JP4638059B2 - パラレル駆動の変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術】
本発明は、ギヤドライブ系の変速機構及びトラクションドライブ系の変速機構を有機的に結合した新規なパラレル駆動の変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽ギヤと、キャリヤと一体化されたキャリヤピンによって支持され、該太陽ギヤと外接する遊星ギヤと、該遊星ギヤが内接するリングギヤとを備えた単純遊星歯車機構が広く知られている。該単純遊星歯車機構は、いわゆる歯車の噛合によって動力を伝達するギアドライブ系の変速機構に属する。
【0003】
単純遊星歯車機構は、コンパクトで比較的大きな変速比(減速比及び増速比の双方の概念を含む)が得られること、及び各要素の固定、入力、出力を変更することで減速、増速の選択を含め、変速比を比較的容易に変更でき、且つコンパクトであること等から様々な変速機(減速機及び増速機の双方の概念を含む)の用途に利用されている。
【0004】
一方、全く同様の構成を、太陽ローラと、キャリヤと一体化されたキャリヤピンによって支持され、該太陽ローラと外接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラとにより実現した単純遊星ローラ機構も広く知られている。この単純遊星ローラ機構は、いわゆるトラクション伝達によって動力を伝達するトラクションドライブ系の変速機構に属する。
【0005】
一般に、ギヤドライブ系の変速機構を用いた変速機の場合、変速比、即ち入力軸の回転速度(回転角度)に対する出力軸の回転速度(回転角度)は、バックラッシの範囲内で常に一定である。
【0006】
これに対し、トラクションドライブ系の変速機構を用いた変速機の場合は、動力の伝達に滑りを伴なうため、変速比は基本的に一定ではない。それは、負荷の増減、あるいは温度の変化(に伴なうトラクションオイルの粘度の変化)等により、その滑りの度合いが変化することから、これによって結果としてその変速比も変化してしまうためである。
【0007】
そのため、例えばトラクションドライブ系の単純遊星ローラ機構を用いた変速機とサーボモータと組合せて相手機械を制御するというような構成を採用した場合、正転、停止、逆転の繰り返しにより本来の停止位置が少しずつずれていくというような不具合が発生するのが避けられない。
【0008】
この問題を解消するために、特開平4−39450号公報や、特開平4−290652号公報等においては、モータ軸と単純遊星ローラ機構付の減速機の出力軸の「2箇所」にエンコーダを設け、それぞれの出力値に基づいて補正を繰り返しながらモータを制御する方法を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法は、2つのエンコーダを必要とし、構造(ハード面)及び制御(ソフト面)の双方において装置が複雑化し、製造コストが上昇してしまうのが避けられない。
【0010】
ギヤドライブ系の変速機構付の減速機とサーボモータとを組み合わせた場合には、このような問題は発生しないが、歯車の歯同士の噛合によって動力を伝達する構成上、どうしても振動、騒音が大きくなり、又、1歯1歯が順次噛み合っては離れていくことが繰り返されるため、トルクの伝達に微小な脈動が発生する。
【0011】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであって、ギヤドライブ系の変速機構とトラクションドライブ系の変速機構のそれぞれの利点を積極的に活かすと共に、それぞれの不具合の発生を極力抑え、例えば、低騒音、且つ低振動の特性を得ながら、構造が簡易で低コスト化できる駆動装置を実現したり、或いは新規な相乗効果を得ることのできる変速機を実現したりすることのできる新規なパラレル駆動の変速機を提供することをその課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、単一の第1軸と、単一の第2軸とを備え、該第1軸と第2軸との間に、歯車の噛合によって動力を伝達するギヤドライブ系の変速機構と、トラクション伝達によって動力を伝達するトラクションドライブ系の変速機構とが並列に組み込まれ、該ギヤドライブ系の変速機構の減速比と、該トラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の減速比とが異なる値に設定される条件の下、該トラクションドライブ系の変速機構を単独の状態で所定の滑りを発生させて該ギヤドライブ系の変速機構の変速比で運転したときに発生し得るトルクを基準トルクとしたときに、該基準トルクが、当該パラレル駆動の変速機を介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクにほぼ一致するように、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比及び前記トラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の変速比が設定されている、若しくは該基準トルクが、当該パラレル駆動の変速機を介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクの変動範囲の最小値より小さな値となるように、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比及びトラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の変速比が設定されていることを特徴とする新規のパラレル駆動の変速機を発案することによって上記課題に応えた。
