JP5210818B2 - 遊星ローラー式回転伝達装置 - Google Patents

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本発明は、入力された回転を変速して出力する遊星ローラー式回転伝達装置に関する。
近年、サーボ技術の進歩により高精度な回転出力が得られるようになったサーボモーターを、各種装置の駆動源として使用するケースが増えている。そして、その使用に際しては、適用対象の装置の必要回転数(rpm)や必要トルクに適合させる目的で、サーボモーターと前記装置との間には一般に変速機が介装される。このため、最終的に高精度な回転を前記装置に供給するためには、変速機の方にも高精度の回転が要求され、つまり、回転むら(回転数変動)の小さい変速機が待望視されている。
一方、従来、変速機の一つとして、特許文献1に示すような遊星ローラー式回転伝達装置101が知られている。図1にこの装置101の断面図を示すが、この装置101は、太陽軸体121と、太陽軸体121の外周面に所定の圧接力で圧接されながら転動することにより、太陽軸体121の周りを公転する複数の遊星ローラー141と、軸受け部材131を介して前記遊星ローラー141を自転可能に保持しつつ、前記遊星ローラー141の公転動作に基づいて自転可能な遊星枠161と、から主に構成される。そして、太陽軸体121に回転が入力されると、太陽軸体121の外周面に圧接された遊星ローラー141が太陽軸体121の外周面を転動しながら公転するとともに、この公転動作に基づいて遊星枠161も自転することから、当該遊星枠161を出力軸として、減速した回転が出力されるようになっている。
ここで、特許文献1には、遊星ローラー141の本体として円筒体143を用い、その内周側に、軸受け部材131としての玉軸受けを支持軸145と共に内蔵させた例が示されている。
また、不図示の特許文献2には、同様に、遊星ローラーの本体として円筒体を用い、その内周側に、軸受け部材としてのニードル軸受けを支持軸と共に内蔵させた例が示されている。
実開昭57−163044号 特開平5−157149号
しかしながら、このように遊星ローラー141の軸受け部材131として玉軸受けやニードル軸受けを用いると、軸受け部材131の構成部品間の隙間に起因して回転むらを生じる虞がある。すなわち、一般に軸受け部材131はその構成部品として、(1)支持軸145側に設けられる内側の軌道輪133と、(2)遊星ローラー側に設けられる外側の軌道輪135と、(3)これら軌道輪同士の間を転動する球体やニードル等の転動体137と、を備えているが、これら軌道輪133,135と転動体137との間には、支持軸145に沿う方向及びラジアル方向に関して小さいながらも隙間が存在し、当該隙間が回転むらを誘発する可能性がある。そのため、回転むらを解消するには、このような小さな隙間をほぼ完全に無くす必要がある。
また、回転むらを抑制するには、遊星ローラー141自体の剛性を高めることも有効であるが、特許文献1及び2のように遊星ローラー141内に軸受け部材131や支持軸145を内蔵する構成では、上述のように遊星ローラー141の本体として中空な円筒体143を用いざるを得ず、その結果、遊星ローラー141自体の剛性が低くなってしまう虞がある。
更には、特許文献1の遊星ローラー141にあっては、遊星ローラー141の支持方法が片持ち支持であるため、遊星ローラー141に作用する前記圧接力によって、遊星ローラー141の支持軸145が一方向に曲がってしまい、遊星ローラー141が太陽軸体121に対して片当たりしてしまう。つまり、遊星ローラー141と太陽軸体121との接触が遊星ローラー141の全面で均一にならなくなる。すると、遊星ローラー141は支持軸145に沿う方向に移動し、移動した遊星ローラー141が何らかのきっかけで急に元の位置に復帰する動きが生じた場合には、当該動きが回転むらを誘発してしまう。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、遊星ローラーの軸受け部材に係る隙間をほぼ無くすとともに、遊星ローラーの剛性を向上して、回転むらを抑制可能な遊星ローラー式回転伝達装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための主たる発明は、
入力された回転を変速して出力する遊星ローラー式回転伝達装置であって、
ハウジング内に収容されて軸芯周りに回転可能な太陽軸体と、
前記太陽軸体の外周面に所定の圧接力で圧接されながら転動することにより、自転しながら前記太陽軸体の周りを公転する複数の遊星ローラーと、
軸受け部材を介して前記遊星ローラーを回転軸周りに自転可能に保持しつつ、前記遊星ローラーの公転動作に基づいて自転可能に前記ハウジングに支持された遊星枠と、
前記ハウジングに支持されつつ前記遊星ローラーを外側から覆って設けられ、前記遊星ローラーを前記太陽軸体へ押し付けることにより前記遊星ローラーに前記圧接力を付与しつつ前記遊星ローラーが内周面を転動する弾性リング体と、を備え、
前記遊星ローラーは、前記太陽軸体の外周面及び前記弾性リング体の内周面を転動する円柱転動部と、前記円柱転動部の両端面から前記回転軸に沿う方向に一体に突出形成され、前記軸受け部材を介して前記円柱転動部を両端支持するための一対の軸部と、を有し、
前記軸受け部材は、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングであり、
前記軸受け部材は、前記遊星ローラーの前記軸部に嵌合される内側の軌道輪と、前記内側の軌道輪の外周面に対向して配置される外側の軌道輪と、これら軌道輪同士の間の環状空間を転動する複数の転動体と、を有し、
前記転動体は、前記内側の軌道輪によってラジアル方向の内側への移動及び前記回転軸に沿う方向の一方向への移動を規制されるとともに、前記外側の軌道輪によってラジアル方向の外側への移動及び前記回転軸に沿う方向の前記一方向と逆向きの移動を規制され、
