JP5207957B2 - 風力発電機構付き車両 - Google Patents

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Description

本発明は、車両内に走行風を取り込んで発電する技術に関し、更にこのようにして発電した電力を車両走行用モーターの駆動電源として利用する技術に関する。
風力発電は、環境を害さないエネルギー源として、その利用が活発化している。最近、省エネルギーを図る技術として、車両に風力発電機を搭載する技術が提案されており、特許文献1では、車両走行により発生する風力で風力発電機を回し、この電力を蓄電池に充電する車載風力発電装置に関する技術が提案されている。
特許文献1のこの技術では、発電機を駆動するための風車をフロントサイドフレームよりも車幅方向外側に配置する構造を採用することにより、風車がエンジン冷やす熱交換器への車両走行風の供給を妨害しないようにしている。また、この技術では、車両走行風を通すダクト内の走行風取込口と風車との間の部分に、当該部分を閉塞したり開放したりする閉塞手段を設けている。これにより、発電機の回転数が高くなり過ぎたときに当該部分を閉塞し、風車及び発電機の機械的負担の増加や、高電圧の発生による電気機器のダメージを防止している。
特開2008−74305号公報(0004―0008、0015―0016、図4)
上記従来例にかかる車載風力発電装置の概要を図19に示す。図19において、走行風取込口100から車両走行風101を流入させ、この車両走行風101により風車105を回転させ、この回転力を用いて発電機106を駆動させて発電させる。風車を回転させたのちの車両走行風は、排出風108として排出口107から外部に排出させる。また、走行風取込口100と風車105との間には、回転軸103で軸支された遮風板102が設置され、回転軸近傍には駆動装置104が設けられている。駆動装置104は、回転軸103を正逆方向に回転させることにより、風路を閉塞状態(点線)にしたり、開放状態(実線)にしたりする。
本発明者は、従来技術にかかる上記車載風力発電装置について鋭意検討した。そして次のような問題点があることを知った。
(1)上記従来技術にかかる車載風力発電装置においては、遮風板102を駆動させて風路の開閉を行うが、風路を開閉するときには車両走行風の風圧を超える力で遮蔽板102を駆動させる必要があり、風路が完全に閉鎖された場合には、全ての風圧が遮風板やその周囲の壁面に加わる。例えば車両が150kg/hrを超える高速走行をしている時には、150kg/hrを超える風速からする強大な風圧が遮風板102とその周囲に加わることになる。この強大な風圧は、空気抵抗として車両走行性能を低下させる原因ともなる。
(2)また、風路の開閉時には、遮風板の先端で乱流が発生し、遮蔽板の風上側と風下側で極端な風圧差が生じる。このため、遮蔽板が風圧差により激しく振動する。これを防止するには、分厚い遮蔽板を用いる等して遮蔽板や軸受け部の強度を高める必要があるが、これは駆動装置の大型化や車両重量の増加を招き、エネルギー消費量の増加を結果する。
(3)また、風路の開閉の度に生じる振動は、遮風板102や回転軸103に金属疲労を蓄積させるので、風路系の寿命が短くなると共に、遮風板や回転軸部分の破損により予期できない重大事故を招く恐れがある。
本発明は、このような問題点を解消するものであり、本発明の目的は、車両走行風を合目的的に利用し得る車両用風力発電機構を案出し、もってエネルギー利用効率に優れた風力発電機構付き車両を提供することにある。
上記課題を解決するための第1の発明は、車両本体と、前記車両本体に組み込まれた風力発電機構と、を備えた風力発電機構付き車両であって、前記風力発電機構は、車両走行風を取り込む走行風取込口と前記走行風取込口から取り込んだ走行風を車外に排出する順路排出口とを有する発電風路と、前記発電風路内に配置され、前記走行風取込口から取り込んだ走行風を受けて回転する風車と、前記風車の回転力を利用して発電する風力発電機と、前記風力発電機により発電された電力を蓄える蓄電池と、前記風車よりも風上に位置する発電風路壁面に設けられた開口からなる走行風逃し口と、前記発電風路内に設けられた、前記走行風取込口から取り込んだ車両走行風の一部または全部を前記走行風逃し口に導く風路変更調整板と、を備えることを特徴とする風力発電機構付き車両である。
この構成では、風車よりも風上に走行風逃し口が設けられており、風路変更調整板により走行風を走行風逃し口へ導けるようになっている。つまり、風路変更調整板の立ち上げ角度(仰角)を変化させることにより、風車側の順路に流す風量と走行風逃し口へ流す風量の比率を調節することができ、この調節により風車の回転数を調整することができる。しかも、上記構成であると、風路変更調整板を発電風路の対向壁面に当接するまで立ち上げて、風車側への流れを全て遮断した場合であっても、走行風取込口から取り込まれた走行風の全てが走行風逃し口から風路外に逃れることができるので、無用な風圧を発生させない。よって、上記構成によると、前記した従来技術にかかる問題点が解消できる。
第2の発明は、上記第1の発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記風路変更調整板が、一方端部側が前記発電風路の壁面に回動可能に固定され、当該一方端部側を回転軸として前記風路変更調整板の他方端部側を立ち上げたときに、前記走行風取込口から取り込まれた車両走行風が前記走行風逃し口に導かれ、前記他方端部側を前記発電風路壁面に略平行になるまで下げたときに、前記走行風逃し口が塞がれる構造であることを特徴とする。
また、第3の発明は、上記第2の発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記風力発電機構は、前記風車の回転数が予め設定された回転数を超えたとき、前記風路変更調整板の先端側を立ち上げる方向に駆動させ、予め設定された回転数に満たないとき、前記風路変更調整板の先端側を下げる方向に駆動させることにより、前記順路排出口と前記走行風逃し口とに導く走行風の風量比率を調整する風量調整手段を備えることを特徴とする。
この構成であると、風車の回転数が過大になったとき、風車に当る風量を減少させることができるので、過大な風量による風車および風力発電機の破損を予防することができ、これらの部材の寿命を延ばすことができる。
