JP5211649B2 - 吐出ヘッドの駆動方法、液状体の吐出方法、有機el素子の製造方法 - Google Patents

吐出ヘッドの駆動方法、液状体の吐出方法、有機el素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液状体を吐出する吐出ヘッドの駆動方法、液状体の吐出方法、有機EL素子の製造方法に関する。
吐出ヘッドの駆動方法としては、圧電素子にパルス電圧を印加し、該圧電素子の伸縮によってインク室の体積を変化させ、インク滴を吐出するインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、温度検出手段と、インク滴を吐出させる駆動信号を発生させる駆動信号発生手段とを具備し、温度検出手段により検出される温度情報に基づいて、インク滴吐出量およびインク滴吐出タイミングを制御するインクジェットヘッドの駆動方法が知られている(特許文献1)。
上記インクジェットヘッドの駆動方法では、環境温度の変化に応じて駆動信号波形の形状に補正をかける際に、印字タイミング信号から実際にインク液滴が吐出されるまでの時間を変化させないように補正をかけている。これにより、環境温度によらずインク滴吐出量、およびインク滴着弾位置を一定に保つことができるとしている。
上記インクジェットヘッドの駆動方法に代表される液滴吐出法を用いた有機EL(エレクトロルミネセンス)素子の製造方法としては、基板上の所定の領域内において、行方向および列方向に互いに間隔を存した複数の画素を形成すべき位置に、インクジェット塗布装置により、所望の配列でR(赤)、G(緑)、B(青)色の発光材料からなるインクの液滴量を吐出塗布して複数の画素を形成する場合、基板上の行方向に形成される複数の画素からなる行配置画素群ごとにインク液滴量を所定の範囲でばらつかせるようにした有機EL表示装置の製造方法が知られている(特許文献2)。
上記有機EL表示装置の製造方法では、上記行配置画素群ごとに複数のノズルのそれぞれが対応するようにインクジェットヘッドを配置して、各ノズルごとのアクチュエータに指令電圧にランダムノイズを付加した駆動波形を印加してインクを塗布している。これにより、行配置画素群間におけるインク液滴量の分布が互いに重なり合う範囲が拡大して、インク液滴量の差が目立ち難くなり、結果的に行方向のスジ状ムラが視認し難くなるとしている。
特開2000−153608号公報 特開2005−93099号公報
上記有機EL表示装置の製造方法では、ノズル間のインク液滴量の平均値の差は、依然として解消されない。複数の画素ごとに所望のインク液滴量が塗布されることが望ましいため、上記インクジェットヘッドの駆動方法を採用することが考えられる。
しかしながら、上記インクジェットヘッドの駆動方法では、駆動電圧を補正してインク滴吐出量を一定にしても、インク滴の吐出速度が駆動電圧の補正割合によって変動することになる。したがって、インクの物性にもよるが、吐出速度の変動によって、サテライトと呼ばれる不必要な微小インク滴が吐出されたり、インク滴の飛行曲がりが生じて着弾位置がずれるおそれがあった。
さらに、上記有機EL表示装置の製造方法において、上記サテライトや上記飛行曲がりの発生は、異なる色の画素間における混色を引き起こすという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例の吐出ヘッドの駆動方法は、複数のノズルと、前記ノズルから液状体を液滴として吐出させる駆動手段とを備える吐出ヘッドの駆動方法であって、前記駆動手段に対して充電、保持、放電を促す基準駆動波形を前記駆動手段に印加して得られた前記ノズルごとの前記液滴の吐出量に基づいて、基準吐出量に対する前記ノズルごとの補正量を定め、前記補正量に基づいて、前記基準駆動波形の放電時の中間電位を補正した補正駆動波形を、前記ノズルごとの前記駆動手段に印加することを特徴とする。
この方法によれば、基準駆動波形の最大電位すなわち駆動電圧を補正する場合に比べて、補正駆動波形は中間電位が補正されているので、ノズルごとの液滴の吐出量の補正を可能とする一方で、液滴の飛行速度が補正により変化することを抑制することができる。なお、ノズルから吐出された液滴の吐出量が基準吐出量に合致した場合、すなわち吐出量の補正を必要としない場合には、当該ノズルの駆動手段には、基準駆動波形を印加する。
[適用例2]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記補正量は、前記液状体が液滴群として付与される塗布領域において、前記液滴群の塗布量が前記基準吐出量に吐出数を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まるように、前記液滴群を吐出するために使用するノズルごとに設定されていることを特徴とする。
この方法によれば、塗布領域に付与される液滴群の塗布量が所定の範囲に収まるように、液滴群を構成する液滴ごとに補正がなされる。したがって、液滴群において、液滴の吐出数を変えずにその塗布量の補正を行うことができる。特に、塗布領域において液滴の吐出数が少ない場合に効果的に補正を可能とする。
[適用例3]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記複数のノズルにおける前記液滴の吐出量の度数分布に基づいて、前記複数のノズルを複数の区間に分割し、前記区間ごとに前記補正量を定め、前記補正量に基づいて、前記基準駆動波形の放電時の中間電位を補正した補正駆動波形を、前記区間に含まれる前記使用するノズルの前記駆動手段に印加することが好ましい。
この方法によれば、複数のノズルを吐出量の区間代表値が異なる複数の区間に分けてグループ化することになる。そして、区間ごとに基準吐出量に対する補正量を定めることにより、複数のノズルに対してグループごとに吐出量の補正を行うことができる。ゆえに、ノズルの数が増えても効率的に吐出量の補正が可能である。
[適用例4]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記区間ごとに定められた前記補正量を、粗な第1補正量と、細かな第2補正量とに分け、前記液滴群を構成する前記液滴を吐出する際には、前記基準駆動波形と、前記第1補正量に基づいて前記中間電位を補正した第1補正駆動波形と、前記第2補正量に基づいて前記中間電位を補正した第2補正駆動波形とのうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加することが好ましい。
この方法によれば、少なくとも2種の補正駆動波形を用いて液滴の吐出量の補正を行うことができる。また、塗布領域に塗布される液滴群は、粗な補正と細かな補正とを適用した液滴から構成されることになるので、一律な補正量を用いる場合に比べて、液滴群の塗布量においてより高精度な補正を可能とする。
[適用例5]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記度数分布の中央値を前記基準吐出量として、前記区間ごとに前記中央値に対する前記補正量を定めるとしてもよい。
この方法によれば、基準吐出量が度数分布の中央値であるため、中央値に対して吐出量が増加する正の補正と、減少する負の補正とを均等に施すことができる。すなわち、正負対称的な吐出量の補正が可能である。
[適用例6]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記複数の区間の数が、前記吐出量を可変し得る前記基準駆動波形を含む複数の駆動波形の組み合わせにより得られる数と同一であることが好ましい。
この方法によれば、複数の駆動波形を好適に複数の区間にあてはめて吐出量の補正を行うことができる。
[適用例7]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記液滴群が前記塗布領域に吐出タイミングを変えて前記液滴を吐出することにより構成される場合、前記吐出タイミングごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加するとしてもよい。
この方法によれば、塗布領域と吐出ヘッドとの相対移動に対応して吐出タイミングを変えると、塗布領域における液滴の着弾位置が変わる。ゆえに、液滴の着弾位置に応じて液滴の吐出量の補正を可能とする。すなわち、塗布領域において所望の位置に補正された液滴を配置することができる。言い換えれば、塗布領域における液滴の配置に伴う吐出量のムラを補正により抑制することができる。
[適用例8]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記吐出ヘッドにより前記塗布領域を複数回に渡って走査して、前記液滴群を前記塗布領域に付与する場合、前記走査ごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加するとしてもよい。
この方法によれば、走査ごとに付与される液滴の吐出量を補正することができる。すなわち、走査に伴う液滴の吐出量のムラを補正により抑制することができる。また、同一走査においては、同一の駆動波形を使用することになり、安定した吐出特性で液滴を吐出することができる。
[適用例9]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記吐出ヘッドは、前記複数のノズルからなるノズル列を複数有し、前記基準駆動波形は、前記ノズル列ごとの平均的な前記吐出量が前記基準吐出量となるように充電時の最大電位が予め補正されていることが好ましい。
この方法によれば、複数のノズルからなるノズル列ごとの吐出量の補正を可能とする。したがって、ノズル間だけでなく、ノズル列間においても吐出量が適正に補正され、液状体を安定的に吐出することができる。
[適用例10]本適用例の液状体の吐出方法は、複数の塗布領域を有する基板と、複数のノズルを有する吐出ヘッドとを対向させて相対移動させる走査に同期して、前記塗布領域に少なくとも1つの前記ノズルから液状体を液滴として吐出する液状体の吐出方法であって、前記吐出ヘッドは、前記ノズルから前記液滴を吐出させる駆動手段を有し、前記駆動手段に対して充電、保持、放電を促す基準駆動波形を印加して、前記ノズルごとに吐出された前記液滴の吐出量の情報を入手するノズル情報入手工程と、前記ノズルごとに基準吐出量に対する補正量を求める演算工程と、前記走査において、前記複数のノズルのうち前記塗布領域に掛かるノズルの前記駆動手段に、当該ノズルの前記補正量に基づいて、前記基準駆動波形の放電時の中間電位を補正した補正駆動波形を印加して、前記塗布領域に少なくとも1つの前記液滴を吐出する吐出工程と、を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、吐出工程では、使用するノズルの補正量に基づいて、基準駆動波形の放電時の中間電位を補正した補正駆動波形を印加して、塗布領域に少なくとも1滴の液滴が吐出される。したがって、基準駆動波形の最大電位すなわち駆動電圧を補正した補正駆動波形を印加する場合に比べて、ノズルごとの液滴の吐出量の補正を可能とする一方で、液滴の飛行速度が補正により変化することを抑制することができる。よって、飛行速度の変化により、不要なサテライトや液滴の着弾位置ずれが発生することを抑制すると共に、塗布領域に必要量の液状体を液滴として安定的に付与することができる。なお、吐出量の補正を必要としない場合には、当該ノズルの駆動手段には、基準駆動波形を印加する。
