JP5211393B2 - ガトー・ピレネーのコーティング装置およびコーティング方法 - Google Patents

ガトー・ピレネーのコーティング装置およびコーティング方法 Download PDF

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Description

本発明は、芯棒に焼成されたガトー・ピレネーにコーティング材を塗布するコーティング装置およびコーティング方法に係り、より詳細には、フォンダンを均一かつ迅速に塗布することができるコーティング装置およびコーティング方法に関する。
菓子、ケーキやパンに特別の味を付け、あるいは、表面を飾るため、表面にコーティングすることが行なわれる。コーティングの材料(コーティング材)には、フォンダン、チョコレート等が用いられている。フォンダンとは、濃厚な砂糖溶液を煮詰めて途中火から下ろし練りながら白く結晶化させたもので、フランス語でとろけるという意味である。フォンダンは、砂糖、水飴等と水の割合によって異なるが、通常、常温では固化し、熱を加えると液状化する。
フォンダンは製品の味覚の一部であり、コーティング後の製品の美しさや形状にとっても重要な要素となるが、コーティング時のフォンダンの温度により、同じ素材を使用しても味覚、美しさ、形状が大きく変化する。通常、フォンダンは、30〜70℃の範囲で加熱し、コーティングする。温度を上げれば粘性が下がり扱いやすいが、再度固化したときにフォンダン自体の結晶が大きくなり表面状体が劣るものになる。食感も「ガリガリ」したものとなり風味も損なうことになる。逆に、低温では、コーティング時の分量の加減が難しく均一にコーティングすることが困難となる。
従来、芯棒に生地を層状に塗布して1層ずつ焼成したバウムクーヘンは、刷毛にフォンダンを付けて人手にて塗る方法が採られていた。ガトー・ピレネーは、バウムクーヘンのように層状で、表面にはピレネー山脈を模した山谷(凹凸)があるフランスのガスコーニュ地方の焼き菓子として知られる。ガトー・ピレネーは、表面に山谷があるので、谷の部分にフォンダンが集まりやすく、均一に塗布することが難しかった。また、人手作業によれば1本あたり10分〜15分と時間もかかる。なお、特許文献1にガトー・ピレネー自動製造装置が示されている。
一般に、ガトー・ピレネーを焼成した後すぐにはコーティングすることはできない。ガトー・ピレネーが熱を持っていて表面に付いたフォンダンが冷えて固まらないからである。軸に焼成されたガトー・ピレネーを冷ました後、自転させながら受皿容器でコーティングするとしても、手塗りと同様に谷の部分にフォンダンが集まりやすいとの問題がある。ガトー・ピレネーのような表面に山谷部がある菓子の表面に適したコーティング装置が求められている。
登録実用新案第3129639号
本発明の目的は、ガトー・ピレネーの表面に形成された谷の部分にコーティング材が集まって厚い層にならず、また迅速にコーティングすることができるコーティング装置およびコーティング方法を提供することにある。
本発明による請求項1のガトー・ピレネーのコーティング装置は、一端が主軸に取り付けられ、焼成されたガトー・ピレネーが軸掛けされる他端が上向き位置と下向き位置の間で動く左右のアームと、モータを有して前記主軸を設定された角度回動し、前記左右のアームの下向き位置が調整可能なアーム駆動機構と、モータを有して前記アームの軸掛け部を回転させ、前記ガトー・ピレネーを自転させる自転機構と、前記アームの下方に設置され、温められた液状のコーティング材を貯留する受皿容器と、が備えられ、自転を開始して前記アームを上向き位置から下向き位置に下降させ、前記ガトー・ピレネーを前記受皿容器に浸漬させ、前記コーティング材を前記ガトー・ピレネーに塗布し、自転を停止して前記アームを上向き位置に上昇させ、再び自転を続けた後に停止することを特徴とする。
請求項2は、前記受皿容器が2重底および2重側壁の構造を有することを特徴とする。
