JP5212343B2 - 炭化珪素単結晶インゴット、これから得られる基板及びエピタキシャルウェハ - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴット、これから得られる基板及びエピタキシャルウェハ Download PDF

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本発明は、炭化珪素単結晶インゴット、これから得られる基板及びエピタキシャルウェハに係わり、特に、電子デバイスの基板ウェハとなる良質で大型の単結晶インゴット、これから得られる基板及びエピタキシャルウェハに関するものである。
炭化珪素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、放射線に強い等の物理的、化学的性質から、耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス、高周波・高耐圧電子デバイス等の基板ウェハとしてSiC単結晶基板の需要が高まっている。しかしながら、大面積を有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定的に供給し得る結晶成長技術は、未だ確立されていない。それ故、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料にも拘らず、その実用化が阻まれていた。
従来、研究室程度の規模では、例えば、昇華再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、SiCが有する結晶多形及び不純物キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて、珪素(Si)等の異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより、立方晶のSiC単結晶を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%あることにより、積層欠陥等の結晶欠陥が入り易く、高品質のSiC単結晶を得ることは難しい。
これらの問題点を解決するために、SiC単結晶基板を種結晶として用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法が提案され(非特許文献1)、多くの研究機関で実施されている。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また、不活性ガスにより雰囲気圧力を100Pa〜15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。
図1を用いて、改良レーリー法の原理を説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結晶粉末は、坩堝(通常黒鉛)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ、種結晶がやや低温になるように、温度勾配が設定される。原料は、昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。この際、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいは、SiC原料粉末中に不純物元素あるいはその化合物を混合することにより、制御可能である。SiC単結晶中の置換型不純物として代表的なものに、窒素(n型)、ホウ素(p型)、アルミニウム(p型)がある。改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶の結晶多形(6H型、4H型、15R型等)及び形状、キャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。
現在、上記改良レーリー法によって、口径2インチ(50.8mm)から3インチ(76.2mm)のSiC単結晶基板が製造され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供されている。しかしながら、これらのSiC単結晶基板には、線状の結晶欠陥である転位が平方cm当たり数万から数百万程度含まれており、高性能のデバイス製造を妨げていた。特に、(0001)基底面上に存在する基底面転位は、SiCデバイスの信頼性を劣化させることが知られており、その低減が強く望まれている。
基底面転位は、結晶成長中に、結晶が熱応力を受けることにより発生・増殖することが報告されている。SiC単結晶に導入された基底面転位は、結晶が成長中に受ける熱応力により、結晶中ですべり運動を起こし、このすべり運動が原因となってフランク-リードタイプの転位の増殖を起こす。この基底面転位の増殖により、SiC単結晶中の基底面転位密度が大幅に増加する。(0001)Si面8°オフSiC単結晶基板上で計測される基底面転位に起因したエッチピット密度は、通常、1×104cm-2を優に超えている。
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, Vol.52 (1981) pp.146-150