【0013】
前述したように、ギアドライブ系の変速機構は、歯車の噛合によって動力を伝達するものであるため、変速比は(バックラッシの範囲内で)一定である。従って、例えばギアドライブ系の変速機構同士でパラレル駆動の変速機を構成した場合、それぞれの変速比が僅かでも異なるといわゆる動力循環が発生してしまい、減速機或いは増速機として機能し得ない。
【0014】
一方、トラクション伝達によって動力を伝達するトラクションドライブ系の変速機構は、各ローラ間に「滑り」が不可避的に存在するため、変速比が当該滑りの程度に依存して変化する。前述したように、この滑りは、負荷等が変化すると、それに伴って変化する。
【0015】
そのため、あるギヤドライブ系の変速機構の変速比と別のトラクションドライブ系の変速機構の変速比とを常に同一の状態に維持するというのは、基本的には不可能であり、従って、これを共通の第1軸、第2軸にパラレルに連結するというのは通常は考えられない構造である。
【0016】
しかしながら、発明者らは、両者をパラレルに結合した変速機は、実に様々な用途において様々なメリットを有した変速機となり得るという知見を得た。
【0017】
この知見に基づき、本発明では、単一の第1軸と、単一の第2軸との間に、ギアドライブ系の変速機構と、トラクションドライブ系の変速機構とを、敢えて並列に組み込むようにしている。
【0018】
なお、ここでいう「単一の第1軸」、或いは「単一の第2軸」という語における「単一の」という意味は、回転要素として「一体」とみなされるということであり、必ずしも単品(1つの部材)で形成されていることを意味しない。
【0019】
又、「第1軸」、「第2軸」という語は、必ずしも円筒状の形状をしていることを要求するものではなく、「入力軸」、「出力軸」に対応している概念である。ある時点で第1軸の側から動力が2つの変速機構に入力されていれば、その時点では第1軸が入力軸となる。
【0020】
又、「トラクション伝達」とは、ローラとローラの接触のような、線(或いは面)の接触部における摩擦力、あるいはオイル剪断応力によって動力を伝達するもので、この伝達方式を利用した変速機自体は公知であり、本発明においても、この公知の変速機(或いはこれから開発されるこのタイプの変速機)をそのまま利用することができる。即ち、その具体的種類は問わない。
【0021】
なお、本発明は、ある単体の変速装置の一部を構成する変速部に対しても、この部分を変速機として捉えることにより適応可能である。
【0022】
具体的な変速比の設計態様としては、この構造にあって、例えば、当該パラレル駆動の変速機を減速機として使用する際に、前記トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比を、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも小さな値に設定する(請求項3の一例)。
【0023】
又、当該パラレル駆動の変速機を増速機として使用する際には、前記トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比を、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも大きな値に設定するという使い方ができる(請求項4の活用の一例)。
【0024】
或いはこれとは逆に、当該パラレル駆動の変速機を増速機として使用する際に、前記トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比を、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも小さな値に設定してもよいし(請求項3の他の一例)、又、当該パラレル駆動の変速機を減速機として使用する際に、前記トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比を、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも大きな値に設定してもよい(請求項4の他の一例)。
【0025】
いずれも、それぞれ特有の作用あるいはメリットがあり、所定の用途での適用が期待できる。
【0026】
但し、後述するように、トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比を、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比と同一に設定すると、トラクションドライブ系の変速機構は基本的に動力を伝達し得なくなるため、この設定は避けるべきである。
【0027】
代表的な変速比の設定の作用例として、例えばパラレル駆動の変速機を減速機として使用する際に、トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比を、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも小さな値に設定した場合には、ギヤドライブ系の変速機構の弱点である振動、騒音、あるいは脈動の発生を極力抑えると共に、トラクションドライブ系の変速機構の弱点である変速比が一定していないことに起因して、正転、停止、逆転等が繰り返されることにより、停止位置が少しずつずれていくというような不具合が発生するのを防止できるようになる。
