JP4054704B2 - マイクロウェーブ式レベル計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロウェーブ式レベル計に関し、より特定的には、被検出対象物に対して放射した電磁波から被検出対象物との間の距離を計測するマイクロウェーブ式レベル計に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在汎用されているマイクロウェーブ式レベル計において、被検出対象物との間の距離の計測方式は、FMCW(周波数変調持続波)方式とパルス・レーダ方式とに大別される。
【0003】
FMCW方式とは、周波数掃引した連続波を発信し、放射信号と反射信号との周波数差から被検出対象物までの距離を求めるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、パルス・レーダ方式とは、パルス信号を発信してからそれが測定対象で反射して戻ってくるまでの時間を計測することにより、被検出対象物までの距離を求めるものである(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記の2つの計測方式は、いずれも高い計測精度を有する反面、それぞれ、以下に示す問題点を抱えている。
【0006】
最初に、FMWC方式については、放射周波数と反射周波数との時間的位相ずれ(周波数ずれ)を計測するため、反射時間に応じた時間幅で放射周波数をリニアに変化させる必要がある。この放射周波数のリニア可変は、計測精度に大きく影響することから、高精度な直線性を構成回路において実現しなければならず、回路が複雑になってしまうという問題がある。
【0007】
なお、環境温度の変化によっても計測精度が低下してしまうことから、温度補償するための回路もさらに備えることが必要となり、ますます構成が複雑化することとなる。
【0008】
さらに、計測精度は、計測精度=光速/(2×周波数の掃引幅)の関係式で表わされるように、放射周波数の掃引幅によって決まることから、高い精度を得るためには広い帯域幅を使用する必要がある。しかしながら、マイクロウェーブ式レベル計が通常使用する、移動体検知センサ用として電波法で区分されている24.15GHzの周波数帯域においては、特定小電力無線の規制によって、帯域幅は、実効周波数24.1〜24.2GHzの0.1GHzに使用が制限されている。このため、FMWC方式のマイクロウェーブ式レベル計の屋外での使用については、十分な帯域幅が得られないという理由から、計測精度に限界が生じてしまうこととなる。
【0009】
次に、パルス・レーダ方式については、放射器において非常に短い電気的パルスを発生させるためには、成分的には広い電波帯域幅が必要とされる。例えば、2ナノ秒のインパルスを発生させるために必要な帯域幅は2GHzとなる。したがって、この場合も、電波法の定める帯域幅の制限を受けて、屋外での使用が制限されることとなる。
【0010】
したがって、これらの問題を解決するためには、電波法で定められている電波帯域や放射利得を満足し、かつ、放射信号発生器に対する温度および放射周波数の可変方法による影響度を少なくすることが必要とされる。
【0011】
上記の2つの計測方式では、使用帯域幅が広いことから、電波法で分類される特定小電力無線として利用することはできないが、出力パワーを抑えた微弱電力無線として利用することが可能である。しかしながら、放射信号の出力電力を下げることによって、反射信号の電力も非常に小さくなるため、遠距離の計測を行なう場合にノイズの影響を受けやすいという問題が生じる。
【0012】
さらに、最近では、近距離であっても高い測定精度を有する距離測定装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0013】
図12は、特許文献3に提案されている距離測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
【0014】
図12を参照して、距離測定装置は、所定の周波数の信号を出力する発信源60と、発信源60の出力信号と同一周波数の電磁波を放出する送信器70と、送信器70から放出された電磁波(以下、進行波Dとも称する)と被検出対象物Mにて反射した反射波Rとが干渉して形成された定在波Sの振幅を検知するための検出器80と、検出器80の検出信号から被検出対象物までの距離を算出する信号処理器90とを備える。
【0015】
発信源60は、発信部61と周波数制御部62とを含む。発信部61は、周波数制御部62が制御する一定の周波数fの信号を送信器70に対して出力する。周波数制御部62は、発信部61に送った周波数fに関する情報を信号処理器90にも出力する。
【0016】
ここで、図12の距離測定装置における計測方式の原理について、簡単に説明する。
【0017】
図12に示すように、送信器70から放出された進行波Dと被検出対象物Mにて反射した反射波Rとが干渉することによって、送信器70と被検出対象物Mとの間の伝搬媒質中に定在波Sが形成される。この定在波Sの振幅は、進行波Dの周波数fに対して周期的であって、その振幅の周期は、検出器80と被検出対象物Mと間の距離に反比例する。
【0018】
したがって、進行波Dの周波数fを変化させれば、検出器80の位置において、進行波Dの周波数fに対する定在波Sの振幅の変動周期を求めることができる。さらに、得られた定在波Sの振幅の変動周期から被検出対象物Mまでの距離を算出することができる。
【0019】
このように、本距離測定装置において、被検出対象物Mまでの距離は、出力信号の周波数に対する定在波の振幅の変動周期にのみ依存し、送信器70によって電磁波を発信してから検出器80に戻ってくるまでの時間の影響を受けないことから、これまでのFMWC方式およびパルス・レーダ方式に対して、近距離においても、より高い精度で測定することができる。
