー洗浄の始めに溶出した。結果は5%Pd/Cを用いて20psiの水素によるcbzおよびベンジルブロッキング基の除去により、6%収率でFL3Pを与えることが示された。
[実施例3]
FLおよびATPからFL3Pの酵素的生産およびインヒビターをスクリーニングするためのアッセイ:
最初に31P NMRを使用して腎臓皮質にキナーゼ活性を示した。3gの新鮮なブタ腎臓皮質のサンプルを、9mlの50mM Tris−HCl(150mM KCl、5mM DTT、15mM MgCl2、pH7.5を含む)中で均一化した。これを10,000gで30分間遠心し、次いで上清を100,000gで60分間遠心した。硫酸アンモニウムを60%飽和まで加えた。4℃で1時間後、沈殿を遠心により回収し、そして5mlの初めのバッファーに溶解した。この溶液の2mlのアリコートを10mM ATPおよび10mMのFL(上記実施例1に従い調製した)と、37℃で2時間インキュベーションした。反応は300μlの過塩素酸により停止し、タンパク質を除去するために遠心し、そしてSephadex G10(5×10cm)のカラムで脱塩した。反応混合物の31P NMR分析によりFL3Pの形成が検出された。
このようにして得られたキナーゼ活性の証拠に基づき、放射性アッセイを開発した。このアッセイはFL3PによるDow−50カチオン交換樹脂への結合を利用するように設計した。このFL3Pの特性はそれを単離する試みの最中に見いだされた。ほとんどのホスフェートがこの樹脂に結合しないので、ATPならびに過剰なATPと反応するすべての化合物の大半は結合しないと予想された。第1段階はこのアッセイからATPを除去するために必要な樹脂の量を決定することであった。これは混合物を200mgのDow−1の懸濁液(0.9mlのH2O中)にピペットで入れ、ボルテックス混合し、そして遠心して樹脂をつめることにより行った。これから0.8mlの上清を200mgの新たな乾燥樹脂にピペットで入れ、ボルテックス混合し、そして遠心した。0.5ml容量の上清を10mlのEcoscint Aにピペットで入れ、そしてカウントした。残存カウントは85cpmであった。この手順をアッセイに使用した。粗皮質ホモジネートの60%硫酸アンモニウム沈殿からの沈殿を、4℃のホモジネートバッファーに再溶解した。アッセイは10mM γ33P−ATP(40,000cpm)、10mM FL、150mM KCl、15mM MgCl2、5mM DTTを0.1mlの50mMのTris−HCl、pH7.5中に含んだ。FL3P生成の速度と酵素濃度との間の関係を、1、2および4mgのタンパク質を用いた37℃で30分間の3回の測定を使用して決定した。FL無しのブランク実験を差し引き、そしてデータを記録した。観察された活性は、約20ナノモル/時間/mgタンパク質のFL3P合成速度に相当した。
[実施例4]
メグルミンおよび種々のポリオールリシンによる3−デオキシグルコソンの形成阻害:
a.一般的なポリオールリシン合成:
糖(11ミリモル)、α−カルボベンゾキシ−リシン(10ミリモル)およびNaBH3CN(15ミリモル)を、50mlのMeOH−H2O(3:2)に溶解し、そして25℃で18時間撹拌した。溶液を過剰なDow−50(H)イオン交換樹脂で処理して過剰なNaBH3CNを分解した。この混合物(液体に樹脂を加えたもの)を、Dow−50(H)カラム(2.5×15cm)に移し、そして水で十分に洗浄して、過剰な糖およびホウ酸を除去した。カルボベンゾキシ−ポリオールリシンを5%NH4OHで溶出した。得られた残渣を蒸発させ、そして水−メタノール(9:1)に溶解し、そして水素ガス(20psi)を用いて10%活性炭担持パラジウム触媒を使用して還元した。濾過および蒸発によりポリオールリシンを得る。
b.ソルビトールリシン、マンニトールリシンおよびガラクチトールリシンによる尿および血漿3−デオキシグルコソンを減らす実験的プロトコール:
尿は6匹のラットから3時間集めた。血漿サンプルも得た。次いで動物は10マイクロモルのソルビトールリシン、マンニトールリシンまたはガラクチトールリシンのいずれかを腹腔内注射により与えられた。尿はさらに3時間集め、そして血漿サンプルは3時間の終わりに集めた。
a.サンプル中の3−デオキシグルコソンは以下の実施例5に記載するように測定し、そして可変容量をクレアチニンに対して標準化した。尿の3−デオキシグルコソンの平均減少は、ソルビトールリシンにより50%、マンニトールリシンにより35%、そしてガラクチトールリシンにより35%であった。血漿の3−デオキシグルコソンの減少は、ソルビトールリシンにより40%、マンニトールリシンにより58%、そしてガラクチトールリシンにより50%であった。
b.尿の3−デオキシグルコソンを減少させるためのメグルミンの使用:
3匹のラットは、上に挙げたリシン誘導体の代わりにメグルミン(100マイクロモル)を腹腔内注射することを除き、直前のb)のように処置した。注射から3時間後、尿中の平均3−デオキシグルコソン濃度は42%減少した。
[実施例5]
糖化されたタンパク質を摂取した後のヒトの尿中のFL、3DGおよび3DFの上昇
a.糖化タンパク質を含む食品の調製:
260gのカゼイン、120gのグルコースおよび720mlの水を混合して、均一な混合物を生成した。この混合物を金属プレートに移し、そして65℃で68時間加熱した。次いで生成したケーキを粗い粉末に微粉化した。
この粉末はケルダール法で測定した時、60%タンパク質を含んだ。
b.糖化リシン含量の測定:
上記工程aで調製した1グラムの粉末は、6N HClで20時間還流することにより加水分解した。生成した溶液をNaOH溶液でpH1.8に合わせ、そして100mlに希釈した。フルクトースリシン含量はフロシン(フルクトースリシンの酸加水分解により得た生成物)としてアミノ酸分析機で測定した。このように、ケーキは5.5(重量/重量)%のフルクトースリシンを含有すると決定された。
c.実験プロトコール:
有志者は2日間、フルクトースリシンを含まない食物を取り、次いで22.5gの本明細書に記載したように調製した食品を摂取し、これで2グラム用量のフルクトースリシンを効果的に得た。尿は2時間間隔で14時間採取し、そして最終的な採取を24時間目に行った。
d.尿中のFL、3DGおよび3DFの測定:
FLは46℃でウォーターズ(Waters)C18フリーアミノ酸カラム、およびアセトニトリル−メチルアルコール−水(45:15:40)からアセトニトリル−酢酸ナトリウム−水(6:2:92)の勾配溶出系を1ml/分で使用して、ウォーターズ996ダイオードアレイを用いたHPLCにより測定した。定量は、メグルミンの内部標準を使用した。
3DFはサンプルの脱イオン化後にHPLCにより測定した。分析は、PA1カラム(ダイオネックス:Dionex)を使用し、そして32mMの水酸化ナトリウムで1ml/分の溶出を使用するダイオネックスDX−500HPLC系で行った。定量は、合成3DFで毎日得た標準曲線から行った。
3DGはサンプルの脱イオン化後にGC−MSにより測定した。3DGは10倍過剰のジアミノナフタレン(PBS中)で誘導化した。酢酸エチル抽出により塩を含まない画分を得、これをTri−Sil(ピアス:Pierce)でトリメチルシリルエーテルに転換した。分析はヒューレット−パッカード(Hewlett−Packard)5890選択イオンモニタリングGC−MSシステムで行った。GCは融合シリカキャピラリーカラム(DB−5、25mx.25mm)を用いて、以下の温度プログラムを使用して行った:注入口250℃、初期カラム温度150℃、これは1分間保持し、次いで290℃に16℃/分で上昇させ、そして15分間保持する。3DGの定量にはU−13C−3DGの内部標準を使用する選択イオンモニタリングを使用した。
この実施例に記載した実験の結果を今、提示する。
図3に表すグラフは、糖化タンパク質を摂取した後の1名の有志者の尿中のFL、3DFおよび3DG生産を表す。3種すべての代謝産物の迅速な出現が明白である。3DFおよび3DGの両方が24時間後でもわずかに上昇を示す。
図4に示すグラフは、7名の試験群の各員における3DFの形成を表す。同様なパターンがすべての場合で見られた。図4に示すように、3DF排出はFLボーラスの約4時間後にピークとなり、そして3DFのわずかな上昇がボーラスから24時間後でも顕著である。
[実施例6]
糖化タンパク質が増加した食物摂取の効果:
N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ(NAGase)は、糖尿病では尿中に高濃度で排出される酵素である。これは尿細管傷害の初期マーカーであると考えられるが、尿中で増加するNAGaseの病因は十分に理解されていない。糖尿病におけるNAGaseの増加した尿への排出は、糖尿病により誘導される尿細管付近のリソソームの活性化により、細胞の破壊よりも尿中への排出が増加すると提案された。
ラットに0.3%の糖化されたタンパク質を含む食物または対照食餌を、数カ月間にわたり与えた。NAGaseおよび3DFの尿排出は、図5に示す様々な時点で測定した。尿中に排出された3DGの量も測定した。
この実験から得られた結果は、すべての比較で3DFおよびNAGaseレベルが対照よりも実験群で上昇することを示す。このように糖化されたタンパク質を与えた動物は、糖尿病で得られた結果と同様に過剰なNAGaseを尿中に排出する。NAGase排出は対照動物と比較して実験群で約50%まで増加した。実験動物は対照と比較して尿中3DFにも5倍の上昇があった。図5および6に見ることができるように、尿中3DFは3DGと大変良く相関することが分かった。
