JP5149797B2 - 成形金型の製造方法及び鉄鋼製品の製造方法 - Google Patents

成形金型の製造方法及び鉄鋼製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形金型の製造方法及び鉄鋼製品の製造方法に関する。
従来、熱交換媒体流路が内部に形成された成形金型が知られている。このような成形金型によれば、成形金型の内部に形成された熱交換媒体流路に熱交換媒体を通すことが可能となるため、成形製品を成形するときに成形金型を効率よく加熱したり冷却したりすることが可能となる。
図9及び図10は、従来の成形金型の製造方法を説明するために示す図である。図9(a)は鉄鋼部材912,914の断面図であり、図9(b)は鉄鋼部材914の底面図であり、図9(c)は成形金型910の断面図である。
従来の成形金型の製造方法は、図9及び図10に示すように、鉄鋼部材912と、熱交換媒体流路用溝934が形成された鉄鋼部材914とを接合予定面922,924において互いに当接させ、オーステナイト領域温度(例えば、1050℃。)に昇温、保持する第1熱処理工程S912と、冷却後に鉄鋼部材912,914をオーステナイト領域温度よりも低い温度(例えば、900℃。)に昇温、保持する第2熱処理工程S914とを行うことにより、成形金型910を製造する成形金型の製造方法である(例えば、特許文献1(特に実施例E1)参照。)。
このため、従来の成形金型の製造方法によれば、第1熱処理工程S912を実施することにより、鉄鋼部材912,914を接合して熱交換媒体流路930が内部に形成された接合体を形成することが可能となる。また、第2熱処理工程S914を実施することにより、接合面926に残存することのある空隙を消失させ、上記接合体を、鉄鋼部材912,914が強固に接合され機械的強度に優れた接合体とすることが可能になる。その結果、熱交換媒体流路930が内部に形成され機械的強度に優れた成形金型910を製造することが可能となる。
特開平11−151581号公報
しかしながら、本発明の発明者らの実験によれば、従来の成形金型の製造方法においては、成形金型の材料としてCrを含有する鉄鋼材料を用いた場合には、あまり成形を重ねないうちに接合面が破壊されてしまい、耐久性の高い成形金型を製造することが困難であるという問題があることが判明した。
なお、このような問題は、鉄鋼部材を接合する工程を含む成形金型の製造方法においてのみ見られる問題ではなく、鉄鋼部材を接合する工程を含む鉄鋼製品の製造方法全般に見られる問題である。
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、成形金型の材料としてCrを含有する鉄鋼材料を用いた場合に、成形金型の耐久性を従来よりも高くすることが可能な成形金型の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、本発明の成形金型の製造方法を用いて製造された成形金型を用いて製造された成形製品を提供することを目的とする。さらにまた、本発明は、鉄鋼製品の材料としてCrを含有する鉄鋼材料を用いた場合に、鉄鋼製品の耐久性を従来よりも高くすることが可能な鉄鋼製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するため、上記問題が発生する原因、すなわち、成形金型の材料としてCrを含有する鉄鋼材料を用いた場合、あまり成形を重ねないうちに接合面が破壊されてしまう原因を究明すべく鋭意努力を重ねた結果、この原因は、以下の点にあるという知見を得た。
本発明の発明者らの実験によれば、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材を接合した場合、接合面にCr含有不動態層及び/又は空隙が生成し、このCr含有不動態層及び/又は空隙に起因して接合面における接合強度が低下することが判明している。このように接合強度の低下した接合面は、穏和な条件においては破壊されることはないのであるが、成形時における熱の影響によって接合体の金属組織がまさに変化している最中に、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生すると、この内部応力によって接合面が破壊されるのである。
そこで、本発明者の発明者らは、上記知見に基づき、接合体の金属組織を予め成形温度に耐え得る金属組織に変化させておけば、成形時における熱の影響を受けても接合体の金属組織がほとんど変化しなくなるため、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面の破壊を抑制することが可能となり、上記のような問題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(1)すなわち、本発明の成形金型の製造方法は、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いて成形金型を製造する成形金型の製造方法であって、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、前記接合体の焼き入れ処理を行う焼き入れ工程と、前記接合体を所定温度に加熱することにより、前記接合体の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておく金属組織耐熱化工程とをこの順に含むことを特徴とする。
このため、本発明の成形金型の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程を実施して接合体の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことにより、成形時における熱の影響を受けても接合体の金属組織はほとんど変化しなくなる。その結果、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面の破壊を抑制することが可能となり、成形金型の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。本発明の成形金型の製造方法において「成形温度に耐え得る金属組織」とは、「成形時における熱の影響を受けても構造がほとんど変化しない金属組織」のことである。
また、本発明の成形金型の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程を実施する過程で靭性が高くなるため、耐衝撃性を高くすることも可能となる。これによっても、成形金型の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
なお、上記した特許文献1には、従来の成形金型の製造方法を行った後に、焼き入れ処理及び焼き戻し処理からなる第3熱処理工程をさらに行うことを特徴とする従来の他の成形金型の製造方法が記載されている(特許文献1(実施例E2)参照。)。
しかしながら、従来の他の成形金型の製造方法においては、第3熱処理工程における焼き戻し処理を550℃の温度で行っているにすぎないため、多くの場合、接合体の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことは困難である。例えば、製造対象の成形金型がアルミダイカスト金型である場合には、従来の他の成形金型の製造方法のように550℃程度の焼き戻し処理を行ったのでは接合体の金属組織を成形温度(660℃近傍)に耐え得る金属組織に予め変化させておくことはできない。
本発明の成形金型の製造方法においては、焼き入れ工程及び金属組織耐熱化工程を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において行うことが好ましい。このような方法とすることにより、酸素等の活性ガスの存在に起因して接合体の表面が変質してしまうのを抑制することが可能となる。
また、本発明の成形金型の製造方法においては、金属組織耐熱化工程実施後に、不活性ガス雰囲気中又は大気中で接合体を冷却することが好ましい。
(2)本発明の成形金型の製造方法においては、 前記所定温度は、600℃〜850℃の範囲内にあることが好ましい。
すなわち、所定温度を600℃以上とすることにより、アルミニウム製品を成形する場合(例えば、アルミニウム鋳造成形、アルミニウム鍛造成形など。)に、接合体の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことが可能となる。このため、アルミニウム製品を成形する場合の成形温度よりも低い成形温度で使用する成形金型を製造する場合に好適に用いることができる。一方、所定温度を850℃以下とすることにより、成形金型の硬度を各種成形金型として使用可能な硬度(例えば、ロックウェルCスケール硬さHRC硬度が10以上。)を得ることが可能となる。