また、第4の発明は、上記第3の発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記風量調整手段が、更に、前記蓄電池の電池電圧が予め設定された値を超えた場合には、前記風車の回転数にかかわらず、前記風路変更調整板の先端側を前記発電風路の対向壁面に当接するまで立ち上げて全ての走行風を前記走行風逃し口に導く、ことを特徴とする。
上記構成であると、蓄電池の過充電を防ぐことができ、かつ無用に風車や風力発電機を駆動させないので、これらの寿命を延ばすことができる。
また、第5の発明は、上記第2の発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記風力発電機構は、前記風路変更調整板を回転駆動する回転モーターを有する風路変更調整板駆動部と、前記風力発電機に付設された、前記風力発電機の回転数を測定する回転数センサと、前記風路変更調整板の回転角度を制御する信号を前記風路変更調整板駆動制御部に送出するコントローラと、を備える風量調整手段を有し、
前記コントローラが、一定の時間間隔で前記回転数センサの測定した回転数値が前記コントローラのメモリに予め記憶された設定回転数値よりも大きいか否かを判定し、前記回転数センサが測定した回転数値が前記設定回転数値よりも大きいときには、前記風路変更調整板駆動部の回転モーターを正回転させ、前記風路変更調整板を立ち上げて前記走行風逃し口へ逃す風量比率を大きくし、前記回転数センサが測定した回転数値が前記設定回転数値よりも小さいときには、前記風路変更調整板駆動部の回転モーターを逆回転させ、前記風路変更調整板を下げて前記走行風逃し口へ逃す風量比率を小さくするよう制御する、ことを特徴とする。
また、第6の発明は、上記第2の発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記風力発電機構は、前記風路変更調整板を回転駆動する回転モーターを有する風路変更調整板駆動部と、前記蓄電池の電圧を測定する蓄電池電圧モニターと、前記風路変更調整板の回転角度を制御する信号を前記風路変更調整板駆動制御部に送出するコントローラと、を備える第2の風量調整手段を有し、前記コントローラが、前記蓄電池電圧モニターの測定した電圧値が前記コントローラのメモリに予め記憶された設定電圧値よりも大きいか否かを監視し、測定電圧値が設定電圧値よりも大きいときには、前記風路変更調整板駆動部の回転モーターを正回転させ、前記風路変更調整板を発電風路対向壁面に当接するまで立ち上げて、前記走行用取込口から取り込んだ走行風の全てを前記走行風取込口に導くよう制御する、ことを特徴とする。
また、第7の発明は、上記第1乃至6の何れかの発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記風路変更調整板は、尖鋭な先端を有する先細り形状であり、当該先端を車両走行風の流入方向に向けて配置されている、ことを特徴とする。
この構成であると、風路変更調整板の先端で発生する乱流を低減でき、車両走行風を風路変更調整板の表裏面に沿ってスムーズに誘導できる。これにより、より少ないエネルギーで風路変更調整板を駆動制御でき、また風路変更調整板の回転軸部分などの金属疲労を低減させることができる。よって、回転軸駆動装置の一層の小型化を図れる。
また、第8の発明は、上記第1乃至7の何れかの発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記車両は走行用動力源として車両走行用電気モーターを備え、前記車両走行用電気モーターが前記蓄電池から電力の供給を受けて駆動する構成である、ことを特徴とする。
また、第9の発明は、上記第1乃至7の何れかの発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記車両は、走行用動力源としての車両走行用電気モーターと、前記蓄電池に充電用電力を供給する内燃型エンジン付発電機と、を備え、前記車両走行用電気モーターが前記蓄電池から電力の供給を受けて駆動する構成である、ことを特徴とする。
この構成では、内燃型エンジン付発電機を駆動させることにより、車両走行中においても十分な発電を行うことができるので、走行可能距離を長くすることができる。また、蓄電池の蓄電量が減少したときに、内燃型エンジン付発電機を駆動して蓄電池に充電することができるので、蓄電量不足による車両の走行不能を回避することができる。
第10の発明は、上記第8または9の発明にかかる風力発電機構付き車両において、前記蓄電池が、第1の蓄電池群と第2の蓄電池群からなり、前記風力発電機と前記第1又は第2蓄電池群との間、および前記第1又は第2蓄電池群と前記車両走行用電気モーターとの間には、それぞれの接続先を相互に切り換える切り換えスイッチが設けられ、前記切り換えスイッチにより、前記風力発電機と前記車両走行用電気モーターとが常に異なる蓄電池群に接続されるようにして、随時、接続される蓄電池群が切り換えられる構成である、
ことを特徴とする。
この構成であると、例えば第1の蓄電池群がその電力を車両走行用電気モーターに出力(放電)しているときに、第2の蓄電池群に蓄電(充電)がなされる。よって、第1の蓄電池群の電気容量が一定量以下になったときにスイッチングして、車両走行用電気モーターの接続先を充電の進んだ第2の蓄電池群に切り換え、かつ放電の進んだ第1の電池群に風力発電機を接続することにより、車両走行距離の延長を図ることができる。
ここで上記構成における「蓄電池群」とは、1または2以上の蓄電池を意味する。また、上記「切り換え」は、蓄電池群と風力発電機または車両走行用電気モーターとの通電が切り換えスイッチにより、選択的に「ON」、「OFF」されることを意味するが、切り換えスイッチにより通電が「ON」、「OFF」できる限り、蓄電池群と風力発電機または車両走行用電気モーターとの間に、切り換えスイッチ以外の要素が介在していてもよい。なお、「常に異なる蓄電池群に接続されるようにして」は、例えば安全上の必要が生じたときに、蓄電池群と風力発電機又は車両走行用電気モーターとの通電を全て「OFF」とする機能を持たせることを排除するものではない。
本発明は、車両走行風を風車に導く発電風路の前方に車両走行風を車外へと排出する走行風逃し口を設け、風路変更調整板により、風車が配置された順路方向への流れを遮断したり、風車が配置された順路方向と前記走行風逃し口の2方向に分割して流す風力発電機構を採用する。この構成であると、発電風路の開閉に際して過大な風圧が風路および風路変更調整板に加わらないので、少ないエネルギーでもって風車に導く風量の調節を任意に制御することができる。
また、風路系に無用な風圧が掛らないので、風路系を軽量・小型化することができると共に、発電風路を完全に閉じても空気抵抗が増加しないので、空気抵抗の増加に起因する車両走行性能の低下がない。
