JP5208106B2 - 鉄鋼部材の接合方法、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法及び鉄鋼製品 - Google Patents

鉄鋼部材の接合方法、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法及び鉄鋼製品 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鋼部材の接合方法、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法及び鉄鋼製品に関する。
図18は、従来の鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。図19は、従来の鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。
従来の鉄鋼部材の接合方法は、図18及び図19に示すように、2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程S1010と、2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程S1020と、接合体を所定の温度条件の下で熱処理することにより接合体における接合力を強化する接合力強化工程S1030とを含む(例えば、特許文献1参照。)。
このため、従来の鉄鋼部材の接合方法によれば、溶接補助材を全く使用せずに2つの鉄鋼部材を接合して接合体を製造することが可能となる。また、従来の鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体を形成した後に接合力強化工程S1030を行うことにより、接合体における接合力を強化することが可能となる。
その結果、従来の鉄鋼部材の接合方法によれば、プラスチックギアなどの樹脂金型に適した接合体を製造することが可能となる。
特開2002−59270号公報
しかしながら、従来の鉄鋼部材の接合方法においては、Crを含有する2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を製造する場合に、十分に高い接合力を得ることができないという問題があることがわかった。
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、Crを含有する2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法を提供することを目的とする。また、Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を十分に高くすることが可能な、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法を提供することを目的とする。さらにまた、このような鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体又は鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法により接合力が強化された接合体を用いて製造された鉄鋼製品を提供することを目的とする。
なお、本発明の鉄鋼部材の接合方法は、2つの鉄鋼部材を接合する場合のみに限定されるものではなく、3つ以上の鉄鋼部材を接合する場合にも適用することが可能である。3つ以上の鉄鋼部材を接合する場合には、3つ以上の鉄鋼部材のうち互いに接合される2つの鉄鋼部材に着目すれば、本発明の鉄鋼部材の接合方法を実施することとなる。本発明の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法についても同様である。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するため、従来の鉄鋼部材の接合方法において、Crを含有する2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を製造する場合に十分に高い接合力を得ることができない原因を調査した結果、その原因は、接合面にCr含有不動態層や空隙が存在することにあるという知見を得た。そこで、本発明の発明者らは、これらの知見に基づき、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を消散させることができれば、接合体の接合力を十分に高くすることが可能となり上記問題を解決することができることに想到し、本発明を完成させるに至った。
(1)すなわち、本発明の鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、2つの焼結鉄鋼部材を準備し、前記接合体形成工程においては、前記2つの焼結鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成することを特徴とする。
(2)本発明の鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、焼結鉄鋼部材と溶製鉄鋼部材とを準備し、前記接合体形成工程においては、前記焼結鉄鋼部材と前記溶製鉄鋼部材とを互いに接合して接合体を形成することを特徴とする。
(3)本発明の鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、2つの溶製鉄鋼部材を準備するとともに、介在用の焼結鉄鋼部材をさらに準備し、前記接合体形成工程においては、前記2つの溶製鉄鋼部材の間に前記介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて前記2つの溶製鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの溶製鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成することを特徴とする。
このため、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体形成工程により形成した接合体を第2温度に加熱した後、当該接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することとしているため、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙は、徐冷に伴って接合体の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、最終的には接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を消散させることが可能となる。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法によれば、2つの鉄鋼部材のうち少なくとも一方の鉄鋼部材に焼結鉄鋼部材を用いて形成した接合体又は2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて形成した接合体に対して接合力強化工程を実施することとしているため、後述する実施例からもわかるように、接合体形成工程実施後に接合面に残存することのある空隙を接合力強化工程実施中に消散させることが可能となる。このメカニズムの詳細は不明であるが、接合力強化工程における比較的低い温度範囲においても焼結鉄鋼部材に含まれる結晶粒はサブミクロン単位では移動可能であり、その結果、焼結鉄鋼部材の結晶粒は、接合力強化工程中に接合面の空隙を埋めるように移動するためであると推測される。
その結果、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
なお、本明細書において、焼結鉄鋼部材とは、焼結法により得られる鉄鋼材料からなる鉄鋼部材をいう。また、本明細書において、溶製鉄鋼部材とは、溶製法により得られる鉄鋼材料からなる鉄鋼部材をいう。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、前記接合力強化工程においては、前記接合体を前記第2温度に加熱した後、前記第2温度又は前記焼結鉄鋼部材におけるA変態点のうち低い方の温度から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で前記第3温度に徐冷することが好ましい。
このような方法とすることにより、第2温度又は焼結鉄鋼部材におけるA変態点のうち低い方の温度から600℃の範囲において接合体を極めてゆっくりした条件で徐冷することとなるため、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙は、徐冷に伴って接合体の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に十分に溶け込んでいき、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を十分に消散させることが可能となる。
この観点から言えば、第2温度又は焼結鉄鋼部材におけるA変態点のうち低い方の温度から600℃に降温するのに10時間以上かける条件で第3温度に徐冷することがより好ましく、第2温度又は焼結鉄鋼部材におけるA変態点のうち低い方の温度から600℃に降温するのに15時間以上かける条件で第3温度に徐冷することがさらに好ましい。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記接合力強化工程においては、前記接合体を前記第2温度に加熱した後、前記第2温度又は850℃のうち低い方の温度から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で前記第3温度に徐冷することが好ましい。
このような方法とすることによっても、第2温度又は850℃のうち低い方の温度から600℃の範囲において接合体を極めてゆっくりした条件で徐冷することとなるため、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙は、徐冷に伴って接合体の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に十分に溶け込んでいき、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を十分に消散させることが可能となる。
この観点から言えば、第2温度又は850℃のうち低い方の温度から600℃に降温するのに10時間以上かける条件で第3温度に徐冷することがより好ましく、第2温度又は850℃のうち低い方の温度から600℃に降温するのに15時間以上かける条件で第3温度に徐冷することがさらに好ましい。
なお、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、接合力強化工程においては、接合体を前記第2温度に加熱した後、第3温度まで徐冷する間に、800℃〜900℃の範囲内にある第5温度で少なくとも30分間保持することが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体を第5温度で保持する間に、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙は接合体の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に十分に溶け込んでいき、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を十分に消散させることが可能となる。