[適用例11]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記塗布領域に前記液状体を前記液滴として配置する配置情報を生成する配置情報生成工程をさらに備え、前記演算工程は、前記配置情報に基づいて、複数の前記液滴からなる液滴群の塗布量が前記基準吐出量に吐出数を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まるように、前記液滴群を吐出するために使用するノズルの前記補正量を求めることを特徴とする。
この方法によれば、液滴群の塗布量が基準吐出量に吐出数を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まるように、液滴群を構成する液滴ごとに吐出量の補正量が求められる。したがって、液滴群において、液滴の吐出数を変えずにその塗布量の補正を行うことができる。特に、塗布領域において液滴の吐出数が少ない場合、効果的に上記塗布量の補正を行うことができる。
[適用例12]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記演算工程は、前記複数のノズルにおける前記液滴の吐出量の度数分布に基づいて、前記複数のノズルを複数の区間に分割し、前記区間ごとに前記基準吐出量に対する前記補正量を求め、前記吐出工程は、前記使用するノズルが含まれる前記区間の当該補正量を適用して前記中間電位を補正した前記補正駆動波形を当該ノズルの前記駆動手段に印加することが好ましい。
この方法によれば、複数のノズルを吐出量の区間代表値が異なる複数の区間に振り分ける。したがって、1つのノズルを単位として補正する場合に比べて、区間ごとに振り分けられた少なくとも1つ以上のノズルを単位として補正するので、より少ない種類の補正駆動波形を用いて塗布量が補正された液状体を塗布領域に吐出することができる。
[適用例13]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記演算工程は、前記区間ごとの前記補正量を、粗な第1補正量と、細かな第2補正量とに分けて求め、前記吐出工程は、前記基準駆動波形と、前記第1補正量に基づいて前記中間電位を補正した第1補正駆動波形と、前記第2補正量に基づいて前記中間電位を補正した第2補正駆動波形とのうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加して前記液滴群を構成する前記液滴を吐出することを特徴とする。
この方法によれば、吐出工程では、少なくとも2種の補正駆動波形を用いることができる。したがって、粗な補正と細かな補正とを組み合わせることが可能となり、一律な補正量を用いる場合に比べて、より高精度な吐出量の補正を行って、塗布領域に必要量の液状体をばらつきの少ない状態で安定的に塗布することができる。
[適用例14]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記度数分布の中央値を前記基準吐出量として、前記区間ごとに前記中央値に対する前記補正量を定めることを特徴とする。
この方法によれば、基準吐出量が度数分布の中央値であるため、中央値に対して吐出量が増加する正の補正と、減少する負の補正とを均等に施すことができる。すなわち、正負対称的な吐出量の補正が可能な液状体の吐出方法を提供することができる。
[適用例15]上記適用例の吐出ヘッドの駆動方法において、前記複数の区間の数が、前記吐出量を可変し得る前記基準駆動波形を含む複数の駆動波形の組み合わせにより得られる数と同一であることが好ましい。
この方法によれば、複数の駆動波形を好適に複数の区間にあてはめて吐出量の補正を行うことができる。
[適用例16]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記吐出工程は、前記液滴群が前記塗布領域に吐出タイミングを変えて前記液滴を吐出することにより構成される場合、前記吐出タイミングごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加して前記液滴群を構成する前記液滴を吐出するとしてもよい。
この方法によれば、基板と吐出ヘッドとの相対移動に伴って、吐出タイミングを変えて液滴を吐出すると、塗布領域において異なる位置に液滴が着弾する。したがって、塗布領域において所望の位置に補正された液滴を配置することができる。言い換えれば、塗布領域における液滴の配置に伴う吐出量のムラを補正により抑制することができる。
[適用例17]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記吐出工程は、複数回の走査を行って、前記液滴群を前記塗布領域に付与する場合、前記走査ごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加して前記液滴群を構成する前記液滴を吐出するとしてもよい。
この方法によれば、走査ごとに付与される液滴の吐出量を補正することができる。すなわち、走査に伴う液滴の吐出量のムラを補正により抑制することができる。また、同一走査においては、同一の駆動波形を使用することになり、安定した吐出特性で液滴を吐出して、塗布領域に液状体を塗布することができる。
[適用例18]上記適用例の液状体の吐出方法において、前記吐出ヘッドは、前記複数のノズルからなるノズル列を複数有し、前記ノズル列ごとの平均的な前記吐出量が前記基準吐出量となるように、前記基準駆動波形の充電時の最大電位を予め補正する工程を、さらに備えることが望ましい。
この方法によれば、ノズルごとの吐出量の補正を可能とするだけでなく、ノズル列ごとにおいても吐出量が補正され、塗布領域に必要量の液状体をより安定的に付与することができる。
[適用例19]本適用例の有機EL素子の製造方法は、基板上に区画形成された複数の発光層形成領域に少なくとも発光層を有する有機EL素子の製造方法であって、上記適用例の液状体の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を前記複数の発光層形成領域に吐出する吐出工程と、吐出された前記液状体を固化して、前記発光層を形成する固化工程と、を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、塗布領域としての発光層形成領域に必要量の液状体が安定的に付与されるので、固化工程で付与された液状体を固化すれば、発光層形成領域ごとにほぼ一定の膜厚を有する発光層が形成される。したがって、発光層の膜厚ムラに起因する輝度ムラや発光ムラが低減され、有機EL素子を歩留りよく製造することができる。
[適用例20]上記適用例の有機EL素子の製造方法において、前記吐出工程では、異なる発光色が得られる複数種の前記液状体を所望の前記発光層形成領域に吐出し、前記固化工程では、吐出された複数種の前記液状体を固化して、少なくとも赤、緑、青、3色の前記発光層を形成するとしてもよい。
この方法によれば、フルカラーの発光が得られる有機EL素子を歩留まりよく製造することができる。
[適用例21]上記適用例の有機EL素子の製造方法において、前記吐出工程では、複数種の前記液状体をそれぞれ異なる吐出ヘッドに充填し、前記液状体ごとに前記基準駆動波形の設定と、前記補正駆動波形の設定とを行うことが好ましい。
この方法によれば、発光層形成領域に付与される液状体ごとに必要量が異なっていても、適正に吐出量の補正がなされ、所望の膜厚を有する発光層を形成することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
(実施形態1)
まず、複数のノズルから液状体を液滴として吐出可能な吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置について、図1〜図5を参照して説明する。
図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、液滴吐出装置10は、ワークとしての基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させるワーク移動機構20と、吐出ヘッド50(図2参照)が搭載されたヘッドユニット9を副走査方向(X軸方向)に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。
ワーク移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動台22と、移動台22上に回転機構としてのθテーブル6を介して配設された基板Wを載置するステージ5とを備えている。移動台22は、ガイドレール21の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により主走査方向に移動する。ステージ5は基板Wを吸着固定することが可能であると共に、θテーブル6によって基板W内の基準軸を正確に主走査方向、副走査方向に合わせることが可能となっている。
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する2つの移動台32とを備えている。移動台32には、回転機構7を介して吊設されたキャリッジ8が設けられている。キャリッジ8には、複数の吐出ヘッド50が搭載されたヘッドユニット9が取り付けられている。また、吐出ヘッド50に液状体を供給するための液状体供給機構(図示せず)と、複数の吐出ヘッド50の電気的な駆動制御を行うためのヘッドドライバ48(図4参照)とが設けられている。移動台32がキャリッジ8をX軸方向に移動させてヘッドユニット9を基板Wに対して対向配置する。
液滴吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の吐出ヘッド50のノズルの目詰まりの解消、ノズル面の異物や汚れの除去などのメンテナンスを行うメンテナンス機構や、ノズルから吐出された液状体の重量を測定する重量測定機構が、複数の吐出ヘッド50を臨む位置に配設されているが図示省略した。