前記一対の軸部にそれぞれ対応させて前記軸受け部材を取り付けた状態で、これら一対の前記軸受け部材を、前記遊星枠の所定部位とによって前記回転軸に沿う方向に挟み込んで前記外側の軌道輪を前記内側の軌道輪の方へ押し込むための押し込み部材が、前記遊星枠に螺着されており、
前記弾性リング体は、スリーブ部材を介して前記ハウジングに相対移動不能に支持されており、
前記弾性リング体は、外周面と、前記回転軸に沿う方向の端部において当該外周面よりもラジアル方向の外方に突出したフランジ部とを有し、
前記スリーブ部材の内周面は、前記弾性リング部材の外周面に対して所定の隙間を隔てて位置しており、
前記回転軸に沿う方向において、前記スリーブ部材の、前記ハウジングに支持されている側とは反対側の端面に、前記弾性リング部の前記フランジ部が支持されていることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、遊星ローラーの軸受け部材に係る隙間をほぼ無くすとともに、遊星ローラーの剛性を向上して、回転むらを抑制可能な遊星ローラー式回転伝達装置を提供することができる。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
入力された回転を変速して出力する遊星ローラー式回転伝達装置であって、
ハウジング内に収容されて軸芯周りに回転可能な太陽軸体と、
前記太陽軸体の外周面に所定の圧接力で圧接されながら転動することにより、自転しながら前記太陽軸体の周りを公転する複数の遊星ローラーと、
軸受け部材を介して前記遊星ローラーを回転軸周りに自転可能に保持しつつ、前記遊星ローラーの公転動作に基づいて自転可能に前記ハウジングに支持された遊星枠と、
前記ハウジングに支持されつつ前記遊星ローラーを外側から覆って設けられ、前記遊星ローラーを前記太陽軸体へ押し付けることにより前記遊星ローラーに前記圧接力を付与しつつ前記遊星ローラーが内周面を転動する弾性リング体と、を備え、
前記遊星ローラーは、前記太陽軸体の外周面及び前記弾性リング体の内周面を転動する円柱転動部と、前記円柱転動部の両端面から前記回転軸に沿う方向に一体に突出形成され、前記軸受け部材を介して前記円柱転動部を両端支持するための一対の軸部と、を有し、
前記軸受け部材は、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングであり、
前記軸受け部材は、前記遊星ローラーの前記軸部に嵌合される内側の軌道輪と、前記内側の軌道輪の外周面に対向して配置される外側の軌道輪と、これら軌道輪同士の間の環状空間を転動する複数の転動体と、を有し、
前記転動体は、前記内側の軌道輪によってラジアル方向の内側への移動及び前記回転軸に沿う方向の一方向への移動を規制されるとともに、前記外側の軌道輪によってラジアル方向の外側への移動及び前記回転軸に沿う方向の前記一方向と逆向きの移動を規制され、
前記一対の軸部にそれぞれ対応させて前記軸受け部材を取り付けた状態で、これら一対の前記軸受け部材を、前記遊星枠の所定部位とによって前記回転軸に沿う方向に挟み込んで前記外側の軌道輪を前記内側の軌道輪の方へ押し込むための押し込み部材が、前記遊星枠に螺着されていることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、遊星ローラーの軸受け部材として、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングを用いている。よって、前記押し込み部材により前記外側の軌道輪を前記内側の軌道輪の方へ前記回転軸に沿って押し込むと、前記転動体は、前記外側の軌道輪によって、前記回転軸に沿う方向だけでなくラジアル方向にも押されて、最終的には、前記転動体が前記内側の軌道輪と前記外側の軌道輪との両者に圧接された状態となる。従って、これら軌道輪と転動体との間の隙間を、前記回転軸に沿う方向及びラジアル方向の両者についてほぼ皆無にすることができて、遊星ローラーに係るがたつきの解消を図れ、その結果、回転むらを抑制可能となる。
また、遊星ローラーの本体として、円柱体を用いているので、遊星ローラー自体の剛性を高くすることができて、その結果、回転むらを抑制可能となる。
更には、遊星ローラーは、両端支持されているので、遊星ローラーと太陽軸体との圧接力は、片当たり無くほぼ均一に付与される。よって、遊星ローラーの前記回転軸に沿う方向への変位は抑制され、その結果、回転むらを抑制可能となる。
かかる遊星ローラー式回転伝達装置であって、
前記太陽軸体は、断面正円形状で外周面が前記遊星ローラーの圧接される範囲に亘って平らな円柱体であり、
前記遊星ローラーの円柱転動部は、断面正円形状で外周面が前記回転軸に沿う方向に亘って平らな円柱体であり、
前記遊星ローラーの円柱転動部の両端面には、それぞれ前記回転軸を中心とする環状凹部が形成されているのが望ましい。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、前記円柱転動部の両端面には各々前記環状凹部が形成されているので、前記円柱転動部における前記回転軸に沿う方向の両端部の方が中央部よりも弾性変形し易くなる。よって、前記圧接力により前記遊星ローラーと前記太陽軸体との当接面において生じ得るヘルツ応力の応力分布を、前記回転軸に沿う方向に関して中央が高くその両端が低いという山形状にすることができて、これにより、遊星ローラーの外周面を平らな形状に維持したまま、遊星ローラーの外周面にクラウニング加工(ロールプロフィールを太鼓状にする加工、つまり、遊星ローラーの半径を中央部から端部へ向かうに従って徐々に小さくする加工)を施したのと同等の効果を奏することができる。すなわち、転動時において、前記回転軸に沿う方向の中央への求心力を高めることができて、前記回転軸に沿う方向に関する前記遊星ローラーの転動位置を安定化させることができる。
かかる遊星ローラー式回転伝達装置であって、
前記遊星ローラーの円柱転動部は、中実な円柱体であり、