以上から、本発明によると、車両に風力発電機構を設けた省エネルギー効果が十分に発揮し得た、エネルギー利用効率に優れた風力発電機構付き車両を実現することができる。
本発明を実施する形態について説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は本発明をハイブリッド型自動車に適用した場合である。図1は実施の形態1に係る車両の外観図、図2は車両前部を模式的に描いた平面見取り図である。図1,図2において、ラジエータ12及びエンジン13は車体本体1の前部中央に配置され、車幅方向の中央部全面には、ラジエータ12等を冷却するための風6を取り込む開口部3が設けられている。開口部3から取り込まれた空冷用の風6は、ラジエータ12、エンジン13などを冷却した後、ボンネット後部の隙間から上方に、及び/又は車体下部から地面側に逃げる構造になっている。
また、本発明の主要要素である発電風路9は、車両前部の車幅方向左右にそれぞれ1つづつ設けられている。発電風路9内に車両走行風5を取り込む走行風取込口2は、車両の最前面の車幅方向左右にそれぞれ設けられており、また車外から取り込んだ車両走行風5を車外に排出する順路排出口4が、車両の両側面にそれぞれ設けられている。上記走行風取込口2は、車両前方に開放された開放口であり、走行風取込口2から取り込まれた車両走行風5は、風力発電領域10へと導かれ、風力発電領域10を通過した排出風7は、順路7を経て順路排出口4から車外に排出される。
図3、図4、図5を参照しつつ、風路系構造の詳細を説明する。図3は風路系の全体像を示す斜視図であり、図4はその平面図、図5はその側面図である。図3では、断面四角形状の発電風路9が描かれているが、発電風路9は、走行風が通過できる筒状であればよい。また、上記各図は、概念図であり、描画された要素以外の要素を有していてもよい。なお、風路系のうち車両走行風を用いて風車14を回す領域を特に風力発電領域10と称することとする。
実施の形態1の風力発電領域10には、2台の風車14・14とこの風車の回転を利用して発電する風力発電機15・15が水平方向に並列して配置されている。風力発電機15・15は、発電風路9以外に設置された蓄電池(不図示)に接続されており、風力発電機15・15で発電された電力が、蓄電池に蓄電できる構造になっている。
風力発電機15・15は、交流発電機、直流発電機または永久磁石式同期発電機の何れでも良く、また、実施の形態1では、風車と風力発電機とが同一の回転軸で直接結合された風車一体型の発電機が図示されているが、風車と発電機は歯車機構やベルト駆動機構などの伝達機構を介して結合されていてもよい。更に発電機は、発電風路9の外に配置されていてもよい。
発電風路9は、車両走行風5を取り込む走行風取込口2と取り込んだ走行風を発電風路外に排出する順路排出口4とを有し、発電風路9には、車両走行風5がプロペラに当るように位置調整された風車14が配置され、当該風車14の取り付け位置よりも風上側の発電風路壁面に、風車14に到達する前に車両走行風5を発電風路外に逃がす走行風逃し口11が設けられている。この走行風逃し口11は、発電風路9の下側壁面に設けられた開放口からなる。ただし、走行風逃し口11は、下側壁面以外の壁面に形成することもできる。
更にまた、発電風路9内には、走行風逃し口11を閉鎖または開放する風路変更調整板16が配置されている。風路変更調整板16は、図3及び図5に示すように、先端側が徐々に細くなる先細り形状の板状部材からなり、その後端の回転軸18が発電風路9の壁面に取り付けられた回転軸受け部(図8符合23参照)に回動可能に軸支されている。この風路変更調整板16は、後端の回転軸18が回転モーターで正逆方向に回転されることによって上下方向に回転駆動するようになっている。この回転モーターの回転は、車両に搭載された統合制御用ホストコンピュータ(不図示)で制御され、またその回転数は後記するコントローラでモニターされている。また、回転モーターには、車両搭載の蓄電池から電力供給されるようになっている。
なお、回転モーターの動力を風路変更調整板に伝える手段には、特段の制限がないので、歯車機構やベルト駆動機構などの伝達機構を介して風路変更調整板の回転軸を駆動する方式などであってもよい。
風路変更調整板16は、風車14に当てる走行風の風量を調整するための部材であり、風路変更調整板16で発電風路9の前方側を塞ぐことにより、風車14への流入風量を減少、ないしゼロにする。すなわち、風路変更調整板16を発電風路壁面と概ね平行にすると走行風逃し口11が蓋され、これにより取り込まれた車両走行風の全てが順路を流れるようになる。他方、風路変更調整板16の先端が持ち上がるように回転させると、走行風逃し口11と風路変更調整板16との間に隙間が生じ、風路変更調整板16の先端を発電風路の対向壁面に当接するまで回転させると、走行風逃し口11が完全に開放され、発電風路が完全に閉鎖された状態になる構造としてある。
この構造の風路系においては、風路変更調整板16の先端を発電風路の対向壁面に当接するまで回転させると、走行風取込口2より取り込まれた車両走行風の全てが走行風逃し口11に導かれるので、風車14側に全く流れなくなる。また、風路変更調整板16の先端を一対の壁面の何れにも当接しない中間位置に制御することにより、風車14側に流す風量と走行風逃し口11から風路系外に排出させる風量との比率を調整することができる。
上記走行風逃し口11の開口面積は、好ましくは走行風取込口2の開口面積と同等以上とする。このようにすると、発電風路9を完全に封鎖した場合における風路変更調整板16への風圧が高まらないので、風路変更調整板自体の強度を小さくでき、より小さい力で風路変更調整板16を回転駆動することができる。これにより、風路系や風路変更調整板を回転駆動する駆動装置を小型化できるという利益が得られる。
走行風逃し口11から排出される走行風は、例えば車両下部と地面との間に逃す構造とする。また、風路変更調整板の表裏面の適当な位置(例えば先端または後端)、または発電風路壁面の適当な位置に、ストッパーを配置するなどして、過回転を防止する。
風車14や風力発電機15の数は2台に限られない。1台でもよく、3台以上でもよい。また、風車14は走行風に対して直列的ないしジグザク的に複数配置してもよい。また風車の数と発電機の数を同じとする必要はなく、例えば複数の風車の回転力を機械的に合力させ一台の発電機を回すようにしてもよい。
図5〜7に基づいて風路変更調整板16と風量との関係を更に説明する。図6は、風路変更調整板16の先端部分を発電風路9の底側壁面に押し当てた状態を示す。この状態では、車両走行風5が全て発電風路9の順路を流れ、風車14に当たる。よって、風車14の回転速度が増し、風力発電機15による発電量が増加する。