【0028】
そのため、例えば汎用サーボモータと組合せ、当該パラレル駆動の変速機を介してオープンループで相手機械を精密にコントロールするというような制御を、簡易に、且つローコストで実現することができるようになる。これは、モータと当該パラレル駆動の変速機とを組み合わせたものを「1つの駆動ユニット」としてとらえた場合に、低振動、低騒音、あるいは低脈動で、且つ位置決め精度の高い中速駆動ユニットが簡易に且つローコストで得られるようになることを意味し、産業界の多くの需要に応え得る構成となると考えられる。
【0034】
本発明の具体的な構成例は種々考えられるが、例えば、前記第1軸と第2軸が平行に配置され、該第1軸と第2軸との間を2以上の歯車からなる前記ギアドライブ系の変速機構で連結すると共に、同じ第1軸と第2軸との間を2以上のローラからなる前記トラクションドライブ系の変速機構で連結したような構成が考えられる。
【0035】
一方、太陽ギヤと、該太陽ギヤと外接する遊星ギヤと、該遊星ギヤが内接するリングギヤとを有する前記ギヤドライブ系の変速機構としての単純遊星歯車機構と、太陽ローラと、該太陽ローラと外接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラとを有する前記トラクションドライブ系の変速機構としての単純遊星ローラ機構とを備え、前記太陽ギヤと太陽ローラが、それぞれ単一の中心軸に動力伝達可能に組み込まれ、前記遊星ギヤと遊星ローラが、それぞれ共通のキャリヤピンと一体化されたキャリヤによって回転自在に支持され、前記リングギヤとリングローラが、それぞれ回転方向に一体化され、且つ、前記中心軸、キャリヤ、及び一体化されたリングギヤ及びリングローラの3要素のうちのいずれか2者が、それぞれ前記第1軸、第2軸とされ、残りの1者が固定された構成としても良い(請求項5)。
【0036】
この場合、前記ギヤドライブ系の変速機構及びトラクションドライブ系の変速機構の各要素の支持部又は連結部のうち、少なくとも一箇所が、微少な相対回転を許容し得る結合態様で支持又は連結されているようにすると、両機構の微小な相対回転(ずれ)を吸収し易く、組み付けも容易になるという利点が得られる。
微小な相対回転を許容し得る結合態様は、例えばスプライン結合、或いはニードルベアリングを介した結合等によって実現することができる。
【0037】
逆に、前記ギヤドライブ系の変速機構及びトラクションドライブ系の変速機構の各要素の支持部又は連結部が、そのバックラッシが可能な限り低減された状態で組み付けられるようにするのも、用途によっては有効である。これにより、上述した基本的な作用を得ながら、正転及び逆転の何れの方向に対してもバックラッシがなく、また、停止位置のずれの累積も発生しないという変速機が得られるようになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0039】
図1に示す駆動装置Rは、モータMと、(本発明に係るパラレル駆動の変速機を減速機として利用した)2連減速機TRとを一体に組み合わせたものである。
【0040】
なお、図2、図3は、それぞれ図1の矢視II−II線、III−III線に沿う断面図である。
【0041】
モータMは汎用のものが使用され、2連減速機TRのケーシング10の一部を構成する継カバー12にボルト20を介して連結されている。モータ軸22は継カバー12の円筒状の突出部12Aに配置されたベアリング24によって回転自在に支持され、その先端部が2連減速機TR内に臨まされている。該先端部にはスプライン22Aが形成されており、カップリング26を介して同じくスプライン30Aが形成された2連減速機TRの入力軸(第1軸:中心軸)30と連結されている。
【0042】
2連減速機TRは、前記継カバー12、ローラケーシング14、歯車ケーシング16、及び出力カバー18の計4つのブロックからなるケーシング10を備える。該ケーシング10内にはトラクション伝達によって動力の伝達を行う単純遊星ローラ機構(トラクションドライブ系の変速機構)PR及び歯車の噛合によって動力の伝達を行う単純遊星歯車機構(ギアドライブ系の変速機構)PGがそれぞれ同軸に配置されている。
【0043】
単純遊星ローラ機構PRは、太陽ローラ60と、該太陽ローラ60と外接する遊星ローラ62と、該遊星ローラ62が内接するリングローラ64とを備える。
【0044】
前記太陽ローラ60は、この2連減速機TRの入力軸30とスプライン30Bを介して連結されている。前記遊星ローラ62は、この実施形態では120°の位相で3個配置され、それぞれニードルベアリング66を介して(若干のバックラッシが発生し得る状態で)キャリヤピン32によって回転自在に支持されている。前記リングローラ64は、前記ローラケーシング14の内周側に直接形成されている。
【0045】
一方、前記単純遊星歯車機構PGは、太陽ギヤ70と、該太陽ギヤ70と外接する遊星ギヤ72と、該遊星ギヤ72が内接するリングギヤ74とを備える。
【0046】
前記太陽ギヤ70は太陽ローラ60と同様に前記入力軸30とスプライン30Cを介して連結されている。即ち、太陽ローラ60と太陽ギヤ70は、スプライン30B、30Cのバックラッシの範囲内で同位相で入力軸30と一体的に回転可能に結合されている。遊星ギヤ72は、前記遊星ローラ62と同様に120°の位相で3個配置され、それぞれニードルベアリング76を介して(若干のバックラッシが発生し得る状態で)前記キャリヤピン32、即ち遊星ローラ62を支持しているキャリヤピン32によって回転自在に支持されている。前記リングギヤ74は、前記歯車ケーシング16の内周側に直接形成されている。