前記太陽軸体は、中実な円柱体であるのが望ましい。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、前記遊星ローラーの円柱転動部及び前記太陽軸体は、貫通孔の全く無い中実な円柱体として構成されるので、遊星ローラー及び太陽軸体の剛性を一層高くすることができて、その結果、回転むらを有効に抑制可能となる。
かかる遊星ローラー式回転伝達装置であって、
前記太陽軸体は、前記遊星枠内に配置された軸受け部材によって前記遊星枠に前記軸芯周りに自転可能に支持されており、
前記軸受け部材は、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングであり、
前記軸受け部材は、前記太陽軸体に嵌合される内側の軌道輪と、前記内側の軌道輪の外周面に対向して配置される外側の軌道輪と、これら軌道輪同士の間の環状空間を転動する複数の転動体と、を有し、
前記転動体は、前記内側の軌道輪によってラジアル方向の内側への移動及び前記軸芯に沿う方向の一方向への移動を規制されるとともに、前記外側の軌道輪によってラジアル方向の外側への移動及び前記軸芯に沿う方向の前記一方向とは逆向きの移動を規制され、
前記遊星枠の所定部位とによって前記軸受け部材を前記軸芯に沿う方向に挟み込んで前記内側の軌道輪を前記外側の軌道輪の方へ押し込むための第2押し込み部材が、前記太陽軸体に螺着されているのが望ましい。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、太陽軸体の軸受け部材として、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングを用いている。よって、前記第2押し込み部材により前記内側の軌道輪を前記外側の軌道輪の方へ押し込むと、前記転動体は、前記内側の軌道輪によって、前記軸芯に沿う方向だけでなくラジアル方向にも押されて、最終的には、前記転動体が前記内側の軌道輪と前記外側の軌道輪との両者に圧接された状態となる。従って、これら軌道輪と転動体との間の隙間を、前記軸芯に沿う方向及びラジアル方向の両者についてほぼ皆無にすることができて、太陽軸体に係るがたつきの解消を図れ、その結果、回転むらを抑制可能となる。
かかる遊星ローラー式回転伝達装置であって、
前記弾性リング体は、前記弾性リング体の外周面と所定隙間を隔てつつ全周を囲って配置されたスリーブ部材を介して前記ハウジングに相対移動不能に支持されており、
前記弾性リング体において前記スリーブ部材に支持される位置は、前記弾性リング体における前記回転軸に沿う方向の端面のみであるのが望ましい。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、前記スリーブ部材による前記弾性リング体の支持位置を、弾性リング体の外周面ではなく、前記端面に設定している。よって、前記遊星枠の回転に応じて前記弾性リング体がラジアル方向に拡縮変形しても、当該弾性リング体は、その外周面から拘束力を与えられることはなく、前記遊星枠の回転に応じて前記拡縮変形を自由に行うことができる。その結果、前記スリーブ部材を介してハウジンに取り付けられていても、当該スリーブ部材の前記圧接力への影響は軽減されて、前記スリーブ部材に起因した回転むらを抑制可能となる。
かかる遊星ローラー式回転伝達装置であって、
前記弾性リング体は、前記弾性リング体を前記ハウジングに相対移動不能に支持しつつ前記ハウジングに固定される固定部が一体形成された単一部材であり、
前記遊星枠は、前記ハウジングとの間に介装されたクロスローラー軸受けによって自転可能に前記ハウジングに支持されており、
前記クロスローラー軸受けの転動体の転動面が、前記固定部と前記ハウジングとに跨って形成されているのが望ましい。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、前記固定部は前記弾性リング体の一部なので、前記弾性リング体の内周面と、前記固定部の前記転動面とを同時加工して、互いの同芯度を高度に高めることができる。そして、ここで、前記弾性リング体の内周面は遊星ローラーの転動面として機能し、他方、前記固定部の前記転動面は、遊星枠の自転を支持するクロスローラー軸受けの転動体の転動面である。よって、上記同時加工により、遊星ローラーの転動面と遊星枠の自転中心との同芯度が高度に高められ、これらの間の芯ずれを有効に低減可能となる。その結果、この芯ずれに起因して生じ得る遊星ローラーと弾性リング体との間の予圧変動を抑えて、遊星枠の回転むらを抑制することができる。
かかる遊星ローラー式回転伝達装置であって、
前記太陽軸体が回転の入力軸であり、
前記遊星枠が、変速された回転の出力軸であるのが望ましい。
このような遊星ローラー式回転伝達装置によれば、減速機として機能することができる。
===第1実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1===
図2A及び図2Bは、第1実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1の内部構造図である。図2Aには、遊星ローラー41の中心位置における断面図を示しており、図2Bには、図2A中のB−C21−B断面図を示している。なお、図2Aは、図2B中のA−A断面図でもある。また、以下では、図2Bに示すように、太陽軸体21の軸芯C21に沿う方向のことを前後方向とも言う。
この遊星ローラー式回転伝達装置1は、筒型のハウジング11内に収容されて軸芯C21周りに回転可能な太陽軸体21と、前記太陽軸体21の外周面に所定の圧接力で圧接されながら転動することにより、自転しながら前記太陽軸体21の周りを公転する4本の遊星ローラー41と、軸受け部材31を介して前記遊星ローラー41を回転軸C41周りに自転可能に保持しつつ、前記遊星ローラー41の公転動作に基づいて自転可能に前記ハウジング11に支持された遊星枠61と、前記ハウジング11に支持されつつ前記遊星ローラー41を外側から覆って設けられ、前記遊星ローラー41を前記太陽軸体21へ押し付けることにより前記遊星ローラー41に前記圧接力を付与しつつ前記遊星ローラー41が内周面を転動する弾性リング体81と、を備えている。
