JP4585154B2 - 遊星歯車構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内歯を有する内歯歯車に外歯を有する遊星歯車が内接する遊星歯車構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内歯を有する内歯歯車の内周側に外歯を有する遊星歯車が内接する遊星歯車構造が例えば減速機の減速構造として広く知られている。
【0003】
この種の減速機の従来例を図4に示す。
【0004】
この減速機Gは、例えば産業用のロボットの駆動用として用いられているもので、その遊星歯車10が、偏心揺動しながら内歯歯車12と内接噛合する、いわゆる偏心揺動タイプの遊星歯車構造(国際分類F16H 1/32に属する遊星歯車構造)に属するものである。
【0005】
減速機Gの入力軸16には位相差120°の3つの偏心体18A〜18Cが一体に形成されている。それぞれの偏心体18A〜18Cには軸受20A〜20Cを介して前述の(3枚の)遊星歯車10(10A〜10C)が取り付けられている。
【0006】
遊星歯車10A〜10Cの外周にはトロコイド歯形や円弧歯形等の外歯が形成されている。3枚の遊星歯車10A〜10Cは、軸方向に長い前述の(1個の)内歯歯車12にそれぞれ内接噛合している。
【0007】
内歯歯車12は、ケーシングを兼ねた内歯歯車本体12Aの内周側に1つ1つが内歯を構成する複数のローラピン12Bが回転自在に組み込まれた構成とされている。
【0008】
前記遊星歯車10A〜10Cにはそれぞれ円周方向適宜の間隔で軸方向に複数の内ローラ孔22A〜22Cが形成され、内ローラ24及び内ピン26が挿入されている。内ピン26は、その軸方向の一端側においてキャリヤ28と連結され、キャリヤ28はクロスローラ30を介して第1、第2ケーシング32、34に回転自在に支持されている。第1、第2ケーシング32、34は、第3ケーシン36と共に前述の(ケーシングを兼ねた)内歯歯車12の内歯歯車本体12Aを挟持しており、各部材を貫通するボルト38、40よって一体化されている。
【0009】
なお、図の符号42は、第1、第2ケーシング32、34を図示せぬ相手機械あるいは固定部材に取り付けるためのボルト孔である。また、前記入力軸16は一対の軸受44、46を介してキャリヤ28及び第3ケーシング36に回転自在に支持されている。
【0010】
この減速機Gは、内歯歯車12(第1〜第3ケーシング32〜36)を固定したときの遊星歯車10A〜10Cの自転成分相当の回転をキャリヤ28から取り出す減速機として用いることもでき、又、遊星歯車10A〜10Cの自転(キャリヤ28の回転)を規制したときの内歯歯車12の回転を出力として取り出す減速機としても用いることができる。なお、各遊星歯車10の揺動成分は、各々の遊星歯車10A〜10Cの内ローラ孔22A〜22Cと内ローラ24との遊嵌によって吸収される。
【0011】
一方、図5に示されるように、同様な構成で、遊星歯車110A、110Bの両サイドに2つのキャリヤ128A、128Bを備え、2枚の遊星歯車110A、110Bをいわゆる両持ち支持するようにした構成も知られている。
【0012】
この減速機G2の場合、内歯歯車112は、ケーシングを兼ねた1個の内歯歯車本体112Aの内周側に1つ1つが内歯を構成する複数のローラピン112Bが回転自在に組み込まれる構成とされている。又、入力軸116は、一対の軸受144、146を介して第1、第2キャリヤ128A、128Bに支持され、この第1、第2キャリヤ128A、128Bは、アンギュラころ軸受130A、130Bを介して(ケーシングを兼ねた)内歯歯車本体112Aに支持されている。
【0013】
なお、符号150は第1、第2キャリヤ128A、128Bを連結するキャリヤピンである。
【0014】
その他の構成は、前述した従来例と基本的に同様であるため、図中で対応する部分に下2桁が同一の符号を付すに止め、重複説明は省略する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