[実施例7]
腎臓タンパク質の電気泳動的分析:
2匹のラットに毎日、5マイクロモルのFLまたはマンニトール(対照として使用した)のいずれかを5日間注射した。動物を屠殺し、そして腎臓を摘出し、そして皮質および髄質に切開した。組織は5容量の50mM Tris−HCl(150mM KCl、15mM MgCl2および5mM DTT、pH7.5を含む)中で均一化した。細胞屑は10,000×gで15分間遠心することにより除去し、次いで上清を150,000×gで70分間遠心した。可溶性タンパク質を12%ポリアクリルアミドゲルならびに4〜15および10〜20%の勾配ゲルでSDS−PAGEにより分析した。
すべての場合で、マンニトールを注射した動物に比べた時、FLを注射した動物の腎臓抽出物からは低分子量バンドが無いか、または視覚的に減っていた。
[実施例8]
3−O−メチルソルビトールリシン(構造XIX)の合成
3−OMeグルコース(25グラム、129ミリモル)およびα−Cbz−リシン(12グラム、43ミリモル)を200mlの水−メタノール(2:1)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(10グラム、162ミリモル)を加え、そして反応物を室温で18日間撹拌した。α−Cbz−リシンの反応は、視覚化にニンヒドリンを使用する1−ブタノール−酢酸−水(4:1:1)を採用したシリカゲルでの薄層クロマトグラフィーによりモニタリングした。反応はα−Cbz−リシンが無くなった時に完了させた。溶液をHClでpH2に調整して過剰なシアノボロ水素化物を分解し、中和し、次いでDowex−50(H+)のカラム(5×50cm)に乗せ、そしてカラムを水で洗浄して過剰な3−O−me−グルコースを除去した。標的化合物は5%水酸化アンモニウムで溶出した。蒸発後、残渣を50mlの水−メタノール(2:1)に溶解し、そして10%Pd/C(0.5グラム)を加えた。混合物を20psiの水素下で1時間振盪した。活性炭を濾去し、そして濾液を白色粉末(10.7グラム、α−Cbz−リシンに基づき77%収量)に蒸発させ、これは逆相HPLCにより分析した時、フェニルイソチオシアネート誘導体として均一であった。元素分析:C13H28N2O7CH3OH2H2Oに関する理論値C,42.86;H,9.18;N,7.14、測定値:C,42.94;H,8.50;N,6.95。
上記式(XIX)の構造を有する他の具体的化合物は、例えば選択した窒素−または酸素−含有出発材料(これはアミノ酸、ポリアミノ酸、ペプチド等でよい)を、所望により当業者には周知な手順に従い化学的に修飾することができるフルクトースのような糖化剤を用いた糖化により作成することができる。
[実施例9]
FL3Pキナーゼ活性のさらなるアッセイ:
a.ストック溶液の調製:
100mM HEPES pH8.0、10mM ATP、2mM MgCl2、5mM DTT、0.5mM PMSFであるアッセイバッファー溶液を調製した。2mM フルクトシル−スペルミンHClであるフルクトシル−スペルミンストック溶液を調製した。2mM スペルミンHClである対照溶液を調製した。
b.フルクトシル−スペルミンの合成:
フルクトシル−スペルミンの合成は、既知の手順(J.Hodge and B.Fisher,1963,Methods Carbohydr.Chem.,2:99−107)を適合させることにより行った。スペルミン(500mg)、グルコース(500mg)およびピロ亜硫酸ナトリウム(80mg)の混合物を、8:4:1(スペルミン:グルコース:ピロ亜硫酸塩)のモル比で50mlのメタノール−水(1:1)中に調製し、そして12時間還流した。生成物を水で200mlに希釈し、そしてDOW−50カラム(5×90cm)に乗せた。未反応グルコースは、2カラム容量の水で除去し、そして生成物および未反応スペルミンを0.1M NH4OHで除去した。生成物のプールしたピーク画分を凍結乾燥させ、そしてフルクトシル−スペルミンの濃度は、生成物の定量的13C NMRスペクトル(NMRデータは、45゜パルス、10秒のリラクゼーションディレイ、NOE脱カップリング無しで得た)中のC−2フルクトシルピークの積算を測定することにより決定した。
c.精製を決定するためのキナーゼアッセイ:
10μlの酵素調製物、10μlのアッセイバッファー、1.0μCiの33P ATP、10μlのフルクトシル−スペルミンストック溶液および70μlの水を含むインキュベーション混合物を、37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーションの終わりに、90μl(2×45μl)のサンプルを2枚の2.5cm直径のリン酸セルロースディスク(ワットマン(Whatman)P−81)に滴下し、そして乾燥させた。このディスクを水で徹底的に洗浄した。乾燥後、ディスクをシンチレーションバイアル中に入れ、そしてカウントした。
各酵素画分は、適切なスペルミン対照を用いて2連でアッセイした。
[実施例10]
糖化されたタンパク質食の試験動物で観察された腎臓の病状:
3匹のラットは糖化されたタンパク質食(20%の全タンパク質:3%糖化)で8カ月間維持し、そして対照食で維持した同じ年齢の9匹のラットと比べた。糖化タンパク質食物は、非糖化タンパク質を3%糖化タンパク質に置き換えた標準栄養食からなった。糖化されたタンパク質はカゼインおよびグルコース(2:1)を一緒に混合し、水(乾燥材料の2Xの重量)を加え、そして混合物を60℃で72時間焼くことにより作成した。対照は水を使用せず、そしてカゼインおよびグルコースを焼成する前に混合しないことを除き、同様に調製した。
主な知見は、糖化した食物では動物が傷害を受けた糸球体が実質的に増加したことであった。これら動物に観察された典型的な病変は、ボーマン嚢に癒着した糸球体房の部分的硬化症、壁側上皮の細管の化生および間隙性線維症であった。糖化されたタンパク質食のすべての動物、および対照食の1匹の動物が13%より高い傷害糸球体を示した。偶然による発生の確率は2%未満である。糸球体に観察される病理学的変化に加えて、多数のヒアリン化円柱が細管の中に観察された。これらのヒアリン化円柱は糖化食の動物でより多く見られたが、これらを定量しなかった。NAGaseの上昇したレベルも、糖化食の動物で観察された。
この実験の結果に基づき、糖化食は試験動物に糖尿病の腎臓に見られるものに類似する一連の組織学的病変を発症させると思われた。
[実施例12]
フルクトースリシン経路の発癌効果:
フルクトースリシン経路で形成される代謝産物の発癌性を調査するために、実験を腎臓ガンに対して高い感受性を持つラット種を用いて行った。
4匹のラットには糖化タンパク質食を、そして3匹のラットには対照食を与えた。この食物で10週後、動物を屠殺し、そしてそれらの腎臓を調査した。
この食物の4匹のすべてで腎臓癌腫のサイズは1mmより大きいことが見いだされ、一方、対照動物ではこの大きさの病変は無かった。偶然によるこの出来事の確率は、2%未満である。
データは、腎臓の細管の細胞中(ほとんどの腎臓癌腫の起源の細胞となることが知られている)に、食物中の糖化タンパク質に由来する過剰なフルクトースリシンに引き起こされる3DGレベルの上昇があり、そして3DGは細胞のDNAと相互作用することができ、種々の突然変異性および最終的に発癌性の出来事を導くことができることをを示す。このプロセスは腎臓および至る所でヒトのガンの発症に重要となる可能性がある。
[実施例13]
感受性ラットにおける腎細胞癌腫に及ぼす糖化タンパク質食の食物効果:
上記実験に加えて、糖化タンパク質食と腎細胞癌腫との間の関係を評価するための実験を行った。
腎臓癌腫の発症に感受性とする突然変異を有する28匹のラットを、2つのコホートに分割した。1つのコホートは糖化タンパク質食を与え、そしてもう1つのコホートには対照食を与えた。糖化タンパク質食は3%の糖化タンパク質が加えられた標準栄養食からなった。糖化されたタンパク質はカゼインおよびグルコース(2:1)を一緒に混合し、水(乾燥した材料の2Xの重量)を加え、そして混合物を60℃で72時間焼くことにより作成した。対照は水を使用せず、そしてカゼインおよびグルコースを焼成する前に混合しないことを除き、同様に調製した。ラットは3週齢で隔離した直後にこの食物に配置し、そして続く16週間、その食物を自由に与えて維持した。次いで動物を屠殺し、腎臓を固定し、そしてヘマトキシリンおよびエオシン切片を調製した。
組織学的サンプルは病理学者により調査された。4種類の病変が同定された。これらには:嚢腫;典型的には10細胞未満の、大変少ない腫瘍−様細胞の集まり;小さい腫瘍、0.5mm以下;および0.5mmより大きい腫瘍を含んだ。4種の病変は以下の表(表A)に示すように対照食よりも糖化食の動物で多く観察された。
結果をまとめるために、腎臓切片あたりの病変の平均数を各食物についてコンピューターで計算した。対照および糖化食について、それぞれ0.82±0.74および2.43±2.33であった。偶然によるこの発生の見込みは、約2/100,000である。
これらの結果は、リシン回収経路(この発見が本発明の基にある)の効果が突然変異を引き起こすことにも広がり、そしてこれが発癌効果も生じるという前提を強く支持する。これらの結果は腎臓ならびにこの経路が同様の効果を有することができる他の器官におけるガンを減らすために、この経路を阻害する治療法および作用物質の開発に基礎を提供する。