そして、ここでは、この遊星ローラー式回転伝達装置1を減速機として機能させるべく、回転の入力軸は太陽軸体21に設定される一方、回転の出力軸は遊星枠61に設定されている。すなわち、太陽軸体21に回転が入力されると、太陽軸体21の外周面に圧接された各遊星ローラー41は、太陽軸体21との転がり摩擦に基づいて太陽軸体21の外周面を転動することにより太陽軸体21周りを公転するが、この時には、当該公転動作に基づいて遊星枠61も自転することになるので、当該遊星枠61を出力軸として、減速した回転が出力される。ちなみに、上述とは逆に、遊星枠61を回転の入力軸とし、回転の出力軸を太陽軸体21とすれば、当該遊星ローラー式回転伝達装置1を増速機として機能させることもできる。
この遊星ローラー式回転伝達装置1への回転の入力は、例えばサーボモーターを駆動源としてなされる。但し、サーボモーターによって回転むら(回転数変動)の小さい高精度な回転を入力したとしても、当該遊星ローラー式回転伝達装置1の方が、がたつき等の機械精度上の問題を有している場合には、最終的に回転むらの生じた回転が出力されてしまうことになる。そこで、この第1実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1では、その各構成要素に対して、回転むらの要因を排除するための工夫が施されている。以下、各構成要素について説明する。
<遊星枠61>
遊星枠61は、4本の遊星ローラー41を収容するための4つの収容穴63が形成された円柱体を本体とする。そして、この遊星枠61は、前記ハウジング11内に収容された状態で、ハウジング11の前端部の内周面に設けられた軸受け部材13により、前記太陽軸体21の回転中心たる前記軸心C21と同芯に自転可能に支持されている。
軸受け部材13としては、所謂クロスローラー軸受けが使用されており、スラスト荷重とラジアル荷重とを一挙に支持可能になっている。また、このクロスローラー軸受け13に用いられる円柱形状の転動体13aは、遊星枠61の回転方向に沿って遊星枠61の外周面に直接形成されたV字状溝13bと、このV字状溝13bに対向してハウジング11及びハウジング11側の部材に直接形成されたV字状溝13cとを転動面として転動するようになっている。よって、転動面を形成する目的で通常別部材として設けられる内側の軌道輪や外側の軌道輪の省略を図れて、これら軌道輪の取り付け固定に付随する取り付け公差上の問題を解消し、もって、回転むらが抑制される。
また、遊星ローラー41の遊星枠61への組み付け性の観点から、この遊星枠61は、前半部61aと後半部61bとに分離可能な2体構造で構成されており、これに伴って、遊星枠61には遊星ローラー41を収容するための前記収容穴63が、これら前半部61aと後半部61bとに跨って形成されている。そして、これら前半部61aと後半部61bとが、ボルト等の締結部材65により連結一体化されると、前半部61aの収容穴63の部分と、これに対向する後半部61bの収容穴63の部分とが一体化されて一つの収容穴63となる。
ここで、前半部61aに存在する収容穴63の部分と後半部61bに存在する収容穴63の部分との同軸性は、当該収容穴63の穴開け加工を、前半部61aと後半部61bとが連結一体化された状態で行うことにより確保され、また、この同軸性をその後の組み付けの際にも再現可能なように、これら前半部61aと後半部61bとに跨って位置決めピンの陥入穴(不図示)が形成されている。
また、遊星枠61の前端部61cは、ハウジング11の前端縁よりも前方に突出しており、これにより、出力軸としての遊星枠61を、その前端部側で駆動対象の装置の入力端に連結できるようにしている。
<遊星ローラー41>
遊星ローラー41は、前記遊星枠61に形成された4つの前記収容穴63にそれぞれ収容されており、これら4本の遊星ローラー41は、太陽軸体21の軸芯C21に関して点対称に配置されている。そして、各遊星ローラー41は、それぞれに対応する前記収容穴63に設けられた軸受け部材31を介して、太陽軸体21の軸芯C21と平行な回転軸C41周りに回転可能に支持されている。
遊星ローラー41は、その剛性を高めるべく断面正円形の中実な円柱体41a(円柱転動部に相当し、以下では円柱本体41aとも言う)を本体とし、この円柱本体41aの前記回転軸C41に沿う方向(以下、回転軸C41方向とも言う)の両端面からは一体且つ同芯に小径円柱状の軸部41b,41bが突出形成されている。そして、一方の軸部41bは、遊星枠61の前半部61aの収容穴63に配置された前側軸受け部材31に同芯に嵌合されており、他方の軸部41bは、遊星枠61の後半部61bの収容穴63に配置された後側軸受け部材31に同芯に嵌合されており、これら軸受け部材31,31によって遊星ローラー41は両端支持されている。
ここで、軸受け部材31としては、所謂テーパーローラーベアリングが適用されている。テーパーローラーベアリング31は、遊星ローラー41の前記軸部41bに同芯に嵌合されるインナーレース31a(内側の軌道輪に相当)と、このインナーレース31aの外周面に対向しつつ前記遊星枠61の収容穴63に嵌合されるアウターレース31b(外側の軌道輪に相当)と、これら一対のレース31a,31b同士の間の環状空間を転動する転動体としての複数のテーパーローラー31c(裁頭円錐形状のローラー)と、を有している。そして、インナーレース31aにおいては、その転動面よりも前記回転軸C41方向の内方の端縁に環状凸部31dが形成されており、これにより、テーパーローラー31cは、前記回転軸C41方向の内方への移動(一方向への移動に相当)が規制される。一方、アウターレース31bの転動面は、前記回転軸C41方向の外側へ向かうに従って縮径したテーパー円周面に形成されており、このテーパー勾配により、テーパーローラー31cの前記回転軸C41方向の外方への移動(前記一方向とは逆向きの移動に相当)が規制される。