(3)本発明の成形金型の製造方法においては、前記所定温度は、660℃〜720℃の範囲内にあることが好ましい。
すなわち、所定温度を660℃以上(アルミニウムの溶湯温度近傍)とすることにより、アルミニウム製品を成形する場合(例えば、アルミニウム鋳造成形、アルミニウム鍛造成形など。)に、接合体の金属組織を成形温度に十分耐え得る金属組織に予め変化させておくことが可能となる。一方、所定温度を720℃以下とすることにより、成形金型の硬度を各種成形金型として好適に使用可能な硬度(例えば、ロックウェルCスケール硬さHRC硬度が28以上。)を得ることが可能となる。
(4)本発明の成形金型の製造方法においては、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記所定温度以下の温度で前記接合体の表面硬度を高くする表面処理工程をさらに含むことが好ましい。
本発明の成形金型の製造方法においては、金属組織耐熱化工程を実施することによって成形金型のバルクとしての硬度が低下することがあるとしても、上記のような方法とすることにより、成形金型の表面硬度を高くすることが可能となり、成形金型の耐久性をさらに高くすることが可能となる。
なお、本発明の成形金型の製造方法においては、所定温度以下の温度で表面処理工程を実施することとしているため、表面処理工程を実施する過程で接合体の硬度が必要以上に低下してしまうこともない。
表面処理工程に用いる表面処理法としては、拡散処理法又は被覆処理法を用いることができる。これらのうち拡散処理法としては、窒化処理法、軟窒化処理法、浸硼処理法、浸硫処理法又は浸硫窒化処理法を用いることができ、被覆処理法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法又は硬質クロームめっきを用いることができる。
なお、本発明の成形金型の製造方法において、所定温度以下の温度とは、金属組織耐熱化工程における最高加熱温度以下の温度をいう。
(5)本発明の成形金型の製造方法においては、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記所定温度以下の温度で前記接合体の表面に被覆層を形成する被覆層形成工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体の表面に形成した被覆層が接合体を強固にホールドするため、接合面の破壊による乖離を抑制することが可能となり、成形金型の耐久性を従来よりもさらに高くすることが可能となる。
(6)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合体準備工程は、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材を互いに接合する鉄鋼部材接合工程を含む接合体製造工程であって、前記接合体製造工程は、前記複数の鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせ、前記複数の鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記複数の鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記複数の鉄鋼部材を接合して接合体を形成する接合体形成工程と、前記接合体を、前記鉄鋼部材におけるA変態点以上の第2温度に加熱し、次いで600℃以下の温度に徐冷することにより前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とを含むことが好ましい。
ところで、本発明の発明者らの実験によれば、接合体の材料としてCrを含有する鉄鋼材料を用いた場合、接合面に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙に起因して、高い接合力で接合された接合体を製造することが容易ではないという問題があることが判明している。
しかしながら、上記のような方法とすることにより、すなわち接合体形成工程実施後に上記した接合力強化工程を実施することにより、接合面に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙を消散させることで、十分に高い接合力をもって接合された接合体を製造することが可能となる。その結果、本発明の成形金型の製造方法は、十分に高い接合力をもって接合された接合体を用いて成形金型を製造することが可能となるため、成形金型の耐久性をさらに高くすることが可能となる。
本発明の成形金型の製造方法において、接合面に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙を消散させて接合力を十分に高くするには、接合体を、鉄鋼材料のA変態点以上の第2温度に加熱し、次いで600℃以下の温度に徐冷することが必要である。
このような方法とすることにより、接合面に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙は、徐冷に伴って金属組織が変態する過程で母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、接合力を十分に高くすることが可能となる。
なお、本発明の成形金型の製造方法においては、接合体形成工程及び接合力強化工程を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において行うことが好ましい。このような方法とすることにより、接合体形成工程及び接合力強化工程における酸素等の活性ガスの存在に起因して発生する悪影響を抑制することが可能となる。
また、本発明の成形金型の製造方法においては、接合力強化工程実施後に、不活性ガス雰囲気中で接合体を冷却することが好ましい。このような方法とすることにより、冷却過程で接合体の表面が酸化して品質が劣化するのを抑制することが可能となる。
(7)本発明の成形金型の製造方法においては、前記第1温度は、850℃〜1100℃の範囲内であることが好ましい。
このような方法とすることにより、複数の鉄鋼部材を十分に接合して接合体を形成することが可能となる。
(8)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合体形成工程実施後に、前記接合体を徐冷することが好ましい。
このような方法とすることにより、加圧により生じる接合体の応力歪みの発生を抑制して均質性の高い接合体を形成することが可能となる。
(9)本発明の成形金型の製造方法においては、前記第2温度は、前記A変態点よりも100℃高い温度以下の範囲内にあることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合面に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙をさらに十分に消散させて接合力をさらに十分に高くすることが可能となる。
(10)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合力強化工程は、前記接合体を、前記A変態点から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で600℃以下の第3温度に徐冷することにより前記接合体における接合力を強化することが好ましい。
このような方法とすることにより、接合面に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙を十分に消散させて接合力を十分に高くすることが可能となる。
この観点から言えば、A変態点から600℃に降温するのに10時間以上かける条件で第3温度に徐冷することがより好ましく、A変態点から600℃に降温するのに15時間以上かける条件で第3温度に徐冷することがさらに好ましい。
(11)本発明の成形金型の製造方法においては、前記第3温度は、550℃以下であることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体の均質性を高くするとともに、接合体の硬度を低くして機械加工する際の加工性を高くすることが可能となる。