近年、製造しようとする製品の高性能化に伴って、これらの製品を製造するための産業用ロボット等の駆動性能もますます高精度化が要求されるようになってきている。産業用ロボットの駆動性能は、搭載されている減速機の基本的な回転性能やバックラッシ特性に大きく依存する。
【0016】
遊星歯車減速機の場合、一般に遊星歯車は複数存在し、各遊星歯車は内歯歯車の内周で公転と自転が複雑に絡み合った動きをする。そのため、各歯車の加工誤差あるいは組付け誤差は、回転の円滑性に大きな影響を及ぼし、脈動や騒音増大の原因となる。
【0017】
又、回転方向が反転するときに位置精度の悪化を招くバックラッシをできるだけ低減するには、設計上の歯と歯の隙間をできるだけ零に近づける必要があるが、その場合に加工誤差や組み付け誤差が最大限発生してもなお、円滑な回転ができるようにしなければならず、この意味でも、これらの誤差は極力低減しなければならない。
【0018】
特に、減速機の構造が上述したような「偏心揺動しながら内歯歯車と内接噛合する偏心揺動タイプ」の遊星歯車構造の場合、加工誤差や組み付け誤差に関する要求が厳しい。
【0019】
しかしながら、加工精度や組付け精度を向上させるのは、極めて大きなコスト増を伴うと共に、これらの向上によって各歯車の隙間が零に近づくように(バックラッシを極力低減するように)設計をすると、組立けの困難性も伴うようになるため、新たな生産性低下の要因となる。
【0020】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、構造的な工夫を施すことにより、従来と同等レベルの加工誤差や組み付け誤差のままでも回転性能の向上やバックラッシの低減を図ることできる遊星歯車構造を提供することをその課題としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内歯を有する内歯歯車に外歯を有する遊星歯車が内接する遊星歯車構造において、前記内歯歯車が、前記遊星歯車の軸方向一方側の領域において軸受によって支持されると共に該内歯歯車の伝達トルクを保持可能なフランジ部と、該フランジ部からその軸方向に片持ち状態で円筒状に延在されると共に自身の内周に前記内歯を有する可撓性の内歯保持部と、を備え、前記フランジ部が、前記内歯保持部よりも前記軸受側に配置されると共に、前記内歯保持部が、前記フランジ部の径方向内周側から軸方向に延在され、且つ該内歯保持部の径方向肉厚が前記フランジ部の径方向肉厚よりも小さく形成されると共に、該内歯保持部の反フランジ側端部にオイルシールが配置されたことにより、上記課題を解決したものである。
【0022】
一般に、この種の遊星歯車構造の内歯歯車は、その機能上、減速後の増幅された伝達トルク、あるいはその反力を受け持つ必要があり、相応の強度あるいは剛性が必要とされる。従って、従来は多くの場合、前述した例のように内歯歯車はその本体がケーシング兼用とされ、高い強度及び剛性を有していた。
【0023】
このように高い強度、あるいは剛性のある素材で形成された内歯歯車は、当然に撓み量も少ない。撓みが少ないと言うのは加工精度や組付け精度を向上させることによって回転性能向上或いはバックラッシ低減を図るという従来の手法を採用するときには良い結果をもたらすものの、前述したように、この手法は同時にコストの増大及び組付けの困難性増大をもたらす。
【0024】
本発明によれば、減速機の性能向上を従来の手法、即ち加工誤差、あるいは組付け誤差自体を低減するのではなく、内歯歯車自体を撓ませることによって現に存在するこれらの誤差を良好に吸収する。
【0025】
しかしながら、その一方で、「撓み」を得るために只単に内歯歯車を剛性の低い素材で形成したり、あるいはその半径方向の厚さを薄くしたりしたのでは、当該減速機の「伝達トルク容量」自体が低下してしまい、製品の価値もその分低下してしまう。
【0026】
そこで、本発明では、内歯歯車を、内歯歯車の伝達トルクを保持可能な(強固な)フランジ部と、このフランジ部からその軸方向に片持ち状態で円筒状に延在され、自身の内周に内歯を有する可撓性の内歯保持部とで構成するようにし、この不具合を解消した。