図2は吐出ヘッドの構造を示す概略図である。同図(a)は概略分解斜視図、同図(b)はノズル部の構造を示す断面図である。図2(a)および(b)に示すように、吐出ヘッド50は、液滴Dが吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、各キャビティ55に対応する駆動手段としての振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有すると共に、このキャビティ55に液状体を充填するための流路56,57を有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。
液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
図2(b)に示すように、振動子59は、ピエゾ素子59cと、ピエゾ素子59cを挟む一対の電極59a,59bとからなる圧電素子である。外部から一対の電極59a,59bに駆動電圧パルス(駆動波形)が印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が減少し、キャビティ55に充填された液状体を加圧して、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。そして、駆動電圧パルスの印加が終了すると、振動板58は元に戻り、キャビティ55の体積が復元することにより、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。ピエゾ素子59cへ印加される駆動電圧パルスを制御することにより、それぞれのノズル52に対して液状体の吐出制御を行うことができる。
吐出ヘッド50は、圧電素子(ピエゾ素子)を備えたものに限らない。振動板58を静電吸着により変位させる電気機械変換素子を備えたものでもよい。
図3は、ヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、ステージ5(図1参照)に対向する側から見た図である。
図3に示すように、ヘッドユニット9は、複数の吐出ヘッド50が配設されるヘッドプレート9aを備えている。ヘッドプレート9aには、3つの吐出ヘッド50が搭載されている。本実施形態では、各吐出ヘッド50(R1,G1,B1)から異なる液状体を吐出可能な構成となっている。
各吐出ヘッド50は、ほぼ等しい間隔(およそ141μmのノズルピッチP1)で配設された複数(180個)のノズル52からなる2つのノズル列52A,52Bを有している。ノズル列52Aとノズル列52Bとは互いにノズルピッチP1の半分のノズルピッチP2ずれた状態で、ノズルプレート51に設けられている。したがって、ノズル列52A,52Bに対して直交する方向から見れば、実質上およそ70.5μmのノズルピッチP2でノズル52が配置されていることになる。ノズル52の径はおよそ28μmである。1つの吐出ヘッド50によって描画可能な描画幅をLとし、これを2つのノズル列52A,52Bの有効長とする。
本実施形態では、各吐出ヘッド50(R1,G1,B1)は互いに並行してヘッドプレート9aに配設されている。
なお、吐出ヘッド50のヘッドプレート9aに対する配設方法は、これに限定されない。また、吐出ヘッド50に設けられるノズル列は2列に限らず、1列でも、あるいは3列以上でもよい。
図4は、液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、液滴吐出装置10は、ワーク移動機構20、ヘッド移動機構30、吐出ヘッド50に電気的に接続して、各部を統括的に制御する制御部4を備えている。また、制御部4は、上位コンピュータ11に接続され、上位コンピュータ11から液滴Dの吐出に必要なプログラムや、吐出位置情報、吐出条件、ノズル情報、ノズルデータなどの各種情報を入手することができる。さらには、上位コンピュータ11は、液滴吐出装置10から得られた情報を基に、プログラムの修正や、各種データの更新などの処理を行うこともできる。
制御部4は、上位コンピュータ11との間で各種データをやり取りするためのインターフェイス(I/F)41と、DRAM(Dynamic RAM)およびSRAM(Static RAM)からなり、各種データの記録を行うRAM42と、各種データ処理を行うためのルーチン等を記録したROM43と、CPU44と、発振回路45と、吐出ヘッド50に供給する駆動信号COMを生成する駆動信号生成部46と、インターフェイス(I/F)47とを備えている。CPU44は、I/F47を介して吐出位置情報(液滴Dの配置情報)がビットマップデータに展開された吐出データを吐出ヘッド50に転送すると共に、ワーク移動機構20、ヘッド移動機構30を駆動するための制御信号をそれぞれに出力する。
上位コンピュータ11から送出された各種情報はI/F41を介してRAM42の一部として設けられた受信バッファ42aに記憶される。受信バッファ42aに記憶された各種情報は、コマンド解析が行われてからRAM42の一部として設けられた中間バッファ42bへ送られる。中間バッファ42b内ではCPU44によって中間コードに変換された中間データが保持され、ステージ5上の基板Wにおける液状体の吐出位置情報に対して吐出条件やノズル情報、ノズルデータなどを関係付ける処理が行われる。
次に、CPU44は、中間バッファ42bに記憶された中間データの各々を解析してデコード化した後、中間データ毎のビットマップデータを出力バッファ42cに展開して記憶させる。
以上の処理が終了すると、ビットマップデータから吐出ヘッド50の1スキャン(主走査)分に相当するビットマップデータがI/F47を介して吐出データSIとして吐出ヘッド50に順次シリアル転送される。吐出データSIの転送は、発振回路45からのクロック信号CLKに同期して行われる。1つのビットマップデータの転送が完了すると、次のビットマップデータの転送が同様に行われる。このように、スキャンごとに展開されたN個のビットマップデータが出力バッファ42cからI/F47を介して吐出ヘッド50に順次転送される。
また、吐出ヘッド50に設けられた振動子59を駆動するための駆動信号COMが駆動信号生成部46で生成され、I/F47を介して吐出ヘッド50に転送される。このとき、CPU44は吐出ヘッド50に転送されるN個のビットマップデータ毎に駆動信号COMを駆動信号生成部46に生成させる。駆動信号COMの転送も発振回路45からのクロック信号CLKに同期して行われる。以上の吐出データSI、駆動信号COM、およびクロック信号CLK以外に、後述するラッチ信号LATがI/F47から吐出ヘッド50に設けられたヘッドドライバ48に出力される。
吐出ヘッド50に設けられるヘッドドライバ48は、シフトレジスタ48a、ラッチ回路48b、レベルシフタ48c、およびスイッチ回路48dを含んで構成されている。なお、図4においては図示を簡略化しているが、振動子59は吐出ヘッド50に形成されたノズル52の数だけ(例えば、360個(180個×2列))設けられており、スイッチ回路48d内には各々の振動子59に対応させてスイッチ素子(図示省略)が複数設けられている。
上記シフトレジスタ48aは、制御部4から転送された吐出データSIをシリアル/パラレル変換するものである。ラッチ回路48bは、制御部4からラッチ信号LATが出力された時に、シフトレジスタ48aによってパラレル変換された吐出データSIをラッチする。レベルシフタ48cは、ラッチ回路48bから出力される吐出データSIを、例えば数十ボルト程度のスイッチ回路48dを駆動することができる所定の電圧まで昇圧する。
スイッチ回路48dは、レベルシフタ48cから出力される吐出データSIに応じて、駆動信号COMを振動子59に供給するか否かを制御する。つまり、スイッチ回路48d内に設けられる各スイッチ素子に加わる吐出データSIの電圧レベルが「1」である期間中は、対応する振動子59に駆動信号COMを印加する。また、吐出データSIの電圧レベルが「0」である期間中は、対応する振動子59への駆動信号COMの印加を遮断する。
<吐出ヘッドの駆動方法>
次に、図5および図6を参照して、吐出ヘッド50の駆動方法について説明する。図5(a)および(b)は吐出タイミングを示すタイムチャート、図6は駆動波形を示す詳細図である。
図5(a)に示すように、駆動信号生成部46は、吐出周期において、異なる形状の複数(4つ)の駆動波形(電圧パルス)を有する第1駆動信号COMを生成する。第1パルス〜第3パルスは、その電位を最小電位VL〜最大電位Vp〜中間電位Vnへと変化させる波形と、電位を中間電位Vn(Vn1〜Vn3)から電位成分C上昇させた後に最小電位VLに戻す波形とからなる。前者の波形が振動子59に印加されることにより振動板58を振動させ、ノズル52から液状体を押し出し、後者の波形により振動板58の振動を制振して、押し出された液状体を液滴Dとして吐出させる。各電圧パルスの中間電位Vn1〜Vn3の設定は、h1<h2<h3となっている。第2パルスを基準駆動波形としての基準パルスとすれば、第1パルスは第2パルスに比べてより吐出量が多い液滴Dを吐出させることができ、第3パルスは第2パルスに比べてより吐出量が小さい液滴Dを吐出させることができる。第4パルスは、液滴Dを吐出させないように振動板58を撓ませる電位成分dを振動子59に与える波形である。これにより、ノズル52内の液状体のメニスカスを振動させて、液状体の乾燥による目詰まりを防止するものである。
また、図5(b)に示すように、駆動信号生成部46は、中間電位Vn(Vn4〜Vn6)の設定を変えた第5パルス〜第8パルスからなる第2駆動信号COMを生成することができる。第1駆動信号COMと比較すると、各パルスの中間電位Vn4〜Vn6の設定は、h1<h4<h2=h5<h6<h3となっている。よって、第2パルスと第6パルスとは同一である。また、第8パルスは、第4パルスと同一であり、液滴Dを吐出させないでメニスカスを振動させる。
各パルスを選択するようにラッチ信号LATを発生させ、これに同期して駆動波形の印加時間を制御する吐出データSIをスイッチ素子に加えることによって、中間電位Vnの設定を変えた補正駆動波形を振動子59に印加することができる。これにより、吐出量の設定が異なる液滴Dを吐出可能となっている。言い換えれば、基準パルスとしての第2パルスおよび第6パルスに対して、補正駆動波形としての第1パルス、第3パルス、第5パルス、第7パルスを印加すれば、基準パルスを振動子59に印加したときの液滴Dの吐出量に対して、増加方向と減少方向とにそれぞれ2段階に吐出量が補正された液滴Dを吐出可能である。なお、図5(a)および(b)における吐出周期は、振動子59の固有振動特性によるが、この場合、10kHzに設定されている。