【0020】
【特許文献1】
特開平7−159522号公報(第3頁、第4図)
【0021】
【特許文献2】
特表平8−511341号公報(第1図)
【0022】
【特許文献3】
特開2002−357656号公報(第6−7頁、第1図)
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図12の距離測定装置は、定在波Sの振幅の変動周期から被検出対象物Mまでの距離を求めることから、進行波Dの周波数fの変化する範囲において、定在波Sの振幅に周期性が見られることが必要とされる。
【0024】
例えば、24.15GHz帯での実効周波数帯域を24.1〜24.2GHzの0.1GHzとし、空気中の電波の伝搬速度Cを30万km/secとすると、少なくとも定在波Sの振幅に1周期性が現われるための最小測定距離は、
(0.3×109[m/sec])/(0.1×109[1/sec])=3[m]
から3mとなり、測定距離が3m以上なければ、得られた距離に誤差が生じてしまうこととなる。
【0025】
このように、電波法で規定される限られた帯域幅の下では、近距離の測定において、高精度を保持することは困難となり、測定距離に限界が生じていた。
【0026】
それゆえ、この発明の目的は、狭い放射周波数帯域においても、近距離まで高精度に計測可能なマイクロウェーブ式レベルセンサを提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明のある局面に従えば、被検出対象物までの距離を計測するマイクロウェーブ式レベル計であって、所定の帯域幅を有する放射周波数からなる電磁波を発生し、被検出対象物に対して放射する送信部と、電磁波と電磁波の反射波とによって被検出対象物との間に形成される定在波の振幅信号を検出する受信部と、検出した定在波の振幅信号と放射周波数との関係を演算処理することによって被検出対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備える。信号処理回路は、定在波の振幅信号の値を、対応する放射周波数の関数として振幅信号関数を形成し、振幅信号関数の変動周期を求めることによって被検出対象物までの距離を算出する演算回路を含み、演算回路は、距離分解能に応じた次数で演算処理して振幅信号関数の変動周期を求める。
【0028】
好ましくは、演算回路は、振幅信号関数を距離分解能に応じた次数でフーリエ変換することによって変動周期の周波数成分を検出し、周波数成分から被検出対象物までの距離を算出する。
【0029】
この発明の別の局面に従えば、被検出対象物までの距離を計測するマイクロウェーブ式レベル計であって、所定の帯域幅を有する放射周波数からなる電磁波を発生し、被検出対象物に対して放射する送信部と、電磁波と電磁波の反射波とによって被検出対象物との間に形成される定在波の振幅信号を検出する受信部と、検出した定在波の振幅信号と放射周波数との関係を演算処理することによって被検出対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備える。信号処理回路は、定在波の振幅信号の値を、対応する放射周波数の関数として振幅信号関数を形成し、距離分解能に応じた次数で演算処理して振幅信号関数の変動周期を求めることによって、被検出対象物までの距離を算出する演算回路を含む。演算回路は、振幅信号関数が周期性を有するか否かを判断し、判断結果に応じて放射周波数の帯域幅と電磁波の出力振幅とを制御するための制御信号を出力し、送信部は、制御信号にて指定された放射周波数の帯域幅と出力振幅とを有する電磁波を発生して、被検出対象物に対して放射する。
【0030】
好ましくは、送信部は、電磁波の出力振幅を演算回路からの制御信号で指定された減衰量だけ減衰させる振幅減衰部を含む。
【0031】
好ましくは、演算回路は、第1の放射周波数の帯域幅における振幅信号関数が周期性を有しないときには、第1の放射周波数の帯域幅よりも広帯域である第2の放射周波数の帯域幅に設定するための制御信号を出力する。
【0032】
より好ましくは、演算回路は、第1の放射周波数の帯域幅における振幅信号関数が周期性を有しないときには、電磁波の出力振幅を減衰させるための制御信号を出力する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0034】
図1は、この発明の実施の形態に従うマイクロウェーブ式レベル計の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図1を参照して、マイクロウェーブ式レベル計100は、大きく分けて、図示しない被検出対象物との距離を計測する計測回路30と、計測回路30とユーザとの間のインターフェースとしての周辺回路40とから構成される。なお、マイクロウェーブ式レベル計100全体に電源電圧を供給するための電源回路45は、周辺回路40に配設される。
【0036】
計測回路30は、被検出対象物との間で信号を送受信する信号送受信回路10と、受信信号の処理および放射周波数の制御を行なう信号処理回路20とからなる。信号送受信回路10には、送信および受信機能を併せ持つアンテナ50が結合される。
【0037】
信号送受信回路10は、被検出対象物に対して電磁波を放射するための送信部と、マイクロウェーブ式レベル計100と被検出対象物との間に発生する定在波を受信する受信部とを有する。
【0038】
送信部は、信号処理回路20で制御される所定の放射周波数の電磁波を出力する部位であり、後述する基準発振信号に対して周波数と位相とが一致した信号を発生させる位相同期ループ(PLL:Phase Locked Loop)回路1と、逓倍器2と、増幅器3と、アッテネータ4とを含む。