図7は、風路変更調整板16の先端部分を発電風路9の上側壁面に押し当てた状態を示す。この状態では、車両走行風5の全てが走行風逃し口11に流れ系外に排出される。この場合は、風車に走行風が供給されないので、風車14は回転せず、発電が行われない。
図5は、風路変更調整板18の先端側を中間位置に保持した状態である。この状態では、走行風が発電風路9側と走行風逃し口11側に分割され、風路変更調整板16の仰角に応じて分割比率が決まる。よって、風路変更調整板16の仰角(保持角度)を調節することにより発電量を制御することができる。ここで、風路変更調整板16の仰角は、風車の回転数 及び/又は 蓄電池の電気残存量との関係で、ホストコンピュータに自動制御させる構成とするのが好ましく、例えば風車の回転数や蓄電量について予めしきい値を
設定しておき、しきい値を超えた場合に順路に流れる風量を制限する構成とするのがよい。
図8、図9を参照しつつ、風路変更調整板16の駆動機構について説明する。図8は車両上方から見た場合における風路部分の構造を示す平面図であり、図9は風路の断面図である。図9に示すように、風路変更調整板16は、車両走行風5の流入側に向かって先鋭な形状となっている。風路変更調整板16の先端を先鋭な形状とすると、車両走行風5に対する空気抵抗を大幅に低減することができ、またより小さいエネルギーで駆風路変更調整板16を回転駆動することができるので好ましい。
また、図8,9に示すように、風路変更調整板16の一方端が回転軸18に固定され、回転軸18が回転軸受け部23に固定されている。回転軸18は、回転軸駆動装置22により正逆に回転駆動される。回転軸駆動装置22は、例えば電気モーターを備え、電気モーターの回転力が上記回転軸18に機械的に伝達される構造になっており、当該電気モーターは統合制御用のホストコンピュータ(不図示)により制御される。
次に、図10を用いて風路変更調整板16の制御方法について詳しく説明する。図10は、風力発電機構を説明する概念図である。図10において、風車14で回転駆動される風力発電機15に、回転数センサ37が併設され、回転数センサ37が風力発電機15の回転数を常時測定し、その信号をコントローラ38へ送出している。コントローラ38は、そのメモリに予め格納された設定回転数値よりも、回転数センサ37から送出された回転数値が大きい場合には、風路変更調整板16を発電風路を塞ぐ方向に回転させるように、回転軸駆動装置22に信号を送出する。この信号を受け、回転軸駆動装置22が回転モーターを回転させ、回転軸18を介して風路変更調整板16を発電風路を塞ぐ方向に回転させる。これにより、風車14へ流れる走行風の割合が減り、風車14の回転数が減少または回転が停止する。
他方、コントローラ38のメモリに格納された設定回転数値より、回転数センサ37から送出された回転数値が小さい場合には、コントローラ38は回転軸駆動装置22を介して風路変更調整板16を発電風路が全開される方向に回転させる。これにより、風車14へ流れる風量比率が増し、風車14の回転が増大することになる。
また、回転軸制御装置22は、発電風路を完全に閉鎖状態とし、または全開状態とするとき、風路変更調整板16に余分な回転力が加わって風路変更調整板や発電風路壁面を破損することがないようする。この手段としては、例えば風路変更調整板の先端部の裏表面に発電風路壁面に接触したときストップ信号を発するストッパーを設けておき、ストップ信号が発さられた場合には回転の回転を止めると共に、回転軸18が正逆方向の何れにも回転しないように回転止めする。これにより、閉鎖状態または全開状態を維持させることができる。
なお、完全な閉鎖状態とは、風路変更調整板16の先端が発電風路9の対向する壁面に接することにより、車両走行風5が風車14側に流入せず、全ての走行風が走行風逃し口から排出される状態をいい、完全な全開状態とは、風路変更調整板16が発電風路壁面に略平行な状態(先端及び基端が同じ側の発電風路壁面に接した状態)になり、風路内に取りこまれた車両走行風5の全てが風車14側に流れる状態をいう。
図10に示す風力発電機構においては、また、蓄電池40に、蓄電量センサ41を設け、この蓄電量センサ41に電池電圧をコントローラ38へと送出させる。コントローラ38のメモリには、予め好ましい蓄電池の電圧値が設定電圧値として格納されており、蓄電量センサ41から送出された電圧値が設定電圧値を超えると、蓄電量センサ41の信号を受けてコントローラ38が回転軸駆動装置22を介して、風車14の回転、すなわち風力発電機15の回転を停止すべく、風路変更調整板16を駆動させて発電風路を閉鎖させる。
このように実施の形態1の風力発電機構では、コントローラ38のメモリに適正な回転数値を格納しておくことにより、風車14と発電機24の回転数を適正に制御させることができる。また、設定電圧値を適正に設定することにより、蓄電池40への過充電を防止することができる。これにより、過度の高速回転により風車14や発電機24が破損されるのを防止できる。また、過充電されることによる蓄電池の性能劣化を防止することができるとともに、無駄に風力発電機を回転させないので、風車14や発電機24の寿命が延びる。
ところで、図19に示す従来構造の車載風力発電装置にかかる遮風板102においても、遮風板102の先端を風路の中間に位置させることにより、車両走行風101の流入量をある程度調節することができる。しかし、図19に示す従来構造において、遮風板102の先端を風路の中間に位置させ、車両走行風の流れを邪魔すると、遮風板先端と風路の隙間部分を流れる車両走行風の風速が増す。よって、風車の回転数を制御し難い。
また、遮風板102の先端を中途半端に開いた状態(中間に位置させた状態)にすると、先端で乱流が発生し遮風板の風下面(裏面)が減圧状態になるため、遮風板が激しく振動する等の問題を生じる。
これに対し、実施の形態1の構造であると、図5〜7に示すように、風路変更調整板16の仰角(先端位置)に拘りなく、車両走行風5が風路変更調整板16の表面、及び/又は裏面に沿ってスムーズに流れ系外に排出されるので、従来技術におけるような問題が生じない。
〈ハイブリット型電気自動車の全体構造〉
以上に説明した風路系をハイブリッド型自動車に組み込んだ場合について、図11を参照しつつ説明する。図11は実施の形態1にかかるハイブリッド型自動車の概念構成を示すブロック図である。
