JP5211395B2 - 環状フェノール硫化物の製造方法 - Google Patents
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Description
また分離した環状フェノール硫化物をより高純度にするため、前記低級アルコールもしくは水を用いた洗浄操作を行ってもよい。
攪拌機、冷却管、温度計およびガス導入管を備えた500mlの4つ口フラスコに、4−tert−ブチルフェノール45.1g、単体硫黄19.2g(対4−tert−ブチルフェノールモル比:2倍モル)および水酸化ナトリウム6.0g(対4−tert−ブチルフェノールモル比:0.5倍モル)を入れ、ここにジフェニルエーテル102gを加えて窒素気流中攪拌しながら、130℃まで昇温し、130℃で1時間反応させた。さらに170℃まで昇温し、170℃で1時間反応させた。最後に230℃まで昇温し、230℃で12時間反応させた。この間、生成する水および硫化水素を反応器に窒素を通じて系外へ押し出し、水酸化ナトリウム水溶液に接触させ吸収させることで除去しながら反応を行った。反応混合物を室温まで冷却し、3モル/Lの硫酸水溶液40mlを加えて中和した後、トルエン25mlおよびn−ヘキサン70mlを加えて結晶を析出させた。粗晶をろ過し、アセトン80ml、水80mlで2回、アセトン80mlで洗浄した。得られた粗晶(収量41.9g)をHPLCで分析した結果、一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが4である環状4量体がピーク面積比93.8%、一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが8である環状8量体がピーク面積比5.2%を示す混合物であることが分かった。
実施例1の条件で同様に環化反応および硫酸水溶液による中和を行い、得られた中和後の反応混合物にメタノール79.1gを添加した後に55℃に加温し、1時間撹拌して一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが4である環状4量体の粗晶を晶析させた。粗晶を減圧ろ過して得られた粗晶をメタノール80gで洗浄し、さらに水80gで洗浄した。得られた環状4量体は40.2gであり、4−tert−ブチルフェノール基準の収率は74.4%と高収率であった。HPLCによる分析の結果、純度はピーク面積比98.2%であった。
続いて、前記した環状4量体を減圧ろ過した後のろ液を撹拌しながら5℃に冷却して固化させた。固化物を5℃でろ過し、得られた固化物を10℃の冷水100mlを使って2回洗浄した。固化物にn−ヘキサン60g加え、不溶物として残った一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが8である環状8量体をろ過によって取り出した。得られた環状8量体は1.3gであり、4−tert−ブチルフェノール基準の収率は4.7%と高収率であった。HPLCによる分析の結果、純度はピーク面積比93.9%であった。
得られた環状8量体の構造はIR測定によって同定した。IR(ヌジョール)cm-1:3328、1475、1391、1277、1244、887、819、750。
単体硫黄を対4−tert−ブチルフェノールモル比で2.5倍モル使用した以外は、実施例1と同様にして、環状フェノール硫化物を製造した。その結果、環状4量体がピーク面積比95.1%、環状8量体がピーク面積比4.1%の混合物が得られた。
実施例4
水酸化ナトリウムを対4−tert−ブチルフェノールモル比で0.25倍モル使用した以外は、実施例1と同様にして、環状フェノール硫化物を製造した。その結果、環状4量体がピーク面積比96.1%、環状8量体がピーク面積比3.0%の混合物が得られた。
実施例5
水酸化ナトリウムを対4−tert−ブチルフェノールモル比で0.75倍モル使用した以外は、実施例1と同様にして、環状フェノール硫化物を製造した。その結果、環状4量体がピーク面積比94.4%、環状8量体がピーク面積比2.7%の混合物が得られた。
水酸化ナトリウムのフェノールに対するモル比を1.0とした以外は実施例1と同様にして行った。生成物をHPLCで分析した結果、一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが4である環状4量体は全体のピーク面積に対してピーク面積比93.1%であり、一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが8である環状8量体は痕跡程度であった。
前記環化反応における最終反応温度を200℃とした以外は実施例1と同様にして行った。生成物をHPLCで分析した結果、一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが4である環状4量体がピーク面積比97.7%であり、一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが8である環状8量体は痕跡程度であった。