図6に示すように、最大電位Vpを変えずに中間電位Vnを変える駆動波形の生成方法としては、最大電位Vpまで充電する時間t1、最大電位Vpで保持する時間t1〜t2、中間電位Vnまで放電する時間t2〜t3、中間電位Vnで保持する時間t3〜t4を変えないことを基本とする。すなわち、中間電位Vnにおける電位成分hの設定状態により放電時の波形の傾きを変えることになる。なお、制振のため再び充放電する波形は、電位成分hの設定状態により、不要な液状体のミストが吐出されないように制振電位Vcを設定することが望ましい。このような駆動波形の生成は、デジタル回路を用いて生成し、アナログ変換回路によってアナログ信号に変換して出力される。
吐出周期を10kHzとした場合の、時間t1〜時間t7の設定の例を以下に示す。
t1=8、t2=10、t3=12、t4=14、t5=16、t6=18、t7=22、いずれも単位は、μsecである。
工業的に各種のデバイスを液滴吐出装置10を用いて製造する際には、ワークとしての基板W上の所望の位置に、液状体を所望の量で安定的に吐出することが求められる。ところが、基準パルスすなわち一定の電圧成分を有する駆動波形を各振動子59に印加しても、各ノズル52から吐出される液滴Dの吐出量は、振動子59の電気的な特性のばらつき、ノズル52に連通するキャビティ55やこれに液状体を供給する流路の構造などの機械的な特性のばらつきによって変動する。
そこで、基準パルス(第2パルスまたは第6パルス)を、数千から数万回に渡って振動子59に印加して液状体を吐出させ、その液状体の重量を測定する。求められた重量を吐出回数で除して1回あたりの液滴Dの吐出量をノズル52ごとに求める。このノズル52ごとの液滴Dの吐出量が前述したノズル情報に含まれている。ノズル情報は、液滴Dの吐出量の情報の他に、ノズル52ごとの目詰まりや飛行曲がりなどの情報を含んでいてもよい。これらの情報を参照して、吐出ヘッド50の駆動を制御することが可能である。
上記吐出ヘッド50を用いて、液滴Dを吐出し、付与される液状体の塗布量のばらつきを、一定の範囲に収めることは、ノズル52ごとの吐出量がばらつくので難しい。特に、面積が小さい塗布領域に、例えば10滴未満の液滴Dを吐出する場合は、液滴Dの吐出数を増減させて上記ばらつきを調整する方法などは、塗布量を高精度に制御しようとする場合には採用できない。
本実施形態の吐出ヘッド50の駆動方法では、複数のノズル52からなるノズル列52A,52Bごとに、上記ノズル情報を入手し、液滴Dの吐出量が所望の吐出量(基準吐出量)となるように、基準パルスにおける最大電位Vpの値をノズル列52A,52Bごとに設定する。当然ながら、ヘッドユニット9に搭載された複数の吐出ヘッド50ごとに設定する(図3参照)。これにより、まずノズル列間の平均的な吐出量の補正が行われる。
しかる後に、補正された最大電位Vpの基準パルスを用いて、再び上記ノズル情報を吐出ヘッド50ごと且つノズル列52A,52Bごとに求める。すなわち、ノズル間の吐出量のばらつきを求める。具体的には、基準吐出量に対するノズル52ごとのずれ量を求める。ずれ量は、基準吐出量を100としたときの割合(±%)として求める。
この場合、ノズル間の吐出量のばらつきを補正する方法としては、ノズル52ごとの振動子59に印加する駆動波形の最大電位Vpを調整する方法と、駆動波形の中間電位Vnを調整する方法とが考えられる。しかしながら、異なる駆動波形をノズル52の数に対応して発生させることは、駆動信号生成部46が複雑になってしまう。また、最大電位Vpを調整することは、上記ばらつきを補正する方法として必ずしも有効とは言えない。
図7は、液滴の吐出量と飛行速度との関係を示すグラフである。図7に示すように、最大電位Vp(言い換えれば駆動電圧Vp)をある一定の電圧範囲で変化させると、基準吐出量を100%としたときに、吐出量を90〜110%の間で調整可能であるが、一方で基準飛行速度を100%としたときに、飛行速度が40〜160%の間で変動する。これに対して、最大電位Vpを一定として中間電位Vnをある一定の電圧範囲で変化させると、同様に吐出量を90〜110%の間で調整可能であり、飛行速度を80〜120%の間の変動に収めることが可能であることが判明した。この結果は、後述する有機EL素子の製造方法において、用いる液状体の例である。当該液状体は、所謂インクジェットプリンタなどに使用される記録用のインクに比べて、高粘度(10mPa・s以上30mPa・s以下)であるため、このような結果が得られたと推測される。
すなわち、高粘度の液状体において、吐出量のばらつきを補正する方法としては、中間電位Vnを補正した駆動波形を用いることが、飛行速度の変動による液滴Dのサテライトや着弾位置不良の発生を抑制可能である。
前述したように本実施形態において駆動信号COMは、第1駆動信号COMと第2駆動信号COMの2種類であり、液滴Dの吐出量を補正可能な駆動波形として、第1パルス〜第3パルス、第5パルス〜第7パルスのうちから選択することが可能である。すなわち、吐出量の補正のために用いることができる駆動波形は、4種類である。そこで、基準パルス(基準駆動波形)と中間電位Vnの値が異なるこれらの補正駆動波形とを選択的に組み合わせて液滴Dを吐出することにより、吐出された液滴群としての液状体の塗布量のばらつきを一定の範囲に収める。言い換えれば、液滴群としての液状体の塗布量のばらつきを一定の範囲に収めるように、第1パルス〜第3パルス、第5パルス〜第7パルスの中間電位Vnの値を、基準パルスである第2パルスおよび第6パルスに対して補正する。具体的には、続いて説明する液状体の吐出方法にて、その一例を開示する。
<液状体の吐出方法>
次に、上記吐出ヘッドの駆動方法を適用した液状体の吐出方法について図8〜図15を参照して説明する。
まず、液状体を液滴Dとして吐出する基板Wの構成について説明する。図8は、基板上の塗布領域を示す概略図である。詳しくは、同図(a)は概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H'線で切った概略断面図である。
図8(a)に示すように、基板W上には、複数の塗布領域EがX軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配置されている。各塗布領域Eは、基板W上においてバンクBaにより区画され、Y軸方向に細長いトラック状の形状をなしている。塗布領域Eにおいて、Y軸方向の両端部が円弧状となっているのは、着弾した液滴Dの当該両端部における濡れ広がりを考慮したものである。
バンクBaは、少なくともその表面(着弾面)が撥液性を有することが望ましい。液滴Dの一部がバンクBaに掛かって着弾しても、着弾面が撥液性を有していれば、塗布領域E内に液状体(液滴D)を収容することができる。バンクBaの形成方法としては、例えば、撥液性を有する感光性樹脂材料を基板Wの表面に塗布して、フォトリソグラフィ法により露光・現像する方法が挙げられる。また、撥液性を有していない感光性樹脂材料を用いた場合でも、バンクBaを形成後、フッ素系の処理ガスを用いて表面処理することにより、表面に撥液性を付与することも可能である。
基板W上における塗布領域Eの配置は、設計事項であるが、より高精彩な配置が要求されている。例えば、塗布領域Eを表示装置の画素構成要素とし、200ppi(pixel per inch)の密度で基板W上に配置する場合の設計寸法の例を示すと次のようになる。X軸方向の配置ピッチPxが42μm、同じく幅Pwが32μm、よってX軸方向のバンクBaの幅Bwが10μmとなる。Y軸方向の配置ピッチPyが126μm、同じく幅PLが96μm、よってY軸方向のバンクBaの幅BLが30μmとなる。これによれば、塗布領域Eの開口率はおよそ18%である。当然ながら開口率をさらに上げようとすれば、バンクBaの幅Bw,BLをさらに狭くする必要がある。バンクBaの高さは、塗布領域Eに付与する液状体の塗布量に応じて決定される。本実施形態では、バンクBaの高さをおよそ2〜3μmとした。
塗布領域Eの配置が上記のように高精細になると、液滴Dがわずかにずれて着弾しても、バンクBaを越えてしまい、隣接する塗布領域Eに液滴Dの一部が流出してしまう。言い換えれば、所望の塗布領域Eに必要量の液状体を塗布することができなくなるという問題が生ずる。したがって、図8(b)に示すように、吐出条件の1つとして、吐出された液滴Dを塗布領域Eのほぼ中央付近に着弾させる必要が生じてくる。
また、液滴Dを塗布領域Eのほぼ中央付近に着弾させても、その液滴Dの吐出量がばらついていると、塗布領域Eごとに必要量の液状体を安定的に付与することが困難となる。
図9(a)および(b)は、液状体の吐出方法を示す概略平面図である。200ppiの密度でマトリクス状に配置された複数の塗布領域Eのうち、同種の液状体を塗布する塗布領域Eは、X軸方向において2つ置きに配列され、且つY軸方向に連続して配列されている(ストライプ方式の配置)。したがって、基板Wに対して吐出ヘッド50を平面視で傾斜するように対向配置して、ノズルピッチP1(およそ141μm)と同種の液状体を付与する塗布領域Eの配置ピッチ(およそ126μm)とを合致させる。吐出ヘッド50を傾斜させる方向は、どちらの方向でもよい。実際には、液滴吐出装置10の回転機構7を駆動して、ヘッドユニット9を回転させステージ5上に載置された基板Wに対して位置決めする(図1参照)。
本実施形態では、1つの塗布領域Eに4滴の液滴Dを配置する。その順番として、まず、塗布領域EのY軸方向の両端部付近にそれぞれ液滴Dを離間させて配置する。すなわち、図9(a)に示すように、2滴の液滴D1,D2を先行吐出する。続いて、図9(b)に示すように、先行吐出された液滴D1,D2の間を埋めるようにさらに2滴の液滴D3,D4を後行吐出する。これにより、液状体をムラなく塗布領域E内に行き渡らせようとするものである。言い換えれば、1つの塗布領域Eに対して2回の走査を行って、液滴D1から液滴D4を配置している。
図10は、液状体の吐出方法を示すフローチャートである。図10に示すように、本実施形態の液状体の吐出方法は、ノズル情報を入手するノズル情報入手工程(ステップS1)と、複数のノズル52を液滴Dの吐出量に応じてグループ化するグループ化工程(ステップS2)と、を備えている。そして、ノズル情報に基づいて、ノズル52ごとの吐出量のばらつきを補正するための補正量を演算する演算工程(ステップS3)と、複数の塗布領域Eごとに液状体を液滴として配置する配置情報を生成する配置情報生成工程(ステップS4)と、を備えている。また、吐出ヘッド50と基板Wとの走査において、複数のノズル52のON/OFF(選択)などのノズルデータを生成するノズルデータ生成工程(ステップS5)と、吐出ヘッド50と基板Wとを走査して、塗布領域Eに液状体を液滴Dとして吐出する吐出工程(ステップS6)と、吐出された液状体を乾燥して塗布領域Eに薄膜を形成する乾燥工程(ステップS7)とを備えている。