【0047】
キャリヤピン32は、出力軸40と一体のキャリヤ(第2軸)を構成する入力側キャリヤ34及び出力側キャリヤ36によって両持ち支持されている。入力側キャリヤ34と出力側キャリヤ36はキャリヤピン41を介して一体化されている。
【0048】
入力側キャリヤ34の中央には円筒部34Aが形成され、この円筒部34Aの外周にはベアリング38が配置されている。入力側キャリヤ34はこのベアリング38を介して継ケーシング12に回転自在に支持されている。円筒部34Aの内周には前記カップリング26が入り込んでいる。又、この円筒部34Aの内周にはベアリング39が配置され、このベアリング39によって入力軸30の一端が支持されている。
【0049】
一方、出力側キャリヤ36は出力軸40と一体化されており、ベアリング42を介して出力ケーシング18に回転自在に支持されている。出力側キャリヤ36の中央部にはベアリング44が配置されており、入力軸30の他端側を支持している。
【0050】
前記継ケーシング12、ローラケーシング14、歯車ケーシング16、及び出力ケーシング18からなるケーシング10は、ボルト46A、46Bを介して一体的に連結されている。ボルト46A、46Bの挿入方向及び連結しているケーシングの数(種類)が異なるのは、各部材の組み立ての手順上の要請に基づく。
【0051】
ケーシング10はモータMと一体化されており、モータMは取付部材48を介して図示せぬ外部部材に固定されている。従って、この実施形態では、ローラケーシング14及び歯車ケーシング16に形成されているリングローラ64及びリングギヤ74は、それぞれ回転方向に一体化されると共に固定状態に維持されることになる。
【0052】
ところで、単純遊星歯車機構PGは歯車の噛合を介して動力を伝達するものであるため、負荷の如何にかかわらず減速比IGは各歯車の歯数によって決定される固定的な値となり、バックラッシの範囲でしか減速比IGは変化し得ない。
【0053】
これに対し、単純遊星ローラ機構は(負荷に依存する)滑りを伴って動力を伝達するものであるため、減速比は負荷の大きさに応じて変化し、単独の状態では固定的な値を持たない。定性的には無負荷時(滑りが全くないとき)の減速比が最も大きく、負荷が高まるにつれ滑りが大きくなって減速比は低下する。
【0054】
本発明は、用途に応じ、様々な変速比の設定態様で実施することができるが、この実施形態では、単純遊星ローラ機構PRの単独の状態における無負荷時の減速比IRnが単純遊星歯車機構PGの減速比IGよりも小さく設定されている。
【0055】
なお、単純遊星歯車機構PGの減速比IGは、太陽ギヤ70の歯数をZs、リングギヤ74の歯数をZiとした場合に、1+Zi/Zsで与えられる。この実施形態の場合、IG=1+72/18=5.000である(速度が1/5になる減速)。
【0056】
一方、単純遊星ローラ機構PRの単独の状態における無負荷時の減速比IRnはトラクション力を発生させるための押し付け荷重によるローラの変形度合いによって若干異なるが、基本的には、太陽ローラ60の外径をds、リングローラ74の内径をDiとした場合に、IRn=1+Di/dsで与えられる。
【0057】
例えば、0.2%の滑り率が発生した段階で単純遊星ローラ機構PRの減速比IRが単純遊星歯車機構PGの減速比IGと同一になるようにするには、単純遊星ローラ機構PRの無負荷時の減速比IRnが5*(1−0.002)=4.990となるように太陽ローラ60の外径dsとリングローラ64の内径Dsを予め設定しておけばよい。なお、*は乗算演算子である。
【0058】
次に、この駆動装置Rの作用を説明する。
【0059】
モータMのモータ軸22の回転は、カップリング26を介して入力軸30に伝達される。入力軸30には、太陽ローラ60と太陽ギヤ70がそれぞれスプライン連結されているため、この入力軸30の回転は並列的に単純遊星ローラ機構PR及び単純遊星歯車機構PG側へと伝達される。
【0060】
しかしながら、ここで、単純遊星ローラ機構PRと単純遊星歯車機構PGは同じ入力軸30に対して太陽ローラ60と太陽ギヤ70が連結されており、遊星ローラ62と遊星ギヤ72は同じキャリヤピン32によって支持されている。また、リングローラ64とリングギヤ74は固定状態に一体化されている。そのため、単純遊星ローラ機構PRの各ローラは、それぞれ単純遊星歯車機構PGの各歯車のバックラッシの範囲内でしか、単純遊星歯車機構PGとその回転位相がずれるのが許されない。
【0061】
しかも、単純遊星ローラ機構PRの単独の状態における無負荷時の減速比IRn(=4.990)が単純遊星歯車機構PGの減速比IG(=5.000)よりも小さく設定されている。
【0062】
このため、(単純遊星ローラ機構PRの遊星ローラ62の公転速度の方が、減速比が小さい分単純遊星歯車機構PGの遊星ギヤ72の公転速度より若干速くなろうとはするものの)単純遊星ローラ機構PRの実減速比IRは単純遊星歯車機構PGの減速比IGに強制的に同期させられるため、単純遊星ローラ機構PRの各ローラ間には、その差に相当する分の滑り(0.2%に相当する滑り)が強制的に発生された状態が形成される。
【0063】
