JP5212941B2 - 電波式アクティブセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、電波式アクティブセンサに関する。
従来から、電波のドップラ効果を利用して建物や部屋内への人の出入りを検知するアクティブセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のアクティブセンサは、電気回路部分を埃や衝撃等から保護するため及び外観を整えるために、アンテナを含む電気回路部分の全体が外装ケース内に収納されている。
特開2006−244777号公報
ところが、上記のようにアンテナ自体を外装ケース内に収納すると、外装ケース自体が電波の障害物となるので、送受信する電波の電力レベルが外装ケースを透過するときに減衰する。電波の電力レベルが減衰すると、検知距離が短くなるといったセンサ性能の低下を招く。
一方、電波が障害物を透過するときの電力レベルの減衰量は、電波の波長をλとしたとき、アンテナから障害物までの距離及び障害物の厚みが、λ/4の整数倍(波長の腹,節)になる場合、特に大きくなることが知られている。これは、上記の場合には、媒体の境界面での反射波が定在波になり、電波を干渉し易いためである。
そこで、上記の外装ケースによる減衰の影響を極力抑えるために、アクティブセンサの製造時に、アンテナから外装ケースまでの距離及び外装ケースの厚みが、λ/4の整数倍を外れるように組み立てることが考えられる。
図5(a)は、外装ケース101のアンテナ102からの設置距離d1、及び外装ケース101の厚みt1が電波wのλ/4の整数倍になる場合を示し、図5(b)は、外装ケース101のアンテナ102からの設置距離d2、及び外装ケース101の厚みt2がλ/4の整数倍を外れる場合を示す。図5(a)に示す状態では、アンテナ102から放出された電波wの節が外装ケース101と空気の境界面103に位置するので、境界面103による反射波が定在波になって電波wを干渉し、また、外装ケース101に進入した電波wの腹が他側の境界面104に位置するので、境界面104による反射波が外装ケース101内において定在波になって外装ケース101内を進む電波wを干渉する。一方、図5(b)に示す状態では、境界面103の位置に電波wの腹、又は節がないので、アンテナ102とケース101との間の空間、及びケース101の内部に定在波が発生せず、電波が大きく減衰することがない。
しかしながら、人検知用のアクティブセンサにあっては、用いられる電波が主にミリ波帯であるので、例えば波長λが12.5mmの電波を用いる場合は、λ/4≒3.1mmになり、大きな減衰を生じさせないようにするためには外装ケースの厚みを1mm程度の精度で成形すると共に、設置距離も1mm程度の精度で調整しなければならない。このように、外装ケースを高い精度で成形し、組み立てるには煩雑な調整が必要になり、コスト高となる。
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、製造時に煩雑な調整を行う必要がなく、外装ケースの厚みや設置距離が低い精度であっても、送受信する電波の電力レベルが大きく減衰することがなく、検知距離が短くなるといったセンサ性能の低下を招くことがない電波式アクティブセンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、送信電波を生成し送信アンテナを介して放出する送信回路部と、検知対象物により反射され受信アンテナを介して受信した電波の周波数と前記送信回路部により生成した送信電波の周波数との周波数差に基づいて対象物の存否を検知する受信回路部と、を備える電波式アクティブセンサにおいて、前記受信アンテナにより受信した電波の強度を検出する受信電力検出部と、前記送信回路部により生成される電波の周波数を複数に設定し、逐次、複数の周波数の電波を送信させると共に、これら各周波数で電波を送信したときに前記受信電力検出部が検出する受信電波の強度を調べ、最も強度の高い周波数を対象物の検知のための動作周波数として選択する選択手段と、を備え、前記選択手段は、前記受信回路部が対象物の不在を検知した期間のみにおける前記受信電力検出部からの受信電波の強度に基づいて電波強度を調べることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、複数の周波数の電波を逐次送信し、受信電波の強度が最も高い周波数を動作周波数とするので、外装ケースの厚みや設置距離が低い精度であっても、検知動作時に電波が大きく減衰することがなく、検知距離が短くなるといったセンサ性能の低下を招くことがない。また、受信電波の状態が安定しているときに電波強度を調べることになるので、最も強度の高い周波数をより正しく判定することができ、ひいては電波の減衰を抑制するための周波数をより適正に選択することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る電波式アクティブセンサ(以下、センサ)について、図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態のセンサ1は、図1に示すように、部屋内の人(検知対象物)2の存在を検知したときに照明器具3を自動点灯させる照明制御システム4の人感センサとして用いられる。