(12)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合体形成工程と前記接合力強化工程との間に、前記接合体の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度に前記接合体を加熱する金属組織均一化工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体形成工程と接合力強化工程との間に金属組織均一化工程を実施することにより、接合体形成工程を経て不均一な状態となっている金属組織をより均一にすることが可能となるため、さらに均質性の高い接合体を形成することが可能となる。
なお、本発明の成形金型の製造方法においては、金属組織均一化工程を、真空中又は不活性ガス雰囲気中において行うことが好ましい。
このような方法とすることにより、金属組織均一化工程における酸素等の活性ガスの存在に起因して発生する悪影響を抑制することが可能となる。
(13)本発明の成形金型の製造方法においては、前記第4温度は、1000℃〜1200℃の範囲内にあることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体形成工程を経て不均一な状態となっている金属組織をより均一にすることが可能になるため、均質性の高い接合体を形成することが可能となる。
(14)本発明の成形金型の製造方法においては、前記金属組織均一化工程実施後に、前記接合体をMs点まで急冷し、その後前記接合体を徐冷することが好ましい。
このような方法とすることにより、焼入れ効果により、接合体の硬度を高くすることで、強度が高く高品質の接合体を形成することが可能となる。
(15)本発明の成形金型の製造方法においては、前記複数の鉄鋼部材における前記接合予定面は、平面であることが好ましい。
このような方法とすることにより、接合予定面を高精度に加工することが容易となるため、複数の鉄鋼部材を突き当てたときの鉄鋼部材間の密着度を高めて、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
(16)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合予定面における算術平均粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましい。
このような方法とすることにより、複数の鉄鋼部材における接合予定面同士の間隔を平均で0.4μm以下とした状態で複数の鉄鋼部材を接合することが可能となるため、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
(17)本発明の成形金型の製造方法においては、前記複数の鉄鋼部材における前記接合予定面のうち少なくとも1つの面には、熱交換媒体流路形成用の溝が形成されていることが好ましい。
このような方法とすることにより、熱交換媒体流路が内部に形成された成形金型を製造することが可能となる。
(18)本発明の成形金型の製造方法において、前記接合体形成工程においては、磁気加熱により前記複数の鉄鋼部材を加熱することが好ましい。
本発明の成形金型の製造方法においては、接合体形成工程を外部加熱又は通電加熱(パルス通電加熱を含む。)によって行うこともできるが、磁気加熱によって行うことにより、複数の鉄鋼部材を高速かつ均一に加熱することが可能となり、結果として応力歪みの小さい高品質の接合体を生産性よく製造することが可能となる。
(19)本発明の成形金型の製造方法において、前記接合体形成工程においては、サーボモータを用いて前記複数の鉄鋼部材を押圧することが好ましい。
本発明の成形金型の製造方法においては、接合体形成工程を油圧又はエア圧を用いて複数の鉄鋼部材を押圧することもできるが、サーボモータを用いることにより、複数の鉄鋼部材を一定の圧力条件で押圧することが可能となり、結果として応力歪みの小さい高品質の接合体を製造することが可能となる。
(20)本発明の成形金型の製造方法においては、前記鉄鋼材料は、熱間金型用鋼である場合に、特に大きな効果が得られる。
熱間金型用鋼は、成形金型に適した鉄鋼材料であるが、Crを含有する鉄鋼材料であるため、従来の成形金型の製造方法を用いたのでは十分に高い接合力を得ることが困難となるからである。
(21)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の粗加工を行う成形金型予備形成工程と、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の仕上げ加工を行って成形金型を形成する成形金型形成工程とをさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、焼き入れ工程の前に接合体の粗加工を行うこととしているため、接合体の硬度が高くなる前の加工性が良好な状態で接合体の粗加工を行うことが可能となる。また、金属組織の変化を伴う金属組織耐熱化工程実施後に仕上げ加工を行うこととしているため、寸法精度が高くかつ表面状態が良好な成形金型を製造することが可能となる。
(22)本発明の成形金型の製造方法においては、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の機械加工を行って成形金型を形成する成形金型形成工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、金属組織耐熱化工程実施後に接合体の機械加工を行うこととしているため、1回の機械加工で成形金型を製造することが可能となる。また、金属組織の変化を伴う金属組織耐熱化工程実施後に接合体の機械加工を行うこととしているため、寸法精度が高くかつ表面状態が良好な成形金型を製造することが可能となる。
(23)本発明の成形金型の製造方法においては、前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の機械加工を行って成形金型を形成する成形金型形成工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体準備工程と焼き入れ工程との間に接合体の機械加工を行うこととしているため、1回の機械加工で成形金型を製造することが可能となる。また、焼き入れ工程の前に接合体の機械加工を行うこととしているため、接合体の硬度が高くなる前の加工性が良好な状態で接合体の機械加工を行うことが可能となる。
(24)本発明の成形金型の製造方法においては、前記成形金型は、金属成形用の成形金型であることが好ましい。
本発明の成形金型の製造方法においては、金属成形用の成形金型、ガラス成形用の成形金型、ゴム成形用の成形金型、樹脂成形用の成形金型にも適用することができるが、成形金型が、成形時に高い温度に曝される金属成形用の成形金型である場合に特に優れた効果を有する。
金属成形用の成形金型としては、アルミニウム製品、亜鉛製品、マグネシウム製品、真鍮製品などの金属製品を製造するための鋳造金型又は鍛造金型を例示することができる。
(25)本発明の成形金型の製造方法においては、前記成形金型は、ダイカスト成形用の成形金型であることが好ましい。
本発明の成形金型の製造方法は、ダイカスト成形用の成形金型、低圧鋳造用の成形金型、重力鋳造用の成形金型その他の鋳造金型のすべてに好適に適用することができるが、成形金型が、成形時に大きな圧力がかかるダイカスト成形用の成形金型である場合に特に優れた効果を有する。
ダイカスト用の成形金型としては、アルミニウムダイカスト金型、亜鉛ダイカスト金型、マグネシウムダイカスト金型、真鍮ダイカスト金型を例示することができる。
(26)本発明の成形製品は、本発明の成形金型の製造方法を用いて製造された成形金型を用いて製造された成形製品である。
このため、本発明の成形製品は、上記のように、従来よりも高い耐久性を有する成形金型を用いて製造された成形製品であるため、高品質で製造コストの安価な成形製品となる。
このような成形製品としては、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、真鍮などの各種製品を例示することができる。
(27)本発明の鉄鋼製品の製造方法は、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いて鉄鋼製品を製造する鉄鋼製品の製造方法であって、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、前記接合体の焼き入れ処理を行う焼き入れ工程と、前記接合体を所定温度に加熱することにより、前記接合体の金属組織を使用温度に耐え得る金属組織に予め変化させておく金属組織耐熱化工程とをこの順に含むことを特徴とする。