【0039】
PLL回路1は、位相検出器11と、ループフィルタ(LPF:Loop Filter)12と、電圧制御発振回路(VCO:Voltage Controlled Oscillator)13と、分周器14とから構成され、図1に示すフィードバック回路を構成する。なお、各部位の具体的な回路構成については、一般的なPLL回路に搭載されているものと同様であることから、その説明および図示は省略する。
【0040】
位相検出器11は、信号処理回路20からの基準発振信号と分周器14から帰還される帰還信号との位相差を検出し、VCO13の発振周波数を上昇または下降させる制御信号を出力する。
【0041】
次に、VCO13の制御信号は、LPF12を通して直流化されると、VCO13の図示しない制御入力端子に与えられる。なお、LPF12は、VCO13に含まれる位相成分以外の雑音を低減することおよびフィードバックループを安定化させるために用いられる。
【0042】
次に、VCO13の出力信号は、PLL回路1の出力として逓倍器2に伝達されるとともに、分周器14によりn(nは自然数)分の1の周波数に変換された帰還信号となり、位相検出器11に入力される。
【0043】
このように、図1のPLL回路1に示すフィードバック構成は、基準発振信号と帰還信号との周波数および位相が一致するようにVCO13の制御信号を制御するため、最終的には、基準発振信号のn倍の周波数の出力信号がPLL回路1から出力されることとなる。
【0044】
さらに、PLL回路1の出力信号は、逓倍器2を介して周波数を逓倍され、さらに増幅器3を介して増幅される。
【0045】
増幅された出力信号は、アッテネータ4において、その振幅が所定の比率で減衰される。アッテネータ4における減衰量は、後述するように、信号処理回路20からの制御信号によって制御される。
【0046】
振幅減衰された出力信号は、入出力端子としてのコネクタ5からアンテナ50へと伝送されると、マイクロウェーブ式レベル計100外部の図示しない被検出対象物に対して放射される。
【0047】
さらに、アンテナ50から放射された電磁波である進行波は、被検出対象物に到達すると、反射波となってマイクロウェーブ式レベル計100に向かって進行する。この進行波と反射波とが干渉すると、マイクロウェーブ式レベル計100と被検出対象物との間に定在波が形成される。この定在波の振幅は、アンテナ50を介して、信号送受信回路10内部の受信部で検知される。
【0048】
受信部では、アンテナ50で受信された定在波がコネクタ5を介して検波器6へと伝送される。検波器6は、定在波から変調信号である振幅信号を検出するものであり、例えば、ダイオードの整流作用を利用したダイオード検波器で構成することができる。検波器6において、定在波は、低周波の振幅信号へと復調される。検波器6で検出された振幅信号は、さらに、信号処理回路20に送られる。
【0049】
信号処理回路20は、受信信号処理部としての増幅器23およびアナログ・デジタル変換器(A/D変換器)24と、送信信号生成部としてのデジタルシンセサイザ(DDS:Direct Digital Synthesizer)22と、演算処理回路および制御回路であるデジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)およびマイクロプロセッサ(MPU:Microprocessor Unit)21とから構成される。
【0050】
受信信号処理部は、信号送受信回路10の検波器6で検波された定在波の振幅信号を増幅するための増幅器23と、増幅したアナログ信号である振幅信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器24とを含む。受信信号処理部でデジタル信号に変換された定在波の振幅信号は、さらに、DSP&MPU21に入力される。
【0051】
DSP&MPU21は、各放射周波数において検出された定在波の振幅信号から放射周波数と振幅信号との関係が得られると、これを演算処理することによって、被検出対象物までの距離を算出する。演算処理としては、定在波の振幅信号を、対応する放射周波数の関数として振幅信号関数を形成し、振幅信号関数を高速フーリエ変換するFFT(Fast Fourier Transform)処理を実行する。
【0052】
DSP&MPU21は、上記の演算処理を行なうとともに、信号送受信回路10のアッテネータ4に対して、放射する電磁波の出力振幅の減衰量を制御するための制御信号を出力する。アッテネータ4における電磁波の減衰量は、後述するように、被検出対象物との距離に応じて増減される。具体的には、特定小電力無線の放射周波数帯域幅において、定在波の振幅信号をFFT処理して得られたパワースペクトラムに周期性が含まれないときには、アッテネータ4における減衰量を大きくすることによって、微弱無線の帯域幅を利用した計測に切換えられる。
【0053】
DSP&MPU21は、さらに、放射周波数を制御するための制御信号を送信信号生成部であるDDS22に出力する。
【0054】
DDS22は、DSP&MPU21からの制御信号に基づいて、放射周波数を設定するための基準発振信号を生成して、信号送受信回路10のPLL回路1に内包される位相検出器11へと出力する。これによって、24.15GHz帯での特定小電力無線を利用した計測においては、最低放射周波数24.1GHzから最高放射周波数24.2GHzまでの範囲内で、放射周波数を変化させることができる。
【0055】
信号処理回路20内部のDSP&MPU21は、さらに、周辺回路40内部の操作回路41、表示回路42、通信回路43および出力回路44に接続される。これによって、DSP&MPU21にて実行された被検出対象物までの距離の算出結果は、表示回路42、通信回路43および出力回路44を介して、図示しないユーザに転送される。また、操作回路41および通信回路43を介して、ユーザからの計測動作に関する指示等がDSP&MPU21へと転送される。