図10のステップS1は、ノズル情報入手工程である。ステップS1では、前述したように、基準パルス(第2パルスまたは第6パルス)を、数千から数万回に渡って振動子59に印加して液状体を吐出させ、その液状体の重量を測定する。求められた重量を吐出回数で除して1回あたりの液滴Dの吐出量をノズル52ごとに求める。本実施形態では、180個のノズル52からなるノズル列52A(52B)のうち、ノズル列52A(52B)の両端側に位置する40個のノズル52を除いた100個のノズル52を有効なノズル52として、当該ノズル52ごとに吐出された液滴Dの吐出量を求めた。
図11は、複数のノズルの吐出量と補正方法を示す表である。図11に示すように、ノズル番号1〜100で示された各ノズル52の吐出量は、およそ9ngである。吐出量のばらつきの平均値は8.64ng、最大値は9.6ng、最小値は8.0ngであった。ばらつきのレンジ(範囲)は1.6ngである。このレンジを9等分して度数分布としたときの中央値は8.8ngであり、中央値を100としてノズル52ごとの吐出量を規格化すると、補正前ではおよそ±9.09%程度のばらつきΔIを有している。そして、ステップS2へ進む。
図10のステップS2は、グループ化工程である。ステップS2では、複数(100個)のノズル52を吐出量に応じてグループ化する。図12は、複数のノズルの吐出量における度数分布とノズルランクを示す表である。本実施形態では、図12に示すように、吐出量のばらつきのレンジ(範囲)を9等分して9つの区間に分割した。最小値から最大値までの9つの区間ごとに含まれるノズル数は、表のとおりである。これにより100個のノズル52を区間ごとにグループ化したことになる。これに対応して最小値側から1〜9の数字を当てはめたノズルランクを付与した。すなわち、1〜9のグループに区分した。9つの区間は等間隔であり、区間の数は、駆動信号COMにおける駆動波形の組み合わせにより与えられる数と同一である。これによりグループ間において均等な補正を可能とすると共に、複数の駆動波形を好適に各グループにあてはめることが可能である。そして、ステップS3へ進む。
図10のステップS3は、演算工程である。ステップS3では、吐出量のばらつきΔIを補正するための補正量を演算する。具体的には、補正量を重み付けを変えた以下の数式(1)により導かれる粗な第1補正量と、数式(2)により導かれる細かな第2補正量とに分けて求める。
Figure 0005211649
吐出量のばらつきΔIは、前述したように±9.09%であり、中央値に対する最小値、最大値によって決まる。この場合、ノズル52ごとの吐出量を9つの区間に分けたので、実質的な区間補正量は、8/9ΔIとなる。塗布領域EにN滴の液滴Dを配置した場合、液滴群としての総補正量は、8/9ΔI×N(総shot数)となり、これに対する重み付けを3/4として、1回の走査にて吐出する吐出数n(shot数)の1shotあたりの補正量は、数式(1)に示すように、2N/3nΔIとなる。この場合、N=4、n=2であるため、演算結果は、第1補正量が4/3ΔI=12.12%となる。
Figure 0005211649
同様にして、重み付けを残り1/4として、第2補正量を演算すると、4/9ΔI=4.04%となる。
このように重み付けした補正量に分けることにより、中央値から乖離したノズルランク1あるいはノズルランク9に属するノズル52に対しては、より大きな補正量を適用し、中央値に近いノズルランク4あるいはノズルランク6に属するノズル52に対しては、より小さい補正量を適用することが可能となる。このような重み付けは、吐出量のばらつきΔIに応じて任意に変えることが可能であるが、補正量を一桁異ならせることが好ましい。これにより、塗布領域Eにおける液滴群(液状体)の塗布量を高精度に補正することが可能となる。また、度数分布の区間は、9つに限定されず、補正前の吐出量のばらつきを、補正によりどの程度に抑えたいか、または、何種類の駆動波形を組み合わせて補正するかによって設定する。この場合、駆動波形の組み合わせが9通りであり(図14参照)、これに対応して上記度数分布を9つに区分した。これにより、中央値を含む区間を中心にして吐出量を増加方向と減少方向とにバランスよく補正可能としている。
図13は、吐出量(%)と中間電位(%)との関係を示すグラフである。図13に示すように、中央値で規格化した吐出量(%)と中間電位Vnの電位成分h(%)とは、最大電位Vpを100%としたとき、hが25〜35%の範囲で直線関係にある。基準パルスである第2パルスおよび第6パルスにおけるh2,h5(図5(a)および(b)参照)は、およそ30%である。したがって、第1補正量を適用して吐出量を基準吐出量100%に対して12.12%増加させるとすれば、第1パルスのh1(図5(a)参照)をおよそ25%にすればよいことが判る。同様にして、吐出量を基準吐出量100%に対して12.12%減少させるとすれば、第3パルスのh3(図5(a)参照)をおよそ35%にすればよいことが判る。また、第2補正量を適用して吐出量を基準吐出量100%に対して4.04%増加させるとすれば、第5パルスのh4(図5(b)参照)をおよそ28.5%にすればよいことが判る。同様にして、吐出量を基準吐出量100%に対して4.04%減少させるとすれば、第7パルスのh6(図5(b)参照)をおよそ31.5%にすればよいことが判る。駆動信号生成部46は、演算結果に基づいて、各電圧パルスを生成する。そして、ステップS4へ進む。
図10のステップS4は、配置情報生成工程である。ステップS4では、塗布領域Eにどのように液滴Dを配置するかという配置情報を生成する。本実施形態では、図9(a)および(b)に示したように、2回の走査に同期して、各塗布領域Eに使用するノズル52からそれぞれ2滴ずつ合計4滴の液滴D1から液滴D4を配置する。配置情報には、使用するノズル52の情報、配置位置(吐出位置)、吐出数の情報が含まれる。使用するノズル52の情報には、ステップS1で得られた吐出量の情報や、ステップS2で得られたノズルランクの情報が関係付けられる。配置情報は、走査ごと分けて生成される。そして、ステップS5へ進む。
図10のステップS5は、ノズルデータ生成工程である。ステップS5では、ステップS4で生成された配置情報に基づいて、走査ごとに複数のノズル52のうちどのノズル52を使用するか、すなわちON/OFF(選択)の情報を生成する。また、使用するノズル52の駆動手段である振動子59に第1駆動信号COMおよび第2駆動信号COMのうちどの駆動波形(電圧パルス)を印加するかという情報を生成する。本実施形態では、1回目の走査(pass)で第1駆動信号COMを用い、2回目の走査(pass)で第2駆動信号COMを用いる。第1駆動信号COMでは、最も補正量が大きく吐出量が増える第1パルスを「1」、基準パルスの第2パルスを「0」、最も補正量が大きく吐出量が減少する第3パルスを「−1」として駆動波形選択のノズルデータとする。同様に第2駆動信号COMでは、第5パルスを「1」、第6パルスを「0」、第7パルスを「−1」とする。
このような駆動波形選択のノズルデータは、使用するノズル52のノズルランクに応じて付与される。図14は、ノズルランクと駆動波形の選択との関係を示す表である。図14に示すように、1〜9の各ノズルランクに応じて、走査(pass)ごとに、「−1」、「0」、「1」のデータが与えられる。言い換えれば、ノズルランクに応じた駆動波形の組み合わせが、走査ごとに設定される。補正が必要なければ、当然ながら走査ごとに「0」のデータが与えられ、基準パルスが使用するノズル52の振動子59に印加される。そしてステップS6へ進む。
図10のステップS6は、液状体の吐出工程である。ステップS6では、液滴Dの配置情報とノズルデータとに基づいて、使用するノズル52の振動子59に選択された駆動波形を印加して、所望の塗布領域Eに対応する液状体を液滴群として吐出する。液滴群は、それぞれに吐出量が補正された液滴D1から液滴D4により構成される。その塗布量は、基準吐出量に吐出数を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まる。すなわち、必要量の液状体が各塗布領域Eにノズル間の吐出量のばらつきΔIを抑制して付与される。そして、ステップS7へ進む。
図10のステップS7は、乾燥工程である。ステップS7では、塗布領域Eに付与された液状体を乾燥することにより、溶媒成分を除去する。これにより、液状体に含まれる溶質(機能性材料)からなる薄膜が形成される。各塗布領域Eに必要量の液状体が安定的に付与されるので、ほぼ一定した膜厚を有する薄膜が形成される。
図15は、複数のノズルにおける吐出量の補正前のばらつき(%)と補正後のばらつき(%)を示すグラフである。図15に示すように、本実施形態の吐出ヘッド50の駆動方法を適用した液状体の吐出方法によれば、ノズル番号1〜100のノズル52において、補正前のばらつきはおよそ±9%あったが、補正後のばらつきは、±2%以内に収まっている。また、ノズル列52A(52B)の両端側に近づくほど、吐出量が増加する傾向が改善され、ほぼフラットな吐出量特性を示している。すなわち、ノズル間の吐出量のばらつきが改善された。
なお、上述した吐出ヘッド50のノズル列間およびノズル間における吐出量のばらつきの補正は、100個のノズル52を対象としているがこれに限定されない。また、言うまでもなく、図3に示したヘッドユニット9に搭載された複数(3個)の吐出ヘッド50のそれぞれにおいて行う。ノズル列間については駆動信号COMの最大電位Vpを補正し、ノズル間においては、中間電位Vnを補正しているので、簡単な駆動信号COMの構成で多数のノズル52における液滴Dの吐出量のばらつきを補正可能としている。
上記実施形態1の効果は、以下の通りである。
(1)上記吐出ヘッド50の駆動方法を適用した液状体の吐出方法によれば、基板W上に高精細に配置された塗布領域Eに補正された液滴D1から液滴D4により構成される液滴群としての液状体を、基準吐出量に吐出数(shot数)を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まる塗布量(必要量)で、安定的に塗布することができる。
(2)上記吐出ヘッド50の駆動方法を適用した液状体の吐出方法において、各液滴D1から液滴D4を吐出するための駆動波形(電圧パルス)としての第1パルス〜第3パルス、および第5パルス〜第7パルスは、基準パルスである第2パルスおよび第6パルスがノズル列52A,52Bごとの平均的な吐出量が基準吐出量となるように、最大電位Vpが予め補正されている。ゆえに、ノズル列間の吐出量のばらつきが予め補正されている。さらに、補正駆動波形としての第1パルス、第3パルス、第5パルス、第7パルスは、基準パルスの中間電位Vnが補正されたものであり、最大電位Vpを補正する場合に比べて、当該補正駆動波形が印加されたノズル52から吐出される液滴の飛行速度のばらつきを抑制することができる。