このため、本発明の鉄鋼製品の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程を実施して接合体の金属組織を使用温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことにより、使用時における熱の影響を受けても接合体の金属組織はほとんど変化しなくなる。その結果、使用時における過酷な環境によって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面の破壊を抑制することが可能となり、上記した本発明の成形金型の製造方法の場合と同様に、鉄鋼製品の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。本発明の鉄鋼製品の製造方法において「使用温度に耐え得る金属組織」とは、「使用時における熱の影響を受けても構造がほとんど変化しない金属組織」のことである。
また、本発明の鉄鋼製品の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程を実施する過程で靭性が高くなるため、耐衝撃性を高くすることも可能となる。これによっても、鉄鋼製品の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
このため、本発明の鉄鋼製品の製造方法によって製造された鉄鋼製品は、十分に高い接合力で接合された鉄鋼製品となり、様々な用途に用いることが可能となる。鉄鋼製品としては、各種工具、各種構造材料などを例示することができる。
(28)本発明の鉄鋼製品の製造方法においては、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記所定温度以下の温度で前記接合体の表面硬度を高くする表面処理工程をさらに含むことが好ましい。
本発明の鉄鋼製品の製造方法においては、金属組織耐熱化工程を実施することによって、鉄鋼製品のバルクとしての硬度が低下することがあるとしても、上記のような方法とすることにより、鉄鋼製品の表面硬度を高くすることが可能となり、鉄鋼製品の耐久性をさらに高くすることが可能となる。
なお、本発明の鉄鋼製品の製造方法においては、所定温度以下の温度で表面処理工程を実施することとしているため、表面処理工程を実施する過程で接合体の硬度が必要以上に低下してしまうこともない。
(29)本発明の鉄鋼製品の製造方法においては、前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の粗加工を行う鉄鋼製品予備形成工程と、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の仕上げ加工を行って鉄鋼製品を形成する鉄鋼製品形成工程とをさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、焼き入れ工程の前に接合体の粗加工を行うこととしているため、接合体の硬度が高くなる前の加工性が良好な状態で接合体の粗加工を行うことが可能となる。また、金属組織の変化を伴う金属組織耐熱化工程実施後に仕上げ加工を行うこととしているため、寸法精度が高くかつ表面状態が良好な鉄鋼製品を製造することが可能となる。
(30)本発明の鉄鋼製品の製造方法においては、前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の機械加工を行って鉄鋼製品を形成する鉄鋼製品形成工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、金属組織耐熱化工程実施後に接合体の機械加工を行うこととしているため、1回の機械加工で鉄鋼製品を製造することが可能となる。また、金属組織の変化を伴う金属組織耐熱化工程実施後に接合体の機械加工を行うこととしているため、寸法精度が高くかつ表面状態が良好な鉄鋼製品を製造することが可能となる。
(31)本発明の鉄鋼製品の製造方法においては、前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の機械加工を行って鉄鋼製品を形成する鉄鋼製品形成工程をさらに含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、接合体準備工程と焼き入れ工程との間に接合体の機械加工を行うこととしているため、1回の機械加工で鉄鋼製品を製造することが可能となる。また、焼き入れ工程の前に接合体の機械加工を行うこととしているため、接合体の硬度が高くなる前の加工性が良好な状態で接合体の機械加工を行うことが可能となる。
なお、本発明の成形金型の製造方法(上記(1)〜(20)のいずれかに記載の成形金型の製造方法)で説明した好適な特徴は、本発明の鉄鋼製品の製造方法(上記(27)〜(31)のいずれかに記載の鉄鋼製品の製造方法)にも適用可能である。
実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。 実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。 実施形態2に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。 実施形態3に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。 実施形態4に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。 従来の成形金型の製造方法を説明するために示す図である。 従来の成形金型の製造方法を説明するために示す図である。
以下、本発明の成形金型の製造方法、成形製品及び鉄鋼製品の製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
実施形態1は、本発明の成形金型の製造方法を説明するための実施形態である。成形金型として、アルミダイカスト金型を例にとって説明する。
図1は、実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。図2は、実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。図3は、実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。図4は、実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。
図4(a)は接合体形成工程S112実施前における鉄鋼部材12,14を示す図であり、図4(b)は接合体形成工程S112実施中における鉄鋼部材12,14を示す図であり、図4(c)は金属組織均一化工程S114実施後における接合体10を示す図であり、図4(d)は接合力強化工程S116実施後における接合体10を示す図である。図5は、実施形態1に係る成形金型の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)は成形金型予備形成工程S120における接合体10及び成形金型予備形成体40を示す図であり、図5(b)は焼き入れ工程S130実施後における成形金型予備形成体40を示す図であり、図5(c)は金属組織耐熱化工程S140実施後における成形金型予備形成体40を示す図であり、図5(d)は成形金型形成工程S150における成形金型予備形成体40及び成形金型50を示す図である。
実施形態1に係る成形金型の製造方法は、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いて成形金型を製造する成形金型の製造方法であって、図1に示すように、接合体準備工程S110と、成形金型予備形成工程S120と、焼き入れ工程S130と、金属組織耐熱化工程S140と、成形金型形成工程S150とをこの順に含む。そして、接合体準備工程S110は、接合体形成工程S112と金属組織均一化工程S114と接合力強化工程S116とをこの順に含む。
以下に、実施形態1に係る成形金型の製造方法を各工程毎に説明する。
1.接合体形成工程S112
接合体形成工程S112は、図4(a)及び図4(b)に示すように、2つの鉄鋼部材12,14における接合予定面22,24を突き合わせ、2つの鉄鋼部材12,14を所定の圧力条件で押圧しながら、図2に示すように、2つの鉄鋼部材12,14を接合可能な第1温度T(例えば、850℃〜1100℃(図2においては1070℃。)。)に加熱することにより、2つの鉄鋼部材12,14を接合して接合体10を形成する工程である。
接合体形成工程S112においては、押圧は、油圧により行い、例えば10MPaの圧力で行う。接合体形成工程S112においては、加熱は、真空炉中で行い、第1温度Tにおける保持時間はt(図2においては30分間。)とする。接合体形成工程S112実施後には、接合体10を室温まで徐冷する。