【0056】
次に、図1の構成からなるマイクロウェーブ式レベル計100における計測動作について説明する。
【0057】
最初に、信号送受信回路10の送信部では、所定の放射周波数の電磁波が生成されて、アンテナ50を介して被検出対象物に対して放出される。電磁波の発生については、先述のように、PLL回路1によって、信号処理回路20内部のDDS22からの基準発振信号を正確に逓倍した所定の放射周波数の出力信号が生成される。このため、マイクロウェーブ式レベル計100は、周波数確度の高い電磁波を被検出対象物に放射することができる。
【0058】
さらに、PLL回路1において、DDS22の基準発振信号の変化に応答して、放射周波数は正確に追随して変化することから、放射周波数の変化においてもDDS22の分解能に応じた設定が可能となる。なお、本実施の形態では、放射周波数の帯域を電波法において特定小電力無線として区分されている24.1〜24.2GHzに設定するものとする。
【0059】
PLL回路1からの出力信号は、さらに増幅器3で増幅された後、アッテネータ4で所定の振幅減衰量だけ減衰されると、コネクタ5を介して、アンテナ50から放射される。
【0060】
次に、アンテナ50から放射された電磁波である進行波は、被検出対象物に到達すると、反射されて被検出対象物からマイクロウェーブ式レベル計100に向かって進行する反射波となる。このため、マイクロウェーブ式レベル計100と被検出対象物との間の伝搬媒質中には、進行波と反射波とが干渉することにより定在波が形成される。
【0061】
さらに、定在波は、アンテナ50にて受信されると、信号送受信回路10内部の検波器6において、所定の放射周波数に対応する定在波の振幅信号として検出される。検出された振幅信号は、信号処理回路20へと伝送され、増幅器23に入力される。なお、検波器6で検出された定在波の振幅信号は、十分に低い周波数帯域に変換されていることから、この振幅信号を増幅する信号処理回路20内部の増幅器23としては、低周波増幅器を利用することができ、安価な部品で回路を構成することができる。
【0062】
信号処理回路20では、DSP&MPU21に振幅信号が伝送されると、振幅信号の値p(f)と出力された電磁波の放射周波数fとが1対1に対応して記録される。さらに、DSP&MPU21からの制御信号によって、DDS22は、放射周波数fをステップ周波数Δfだけ変化させるための基準発振信号を出力する。
【0063】
これによって、信号送受信回路10から出力される進行波の放射周波数は、fからf+Δfに変化するが、進行波は一定の速度(光速)で伝搬するため、進行波の波長が変化することとなる。
【0064】
したがって、マイクロウェーブ式レベル計100と被検出対象物との間に形成される定在波が変化し、検知される定在波の振幅が変化するため、信号処理回路20に送られる振幅信号の値p(f+Δf)も変化することとなる。なお、この振幅信号の値p(f+Δf)も同様に、放射周波数f+Δfと1対1に対応させてDSP&MPU21に記録される。同時に、DDS22からは、さらに放射周波数f+Δfをステップ周波数Δfだけ変化させるための基準発振信号が出力される。
【0065】
上記の一連の処理は、放射周波数fが予め設定されている放射周波数帯域の最高放射周波数fmaxに至るまで繰り返して行なわれる。なお、本実施の形態では、放射周波数のステップ数N(Nは自然数)を256ステップとしている。
【0066】
図2は、以上の処理によって検出された振幅信号を放射周波数の関数として形成した振幅信号p(f)の一例を示す図である。
【0067】
図2を参照して、振幅信号p(f)は、放射周波数帯域24.1〜24.2GHzにおいて周期性を有する信号であることが分かる。この振幅信号の周期、すなわち定在波の振幅の変動周期は、マイクロウェーブ式レベル計100から被検出対象物までの距離に反比例することから、その周期を求めれば被検出対象物までの距離を求めることができる。
【0068】
振幅信号の変動周期の算出については、DSP&MPU21において、図2に示す振幅信号の周期性を周波数成分として解析するFFT処理によって求めることができる。FFT処理データから得られるパワースペクトラム|P(F)|は、振幅信号の周期の位置にピークを有する関数となるので、そのピークとなる周期Fから被検出対象物までの距離を求めることができる。
【0069】
図3は、図2の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。なお、このパワースペクトラムは、FFT処理における解析ステップを256ステップに設定したときの結果である。
【0070】
図3を参照して、パワースペクトラムは、被検出対象物までの間の距離が10mとなる付近において最大となることから、被検出対象物との間の距離は、約10mと判断することができる。なお、パワースペクトラムにおいて、距離が20m,30mとなる位置においても極大点が見られるが、これらは高調波成分によるものであって、振幅信号の変動周期に対応する基本波成分となる10m付近の値に対して十分小さいことから無視することができる。
【0071】
以上の被検出対象物の距離計測において、検出できる距離の分解能は、放射周波数のステップ数Δfに依存する。したがって、距離分解能を上げる手段としては、放射周波数の分解能を上げること、すなわち、放射周波数のステップ数Nを増やすことが有効である。例えば、検出点40mにおいて、±5mm以下の計測精度でFFT処理するためには、
(0.3×1012[mm/sec]/40000[mm])−(0.3×1012[mm/sec]/40000±5[mm])≒±0.937[kHz]