また、このような方法とすることにより、焼きなまし効果により接合体の硬度を低くして、接合体を機械加工する際の加工性を高めることが可能となる。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、第2温度は、830℃〜950℃の範囲内にあることがさらに好ましい。
このような方法とすることにより、接合面に存在するCr含有不動態層を十分に消散させることが可能となる。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、第3温度は、550℃以下であることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体の均質性を高めるとともに、接合体の硬度を低くして接合体を機械加工する際の加工性を高めることが可能となる。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、接合体形成工程及び接合力強化工程を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において行うことが好ましい。
このような方法とすることにより、各熱処理工程における酸素等の活性ガスの存在に起因して発生する悪影響を抑制することが可能となる。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、接合力強化工程実施後に、不活性ガス雰囲気下で接合体を冷却することが好ましい。
このような方法とすることにより、冷却過程で接合体の表面が酸化して品質が劣化するのを抑制することが可能となる。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記焼結鉄鋼部材は、熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼又は高速度工具鋼からなる鉄鋼部材であることが好ましい。
このような方法とすることにより、さまざまな用途に用いることが可能な接合体を製造することが可能となる。
(7)上記(2)に記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記焼結鉄鋼部材の600℃における熱膨張率と、前記溶製鉄鋼部材の600℃における熱膨張率との差は、2×10−6m/K以下であることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合部分に生じる熱応力を小さくすることが可能となり、過酷な熱サイクルを受けても破断しにくい接合体を製造することが可能となる。
(8)上記(2)に記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記焼結鉄鋼部材におけるCの含有比と、前記溶製鉄鋼部材におけるCの含有比との差は、0.5at%以下であることが好ましい。
このような方法とすることにより、焼結鉄鋼部材と溶製鉄鋼部材との間の硬度の差を小さくすることで、硬度の差に起因して接合部分に発生する応力を小さくすることが可能となり、接合部分で破断しにくい接合体を製造することが可能となる。
(9)本発明の鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、2つの溶製鉄鋼部材を準備するとともに、Ni又はCuを含有する介在用の鉄鋼部材をさらに準備し、前記接合体形成工程においては、前記2つの溶製鉄鋼部材の間に前記介在用の鉄鋼部材を介在させて前記2つの溶製鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記介在用の鉄鋼部材が溶融しない温度条件下で前記2つの溶製鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成することを特徴とする。
このため、上記(9)に記載の鉄鋼部材の接合方法によれば、Ni又はCuを含有する介在用の鉄鋼部材を介在させて2つの溶製鉄鋼部材を接合することとしているため、後述する実施例からもわかるように、接合体形成工程実施中に生成することのあるCr含有不動態層や空隙は、当該接合力形成工程実施中に母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、最終的には接合面にほぼ存在しなくなる。このメカニズムの詳細は不明であるが、Cr含有不動態層や空隙が母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいくのを、介在用の鉄鋼部材に含まれるNi又はCuが媒介しているものと推測される。
その結果、上記(9)に記載の鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を十分に高くすることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
また、本発明の鉄鋼部材の接合方法によれば、介在用の鉄鋼部材が溶融しない温度条件下で接合体を形成することとしているため、接合部分における金属組織がじん性の低い金属組織に変化することがなくなり、その結果、耐衝撃性に優れた接合体を製造することが可能となる。
なお、上記(9)に記載の鉄鋼部材の接合方法においては、介在用の鉄鋼部材におけるNi又はCuの含有量は、5at%〜30at%であることが好ましい。
Ni又はCuの含有量が30at%を超えると、介在用の鉄鋼部材の機械的強度が低下するため接合部分における機械的強度も低下してしまうからである。一方、Ni又はCuの含有量が5at%未満になると、十分に高い接合力を得ることが困難となるからである。
上記(1)〜(9)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、第1温度は、850℃〜1150℃の範囲内にあることが好ましい。
このような方法とすることにより、所定の圧力条件で押圧しながら2つの鉄鋼部材を接合して接合体を形成することが可能となる。
また、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、接合体形成工程実施後に、接合体を徐冷することが好ましい。
このような方法とすることにより、加圧により生じる接合体の応力歪の発生を抑制して均質性の高い接合体を形成することが可能となる。
(10)上記(2)、(3)又は(9)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記溶製鉄鋼部材は、熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、機械構造用合金鋼又は高速度工具鋼からなる鉄鋼部材であることが好ましい。
このような方法とすることにより、さまざまな用途に用いることが可能な接合体を製造することが可能となる。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記接合体形成工程の後に、前記接合体を、前記接合体の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度に加熱する金属組織均一化工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体形成工程を経て不均一な状態となっている金属組織をより均一にすることが可能となるため、さらに均質性の高い接合体を形成することが可能となる。
上記(11)に記載の鉄鋼部材の接合方法においては、第4温度は、1000℃〜1150℃の範囲内にあることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体形成工程を経て不均一な状態となっている金属組織をさらに均一にすることが可能となる。
また、上記(11)に記載の鉄鋼部材の接合方法においては、金属組織均一化工程終了後に、接合体をMs点まで急冷し、その後接合体を徐冷することが好ましい。
このような方法とすることにより、焼き入れ効果により、接合体の硬度を高くすることで、機械的強度が高く高品質の接合体を形成することが可能となる。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記2つの鉄鋼部材における前記接合予定面は、平面であることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合予定面を高精度に加工することで2つの鉄鋼部材を突き当てたときの鉄鋼部材間の密着度を高めて、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
(13)上記(12)に記載の鉄鋼部材の接合方法においては、前記接合予定面における算術平均粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましい。
このような方法とすることにより、2つの鉄鋼部材における接合予定面同士の間隔が平均で0.4μm以下となる状態で接合体形成工程を実施することとなり、また、2つの鉄鋼部材における接合予定面同士の間隔が平均で0.4μm以下となる状態で形成された接合体(言い換えると、接合面に残存することのある空隙が極めて小さい接合体。)に対して接合力強化工程を実施することとなることから、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
(14)本発明の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を強化する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法であって、前記接合体として、2つの焼結鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
(15)本発明の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を強化する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法であって、前記接合体として、焼結鉄鋼部材と溶製鉄鋼部材とが互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
(16)本発明の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を強化する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法であって、前記接合体として、2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させた状態で前記2つの溶製鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