(3)また、上記吐出ヘッド50の駆動方法を適用した液状体の吐出方法において、各液滴D1から液滴D4は、第1駆動信号COMと第2駆動信号COMのうち、中間電位Vnが異なる電圧パルスを組み合わせて振動子59に印加することにより、その吐出量が補正されて吐出される。したがって、吐出数を変えることなく、液滴群として高精度にその塗布量が補正され塗布領域Eに塗布される。見方を変えれば、複数(100個)のノズル52を吐出量に応じた9つのノズルランクに区分し、ノズルランクごとに2回の走査に分けて、粗な第1補正量と細かな第2補正量とを設定して、電圧パルスの中間電位Vnを補正し、2種類の駆動信号COMで、複数(100個)のノズル52の吐出量の補正を可能とした。
(4)さらに、上記吐出ヘッド50の駆動方法を適用した液状体の吐出方法において、吐出工程では、液滴群は2回の走査に分けて、塗布領域Eの走査方向の両端側と中央付近とにそれぞれ2滴ずつ吐出される。したがって、塗布領域Eにおいて必要量の液状体を万遍なく行き渡らせ、乾燥工程では、ほぼ一定の膜厚を有する薄膜を形成することができる。
(実施形態2)
次に、上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用した有機EL(Electro Luminescence)素子の製造方法について、図16および図17を参照して説明する。図16は有機EL装置の構造を示す概略断面図、図17(a)〜(f)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図である。
<有機EL装置>
まず、有機EL装置について説明する。図16に示すように、本実施形態の有機EL装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、有機EL発光層としての3色の発光層617R,617G,617Bがそれぞれの発光層形成領域Aに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの発光層形成領域Aを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。本実施形態では、素子基板601上において、発光層形成領域Aが200ppiの密度で配置されている。有機EL装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
封止基板620は、ガラスまたは金属からなるもので、封止樹脂を介して素子基板601に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤621が貼り付けられている。ゲッター剤621は、素子基板601と封止基板620との間の空間622に侵入した水または酸素を吸収して、発光素子部603が侵入した水または酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤621は省略しても良い。
素子基板601は、回路素子部602上に複数の発光層形成領域Aを有するものであって、複数の発光層形成領域Aを区画するバンク618と、複数の発光層形成領域Aに形成された電極613と、電極613に積層された正孔注入/輸送層617aとを備えている。また複数の発光層形成領域A内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を備えている。バンク618は、絶縁材料を用いて形成され、正孔注入/輸送層617a上に積層された発光層617R,617G,617Bと電極613とが電気的に短絡しないように、電極613の周囲を覆っている。
素子基板601は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板601上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。なお、半導体膜607には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pイオンが導入されなかった部分がチャネル領域607cとなっている。さらに下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、ゲート絶縁膜608上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極609が形成され、ゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。ゲート電極609は半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜611aおよび第2層間絶縁膜611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ接続されるコンタクトホール612a,612bが形成されている。そして、第2層間絶縁膜611b上に、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な電極613が所定の形状にパターニングされて配置され、一方のコンタクトホール612aがこの電極613に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール612bが電源線614に接続されている。このようにして、回路素子部602には、各電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615が形成されている。なお、回路素子部602には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図16ではこれらの図示を省略している。
発光素子部603は、陽極としての電極613と、電極613上に順次積層された正孔注入/輸送層617a、各発光層617R,617G,617B(総称して発光層Lu)と、バンク618と発光層Luとを覆うように積層された陰極604とを備えている。正孔注入/輸送層617aと発光層Luとにより発光が励起される機能層617を構成している。なお、陰極604と封止基板620およびゲッター剤621を透明な材料で構成すれば、封止基板620側から発光する光を出射させることができる。
有機EL装置600は、ゲート電極609に接続された走査線(図示省略)とソース領域607aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ615のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ615のチャネル領域607cを介して、電源線614から電極613に電流が流れ、さらに正孔注入/輸送層617aと発光層Luとを介して陰極604に電流が流れる。発光層Luは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL装置600は、このような発光素子部603の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。また、有機EL装置600は、発光層Luが上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて形成されているため、必要量の液状体が各発光層形成領域Aに付与され、発光ムラ、輝度ムラ等の表示不具合の少ない高い表示品質を有すると共に、高精細な表示を可能としている。
<有機EL素子の製造方法>
次に本実施形態の有機EL素子としての発光素子部603の製造方法について図17を参照して説明する。なお、図17(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
本実施形態の発光素子部603の製造方法は、素子基板601の複数の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する工程と、電極613に一部が掛かるようにバンク618を形成するバンク形成工程とを備えている。またバンク618で区画された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体を付与して正孔注入/輸送層617aを吐出描画する工程と、吐出された液状体を乾燥して正孔注入/輸送層617aを成膜する工程とを備えている。また、発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体を吐出する吐出工程と、吐出された3種の液状体を乾燥して発光層Luを成膜する工程とを備えている。さらに、バンク618と発光層Luを覆うように陰極604を形成する工程を備えている。各液状体の発光層形成領域Aへの付与は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて行う。よって、図3に示したヘッドユニット9における吐出ヘッド50の配置を適用する。
電極(陽極)形成工程では、図17(a)に示すように、素子基板601の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する。形成方法としては、例えば、素子基板601の表面にITO等の透明電極材料を用いて真空中でスパッタ法あるいは蒸着法で透明電極膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法にて必要な部分だけを残してエッチングして電極613を形成する方法が挙げられる。そしてバンク形成工程へ進む。
バンク形成工程では、図17(b)に示すように、素子基板601の複数の電極613の周囲を覆うようにバンク618を形成する。バンク618の材料としては、後述する発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bの溶媒に対して耐久性を有するものであることが望ましく、さらに、フッ素系ガスを処理ガスとするプラズマ処理により撥液化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった絶縁性を有する有機材料が好ましい。バンク618の形成方法としては、例えば、電極613が形成された素子基板601の表面に感光性の上記有機材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2〜3μmの感光性樹脂層を形成する。そして、発光層形成領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを素子基板601と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、バンク618を形成する方法が挙げられる。形成されたバンク618を固定化するためにポストベーク(加熱)を行うと、端部が熱変形して図17(b)に示したほぼ円弧状の断面を有するバンク618ができあがる。そして、表面処理工程へ進む。