0.1×109[GHz]/0.937[kHz]×2≒213360となり、213360ステップ以上のステップ数が必要となる。
【0072】
しかしながら、24.1〜24.2GHzの限られた周波数帯域において、このような周波数ステップで計測を行なうのは、周波数の安定度を考慮すると、実用的ではない。
【0073】
ここで、注意しなければならないのは、距離分解能が放射周波数の分解能である必要はなく、検波された振幅信号の周波数成分がFFT処理によって検出されれば、得られたパワースペクトラムから被検出対象物との距離を求めることができるということである。すなわち、必要とされるのは、検出した振幅信号の周波数成分である。計測点40mにおける定在波の周期数は、
40[m]/{(0.3×109[m/sec])/(0.1×109[1/sec])}=26.7
から、約27であることから、この周期数の2倍のステップ数である54ステップ以上の放射周波数における振幅信号があれば、FFT処理をすることによって正確なパワースペクトラムが得ることができる。
【0074】
以上のように、図2に示す振幅信号と放射周波数との関係において、周期性を得ることができれば、FFT処理することによって、周期性を周波数成分として解析することができ、被検出対象物までの距離を算出することができる。
【0075】
ここで、FFT処理を行なう際に、検出分解能に応じた次数で処理することによって、被検出対象物までの距離を高精度に計測することが可能となる。このFFT処理においては、先に示した放射周波数のステップ数以上の次数である262144ステップでFFT処理をすることによって、40mまでの計測距離を±5mm以下の精度で計測することができる。
【0076】
一方で、放射周波数の分解能については、先述のとおり、振幅信号の周波数成分が検出できる放射周波数のステップ数があれば十分であることから、距離分解能を向上するために、放射周波数のステップ数を必要以上に上げる必要がない。このことから、本実施の形態のマイクロウェーブ式レベル計によれば、高速に移動する被検出対象物においても高精度に距離を求めることができる。
【0077】
なお、本実施の形態のマイクロウェーブ式レベル計によれば、放射周波数を変化させる際に、従来のFMCW方式のように、周波数をリニアに可変させる必要がなく、ランダムに変化させても定在波の振幅信号を検出することができる。
【0078】
このことは、放射周波数を直線的に可変制御するための複雑な回路構成を不要とするとともに、他のレベル計から発信された電磁波との干渉による測定誤差を回避できるという利点をもたらす。
【0079】
また、距離を計測するために必要な要素は、振幅信号の周波数成分であるため、確度の高い放射周波数の電磁波が放出できれば、マイクロウェーブ式レベル計を構成する電子部品の温度特性によって左右される振幅成分については、考慮する必要がない。したがって、従来のレベル計のように温度補償のための回路を必要とすることなく、より簡易な構成で高精度に距離を検出することができる。
【0080】
図4は、図2の振幅信号p(f)をさらに高い次数でFFT処理することによって得られたパワースペクトラムを示す図である。
【0081】
図4を参照して、FFT処理のステップ数を262144としたときには、パワースペクトラムはなだらかな波形を示し、距離10mにおいて最大点を示す。したがって、被検出対象物との距離は10mであると判断できる。
【0082】
また、図3に示すステップ数が256のときのパワースペクトラムと比較して、明らかに距離分解能が向上していることが分かる。このように、FFT処理の次数を上げることで、放射周波数のステップ数を増やすことなく、高い距離分解能を得ることができる。
【0083】
図5は、図1のマイクロウェーブ式レベル計100で検出された振幅信号p(f)の第2の例を示す図である。なお、図2と同様に、放射周波数の帯域は、24.1〜24.2GHzとし、ステップ数は256ステップとする。
【0084】
図5を参照して、放射周波数帯域24.1〜24.2GHzにおいて、振幅信号は周期性を有していることが確認される。したがって、図2の検出例と同様に、この振幅信号の周波数成分を検出すれば、被検出対象物との間の距離を求めることができる。
【0085】
図6は、図5の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。なお、このパワースペクトラムは、FFT処理における解析ステップを262144ステップに設定したものである。該ステップ数は、先述のように、計測点40mにおいて±5mmの計測精度を確保できる。
【0086】
図6を参照して、パワースペクトラムは、距離20mの位置において最大値を示すことから、被検出対象物までの距離が20mであると判断できる。なお、図3,4と同様に、図示しない40m,60mの位置において、高調波成分が検出されるが、最大値に対して十分低いレベルであるため無視することができる。
【0087】
図7は、図1のマイクロウェーブ式レベル計100で検出された振幅信号p(f)の第3の例を示す図である。なお、放射周波数帯域は、特定小電力無線を利用して、24.1〜24.2GHzとする。
【0088】
図7を参照して、放射周波数帯域24.1〜24.2GHzにおいて、検出された振幅信号p(f)は、24.13GHz付近を極大とする波形を示す。しかしながら、振幅信号p(f)の波形には、先述の図2,図5に見られたような周期性が含まれていないことが分かる。したがって、少なくとも1周期の周期性が振幅信号に現われるためには、より広い放射周波数帯域が必要であることとが予想される。
【0089】