このため、上記(14)〜(16)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体を第2温度に加熱した後、当該接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することとしているため、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙は、徐冷に伴って接合体の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、最終的には接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を消散させることが可能となる。
また、上記(14)〜(16)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法によれば、2つの鉄鋼部材のうち少なくとも一方の鉄鋼部材に焼結鉄鋼部材を用いて接合した接合体又は2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて形成した接合体に対して接合力強化工程を実施することとしているため、接合体形成工程実施後に接合面に残存することのある空隙を接合力強化工程実施中に消散させることが可能となる。このメカニズムの詳細は不明であるが、接合力強化工程における比較的低い温度範囲においても焼結鉄鋼部材に含まれる結晶粒はサブミクロン単位では移動可能であり、その結果、焼結鉄鋼部材の結晶粒は、接合力強化工程中に接合面の空隙を埋めるように移動するためであると推測される。
その結果、上記(14)〜(16)のいずれかに記載の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を十分に高くすることが可能な、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法となる。
(17)本発明の鉄鋼製品は、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体又は上記(14)〜(16)のいずれかに記載の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法により接合力が強化された接合体を用いて製造された鉄鋼製品である。
このため、本発明の鉄鋼製品は、十分に高い機械的強度を有する鉄鋼製品となるため、さまざまな用途に用いることが可能な鉄鋼製品となる。
鉄鋼製品としては、各種成形金型、各種工具、各種構造部材等を例示することができる。
(18)本発明の鉄鋼製品は、成形金型である場合に特に効果がある。
ところで、例えばダイカスト金型や樹脂金型のような成形金型においては、熱交換用媒体流路を内部に含む構造が要望されることがあり、このよう場合に、このような成形金型を単一の鉄鋼部材を用いて製造するのは極めて困難である。これに対して、本発明の鉄鋼製品(成形金型)によれば、本発明の鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体又は本発明の鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法により接合力が強化された接合体を用いて製造された鉄鋼製品(成形金型)であるため、熱交換用媒体流路を内部に含む構造を容易に実現することが可能となる。
実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。 実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 接合部分の断面電子顕微鏡写真である。 実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 接合部分の断面電子顕微鏡写真である。 実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 接合部分の断面電子顕微鏡写真である。 実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。 実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 接合部分の断面電子顕微鏡写真である。 実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 実施形態7に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 実施形態8に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 実施形態9に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。 従来の鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。 従来の鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。
以下、本発明の鉄鋼部材の接合方法、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法及び鉄鋼製品について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
実施形態1は、本発明の鉄鋼部材の接合方法を説明するための実施形態である。
図1は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。図2は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図2中、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
図3は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図3(a1)は接合体準備工程S110を説明するために示す図であり、図3(b1)は接合体形成工程S120を説明するために示す図であり、図3(c1)は金属組織均一化工程S130を説明するために示す図であり、図3(d1)及び図3(e1)は接合力強化工程S140を説明するために示す図であり、図3(a2)〜図3(e2)は図3(a1)〜図3(e1)における領域Aの部分拡大図である。
なお、Cr含有不動態層は、通常の断面電子顕微鏡写真において視認できるものではないが、理解を容易にするために、図3(b2)〜図3(d2)においてはCr含有不動態層142を網掛化して示すこととする。
実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法は、図1に示すように、鉄鋼部材準備工程S110と、接合体形成工程S120と、金属組織均一化工程S130と、接合力強化工程S140とをこの順序で含む。
1.接合体準備工程
接合体準備工程S110は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する工程である(図3(a1)参照。)。
Crを含有する2つの鉄鋼部材としては、焼結法により得られる鉄鋼材料(ウッデホルム株式会社製、ELMAX。)からなる2つの焼結鉄鋼部材110,120を用いる。2つの焼結鉄鋼部材110,120の形状は、それぞれ円柱形状(20mmφ×20mmL)である。2つの焼結鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122は、平面であり、接合予定面112,122の算術平均粗さRaは、0.1μmである。
2.接合体形成工程
接合体形成工程S120は、2つの焼結鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122を突き合わせた状態で、2つの焼結鉄鋼部材110,120を所定の圧力条件で押圧しながら、2つの焼結鉄鋼部材110,120を接合可能な第1温度T(例えば、850℃〜1150℃(図2においては1070℃))に加熱することにより、2つの焼結鉄鋼部材110,120を互いに接合して接合体100を形成する工程である(図3(b1)参照。)。
接合体形成工程S120においては、複数の接合対象部材にパルス電流を流して当該複数の接合対象部材を接合するパルス通電接合装置(例えば、特許第3548509号公報参照。)を用いて接合体100の形成を行う。2つの焼結鉄鋼部材110,120の押圧は、油圧を用いて例えば10MPaの圧力条件で行う。2つの焼結鉄鋼部材110,120の加熱は、2つの焼結鉄鋼部材110,120にパルス通電することにより行う。第1温度Tにおける保持時間(第1熱処理時間t)は30分間とする(図2参照。)。接合体形成工程S120実施後には、接合体100を室温まで徐冷する。
3.金属組織均一化工程
金属組織均一化工程S130は、接合体100を、接合体100の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度T(例えば、1000℃〜1150℃(図2においては1040℃))に加熱する工程である(図3(c1)参照。)。
金属組織均一化工程S130においては、真空炉を用いて接合体100の加熱を行う。第4温度Tにおける保持時間(第4熱処理時間t)は1時間(図2参照。)である。金属組織均一化工程S130実施後には、接合体100をMs点まで急冷し、その後接合体100を徐冷する。
4.接合体強化工程
接合力強化工程S140は、接合体100を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度T(図2においては950℃。)に加熱した後、接合体100を、850℃から600℃に降温するのに第3熱処理時間t(図2においては10時間。)かける条件で600℃以下の第3温度T(図2においては500℃。)まで徐冷することにより、接合体100における接合力を強化する工程である。
接合力強化工程S140においては、真空炉を用いて接合体100の加熱を行う。第2温度Tにおける保持時間(第2熱処理時間t)は2時間とする(図2参照。)。接合力強化工程S140実施後には、不活性ガス雰囲気下(例えば、Nガス雰囲気下。)で接合体100を冷却する。
以上のような工程を含む実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体形成工程S120により形成した接合体100を第2温度Tに加熱した後、接合体100を600℃以下の第3温度Tまで徐冷することとしているため、接合面140に存在するCr含有不動態層142や空隙144は、徐冷に伴って接合体100の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき(図3(c2)及び図3(d2)参照。)、最終的には接合面140に存在するCr含有不動態層142や空隙144を消散させることが可能となる(図3(e2)参照。)。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、2つの焼結鉄鋼部材110,120を用いて形成した接合体100に対して接合力強化工程S140を実施することとしているため、後述する実施例1からもわかるように、接合体形成工程S120実施後に接合面140に残存することのある空隙144を接合力強化工程S140実施中に消散させることが可能となる。