また、これらインナーレース31aとアウターレース31bとの間の環状空間は、前記テーパーローラー31cのテーパー勾配にほぼ適合した略テーパー円筒形状になっている。よって、アウターレース31bを前記回転軸C41方向の内方へ押し込むと、アウターレース31bに押されてテーパーローラー31cは前記回転軸C41方向の内方へと移動するが、その際にはテーパーローラー31cはラジアル方向にも押されて、最終的には、テーパーローラー31cがインナーレース31aとアウターレース31bとの両者に圧接された状態となる。従って、アウターレース31bを回転軸C41方向の内方へ押し込むことにより、これら一対のレース31a,31bと転動体31cとの間の隙間を、回転軸C41方向及びラジアル方向の両者についてほぼ皆無にすることができて、これをもって、遊星ローラー41に係るがたつきの解消を図れて、回転むらを抑制可能となる。
このような回転軸C41方向の押し込み力の付与は、遊星枠61の後半部61bの収容穴63の口部に螺着した押し込み部材67を螺合回転することにより行われる。すなわち、前側軸受け部材31及び後側軸受け部材31により両端支持された遊星ローラー41を収容穴63に配した状態において、押し込み部材67を回すと、押し込み部材67は送りねじ機構の如く前方へ送られて後側軸受け部材31のアウターレース31bに当接するが、更に回すと、押し込み部材67によって、後側軸受け部材31のアウターレース31b、テーパーローラー31c、インナーレース31a、及び遊星ローラー41が前方へ送られた後、前側軸受け部材31のインナーレース31a、テーパーローラー31c、アウターレース31bが前方へ押されて送られ、最終的には、前側軸受け部材31のアウターレース31bが前記収容穴63の底部63a(遊星枠の所定部位に相当)に当接する。そして、これにより、押し込み部材67と前記収容穴63の底部63aとによって、これら一対の軸受け部材31,31は挟み込まれて、これにより、回転軸C41方向の押し込み力が付与されることになる。
<太陽軸体21>
太陽軸体21は、断面正円形状で外周面が前記遊星ローラー41の圧接される範囲に亘って平らな(つまり同一外径の)中実円柱体を本体とする。そして、遊星枠61の回転中心軸C61と同芯に形成された収容穴69に収容された状態で、遊星枠61の前半部61aに設けられた一対の軸受け部材25,25に嵌合され、これにより、前記遊星枠61の回転中心軸C61と同芯に自転可能に支持されている。
詳しくは、太陽軸体21の前端部には、段差部21aを介して小径円柱状の軸部21bが一体且つ同芯に形成されている。また、この軸部21bと対向する収容穴69の部分には、その内周面から環状に突出したリブ69aが一体形成されている。そして、収容穴69の後方から前方へと前記太陽軸体21を差し込む際に、前記段差部21aと前記リブ69aとの間に後側軸受け部材25が挟まれて固定されるとともに、前側軸受け部材25は、前記軸部21bの前端に螺着された締め付け部材27(第2の押し込み部材に相当)と前記リブ69a(遊星枠の所定部位に相当)とに挟まれて固定される。なお、この締め付け部材27を螺合回転すると、前側軸受け部材25に軸芯C21方向に沿った挟み込み力が付与されるのは言うまでも無いが、この挟み込み力の反力として太陽軸体21の軸部21bには引っ張りの軸力が作用するので、この軸力が前記段差部21aに伝達されて、これにより、後側軸受け部材25も前記段差部21aから挟み込み力が付与される。
ここで、軸受け部材25としては、遊星ローラー41の場合と同様に、テーパーローラーベアリングが使用されている。よって、上記の締め付け部材27によって前記挟み込み力が軸受け部材25に作用すると、前述の遊星ローラー41の場合と同じ理屈に基づいて、軸受け部材25のテーパーローラー25cはインナーレース25a(内側の軌道輪に相当)とアウターレース25b(外側の軌道輪に相当)とに圧接され、これにより、これら一対のレース25a,25bと転動体25cとの間の隙間を、前記軸心C21方向及びラジアル方向の両者についてほぼ皆無にすることができる。その結果として、太陽軸体21に係るがたつきの解消を図れて、回転むらを抑制可能となる。
<弾性リング体81>
弾性リング体81は、遊星ローラー41の太陽軸体21周りの転動を安定化させる目的で、遊星ローラー41を太陽軸体21に所定の圧接力で押し付けるための部材であり、その構成は、断面正円形状の円筒体を本体とする。そして、遊星枠61の外周面から部分的に外方に突出する4本の遊星ローラー41の外周面に対して、弾性リング体81の内周面が当接するように、これら4本の遊星ローラー41をラジアル方向の外側から囲って配置されている。
この弾性リング体81の内径寸法は、当該弾性リング体81に外力が作用しない状態において、遊星枠61の4本の全ての遊星ローラー41が内接する一つの正円の直径よりも若干小さい寸法に設定されている。よって、この弾性リング体81を、4本の遊星ローラー41の外側から嵌め込んだ際には、弾性リング体81にはフープ応力が発生し、このフープ応力に基づいて、各遊星ローラー41は太陽軸体21の外周面へ確実に押し付けられて予圧される。
また、この弾性リング体81は、ハウジング11に対して相対移動しないようにハウジング11に支持されており、これにより、弾性リング体81の内周面を各遊星ローラー41は転がり摩擦に基づいて転動する。そして、この転動に伴って弾性リング体81は、部分的に拡径変形及び縮径変形を繰り返す。すなわち、弾性リング体81における所定部位を遊星ローラー41が通過する際には、当該所定部位は拡径変形し、通過したら縮径変形する。但し、これらの変形を外部から拘束すると、それが前記圧接力に影響して回転むらを招く虞がある。そのため、ここでは、弾性リング体81をハウジング11に支持する支持構造として、剛性の低い薄肉なスリーブ部材83を用いるとともに、支持位置を弾性リング体81の外周面ではなくて、後端面81aに設定している。