センサ1は、例えば、部屋の天井面や照明器具3の筐体に一体に組み付けられ、人2の存在を検知したときに、照明器具3へ検知信号5を出力する。照明器具3は、点灯制御部6が検知信号5を受信したときに光源7を点灯させる。センサ1が人2の存在を検知しなくなると、検知信号5の出力が停止して光源7が消灯される。
センサ1は、送信アンテナ8と受信アンテナ9を含む電気回路10の全体が樹脂製の外装ケース11内に収納されている。電気回路10は、送信電波12を生成する送信回路部13と、人2により反射された電波(受信電波)14を受信する受信回路部15と、送信回路部13へ周波数設定信号16を出力して送信回路部13で生成される送信電波の周波数を設定するマイクロプロセッサ(選択手段)17と、を備える。また、受信回路部15から分配器21により分配された受信電波14そのものを、その強度に応じた受信レベル信号23に変換する受信電力検出部22を備える。受信電力検出部22からの受信レベル信号23はマイクロプロセッサ17へ入力されるようになっている。マイクロプロセッサ17は、センサ1全体の動作を司っており、メモリ17aに記憶されたプログラムに従って動作周波数を選択するための動作や対象物の検知動作を実行させる。上記動作については後述する。
送信回路部13は、基準の周波数信号131を出力する発振子132と、該発振子132からの周波数信号131をもとに、電圧制御発振器(VCO)133が出力する高周波信号18をマイクロプロセッサ17からの周波数設定信号16に応じた周波数にロックさせるPLL(Phase Locked Loop)IC134と、を備える。高周波信号18が送信アンテナ8から空中へ放出されて送信電波12になる。
受信回路部15は、送信回路部13から分配器19により分配された高周波信号18と受信アンテナ9が受信する受信電波14を掛け合わせてその差分周波数に相当する電圧151(以下、ドップラ周波数)を生成するミキサ152と、アンプ153により増幅された該ドップラ周波数151の波形に基づいて人2が存在するか否かを判定する信号処理部154と、を備える。信号処理部154からの検知信号5は、照明器具3へ出力されると共に、マイクロプロセッサ17へも出力される。
次に、マイクロプロセッサ17が、センサ1への電源投入時に実行する周波数選択手順について、図2のフローチャートを参照して説明する。マイクロプロセッサ17は、まずメモリ17aに予め記憶された複数のテスト周波数の中から最も低い1つの周波数を読出し、その周波数を周波数設定信号16として送信回路部13へ出力し、その周波数の高周波信号18を生成させる(S1)。なお、マイクロプロセッサ17が最初に読み出す周波数は、最も低い周波数に限られず、最も高い周波数であってもよいし中間の周波数であってもよい。また、複数のテスト周波数は、一定間隔のものであってもよいし、異なった間隔で離散した値のものであってもよい。
そして、送信回路部13が生成した高周波信号18が送信アンテナ8から電波として送信され、受信アンテナ9が周囲から反射されて戻ってくる電波14を受信する(S2)。ここで、部屋内に人2が存在するときには、受信電波14の周波数が人2の動きによって変化されるので、ドップラ周波数151が短い間隔で大きく変化する。具体的には、図3の上段に示すように時間帯A、Cにおいては、ドップラ周波数151が大きく変化しており人2が存在する。時間帯B、Dにおいては、受信電波14の周波数の変化が小さく、ドップラ周波数151の変化も小さく、人2が存在しない。
ドップラ周波数151が人2の存在の有無に応じて上記のように変化するので、信号処理部154は、ドップラ周波数の波形が大きく変化する時間帯A、Cにおいて検知信号5を出力し、時間帯B、Dでは出力しない(図3の中段参照)。一方、受信電波14の電力レベルも、人2が存在する時間帯A、Cでは人2が存在しない時間帯B、Dよりも変化幅が大きくなり、受信レベル信号23は、例えば図3の下段のように変化する。
上記のように、マイクロプロセッサ17は、検知信号5の受信・非受信により人2の存在の有無を認識し、本実施形態では、検知信号5を受信しない時間帯B、Dでのみ、受信レベル信号23の読み込みを行う(S3)。時間帯B、Dは、受信レベル信号23が比較的安定している時間帯であり、マイクロプロセッサ17は、受信電波14の電力をより正確に調べることができる。