その結果、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材(2つの焼結鉄鋼部材110,120)を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、接合力強化工程S140は、接合体100を第2温度Tに加熱した後、850℃から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で第3温度Tに徐冷することとしているため、接合面140に存在するCr含有不動態層142や空隙144は、徐冷に伴って接合体100の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に十分に溶け込んでいき、接合面140に存在するCr含有不動態層142や空隙144を十分に消散させることが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体形成工程S120及び接合力強化工程S140を、真空中で行うこととしているため、各熱処理工程における酸素等の活性ガスの存在に起因して発生する悪影響を抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法においては、接合力強化工程S140実施後に、不活性ガス雰囲気下で接合体100を冷却することとしているため、冷却過程で接合体100の表面が酸化して品質が劣化するのを抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、第1温度Tは、850℃〜1150℃の範囲内にあるため、所定の圧力条件で押圧しながら2つの焼結鉄鋼部材110,120を接合して接合体100を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体形成工程S120実施後に、接合体100を徐冷することとしているため、加圧により生じる接合体100の応力歪の発生を抑制して均質性の高い接合体100を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体形成工程S120の後に金属組織均一化工程S130を実施することとしているため、接合体形成工程S120を経て不均一な状態となっている金属組織をより均一にすることが可能となり、均質性の高い接合体100を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、第4温度Tは、1000℃〜1150℃の範囲内にあるため、接合体形成工程S120を経て不均一な状態となっている金属組織をさらに均一にすることが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、金属組織均一化工程S130終了後に、接合体100をMs点まで急冷し、その後接合体100を徐冷することとしているため、焼き入れ効果により、接合体100の硬度を高くすることで、機械的強度が高く高品質の接合体を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、2つの焼結鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122は平面であるため、接合予定面112,122を高精度に加工することで2つの焼結鉄鋼部材110,120を突き当てたときの鉄鋼部材間の密着度を高めて、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
また、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、接合予定面112,122における算術平均粗さRaは、0.2μm以下であるため、
2つの焼結鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122同士の間隔が平均で0.4μm以下となる状態で接合体形成工程S120を実施することとなり、また、2つの焼結鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122同士の間隔が平均で0.4μm以下となる状態で形成された接合体100(言い換えると、接合面140に残存することのある空隙144が極めて小さい接合体。)に対して接合力強化工程S140を実施することとなることから、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
[実施例1]
実施例1は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の効果を確認するための実施例である。実施例1においては、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体100における接合部分の断面電子顕微鏡写真を観察することにより、接合面140に存在する空隙144が消散しているかどうかを確認した。
図4は、接合部分の断面電子顕微鏡写真である。図4(a)は実施例1に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体100における接合部分の断面電子顕微鏡写真であり、図4(b)は比較例1に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体(図示せず。)における接合部分の断面電子顕微鏡写真である。
実施例1に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様に、鉄鋼部材準備工程S110と、接合体形成工程S120と、金属組織均一化工程S130と、接合力強化工程S140とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法である。
一方、比較例1に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と基本的には同じ鉄鋼部材の接合方法であるが、接合力強化工程S140を含まない点で実施例1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と異なる。
図4を参照すれば、比較例1に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体においては接合面に空隙が存在するが、実施例1に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体100においては、接合面140に空隙が存在しないことがわかる。
このことにより、実施例1に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体100においては、接合面140に存在する空隙140が消散していることが確認できた。
[実施形態2]
実施形態2は、本発明の鉄鋼部材の接合方法を説明するための実施形態である。
図5は、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図5(a1)は接合体準備工程S210を説明するために示す図であり、図5(b1)は接合体形成工程S220を説明するために示す図であり、図5(c1)は金属組織均一化工程S230を説明するために示す図であり、図5(d1)及び図5(e1)は接合力強化工程S240を説明するために示す図であり、図5(a2)〜図5(e2)は図5(a1)〜図5(e1)における領域Aの部分拡大図である。
実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、Crを含有する2つの鉄鋼部材のうち一方の鉄鋼部材が溶製鉄鋼部材である点で実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法とは異なる。
すなわち、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法においては、鉄鋼部材準備工程S210においては、図5(a1)に示すように、Crを含有する2つの鉄鋼部材として焼結鉄鋼部材210と溶製鉄鋼部材220とを準備し、接合体形成工程S220においては、図5(b1)に示すように、焼結鉄鋼部材210と溶製鉄鋼部材220とを互いに接合して接合体200を形成することとしている。
焼結鉄鋼部材210としては、焼結法により得られる鉄鋼材料(ウッデホルム株式会社製、ELMAX。)からなる焼結鉄鋼部材を用いる。また、溶製鉄鋼部材220としては、溶製法により得られる鉄鋼材料(熱間金型用鋼SKD61。)からなる溶製鉄鋼部材を用いる。
なお、焼結鉄鋼部材210の600℃における熱膨張率は約12.5×10−6m/Kであり、溶製鉄鋼部材220の600℃における熱膨張率は約13.8×10−6m/Kである。また、焼結鉄鋼部材210におけるCの含有比は1.7at%であり、溶製鉄鋼部材220におけるCの含有比は1.8at%である。
このように、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材のうち一方の鉄鋼部材が溶製鉄鋼部材である点で実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合とは異なるが、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、接合体形成工程S220により形成した接合体200を第2温度Tに加熱した後、接合体200を600℃以下の第3温度Tまで徐冷することとしているため、接合面240に存在するCr含有不動態層242や空隙244は、徐冷に伴って接合体200の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき(図5(c2)及び図5(d2)参照。)、最終的には接合面240に存在するCr含有不動態層242や空隙244を消散させることが可能となる(図5(e2)参照。)。
また、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、焼結鉄鋼部材210及び溶製鉄鋼部材220を用いて形成した接合体200に対して接合力強化工程S240を実施することとしているため、後述する実施例2からもわかるように、接合体形成工程S220実施後に接合面240に残存することのある空隙244を接合力強化工程S240実施中に消散させることが可能となる。
その結果、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、Crを含有する2つの鉄鋼部材(焼結鉄鋼部材210及び溶製鉄鋼部材220)を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
また、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、焼結鉄鋼部材210の600℃における熱膨張率と、溶製鉄鋼部材220の600℃における熱膨張率との差は、2×10−6m/K以下であるため、接合部分に生じる熱応力を小さくすることが可能となり、過酷な熱サイクルを受けても破断しにくい接合体200を製造することが可能となる。
