JP2007084489A - 高純度シアノケトンのアルカリ金属塩及びその製法 - Google Patents

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繁栄 西野
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、医薬・農薬等の原料や合成中間体としての使用に最適な、副生成物であるカルボン酸アルカリ金属塩の含有量が少なく、重合物を実質的に含有しない高純度シアノケトンのアルカリ金属塩及びその製法を提供することにある。
【解決手段】 本発明の課題は、(A)アルカリ金属を含有する塩基の存在下、一般式(1)
【化1】
Figure 2007084489

(式中、R及びRは、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数3〜8のシクロアルキル基を示す。)
で示されるカルボン酸エステルとアセトニトリルとを反応させた後、反応液にメタノールを加えて処理して析出した固体を取得する第一工程、
(B)次いで、固体をメタノールに溶解させて反応液を均一にした後、メタノール溶液に吸着剤を加えて処理する第二工程
のふたつの工程を含んでなることを特徴とする、一般式(2)
【化2】
Figure 2007084489

(式中、Rは、前記と同義であり、Mはアルカリ金属原子を示す。)
で示される高純度シアノケトンのアルカリ金属塩の製法によって解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高純度シアノケトンのアルカリ金属塩及びその製法に関する。高純度シアノケトンのアルカリ金属塩は、例えば、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
従来、シアノケトンのアルカリ金属塩を製造する方法としては、例えば、ナトリウムメチラートの存在下、酢酸メチルとアセトニトリルとを反応させて、シアノアセトンのナトリウム塩を含量88〜98%で得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、目的物であるシアノアセトンのナトリウム塩を高速液体クロマトグラフィーで分析しているため、副生する酢酸ナトリウムの量を把握できていなかった。そこで、本発明者らが、当該方法の追試実験を行い、イオンクロマトグラフィーで分析したところ、多量の酢酸ナトリウムが目的物中に混入していることが判明し、又、反応中に生成した重合物の存在も確認された(後の比較例1〜2に記載)。医薬・農薬等の原料や合成中間体として使用する場合には、副生成物であるカルボン酸ナトリウムの含有量が少なく、重合物を実質的に含有しない高純度シアノケトンのアルカリ金属塩が有用であることは言うまでもない。
特開平6-312966号公報
本発明の課題は、即ち、医薬・農薬等の原料や合成中間体としての使用に最適な、副生成物であるカルボン酸アルカリ金属塩の含有量が少なく、重合物を実質的に含有しない高純度シアノケトンのアルカリ金属塩及びその製法を提供することにある。
本発明の課題は、(A)アルカリ金属を含有する塩基の存在下、一般式(1)
Figure 2007084489
(式中、R及びRは、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数3〜8のシクロアルキル基を示す。)
で示されるカルボン酸エステルとアセトニトリルとを反応させた後、反応液にメタノールを加えて処理して析出した固体を取得する第一工程、
(B)次いで、固体をメタノールに溶解させて反応液を均一にした後、メタノール溶液に吸着剤を加えて処理する第二工程
のふたつの工程を含んでなることを特徴とする、一般式(2)
Figure 2007084489
(式中、Rは、前記と同義であり、Mはアルカリ金属原子を示す。)
で示される高純度シアノケトンのアルカリ金属塩の製法によって解決される。
本発明の課題は、又、カルボン酸アルカリ金属塩の含有量が2質量%以下で、且つ重合物を実質的に含有しないことを特徴とする、一般式(2)
Figure 2007084489
(式中、R及びMは、前記と同義である。)
で示される高純度シアノケトンのアルカリ金属塩によっても解決される。
本発明により、医薬・農薬等の原料や合成中間体としての使用に最適な、副生成物であるカルボン酸ナトリウムの含有量が少なく、重合物を実質的に含有しない高純度シアノケトンのアルカリ金属塩及びその製法を提供することができる。
本発明の高純度シアノケトンのアルカリ金属塩とは、カルボン酸アルカリ金属塩の含有量が2.0質量%以下で、且つ重合物を実質的に含有しないシアノケトンのアルカリ金属塩のことを示す。なお、重合物を実質的に含有しないとは、得られたシアノケトンのアルカリ金属塩をメタノール等の可溶性溶媒に溶解させた際に、重合物が溶液中に遊離しないことを意味する(即ち、重合物を含有していれば、溶液中に重合物が遊離する。)。