本発明による請求項3のガトー・ピレネーのコーティング方法は、芯棒に焼成されたガトー・ピレネーにコーティング装置でコーティング材を塗布する方法であって、アームに装着した前記ガトー・ピレネーを自転させ、前記ガトー・ピレネーを受皿容器のコーティング材に浸漬可能な位置に下降させる段階と、前記コーティング材に浸漬させて、前記コーティング材を前記ガトー・ピレネーに塗布する段階と、自転を停止して前記アームを上昇させる段階と、自転の停止状態を所定の時間続ける段階と、再び自転を開始する段階と、自転を所定の時間続ける段階と、自転を停止する段階と、を備えることを特徴とする。
本発明による請求項1によれば、極めて迅速なコーティングができる。刷毛による塗布では表面の突出した山の部分を損傷することがあるが、浸漬によればこのような損傷がない。手作業で10〜15分かかるところ2〜3分で終了できる。
また、アームの下向き位置が、設定によりモータの回動角度で調整され運転されるようにしたので、下向き位置を高くすれば浸漬が小さく塗布量を少なくし、下向き位置を低くすれば塗布量を多くできる。例えば、ガトー・ピレネーの山の部分にのみコーティング材を塗布できる。さらに、ガトー・ピレネーを受皿容器から上昇させる際、自転を停止して上昇させ、自転を停止させた状態を所定の時間続けるので、谷に集まった余分なコーティング材を落下させ分厚いコーティングとならないようにできる。なお、その後の自転により上側と厚さが均一化される。
請求項2によれば、受皿容器を2重底および2重側壁の構造としたので、温水パイプを受皿容器の周囲に巻き付ける場合などに比較して、保温能力に優れた受皿容器にできる。温度が維持されるからフォンダンが固まらず迅速なコーティングができる。すなわち、コーティング材の温度が低くなって粘性が増すことによる付け過ぎが防止できる。
本発明による請求項3のガトー・ピレネーのコーティング材塗布方法によれば、ガトー・ピレネーを受皿容器から上昇させる際、所定の時間自転を停止させた状態を続けるので、請求項1の効果と同様の効果がある。例えば、谷の底の部分までコーティング材がかかるように深く浸漬しても、谷の両側部分でからめ取られたコーティング材は、自重で下側に集まり落下する。すなわち、コーティング材の適切な塗布ができる。
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例であるガトー・ピレネーにコーティング材を塗布するコーティング装置の斜視図である。図1に示すように、コーティング装置1は、ガトー・ピレネー5の芯棒16を回転可能に支持する軸掛け部2と、温められた液状のコーティング材3を貯留する受皿容器4と、軸掛け部2に装着されたガトー・ピレネー5を自転させながら受皿容器4に浸漬し、また、受皿容器4から引上げる左右のアーム6と、運転条件を設定するための操作盤を有し、アーム6の動きを制御し、一連のシーケンスを実行する制御装置7と、受皿容器4の温水循環装置11と、を含んで構成される。コーティング材3には、フォンダン液を使用したが、これに限らずチョコレートなどでもよい。
ガトー・ピレネー5は、軸掛け部2に伝達された回転により自転する。自転の速度は一例として3rpmとした。アーム6は、ガトー・ピレネー5を自転させながら受皿容器4の方向に下降させ、ガトー・ピレネー5の一部を液状のフォンダン液3に浸漬させる。そして、その位置で所定の時間自転させることにより、ガトー・ピレネー5の外側にフォンダン液3を塗布した後、アーム6を上昇させ、ガトー・ピレネー5を受皿容器4から引き上げ、受皿容器4の上方で3〜4分間の所定の時間自転させる。受皿容器4は、2重底および2重側壁構造となっており、その底部および4周に温水を循環させてフォンダン液3であるフォンダンの温度を一定に保持できるようにした。温水循環装置11は、ポンプ(P)により温水を受皿容器4の2重底および2重側壁構造部に送り、戻った温水を再び加熱して送り出す装置である。温水の温度は、ここでは30〜70℃に設定される。図1に右側にコーティング材3を塗布したガトー・ピレネー5を示す。外形の突出した部分が山の部分で凹んだ部分が谷の部分である。
図2は、コーティング装置1の内部構造図である。アーム6を動かすアーム駆動機構12と、自転機構13が設けられる。アーム駆動用モータM2の主軸10にはドラム8が取り付けられ、ドラム8の外周には、3箇所に磁性部材14a〜14cが取り付けられる。各磁性部材14a〜14cが、磁気センサ9a、9b、9cの真下を通過したことを検出してアーム6の位置を知ることができる。アーム駆動用モータM2を必要な角度、正回転または逆回転させると、主軸10とドラム8が回り、主軸10に取り付けられたアーム6も回動し、アーム6の先端が上昇または下降するように動く。