また、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、焼結鉄鋼部材210におけるCの含有比と、溶製鉄鋼部材220におけるCの含有比との差は0.5at%以下であるため、焼結鉄鋼部材210と溶製鉄鋼部材220との間の硬度の差を小さくすることで、硬度の差に起因して接合部分に発生する応力を小さくすることが可能となり、接合部分で破断しにくい接合体200を製造することが可能となる。
なお、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材のうち一方の鉄鋼部材が溶製鉄鋼部材である点以外は実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施例2]
実施例2は、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法の効果を確認するための実施例である。実施例2においては、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体200における接合部分の断面電子顕微鏡写真を観察することにより、接合面240に存在する空隙244が消散しているかどうかを確認した。
図6は、接合部分の断面電子顕微鏡写真である。図6(a)は実施例2に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体200における接合部分の断面電子顕微鏡写真であり、図6(b)は比較例2に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体(図示せず。)における接合部分の断面電子顕微鏡写真である。
実施例2に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法と同様に、鉄鋼部材準備工程S210と、接合体形成工程S220と、金属組織均一化工程S230と、接合力強化工程S240とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法である。
一方、比較例2に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態2に係る鉄鋼部材の接合方法と基本的には同じ鉄鋼部材の接合方法であるが、接合力強化工程S240を含まない点で実施例2に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と異なる。
図6を参照すれば、比較例2に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体においては接合面に空隙が存在するが、実施例2に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体200においては、接合面240に空隙が存在しないことがわかる。
このことにより、実施例2に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体200においては、接合面240に存在する空隙244が消散していることが確認できた。
[実施形態3]
実施形態3は、本発明の鉄鋼部材の接合方法を説明するための実施形態である。
図7は、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図7(a1)は接合体準備工程S310説明するために示す図であり、図7(b1)は接合体形成工程S320を説明するために示す図であり、図7(c1)は金属組織均一化工程S330を説明するために示す図であり、図7(d1)及び図7(e1)は接合力強化工程S340を説明するために示す図であり、図7(a2)〜図7(e2)は図7(a1)〜図7(e1)における領域Aの部分拡大図である。
実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、Crを含有する2つの鉄鋼部材に溶製鉄鋼部材を用いるとともに、2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて接合体形成工程を行う点で実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法とは異なる。
すなわち、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法において、鉄鋼部材準備工程S310においては、図7(a1)に示すように、Crを含有する2つの鉄鋼部材として2つの溶製鉄鋼部材310,320を準備するとともに介在用の焼結鉄鋼部材330を準備し、接合体形成工程S320においては、図7(b1)に示すように、2つの溶製鉄鋼部材310,320の間に介在用の焼結鉄鋼部材330を介在させて2つの溶製鉄鋼部材310,320における接合予定面312,322を突き合わせた状態で、2つの溶製鉄鋼部材310,320を互いに接合して接合体300を形成することとしている。
実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法においては、2つの溶製鉄鋼部材310,320として、溶製法により得られる鉄鋼材料(熱間金型用鋼SKD61。)からなる溶製鉄鋼部材を用いる。また、介在用の焼結鉄鋼部材330として、焼結法により得られる鉄鋼材料(ウッデホルム株式会社製、ELMAX。)からなる焼結鉄鋼部材を用いる。
このように、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材に溶製鉄鋼部材を用いるとともに、2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて接合体形成工程を行う点で実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合とは異なるが、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、接合体形成工程S320により形成した接合体300を第2温度Tに加熱した後、接合体300を600℃以下の第3温度Tまで徐冷することとしているため、接合面340a,340bに存在するCr含有不動態層342や空隙344は、徐冷に伴って接合体300の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき(図7(b2)〜図7(d2)参照。)、最終的には接合面340a,340bに存在するCr含有不動態層342や空隙344を消散させることが可能となる(図7(e2)参照。)。
また、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、2つの溶製鉄鋼部材310,320の間に介在用の焼結鉄鋼部材330を介在させて形成した接合体300に対して接合力強化工程S340を実施することとしているため、後述する実施例3からもわかるように、接合体形成工程S320実施後に接合面340a,340bに残存することのある空隙344を接合力強化工程S340実施中に消散させることが可能となる。
その結果、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、Crを含有する2つの鉄鋼部材(2つの溶製鉄鋼部材310,320)を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
なお、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材に溶製鉄鋼部材を用いるとともに、2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて接合体形成工程を行う点以外は実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施例3]
実施例3は、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法の効果を確認するための実施例である。実施例3においては、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体300における接合部分の断面電子顕微鏡写真を観察することにより、接合面340a,340bに存在する空隙344が消散しているかどうかを確認した。
図8は、接合部分の断面電子顕微鏡写真である。図8(a)は実施例3に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体300における接合部分の断面電子顕微鏡写真であり、図8(b)は比較例3に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体(図示せず。)における接合部分の断面電子顕微鏡写真である。なお、図8においては、2つの溶製鉄鋼部材310,320のうち一方の溶製鉄鋼部材310と介在用の焼結鉄鋼部材330との接合部分を図示している。
実施例3に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法と同様に、鉄鋼部材準備工程S310と、接合体形成工程S320と、金属組織均一化工程S330と、接合力強化工程S340とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法である。
一方、比較例3に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態3に係る鉄鋼部材の接合方法と基本的には同じ鉄鋼部材の接合方法であるが、接合力強化工程S340を含まない点で実施例3に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と異なる。
図8を参照すれば、比較例3に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体においては接合面に空隙が存在するが、実施例3に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体300においては接合面340a(図8(a)ではわからないが、接合面340bの場合も同様。)に空隙344が存在しないことがわかる。
このことにより、実施例3に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体300においては、接合面340a,340bに存在する空隙344が消散していることが確認できた。
[実施形態4]
実施形態4は、本発明の鉄鋼部材の接合方法を説明するための実施形態である。
図9は、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。図10は、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図10中、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
図11は、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図11(a1)は接合体準備工程S410を説明するために示す図であり、図11(b1)及び図11(c1)は接合体形成工程S420を説明するために示す図であり、図11(d1)は金属組織均一化工程S430を説明するために示す図であり、図11(a2)〜図11(d2)は図11(a1)〜図11(d1)における領域Aの部分拡大図である。