(A)第一工程
本発明の第一工程は、アルカリ金属を含有する塩基の存在下、カルボン酸エステルとアセトニトリルとを反応させた後、反応液にメタノールを加えて処理して析出した固体を取得する工程である。
本発明の第一工程において使用するカルボン酸エステルは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、R及びRは、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数3〜8のシクロアルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
本発明の第一工程において使用するアルカリ金属を含有する塩基とは、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属水素化物、アルカリ金属アルコキシドが使用される。なお、これらのアルカリ金属を含有する塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アルカリ金属を含有する塩基の使用量は、カルボン酸エステル1モルに対して、好ましくは0.1〜10モル、更に好ましくは1.0〜5.0モルである。
本発明の第一工程は溶媒中で行っていても良く、使用される溶媒としては、反応に関与しないものならば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;N,N'-ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;ジイソプロピルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、カルボン酸エステル1gに対して、好ましくは0〜50ml、更に好ましくは0〜10ml、特に好ましくは0〜5mlである。
本発明の第一工程は、例えば、カルボン酸エステル、アセトニトリル及びアルカリ金属を含有する塩基を混合し攪拌させながら反応させた後、反応液にメタノールを加えて処理(例えば、メタノールを加えた反応液を攪拌させる等)する等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは60〜90℃であり、反応圧力は特に制限されない。又、メタノールを加えて処理する温度は、好ましくは0〜40℃、更に好ましくは0〜35℃、更に好ましくは0〜30℃であり、反応圧力は特に制限されない。なお、反応中に副生するアルコールを留去しながら反応を行っても良い。
前記メタノールの使用量は、カルボン酸エステル1gに対して、好ましくは0.1〜20ml、更に好ましくは0.5〜10mlである。
本発明の第一工程により得られたシアノケトンのアルカリ金属塩は、特に処理することなく、そのまま第二工程に使用される。
(A)第二工程
本発明の第二工程は、第一工程で得られた固体をメタノールに溶解させて均一にした後、吸着剤を加えて処理し、高純度シアノケトンのアルカリ金属塩を得る工程である。
本発明の第二工程で使用するメタノールの量は、得られた固体を完全に溶解させる量であれば特に制限されないが、カルボン酸エステル1gに対して、好ましくは3〜50ml、更に好ましくは4〜10mlである。
本発明の第二工程で使用する吸着剤とは、例えば、活性炭、活性白土、シリカゲル、セライト等が挙げられるが、好ましくは活性炭が使用される。なお、これらの吸着剤は単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の第二工程は、例えば、第一工程で得られた固体をメタノールに溶解させて反応液を均一とした後、メタノール溶液に吸着剤を加えて処理する(攪拌させる)等の方法によって行われる。その際の処理温度は、好ましくは0〜60℃、更に好ましくは20〜50℃であり、処理圧力は特に制限されない。
本発明により得られた高純度シアノケトンのアルカリ金属塩は、例えば、抽出、濾過、濃縮、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって単離・精製される。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1(シアノアセトンのナトリウム塩の合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積200mlのガラス製容器に、酢酸エチル35.2g(0.4mol)、アセトニトリル65.7g(1.6mol)及びナトリウムメトキシド21.6g(0.4mol)を加え、攪拌しながら70〜80℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液を30℃まで冷却した後にメタノール35mlを加え、室温で30分間攪拌させた(処理した)。