[実施例14]
3−デオキシ−フルクトースの尿排出は、I型糖尿病患者のミクロアルブミン尿に対する進行の指標である:
本明細書で説明するように、糖化中間体、3デオキシ−グルコソン(3DG)およびその還元的解毒産物、3デオキシ−フルクトース(3DF)の血清レベルは、糖尿病で上昇する。これら化合物のベースラインレベルとその後のミクロアルブミン尿(MA)の進行との間の相関が、ジョスリン糖尿病センター(Joslin Diabetes Center)で、インスリン依存性糖尿病(IDDM)およびミクロアルブミン尿(1990〜1993年の間に開始した2年間のベースライン中の多くの測定に基づく)の見込み患者の39名の個体群で調査され、そしてACEインヒビターについては調査しなかった。
無作為なスポットでの尿中の3DFおよび3DGのベースラインを、HPLCおよびGC−MSで測定した。続く4年間に高レベルのMAまたはタンパク質尿のいずれかに進行した個体(n=24)は、非進行者(n=15)に比べて、有意に高いベースラインレベルのlog3DF/尿クレアチニン比を有した(p=0.02)。
この実験で決定されたベースラインレベルは進行者での約0.24マイクロモル/mgクレアチニン 対 非進行者での約0.18マイクロモル/mgクレアチニンであった。ベースライン3DG/尿クレアチニン比は群間で変わらなかった。HgAIc(糖化ヘモグロビンの主要画分)のベースラインレベルの調整は、これらの知見を実質的に変えなかった。これらの結果は糖尿病について、さらに尿の3DFと腎臓の合併症の進行との間の関連の証拠を提供する。
a.3−デオキシフルクトースの定量:
サンプルは試験サンプルの0.3mlのアリコートを、0.15mlのAG1−X8および0.15mlのAG 50W−X8樹脂を含むイオン交換カラムに通すことにより処理した。次いでカラムは0.3mlの脱イオン水で2回洗浄し、自由な液体を除去するために吸引し、そして0.45mmのミリポア(Millipore)フィルターを通して濾過した。
処理したサンプルの注入物(50μl)は、ダイオネックスDX500クロマトグラフィーシステムを使用して分析した。carbopac PA1アニオン−交換カラムは、16%水酸化ナトリウム(200mM)および84%脱イオン水からなる溶出液を用いて使用した。3DFはパルス化電流測定検出器を使用して電気化学的に検出した。予想する3DF濃度に広がる標準3DF溶液は、各々の未知のサンプルの前および後の両方で流した。
b.尿中クレアチニンの測定:
尿中クレアチニン濃度は、プレートリーダー用に変更した終点比色法により測定した(シグマ診断キット555−A)。クレアチニン濃度評価して、中に存在する代謝産物を測定するために、尿用量を標準化した。
c.尿中アルブミンの測定:
被検体の尿中のアルブミンレベルを評価するために、スポット尿を集め、そしてイムノエフェロメトリー(immunoephrlometry)をN−アルブミンキット(ベーリング:Behring)を用いてBN100装置で行った。抗−アルブミン抗体は市販されている。尿中のアルブミンレベルは限定するわけではないが、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンおよびドットブロッティングを含む任意の適切なアッセイにより評価することができる。
ジョスリン糖尿病センターの患者の実験で得られたデータに基づき、上昇したレベルの尿中の3DFは、糖尿病のミクログロブリン尿の進行に関連することが明らかである。この考察により、糖尿病に罹患している患者における重篤な腎臓合併症の進行の見込みを評価するための新規な診断パラメーターが提供される。
[実施例15]
3−O−メチルソルビトールリシンは、正常および糖尿病ラットにおける3DGの全身レベルを下げる
12匹の糖尿病ラットのコホートを、6匹の2群に分割した。第1群は塩水注射のみを受け、そして第2群は塩溶液中の3−O−メチルソルビトールリシン(50mg/kg体重)の注射を受けた。同じ手順を12匹の非糖尿病ラットのコホートについて行った。
表Bにまとめるように、1週間内に3−O−メチルソルビトールリシン処置が、糖尿病および非糖尿病の両方のラットで各塩水対照と比べて、血漿3DGレベルを有意に下げた。
3−O−メチルソルビトールリシンが全身性3DGレベルを下げる能力は、腎症以外の糖尿病の合併症(例えば網膜症および大動脈が堅くなること)もアマドラーゼインヒビター治療により制御できることを示唆している。
[実施例16]
インビボで3−O−メチルソルビトールリシンの取り込み部位は腎臓である:
6匹のラットに13.5ナノモル(4.4mg)の3−O−メチルソルビトールリシンを腹腔内注射した。尿を3時間集め、その後、ラットを屠殺した。分析する組織を取り出し、そして液体窒素でフリーズクランプした。組織の過塩素酸抽出物を代謝産物分析に使用した。調査する組織は、脳、心臓、筋肉、座骨神経、脾臓、膵臓、肝臓および腎臓から摘出した。血漿も分析した。
3−O−メチルソルビトールリシンを含むことが分かった唯一の組織は腎臓の組織であった。尿も3−O−メチルソルビトールリシンを含んだが、血漿は含まなかった。尿および腎臓から回収した注射容量の割合は、以下の表Cに示すように39から96%の間で変動した。
大部分の3DG生産の原因となるアマドラーゼ/フルクトサミンキナーゼ活性:
3DGの酵素的生産は、それらの3DG生産における重要性を評価するために、種々の重要な成分(10mM Mg−ATP、部分精製アマドラーゼ、2.6mM FL)を反応から省略したインビトロアッセイで示された。結果は、3DG生産がアマドラーゼおよびその基質を含む腎臓抽出物の存在下で20倍高い(表D、反応1および3を比較されたい)。明らかに、大部分の3DG生産はアマドラーゼの存在下で酵素的に媒介されている。
コラーゲンの架橋化に及ぼす3DG、および3DG阻害の効果:
コラーゲンは皮膚に高レベルで存在する。このために、3DGがどのような効果をコラーゲンの架橋化に有するのかを決定した。
コラーゲンIはインビトロで3DGの存在または不存在下でインキュベーションした。ウシの皮膚のI型コラーゲン(1.3mg;シグマ(Sigma))を、20mM Na−ホスフェートバッファー、pH7.25中で、単独または5mM 3DGまたは5mM 3DGに10mMのアルギニンを加えて、1mlの総容量にて37℃で24時間インキュベーションし、次いで凍結、そして凍結乾燥した。残渣を0.5mlの70%ギ酸に溶解し、そして臭化シアンを加えた(20:1、重量/重量)。この溶液を30℃で18時間インキュベーションした。サンプルは0.125M Tris、pH6.8(2%SDSおよび2%グリセロールを含有する)に対して、10,000の分子量カットオフを有する透析チューブ中で透析した。サンプルはすべて1mlの容量に調整した。コラーゲンの架橋化の程度は、コラーゲンの移動度に及ぼす3DGの効果により決定されるので、等容量のサンプルを適用し、そしてSDS−PAGE電気泳動(16.5% Tris−トリシンゲル)により分析することにより決定した。
3DGでのコラーゲン処理は、コラーゲンがまるでより高い分子量を有する(これは架橋の指標である)かのように移動させたことが分かった。図12の銀染色したゲルの像は、より少ない高分子量バンドが、コラーゲンのみを含む群あるいはコラーゲンに3DGを加え、アルギニンを加えた群にあることを示す。より高分子量のバンドが、3DGインヒビターの不存在下、3DGで処理した群に存在する。3DGのみで処理したサンプル中でタンパク質がより多いと思われる。すべての3種のサンプルが同じサンプル量(mount)から始めたので、いかなる理論にも拘束されることなく、より多くの架橋化が生成されるほど、より高分子量タンパク質が保持されるので、透析中に少量のペプチドが3DG処理サンプルから漏れたと結論することができる。換言すると、対照およびアルギニンを加えた3DGの群では、より低分子量のペプチドが透析中に拡散したので、タンパク質が少ないようである。
[実施例19]
皮膚における3DGの局在性:
本開示に記載するように本発明は、皮膚における3DGの存在を初めて確認する。
マウスの皮膚モデルを使用した。1センチメートル(1cm)四方の皮膚を調製し、そして過塩素酸での抽出にかけた。3DGは上記のように測定した。6匹のマウスを使用し、そして皮膚で検出される3DGの平均量は1.46+/−0.3μMであった。この値は同じ動物で検出される3DGの血漿濃度(0.19+/−0.05μM)よりも実質的に高かった。これらのデータおよび以下の実施例20に記載するデータは、皮膚における高レベルの3DGは、皮膚における3DGの生産によることを示唆している。
[実施例20]
皮膚におけるアマドラーゼmRNAの局在性:
高レベルの3DGが皮膚で見いだされたが(前述の実施例を参照にされたい)、3DGが局所的に形成されるのかどうか、および皮膚は3DGを酵素的に生産する能力を有するのかどうかは分からなかった。アマドラーゼmRNAの存在を分析し、そして皮膚に存在する3DGを生産する皮膚の能力の1つの尺度として利用した(前述の実施例を参照にされたい)。