実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法は、図9に示すように、鉄鋼部材準備工程S410と、接合体形成工程S420と、金属組織均一化工程S430とをこの順序で含む。
1.接合体準備工程
接合体準備工程S410は、Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備するとともに、Niを含有する介在用の鉄鋼部材をさらに準備する工程である(図11(a)参照。)。
Crを含有する2つの鉄鋼部材としては、溶製法により得られる鉄鋼材料(熱間金型用鋼SKD61。)からなる2つの溶製鉄鋼部材410,420を用いる。2つの溶製鉄鋼部材410,420の形状は、それぞれ円柱形状(20mmφ×20mmL)である。2つの溶製鉄鋼部材410,420における接合予定面412,422は平面である。2つの溶製鉄鋼部材410,420における接合予定面412,422の算術平均粗さRaは、0.1μmである。
また、Niを含有する介在用の鉄鋼部材としては、ステンレス鋼SUS316Lからなる鉄鋼部材430を用いる。介在用の鉄鋼部材430におけるNiの含有量は、14at%である。介在用の鉄鋼部材430の形状は、円盤形状(20mmφ×0.3mmt)である。
2.接合体形成工程
接合体形成工程S420は、2つの溶製鉄鋼部材410,420の間に介在用の鉄鋼部材430を介在させて2つの溶製鉄鋼部材410,420における接合予定面412,422を突き合わせた状態で、介在用の鉄鋼部材430が溶融しない温度条件下で2つの溶製鉄鋼部材410,420を接合可能な第1温度T(例えば、1000℃〜1100℃(図10においては1070℃))に加熱することにより、2つの溶製鉄鋼部材410,420を互いに接合して接合体400を形成する工程である(図11(b1)参照。)。
接合体形成工程S420においては、真空パルス通電接合装置を用いて接合体400の形成を行う。接合体400を形成するための押圧は、油圧を用いて例えば10MPaの圧力条件で行う。接合体400を形成するための加熱は、2つの溶製鉄鋼部材410,420の間に介在用の鉄鋼部材430を介在させた状態で2つの溶製鉄鋼部材410,420にパルス通電することにより行う。第1温度Tにおける保持時間(第1熱処理時間t)は30分間とする(図10参照。)。接合体形成工程S420実施後には、接合体400を室温まで徐冷する。
3.金属組織均一化工程
金属組織均一化工程S430は、接合体400を、接合体400の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度T(例えば、1000℃〜1150℃(図10においては1040℃))に加熱する工程である(図11(d1)参照。)。
金属組織均一化工程S430においては、真空炉を用いて接合体400の加熱を行う。第4温度Tにおける保持時間(第4熱処理時間t)は1時間(図10参照。)である。金属組織均一化工程S430実施後には、接合体400をMs点まで急冷し、その後接合体400を徐冷する。
以上のような工程を含む実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、Niを含有する介在用の鉄鋼部材430を介在させて2つの溶製鉄鋼部材410,420を接合することとしているため、後述する実施例4からもわかるように、接合体形成工程S420実施中に生成することのあるCr含有不動態層や空隙444は、接合力形成工程S420中に母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、最終的には接合面440a,440bにほぼ存在しなくなる(図11(b2)〜図11(c2)参照。)。なお、図11(b2)〜図11(c2)においては、接合体形成工程S420実施中に生成することのあるCr含有不動態層の図示を省略している。
その結果、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法は、Crを含有する2つの鉄鋼部材(2つの溶製鉄鋼部材410,420)を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
また、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、介在用の鉄鋼部材430が溶融しない温度条件下で接合体400を形成することとしているため、接合部分における金属組織がじん性の低い金属組織に変化することがなくなり、その結果、耐衝撃性に優れた接合体を製造することが可能となる。
また、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、介在用の鉄鋼部材430におけるNiの含有量は、5at%〜30at%であるため、接合部分における機械的強度が低下するのを抑制することが可能となり、また、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
[実施例4]
実施例4は、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法の効果を確認するための実施例である。実施例4においては、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体400における接合部分の断面電子顕微鏡写真を観察することにより、接合面440a,440bに存在する空隙444が消散しているかどうかを確認した。
図12は、接合部分の断面電子顕微鏡写真である。図12(a)及び図12(b)は実施例4に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体400における接合部分の断面電子顕微鏡写真であり、図12(c)は変形例に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体(図示せず。)における接合部分の断面電子顕微鏡写真である。
なお、図12(a)は低倍率による接合部分の断面電子顕微鏡写真であり、図12(b)及び図12(c)は高倍率による断面電子顕微鏡写真である。
実施例4に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法と同様に、鉄鋼部材準備工程S410と、接合体形成工程S420と、金属組織均一化工程S430とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法である。
一方、変形例に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法と基本的には同じ鉄鋼部材の接合方法であるが、金属組織均一化工程S430の後に接合力強化工程S440(図示せず。)を含む点で実施例4に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と異なる。
図12を参照すれば、実施例4に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体400においては接合面440a(図12(b)ではわからないが、接合面440bの場合も同様。)に空隙444が存在しないことがわかる。また、変形例に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体においても接合面に空隙が存在しないことがわかる。
このことにより、実施例4に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体400又は変形例に係る鉄鋼部材の接合方法により形成された接合体のいずれにおいても、接合面に存在する空隙が消散していることが確認できた。
[実施形態5]
実施形態5は、本発明の鉄鋼部材の接合方法を説明するための実施形態である。
図13は、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示すフローチャートである。図13中、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、接合力強化工程における徐冷の仕方が実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合とは異なる。
すなわち、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法において、接合力強化工程S540においては、接合体を第2温度Tに加熱した後、第3温度Tまで徐冷する間に、800℃〜900℃の範囲内にある第5温度T(図13においては、850℃。)で少なくとも時間tだけ保持(図13においては、60分間。)することとしている。
このように、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法は、接合力強化工程における徐冷の仕方が実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合とは異なるが、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、接合体形成工程S520により形成した接合体を第2温度Tに加熱した後、接合体を600℃以下の第3温度Tまで徐冷することとしているため、接合面に存在するCr含有不動態層や空隙は、徐冷に伴って接合体の金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、最終的には接合面に存在するCr含有不動態層や空隙を消散させることが可能となる。
また、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、2つの焼結鉄鋼部材を用いて形成した接合体に対して接合力強化工程S540を実施することとしているため、接合体形成工程S520実施後に接合面に残存することのある空隙を接合力強化工程S540実施中に消散させることが可能となる。
その結果、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、Crを含有する2つの鉄鋼部材(2つの焼結鉄鋼部材)を互いに接合して接合体を製造する場合にも十分に高い接合力を得ることが可能な鉄鋼部材の接合方法となる。
また、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、焼きなまし効果により接合体500の硬度を低くして、接合体500を機械加工する際の加工性を高めることが可能となるという効果も有する。
なお、実施形態5に係る鉄鋼部材の接合方法は、接合力強化工程における徐冷の仕方が異なること以外は実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態6]
実施形態6は、本発明の鉄鋼部材の接合方法及びそれにより製造される鉄鋼製品を説明するための実施形態である。実施形態6においては、鉄鋼製品として、ダイカスト金型(実施形態6に係るダイカスト金型)を例にとって説明する。
図14は、実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図14(a)は鉄鋼部材準備工程S610を説明するために示す図であり、図14(b)は接合体形成工程S620を説明するために示す図であり、図14(c)は金属組織均一化工程S630を説明するために示す図であり、図14(d)は接合力強化工程S640を説明するために示す図であり、図14(e)は切削工程S650を説明するために示す図である。