上記したようにSiC単結晶中の基底面転位は、単結晶が結晶成長中に受ける熱応力によってすべり運動を起こし、さらにこのすべり運動が原因となってその密度が増大する。したがって、SiC単結晶中の基底面転位を低減するには、結晶成長中に成長結晶が受ける熱応力を低減する必要がある。しかしながら、この熱応力を最小化しようとして、これまでにも様々な試み・改良がなされてきたが、温度勾配が結晶成長の駆動力となっているこの系では、その最小化にも限界があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基底面転位の少ない良質の基板を得ることのできるSiC単結晶インゴット、これから得られる基板及びエピタキシャルウェハを提供するものである。
本発明は、
(1) パワーデバイス用の炭化珪素単結晶インゴットであって、結晶多形が4H型の炭化珪素単結晶中にドナー型の不純物を濃度2×1018cm-3以上6×1020cm-3以下、且つアクセプター型の不純物を濃度1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下含有し、さらに前記ドナー型の不純物濃度がアクセプター型の不純物濃度より大きく、その差が6×10 18 cm -3 以上5.99×10 20 cm -3 以下であり、抵抗率が0.04Ωcm以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットであり、また、
(2) 前記ドナー型の不純物が窒素である(1)に記載のSiC単結晶インゴットであり、また、
(3) 前記アクセプター型の不純物がホウ素である(1)又は(2)に記載のSiC単結晶インゴットであり、また、
(4) 前記アクセプター型の不純物がアルミニウムである(1)又は(2)に記載のSiC単結晶インゴットであり、また、
(5) 前記インゴットの口径が50mm以上300mm以下である(1)〜(4)の何れかに記載のSiC単結晶インゴットであり、また、
(6) (1)〜(5)の何れかに記載のSiC単結晶インゴットであって、該インゴットから(0001)Si面8°オフで切断し、研磨してなるSiC単結晶基板上で計測される基底面転位に起因したエッチピット密度が1×104cm-2以下であることを特徴とするSiC単結晶インゴットであり、また、
(7) (1)〜(5)の何れかに記載のSiC単結晶インゴットであって、該インゴットから(0001)Si面8°オフで切断し、研磨してなるSiC単結晶基板上で計測される基底面転位に起因したエッチピット密度が5×103cm-2以下であることを特徴とするSiC単結晶インゴットであり、また、
(8) (1)〜(5)の何れかに記載のSiC単結晶インゴットを切断し、研磨してなるSiC単結晶基板であり、また、
(9) (8)に記載のSiC単結晶基板に、SiC薄膜をエピタキシャル成長してなるSiCエピタキシャルウェハであり、また、
(10) (8)に記載のSiC単結晶基板に、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)又はこれらの混晶をエピタキシャル成長してなる薄膜エピタキシャルウェハ、
である。
本発明によれば、転位欠陥が少ない良質のSiC単結晶を再現性良く得ることができる。特に、大口径のインゴットになるほど、この効果は大きい。このようなSiC単結晶から切り出した基板及びエピタキシャルウェハを用いれば、電気的特性の優れた高周波・高耐圧電子デバイス、光学的特性の優れた青色発光素子を製作することができる。
本発明のSiC単結晶インゴットは、SiC単結晶中のドナー型の不純物濃度を2×1018cm-3以上6×1020cm-3以下、且つアクセプター型の不純物濃度を1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下含有し、さらに前記ドナー型の不純物濃度がアクセプター型の不純物濃度より大きく、その差が1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下である。これにより、SiC単結晶中の転位欠陥を低減することができる。
まず、本発明のSiC単結晶インゴットの製造方法を説明する。本発明のSiC単結晶インゴットの製造方法は、SiC単結晶よりなる種結晶上にSiC単結晶を成長させてバルク状のSiC単結晶インゴットを成長する際に、成長する炭化珪素単結晶中のドナー型の不純物濃度を2×1018cm-3以上6×1020cm-3以下、且つアクセプター型の不純物濃度を1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下とし、さらに前記ドナー型の不純物濃度がアクセプター型の不純物濃
度より大きく、その差が1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下として結晶成長を行う。本発明者らは、数多くの結晶成長実験を行うことにより、このようにドナー型の不純物濃度とアクセプター型の不純物濃度を規定の濃度に制御して結晶成長を行った場合に、低抵抗率のSiC単結晶において、基底面転位密度を大幅に低減できることを見出した。
基底面転位の密度を低減できるメカニズムについて、以下に述べる。
SiC単結晶成長において、基底面転位密度が高くなるのは、先に述べたように、転位がすべり運動を起こし、その結果として、フランク-リードタイプの転位の増殖が起こるためである。この転位のすべり運動は、SiC単結晶が結晶成長に受ける熱応力をその駆動力とするが、先に述べたように、この熱応力を小さくするのには限界がある。