2.金属組織均一化工程S114
金属組織均一化工程S114は、図2に示すように、接合体10を、接合体10の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度T(例えば、1000℃〜1200℃(図2においては1040℃。)。)に加熱する工程である。
接合力強化工程S116においては、加熱は、真空炉中で行い、第4温度Tにおける保持時間はt(図2においては1時間。)とする。金属組織均一化工程S114実施後には、接合体10をMs点まで急冷し、その後接合体10を徐冷する。
3.接合力強化工程S116
接合力強化工程S116は、図2に示すように、接合体10を、鉄鋼材料におけるA変態点TA1以上の第2温度T(図2においては850℃。)に加熱し、次いでA変態点TA1から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で600℃以下の第3温度T(図2においては500℃。)に徐冷することで、接合体10における接合力を強化する工程である。
接合力強化工程S116においては、加熱は、真空炉中で行い、第2温度Tにおける保持時間はt(図2においては2時間。)とする。接合力強化工程S116実施後には、不活性ガス雰囲気中(例えば、Nガス雰囲気中。)で接合体10を冷却する。
実施形態1に係る成形金型の製造方法においては、鉄鋼部材として、熱間金用型鋼SDK61)からなる鉄鋼部材12,14を用いた。鉄鋼部材12,14における接合予定面22,24は、平面である。また、鉄鋼部材12,14における接合予定面22,24における算術平均粗さRaは、0.1μmである。鉄鋼部材12,14の接合面22,24には熱交換媒体流路用溝32,34が形成されている(図4(a)参照。)。
4.成形金型予備形成工程S120
成形金型予備形成工程S120は、図5(a)に示すように、接合体10の粗加工を行って成形金型予備形成体40を形成する工程である。接合体10の粗加工は、例えばNC切削加工により行う。
5.焼き入れ工程S130
焼き入れ工程S130は、図3に示すように、成形金型予備形成体40を、焼き入れ可能な第5温度T(例えば、1000℃〜1200℃(図3においては1050℃。)。)に加熱する工程である。
焼き入れ工程S130においては、加熱は、真空炉中で行い、第5温度Tにおける保持時間はt(図3においては1時間。)とする。焼き入れ工程S130実施後には、成形金型予備形成体40をMs点まで急冷し、その後成形金型予備形成体40を徐冷する。
6.金属組織耐熱化工程S140
金属組織耐熱化工程S140は、図3に示すように、成形金型予備形成体40を、所定温度T(例えば、600℃〜850℃(図3においては690℃。)。)に加熱することで、成形金型予備形成体40の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておく工程である。
金属組織耐熱化工程S140においては、加熱は、真空炉中で行い、所定温度Tにおける保持時間はt(図3においては2時間。)とする。金属組織耐熱化工程S140実施後には、不活性ガス雰囲気中(例えば、Nガス雰囲気中。)で成形金型予備形成体40を冷却する。
7.成形金型形成工程S150
成形金型形成工程S150は、図5(d)に示すように、成形金型予備形成体40の仕上げ加工を行って成形金型50を形成する工程である。成形金型予備形成体40の仕上げ加工は、例えばNC切削加工及び磨き加工により行う。
以上のような工程を含む実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程S140を実施して接合体10の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことにより、成形時における熱の影響を受けても成形金型50の金属組織はほとんど変化しなくなる。その結果、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面26(図4(c)及び図4(d)参照。)の破壊を抑制することが可能となり、成形金型50の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程S140を実施する過程で靭性が高くなるため、耐衝撃性を高くすることも可能となる。これによっても、成形金型50の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、焼き入れ工程S130及び金属組織耐熱化工程S140を、真空中で行うこととしているため、酸素等の活性ガスの存在に起因して接合体10の表面が変質してしまうのを抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合力強化工程S116を実施することにより、接合面26に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙を消散させることで、十分に高い接合力をもって接合された接合体10を準備することが可能となる。その結果、実施形態1に係る成形金型の製造方法は、十分に高い接合力をもって接合された接合体10を用いて成形金型50を製造することが可能となるため、成形金型50の耐久性をさらに高くすることが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合体形成工程S112と接合力強化工程S116との間に金属組織均一化工程S114を実施することにより、接合体形成工程S112を経て不均一な状態となっている金属組織をより均一にすることが可能となるため、さらに均質性の高い接合体10を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合体形成工程S112、金属組織均一化工程S114及び接合力強化工程S116を、真空中において行うこととしているため、接合体形成工程S112、金属組織均一化工程S114及び接合力強化工程S116における酸素等の活性ガスの存在に起因して発生する悪影響を抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合力強化工程S116実施後に、不活性ガス雰囲気中で接合体10を冷却することとしているため、冷却過程で接合体10の表面が酸化して品質が劣化するのを抑制することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合体形成工程S112実施後に、接合体10を徐冷することとしているため、加圧により生じる接合体10の応力歪みの発生を抑制して均質性の高い接合体10を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合力強化工程S116は、接合体10を、A変態点TA1から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で600℃以下の第3温度Tに徐冷することとしているため、接合体10における接合面26に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙を十分に消散させて接合力を十分に高くすることが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、金属組織均一化工程S114実施後に、接合体10をMs点まで急冷し、その後接合体10を徐冷することとしているため、焼入れ効果により、接合体10の硬度を高くすることで、強度が高く高品質の接合体10を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、鉄鋼部材12,14における接合予定面22,24は平面であるため、接合予定面を高精度に加工することが容易となる。その結果、鉄鋼部材12,14を突き当てたときの鉄鋼部材12,14間の密着度を高めて十分に高い接合力を得ることが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合予定面22,24における算術平均粗さRaは0.1μmであるため、鉄鋼部材12,14における接合予定面22,24同士の間隔を平均で0.2μmとした状態で鉄鋼部材12,14を接合することが可能となり、十分に高い接合力を得ることが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、鉄鋼部材12,14における接合予定面22,24には、熱交換媒体流路形成用溝32,34が形成されているため、熱交換媒体流路30が内部に形成された成形金型50を製造することが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、接合体準備工程S110と焼き入れ工程S130との間に成形金型予備形成工程S120を実施することとしているため、接合体10の硬度が高くなる前の加工性が良好な状態で接合体10の粗加工を行うことが可能となる。