後に詳述するように、単純遊星ローラ機構PRが単独の状態で動力伝達系に配置されている場合においては、該単純遊星ローラ機構PRの各ローラ間に発生する滑りは、繋げられている負荷の大きさに依存する(所定の大きさの負荷が繋げられているときには滑りも所定の大きさとなる)。逆に、単純遊星ローラ機構PRの各ローラ間に所定の滑りが発生しているときは、当該単純遊星ローラ機構PRはその滑りに相当するトルクを伝達(発生)している。
【0064】
単純遊星歯車機構PGの減速比IGは一定であり、単純遊星ローラ機構PRの減速比IRが常にこの減速比IGに一致させられるということは、単純遊星ローラ機構PRにおいて発生する「所定の滑り」が常に一定であるということを意味し、このことは、単純遊星ローラ機構PRにおいて発生するトルク(伝達するトルク)が常に一定であるということを意味する。なお、厳密には、単純遊星ローラ機構PRの減速比IRは負荷以外のパラメータにも依存して変動するため、正確な一定値とはならないが、定性的には一定と見なし得る範囲に収まる。
【0065】
この実施形態では、この「所定の滑り」が発生している状況で発生されるトルク、即ち単純遊星ローラ機構PRを単独の状態で単純遊星歯車機構PGの減速比IGで運転したときに発生し得るトルクを基準トルクTrsと定義する。
【0066】
単純遊星ローラ機構PR側は常にこの「所定の滑り」に相当する基準トルクTrs分の伝達を受け持つことになる。
【0067】
ここで、本発明創案の技術的裏付けの説明を兼ね、両機構の減速比の設定に関して得られる種々の作用について詳細に説明する。
【0068】
図4は、単純遊星ローラ機構PRを、太陽ローラ入力、リングローラ固定、キャリヤ出力の状態で単独に使用した場合において、滑り率Sr(%)と出力トルク(=負荷トルク)To(kgf・m)との関係を太陽ローラの回転速度Vをパラメータとして示したものである。ここで、滑り率Srとは、単純遊星ローラ機構PRの無負荷時(滑りが全く無いと考えた時)の減速比IRnと、負荷が加わった時に実際に得られる減速比IRとの比率(1−IRn/IR)である。
【0069】
図から明らかなように、滑り率Srと出力トルク(負荷トルク)Toは所定のカーブ(関係)に沿って一義的に対応しており、太陽ローラの回転速度Vが180、1800、3600rpmのように変化しても殆ど変化がない。
【0070】
このことは、逆の見方をすると、単純遊星ローラ機構PRの出力トルクToと滑り率Srは、回転速度Vの如何に関わらず、ほぼ1:1に対応しているということになる。
【0071】
今、仮に出力トルクToがTo(1)であった場合を考えると、その時の滑り率Srはグラフより0.2%と読むことができる。従って、前述したように、もし、単純遊星ローラ機構PRの無負荷時の減速比IRnを単純遊星歯車機構PGの減速比IGよりも0.2%分予め小さく設定しておけば、単純遊星ローラ機構PRは単純遊星歯車機構PGと強制的に同期回転させられることにより、常にこの0.2%分の出力トルクTo(1)を受け持つことになる。この出力トルクTo(1)が単純遊星ローラ機構PRを単独の状態で前記単純遊星歯車機構PGの減速比IGで運転したときに発生し得るトルク、即ち前記基準トルクTrsである。
【0072】
今、説明を分かりやすくするために、例えば、駆動する相手機械として所定の決まったものを連続的に移動させるコンベアのようなものを考える。このようなコンベアにあっては、負荷トルクToは殆ど変化しない。
【0073】
ここで、あるコンベアの負荷トルクTo1が基準トルクTrsに対して極めて小さかった場合を想定する。
【0074】
この場合、図5の(A)に示されるように、単純遊星ローラ機構PRにおいて発生する(受け持つ)トルクは、基準トルクTrsに等しく、一定であることから、負荷トルクTo1との差ΔToは単純遊星歯車機構PGが内部循環の逆トルクTg1として受け持つことになり、この分はエネルギの無駄となる。
【0075】
コンベア(相手機械)の負荷トルクToがもう少し大きいTo2であった場合は、図5の(B)に示されるように、単純遊星歯車機構PGにおいて発生する逆トルクTg2も小さくなり、エネルギの無駄もその分少なくなる。
【0076】
なお、この図5(A)、(B)の態様(更には、単純遊星ローラ機構PRの単独の状態における無負荷時の減速比IRnが単純遊星歯車機構PGの減速比IGよりも大きく設定されている態様、或いはパラレル駆動の変速機を増速機として利用するときに単純遊星ローラ機構の単独の状態における無負荷時の増速比が単純遊星歯車機構の増速比よりも小さく設定されている態様等)は、必ずしも「不適な態様」というわけではなく、常に逆トルクを掛けておけるという点で、例えば瞬時停止の要求される用途、特にトルクの低減方向のゲインを大きくとる必要のある制御機構等での用途、或いは停止時に負荷側からの駆動に対してブレーキ機能を有することが要求されるような用途等においては有効な態様になり得る。
【0077】
作用の説明に戻って、図6の(A)は、負荷トルクTo3が基準トルクTrsと等しい場合を示している。このように、基準トルクTrsが、当該パラレル駆動の変速機TRを介して駆動しようとする相手機械であるコンベアの負荷トルクToにほぼ一致するように、前記単純遊星歯車機構PGの減速比IG及び前記単純遊星ローラ機構PRの無負荷時の減速比IRnを設定した場合は、常に単純遊星ローラ機構PRのみによって当該コンベアを駆動することができるようになり、単純遊星歯車機構PG側のエネルギの無駄は全くなくなる。
【0078】
しかも、単純遊星ローラ機構PRのみによってコンベア等の相手機械を駆動することになるため、単純遊星歯車機構PGの方は自身の負荷が零の状態で回転することになり、噛合音や振動はほとんど発生しない。又、ローラによる動力伝達であるため、歯車伝達においては不可避であった微小な脈動が発生することもない。