実施例2のメタノールをn−ヘキサンに変えた以外は実施例2と同様にして行った。前記一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが4である環状4量体をろ過したろ液を5℃に冷却しても、固化せず一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが8である環状8量体を取り出すことはできなかった。
実施例1と同様にして環化反応および硫酸水溶液による中和を行い、得られた中和後の反応混合物からカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル1.1kg)によって一般式(2)においてR1がtert−ブチルであり、mが8である環状8量体を取り出した。得られた環状8量体は0.72gであり、4−tert−ブチルフェノール基準の収率は2.6%と低収率であった。また、前記カラムクロマトグラフによる精製工程には15.5Lと大量の展開溶媒(トルエン/クロロホルム)を必要とした。
比較例5
単体硫黄を対4−tert−ブチルフェノールモル比で1.5倍モル使用した以外は、実施例1と同様にして、環状フェノール硫化物を製造した。その結果、環状4量体がピーク面積比96.9%、環状8量体がピーク面積比1.6%の混合物が得られた。
Claims (8)
- 下記一般式(1)
(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。)で表されるフェノール化合物を原料として、1工程の反応で、該フェノール化合物1モルに対し、1.7〜2.5モル当量の単体硫黄及び0.25〜0.75モル当量のアルカリ金属試薬を反応させて、下記一般式(2)
(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、mは4ないし9の整数である。)で表されるm=4の環状フェノール硫化物とm=5〜9の少なくとも1種類の環状フェノール硫化物との混合物を得ることを含む環状フェノール硫化物の製造方法であって、120〜140℃の反応温度まで昇温し、この反応温度で0.5時間以上保持し、続いて160〜180℃の反応温度まで昇温し、この反応温度で0.5時間以上保持し、その後、210℃以上の反応温度まで昇温する温度条件下で反応を行うことを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法。 - 該フェノール化合物1モルに対し、0.4〜0.6モル当量のアルカリ金属試薬を反応させる請求項1記載の方法。
- 前記したアルカリ金属試薬が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
- 下記一般式(1)
(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。)で表されるフェノール化合物を原料として、1工程の反応で、該フェノール化合物1モルに対し、1.7〜2.5モル当量の単体硫黄及び0.25〜0.75モル当量のアルカリ金属試薬を反応させて、下記一般式(2)
(式中、R1は炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、mは4ないし9の整数である。)で表されるm=4の環状フェノール硫化物とm=5〜9の少なくとも1種類の環状フェノール硫化物との混合物を構成する個々の環状フェノール硫化物を得ることを含む環状フェノール硫化物の製造方法であって、120〜140℃の反応温度まで昇温し、この反応温度で0.5時間以上保持し、続いて160〜180℃の反応温度まで昇温し、この反応温度で0.5時間以上保持し、その後、210℃以上の反応温度まで昇温する温度条件下で反応を行い、
前記一般式(1)で表されるフェノール化合物と単体硫黄およびアルカリ金属試薬を反応させて得られる混合物から、低級アルコールを晶析溶媒として用いて環状4量体[前記一般式(2)においてm=4]を分離した後、有機溶媒を晶析溶媒として用いて、より大環状の環状フェノール硫化物[前記一般式(2)においてm=5〜9]を個々に分離する工程を有することを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法。 - 反応混合物100重量部当り低級アルコールを100〜300重量部用いる請求項4記載の方法。
- 前記した低級アルコールがメタノールであることを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
- 晶析を20〜80℃で行なう請求項4〜6のいずれか1項記載の方法。
- 該フェノール化合物1モルに対し、0.4〜0.6モル当量のアルカリ金属試薬を反応させる請求項4〜7のいずれか1項記載の方法。
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