実施の形態1のハイブリッド型自動車は、図11に示すように、内燃型エンジン13と、回生発電機を兼ねる電気モーター29の2つの走行用動力源を有しており、これらの動力源は車輪を回転させるクランクシャフト30に接続されている。そして、回生発電機を兼ねる電気モーター29は、第2パワー制御装置27により制御されており、必要に応じて、第2パワー制御装置27が蓄電池26に蓄電された電力を用いて電気モーター29を駆動させ、エンジン13に代わってクランクシャフト30を回転させる。また、第2パワー制御装置27は、回生発電機と電気モーターの切り替えをも制御しており、車速の減速時に回生発電機に発電させた電力を蓄電池26に蓄電させる。
他方、第1パワー制御装置25は、蓄電池26の充電状態を、例えば電池電圧で監視しており、蓄電池26の電池電圧が予め設定され電圧値以下になったとき、風力発電機15を駆動させ、これにより生じた電力を蓄電池26に蓄電させる一方、蓄電池26の電池電圧が予め設定された電圧値以上になったときには、風力発電機15の発電を停止させ、蓄電池26への電力供給を停止させる。風力発電機15の駆動および停止は、統合制御用のホストコンピュータ(不図示)が第1パワー制御装置25からの信号を受けて、前記したコントローラと38と回転軸駆動装置22の回転モーターとを介して風路変更調整板16を正逆方向に回動させることにより行う。例えば、風路変更調整板16の先端側を上方に持ちあげて発電風路上部壁面に当接させることにより、発電風路9を閉鎖させ、風力発電機15の発電を停止させる。
ここで、風力発電機15と蓄電池26とを繋ぐ回路を可逆的に切断することによっても蓄電池26への電力供給を停止させることができるが、風力発電機15を回転させたままで通電を切断する方法は、エネルギーの無駄使いになる点で好ましくない。
また、風力発電機や走行用の電気モーターは直流型でも交流型でもよいが、蓄電池26への蓄電および蓄電池26の電力を使用する必要上、風力発電機15が交流発電機である場合には、第1パワー制御装置25がAC―DC変換(交流-直流変換)し、発電機29が交流発電機である場合には、第2パワー制御装置27が回生エネルギーをAC―DC変換できるよう構成する。また、回生発電機を兼ねるモーター29が交流モーターである場合には、第2パワー制御装置27が蓄電電力をDC―AC変換して電気モーターに電力供給できるようにし、また、回生発電機を兼ねる電気モーターが直流モーターである場合には、双方向制御が可能なDC-DC変換装置を組み込む。
また、第1パワー制御装置25、第2パワー制御装置27、および風路変更調整板16の制御およびこれらに関連した一連の制御は、好ましくは統合制御用ホストコンピュータにより統合的に行う。各要素を統合的に制御することにより、エネルギー利用効率の向上が図れるからである。
以上に説明したように、実施の形態1においては、風路変更調整板の仰角を調節することにより、風車に導く車両走行風を規制することができ、しかも、風路内に取り込んだ走行風は順路排出口と走行風逃し口の何れか一方又は双方の出口を介して常にスムーズに風路外に排出される。よって、空気抵抗の増大に伴う車両走行性能の低下がない。また、風路変更調整板や風路壁面に過大な風圧が加わらないので、風力発電機構の小型軽量化を図ることができ、これによりエネルギー利用効率を一層高めることができる。
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1のハイブリッド型自動車においては、エンジン13がクランクシャフト30を駆動しているときに、風力発電機15を駆動させ、その電力を蓄電池26に蓄電させる一方、クランクシャフト30が電気モーターで駆動されているときには、蓄電電力を電気モーターに供給する必要上、蓄電池26への蓄電を停止させる必要がある。つまり、図11に示す駆動-蓄電制御システムにおいては、電気モーターが駆動している時には、蓄電池26への蓄電が行えない。
そこで、実施の形態2では、図11に示した駆動-蓄電制御システムに代えて、図12に示す駆動-蓄電制御システムを用いることにより、電気モーターの駆動の如何に拘らず充電が行えるようにした。これ以外の事項については、上記実施の形態1と同様である。
図12に基づいて実施の形態2のハイブリット型電気自動車にかかる駆動-蓄電制御システムを説明する。実施の形態2の駆動-蓄電制御システムには、第1蓄電池31と第2蓄電池32の二つの蓄電池と、これらの蓄電池と第2パワー制御装置27との間には、第2パワー制御装置27を二つの蓄電池の何れか一方に選択的にスイッチングする第2切り換えスイッチ34が設けられており、また、これらの二つの蓄電池31・32と第1パワー制御装置25との間には、第1パワー制御装置25を二つの蓄電池の何れか一方に選択的にスイッチングする第1切り換えスイッチ33が設けられている。
そして、第1切り換えスイッチ33と第2切り換えスイッチ34の切り換え動作は、実施の形態1で記載したと同様の統合制御コンピュータ(不図示)により制御されており、例えば次のように動作させる。
図12において、例えば第2切り換えスイッチ34により第1蓄電池31と第2パワー制御装置27の導通が図られた場合、第1蓄電池31の蓄電電力が電気モーターに供給される。これにより、電気モーターが駆動され、その動力がクランクシャフト30に伝達され、電気モーターが回生ブレーキ発電機(回生発電機)として機能する場合には、その発電電力を第1蓄電池31に蓄える。
他方、第2切り換えスイッチ34が、電気モーターと第1蓄電池31とを選択しているときには、もう一つの切り換えスイッチである第1切り換えスイッチ33が、第1パワー制御装置25と第2蓄電池32との間を導通させるようにスイッチングする。これにより、風力発電機15の発電電力が第2蓄電池32に蓄電される。
更に、第1蓄電池31の放電が進み電池電圧が予め設定されたしきい値電圧以下になったときには、第1切り換えスイッチ33と第2切り換えスイッチ34とのスイッチング先をそれぞれ逆にし、電池電圧の高い方(蓄電量の多い方)の蓄電池から電気を供給させ、蓄電量の少ない方の蓄電池が充電されるようにする。
更にまた、第1切り換えスイッチ33により選択されている蓄電池が、予め設定されたしきい値電圧を超えたときには、風路変更調整板を駆動させて風車への車両走行風の供給を遮断し、発電を停止させるか、または何れの蓄電池とも導通しないよう第1切り換えスイッチ33をスイッチングさせる。このように、第1切り換えスイッチ33と第2切り換えスイッチ34は、第1パワー制御装置25と第2パワー制御装置27とが同時に同一の蓄電池に接続されることがないようにスイッチングする。