磁気センサ9aの検出位置は、ガトー・ピレネー5の芯棒16が受皿容器4の縁に当接する位置で、これ以上アーム6を下降させてはならない位置を検出する。磁気センサ9bの検出位置は、ガトー・ピレネー5の直径が最大の場合のガトー・ピレネー5の停止位置となる。小さな直径のガトー・ピレネー5は、アーム駆動用モータ(M2)をこの位置から必要な角度歩進させて、ガトー・ピレネー5の位置を下降させ停止位置(下向き位置)を低くする。この調整は制御装置7の制御盤から、運転時の設定入力データとして指示できる。磁気センサ9cの検出位置は、アーム6を上昇させた位置(上向き位置)で、アーム6の初期の停止位置を検出する。
自転用モータM1の回転は、ベルトで回転軸の主軸10に回転自在に取り付けられたプーリ15aに伝達される。プーリ15aが回転すると、連動してプーリ15bが回転し、ベルトを介してアーム先端のプーリ15cが回転する。これによりプーリ15cに連結された軸掛け部2が回転し、芯棒16に回転が伝えられて、ガトー・ピレネー5が自転する。自転用モータM1を停止させれば、自転が停止できる。ここでは、自転機構13は装置の片側のアーム6に設置され、芯棒16の一端のみが駆動され、芯棒16の他端は単に軸掛け部2で支持される構造とした。
図2の引出円に示すように、軸掛け部2は、筒状でL型の溝17が切ってあるタイプとした。溝17に芯棒16の突起18を係合させる。芯棒16の他端が係合される軸掛け部2は、単に筒状(図示省略)のものとした。
ガトー・ピレネー5の自転速度は、望ましくは1〜5rpmである。上下方向のアーム6の先端の下降距離は80〜120mm/秒で、下降速度は10〜30mm/秒である。ガトー・ピレネー5は、自転速度で自転しながらフォンダン液3に10〜30秒(約1回転分)浸漬される。その後、アーム6が上昇され、しばらくはコーティングの厚さを均一にするため自転が続行される。なお、フォンダン液3のコーティング量は、ガトー・ピレネー5の自転速度、浸漬深さ、浸漬時間によって調整することができる。また、一連の動作を行わせることができる。
図3、4により、コーティング装置1を使用して、ガトー・ピレネー5の外周部にコーティング材であるフォンダン液3をコーティングする方法を説明する。図3(A)に示すように、アーム6に装着したガトー・ピレネー5を自転させ、上向き位置P1から浸漬可能な下向き位置P2に下降させる。なお、フォンダン液3は、所定の温度にあるものとする。次に図3(B)に示すように、ガトー・ピレネー5が下向き位置P2に至ると、浸漬が開始される。所定の時間、自転させながら浸漬状態を続ける。これにより、ガトー・ピレネー5の外周部に、フォンダン液3が塗布される。次に図3(C)に示すように、アーム6を上向き位置P1に戻し、所定の時間、自転を続ける。ガトー・ピレネー5の余分なフォンダン液3は、上昇させる際に滴となって受皿容器4に落ちる。自転を続けることで遠心力が働くので、フォンダン液3がガトー・ピレネー5の外周部に均一に固定される。フォンダン液3は冷めると固定される。なお、下向き位置P2を通常より高くしたり低くしたりできる。
図4は、コーティングの詳細手順を示すフローチャートである。まず、フォンダン液3が所定の温度となるように温度調整(S100)しておく。アーム6が受皿容器4の上方の上向き位置P1に待機している(S100)状態で、アーム6の軸掛け部2にガトー・ピレネー5を装着(S101)する。スタートボタンを押すと、自転機構13によりガトー・ピレネー5は自転を開始(S102)する。続いて、アーム6が動き、ガトー・ピレネー5は上向き位置P1から浸漬される下向き位置P2に移動(S103)する。ガトー・ピレネー5は、フォンダン液3に所定の時間、自転しながら浸漬(S104)される。S102とS103を合わせて1つの段階として制御してもよい。