ヒト腎臓および皮膚から単離したポリA+メッセンジャーRNAを、ストラタジーン(Stratagene)から購入した。mRNAはRT−PCR手法で使用した。アマドラーゼについて公開された配列(Delpierre et al.,2000,Diabetes 49:10:1627−1634;Szwergold et al.,2001,Diabetes 50:2139−2147)を使用して、遺伝子(bp930−912)の3’末端に対するリバースプライマーをRTにかけて、RCR用のcDNA鋳型を作成した。この同じプライマーを、アマドラーゼ遺伝子(bp412−431)の中央に由来するフォワードプライマーと一緒に使用して、cDNA鋳型からアマドラーゼ遺伝子を増幅させた。PRCの産物は519bp断片となるはずである。ヒトの皮膚および腎臓サンプルをRT−PCRにかけ、アガロースゲル電気泳動により分析し、そしてcDNA鋳型を含まない対照も分析した。
結果は皮膚が実際にアマドラーゼmRNAを発現することを示す。引き続くタンパク質の発現が皮膚における3DG生産の原因であろう。予想どおり、519bp産物が観察された(図13を参照にされたい)。519bpの断片は腎臓(レーン1)で見いだされただけでなく、皮膚(レーン3)でも見いだされた。この519bp断片はcDNA鋳型を受容しなかった群では検出されなかった(レーン2および4)。
[実施例21]
インビトロの腎臓細胞に及ぼすフルクトースリシンの効果:
上記のように、糖化タンパク質が高い食物(例えばフルクトースリシン)は、インビボで代謝に甚大な効果を有する。したがってフルクトースリシンの効果をインビトロの腎臓細胞について直接試験した。
結果は、インビトロの腎臓細胞に投与したフルクトースリシンが細胞中のIV型コラーゲンレベルの上昇を引き起こすことを示す。IV型コラーゲン生産を、マウスの糸球体間質細胞で測定した。対照(10%グルコースで成長させた)は、10,000細胞あたり300ngのIV型コラーゲンを生産し、一方、フルクトースリシンで処理した細胞(10mMのグルコースを含む5または10mMフルクトースリシン)は560および1100ng/10,000細胞を生産した。
[実施例22]
アマドラーゼmRNAおよびタンパク質を阻害することによる3DGの阻害:
3DG合成は、その合成を導く酵素的経路の成分を阻害することにより阻害することができる。これは幾つかの方法により行うことができる。例えば本明細書でアマドラーゼと呼ぶ3DGの合成を導く酵素(フルクトサミン−3−キナーゼ)は上記の化合物を使用して作用を抑制することができるが、上記のように化合物以外でも、そのメッセージまたはタンパク質の合成を遮断するか、あるいはタンパク質自体を遮断することによっても阻害することができる。
アマドラーゼmRNAおよびタンパク質合成および機能は、転写もしくは翻訳インヒビター、抗体、アンチセンスメッセージもしくはオリゴヌクレオチド、または競合的インヒビターのような化合物または分子を使用して阻害することができる。
核酸およびタンパク質配列
以下はアマドラーゼ(フルクトサミン−3−キナーゼ)、寄託番号NM 022158(配列番号1)(図10を参照にされたい)に関する988bpのmRNAに由来するDNA配列を表す:
以下はヒトのアマドラーゼ(フルクトサミン−3−キナーゼ)、寄託番号NP 071441(配列番号2)(図11を参照にされたい)の309アミノ酸残基配列を表す:
上記に同定される配列は、Delpierre et al.(2000,Diabetes 49:16227−1634)により提出された。Szwergold et al.(2001,Diabetes 50:2139−2147)の配列データは、Delpierre et al.の配列データと非常に一致する。例えばSzwergold et al.(2001,Diabetes 50:2139−2147)により推定されるタンパク質は、Delpierre et al.(2000,Diabetes 49:16227−1634)のクローン化されたヒトフルクトサミン−3−キナーゼ配列に309アミノ酸残基の307で同一である。このようにいずれのグループの公開された配列の信頼性には問題はないが、タンパク質の配列を使用する時に問題が起こらないことを確実にするために、2つの公開された配列間で異ならない配列の部分のみを使用する。
[実施例23]
汗中のアルファ−ジカルボニル糖の存在
本明細書に記載するようにアルファ−ジカルボニル糖は皮膚に存在するが、それらの汗中の存在は決定されなかった。皮膚の機能の1つは排出器官として作用することであり、したがってアルファ−ジカルボニル糖が汗中に排出されるかどうかを決定した。
ヒトの汗のサンプルを3DGの存在について上記のように分析した。4名の個体に由来するサンプルを得、そして3DGがそれぞれ0.189、2.8、0.312および0.11μMのレベルで存在することが測定された。したがってこの結果は汗に3DGが存在することを示す。