実施の形態2では、第1蓄電池31と第2蓄電池32の二つの蓄電池が以上のように動作するので、走行用の電気モーターが駆動している場合においても、風力発電機15が発電する電力を蓄電池に蓄電させることができるので、走行距離を延ばすことができる。
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、ガソリンエンジンやジーセルエンジンなどの内燃機関を有さず、電気モーターのみを走行動力源とするプラグイン型電気自動車の例である。図13に基づいて実施の形態3にかかるプラグイン型電気自動車の主要部を説明する。
図13において、クランクシャフト30は、蓄電池26の電力で駆動される電気モーター29の駆動力によって駆動される。電気モーターは、回生発電機としても機能し、車両の減速時に回生電力を発電する。この電力は第2パワー制御装置27を介して蓄電池26に蓄電される。また、風力発電機15が発電した電力は、第1パワー制御装置25を介して蓄電池26に蓄電される。
更に、実施の形態3では、外部電源を用いて蓄電池26への充電が行えるようになっており、プラグ200を外部電源に差込むことにより、外部電力が第1パワー制御装置25を介して蓄電池26に蓄電される。外部電源からの充電は、自動車が停車しているときに行う。なお、外部電源からの充電を、第2パワー制御装置27を介して行うようにしてもよい。
この実施の形態3は走行用の内燃型エンジンを有しないので、実施の形態1,2のように、エンジンと電気モーターとの切り替えにかかる調整制御要素を必要としない。この実施の形態にかかるプラグイン型電気自動車では、減速時に回生ブレーキ発電と風力発電とにより電池に蓄電させることになる。
〔実施の形態4〕
実施の形態4は、蓄電池として第1蓄電池31と第2蓄電池32を有し、スイッチング素子として第1切り替えスイッチ33と第2切り替えスイッチ34とを有し、更に外部電源から第1蓄電池31と第2蓄電池32とに充電電流を供給するプラグ201を有する、図14に示す駆動-蓄電制御システムを備えたプラグイン型電気自動車の例である。
実施の形態4にかかるプラグイン型電気自動車は、二つの蓄電池31・32が相互に補完し合いながら機能するので、実施の形態3に比較し走行距離の延長を図れる。
ここで、第1蓄電池31および第2蓄電池32、第1切り替えスイッチ33および第2切り替えスイッチ34の機能および動作については、走行用のエンジンと電気モーターとの相互切り換えに関連する要素を除き、実施の形態2の場合と同様である。よって、スイッチング動作の説明を省略する。
〔実施の形態5〕
実施の形態4は、車両走行動力源が電気モーター29のみであるが、蓄電池への電力供給源としてエンジン付き発電機を備え、更に風力発電機と回生発電機とを備える自発電型電気自動車の例である。図15に基づいて実施の形態4を説明する。
実施の形態5の自発電型電気自動車は、第2パワー制御装置27を介して供給される蓄電池26の電力により、電気モーターを駆動させ、この動力をクランクシャフト30に伝える方式であり、電気モーターのみが走行用動力源となる。また、蓄電池26の充電は、図15に示すように、内燃型エンジン35により回転駆動される発電機36を主発電源とし、更に実施の形態1で説明したと同様な風力発電機15と電気モーターが兼ねる回生発電機29とを補助発電機関とする。これらの発電機によって発電された電力は、第1パワー制御装置または第2パワー制御装置を介して蓄電池26に蓄電される。
更に、実施の形態5の自発電型電気自動車では、これらの発電機関からの充電方法に加え、外部電源を用いて蓄電池26に充電できる構造としてある。外部電源を用いた充電は、自動車を停止した状態でプラグ200を外部電源に繋ぐことによって行い、外部電源からの電力は第1パワー制御装置25を介して蓄電池26に充電される。
次に制御動作について説明する。エンジン35を動力源とする発電機36の運転は、蓄電池26の電圧値が予め設定された電圧値以下になったときに行う。蓄電池26の電圧値は第1パワー制御装置25によりモニターされており、エンジン35を動力源とする発電機36の運転の可否は、第1パワー制御装置25からの信号を受けて統合制御用のホストコンピュータが制御する。また、実施の形態1で説明したと同様、電気モーターは回生発電機29としても機能し、車両減速時に回生電力が第2パワー制御装置27を介して蓄電池26に蓄電され、また、風力発電機15が発電した電力は、第1パワー制御装置25を介して適宜蓄電池26に蓄電される。これらの動作も、車両に搭載された統合制御用のホストコンピュータ(不図示)が制御する。なお、適宜とは、例えば蓄電池26の蓄電量が予め設定された電圧値以下になったときをいう。
実施の形態5の自発電型電気自動車は、エンジン駆動の発電機を有するので、車両走行中に蓄電池量が減少し走行不能に陥ることがない。また、自動車を利用する前に、外部電源で蓄電池26を満充電にしておくことにより、発電機36の使用を抑制でき、また、発電用エンジンは最も効率的な回転数で駆動させればよいので、エンジンを走行動力源とする自動車よりもCO2等の排出量を顕著に減少させることができる。
なお、この実施の形態5は、エンジン駆動の発電機を使用することにより、自発電走行できるので、外部電源を用いた充電機構は必須要素ではない。
〔実施の形態6〕
図16に基づいて実施の形態6を説明する。実施の形態6は、蓄電池として第1蓄電池31と第2蓄電池32を設け、スイッチング素子として第1切り替えスイッチ33と第2切り替えスイッチ34とを設けたこと以外は、上記実施の形態5と同様の自発電型自動車である。
実施の形態6にかかる自発電型電気自動車は、図12の場合と同様に、例えば、第2切り替えスイッチ34により、第2パワー制御装置27を介して第1蓄電池31と電気モーターとが接続され、第1蓄電池31からの放電電力で電気モーターが駆動される。他方、第1切り換えスイッチ33により、第1パワー制御装置25を介して第2蓄電池32と風力発電機15及び/又は発電機36が接続され、風力発電機15及び/又は発電機36の発電電力が第2蓄電池32に蓄電される。更に電気モーターは回生ブレーキ発電機として機能するので、車両減速時における回生電力が第2パワー制御装置27を介して第1蓄電池31または第2蓄電池32に蓄電される。
ここで第1パワー制御装置25及び第2パワー制御装置27は、それぞれが接続されている蓄電池の電圧をモニターしており、図16の例においては第2蓄電池32の電圧が予め設定されている電圧以下になったとき、第2切り換えスイッチ34と第1切り換えスイッチ33との接続先を切り換えて、第2蓄電池32を電気モーターに接続し、第1蓄電池31を風力発電機15及び/又は発電機36に接続する。このようにして、充電容量の多い蓄電池から電気モーターに電力を出力させ、同時並行的にもう一方の蓄電池に対して充電を行う。