図8は、図7の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。パワースペクトラムは、距離1mから2mの広い範囲においてなだらかに増減する波形を示す。しかしながら、図3,図6に見られたような急峻なピークが観測できないことから、正確に被検出対象物までの距離を求めることができない。
【0090】
このように、近距離の被検出対象物に対しては、24.1〜24.2GHzの狭い放射周波数の帯域では、振幅信号に周期性が含まれないことから、FFT処理によっても正確に距離を算出することができない。
【0091】
したがって、近距離の被検出対象物に対しては、振幅信号の周期性を得るために、放射周波数の帯域を広げることが必要となる。一方で、電波法で分類されている特定小電力無線を利用する場合、帯域幅0.1GHzに制限されている。
【0092】
ここで、電波法で定められる分類には、特定小電力無線よりもさらに出力電力レベルの低い微弱無線があり、この帯域幅は1GHzに規定されている。
【0093】
そこで、本実施の形態では、図2および図5に示すような遠距離に位置する被検出対象物の計測においては、特定小電力無線の狭い帯域幅(0.1GHz)を利用し、図7に示す近距離の測定においては、微弱無線の広い帯域幅(1GHz)を利用して、放射周波数の帯域幅を広げることとする。なお、微弱無線を利用することによって空中線電力が低下することとなるが、近距離の測定であるため、ノイズ等の影響は少ないものと判断できる。
【0094】
このようにして、本実施の形態によれば、近距離に位置する被検出対象物に対しても、高い計測精度で距離を求めることが可能となる。
【0095】
以上の手法では、近距離の測定においては、放射周波数の帯域幅を広げる一方で、放射する電磁波の電力を微弱無線レベルまで低下させることが必要となる。そこで、本実施の形態では、電磁波の電力レベルを調整する手段として、信号送受信回路10内部のアッテネータ4の減衰量を制御することとする。以下に、減衰量の制御について詳細に示す。
【0096】
国内における電波法によれば、レベル計に使用できる周波数帯としては、移動体検知センサ用として区分されている10.525GHz帯と24.15GHz帯が与えられている。
【0097】
10.525GHz帯は、屋内での使用に限定されており、利用できる周波数帯域も10.5〜10.55GHzと非常に狭くなっている。
【0098】
一方、24.15GHz帯では、屋外使用も可能であるが、利用できる周波数帯域が24.05〜24.25GHzに制限されており、アンテナから放射される電磁波によって被検出対象物との間の伝搬媒質中に生じる定在波を利用したとしても、先述のように、近距離における計測精度が劣化してしまう。
【0099】
すなわち、空気中の電波の伝搬速度Cを30万km/secとし、24.15GHz帯での実効周波数帯域を24.1〜24.2GHz間の0.1GHzとすると、FFT処理によって1周期性が現われるのは、
(0.3×109[m/sec])/(0.1×109[1/sec])=3[m]
であることから、計測距離が3m以上なければ、FFT処理による計測誤差が大きくなる。したがって、計測距離が3m以下のときには、実効周波数帯域を24.1〜25.2GHzの1GHzとすることによって、30cmの計測距離までを正確に計測することができる。
【0100】
そこで、近距離の測定の場合は、帯域を広げる一方で、ノイズの影響等が少ないことから、3mでの電界強度が35μV/m以下になるように、アッテネータ4の減衰量を調整する。
【0101】
一方、遠距離の測定の場合は、被検出対象物の反射計数や周囲のノイズ等の影響による受信振幅信号の劣化を防ぐため、信号送受信回路の送信部に構成されているアッテネータ4で空中線電力を10mW以下になるように抑えるものとする。
【0102】
このように、放射周波数の帯域幅を制御するとともに、アッテネータ4の減衰量を調整して放射する電磁波の電力を制御することによって、検出点から被検出対象物までの距離30cm以上で、精度良く距離が計測することができる。
【0103】
図9は、微弱無線の帯域幅を利用して検出した振幅信号p(f)の一例を示す図である。なお、放射周波数の帯域幅は、24.1〜25.1GHzとする。
【0104】
図9を参照して、放射周波数帯域24.1〜25.1GHzにおいて、振幅信号p(f)には、周期性が含まれていることが確認される。したがって、振幅信号の周波数成分を検出することによって、被検出対象物との距離を算出することが可能となる。
【0105】
図10は、図9の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。
【0106】
図10を参照して、パワースペクトラムは、距離1mに最大点が見られることから、被検出対象物までの距離が1mであると判断できる。
【0107】
以上のように、近距離に位置する被検出対象物の測定においては、微弱無線を利用して広い帯域幅で検出動作を行なうことにより、精度良く距離を検出することができる。
【0108】
図11は、図1のマイクロウェーブ式レベル計100の計測動作を示すフロー図である。
【0109】
図11を参照して、最初に、被検出対象物に放射する電磁波の放射周波数の情報が設定される。具体的には、放射周波数帯域を決める最低周波数fminおよび最高周波数fmaxと放射周波数間隔Δfとが、ユーザによって、図1の周辺回路40の操作回路41から入力される(ステップS10)。放射周波数間隔Δfについては、放射周波数ステップ数Nによって設定することも可能である。なお、本実施の形態では、電波法で分類されている特定小電力無線の帯域幅を利用して、fmin=24.1GHz,fmax=24.2GHzとし、放射周波数のステップ数N=256と設定する。これらの周波数情報は、信号処理回路20内部のDSP&MPU21へと転送される。
【0110】