また、実施形態1に係る成形金型の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程S140実施後に成形金型形成工程S150を実施することとしているため、寸法精度が高くかつ表面状態が良好な成形金型50を製造することが可能となる。
[試験例]
実施形態1に係る成形金型の製造方法の効果を確認するために試験を行った。試験は、実施例1〜3及び比較例1の方法で得られる成形金型について、成形金型の硬度及び成形金型の寿命を測定することにより行った。
実施例1〜3及び比較例1においては、基本的には実施形態1に係る成形金型の製造方法に従って、成形金型を製造した。但し、実施例1においては、金属組織耐熱化工程S140を600℃で行っており、実施例2においては、金属組織耐熱化工程S140を690℃で行っており、実施例3においては、金属組織耐熱化工程S140を850℃で行っている。一方、比較例1においては、金属組織耐熱化工程S140を行う代わりに、従来の焼き戻し処理(550℃)を行っている。
なお、接合体形成工程S112を1070℃で行い、金属組織均一化工程S114を1040℃で行い、接合力強化工程S116を850℃の温度で行い、焼き入れ工程S130を1050℃で行った。
成形金型の硬度は、ロックウェル硬さCスケールを用いて測定した。
成形金型の寿命は、得られた成形金型を用いて実際にアルミダイカスト成形を行うことによって測定した。成形金型の寿命は、成形金型における接合面が破壊されるまでの成形回数とした。
表1は、実施例1〜3及び比較例1についての試験結果を示す表である。
なお、表1中、成形金型の寿命が「2500以上」とは、成形金型における接合面が2500回の成形では破壊されなかったことを示している。
Figure 0005149797
表1からも明らかなように、実施例1〜3に係る成形金型は、比較例1に係る成形金型の場合(0回)よりも長い寿命(300回〜2500回以上)を有することがわかった。また、実施例1〜3に係る成形金型は、比較例1に係る成形金型の場合(HRC=53)よりは低い(HRC=10〜48)硬度であるが、成形金型として使用可能な硬度(HRC=10)よりも高い硬度を有することがわかった。すなわち、本試験例における試験によって、実施形態1に係る成形金型の製造方法の効果(成形金型の耐久性を従来よりも高くすることが可能となるという効果。)を確認することができた。
以上述べたように、実施形態1に係る成形金型の製造方法を用いて製造した成形金型50は従来よりも高い耐久性を有する成形金型となる。このため、成形金型50を用いて製造された成形製品(例えば、アルミニウム製品。)は、高品質で製造コストの安価な成形製品となる。
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。なお、実施形態2の説明においては、実施形態1で説明した部材と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明及び図示を省略する。
実施形態2に係る成形金型の製造方法は、実施形態1に係る成形金型の製造方法とよく似た工程を有する成形金型の製造方法であるが、接合体10から成形金型50を形成する工程が実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なる。すなわち、図6に示すように、実施形態2に係る成形金型の製造方法においては、成形金型予備形成工程を実施せず、金属組織耐熱化工程S230実施後に接合体10の機械加工を行って成形金型50を形成する成形金型形成工程S240を実施することとしている。
このように、実施形態2に係る成形金型の製造方法は、接合体10を機械加工して成形金型50に形成する工程が実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なるが、実施形態1に係る成形金型の製造方法の場合と同様に、金属組織耐熱化工程を実施して接合体10の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくこととしているため、成形時における熱の影響を受けても接合体10の金属組織はほとんど変化しなくなる。その結果、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面26の破壊を抑制することが可能となり、成形金型50の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
また、実施形態2に係る成形金型の製造方法によれば、金属組織耐熱化工程S230実施後に成形金型形成工程S240を実施することとしているため、1回の機械加工で成形金型50を製造することが可能となる。また、金属組織の変化を伴う金属組織耐熱化工程S230実施後に接合体10の機械加工を行うこととしているため、寸法精度が高くかつ表面状態が良好な成形金型50を製造することが可能となる。
なお、実施形態2に係る成形金型の製造方法は、接合体10から成形金型50を形成する工程が実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なる以外は実施形態1に係る成形金型の製造方法と同様の方法であるため、実施形態1に係る成形金型の製造方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態3]
図7は、実施形態3に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。なお、実施形態3の説明においては、実施形態1で説明した部材と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明及び図示を省略する。
実施形態3に係る成形金型の製造方法は、実施形態1に係る成形金型の製造方法とよく似た工程を有する成形金型の製造方法であるが、接合体10から成形金型50を形成する工程が実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なる。すなわち、図7に示すように、実施形態3に係る成形金型の製造方法においては、成形金型予備形成工程を実施せず、接合体準備工程S310と焼き入れ工程S330との間に接合体10の機械加工を行って成形金型50を形成する成形金型形成工程S320を実施することとしている。
このように、実施形態3に係る成形金型の製造方法は、接合体10を機械加工して成形金型50に形成する工程が実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なるが、実施形態1に係る成形金型の製造方法の場合と同様に、金属組織耐熱化工程を実施して接合体10の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことにより、成形時における熱の影響を受けても接合体10の金属組織はほとんど変化しなくなる。その結果、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面26の破壊を抑制することが可能となり、成形金型50の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
また、実施形態3に係る成形金型の製造方法によれば、接合体準備工程S310と焼き入れ工程S330との間に成形金型形成工程S320を実施することとしているため、1回の機械加工で成形金型50を形成することが可能となる。また、焼き入れ工程S330の前に接合体10の機械加工を行うこととしているため、接合体10の硬度が高くなる前の加工性が良好な状態で接合体10の機械加工を行うことが可能となる。
なお、実施形態3に係る成形金型の製造方法は、接合体10から成形金型50を形成する工程が実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なる以外は実施形態1に係る成形金型の製造方法と同様の方法であるため、実施形態1に係る成形金型の製造方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態4]