発光層形成領域Aを表面処理する工程では、バンク618が形成された素子基板601の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより電極613の表面、バンク618の表面(壁面を含む)を活性化させて親液処理する。次にCF4等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより有機材料である感光性樹脂からなるバンク618の表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液処理される。そして、正孔注入/輸送層形成工程へ進む。
正孔注入/輸送層形成工程では、図17(c)に示すように、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体90を発光層形成領域Aに付与する。液状体90を付与する方法としては、図3のヘッドユニット9を備えた液滴吐出装置10と上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いる。吐出ヘッド50から吐出された液状体90は、液滴Dとして素子基板601の電極613に着弾して濡れ拡がる。液状体90は発光層形成領域Aの面積に応じて必要量が液滴Dとして吐出される。そして乾燥・成膜工程へ進む。
乾燥・成膜工程では、素子基板601を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、液状体90の溶媒成分を乾燥させて除去し、電極613のバンク618により区画された領域に正孔注入/輸送層617aが形成される。本実施形態では、正孔注入/輸送層形成材料として3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)を用いた。なお、本実施形態では、各発光層形成領域Aに同一材料からなる正孔注入/輸送層617aを形成したが、後に形成される発光層Luに対応して正孔注入/輸送層617aの材料を発光層形成領域Aごとに変えてもよい。そして次の液状体の吐出工程へ進む。
液状体の吐出工程では、図17(d)に示すように、液滴吐出装置10を用いて複数の吐出ヘッド50から複数の発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bを付与する。液状体100Rは発光層617R(赤色)を形成する材料を含み、液状体100Gは発光層617G(緑色)を形成する材料を含み、液状体100Bは発光層617B(青色)を形成する材料を含んでいる。着弾した各液状体100R,100G,100Bは、発光層形成領域Aに濡れ拡がって断面形状が円弧状に盛り上がる。これらの液状体100R,100G,100Bを付与する方法としては、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いた。第1駆動信号COMおよび第2駆動信号COMの各駆動波形(電圧パルス)の設定は、液状体100R,100G,100Bごとに行うことが望ましい。すなわち、各液状体100R,100G,100Bが充填される吐出ヘッド50ごとに駆動波形の設定を行う。そして、乾燥・成膜工程へ進む。
乾燥・成膜工程では、図17(e)に示すように、吐出された各液状体100R,100G,100Bの溶媒成分を乾燥させて除去し、各発光層形成領域Aの正孔注入/輸送層617aに各発光層617R,617G,617Bが積層されるように成膜する。各液状体100R,100G,100Bが吐出された素子基板601の乾燥方法としては、溶媒の蒸発速度をほぼ一定とすることが可能な、減圧乾燥が好ましい。そして陰極形成工程へ進む。
陰極形成工程では、図17(f)に示すように、素子基板601の各発光層617R,617G,617Bとバンク618の表面とを覆うように陰極604を形成する。陰極604の材料としては、Ca、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物を組み合わせて用いるのが好ましい。特に発光層617R,617G,617Bに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいAl等の膜を形成するのが好ましい。また、陰極604の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極604の酸化を防止することができる。陰極604の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に発光層617R,617G,617Bの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。
このようにして出来上がった素子基板601は、必要量の各液状体100R,100G,100Bが液滴D1から液滴D4として発光層形成領域Aに付与され、乾燥・成膜化後の膜厚が、それぞれの発光層形成領域Aにおいて、ほぼ一定となった各発光層617R,617G,617Bを有する。
上記実施形態2の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、液状体100R,100G,100Bの吐出工程では、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて素子基板601の高精細に配置された発光層形成領域Aに、必要量の各液状体100R,100G,100Bが付与されている。各液状体100R,100G,100Bは、それぞれ補正された液滴D1から液滴D4からなる液滴群として安定的に吐出され、乾燥・成膜後の膜厚が、それぞれの発光層形成領域Aにおいて、ほぼ一定となった各発光層617R,617G,617Bが得られる。
(2)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法を用いて、有機EL装置600を製造すれば、各発光層617R,617G,617Bの膜厚がほぼ一定であるため、各発光層617R,617G,617Bごとの抵抗がほぼ一定となる。よって、回路素子部602により発光素子部603に駆動電圧を印加して発光させると、各発光層617R,617G,617Bごとの抵抗ムラによる発光ムラや輝度ムラ等が低減される。すなわち、発光ムラや輝度ムラ等が少なく、高精細で見映えのよい表示品質を有する有機EL装置600を製造することができる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記実施形態1の吐出ヘッド50の駆動方法および液状体の吐出方法において、ノズル52ごとの吐出量の補正方法は、これに限定されない。図18は変形例の吐出ヘッドの駆動方法を適用した複数のノズルにおける吐出量の補正前のばらつき(%)と補正後のばらつき(%)を示すグラフである。例えば、数式(1)と数式(2)における補正量の重み付けを同等としてもよい。図18のグラフは、第1補正量と第2補正量を6.06%としてシミュレーションしたときの吐出量の補正後のばらつきを示すものである。これによれば、図15に示した補正後のばらつきに比べて、その範囲が拡大しているものの、補正前のばらつきに対しては縮小されている。また、複数のノズル52における吐出量特性もフラットな状態が得られる。第1補正量と第2補正量とが同等であれば、結果的に、駆動信号COMが1種類で済み、駆動信号生成部46を簡略化することができる。
(変形例2)上記実施形態1の吐出ヘッド50の駆動方法および液状体の吐出方法において、基準吐出量は、複数のノズル52における吐出量の度数分布の中央値に限定されない。例えば、中央値以外の区間代表値を基準吐出量とすると、複数のノズルにおいて吐出量が増加傾向または減少傾向となるように、傾向を持たせて補正することが可能である。
(変形例3)上記実施形態1の吐出ヘッド50の駆動方法および液状体の吐出方法において、第1駆動信号COM、第2駆動信号COMの選択は、走査ごとに行うことに限定されない。例えば、図9(a)および(b)に示した、液滴D1から液滴D4の配置(吐出)において、吐出タイミングを変えて液滴D1と液滴D2を吐出する場合、吐出タイミングごとに選択する駆動信号COMを変えても良い。したがって、液滴D1と液滴D2の着弾位置ごとに、その吐出量の補正を可能とする。液滴D3と液滴D4を吐出する場合も同様である。ゆえに、液滴D1から液滴D4の配置に伴う吐出量のムラを補正して吐出することができる。
(変形例4)上記実施形態1の吐出ヘッド50の駆動方法および液状体の吐出方法において、ノズル情報としての液滴Dの吐出量は、重量に限定されない。例えば、各ノズル52から吐出された液滴Dの飛行状態を撮像して、体積を求め、これを吐出量としてもよい。また、基板上に形成された薄膜の体積から液滴Dの体積を求め、これを吐出量としてもよい。
(変形例5)上記実施形態1の吐出ヘッド50の駆動方法において、第1駆動信号COM、第2駆動信号COMの生成方法は、これに限定されない。例えば、各駆動波形(電圧パルス)をそれぞれ所定の吐出周期において、独立して発生させるように、駆動信号生成部46を構成してもよい。これによれば、各駆動波形を選択する際のラッチ信号LATの発生タイミングが、同一となり、駆動波形ごとのわずかな吐出タイミングのずれを解消することができる。
(変形例6)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、基板W上の塗布領域Eの配置および形状は、これに限定されない。例えば、塗布領域Eが方形でもよく、また、同一の液状体が付与される塗布領域Eの配置は、ストライプ方式に限らず、モザイク方式、デルタ方式においても、上記液状体の吐出方法を適用することができる。
(変形例7)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、塗布領域Eに液滴D1から液滴D4を配置(吐出)する方法は、同一ノズル52から吐出する方法に限定されない。例えば、液滴D1から液滴D4をそれぞれ異なるノズル52から吐出する場合にも、適用することが可能である。
(変形例8)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、塗布領域Eに配置(吐出)する液滴Dの数は、4滴に限定されない。例えば、塗布領域に塗布される液状体を少なくとも1つの液滴Dからなる複数の液滴群とする。これによれば、液滴群ごとに塗布量を補正することが可能となる。また、液滴群ごとの塗布量を異なるように補正すれば、一律的な補正を加える場合に比べて、より高精度な補正が可能となる。すなわち、塗布領域における液滴群の配置に応じた補正を行い、ノズル52の吐出量のばらつきに起因する塗布領域内の液状体の塗布ムラを改善できる。