次に、DSP&MPU21は、与えられた周波数情報に基づいて、アッテネータ4に制御信号を出力し、減衰量Gを設定する(ステップS11)。これによって、放出される電磁波は、特定小電力無線で定める無線電力レベルに調整される。
【0111】
続いて、DSP&MPU21は、周波数情報に基づいて、DDS22に対して、放射周波数fを最低放射周波数fminに設定するための制御信号を出力する(ステップPS12)。DDS22は、制御信号に応答して、最低放射周波数fminの電磁波を生成するための基準発振信号を生成して、PLL回路1内部の位相検出器11へと出力する。
【0112】
信号送受信回路10では、DDS22からの基準発振信号に基づいて、放射周波数を最低放射周波数fminとする電磁波(進行波)が生成されて、アンテナ50を介して、被検出対象物に対して放出される(ステップS13)。
【0113】
さらに、進行波と反射波とが干渉することによって形成された定在波は、アンテナ50で受信された後に、検波器6で検波されて、放射周波数fに対応する振幅信号p(f)が計測される(ステップS14)。
【0114】
ステップS13〜S14に示す一連の動作は、さらに、放射周波数fを放射周波数間隔Δfだけ変化させたf+Δfに変化させて実行される(ステップS15)。
【0115】
このとき、DSP&MPU21では、変更された放射周波数fは、常に最高放射周波数fmaxと比較されている(ステップS16)。このようにして、変更後の放射周波数fが最高放射周波数fmaxに到達するまで、ステップS13〜ステップS15までの動作が繰り返される。
【0116】
ステップS16において、放射周波数fが最高放射周波数fmaxに達すると、電磁波の放射が停止される。
【0117】
次に、受信された振幅信号p(f)は、DSP&MPU21において、FFT処理が行なわれ(ステップS17)、FFT処理データからパワースペクトラム|P(F)|が算出される(ステップS18)。
【0118】
ここで、得られたパワースペクトラムにおいて、1周期以上の周期性が含まれているか否かが判断される(ステップS19)。FFT処理によって振幅信号の変動周期を高精度に求めるためには、少なくとも1周期の周期性が現われていることが必要とされるからである。
【0119】
ステップS19において、パワースペクトラム|P(F)|に周期性が含まれていることが確認されたときには、その最大点である|P(F)|maxが算出される(ステップS20)。
【0120】
最後に、最大点|P(F)|maxを与える周波数成分Fを換算することによって、被検出対象物までの距離Dを求めることができる(ステップS21)。
【0121】
一方で、ステップS19において、パワースペクトラム|P(F)|に周期性が含まれていないとき、すなわち、1周期が確認できないときには、被検出対象物が近距離に位置すると判断されることから、再度放射周波数帯域が設定される。ここでは、電波法で分類される微弱無線を利用することで、帯域幅を広げることができる。
【0122】
DSP&MPU21において、最高放射周波数fmax=fmax’と、放射周波数間隔Δf=Δf’とが設定される(ステップS22)。ここで、ステップS10と同様に、放射周波数間隔Δf’の代わりに放射周波数ステップ数Nを設定することができる。本実施の形態では、最高放射周波数fmax’=25.1GHz,放射周波数ステップ数N=256と設定する。
【0123】
次に、DSP&MPU21は、これらの周波数情報に基づいて、アッテネータ4に制御信号を出力し、電磁波の出力振幅の減衰量Gを設定する(ステップS23)。これによって、放出される電磁波は、微弱無線で定める無線電力レベルに調整される。
【0124】
続いて、DSP&MPU21において、放射周波数fが最低放射周波数fminに設定されると(ステップS12)、DDS22からの基準発振信号に基づいて発生された電磁波が放射される(ステップS13)。進行波と反射波との干渉によって形成される定在波を受信し、検波器6において振幅信号p(f)が検出される(ステップS14)。これらの動作は、さらに、放射周波数fを放射周波数間隔Δfだけ変化させて行なわれ、最終的には放射周波数fが最高放射周波数fmax’に達するまで繰り返される(ステップS15,S16)。
【0125】
ステップS16において、放射周波数fが最高放射周波数fmax’に達すると、DSP&MPU21において、振幅信号p(f)のFFT処理が実行される(ステップS17)。
【0126】
続いて、FFT処理によって得られたパワースペクトラム|P(F)|を算出し(ステップS18)、1周期以上の周期性が含まれているか否かが判断される(ステップS19)。
【0127】
パワースペクトラムP(F)に周期性が確認されたときには、最大点|P(F)|maxが算出され(ステップS20)、最大となるときの周波数成分Fを換算することによって、被検出対象物までの距離が求められる(ステップS21)。
【0128】
以上のように、この発明の実施の形態に従えば、電波法で制限されている狭い放射周波数帯域においても、近距離から遠距離までを精度良く計測することができる。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0130】
【発明の効果】
以上のように、この発明に従うマイクロウェーブ式レベル計によれば、電波法で制限されている狭い放射周波数帯域においても、近距離から遠距離までを精度良く測定することができる。
【0131】
また、マイクロウェーブ式レベル計が放射した進行波と反射波とによって形成される定在波を検波して得られる振幅信号と放射周波数との関係において、周期性を得ることができれば、FFT処理によって被検出対象物までの距離を算出できることから、放射周波数の設定確度(ステップ数および可変の線形性)を高めるための複雑な回路構成を必要とせず、簡易かつ安価な回路構成で高い計測精度を実現することができる。