[実施例24]
皮膚の弾力に及ぼすDYN12(3−O−メチルソルビトールリシン)の効果
アマドラーゼの低分子量インヒビターであるDYN12の投与は、糖尿病および非糖尿病動物の血漿中の3DGレベルを低下させる(Kappler et al.,2002,Diabetes Technol.Ther.,Winter 3:4:606−609)。
実験はDYN12が糖尿病に関連する皮膚の弾力の損失に及ぼす効果を測定するために行った。このために、2群のSTZ−糖尿病ラットおよび2群の正常ラットをDYN12または塩水の処置に供した。1群のSTZ−糖尿病ラット(n=9)は、1群の正常ラットが受けたように(n=6)、50mg/kgのDYN12の皮下注射を8週間毎日受けた。1群の対照糖尿病ラット(n=10)および1群の正常ラット(n=6)は、DYN12の代わりに塩水を受けた。1匹のラットは血中グルコースの読みが他の糖尿病ラットと調和しないので(低すぎる)、2週間後に糖尿病DYN12群から除いた。
皮膚の弾力測定デバイスを利用するサイバーダーム(CyberDERM)社の技術に基づく非侵襲的手法を使用して、DYN12処置が皮膚の弾力に及ぼす効果を試験した。この手法は皮膚をずらす(displace)ために必要な真空の引っ張り(pull)の量に基づく皮膚の弾力の非侵襲的測定を提供する。吸引カッププローブは気密な密閉を形成するために剃った皮膚の領域に付けられる。次いで皮膚がプローブの内側に配置されたセンサーを越えて置き換わるまで、吸引カップの内側の皮膚の領域に真空を適用する。したがって皮膚を置き換えるために必要な圧力が高いほど、皮膚の弾力は低い。
データは8週間の処置後、DYN12で処置した糖尿病ラットの皮膚の弾力が、塩水で処置した糖尿病動物の皮膚の弾力よりも大きかったことを示す。図14に見られるように、塩水で処置した糖尿病ラットの皮膚をずらすために必要な圧力の量(7.2+/−3.0kPA)は、DYN12で処置した糖尿病動物の皮膚をずらすために必要な圧力(3.2+/−1.2kPA)よりも約2〜2.25倍高かった。またDYN12で処置した糖尿病ラットで観察された弾力値は、塩水で処置した非糖尿病ラットで見られる値と統計的に異ならなかった(p=0.39)(表E)。このように、DYN12(3DGの間接的インヒビター)による糖尿病動物の処置の結果は、塩水のみを受けた糖尿病動物の皮膚よりも大きな弾力を持つ皮膚をもたらした。
上記のデータは、糖尿病ラットへのDYN12の投与が、未処置の糖尿病ラットで典型的に観察される皮膚の弾力の損失(例えば強皮症および皮膚の基底膜の肥厚化)を防止することを示し、これは糖尿病で見られる過剰な3DGが弾力の損失の原因であることの証拠である。本明細書に開示するデータは、さらに3DGレベルを下げることが正常な個体の皮膚の弾性を維持するためにも役立つことができることを示す。
皮膚の弾力の測定は上記のような被検体についても行ったが、測定前に試験動物を沈静化しなかった。図15は被検体の後脚について測定した皮膚の弾力測定を具体的に説明し、この間、個体は警戒し、そして技師により制止されていた。
これらの実験で、動物は荒々しい戦闘を制止され、そして結果が異なる。薬剤処置無しの糖尿病動物は、吸引カップを「引き離す」能力が低いことが示され、したがって「引っ張りに対する抵抗」が低いことを示した。一方、薬剤を受けている糖尿病動物および標準動物の両方が、吸引カップから引っ張るより大きな能力を有し、そして両群の動物が堅さおよびより大きな筋肉の張力を有した。これは酵素の阻害、そして恐らくは3DGの不活性化が、糖尿病状態を典型的に表すミクロ循環の悪化および神経−悪化をゆるやかにすることを示している。
[実施例25]
強皮症の皮膚中の3DGレべル
以前、本明細書のいたるところで開示した方法に従い、正常な皮膚が以下の濃度の3DGを有することを測定した(数名の個体からのデータ):0.9μM、0.6μMおよび0.7μM。数名の強皮症患者に由来する数種の皮膚サンプルを同様にアッセイし、そして以下のレベルの3DGを有した:15μM、130μMおよび3.5μM。したがってこれらのデータは、強皮症患者の皮膚における3DGのレベルが、正常なヒトの皮膚中の3DGレベルに比べて、有意に上昇していることを示す。
本明細書に引用した各々の、そしていずれの特許、特許出願および公報開示も全部、参考文献により本明細書に編入する。
本発明は具体的な態様を参照にして開示してきたが、本発明の他の態様および変更が当業者により本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく考案できることは明白である。添付する特許請求の範囲は、すべてのそのような態様および均等な変更を含むと解釈されることを意図する。