実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、図14(a)に示すように、2つの焼結鉄鋼部材として、接合予定面612,622に熱交換用媒体流路形成用溝614,624が形成された2つの焼結鉄鋼部材610,620を用いる。
このため、実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、図14(e)に示すように、接合体600に対して必要な切削加工を行うことにより、熱交換用媒体流路660を内部に含むダイカスト金型650(実施形態6に係るダイカスト金型)を製造することが可能となる。
このとき、実施形態6に係るダイカスト金型650は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程によって製造されたものであることから、十分に高い接合力で接合され、信頼性が高くかつ寿命が長いダイカスト金型となる。
なお、実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態7]
実施形態7は、本発明の鉄鋼部材の接合方法及びそれにより製造される鉄鋼製品を説明するための実施形態である。実施形態7においては、鉄鋼製品として、ダイカスト金型(実施形態7に係るダイカスト金型)を例にとって説明する。
図15は、実施形態7に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図15(a)は鉄鋼部材準備工程S710を説明するために示す図であり、図15(b)は接合体形成工程S720を説明するために示す図であり、図15(c)は金属組織均一化工程S730を説明するために示す図であり、図15(d)は接合力強化工程S740を説明するために示す図であり、図15(e)は切削工程S750を説明するために示す図である。
実施形態7に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、接合する焼結鉄鋼部材の数及び形状が実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法の場合とは異なる。
すなわち、実施形態7に係る鉄鋼部材の接合方法においては、図15(a)に示すように、3つの焼結鉄鋼部材710,720,730を用いる。焼結鉄鋼部材710には熱交換用媒体流路形成用溝714が形成されており、焼結鉄鋼部材720には熱交換用媒体流路形成用孔726が形成されており、焼結鉄鋼部材730には熱交換用媒体流路形成用溝734及び熱交換用媒体流路形成用孔736が形成されている。
このように、実施形態7に係る鉄鋼部材の接合方法は、接合する焼結鉄鋼部材の数及び形状が実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法の場合とは異なるが、図15(e)に示すように、接合体700に対して必要な切削加工を行うことにより、実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法の場合と同様に、熱交換用媒体流路760を内部に含むダイカスト金型750(実施形態7に係るダイカスト金型)を製造することが可能となる。
このとき、実施形態7に係るダイカスト金型750は、基本的には実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程によって製造されたものであることから、十分に高い接合力で接合され、信頼性が高くかつ寿命が長いダイカスト金型となる。
なお、実施形態7に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態6に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態8]
実施形態8は、本発明の鉄鋼部材の接合方法及びそれによって製造される鉄鋼製品を説明するための実施形態である。実施形態8においては、鉄鋼製品として、ダイカスト金型に用いる加圧ピン(実施形態8に係る加圧ピン)を例にとって説明する。
図16は、実施形態8に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図16(a)は鉄鋼部材準備工程S810を説明するために示す図であり、図16(b)は接合体形成工程S820を説明するために示す図であり、図16(c)は金属組織均一化工程S830を説明するために示す図であり、図16(d)は接合力強化工程S840を説明するために示す図である。
実施形態8に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、図16(a)に示すように、2つの焼結鉄鋼部材として、それぞれNC切削加工により所定の形状に切削されている2つの焼結鉄鋼部材810,820を用いる。
このため、実施形態8に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、ダイカスト金型に用いる加圧ピン850(実施形態8に係る加圧ピン)を製造することが可能となる。
このとき、実施形態8に係る加圧ピン850は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程によって製造されたものであることから、十分に高い接合力で接合され、信頼性が高くかつ寿命が長い加圧ピンとなる。
なお、実施形態8に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態9]
実施形態9は、本発明の鉄鋼部材の接合方法及びそれにより製造される鉄鋼製品を説明するための実施形態である。実施形態9においては、鉄鋼製品として、固定金型及び移動金型からなるダイカスト金型用の合わせ金型のうち、キャビティ用の凹部が形成された固定金型(実施形態9に係る固定金型)を例にとって説明する。
図17は、実施形態9に係る鉄鋼部材の接合方法を説明するために示す図である。図17(a)は鉄鋼部材準備工程S910を説明するために示す図であり、図17(b)及び図17(c)は接合体形成工程S920を説明するために示す図であり、図17(d)は金属組織均一化工程S930を説明するために示す図であり、図17(e)は切削工程S940を説明するために示す図である。
実施形態9に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むが、図17(a)に示すように、2つの溶製鉄鋼部材として、接合予定面912が平面である溶製鉄鋼部材910及び接合予定面922に熱交換用媒体流路形成用溝924が形成された焼結鉄鋼部材920を用いるとともに、Niを含有する介在用の鉄鋼部材として、ステンレス鋼S316からなる鉄鋼部材930を用いる。
このため、実施形態9に係る鉄鋼部材の接合方法によれば、図17(e)に示すように、接合体900に対して必要な切削加工を行うことにより、熱交換用媒体流路960を内部に含む固定金型950(実施形態9に係る固定金型)を製造することが可能となる。
このとき、実施形態9に係る固定金型950は、基本的には実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程によって製造されたものであることから、十分に高い接合力で接合され、信頼性が高くかつ寿命が長い固定金型となる。
実施形態9に係る固定金型950によれば、接合面940a,940bがキャビティ用の凹部952に露出しないため、接合面940a,940bがキャビティ用の凹部952に露出することに起因してダイカスト製品の品質が劣化したり、固定金型の寿命が短くなったりすることがない。
なお、実施形態9に係る鉄鋼部材の接合方法は、基本的には実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法と同様の工程を含むため、実施形態4に係る鉄鋼部材の接合方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
以上、本発明の鉄鋼部材の接合方法及び鉄鋼製品を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態1〜3又は5〜8においては、鉄鋼部材準備工程と、接合体形成工程と、金属組織均一化工程と、接合力強化工程をこの順に含む鉄鋼部材の接合方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、接合体準備工程としてCrを含有する2つの鉄鋼部材が予め接合された接合体を準備しておき、当該接合体に対して接合力強化工程を実施する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法をも含むものである。
この場合、接合体として、2つの焼結鉄鋼部材が互いに接合された接合体、焼結鉄鋼部材と溶製鉄鋼部材とが互いに接合された接合体又は介在用の焼結鉄鋼部材を介在した状態で2つの溶製鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いることができる。
(2)上記実施形態1〜3又は5〜8において、接合力強化工程においては、850℃から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で徐冷することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、850℃から600℃に降温するのに10時間以上又は15時間以上かける条件で徐冷することとしてもよい。
(3)上記実施形態1〜3又は5〜8において、接合力強化工程においては、850℃から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で徐冷することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2温度T又は焼結鉄鋼部材におけるA変態点のうち低い方の温度から600℃に降温するのに5時間以上(又は10時間以上若しくは15時間以上。)かける条件で徐冷することとしてもよい。
(4)上記実施形態1〜3又は5〜8においては、接合力強化工程をパルス通電接合装置を用いて行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、通常の真空加熱炉を用いて行うこともできる。
(5)上記実施形態1〜3又は5〜8においては、接合体形成工程、金属組織均一化工程及び接合力強化工程を真空中において行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、これらの工程の全部又は一部をNガス、Arガス等の不活性ガス雰囲気中において行うこともできる。
(6)上記実施形態1〜3又は5〜8においては、焼結鉄鋼部材又は介在用の焼結鉄鋼部材としてウッデホルム株式会社製のELMAXからなる焼結鉄鋼部材を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼又は高速度工具鋼からなる各種焼結鉄鋼部材を用いることもできる。