本発明者らは、この転位のすべり運動を、熱応力低減以外の方法で抑制することを考えた。金属結晶においては、転位のすべり運動を抑制する方法として、不純物を結晶中に添加し、その不純物によって転位をピン止めする(動きを止める)ことが行われている。そこで、本発明者らは、通常、抵抗率を下げるためにSiC単結晶に添加されているドナー型の不純物である窒素がこのような働きをするか調べてみたところ、1×1019cm-3以上の添加量においても転位のすべり運動を抑制する効果は観測できなかった。
次に、本発明者らは、他の不純物においてこのような効果を有するものがないか、数多くの実験を基に調査したところ、SiC単結晶中において、アクセプター型の電気特性を有する不純物がこのような効果を有することを見出した。特に、ホウ素、アルミニウム等の比較的浅い準位を形成するアクセプター型不純物が、顕著なピン止め効果を呈することが明らかになった。このようなアクセプター型不純物の準位の深さとしては、500meV程度以下であることが望ましく、ホウ素、アルミニウム以外にも、ガリウム、ベリリウム等が候補となる。SiC単結晶中において、このようなアクセプター型の不純物を1×1018cm-3以上添加すると、基底面転位のすべり運動が抑制でき、結果として転位密度の小さな結晶を製造できる。しかしながら、アクセプター型の不純物をこれだけの量、添加してしまうと、SiC単結晶は、比較的電気抵抗率の高い(1Ωcm程度以上)結晶となってしまい、パワーデバイス等に有用な抵抗率の低い(0.1Ωcm以下)SiC単結晶を得ることができなくなってしまう。
そこで、本発明では、アクセプター型の不純物濃度を上回る濃度のドナー型の不純物をSiC単結晶に添加することにより、この問題を解決する。アクセプター型の不純物を1×1018cm-3以上添加することにより、SiC単結晶中の基底面転位のすべり運動を抑制すると同時に、ドナー型の不純物をアクセプター型の不純物よりも多く添加し、且つその差を1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下とすることによって、抵抗率が低く(0.1Ωcm以下)、且つ基底面転位密度の小さなSiC単結晶インゴットを製造することができる。このようなドナー型の不純物としては、窒素が活性化し易く、また取扱い及び添加方法も簡便であるため好ましいが、窒素以外にも燐、砒素等のドナー型不純物が適用可能である。
上記したようなドナー型不純物濃度及びアクセプター型不純物濃度を有するSiC単結晶インゴットは、種々の不純物添加法により実現できる。例えば、結晶成長中に不純物をガスとして供給することによって添加することも可能であるし、また、固体(単体あるいは化合物の粉末)として、SiC粉末原料中に予め混合しておくことによっても添加可能である。この際、不純物ガスの流量や、不純物固体(粉末)の仕込み量を調整することで、所望の不純物濃度を実現できる。
アクセプター型の不純物の濃度としては、1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下である。アクセプター型の不純物濃度が1×1018cm-3未満となると、不純物による転位のピン止め効果がない。また、5.99×1020cm-3超となると、低抵抗率のSiC単結晶を得られない。
ドナー型の不純物濃度としては、2×1018cm-3以上6×1020cm-3以下である。ドナー型の不純物濃度が、2×1018cm-3未満となると、低抵抗率のSiC単結晶を得られない。また、6×1020cm-3超となると、ドナー型不純物の固溶限界を超えることになり、SiC単結晶の結晶性が劣化する。
ドナー型不純物とアクセプター型不純物の濃度差としては、1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下であり、好ましくは6×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下が望ましい。ドナー型不純物とアクセプター型不純物の濃度差が1×1018cm-3未満となると、低抵抗率のSiC単結晶を得られない。また、5.99×1020cm-3超となると、転位のピン止め効果が不十分となったり、結晶性の劣化が生じる。ドナー型不純物とアクセプター型不純物の濃度差を6×1018cm-3以上とすると、SiC単結晶の抵抗率が0.04Ωcm以下となり、基板に電気を流す縦型のSiCパワーデバイスにとっては最適となる。
SiC単結晶のポリタイプには、立方晶型の3C型、六方晶型の6H型、4H型、菱面体晶型の15R型等がある。これらの内、六方晶型の6H型、4H型ポリタイプ結晶が、その禁制帯幅の大きさ等によりパワーデバイス応用に最適とされ、これまでに多くのデバイスが製造されてきた。しかしながら、近年、4H型のSiC単結晶の電子移動度が6H型に比して2倍以上大きく、さらに電気伝導度の異方性が小さいということが明らかになり、現在では、殆どのSiCパワーデバイスが4H型のSiC単結晶基板を用いて製造されている。
本発明のSiC単結晶インゴットは、50mm以上300mm以下の口径を有しているので、このインゴットから得られる基板を用いて各種デバイスを製造する際、工業的に確立されている従来の半導体(Si、GaAs等)基板用の製造ラインを使用することができ、量産に適している。
また、このようなSiC単結晶インゴットを切断、研磨して得られる基板の基底面転位密度を(0001)Si面8°オフ基板上のエッチピット密度として評価した場合、1×104cm-2以下と低いため、この基板上に作製した素子の信頼性を向上できる。