【0079】
ただし、このように設定した場合には、コンベアの負荷トルクToが僅かに増減しただけで単純遊星歯車機構PGのバックラッシの形成状態が反転することになり、いわゆるガタ打ち音が発生しやすい状態となる。
【0080】
そこで、図6(B)に示されるように、コンベアの負荷トルクTo4に対して常に単純遊星歯車機構PGの側で若干の正のトルク伝達Tg3を受け持つように設定することにより、この不具合を解消できる。
【0081】
この図6(B)の態様を多少の負荷変動がある相手機械にも対応できるように配慮したのが図7に示す設定態様であり、これが前述した実施形態で採用されている設定態様に相当している。
【0082】
即ち、この設定態様では、該基準トルクTrsが、当該パラレル駆動の変速機TRを介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクToの変動範囲Tomin〜Tomaxの最小値Tominより小さな値となるように、単純遊星歯車機構PGの減速比IG及び単純遊星ローラ機構PRの無負荷時の減速比IRnが設定されている。
【0083】
この設定態様では、負荷トルクToと基準トルクTrsとの差、即ち単純遊星ローラ機構PR側で駆動しきれない分のトルクTg4〜Tg5を単純遊星歯車機構PG側が受け持つことになる。単純遊星ローラ機構PR側のトルク伝達は、ローラを介したトラクション伝達となるため、極めて低騒音且つ低振動で行われ、又微小な脈動も発生しない。この状態では、単純遊星歯車機構PGの方は、単純遊星ローラ機構PRが受け持つ分、自身のトルク伝達の負担が軽くなる。そのため、単純遊星歯車機構PG側で発生する噛合音や振動が激減する。従って、単純遊星歯車機構PGを有していながら、2連減速機TR全体として、低騒音、低振動、且つ低脈動の動力伝達が可能となる。
【0084】
一方、この2連減速機TRにおいては、全体の減速比、即ち入力軸の回転速度(回転角度)に対する出力軸の回転速度(回転角度)は、前記バックラッシの範囲内で単純遊星歯車機構PGの減速比IGに一致しており、常に一定である。
【0085】
従って、単純遊星ローラ機構PRを有していながら、正転、停止、逆転等が繰り返されたとしても、停止位置が少しずつずれていく(誤差が累積していく)という不具合が発生することはない。
【0086】
そのため、従来、事実上単純遊星歯車機構PGとサーボモータとの組合せでしか実現できなかった、オープンループによる制御構造を採用することができるようになり、単純遊星ローラ機構PRを用いて同程度の精度を有する制御を行う場合に比べ、コストを大幅に低減することができる。
【0087】
又、この実施形態では入力軸30と太陽ギヤ70との間、入力軸30と太陽ローラ60との間がスプライン連結とされており、且つキャリヤピン32と遊星ギヤ72との間、キャリヤピン32と遊星ローラ62との間がそれぞれニードルベアリング76,66を介して連結されていて、各部で微少な相対回転が許容され得るようになっており、組み付けも容易である。
【0088】
しかも、エネルギの無駄は全くなく、また負荷トルクToが変動してもバックラッシが反転することがないため、ガタ打ち音が発生することもない。負荷トルクToの変動分Tomin〜Tomaxは、単純遊星歯車機構PG間で受け持つため(Tg4〜Tg5)、単純遊星ローラ機構PRは(負荷の変動の如何に関わらず)常に安定した状態で基準トルクTrsに相当する一定出力運転を行うことができる。このメリットは単純遊星ローラ機構PRにとって非常に大きい。
【0089】
従って、この基準トルクTrsを単純遊星ローラ機構PRのいわゆる「定格トルク」に一致させるように単純遊星ローラPR側の伝達容量を設計、或いは選択すれば、駆動装置R全体の動力分担を最も合理的に実現できることになる。
【0090】
なお、何らかの事情で相手機械の負荷トルクToが多大(Toe)になった場合には、図8に示されるように、その負荷トルクToの増大分は単純遊星歯車機構PG側でトルクTg6として受け持つため、モータMの駆動能力が該トルクToeを上回っている限り、相手機械を確実に駆動し続けることができる。そのため動力伝達系に単純遊星ローラ機構PRを有していながら、当該単純遊星ローラ機構PRが滑って相手機械を駆動できなくなるという事態が発生するのを防止できる。
【0091】
以上の理論は、当該2連減速機TRを増速機として用いる場合にも全く同様に適用できる。
【0092】
増速機として用いる場合は、しかし、単純遊星ローラ機構単独の状態における無負荷時の増速比が、前記単純遊星歯車機構の増速比よりも大きな値となるように設定することになる。
【0093】
このように、一見、増速の場合の設定態様は減速の場合の設定態様と逆になるが、増速の場合も、同じ入力回転速度に対して滑ることによって出力回転速度がより低下するという観点で捉えると減速の場合と事情は同一であり、出力トルクが入力トルクよりも大きくなるか小さくなるか(出力回転速度が入力回転速度より小さくなるか大きくなるか)の違いがあるだけである。
【0094】
従って、増速機として利用するときの定性的な作用も、これまで説明してきた作用と基本的に同様となる。即ち、前述の図6(A)のような態様とするには、単純遊星ローラ機構を単独の状態で単純遊星歯車機構の増速比で運転したときに発生し得るトルクを基準トルクとしたときに、該基準トルクが、当該パラレル駆動の変速機を介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクにほぼ一致するように、前記単純遊星歯車機構の増速比及び前記単純遊星ローラ機構の無負荷時の増速比を設定することになる。