【0027】
本発明によれば、従来と同様な加工誤差或いは組み付け誤差を許容しながら、回転性能をより向上させることができる。又、バックラッシをより低減しながら従来以上の組付け容易性を確保することもできる。更に、バックラッシを低減できることから、産業用ロボットのような正逆回転を繰り返すような用途に使用する場合であってもその位置決め精度を高く維持することができ、逆転時のガタ打ち音もより低減できる。
【0028】
なお、本発明では、構成の容易性、及び良好な撓み特性確保のために内歯保持部をフランジ部から片持ち状態で延在させるようにしているが、該内歯保持部の軸方向の一部分(例えば反フランジ側の端部)に、当該一部分近傍の剛性を高めるための肉厚部を形成するようにすると一層良い。これにより例えば遊星歯車が複数並列に設けられているような場合に、各遊星歯車が存在する部分(噛合する部分)の内歯保持部の撓み量を均一化でき、各遊星歯車が均等に伝達トルクを受け持つことができるようになる。
【0029】
又、前記内歯保持部が、内歯保持部本体と、該内歯保持部本体よりも硬質の素材で形成され、該内歯保持部の内周側に回転自在に組み込まれると共に、その1つ1つが前記内歯を構成する複数のローラピンとで構成されるようにした場合には、十分な撓み量(特に半径方向の撓み量)を得ながら、軸方向に長く且つ硬いローラピンが1つ1つの内歯を構成することになるため、1つ1つの歯形自体が歪むのを防止できるようになると共に、撓みの円周方向の影響を極力低減することができるようになる。
【0030】
更に、前記遊星歯車構造が、その遊星歯車が、偏心揺動しながら前記内歯歯車と内接噛合する揺動タイプの遊星歯車であって、前記内歯歯車を固定したときの前記遊星歯車の自転成分相当の回転又は前記遊星歯車の自転を規制したときの前記内歯歯車の回転のいずれかを出力とする揺動内接噛合タイプの遊星歯車構造であり、且つ、当該遊星歯車構造によって得られる変速比をi、前記遊星歯車の偏心量をe、前記内歯歯車の内歯のピッチ円半径をRとしたときに、(i+1)・e/R≧0.7が成立するように(より好ましくは0.8以上が成立するように)各パラメータを設定するようにした場合には、後述するように、撓みが存在することによる悪影響を最小限に抑えることができるようになる。
【0031】
なお、内歯保持部の撓み量は、該内歯保持部の前記遊星歯車の噛合部分における定格出力時での撓み量換算で、前記遊星歯車の加工公差の0.5倍〜3.0倍に設定するとよい。
【0032】
これにより、加工誤差を良好に吸収しながら、(内歯保持部が必要以上に撓まないことから)一層の回転の安定性を確保できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態の例を詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明が適用された減速機の全体構造を示す図4、あるいは図5に相当する縦断面図である。
【0035】
減速機214の入力軸216には位相差180°の2つの偏心体218A、218Bが一体に形成されている。それぞれの偏心体218A、218Bには、軸受220A、220Bを介して2枚の遊星歯車210(210A、210B)が取り付けられている。遊星歯車210A、210Bを2枚として複列にしているのは、主に伝達容量の増大、強度の維持、及び回転バランスの保持を図るためである。
【0036】
遊星歯車210A、210Bの外周には、トロコイド歯形(円弧歯形でも可)の外歯が形成されている。この遊星歯車210A、210Bは、本発明に係る内歯歯車270にそれぞれ内接噛合している。
【0037】
内歯歯車270は、遊星歯車210A、210Bの軸方向一方側(図の例では左側)の領域Sにおいて、クロスローラ(軸受)230によって支持されると共に該内歯歯車270の伝達トルクを保持可能なフランジ部272と、該フランジ部272からその軸方向に片持ち状態で円筒状に延在され、自身の内周に内歯を構成するローラピン274を有する可撓性の内歯保持部276と、を備える。