マイクロプロセッサ17は、上記のようにして読み込んだ受信レベルの平均値を算出すると共に記憶する(S4)。そして、複数のテスト周波数の全てについてS1からS4の工程を繰り返したか否かを判定して(S5)、NOである場合には、S1に戻って複数のテスト周波数の中から次のテスト周波数を読み出し、その周波数の高周波信号18を生成する。このようにして、送信電波12の周波数を逐次変化させる。
S5における判定の結果、YESである場合には、全てのテスト周波数毎の受信レベルの平均値を比較し、受信レベルの平均値が最も大きい(受信電波の強度が最も高い)テスト周波数を動作周波数として選択する(S6)。
次に、上記のようにして選択した動作周波数によりマイクロプロセッサ17が実行する対象物の検知手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。マイクロプロセッサ17は、選択した周波数に相当する周波数設定信号16を送信回路部13へ出力し、その周波数の高周波信号18を生成させる(S11)。この周波数は、検知動作中変化せず一定値に固定される。そして、送信アンテナ8が当該周波数の送信電波12を送信し、受信アンテナ9が受信電波14を受信し(S12)、信号処理部154がドップラ周波数151に基づいて人2の有無を判定する(S13)。判定の結果、人2が検知された場合には(S14でYES)、検知信号5が出力されて照明器具3が点灯される(S15)。
周波数の選択手順により選択された周波数は、受信電波14の強度が最も高くなる周波数であるので、外装ケース11の厚みや設置距離の精度が低くても、アクティブセンサ1の検知距離が短くなるといったセンサ性能の低下が生じず、ひいては照明器具3を正しく点灯制御することができる。
なお、図2のフローチャートのS3において、検知信号5の非受信時にのみ受信レベル信号23を読み込むことによって、受信電波強度が安定しているときに電波強度を調べることになるので、電波強度の判定をより正確に行うことができ、電波の減衰量を抑制するためのより適正な周波数を選択することができる。
以上のように、本実施形態のセンサ1では、複数のテスト周波数の電波を逐次送信し、受信電波14の強度が最も高いテスト周波数を動作周波数とするので、外装ケース11の厚みや設置距離が低い精度であっても、検知動作時に電波が大きく減衰することがなく、検知距離が短くなるといったセンサ性能の低下を招くことがない。
なお、本実施形態では、送信回路部13へ周波数設定信号16を与えるマイクロプロセッサ17がセンサ全体の動作を司り周波数の選択手順を実行したが、マイクロプロセッサ17とは別に設けた回路が周波数の選択手順を実行するようにしてもよい。
また、本実施形態では、センサ1への電源投入があったときに周波数の選択手順を実行したが、周波数の選択手順の実行は、ユーザが入力するトリガ信号に応じて適宜行われるものであってもよい。
本発明の一実施形態に係る電波式アクティブセンサを人感センサとして用いる照明制御システムのブロック図。 同電波式アクティブセンサにおける周波数選択手順を示すフローチャート。 同電波式アクティブセンサにおける周波数選択時のドップラ周波数、対象物の検知信号、及び受信レベル信号を示す図。 同電波式アクティブセンサにおける対象物検知手順を示すフローチャート。 (a)は外装ケースの厚み及び設置距離が共に電波のλ/4の整数倍である場合の態様を示す図、(b)は外装ケースの厚み及び設置距離が共に電波のλ/4の整数倍を外れる場合の態様を示す図。
符号の説明
1 電波式アクティブセンサ
2 人(検知対象物)
12 送信電波
13 送信回路部
14 受信電波
15 受信回路部
17 マイクロプロセッサ(選択手段)

Claims (1)

  1. 送信電波を生成し送信アンテナを介して放出する送信回路部と、
    検知対象物により反射され受信アンテナを介して受信した電波の周波数と前記送信回路部により生成した送信電波の周波数との周波数差に基づいて対象物の存否を検知する受信回路部と、を備える電波式アクティブセンサにおいて、
    前記受信アンテナにより受信した電波の強度を検出する受信電力検出部と、
    前記送信回路部により生成される電波の周波数を複数に設定し、逐次、複数の周波数の電波を送信させると共に、これら各周波数で電波を送信したときに前記受信電力検出部が検出する受信電波の強度を調べ、最も強度の高い周波数を対象物の検知のための動作周波数として選択する選択手段と、を備え、
    前記選択手段は、前記受信回路部が対象物の不在を検知した期間のみにおける前記受信電力検出部からの受信電波の強度に基づいて電波強度を調べることを特徴とする電波式アクティブセンサ。
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