【0095】
更に、図7のような態様とするには、単純遊星ローラ機構を単独の状態で単純遊星歯車機構の増速比で運転したときに発生し得るトルクを基準トルクとしたときに、該基準トルクが、当該パラレル駆動の変速機を介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクの変動範囲の最小値より小さな値となるように、前記単純遊星歯車機構の増速比及び単純遊星ローラ機構の無負荷時の増速比を設定することになる。
【0096】
なお、例えば、上述した実施形態における2連減速機の入力側と出力側を交換し、キャリヤ側から入力するようにした場合、増速機として機能することになるが、この場合は、上記定性的傾向が逆になる。即ち、「減速機として使用する場合に単純遊星ローラ機構の無負荷時の減速比を単純遊星歯車機構の減速比よりも小さな値に設定する。」という構成は、同一の装置でそのまま入出力を逆転させたのでは「増速機として使用する場合に、単純遊星ローラ機構の無負荷時の増速比を単純遊星歯車機構の増速比よりも大きな値に設定する。」という態様にはならない。
【0097】
しかし、そのまま、入出力を逆転させた状態は、「増速機として使用する場合に、単純遊星ローラ機構の無負荷時の増速比を単純遊星歯車機構の増速比よりも小さな値に設定する。」という設定態様には一致するようになる。この設定態様は、トラクションドライブ系の変速機構が常に(基準トルクに相当する)逆トルクを発生するようになるため、停止時に負荷側(相手機械側)からのトルクによってモータが逆転しにくいというメリット、即ち自動ブレーキ機能を与えてくれる。
【0098】
このように、本発明は設計により当該パラレル駆動の変速機を様々な用途に応用できる可能性を有している。
【0099】
なお、上記実施形態においては、組付けの容易性等を考慮して両変速機構に敢えてバックラッシを形成するようにしていたが、両変速機構のバックラッシに関しては、既に種々提案されているバックラッシ低減方法により、これを可能な限り低限した状態で組み付けるようにするのは、用途によっては有効である。
【0100】
この場合は、上述した基本的な作用を得ながら、正転及び逆転の何れの方向に対してもバックラッシがなく、また、停止位置のずれの累積もないという作用が得られるようになる。そのため、特に正転、停止、逆転等が繰り返されるような用途(ロボットの関節駆動など)において、常に意図した停止位置に正確に位置決め可能な制御機構を安価に構築することができるようになる。
【0101】
又、上記実施形態においては、単純遊星歯車機構と単純遊星ローラ機構とによりパラレル駆動の変速機を構成するようにしていたが、本発明は、その趣旨より、ギアドライブ系の変速機構の具体的な構成、及びトラクションドライブ系の変速機構の具体的な構成は特に単純遊星機構に限定される必要はなく、要するに共通の入力軸及び出力軸の間に、ギアドライブ系及びトラクションドライブ系の変速機構がパラレルに配置され、且つそれぞれの変速比が意図する作用が発生し得るような変速比に設定されてさえいれば、同様な効果を得ることができる。
【0102】
それは、トラクションドライブ系の変速機構には単純遊星機構のそれに限らず、所定の負荷がかかっているときには所定の滑りが発生しており、逆に所定の滑りが発生しているときには所定のトルクが発生しているという共通の定性的性質があるためである。
【0103】
従って、例えば、入力軸と出力軸とが平行に配置され、その間を2以上の歯車からなるギアドライブ系の変速機構で連結すると共に、同じ入力軸と出力軸との間を2以上のローラからなるトラクションドライブ系の変速機構で(パラレルに)連結したような構成であってもよい。この場合、歯車の数とローラの数は必ずしも一致していなくともよい。変速比の調整は各歯車の歯数と各ローラの外径の変更で行うことができ、軸間距離を調整する場合は、一方、または双方に適宜のアイドラを介在させればよい。
【0104】
更には、ギヤドライブ系側を国際分類F16H 1/32に相当する揺動内接噛合遊星歯車タイプ(撓み噛み合い式のタイプを含む)に変更してもよく、これ自体が多段の減速構造になっていてもよい。また、トラクションドライブ系側の構成も、同様に種々の構成が採用でき、撓み噛み合い式に対応するいわゆるトラクション伝達式波動変速機構と称されるタイプのものであってもよい。
【0105】
更に、ギアドライブ系の変速機構のタイプとトラクションドライブ系の変速機構のタイプも必ずしも類似のものである必要もなく、共通の入出力軸間で両変速機構のパラレル配置が物理的に可能であるならば、異なるタイプの組み合わせであってもよい。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、単純遊星歯車機構と単純遊星ローラ機構のそれぞれの利点を積極的に活かすと共に、それぞれの不具合の発生を極力抑えた様々な態様の使い方のできる変速機を得ることができ、例えば、低騒音、且つ低振動の特性を得ながら、制御構造が簡易で低コスト化を実現した駆動システムを構築したり、自動ブレーキ機能を付与したりすることができるようになるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2連減速機とモータとを一体に組み合わせた駆動装置を示す断面図