【0038】
フランジ部272は、第1、第2ケーシング232、234と図示せぬボルト(図の例ではボルト孔239のみが示されている)を介して一体化されており、図2に拡大して示すように、軸方向長さL1及び半径方向長さR1(一部はR2)を備える。このため、内歯歯車270に係る伝達トルク、あるいはその反力トルクを十分に保持可能である。
【0039】
フランジ部272の半径方向内周側は、その軸方向中心C2がフランジ部272のボルト孔239付近の軸方向中心C1に対して若干シフトされており、且つ軸方向の長さL2が短く設定されることにより、(L2<L1)、先ずこの部分で内歯保持部276が比較的容易に撓むことができるように配慮されている。
【0040】
内歯保持部276は、内歯保持部本体278と、該内歯保持部本体278よりも硬質の素材で形成され、該内歯保持部本体278の内周側に回転自在に組み込まれると共に、その1つ1つが内歯を構成する前記複数のローラピン274とで構成されている。
【0041】
内歯保持部本体278の軸方向の大部分の肉厚はD1に抑えられ、可撓性を有している。
【0042】
内歯保持部276(具体的にはその本体278)の軸方向の一部分、即ち軸方向の反フランジ側の端部には、当該反フランジ側の端部近傍の剛性を高めるための肉厚部280が形成されている。これは、外歯歯車210A、210Bに対する内歯保持部276の撓みがほぼ均等となるようにするためのものであり、同時に、内歯保持部276の反フランジ側端部を補強することにより、当該反フランジ側の端部とキャリヤ228Bとの間に配置されたオイルシール260のシール性能を確保するためのものである。
【0043】
具体的にはこの反フランジ側端部の軸方向長さL3及び半径方向の厚さD2、あるいはD3は、2枚の遊星歯車210A、210Bが当接しているそれぞれの噛合部分において定格出力時での撓み量が遊星歯車210A,210Bの加工公差の2倍とほぼ同等の値となるように、FEM解析等により、適宜の値に設定される。
【0044】
又、この減速機214は、内歯歯車270を固定したときの遊星歯車210の自転成分相当の回転を出力として取り出してもよいし、又、遊星歯車210の自転を規制したときの内歯歯車270の回転を出力として取り出してもよい。例えば、遊星歯車210の歯数をN、内歯歯車270の歯数をN+αとしたとき、前者の駆動体系では減速比(変速比)i=α/Nが得られ、後者の場合、α/(N+α)が得られる。なお、それぞれの入出力関係を逆にすると増速機を構成することもできる。
【0045】
この実施形態では、減速比をi、遊星歯車210の偏心量をe、内歯歯車270の内歯(ローラピン)274のピッチ円半径をRとしたときに、(i+1)・e/R=0.9が成立するようにしてある。
【0046】
なお、図の符号262はキャリヤ228Bと入力軸216との間をシールすることにより、前述のオイルシール260と相まって減速機214の軸方向一方側のシールを担うものであり、オイルシール264は、第1ケーシング232とキャリヤ228Aとの間をシールすることにより、減速機214の他端側のシールを担うものである。
【0047】
その他の構成については、先の図4、あるいは図5に示した従来例と基本的に同様であるため、図中で同一又は類似する部分に下2桁が同一の符号を付すに止め、重複説明を省略する。
【0048】
次にこの実施形態の作用を説明する。
【0049】
入力軸216の回転がキャリヤ228A、228B、あるいは内歯歯車270と一体化されている第1、第2ケーシング232、234のいずれかからの減速出力として取り出すことができる基本減速作用については、特に従来と異なるところはない。
【0050】