詳しくは、スリーブ部材83は、ハウジング11から後方へ弾性リング体81まで延出し、その内周面は、弾性リング体81の外周面との間に所定の隙間を隔てて位置している。そして、弾性リング体81の後端面81aからは、ラジアル方向の外方に突出した凸部81bが弾性リング体81の全周に亘って一体に形成されてフランジ部81bをなしており、このフランジ部81bに前記スリーブ部材83の後端面が突き合わされてねじ止めされている。この支持構造によれば、弾性リング体81の外周面には、前記スリーブ部材83は当接しないので、弾性リング体81の拡縮変形時に前記スリーブ部材83から拘束されることはなく、もって、当該スリーブ部材83の前記圧接力への影響は軽減されて、前記スリーブ部材83に起因した回転むらは抑制される。
===第1実施形態の変形例===
図3A及び図3Bは第1実施形態の変形例の説明図であり、何れの図も遊星ローラー41と太陽軸体21との圧接状態を示している。なお、これらの図にあっては、一部を破断視で示している。
図3Aに示すように、第1実施形態の遊星ローラー41では、その本体たる円柱本体41aの回転軸C41方向の両端面が、軸部41b以外の部分については平坦面に形成されていたが、図3Bに示すように、この変形例では、遊星ローラー41の回転軸C41方向に関する転動位置を安定化させる目的で、遊星ローラー41の円柱本体41aの両端面に互いに同形の環状凹部45を形成している点で相違する。
図3Bに示すように、環状凹部45は、遊星ローラー41の回転軸C41を中心とする大小一対の正円形状の側壁面45a,45bと、これら側壁面45a,45bを底部でつなぐに底壁面45cとから構成される。そして、各環状凹部45,45の深さは回転軸C41方向の中央までは達しない深さであり、つまり、円柱本体41aにおける回転軸C41方向の中央部には環状凹部45が形成されていない中実な部分が残っている。
よって、円柱本体41aにおける回転軸C41方向の両端部の方が中央部よりも弾性変形し易くなるので、前記圧接力により前記遊星ローラー41と前記太陽軸体21との当接面において生じ得るヘルツ応力の応力分布を、図3Aに示すような回転軸C41方向の両端が角状に大きくなった分布から、図3Bに示すような、回転軸C41方向について中央が高くその両端が低いという山形状へと変更することができて、これにより、遊星ローラー41の円柱本体41aの外周面を回転軸C41方向の全幅に亘って平らな形状(つまり同一外径の形状)に維持したまま、遊星ローラー41の外周面にクラウニング加工(ロールプロフィールを太鼓状にする加工、つまり、遊星ローラー41の半径を中央部から端部へ向かうに従って徐々に小さくする加工)を施したのと同等の効果を奏することができる。すなわち、転動時において回転軸C41方向の中央への求心力を高めることができて、その結果、前記回転軸C41方向に関する前記遊星ローラー41の転動位置を安定化させることができる、つまり、遊星ローラー41の転がり方向が、回転軸C41方向に振れるのを抑制可能となる。
ちなみに、一般に、遊星ローラー式回転伝達装置1の遊星ローラー41に対してクラウニング加工を施す場合には、回転軸C41方向の中央部と両端部との直径差が数ミクロンという高精度な加工が要求されるところ、環状凹部45の加工に関しては、そのような高精度な加工は必要なく、もって、上記の環状凹部45を設ける構成によれば、加工精度を緩和軽減できるというメリットが有る。
===第2実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1a===
図4は、第2実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1aの説明図である。
上述の第1実施形態では、太陽軸体21は、その遊星ローラー41の当接部分よりも前端側の部分に設けられた軸受け部材25,25によって遊星枠61に片持ち支持されていたが(図2Bを参照)、この第2実施形態では、太陽軸体21における遊星ローラー41の当接部分よりも後端側の部分にも軸受け部材26が追設されており、これにより両端支持されている点で主に相違する。なお、これ以外については概ね第1実施形態と同じであり、もって、同一構成については図中で同符号を付して示し、その説明については省略する。
この後端側の軸受け部材26は、例えばニードルベアリングであり、太陽軸体21の外周面に当接して転動する複数のニードル26aと、これらニードル26aに当接しつつニードル26aの前記軸芯C21方向の移動を規制するために、遊星枠61の収容穴69に設けられたアウターレース26bと、を備えている。そして、この後端側の軸受け部材26と前端側の軸受け部材25とによって、太陽軸体21は、圧接力の作用する遊星ローラー41の当接部分を跨る2つの位置にて両端支持されており、太陽軸体21の回転の更なる安定化が図れている。
なお、この構成によれば、太陽軸体21と遊星枠61とは、前記後端側の軸受け部材26を介して互いに支持し合う構造になっている。すなわち、遊星枠61の方も、当該後端側の軸受け部材26を介して太陽軸体21に支持されている。よって、上述の第1実施形態で説明した前端側の軸受け部材25に、当該後端側の軸受け部材26が追設されることによって、遊星枠61の方も、遊星ローラー41の軸受け部材31,31の位置よりも回転軸C41方向の外側において両端支持されていることになり、その結果、遊星枠61の回転の安定化が図られている。
また、この後端側の軸受け部材26の追設により、特に遊星枠61の後端部61dの回転が安定化されて回転むらが抑制される。よって、この構成によれば、遊星枠61の前端部61cだけでなく、当該後端部61dに対しても遊星枠61の回転数を検出するためのエンコーダ等のセンサー部材71を取り付け可能となり、もって、当該センサー部材71の取り付け位置の自由度を向上できる。
ところで、この第2実施形態では、太陽軸体21の後端部にサーボモーター91の出力回転軸93を直結しているが、この場合、サーボモーター91のハウジング11への取り付けの際に、その出力回転軸93が傾いて取り付けられると、前記出力回転軸93に倣わされて太陽軸体21も傾いてしまい、回転むらを誘発する虞がある。そのため、望ましくは、図4に示すように、例えばダイアフラム型のカップリング95によってサーボモーター91の出力回転軸93と太陽軸体21とを連結すると良く、そうすれば、当該カップリング95がサーボモーター91の出力回転軸93の傾きの影響を吸収して、太陽軸体21が傾くことが有効に防止される。