また、実施の形態6においても、上記実施の形態5と同様、外部電源により充電を行う 方式を付加することができる。また、図16に示す駆動-蓄電制御システムにおいても 、第1パワー制御装置25と第2パワー制御装置27は、使用する風力発電機15、動 力駆動型発電機36、発電機兼用電気モーター29の種類に応じて、交流-直流変換等 の変換形式が選択されることになる。
以上の実施の形態6によると、自発電型であるので十分な走行距離を得ることができ、蓄電池の容量不足による走行性能の低下が予防でき得た電気自動車を実現することができる。
〔他の風車例〕
実施の形態1〜6においては、プロペラ型風車(14)を用いた例を示したが、風車はこの形式に限られるものではない。プロペラ型の風車は、羽根相互間に隙間が存在し、車両走行風の一部がこの隙間部分を通過するので、車両走行風の利用効率を更に高めるためには、風利用効率の高いターボ型羽根風車やシロッコ型羽根風車などの風車を用いることが好ましい。
図17、図18に基づいて、ターボ型羽根風車を用いた例を説明する。図17は、風路系の全体を示す側面図であり、図18はその平面図である。ターボ型羽根風車を用いた場合においても、風路変更調整板16により、走行風を風車側への流れと、走行風逃し口への流れとに分割して発電量を規制する点は、上記実施の形態1〜6の場合と同様であるが、ターボ型羽根風車を用いると、取り込んだ走行風を回転力に変える風利用効率が高く、また、風路系を設計する際の設計自由度が高いという利点がある。
図17において、ターボ型羽根車44は、缶状ケーシング42で覆われており、走行風取り込み口43と排風口45に開口が設けられている。発電風路9に送られた車両走行風5は、風取り込み口43からターボ型羽根車44へと入り、ターボ型羽根車44を回転駆動した後、排風口45から排出される。該排風口45からの排出風47は、排風口45を覆うように設置された誹風路46を通過して、排出順路7へと導かれ、順路排出口4から排出される。
図18に示すように、ターボ型羽根車44の回転支持部材48に固定された回転シャフト49は、缶状ケーシング42から回転可能に突出し、発電機50に接続されている。よって、ターボ型羽根車44の回転とともにシャフト49により発電機50が駆動され、発電が行われる。ターボ型羽根車44と缶状ケーシング42を用いるこの構造では、風取り込み口43を発電風路9の形状に合わせて設計することにより、発電風路9に入ってくる車両走行風5の全てを、ターボ羽根車44へと導くことが可能となるため、より効率的な発電を行うことができる。
〔補充事項〕
(1)本発明で使用する「蓄電池」は1個を意味しない。2個以上の集合電池群(蓄電池群)であってもよい。また、「蓄電池」は充放電できるものであればよくその種類は限定されない。本発明で好ましく使用できる蓄電池としては、例えば水素吸蔵合金電池、リチウムイオン電池などのエネルギー密度の高い二次電池が挙げられる。
(2)上記実施の形態では、蓄電池の充放電状態を電池電圧で把握し、電池電圧を用いて発電風路の開閉を制御する動作を記載したが、蓄電池の電池容量を測定し、電池容量に基づいて発電風路の開閉を制御させるようにすることもできる。
(3)また、上記実施の形態では、電気自動車の例を示したが、本発明でいう「車両」は電気自動車に限られない。本発明は、蓄電池を備えた各種車両に適用でき、例えば通常のガソリン自動車や、ジーゼル機関車、上記機関車などにも適用できる。
本発明にかかる風力発電機構は、車両走行風の逃し口を有するので、発電風路の開閉に際して過大な風圧が風路および風路変更調整板に加わらない。よって、風路変更調整板を駆動するのに要するエネルギーが小さく、しかも風路変更調整板に過大な風圧が作用しない分、風路系を軽量化できる。また、発電風路を完全に閉じても空気抵抗が増加しないので、空気抵抗の増加に起因する車両走行性能の低下がない。
よって、本発明によると、風力発電機構を設置することによる車両重量の増加やこれを駆動制御するための消費エネルギーの増加分を上回る省エネルギー効果を享受できる。よって本発明の産業上の利用可能性は大きい。
本発明にかかる車両外観を示す斜視図である。 本発明にかかる車両の前半部分の平面模式図である。 本発明の要部である発電風路部分の斜視図である。 図3にかかる発電風路部分の平面模式図である。 図3にかかる発電風路部分の側面模式図であり、風路変更調整板が走行風を2分割している状態を示す。 本発明にかかる風路変更調整板が走行風逃し口を蓋した状態を示す側面模式図である。 本発明にかかる風路変更調整板が発電風路を閉鎖した状態を示す側面模式図である。 本発明にかかる風路変更調整板の回転駆動機構を説明する平面模式図である。 本発明にかかる風路変更調整板の回転駆動状態を説明する側面模式図である。 本発明にかかる風力発電機構の概念構成を説明するブロック図である。 本発明実施の形態1にかかるハイブリット型電気自動車の概念構成を示すブロック図である。 本発明実施の形態2にかかるハイブリット型電気自動車の概念構成を示すブロック図である。 本発明実施の形態3にかかるプラグイン型電気自動車の概念構成を示すブロック図である。 本発明実施の形態4にかかるプラグイン型電気自動車の概念構成を示すブロック図である。 本発明実施の形態5にかかる自発電型電気自動車の概念構成を示すブロック図である。 本発明実施の形態6にかかる自発電型電気自動車の概念構成を示すブロック図である。 ターボ型羽根風車を用いた本発明例を説明する側面模式図である。 ターボ型羽根風車を用いた本発明例の平面模式図である。 風力発電機を搭載した車両の従来例を説明する側面も式図である。
符号の説明
1 車両本体
2 走行風取込口
3 開口部
4 順路排出口
5 車両走行風
6 空冷用の風
7 排出順路
8 前輪
9 発電風路
10 風力発電領域
11 走行風逃し口
12 ラジエータ
13 走行用エンジン
14 風車
15 風力発電機
16 風路変更調整板
17 車両全面構成部材
18 回転軸
19 発電風路下部壁面
20 発電風路上部壁面
21 走行風
22 回転軸駆動装置
23 回転軸受け部(ベアリング)

25 第1パワー制御部
26 蓄電池
27 第2パワー制御部

29 走行用電気モーター(回生ブレーキ発電機)
30 クランクシャフト
31 第1蓄電池
32 第2蓄電池
33 第1切り替えスイッチ
34 第2切り替えスイッチ
35 内燃型エンジン
36 発電機
37 回転数センサ
38 コントローラ

41 蓄電量センサ
42 ケーシング
43 風取り込み口
44 ターボ型羽根車
45 排風口
46 排風路