(変形例9)上記実施形態2の有機EL素子の製造方法において、有機EL素子としての発光素子部603は、3色の発光を可能とするものに限定されない。例えば、白色などの単色の発光層を有する場合にも、上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用することができる。これによれば、複数の単色有機EL素子を備えた、照明装置としての有機EL装置600を提供することができる。また、白色発光の有機EL素子と少なくとも3色のカラーフィルタとを組み合わせて、フルカラー表示が可能な表示装置としての有機EL装置600を提供することができる。
(変形例10)上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用可能なデバイスの製造方法は、上記実施形態2の有機EL素子の製造方法に限らない。例えば、カラーフィルタの製造方法に適用することができる。着色材料を含む3色の液状体をそれぞれ吐出ヘッド50に充填し、図8に示した塗布領域Eに複数のノズル52から液滴Dとして吐出する吐出工程と、吐出された液状体を固化して、3色の着色層を形成する固化工程とを備える。これによれば、塗布領域Eは着色領域であり、3色の着色層を有する高精細なカラーフィルタを製造することができる。なお、液状体の種類は、3色に限定されず、R(赤)、G(緑)、B(青)を含む多色とし、これに対応するようにヘッドユニット9に搭載される吐出ヘッド50の数を増やせばよい。カラーフィルタの製造方法以外にも、レンズ材料を含む液状体を用いれば、高精細な光学レンズを基板W上に形成する光学レンズの製造方法にも適用することができる。
液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図。 (a)は吐出ヘッドの構造を示す概略分解斜視図、(b)はノズル部の構造を示す断面図。 ヘッドユニットにおける吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。 液滴吐出装置の制御系を示すブロック図。 (a)および(b)は吐出タイミングを示すタイムチャート。 駆動波形を示す詳細図。 液滴の吐出量と飛行速度との関係を示すグラフ。 (a)は基板上の塗布領域を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H'線で切った概略断面図。 (a)および(b)は、液状体の吐出方法を示す概略平面図。 液状体の吐出方法を示すフローチャート。 複数のノズルの吐出量と補正方法を示す表。 複数のノズルの吐出量における度数分布とノズルランクを示す表。 吐出量(%)と中間電位(%)との関係を示すグラフ。 ノズルランクと駆動波形の選択との関係を示す表。 複数のノズルにおける吐出量の補正前のばらつき(%)と補正後のばらつき(%)を示すグラフ。 有機EL装置の構造を示す概略断面図。 (a)〜(f)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 変形例の補正方法を適用した複数のノズルにおける吐出量の補正前のばらつき(%)と補正後のばらつき(%)を示すグラフ。
符号の説明
50…吐出ヘッド、52…ノズル、52A,52B…ノズル列、59…駆動手段としての振動子、100R,100G,100B…発光層形成材料を含む液状体、603…有機EL素子としての発光素子部、617R,617G,617B…発光層、A…塗布領域としての発光層形成領域、E…塗布領域、Vn…中間電位、Vp…最大電位、W…基板。

Claims (15)

  1. 複数のノズルと、前記ノズルから液状体を液滴として吐出させる駆動手段とを備える吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記駆動手段に対して充電、保持、放電を促す基準駆動波形を前記駆動手段に印加して得られた前記ノズルごとの前記液滴の吐出量に基づいて、基準吐出量に対する前記ノズルごとの補正量を定め、
    前記補正量は、前記複数のノズルにおける前記液滴の吐出量の度数分布に基づいて、前記複数のノズルを複数の区間に分割し、前記区間ごとに前記補正量を定め、
    前記区間ごとに定められた前記補正量を、粗な第1補正量と、細かな第2補正量とに分け、
    前記液滴群を構成する前記液滴を吐出する際には、前記第1補正量に基づいて放電時の中間電位を補正した第1補正駆動波形と、前記第2補正量に基づいて前記中間電位を補正した第2補正駆動波形とのうちから1つを選択して、使用する前記ノズルの前記駆動手段に印加することを特徴とする吐出ヘッドの駆動方法。
  2. 前記補正量は、前記液状体が液滴群として付与される塗布領域において、前記液滴群の塗布量が前記基準吐出量に吐出数を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まるように、前記液滴群を吐出するために使用するノズルごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッドの駆動方法。
  3. 前記度数分布の中央値を前記基準吐出量として、前記区間ごとに前記中央値に対する前記補正量を定めることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出ヘッドの駆動方法。
  4. 前記液滴群が前記塗布領域に吐出タイミングを変えて前記液滴を吐出することにより構成される場合、
    前記吐出タイミングごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吐出ヘッドの駆動方法。
  5. 前記吐出ヘッドにより前記塗布領域を複数回に渡って走査して、前記液滴群を前記塗布領域に付与する場合、
    前記走査ごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吐出ヘッドの駆動方法。
  6. 前記吐出ヘッドは、前記複数のノズルからなるノズル列を複数有し、
    前記基準駆動波形は、前記ノズル列ごとの平均的な前記吐出量が前記基準吐出量となるように充電時の最大電位が予め補正されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吐出ヘッドの駆動方法。
  7. 複数の塗布領域を有する基板と、複数のノズルを有する吐出ヘッドとを対向させて相対移動させる走査に同期して、前記塗布領域に少なくとも1つの前記ノズルから液状体を液滴として吐出する液状体の吐出方法であって、
    前記吐出ヘッドは、前記ノズルから前記液滴を吐出させる駆動手段を有し、
    前記駆動手段に対して充電、保持、放電を促す基準駆動波形を印加して、前記ノズルごとに吐出された前記液滴の吐出量の情報を入手するノズル情報入手工程と、
    前記ノズルごとに基準吐出量に対する補正量を求める演算工程と、
    前記走査において、前記複数のノズルのうち前記塗布領域に掛かるノズルの前記駆動手段に、当該ノズルの前記補正量に基づいて、前記基準駆動波形の放電時の中間電位を補正した補正駆動波形を印加して、前記塗布領域に少なくとも1つの前記液滴を吐出する吐出工程と、を備え、
    前記演算工程は、前記複数のノズルにおける前記液滴の吐出量の度数分布に基づいて、前記複数のノズルを複数の区間に分割し、前記区間ごとの前記補正量を、粗な第1補正量と、細かな第2補正量とに分けて求め、
    前記吐出工程は、前記第1補正量に基づいて前記中間電位を補正した第1補正駆動波形と、前記第2補正量に基づいて前記中間電位を補正した第2補正駆動波形とのうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加して前記液滴群を構成する前記液滴を吐出することを特徴とする液状体の吐出方法。
  8. 前記塗布領域に前記液状体を前記液滴として配置する配置情報を生成する配置情報生成工程をさらに備え、
    前記演算工程は、前記配置情報に基づいて、複数の前記液滴からなる液滴群の塗布量が前記基準吐出量に吐出数を乗じた中心値に対して所定の範囲に収まるように、前記液滴群を吐出するために使用するノズルの前記補正量を求めることを特徴とする請求項7に記載の液状体の吐出方法。
  9. 前記度数分布の中央値を前記基準吐出量として、前記区間ごとに前記中央値に対する前記補正量を定めることを特徴とする請求項7または8に記載の液状体の吐出方法。
  10. 前記吐出工程は、前記液滴群が前記塗布領域に吐出タイミングを変えて前記液滴を吐出することにより構成される場合、
    前記吐出タイミングごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択し、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加して前記液滴群を構成する前記液滴を吐出することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法。
  11. 前記吐出工程は、複数回の走査を行って、前記液滴群を前記塗布領域に付与する場合、
    前記走査ごとに、前記基準駆動波形、前記第1補正駆動波形、前記第2補正駆動波形のうちから1つを選択して、前記使用するノズルの前記駆動手段に印加して前記液滴群を構成する前記液滴を吐出することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法。
  12. 前記吐出ヘッドは、前記複数のノズルからなるノズル列を複数有し、
    前記ノズル列ごとの平均的な前記吐出量が前記基準吐出量となるように、前記基準駆動
    波形の充電時の最大電位を予め補正する工程を、さらに備えたことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法。
  13. 基板上に区画形成された複数の発光層形成領域に少なくとも発光層を有する有機EL素子の製造方法であって、
    請求項7乃至12のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を前記複数の発光層形成領域に吐出する吐出工程と、
    吐出された前記液状体を固化して、前記発光層を形成する固化工程と、を備えたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  14. 前記吐出工程は、異なる発光色が得られる複数種の前記液状体を所望の前記発光層形成領域に吐出し、
    前記固化工程は、吐出された複数種の前記液状体を固化して、少なくとも赤、緑、青、3色の前記発光層を形成することを特徴とする請求項13に記載の有機EL素子の製造方法。
  15. 前記吐出工程は、複数種の前記液状体をそれぞれ異なる吐出ヘッドに充填し、前記液状体ごとに前記基準駆動波形の設定と、前記補正駆動波形の設定とを行うことを特徴とする請求項13または14に記載の有機EL素子の製造方法。
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