【0132】
さらに、マイクロウェーブ式レベル計の距離分解能は、放射周波数のステップ数を増やすことなく、FFT処理における次数を上げることによって容易に向上することができる。
【0133】
また、距離の計測に広い帯域幅が必要となる近距離の測定においては、電波法で分類される微弱無線を用いることで、放射周波数の帯域幅を広げて精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態に従うマイクロウェーブ式レベル計の構成を示すブロック図である。
【図2】 検出された振幅信号p(f)の一例を示す図である。
【図3】 図2の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。
【図4】 図2の振幅信号p(f)をさらに高い次数でFFT処理することによって得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。
【図5】 振幅信号p(f)の第2の検出例を示す図である。
【図6】 図5の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。
【図7】 振幅信号p(f)の第3の検出例を示す図である。
【図8】 図7の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。
【図9】 微弱無線の帯域幅を利用して検出した振幅信号p(f)の一例を示す図である。
【図10】 図9の振幅信号p(f)をFFT処理して得られたパワースペクトラム|P(F)|を示す図である。
【図11】 図1のマイクロウェーブ式レベル計100が行なう検出動作を説明するためのフロー図である。
【図12】 従来の距離検出装置の構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
1 PLL回路、2 逓倍器、3 増幅器、4 アッテネータ、5 コネクタ、6 検波器、10 信号送受信回路、11 位相検出器、12 LPF、13VCO、20 信号処理回路、21 DSP&MPU、22 DDS、23 増幅器、24 A/D変換器、30 計測回路、40 周辺回路、41 操作回路、42 表示回路、43 通信回路、44 出力回路、45 電源回路、50アンテナ、60 発信源、61 発信部、62 周波数制御部、70 送信器、80 検出器、90 信号処理器、100 マイクロウェーブ式レベル計、200 距離測定装置、M 被検出対象物、D 進行波、R 反射波、S 定在波。
Claims (6)
- 被検出対象物までの距離を計測するマイクロウェーブ式レベル計であって、
所定の帯域幅を有する放射周波数からなる電磁波を発生し、前記被検出対象物に対して放射する送信部と、
前記電磁波と前記電磁波の反射波とによって前記被検出対象物との間に形成される定在波の振幅信号を検出する受信部と、
検出した前記定在波の振幅信号と前記放射周波数との関係を演算処理することによって前記被検出対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備え、
前記信号処理回路は、
前記定在波の振幅信号の値を、対応する前記放射周波数の関数として前記振幅信号関数を形成し、前記振幅信号関数の変動周期を求めることによって前記被検出対象物までの距離を算出する演算回路を含み、
前記演算回路は、距離分解能に応じた次数で演算処理して前記振幅信号関数の変動周期を求める、マイクロウェーブ式レベル計。 - 前記演算回路は、前記振幅信号関数を距離分解能に応じた次数でフーリエ変換することによって前記変動周期の周波数成分を検出し、前記周波数成分から前記被検出対象物までの距離を算出する、請求項1に記載のマイクロウェーブ式レベル計。
- 被検出対象物までの距離を計測するマイクロウェーブ式レベル計であって、
所定の帯域幅を有する放射周波数からなる電磁波を発生し、前記被検出対象物に対して放射する送信部と、
前記電磁波と前記電磁波の反射波とによって前記被検出対象物との間に形成される定在波の振幅信号を検出する受信部と、
検出した前記定在波の振幅信号と前記放射周波数との関係を演算処理することによって前記被検出対象物までの距離を算出する信号処理回路とを備え、
前記信号処理回路は、
前記定在波の振幅信号の値を、対応する前記放射周波数の関数として振幅信号関数を形成し、距離分解能に応じた次数で演算処理して前記振幅信号関数の変動周期を求めることによって、前記被検出対象物までの距離を算出する演算回路を含み、
前記演算回路は、前記振幅信号関数が周期性を有するか否かを判断し、判断結果に応じて前記放射周波数の帯域幅と前記電磁波の出力振幅とを制御するための制御信号を出力し、
前記送信部は、前記制御信号にて指定された前記放射周波数の帯域幅と前記出力振幅とを有する電磁波を発生して、前記被検出対象物に対して放射する、マイクロウェーブ式レベル計。 - 前記送信部は、前記電磁波の出力振幅を前記演算回路からの制御信号で指定された減衰量だけ減衰させる振幅減衰部を含む、請求項3に記載のマイクロウェーブ式レベル計。
- 前記演算回路は、第1の放射周波数の帯域幅における前記振幅信号関数が周期性を有しないときには、前記第1の放射周波数の帯域幅よりも広帯域である第2の放射周波数の帯域幅に設定するための前記制御信号を出力する、請求項3に記載のマイクロウェーブ式レベル計。
- 前記演算回路は、前記第1の放射周波数の帯域幅における前記振幅信号関数が周期性を有しないときには、前記電磁波の出力振幅を減衰させるための前記制御信号を出力する、請求項5に記載のマイクロウェーブ式レベル計。
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