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
(a)前述の実施形態では、遊星ローラー41の軸受け部材31として、テーパーローラーベアリングを例示したが、アンギュラベアリングを用いても良い。このアンギュラベアリングは、転動体として球体を用いた玉軸受けの一種であるが、そのアウターレースの転動面とインナーレースの転動面とが、それぞれ、遊星ローラーの回転軸方向に対して勾配を付けて形成されたものである。よって、このアンギュラベアリングによっても、上述のテーパーローラーベアリングの場合と同じ作用効果を奏することができる。
(b)前述の実施形態では、太陽軸体21の軸受け部材25として、テーパーローラーベアリングを例示したが、アンギュラベアリングを用いても良く、このアンギュラベアリングによっても、上述のテーパーローラーベアリングの場合と同じ作用効果を奏することができる。
(c)前述の実施形態では、遊星ローラー41の本体及び太陽軸体21の本体として、それぞれ、中実な円柱体41a及び中実な円柱体を例示したが、円柱体であれば中実でなくても良く、例えば、軸受け部材31,25等へ潤滑オイルを供給する供給路として、細い貫通孔を遊星ローラー41の円柱体41a及び太陽軸体の本体たる円柱体に形成しても良い。
(d)前述の第1実施形態(図2A及び図2B)では、弾性リング体81をハウジング11に支持させるためのスリーブ部材83を、弾性リング体81とは別体で構成し、これら81,83をボルトによって一体に締結する構成を例示したが、何等これに限るものではなく、図5A及び図5Bに示すように弾性リング体81とスリーブ部材83とを一部材181(単一部材)で構成しても良い。
すなわち、図5A及び図5Bに示す弾性リング体181は、後方に位置して前記弾性リング体81の機能を奏する弾性リング体相当部181aと、前方に位置して弾性リング体相当部181aをハウジング11に固定すべく弾性リング体相当部181aと同芯に設けられた円筒状固定部181bと、これら弾性リング体相当部181aと円筒状固定部181bとの間に位置してこれらをつなぐ薄肉のスリーブ部181cと、を有している。そして、弾性リング体相当部181aが4本の遊星ローラー41の外側から嵌め込まれた状態において、円筒状固定部181bがハウジング11にボルト止めされている。
なお、この時、円筒状固定部181bの内周面の前端部分は、遊星枠61の軸受け部材13たるクロスローラー軸受けに係るハウジング11側のV字状溝13cの一部として機能する。すなわち、このV字状溝13cのうちの一方の転動面13dは、ハウジング11に形成されるが、もう一方の転動面13eは、円筒状固定部181bの内周面の前端部分に形成されている。そして、円筒状固定部181bがハウジング11にボルト止めされた状態において、これら転動面13d,13eは繋がってV字状溝13cになる。
そして、このような構成によれば、弾性リング体181における遊星ローラー41の転動面と遊星枠61の回転中心軸C61との芯ずれを有効に低減し、これにより、この芯ずれに起因して生じ得る遊星ローラー61と弾性リング体181との間の予圧変動を抑え、その結果、出力軸としての遊星枠61の回転むらを有効に抑制し得る。
詳しくは次の通りである。先ず、上記構成によれば、弾性リング体相当部181aと円筒状固定部181bとは不可分の一部材なので、弾性リング体相当部181aの内周面181dと、円筒状固定部181bのV字状溝13cの転動面13eとを、旋盤等により同時加工することができて、これにより、これらの同芯度を高度に高めることができる。そして、ここで、前者の内周面181dは、遊星ローラー41の転動面であり、他方、後者のV字状溝13cの転動面13eは、遊星枠61を自転可能に支持するクロスローラー軸受け13の一部である。よって、遊星ローラー41の転動面と遊星枠61の回転中心軸C61との芯ずれを有効に低減可能となる。また、上記構成によれば、第1実施形態(図2A及び図2B)で必要とした弾性リング体81とスリーブ部材83との組み付け自体が無くなるため、これらの組み付け誤差が解消され、その結果、上述の芯ずれは更に低減される。
従来の遊星ローラー式回転伝達装置101を一部側面視で示す断面図である。 図2A及び図2Bは、第1実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1の内部構造図であり、図2Aには、遊星ローラー41の中心位置における断面図を示しており、図2Bには、図2A中のB−C21−B断面図を示している。 図3A及び図3Bは第1実施形態の変形例の説明図であり、何れの図も遊星ローラー41と太陽軸体21との圧接状態を示している。 第2実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1aの説明図である。 図5A及び図5Bは、その他の実施形態に係る遊星ローラー式回転伝達装置1bの内部構造図であり、図5Aには、遊星ローラー41の中心位置における断面図を示しており、図5Bには、図5中のB−C21−B断面図を示している。
符号の説明
1 遊星ローラー式回転伝達装置、1a 遊星ローラー式回転伝達装置、
1b 遊星ローラー式回転伝達装置、11 ハウジング、
13 軸受け部材、13a 転動体、13b V字状溝、13c V字状溝、
13d 転動面、13e 転動面、21 太陽軸体、21a 段差部、21b 軸部、
25 軸受け部材、25a インナーレース(内側の軌道輪)、
25b アウターレース(外側の軌道輪)、25c テーパーローラー(転動体)、
26 軸受け部材、26a ニードル、26b アウターレース、
27 締め付け部材(第2押し込み部材)、31 軸受け部材、