基底面転位密度をオフ基板上のエッチピット密度として評価する理由は、オフ角度の付いていない基板を用いた場合、基底面転位と基板表面が交差しないため、基底面転位密度の評価が困難となるためである。また、(0001)面でのオフ角度を8°としたのは、基板製造の次工程であるSiCホモエピタキシャル成長において、[11-20]方向に8°オフした基板が一般的に用いられているためである。
SiCのホモエピタキシャル成長において、8°のオフ角度を基板に付与する理由は、下地基板のポリタイプを引き継ぐ安定的なステップフロー成長がオフ基板面上で実現されるためである。但し、基板のオフ角度は8°に限定される訳ではなく、1°〜12°程度の範囲にあれば、良質なSiCホモエピタキシャル成長を実現できる。
また、基底面転位に対応したエッチピット密度が1×104cm-2以下になると言う、本発明の基底面転位低減効果は、大口径結晶、例えば100mm以上の口径を有するSiC単結晶において、より顕著に現れる。これは、製造するSiC単結晶の口径が大きくなるほど温度分布が生じ易くなり、熱応力も大きくなるためである。
本発明により製造されるSiC単結晶基板は、その基底面転位密度が1×104cm-2以下と低いために、基底面転位を原因として起こる、デバイス特性の劣化等の問題が、従来のものに比べ起こり難い。さらに、このSiC単結晶基板上にCVD法等により0.1〜500μm程度の厚さのエピタキシャル薄膜を成長して作製されるSiC単結晶エピタキシャルウェハ、特に、SiC薄膜を形成するホモエピタキシャルウェハ、あるいは、GaN、AlN、InN又はこれらの混晶薄膜エピタキシャルウェハは、その基板ウェハとなるSiC単結晶基板の転位密度が小さいために、良好な特性(エピタキシャル薄膜の表面モフォロジー、耐電圧等)を示すようになる。
エピタキシャルウェハの表面モフォロジーは、その上に製造されるデバイスの性能に直結するエピタキシャルウェハの最重要特性である。表面モフォロジーが悪く、エピタキシャル膜表面にピット等が存在していたり、表面が平滑でなかったりすると、半導体デバイスにおける金属-半導体界面、あるいは絶縁膜-半導体界面の界面特性が劣化し、高性能のデバイス製造が妨げられる。また、エピタキシャル膜の表面モフォロジーは、下地基板の転位密度の影響を受け易く、転位密度の高い基板上のエピタキシャル膜では、表面モフォロジーが劣化し易い。
以下に、本発明の実施例及び比較例を述べる。
(実施例1)
図2は、本発明のSiC単結晶インゴットの製造装置であり、種結晶を用いた改良型レーリー法によって、SiC単結晶を成長させる装置の一例である。
まず、この単結晶成長装置について簡単に説明する。結晶成長は、種結晶として用いたSiC単結晶1の上に、原料であるSiC粉末2を昇華再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付けられる。原料のSiC粉末2は、黒鉛製坩堝3の内部に充填されている。このような黒鉛製坩堝3は、二重石英管5の内部に、黒鉛の支持棒6により設置される。黒鉛製坩堝3の周囲には、熱シールドのための黒鉛製断熱材7が設置されている。二重石英管5は、真空排気装置により高真空排気(10-3 Pa以下)することができ、かつ、内部雰囲気をArガスと窒素ガスの混合ガスにより圧力制御することができる。また、二重石英管5の外周には、ワークコイル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛製坩堝3を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆う断熱材の中央部に直径2〜4mmの光路を設け、坩堝上部及び下部からの光を取り出し、二色温度計を用いて行う。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の温度を種結晶温度とする。
次に、この結晶成長装置を用いたSiC単結晶の製造について、実施例を説明する。
まず、予め成長しておいたSiC単結晶インゴットから、口径50mm、厚さ1mmの{0001}面4°オフ基板を種結晶1として用意した。その後、この種結晶1を、黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付けた。黒鉛製坩堝3の内部には、原料2を充填した。原料2としては、市販の工業用SiC結晶粉末(質量ppmで、ホウ素を数ppm、アルミニウムを10〜20ppm程度含む)を酸洗浄後、乾燥させたものに、アクセプター型の不純物であるホウ素の固体原料であるB4C粉末を質量%で0.26%混合させたものを用いた。
次いで、原料を充填した黒鉛製坩堝3を、種結晶を取り付けた蓋4で閉じ、黒鉛製断熱材7で被覆した後、黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内部に設置した。そして、石英管の内部を真空排気した後、ワークコイルに電流を流し、原料温度を2000℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして窒素を容積百分率で12%含むArガスを流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原料温度を目標温度である2400℃まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後、約50時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度勾配は15℃/cmで、成長速度は平均で約0.62mm/時であった。最終的に得られた結晶は、口径は51.5mmで、高さは31mm程度であった。