(7)上記実施形態2〜4又は9においては、溶製鉄鋼部材として熱間金型用鋼(SKD61)からなる溶製鉄鋼部材を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、SKD61以外の熱間金型用鋼又は熱間金型用鋼以外の鉄鋼部材(例えば、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、機械構造用合金鋼又は高速度工具鋼からなる溶製鉄鋼部材。)を用いることもできる。
(8)上記実施形態4又は9においては、介在用の鉄鋼部材として、Niを含有する介在用の鉄鋼部材を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、Cuを含有する介在用の鉄鋼部材を用いることもできる。
(9)上記各実施形態においては、接合予定面が平面である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。接合予定面が互いに密着可能であれば、接合予定面が平面でない場合(例えば、曲面形状、段差形状など。)であってもよい。
(10)上記実施形態6〜9においては、鉄鋼製品として、ダイカスト金型、加圧ピン又は固定金型を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。鉄鋼製品としては、ダイカスト金型、加圧ピン又は固定金型以外の各種成形金型、各種工具、各種構造部材などを例示することができる。
符号の説明
100,200,300,400,600,700,800,900…接合体、110,120,210,610,620,710,720,730,810,820…焼結鉄鋼部材、112,122,212,222,312,322,412,422,612,622,712,722a,722b,732,812,822,912,922…接合予定面、220,310,320,410,420,910,920…溶製鉄鋼部材、330…介在用の焼結鉄鋼部材、430,930…介在用の鉄鋼部材、140,240,340a,340b,440a,440b,640,740a,740b,840,940a,940b…接合面、142,242,342…Cr含有不動態層、144,244,344,444…空隙、614,624,714,734,924…熱交換用媒体流路形成用溝、726,736…熱交換用媒体流路形成用孔、650,750…ダイカスト金型、660,760,960…熱交換用媒体流路、850…加圧ピン、950…固定金型、952…キャビティ用の凹部、Ms…Ms点、T…第1温度、T…第2温度、T…第3温度、T…第4温度、T…第5温度、t……第1熱処理時間、t…第2熱処理時間、t…第3熱処理時間、t…第4熱処理時間、t…第5熱処理時間

Claims (16)

  1. Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、
    前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、
    前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、2つの焼結鉄鋼部材を準備し、
    前記接合体形成工程においては、前記2つの焼結鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成することを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  2. Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、
    前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、
    前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、焼結鉄鋼部材と溶製鉄鋼部材とを準備し、
    前記接合体形成工程においては、前記焼結鉄鋼部材と前記溶製鉄鋼部材とを互いに接合して接合体を形成することを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  3. Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、
    前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、
    前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、2つの溶製鉄鋼部材を準備するとともに、介在用の焼結鉄鋼部材をさらに準備し、
    前記接合体形成工程においては、前記2つの溶製鉄鋼部材の間に前記介在用の焼結鉄鋼部材を介在させて前記2つの溶製鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの溶製鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成することを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記接合力強化工程においては、前記接合体を前記第2温度に加熱した後、前記第2温度又は前記焼結鉄鋼部材におけるA変態点のうち低い方の温度から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で前記第3温度に徐冷することを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記接合力強化工程においては、前記接合体を前記第2温度に加熱した後、前記第2温度又は850℃のうち低い方の温度から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で前記第3温度に徐冷することを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記焼結鉄鋼部材は、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼又は高速度工具鋼からなる鉄鋼部材であることを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  7. 請求項2に記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記焼結鉄鋼部材の600℃における熱膨張率と、前記溶製鉄鋼部材の600℃における熱膨張率との差は、2×10−6m/K以下であることを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  8. 請求項2に記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記焼結鉄鋼部材におけるCの含有比と、前記溶製鉄鋼部材におけるCの含有比との差は、0.5at%以下であることを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  9. Crを含有する2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、
    前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含む鉄鋼部材の接合方法であって、
    前記鉄鋼部材準備工程においては、前記2つの鉄鋼部材として、2つの溶製鉄鋼部材を準備するとともに、Ni又はCuを含有する介在用の鉄鋼部材をさらに準備し、
    前記接合体形成工程においては、前記2つの溶製鉄鋼部材の間に前記介在用の鉄鋼部材を介在させて前記2つの溶製鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記介在用の鉄鋼部材が溶融しない温度条件下で前記2つの溶製鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成することを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  10. 請求項2、3又は9のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記溶製鉄鋼部材は、熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、機械構造用合金鋼又は高速度工具鋼からなる鉄鋼部材であることを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記接合体形成工程の後に、前記接合体を、前記接合体の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度に加熱する金属組織均一化工程をさらに含むことを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記2つの鉄鋼部材における前記接合予定面は、平面であることを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  13. 請求項12に記載の鉄鋼部材の接合方法において、
    前記接合予定面における算術平均粗さRaは、0.2μm以下であることを特徴とする鉄鋼部材の接合方法。
  14. Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を強化する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法であって、
    前記接合体として、2つの焼結鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含むことを特徴とする、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法。
  15. Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を強化する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法であって、
    前記接合体として、焼結鉄鋼部材と溶製鉄鋼部材とが互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含むことを特徴とする、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法。
  16. Crを含有する2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体の接合力を強化する、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法であって、
    前記接合体として、2つの溶製鉄鋼部材の間に介在用の焼結鉄鋼部材を介在させた状態で前記2つの溶製鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、
    前記接合体を800℃〜1150℃の範囲内にある第2温度に加熱した後、前記接合体を600℃以下の第3温度まで徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で含むことを特徴とする、鉄鋼部材からなる接合体における接合力強化方法。
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