【図2】図1の矢視II−II線に沿う断面図
【図3】図1の矢視III−III線に沿う断面図
【図4】単純遊星ローラ機構が単独で使用されたときの滑り率と出力トルク(負荷トルク)との関係を示す線図
【図5】基準トルクに対して相手機械の負荷トルクが小さい場合の、単純遊星歯車機構及び単純遊星ローラ機構の動力分担を模式的に示した線図
【図6】基準トルクが相手機械の負荷トルクにほぼ等しいか、若干小さい場合の、単純遊星歯車機構及び単純遊星ローラ機構の動力分担を模式的に示した線図
【図7】基準トルクが相手機械の負荷トルクの変動範囲の最小値より若干小さい場合の、単純遊星歯車機構及び単純遊星ローラ機構の動力分担を模式的に示した線図
【図8】相手機械の負荷トルクが何らかの原因で非常に大きくなった場合の、単純遊星歯車機構及び単純遊星ローラ機構の動力分担を模式的に示した線図
【符号の説明】
10…ケーシング
22…モータ軸
22A…スプライン
30…入力軸(中心軸)
30A…スプライン
32…キャリヤピン
34…入力側キャリヤ
36…出力側キャリヤ
60…太陽ローラ
62…遊星ローラ
64…リングローラ
66…ニードルベアリング
70…太陽ギヤ
72…遊星ギヤ
74…リングギヤ
76…ニードルベアリング
R…駆動装置
M…モータ
TR…2連減速機
PR…単純遊星ローラ機構
PG…単純遊星歯車機構
To…負荷トルク
IRn…単純遊星ローラ機構の無負荷時の減速比
IG…単純遊星歯車機構の減速比
Sr…滑り率
Trs…基準トルク
Claims (5)
- 単一の第1軸と、単一の第2軸とを備え、
該第1軸と第2軸との間に、歯車の噛合によって動力を伝達するギヤドライブ系の変速機構と、トラクション伝達によって動力を伝達するトラクションドライブ系の変速機構とが並列に組み込まれ、
該ギヤドライブ系の変速機構の減速比と、該トラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の減速比とが異なる値に設定される条件の下、該トラクションドライブ系の変速機構を単独の状態で所定の滑りを発生させて該ギヤドライブ系の変速機構の変速比で運転したときに発生し得るトルクを基準トルクとしたときに、
該基準トルクが、当該パラレル駆動の変速機を介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクにほぼ一致するように、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比及び前記トラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の変速比が設定されている
ことを特徴とするパラレル駆動の変速機。 - 単一の第1軸と、単一の第2軸とを備え、
該第1軸と第2軸との間に、歯車の噛合によって動力を伝達するギヤドライブ系の変速機構と、トラクション伝達によって動力を伝達するトラクションドライブ系の変速機構とが並列に組み込まれ、
該ギヤドライブ系の変速機構の減速比と、該トラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の減速比とが異なる値に設定される条件の下、該トラクションドライブ系の変速機構を単独の状態で所定の滑りを発生させて該ギヤドライブ系の変速機構の変速比で運転したときに発生し得るトルクを基準トルクとしたときに、
該基準トルクが、当該パラレル駆動の変速機を介して駆動しようとする相手機械の負荷トルクの変動範囲の最小値より小さな値となるように、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比及びトラクションドライブ系の変速機構の無負荷時の変速比が設定されている
ことを特徴とするパラレル駆動の変速機。 - 請求項1又は2において、
前記トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比が、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも小さな値に設定された
ことを特徴とするパラレル駆動の変速機。 - 請求項1又は2において、
前記トラクションドライブ系の変速機構単独の状態における無負荷時の変速比が、前記ギヤドライブ系の変速機構の変速比よりも大きな値に設定された
ことを特徴とするパラレル駆動の変速機。 - 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
太陽ギヤと、該太陽ギヤと外接する遊星ギヤと、該遊星ギヤが内接するリングギヤとを有する前記ギヤドライブ系の変速機構としての単純遊星歯車機構と、
太陽ローラと、該太陽ローラと外接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラとを有する前記トラクションドライブ系の変速機構としての単純遊星ローラ機構とを備え、
前記太陽ギヤと太陽ローラが、それぞれ単一の中心軸に動力伝達可能に組み込まれ、
前記遊星ギヤと遊星ローラが、それぞれ共通のキャリヤと一体化されたキャリヤピンによって回転自在に支持され、
前記リングギヤとリングローラが、それぞれ回転方向に一体化され、且つ、
前記中心軸、キャリヤ、及び一体化されたリングギヤ及びリングローラの3要素のうちのいずれか2者が、それぞれ前記第1軸、第2軸とされ、残りの1者が固定された
ことを特徴とするパラレル駆動の変速機。
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