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、4H型のSiC単結晶インゴットが成長したことを確認できた。また、二次イオン質量分析法により、成長したSiC単結晶中の窒素濃度及びホウ素濃度を調べたところ、それぞれ、1.2×1019cm-3、4.1×1018cm-3と言う値を得た。さらに、成長した結晶の抵抗率を渦電流法により測定したところ、0.022Ωcmと言う値を得た。
次に、成長結晶中に存在する基底面転位密度を評価する目的で、成長した単結晶インゴットから(0001)Si面8°オフ基板を切り出し、研磨した。その後、約530℃の溶融KOHで基板表面をエッチングし、顕微鏡により基底面転位に対応するエッチピットの密度を調べたところ、基板全面の平均で5.6×103cm-2と言う値を得た。
さらに、上記したSiC単結晶から、口径51mmの{0001}面SiC単結晶基板を再度切出し、鏡面研磨した。基板の面方位は(0001)Si面で[11-20]方向に8°オフとした。このSiC単結晶基板を用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1550℃であり、シラン(SiH4)、エチレン(C2H4)、窒素(N2)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10-9m3/sec、3.8×10-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、1.7×10-5m3/secであった。成長圧力は13kPaとした。成長時間は1.2時間で、膜厚としては約8μm成長した。
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、基板全面に亘って非常に平坦で、ピット等の表面欠陥が少ない良好な表面モフォロジーを有するSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分かった。
また、上記SiC単結晶から同様にして、オフ角度が0°の(0001)Si面SiC単結晶基板を切り出し、鏡面研磨した後、その上にGaN薄膜を有機金属化学気相成長(MOCVD)法によりエピタキシャル成長させた。成長条件は、成長温度1050℃であり、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)をそれぞれ、54×10-6モル/min、4リットル/min、22×10-11モル/min流した。また、成長圧力は大気圧とした。成長時間は20分間で、n型のGaNを約1μmの膜厚で成長させた。
得られたGaN薄膜の表面状態を調べる目的で、成長表面をノマルスキー光学顕微鏡により観察した。基板全面に亘って非常に平坦なモフォロジーが得られ、高品質なGaN薄膜が形成されているのが分かった。
最後に、先に作製したSiCホモエピタキシャルウェハを用いて、ショットキー障壁ダイオード(SBD)の試作を行った。ショットキー電極材料としてはチタンを採用し、また裏面のオーミック電極材料としてはニッケルを採用した。電極サイズは1.2mmφとし、ショットキー電極周りの終端構造はアルミニウムのイオン注入により形成した。口径51mmのウェハ全面に合計256個のSBDを試作し、それぞれの素子の耐圧と測定した。本実施例で製造したSiCエピタキシャル膜の厚さ及びドーピング密度が8μm及び8×1015cm-3程度であっため、素子耐圧として600Vを超えたものを合格素子として素子歩留りを計算したところ、本実施例のSiCホモエピタキシャルウェハでは、82%の素子歩留りを得た。素子製造工程に起因した特性劣化分(ゴミ付着等による素子劣化)を考慮すると、エピタキシャル膜の品質自体が原因となって特性劣化したものは、殆ど無かったと考えられる。また、SBDの平均オン電圧は1.55Vであった。
(実施例2)
アクセプター型不純物としてアルミニウムを添加した場合の実施例について記す。
まず、予め成長しておいたSiC単結晶インゴットから、口径50mm、厚さ1mmの{0001}面4°オフ基板を種結晶1として用意した。その後、この種結晶1を用いて、実施例1と同様の手順で結晶成長を50時間行った。ただし、今回は、アルミニウムの固体原料であるAl4C3粉末をカプセル状の黒鉛容器に収納した後、原料であるSiC結晶粉末中に仕込んだ。SiC結晶粉末中のAl4C3粉末の混合割合は、質量%で35.7%とした。得られた結晶の口径は51.5mmで、平均の結晶成長速度は約0.60mm/時で、高さは30mm程度であった。
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、4H型のSiC単結晶インゴットが成長したことを確認できた。また、単結晶中の窒素及びアルミニウム濃度を測定する目的で、二次イオン質量分析を行ったところ、それぞれ1.1×1019cm-3、2.2×1018cm-3と言う値を得た。さらに、さらに、成長した結晶の抵抗率を渦電流法により測定したところ、0.020Ωcmと言う値を得た。