ここで、内歯歯車270がフランジ部272と可撓性の内歯保持部276とで構成されるようにしたため、遊星歯車210の外歯と内歯歯車270の内歯(ローラピン)274との噛合いに設計上ほとんど隙間を持たせなくても、内歯歯車270の撓み変形により良好な組付性を確保することができる。又、設定トルク伝達時の噛合いにおける変形量がFEM解析によって加工公差と同等に設定されているため、たとえ製造過程において所定の加工誤差が発生したとしても、これを内歯保持部276の撓み(変形)によって良好に吸収することができる。
従って、従来と同様の加工誤差や組付け誤差のレベルでありながら、バックラッシが少ないことから逆転時の回転角度誤差やガタ打ち音が小さく、且つ組付けが容易で、円滑な回転ができる減速機を得ることができる。
【0051】
又、内歯保持部276の反フランジ側端部には、該反フランジ側端部の剛性を高めるための肉厚部280が、2枚の外歯歯車210A、210Bとの噛合部分における内歯保持部276の撓み量(変形量)が等しくなるように、即ち各外歯歯車210A、210Bによって受け持つ伝達トルクがほぼ等しくなるように形成されているため、フランジ側の遊星歯車210Aのみが過大なトルクを受け持つことがなく、又、反フランジ側の遊星歯車210Bの変形例が異常に大きくなっていわゆるラチェッティング(歯と歯が噛み合わずに滑ってしまう現象)が発生するのも防止できる。
【0052】
更には、減速比(変速比)をi、遊星歯車210の偏心量をe、内歯歯車270の内歯(ローラピン)274のピッチ円半径をRとしたときに、(i+1)・e/Rが0.9(0.7以上)となるように各パラメータが設定されているため、図3(B)に示されるように、遊星歯車210の外歯とローラピン274との噛合いの接触角α2として(図(A)に示すこの値が0.7より小さいときのα1よりも)大きな値を確保することができる(α1<α2)。なお、図中におけるT1、T2は、それぞれ噛合部分の遊星歯車10の歯形の接線を示している。
【0053】
図3からも明らかなように、接触角α2が大きいと、例えば半径方向の撓み量ΔBが同一の場合であっても、これが円周方向のずれΔC2として大きく顕在化しないようにすることができる(ΔC1>ΔC2)。このことは、加工精度の影響(主に偏心誤差、あるいは歯溝のふれ等半径方向の誤差として現われる)の影響を内歯保持部276の半径方向の撓みによって良好に吸収すると共に、同一の加工精度(撓み量)の場合であっても、その円周方向の影響(脈動、回転むら、あるいは回転角の誤差として現れる)をより小さくすることができることを意味する。
【0054】
又、接触角α2が大きいということは、いわゆる「歯が立っている」ということであり、それだけ過負荷時のラチェッティングの発生を防止できる。
【0055】
更にこの実施形態では、前記内歯保持部276が、内歯保持部本体278と、該内歯保持部本体278よりも硬質の素材で形成され、該内歯保持部276の内周側に回転自在に組み込まれると共に、その1つ1つが前記内歯を構成する複数のローラピン274とで構成されるようにしたため、十分な撓み量(特に半径方向の撓み量)を得ながら、軸方向に長く且つ硬いローラピン274が1つ1つの内歯を構成することになるため、1つ1つの歯形自体が歪むのを防止できるようになると共に、撓みの円周方向の影響を極力低減することができる。
【0056】
なお、肉厚部280は、この実施形態では内歯保持部276の軸方向の反フランジ側端部に1箇所のみ形成されていたが、本発明における肉厚部の形成手法はこれに限定されるものではなく、例えば遊星歯車の枚数が3枚以上であったような場合には、各遊星歯車の受け持つ伝達トルクを均等にするために、軸方向に複数箇所形成するようにしてもよい。また、形成の形状も、要は、各遊星歯車に対する内歯歯車の撓み量が同等で、且つその値が加工誤差を吸収できるような範囲の値になっていればよく、特に限定されない。なお、この範囲は、好ましくは遊星歯車の加工公差の0.5倍から3.0倍であり、さらに好ましくは、1.5倍から2.5倍の範囲である。
【0057】