次に、自転を停止させる指示が設定されているか判定(S105)する。これは、フォンダン液3の厚さを薄くし、余分なフォンダン液3を被覆しないような場合にあらかじめ設定しておく。S105の判定で自転停止の指示がないと判断された場合、自転を続けながらガトー・ピレネー5を下向き位置P2から上向き位置P1に上昇(S110)させる。この間、ガトー・ピレネー5のフォンダン液3の一部は受皿容器に落下する。さらに自転を所定の時間、続行(S111)し、からめ取られたフォンダン液3が均一な厚さとなるようにする。そして自転を停止(S112)し、ガトー・ピレネー5をコーティング装置1から取り外す操作(S113)を行なう。
自転停止の指示があらかじめ設定されており、S105の判定で自転を停止すると判断された場合、自転が停止(S106)される。自転停止のまま0〜5秒保持した後、アーム6を駆動して、ガトー・ピレネー5を下向き位置P2から上向き位置P1に上昇(S107)させる。そして上向き位置P1で、所定の時間、待機(S108)させる。この間、流動性のあるフォンダン液3はガトー・ピレネー5の下側に集まり成長して落下する。その後、自転を再開(S108)し、自転を所定の時間続行(S111)して、最後に取り外す操作(S113)を行なう。S111は、塗布の厚さを均一にするものである。S108は、自転を停止させることで、塗布量を調整するものである。なお、上記の手順はあらかじめ制御装置7に設定しておいて運転する。設定値は自由に変更することができる。
本発明は、ガトー・ピレネーのコーティング装置およびコーティング方法として好適である。
本発明によるコーティング装置の斜視図である。(実施例1) 本発明によるコーティング装置の内部構造図である。(実施例1) 本発明のよるコーティング方法をコーティング装置の動きで示した図である。(A)は、コーティング装置のアームに装着されたガトー・ピレネーが、自転して下降している状態を示す。(B)は、ガトー・ピレネーが自転しながらフォンダンに浸漬されている状態を示す。(C)は、ガトー・ピレネーが受皿容器から離れて上昇している状態を示す。 本発明によるコーティング方法を説明するためのフローチャート図である。(実施例1)
符号の説明
1 コーティング装置
2 軸掛け部
3 コーティング材(フォンダン液)
4 受皿容器
5 ガトー・ピレネー
6 アーム
7 制御装置
8 ドラム
9a、9b、9c 磁気センサ
10 主軸
11 温水循環装置
12 アーム駆動機構
13 自転機構
14a、14b、14c 磁性部材
15a、15b、15c プーリ
16 芯棒
17 溝
18 突起
M1、M2 モータ
P1 アームの上向き位置
P2 アームの下向き位置
S100〜S113 制御の各段階

Claims (3)

  1. 一端が主軸に取り付けられ、焼成したガトー・ピレネーを軸掛けされる他端が上向き位置と下向き位置の間で動く左右のアームと、
    モータを有して前記主軸を設定された角度回動し、前記左右のアームの下向き位置が調整可能なアーム駆動機構と、
    モータを有して前記アームの軸掛け部を回転させ、前記ガトー・ピレネーを自転させる自転機構と、
    前記アームの下方に設置され、温められた液状のコーティング材を貯留する受皿容器と、が備えられ、
    自転を開始して前記アームを上向き位置から下向き位置に下降させ、前記ガトー・ピレネーを前記受皿容器に浸漬させ、前記コーティング材を前記ガトー・ピレネーに塗布し、自転を停止して前記アームを上向き位置に上昇させ、再び自転を続けた後に停止することを特徴とするガトー・ピレネーのコーティング装置。
  2. 前記受皿容器は、2重底および2重側壁の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のガトー・ピレネーのコーティング装置。
  3. 芯棒に焼成されたガトー・ピレネーにコーティング装置でコーティング材を塗布する方法であって、アームに装着した前記ガトー・ピレネーを自転させ、前記ガトー・ピレネーを受皿容器のコーティング材に浸漬可能な位置に下降させる段階と、前記コーティング材に浸漬させて、前記コーティング材を前記ガトー・ピレネーに塗布する段階と、自転を停止して前記アームを上昇させる段階と、自転の停止状態を所定の時間続ける段階と、再び自転を開始する段階と、自転を所定の時間続ける段階と、自転を停止する段階と、を備えることを特徴とするガトー・ピレネーのコーティング方法。
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