次に、成長結晶中に存在する基底面転位密度を評価する目的で、成長した単結晶インゴットから(0001)Si面8°オフ基板を切り出し、研磨した。その後、約530℃の溶融KOHで基板表面をエッチングし、顕微鏡により基底面転位に対応するエッチピットの密度を調べたところ、基板全面の平均で7.4×103cm-2と言う値を得た。
さらに、上記したSiC単結晶から、口径51mmの{0001}面SiC単結晶基板を切出し、鏡面基板とした。基板の面方位は(0001)Si面で[11-20]方向に8°オフとした。このSiC単結晶基板を用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1550℃であり、SiH4、C2H4、N2、H2の流量が、それぞれ5.0×10-9m3/sec、3.8×10-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、1.7×10-5m3/secであった。成長圧力は13kPaとした。成長時間は1.2時間で、膜厚としては約8μm成長した。
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、ピット等の少ない平滑な表面が得られていることが分かった。
また、上記SiC単結晶から同様にして、オフ角度が0°の(0001)Si面SiC単結晶基板を切り出し、鏡面研磨した後、その上にGaN薄膜をMOCVD法によりエピタキシャル成長させた。成長条件は、成長温度1050℃であり、TMG、NH3、SiH4をそれぞれ、54×10-6モル/min、4リットル/min、22×10-11モル/min流した。また、成長圧力は大気圧とした。成長時間は20分間で、n型のGaNを約1μmの膜厚で成長させた。
得られたGaN薄膜の表面状態を調べる目的で、成長表面をノマルスキー光学顕微鏡により観察したところ、ピット等の少ない良好な表面モフォロジーを有するエピタキシャル薄膜が形成されていることが分かった。
最後に、先に作製したSiCホモエピタキシャルウェハを用いて、SBDの試作を行った。ショットキー電極やオーミック電極材料、電極サイズ等は全て実施例1と同じとし、素子耐圧600V超を合格素子として256個のSBDの耐圧を測定したところ、本実施例で製造したSiCホモエピタキシャルウェハでは、79%の素子歩留りを得た。また、SBDの平均オン電圧は1.52Vであった。
(実施例3)
ホウ素、窒素共に、実施例1と比較して多く添加した場合の実施例について述べる。
まず、予め成長しておいたSiC単結晶インゴットから、口径50mm、厚さ1mmの{0001}面4°オフ基板を種結晶1として用意した。その後、この種結晶1を用いて、実施例1と同様の手順で結晶成長を50時間行った。但し、今回は、B4C粉末の混合割合を質量%で2%とした。また、雰囲気ガスとして窒素を容積百分率で40%含むArガスを流入させ結晶成長を行った。得られた結晶の口径は51.5mmで、平均の結晶成長速度は約0.54mm/時で、高さは27mm程度であった。
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、4H型のSiC単結晶インゴットが成長したことを確認できた。また、単結晶中の窒素及びホウ素濃度を測定する目的で、二次イオン質量分析を行ったところ、それぞれ2.7×1019cm-3、1.5×1019cm-3と言う値を得た。さらに、成長した結晶の抵抗率を渦電流法により測定したところ、0.015Ωcmと言う値を得た。
次に、成長結晶中に存在する基底面転位密度を評価する目的で、成長した単結晶インゴットから(0001)Si面8°オフ基板を切り出し、研磨した。その後、約530℃の溶融KOHで基板表面をエッチングし、顕微鏡により基底面転位に対応するエッチピットの密度を調べたところ、基板全面の平均で2.3×103cm-2と言う値を得た。
さらに、上記したSiC単結晶から、口径51mmの{0001}面SiC単結晶基板を切出し、鏡面基板とした。基板の面方位は(0001)Si面で[11-20]方向に8°オフとした。このSiC単結晶基板を用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1550℃であり、SiH4、C2H4、N2、H2の流量が、それぞれ5.0×10-9m3/sec、3.8×10-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、1.7×10-5m3/secであった。成長圧力は13kPaとした。成長時間は1.2時間で、膜厚としては約8μm成長した。
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、基板全面に亘って平滑な表面が得られたことが確認できた。
また、上記SiC単結晶から同様にして、オフ角度が0°の(0001)Si面SiC単結晶基板を切り出し、鏡面研磨した後、その上にGaN薄膜をMOCVD法によりエピタキシャル成長させた。成長条件は、成長温度1050℃であり、TMG、NH3、SiH4をそれぞれ、54×10-6モル/min、4リットル/min、22×10-11モル/min流した。また、成長圧力は大気圧とした。成長時間は20分間で、n型のGaNを約1μmの膜厚で成長させた。
得られたGaN薄膜の表面状態を調べる目的で、成長表面をノマルスキー光学顕微鏡により観察したところ、滑らかな表面モフォロジーを呈するエピタキシャル薄膜が形成されていることが分かった。