図8は、実施形態4に係る成形金型の製造方法を説明するために示すフローチャートである。なお、実施形態4の説明においては、実施形態1で説明した部材と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明及び図示を省略する。
実施形態4に係る成形金型の製造方法は、実施形態1に係る成形金型の製造方法とよく似た工程を有する成形金型の製造方法であるが、表面処理工程S460をさらに含む点で実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なる。すなわち、実施形態4に係る成形金型の製造方法においては、図8に示すように、成形金型形成工程S450実施後に、所定温度T以下の温度で接合体10の表面硬度を高くする表面処理工程S460を実施することとしている。
このように、実施形態4に係る成形金型の製造方法は、表面処理工程S460をさらに含む点で実施形態1に係る成形金型の製造方法とは異なるが、実施形態1に係る成形金型の製造方法の場合と同様に、金属組織耐熱化工程を実施し接合体10の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておくことにより、成形時における熱の影響を受けても接合体10の金属組織はほとんど変化しなくなる。その結果、成形時における大きな圧力や大きな温度差の冷熱サイクルによって内部応力が発生したとしても、この内部応力による接合面26の破壊を抑制することが可能となり、成形金型50の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
また、実施形態4に係る成形金型の製造方法によれば、表面処理工程S460を実施することにより、金属組織耐熱化工程S440を実施することによって成形金型50のバルクとしての硬度が低下することがあるとしても接合体10の表面硬度を高くすることが可能となり、成形金型50の耐久性をさらに高くすることが可能となる。
なお、実施形態4に係る成形金型の製造方法は、表面処理工程S460をさらに含むこと以外は実施形態1に係る成形金型の製造方法と同様の方法であるため、実施形態1に係る成形金型の製造方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
以上、本発明の成形金型の製造方法及び成形製品を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態においては、接合体形成工程S112〜S412、金属組織均一化工程S114〜S414及び接合力強化工程S116〜S416を真空中において行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、これらの工程をNガス、Arガス等の不活性ガス雰囲気中において行うこともできる。このような方法とすることによっても、酸素等の反応性ガスによる悪影響を抑制することが可能となり、成形金型50の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
(2)上記各実施形態においては、接合体形成工程S112〜S412を真空炉を用いた外部加熱により行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、真空炉以外の加熱炉を用いた外部加熱、通電加熱(パルス通電加熱を含む)又は磁気加熱により行うこともできる。
(3)上記各実施形態においては、接合体形成工程S112,S212,S312,S412を油圧を用いて複数の鉄鋼部材を押圧することにより行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、サーボモータ、エア圧を用いて複数の鉄鋼部材を押圧することにより行うこともできる。
(4)上記各実施形態においては、接合力強化工程S116〜S416においてA変態点TA1から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で徐冷することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、A変態点TA1から600℃に降温するのに10時間以上又は15時間以上かける条件で徐冷することとしてもよい。これにより、接合面26に存在するCr含有不動態層及び/又は空隙をさらに十分に消散させて接合力をさらに十分に高くすることが可能となる。
(5)上記各実施形態においては、接合予定面22,24が平面である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。接合予定面が互いに密着可能であれば、接合予定面は曲面であったり段差を有していたりしてもよい。
(6)上記各実施形態においては、鉄鋼材料として、熱間金型用鋼(SKD61)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、SKD61以外の熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、高速工具鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼を用いることもできる。このような鉄鋼材料からなる鉄鋼部材であっても、成形金型の耐久性を従来よりも高くすることが可能となる。
(7)上記各実施形態においては、成形金型50として、アルミダイカスト金型を製造する場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。成形金型としては、アルミダイカスト金型以外の金属成形用の成形金型、ガラス成形用の成形金型、ゴム成形用の成形金型及び樹脂成形用の成形金型を製造する場合にも適用することができる。
(8)本発明の成形金型の製造方法は、成形金型が、成形時に高い温度に曝される金属成形用の成形金型である場合に特に優れた効果を有する。金属成形用の成形金型としては、アルミニウム製品、亜鉛製品、マグネシウム製品、真鍮製品などの金属製品を製造する鋳造金型又は鍛造金型を例示することができる。鋳造金型としては、ダイカスト成形用の成形金型、低圧鋳造用の成形金型、重力鋳造用の成形金型その他の鋳造金型に好適に適用することができる。金属成形用の成形金型としては、成形時に大きな圧力がかかるダイカスト成形用の成形金型である場合に特に優れた効果を有する。ダイカスト用の成形金型としては、アルミダイカスト金型の他に、亜鉛ダイカスト金型、マグネシウムダイカスト金型、真鍮ダイカスト金型を例示することができる。
(9)上記各実施形態においては、成形製品がアルミニウム製品である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。成形製品としては、アルミニウム製品の他に、亜鉛、マグネシウム、真鍮などの各種製品を例示することができる。
(10)上記各実施形態においては、成形金型の製造方法を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、Crを含有する鉄鋼材料からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いて、鉄鋼製品を製造する鉄鋼製品の製造方法も含むものである。
符号の説明
10…接合体、12,14,912,914…鉄鋼部材、22,24,922,924…接合予定面、26,926…接合面、30,930…熱交換用媒体流路、32,34,934…熱交換用媒体流路形成用溝、40…成形金型予備形成体、50,910…成形金型、T…第1温度、T…第2温度、T…第3温度、T…第4温度、T…第5温度、T…第6温度、TA1…A変態点

Claims (28)

  1. 熱間金型用鋼からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いて成形金型を製造する成形金型の製造方法であって、
    熱間金型用鋼からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、
    前記接合体の焼き入れ処理を行う焼き入れ工程と、
    前記接合体を所定温度に加熱することにより、前記接合体の金属組織を成形温度に耐え得る金属組織に予め変化させておく金属組織耐熱化工程とをこの順に含み、
    前記所定温度は、600℃〜850℃の範囲内にあることを特徴とする成形金型の製造方法。
  2. 請求項に記載の成形金型の製造方法において、
    前記所定温度は、660℃〜720℃の範囲内にあることを特徴とする成形金型の製造方法。