47 排出風
48 回転支持部材
49 回転シャフト
50 発電機

200、201 外部電源接続プラグ

Claims (10)

  1. 車両本体と、前記車両本体に組み込まれた風力発電機構と、を備えた風力発電機構付き車両であって、
    前記風力発電機構は、車両走行風を取り込む走行風取込口と前記走行風取込口から取り込んだ走行風を車外に排出する順路排出口とを有する一つの通路からなる発電風路と、
    前記発電風路内に配置され、前記走行風取込口から取り込んだ走行風を受けて回転する風車と、
    前記風車の回転力を利用して発電する風力発電機と、
    前記風力発電機により発電された電力を蓄える蓄電池と、
    前記風車よりも風上に位置する発電風路壁面に設けられた開口からなる走行風逃し口と、
    前記発電風路内に設けられ、前記走行風取込口から取り込んだ車両走行風の一部または全部を前記走行風逃し口に導く風路変更調整板と、を備える、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  2. 請求項1に記載の風力発電機構付き車両において、
    前記風路変更調整板は、一方端部側が前記発電風路の壁面に回動可能に固定され、当該一方端部側を回転軸として前記風路変更調整板の他方端部側を立ち上げたときに、前記走行風取込口から取り込まれた車両走行風が前記走行風逃し口に導かれ、前記他方端部側を前記発電風路壁面に略平行になるまで下げたときに、前記走行風逃し口が塞がれる構造である、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  3. 請求項2に記載の風力発電機構付き車両において、
    前記風力発電機構は、前記風車の回転数が予め設定された回転数を超えたとき、前記風路変更調整板の先端側を立ち上げる方向に駆動させ、予め設定された回転数に満たないとき、前記風路変更調整板の先端側を下げる方向に駆動させることにより、前記順路排出口と前記走行風逃し口とに導く走行風の風量比率を調整する風量調整手段を備える、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  4. 請求項3に記載の風力発電機構付き車両において、
    前記風量調整手段は、更に、前記蓄電池の電池電圧が予め設定された値を超えた場合には、前記風車の回転数にかかわらず、前記風路変更調整板の先端側を発電風路対向壁面に当接するまで立ち上げて全ての走行風を前記走行風逃し口に導く、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  5. 請求項2に記載の風力発電機構付き車両において、
    前記風力発電機構は、前記風路変更調整板を回転駆動する回転モーターを有する風路変更調整板駆動部と、前記風力発電機に付設された、前記風力発電機の回転数を測定する回転数センサと、前記風路変更調整板の回転角度を制御する信号を前記風路変更調整板駆動制御部に送出するコントローラと、を備える風量調整手段を有し、
    前記コントローラが、一定の時間間隔で前記回転数センサの測定した回転数値が前記コントローラのメモリに予め記憶された設定回転数値よりも大きいか否かを判定し、前記回転数センサが測定した回転数値が前記設定回転数値よりも大きいときには、前記風路変更調整板駆動部の回転モーターを正回転させ、前記風路変更調整板を立ち上げて前記走行風逃し口へ逃す風量比率を大きくし、前記回転数センサが測定した回転数値が前記設定回転数値よりも小さいときには、前記風路変更調整板駆動部の回転モーターを逆回転させ、前記風路変更調整板を下げて前記走行風逃し口へ逃す風量比率を小さくするよう制御する、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  6. 請求項2に記載の風力発電機構付き車両において、
    前記風力発電機構は、前記風路変更調整板を回転駆動する回転モーターを有する風路変更調整板駆動部と、前記蓄電池の電圧を測定する蓄電池電圧モニターと、前記風路変更調整板の回転角度を制御する信号を前記風路変更調整板駆動制御部に送出するコントローラと、を備える第2の風量調整手段を有し、
    前記コントローラは、前記蓄電池電圧モニターの測定した電圧値が前記コントローラのメモリに予め記憶された設定電圧値よりも大きいか否かを監視し、測定電圧値が設定電圧値よりも大きいときには、前記風路変更調整板駆動部の回転モーターを正回転させ、前記風路変更調整板を発電風路対向壁面に当接するまで立ち上げて、前記走行用取込口から取り込んだ走行風の全てを前記走行風取込口に導くよう制御する、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の風力発電機構付き車両において、
    前記風路変更調整板は、尖鋭な先端を有する先細り形状であり、当該先端を車両走行風の流入方向に向けて配置されている、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の風力発電機構付き車両において、
    前記車両は走行用動力源として車両走行用電気モーターを備え、
    前記車両走行用電気モーターが前記蓄電池から電力の供給を受けて駆動する構成である、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  9. 請求項1乃至7の何れかに記載の風力発電機構付き車両において、
    前記車両は、走行用動力源としての車両走行用電気モーターと、前記蓄電池に充電用電力を供給する内燃型エンジン付発電機と、を備え、
    前記車両走行用電気モーターが前記蓄電池から電力の供給を受けて駆動する構成である、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
  10. 請求項8または9に記載の風力発電機構付き車両において、
    前記蓄電池は、第1の蓄電池群と第2の蓄電池群からなり、
    前記風力発電機と前記第1又は第2蓄電池群との間、および前記第1又は第2蓄電池群と前記車両走行用電気モーターとの間には、それぞれの接続先を相互に切り換える切り換えスイッチが設けられ、前記切り換えスイッチにより、前記風力発電機と前記車両走行用電気モーターとが常に異なる蓄電池群に接続されるようにして、随時、接続される蓄電池群が切り換えられる構成である、
    ことを特徴とする風力発電機構付き車両。
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