又、上記実施形態においては、内歯がローラピンタイプの例が示されていたが、本発明の適用対象は、このタイプの構造に限定されるものではなく、内歯歯車本体に内歯が直接形成されているタイプにおいても、当然に適応可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、加工誤差や組付け誤差の影響を内歯歯車の撓みによって吸収することができ、従来と同等の加工精度あるいは組付け精度でありながら、バックラッシをより小さくでき、且つ組付けの容易性及び回転の円滑性を確保することができる。この結果、逆転時にガタ打ち音が発生したり、噛合不良によって騒音が増大したり回転むらが発生したりするのを効果的に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された産業ロボット用の減速機の縦断面図
【図2】図1の内歯歯車付近の要部拡大断面図
【図3】噛合いの接触角が小さい場合と大きい場合との作用を比較して示した線図
【図4】従来のこの種の減速機の一例を示す縦断面図
【図5】従来の他の例を示す縦断面図
【符号の説明】
40…ボルト
214…減速機
218A、218B…偏心体
210(210A、210B)…遊星歯車
230…クロスローラ(軸受)
270…内歯歯車
272フランジ部
274…ローラピン…
276…内歯保持部
278…内歯保持部本体
280…肉厚部

Claims (6)

  1. 内歯を有する内歯歯車に外歯を有する遊星歯車が内接する遊星歯車構造において、
    前記内歯歯車が、
    前記遊星歯車の軸方向一方側の領域において軸受によって支持されると共に該内歯歯車の伝達トルクを保持可能なフランジ部と、該フランジ部からその軸方向に片持ち状態で円筒状に延在されると共に自身の内周に前記内歯を有する可撓性の内歯保持部と、
    を備え
    前記フランジ部が、前記内歯保持部よりも前記軸受側に配置されると共に、
    前記内歯保持部が、前記フランジ部の径方向内周側から軸方向に延在され、且つ
    該内歯保持部の径方向肉厚が前記フランジ部の径方向肉厚よりも小さく形成されると共に、
    該内歯保持部の反フランジ側端部にオイルシールが配置され
    ことを特徴とする遊星歯車構造。
  2. 請求項1において、
    前記内歯保持部の軸方向の一部分に、当該一部分近傍の剛性を高めるための肉厚部が形成された
    ことを特徴とする遊星歯車構造。
  3. 請求項2において、
    前記内歯保持部の軸方向の反フランジ側の端部に、当該反フランジ側の端部近傍の剛性を高めるための肉厚部が形成され、且つ該肉厚部に前記オイルシールが配置されている
    ことを特徴とする遊星歯車構造。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記内歯保持部が、
    内歯保持部本体と、
    該内歯保持部本体よりも硬質の素材で形成され、該内歯保持部の内周側に回転自在に組み込まれると共に、その1つ1つが前記内歯を構成する複数のローラピンと、
    で構成されていることを特徴とする遊星歯車構造。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記遊星歯車構造が、その遊星歯車が、偏心揺動しながら前記内歯歯車と内接噛合する揺動タイプの遊星歯車であって、前記内歯歯車を固定したときの前記遊星歯車の自転成分相当の回転又は前記遊星歯車の自転を規制したときの前記内歯歯車の回転のいずれかを出力とする揺動内接噛合タイプの遊星歯車構造であり、且つ、
    当該遊星歯車構造によって得られる変速比をi、前記遊星歯車の偏心量をe、前記内歯歯車の内歯のピッチ円半径をRとしたときに、
    (i+1)・e/R≧0.7
    が成立するように各パラメータを設定した
    ことを特徴とする遊星歯車構造。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記内歯保持部の前記遊星歯車の噛合部分における定格出力時での撓み量が、前記遊星歯車の加工公差の0.5倍〜3.0倍に設定されている
    ことを特徴とする遊星歯車構造。
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