  3. 請求項1に記載の成形金型の製造方法において、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記所定温度以下の温度で前記接合体の表面硬度を高くする表面処理工程をさらに含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  4. 請求項1に記載の成形金型の製造方法において、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記所定温度以下の温度で前記接合体の表面に被覆層を形成する被覆層形成工程をさらに含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体準備工程は、熱間金型用鋼からなる複数の鉄鋼部材を互いに接合する鉄鋼部材接合工程を含む接合体製造工程であって、
    前記接合体製造工程は、
    前記複数の鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせ、前記複数の鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記複数の鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記複数の鉄鋼部材を接合して接合体を形成する接合体形成工程と、
    前記接合体を、前記鉄鋼部材におけるA変態点以上の第2温度に加熱し、次いで600℃以下の温度に徐冷することにより前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とを含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  6. 請求項に記載の成形金型の製造方法において、
    前記第1温度は、850℃〜1100℃の範囲内であることを特徴とする成形金型の製造方法。
  7. 請求項又はに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体形成工程実施後に、前記接合体を徐冷することを特徴とする成形金型の製造方法。
  8. 請求項のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記第2温度は、前記A変態点よりも100℃高い温度以下の範囲内にあることを特徴とする成形金型の製造方法。
  9. 請求項のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合力強化工程は、前記接合体を、前記A変態点から600℃に降温するのに5時間以上かける条件で600℃以下の第3温度に徐冷することにより前記接合体における接合力を強化することを特徴とする成形金型の製造方法。
  10. 請求項に記載の成形金型の製造方法において、
    前記第3温度は、550℃以下であることを特徴とする成形金型の製造方法。
  11. 請求項10のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体形成工程と前記接合力強化工程との間に、前記接合体の金属組織をより均一にすることが可能な第4温度に前記接合体を加熱する金属組織均一化工程をさらに含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  12. 請求項11に記載の成形金型の製造方法において、
    前記第4温度は、1000℃〜1200℃の範囲内にあることを特徴とする成形金型の製造方法。
  13. 請求項11又は12に記載の成形金型の製造方法において、
    前記金属組織均一化工程実施後に、前記接合体をMs点まで急冷し、その後前記接合体を徐冷することを特徴とする成形金型の製造方法。
  14. 請求項13のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記複数の鉄鋼部材における前記接合予定面は、平面であることを特徴とする成形金型の製造方法。
  15. 請求項14に記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合予定面における算術平均粗さRaは、0.2μm以下であることを特徴とする成形金型の製造方法。
  16. 請求項15のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記複数の鉄鋼部材における前記接合予定面のうち少なくとも1つの面には、熱交換媒体流路形成用溝が形成されていることを特徴とする成形金型の製造方法。
  17. 請求項16のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体形成工程においては、磁気加熱により前記複数の鉄鋼部材を加熱することを特徴とする成形金型の製造方法。
  18. 請求項17のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体形成工程においては、サーボモータを用いて前記複数の鉄鋼部材を押圧することを特徴とする成形金型の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の粗加工を行う成形金型予備形成工程と、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の仕上げ加工を行って成形金型を形成する成形金型形成工程とをさらに含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  20. 請求項1〜18のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の機械加工を行って成形金型を形成する成形金型形成工程をさらに含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  21. 請求項1〜18のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の機械加工を行って成形金型を形成する成形金型形成工程をさらに含むことを特徴とする成形金型の製造方法。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の成形金型の製造方法において、
    前記成形金型は、金属成形用の成形金型であることを特徴とする成形金型の製造方法。
  23. 請求項22に記載の成形金型の製造方法において、
    前記成形金型は、ダイカスト成形用の成形金型であることを特徴とする成形金型の製造方法。
  24. 熱間金型用鋼からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を用いて鉄鋼製品を製造する鉄鋼製品の製造方法であって、
    熱間金型用鋼からなる複数の鉄鋼部材が互いに接合された接合体を準備する接合体準備工程と、
    前記接合体の焼き入れ処理を行う焼き入れ工程と、
    前記接合体を所定温度に加熱することにより、前記接合体の金属組織を使用温度に耐え得る金属組織に予め変化させておく金属組織耐熱化工程とをこの順に含み、
    前記所定温度は、600℃〜850℃の範囲内にあることを特徴とする鉄鋼製品の製造方法。
  25. 請求項24に記載の鉄鋼製品の製造方法において、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記所定温度以下の温度で前記接合体の表面硬度を高くする表面処理工程をさらに含むことを特徴とする鉄鋼製品の製造方法。
  26. 請求項24又は25に記載の鉄鋼製品の製造方法において、
    前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の粗加工を行う鉄鋼製品予備形成工程と、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の仕上げ加工を行って鉄鋼製品を形成する鉄鋼製品形成工程とをさらに含むことを特徴とする鉄鋼製品の製造方法。
  27. 請求項24又は25に記載の鉄鋼製品の製造方法において、
    前記金属組織耐熱化工程実施後に、前記接合体の機械加工を行って鉄鋼製品を形成する鉄鋼製品形成工程をさらに含むことを特徴とする鉄鋼製品の製造方法。
  28. 請求項24又は25に記載の鉄鋼製品の製造方法において、
    前記接合体準備工程と前記焼き入れ工程との間に、前記接合体の機械加工を行って鉄鋼製品を形成する鉄鋼製品形成工程をさらに含むことを特徴とする鉄鋼製品の製造方法。
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