最後に、先に作製したSiCホモエピタキシャルウェハを用いて、SBDの試作を行った。ショットキー電極やオーミック電極材料、電極サイズ等は全て実施例1と同じとし、素子耐圧600V超を合格素子として256個のSBDの耐圧を測定したところ、本実施例で製造したSiCホモエピタキシャルウェハでは、89%の素子歩留りを得た。また、SBDの平均オン電圧は1.48Vであった。
(比較例1)
比較例として、SiC結晶粉末にB4C粉末を意図的に全く添加しない原料粉末を用いた成長実験について記す。
まず、予め成長しておいたSiC単結晶インゴットから、口径50mm、厚さ1mmの{0001}面4°オフ基板を種結晶1として用意した。その後、この種結晶1を用いて、実施例と同様の手順で結晶成長を50時間行った。但し、今回は、B4C粉末を全く添加しないSiC結晶粉末を原料として用いた。得られた結晶の口径は51.5mmで、平均の結晶成長速度は約0.64mm/時で、高さは32mm程度であった。
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、4H型のSiC単結晶インゴットが成長したことを確認できた。また、単結晶中の窒素及びホウ素濃度を測定する目的で、二次イオン質量分析を行ったところ、それぞれ1.2×1019cm-3、1.3×1017cm-3と言う値を得た。さらに、さらに、成長した結晶の抵抗率を渦電流法により測定したところ、0.015Ωcmと言う値を得た。
次に、成長結晶中に存在する基底面転位密度を評価する目的で、成長した単結晶インゴットから(0001)Si面8°オフ基板を切り出し、研磨した。その後、約530℃の溶融KOHで基板表面をエッチングし、顕微鏡により基底面転位に対応するエッチピットの密度を調べたところ、基板全面の平均で1.4×104cm-2と言う値を得た。
さらに、上記したSiC単結晶から、口径51mmの{0001}面SiC単結晶基板を切出し、鏡面基板とした。基板の面方位は(0001)Si面で[11-20]方向に8°オフとした。このSiC単結晶基板を用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1550℃であり、SiH4、C2H4、N2、H2の流量が、それぞれ5.0×10-9m3/sec、3.8×10-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、1.7×10-5m3/secであった。成長圧力は13kPaとした。成長時間は1.2時間で、膜厚としては約8μm成長した。
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、転位欠陥に起因すると思われる表面欠陥(ピット)が一部の領域で観測された。
また、上記SiC単結晶から同様にして、オフ角度が0°の(0001)Si面SiC単結晶基板を切り出し、鏡面研磨した後、その上にGaN薄膜をMOCVD法によりエピタキシャル成長させた。成長条件は、成長温度1050℃であり、TMG、NH3、SiH4をそれぞれ、54×10-6モル/min、4リットル/min、22×10-11モル/min流した。また、成長圧力は大気圧とした。成長時間は20分間で、n型のGaNを約1μmの膜厚で成長させた。
得られたGaN薄膜の表面状態を調べる目的で、成長表面をノマルスキー光学顕微鏡により観察したところ、やや荒れた表面モフォロジーを呈していることが分かった。
最後に、先に作製したSiCホモエピタキシャルウェハを用いて、SBDの試作を行った。ショットキー電極やオーミック電極材料、電極サイズ等は全て実施例1と同じとし、素子耐圧600V超を合格素子として256個のSBDの耐圧を測定したところ、本比較例で製造したSiCホモエピタキシャルウェハでは、51%の素子歩留りとなった。耐圧劣化を起こした素子は、エピタキシャル表面にピット等が観測された領域に多く存在していた。また、耐圧が良好だったSBDの平均オン電圧は1.49Vであった。
(比較例2)
比較例として、ドナー型の不純物とアクセプター型の不純物の濃度差が小さい場合の成長実験について記す。
まず、予め成長しておいたSiC単結晶インゴットから、口径50mm、厚さ1mmの{0001}面4°オフ基板を種結晶1として用意した。その後、この種結晶1を用いて、実施例1と同様の手順で結晶成長を50時間行った。但し、今回は、雰囲気ガスとして窒素を容積百分率で5%含むArガスを流入させ結晶成長を行った。得られた結晶の口径は51.5mmで、平均の結晶成長速度は約0.66mm/時で、高さは33mm程度であった。
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、4H型のSiC単結晶インゴットが成長したことを確認できた。また、単結晶中の窒素及びホウ素濃度を測定する目的で、二次イオン質量分析を行ったところ、それぞれ4.5×1018cm-3、3.8×1018cm-3と言う値を得た。さらに、さらに、成長した結晶の抵抗率を渦電流法により測定したところ、0.25Ωcmと言う高い抵抗率を得た。
次に、成長結晶中に存在する基底面転位密度を評価する目的で、成長した単結晶インゴットから(0001)Si面8°オフ基板を切り出し、研磨した。その後、約530℃の溶融KOHで基板表面をエッチングし、顕微鏡により基底面転位に対応するエッチピットの密度を調べたところ、基板全面の平均で7.2×103cm-2と言う値を得た。