31a インナーレース(内側の軌道輪)、31b アウターレース(外側の軌道輪)、31c テーパーローラー(転動体)、31d 環状凸部、
41 遊星ローラー、41a 円柱本体(円柱転動部)、41b 軸部、
45 環状凹部、45a 側壁面、45b 側壁面、45c 底壁面、
61 遊星枠、61a 前半部、61b 後半部、61c 前端部、
61d 後端部、63 収容穴、63a 底部(所定部位)、65 締結部材、
67 押し込み部材、69 収容穴、69a リブ(所定部位)、
71 センサー部材、81 弾性リング体、81a 後端面、
81b 凸部(フランジ部)、83 スリーブ部材、91 サーボモーター、
93 出力回転軸、95 カップリング、181 弾性リング体、
181a 弾性リング体相当部、181b 円筒状固定部(固定部)、
181c スリーブ部、181d 内周面、
C21 軸芯、C41 回転軸、C61 回転中心軸

Claims (5)

  1. 入力された回転を変速して出力する遊星ローラー式回転伝達装置であって、
    ハウジング内に収容されて軸芯周りに回転可能な太陽軸体と、
    前記太陽軸体の外周面に所定の圧接力で圧接されながら転動することにより、自転しながら前記太陽軸体の周りを公転する複数の遊星ローラーと、
    軸受け部材を介して前記遊星ローラーを回転軸周りに自転可能に保持しつつ、前記遊星ローラーの公転動作に基づいて自転可能に前記ハウジングに支持された遊星枠と、
    前記ハウジングに支持されつつ前記遊星ローラーを外側から覆って設けられ、前記遊星ローラーを前記太陽軸体へ押し付けることにより前記遊星ローラーに前記圧接力を付与しつつ前記遊星ローラーが内周面を転動する弾性リング体と、を備え、
    前記遊星ローラーは、前記太陽軸体の外周面及び前記弾性リング体の内周面を転動する円柱転動部と、前記円柱転動部の両端面から前記回転軸に沿う方向に一体に突出形成され、前記軸受け部材を介して前記円柱転動部を両端支持するための一対の軸部と、を有し、
    前記軸受け部材は、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングであり、
    前記軸受け部材は、前記遊星ローラーの前記軸部に嵌合される内側の軌道輪と、前記内側の軌道輪の外周面に対向して配置される外側の軌道輪と、これら軌道輪同士の間の環状空間を転動する複数の転動体と、を有し、
    前記転動体は、前記内側の軌道輪によってラジアル方向の内側への移動及び前記回転軸に沿う方向の一方向への移動を規制されるとともに、前記外側の軌道輪によってラジアル方向の外側への移動及び前記回転軸に沿う方向の前記一方向と逆向きの移動を規制され、
    前記一対の軸部にそれぞれ対応させて前記軸受け部材を取り付けた状態で、これら一対の前記軸受け部材を、前記遊星枠の所定部位とによって前記回転軸に沿う方向に挟み込んで前記外側の軌道輪を前記内側の軌道輪の方へ押し込むための押し込み部材が、前記遊星枠に螺着されており、
    前記弾性リング体は、スリーブ部材を介して前記ハウジングに相対移動不能に支持されており、
    前記弾性リング体は、外周面と、前記回転軸に沿う方向の端部において当該外周面よりもラジアル方向の外方に突出したフランジ部とを有し、
    前記スリーブ部材の内周面は、前記弾性リング部材の外周面に対して所定の隙間を隔てて位置しており、
    前記回転軸に沿う方向において、前記スリーブ部材の、前記ハウジングに支持されている側とは反対側の端面に、前記弾性リング部の前記フランジ部が支持されていることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
  2. 請求項1に記載の遊星ローラー式回転伝達装置であって、
    前記太陽軸体は、断面正円形状で外周面が前記遊星ローラーの圧接される範囲に亘って平らな円柱体であり、
    前記遊星ローラーの円柱転動部は、断面正円形状で外周面が前記回転軸に沿う方向に亘って平らな円柱体であり、
    前記遊星ローラーの円柱転動部の両端面には、それぞれ前記回転軸を中心とする環状凹部が形成されていることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
  3. 請求項2に記載の遊星ローラー式回転伝達装置であって、
    前記遊星ローラーの円柱転動部は、中実な円柱体であり、
    前記太陽軸体は、中実な円柱体であることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の遊星ローラー式回転伝達装置であって、
    前記太陽軸体は、前記遊星枠内に配置された軸受け部材によって前記遊星枠に前記軸芯周りに自転可能に支持されており、
    前記軸受け部材は、テーパーローラーベアリング又はアンギュラベアリングであり、
    前記軸受け部材は、前記太陽軸体に嵌合される内側の軌道輪と、前記内側の軌道輪の外周面に対向して配置される外側の軌道輪と、これら軌道輪同士の間の環状空間を転動する複数の転動体と、を有し、
    前記転動体は、前記内側の軌道輪によってラジアル方向の内側への移動及び前記軸芯に沿う方向の一方向への移動を規制されるとともに、前記外側の軌道輪によってラジアル方向の外側への移動及び前記軸芯に沿う方向の前記一方向とは逆向きの移動を規制され、
    前記遊星枠の所定部位とによって前記軸受け部材を前記軸芯に沿う方向に挟み込んで前記内側の軌道輪を前記外側の軌道輪の方へ押し込むための第2押し込み部材が、前記太陽軸体に螺着されていることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の遊星ローラー式回転伝達装置であって、
    前記太陽軸体が回転の入力軸であり、
    前記遊星枠が、変速された回転の出力軸であることを特徴とする遊星ローラー式回転伝達装置。
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