析出した結晶を濾過し、アセトニトリル70mlで洗浄した。次いで、得られた固体(結晶)をメタノール175mlに溶解(この時、白色の重合物が浮遊し、メタノール溶液が白濁した)させた後、活性炭20gを加え、室温で30分間攪拌させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物に酢酸エチル25ml及びメタノール35mlを加え、室温で攪拌させて洗浄した。得られた結晶を濾過し、更に酢酸エチル70mlで洗浄した後、減圧下で乾燥させ、白色結晶として、シアノアセトンのナトリウム塩11.3gを得た(単離収率;26.8%)。得られたシアノアセトンのナトリウム塩をイオンクラマトグラフィーで分析したところ、酢酸ナトリウムは僅か1.1質量%しか含まれていなかった。又、得られたシアノアセトンのナトリウム塩を、再度メタノールに溶解させたところ、無色透明な均一溶液となった(シアノアセトンのナトリウム塩中に重合物が実質的に存在しない)。
比較例1(シアノアセトンのナトリウム塩の合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積500mlのガラス製容器に、アセトニトリル16.4g(0.4mol)及びナトリウムメトキシド5.4g(0.1mol)を加え、攪拌しながら80℃まで加熱し、酢酸エチル8.99g(0.1mol)をゆるやかに加え、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を20℃まで冷却した後に、析出した結晶を濾過し、得られた結晶を減圧下で乾燥させ、淡黄色結晶として、シアノアセトンのナトリウム塩6.95gを得た(単離収率;57.0%)。得られたシアノアセトンのナトリウム塩をイオンクラマトグラフィーで分析したところ、酢酸ナトリウムが16.8質量%も含まれていた。又、得られたシアノアセトンのナトリウム塩を、再度メタノールに溶解させたところ、メタノール溶液中に白色の浮遊物が観察された(シアノアセトンのナトリウム塩中に重合物が存在する)。
比較例2(シアノアセトンのナトリウム塩の合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積500mlのガラス製容器に、酢酸エチル8.99g(0.1mol)、アセトニトリル24.6g(0.6mol)及びナトリウムメトキシド5.4g(0.1mol)を加え、攪拌しながら70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を30℃まで冷却した後に、析出した結晶を濾過し、得られた結晶を減圧下で乾燥させ、淡黄色結晶として、シアノアセトンのナトリウム塩6.45gを得た(単離収率;42.5%)。得られたシアノアセトンのナトリウム塩をイオンクラマトグラフィーで分析したところ、酢酸ナトリウムが14.5質量%も含まれていた。又、得られたシアノアセトンのナトリウム塩を、再度メタノールに溶解させたところ、メタノール溶液中に白色の浮遊物が観察された(シアノアセトンのナトリウム塩中に重合物が存在する)
本発明は、高純度シアノケトンのアルカリ金属塩及びその製法に関する。高純度シアノケトンのアルカリ金属塩は、例えば、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。

Claims (2)

  1. (A)アルカリ金属を含有する塩基の存在下、一般式(1)
    Figure 2007084489
    (式中、R及びRは、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数3〜8のシクロアルキル基を示す。)
    で示されるカルボン酸エステルとアセトニトリルとを反応させた後、反応液にメタノールを加えて処理して析出した固体を取得する第一工程、
    (B)次いで、固体をメタノールに溶解させて反応液を均一にした後、メタノール溶液に吸着剤を加えて処理する第二工程
    のふたつの工程を含んでなることを特徴とする、一般式(2)
    Figure 2007084489
    (式中、Rは、前記と同義であり、Mはアルカリ金属原子を示す。)
    で示される高純度シアノケトンのアルカリ金属塩の製法。
  2. カルボン酸アルカリ金属の含有量が2質量%以下で、且つ重合物を実質的に含有しないことを特徴とする、一般式(2)
    Figure 2007084489
    (式中、R及びMは、前記と同義である。)
    で示される高純度シアノケトンのアルカリ金属塩。
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