さらに、上記したSiC単結晶から、口径51mmの{0001}面SiC単結晶基板を切出し、鏡面基板とした。基板の面方位は(0001)Si面で[11-20]方向に8°オフとした。このSiC単結
晶基板を用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1550℃であり、SiH4、C2H4、N2、H2の流量が、それぞれ5.0×10-9m3/sec、3
.8×10-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、1.7×10-5m3/secであった。成長圧力は13kPaとした。成長時間は1.2時間で、膜厚としては約8μm成長した。
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、転位欠陥に起因すると思われる表面欠陥は観測されなかった。
また、上記SiC単結晶から同様にして、オフ角度が0°の(0001)Si面SiC単結晶基板を切り出し、鏡面研磨した後、その上にGaN薄膜をMOCVD法によりエピタキシャル成長させた。成長条件は、成長温度1050℃であり、TMG、NH3、SiH4をそれぞれ、54×10-6モル/min、4リットル/min、22×10-11モル/min流した。また、成長圧力は大気圧とした。成長時間は20分間で、n型のGaNを約1μmの膜厚で成長させた。
得られたGaN薄膜の表面状態を調べる目的で、成長表面をノマルスキー光学顕微鏡により観察したところ、ピット等の少ない平滑な表面モフォロジーを呈していることが分かった。
最後に、先に作製したSiCホモエピタキシャルウェハを用いて、SBDの試作を行った。ショットキー電極やオーミック電極材料、電極サイズ等は全て実施例1と同じとし、素子耐圧600V超を合格素子として256個のSBDの耐圧を測定したところ、本比較例で製造したSiCホモエピタキシャルウェハでは、82%の素子歩留りを得られたが、平均オン電圧が2.45Vと、実施例1で試作したものに比べ1V程度高くなってしまい、パワーダイオードとしては不適となった。
改良レーリー法の原理を説明する図 本発明の製造方法に用いられる単結晶成長装置の一例を示す構成図
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC粉末原料
3 黒鉛坩堝
4 黒鉛製蓋
5 二重石英管
6 支持棒
7 黒鉛製断熱材
8 ワークコイル
9 Arガス配管
10 Arガス用マスフローコントローラ
11 窒素ガス配管
12 窒素ガス用マスフローコントローラ
13 真空排気装置

Claims (10)

  1. パワーデバイス用の炭化珪素単結晶インゴットであって、結晶多形が4H型の炭化珪素単結晶中にドナー型の不純物を濃度2×1018cm-3以上6×1020cm-3以下、且つアクセプター型の不純物を濃度1×1018cm-3以上5.99×1020cm-3以下含有し、さらに前記ドナー型の不純物濃度がアクセプター型の不純物濃度より大きく、その差が6×10 18 cm -3 以上5.99×10 20 cm -3 以下であり、抵抗率が0.04Ωcm以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
  2. 前記ドナー型の不純物が窒素である請求項に記載の炭化珪素単結晶インゴット。
  3. 前記アクセプター型の不純物がホウ素である請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴット。
  4. 前記アクセプター型の不純物がアルミニウムである請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴット。
  5. 前記インゴットの口径が50mm以上300mm以下である請求項1〜4の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴット。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットから(0001)Si面8°オフで切断し、研磨してなる炭化珪素単結晶基板上で計測される基底面転位に起因したエッチピット密度が1×104cm-2以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットから(0001)Si面8°オフで切断し、研磨してなる炭化珪素単結晶基板上で計測される基底面転位に起因したエッチピット密度が5×103cm-2以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
  8. 請求項1〜5の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットを切断し、研磨してなる炭化珪素単結晶基板。
  9. 請求項に記載の炭化珪素単結晶基板に、炭化珪素薄膜をエピタキシャル成長してなる炭化珪素エピタキシャルウェハ。
  10. 請求項に記載の炭化珪素単結晶基板に、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム又はこれらの混晶をエピタキシャル成長してなる薄膜エピタキシャルウェハ。
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