JP5207858B2 - 圧延材の先端部の温度予測方法 - Google Patents
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Description
一方で、圧延パススケジュールの決定や次制御周期における冷却装置のコントロールを行うに際しては、巻取り温度の正確な予測が必要不可欠であり、巻取り温度の予測方法としては、特許文献1や特許文献2に開示された技術がある。
特許文献1の技術は、加熱した圧延材を圧延した後、冷却し、冷却後の圧延材を巻き取るといった一連の熱間圧延工程において、圧延終了後の圧延材の先端部の形状を測定し、測定された形状を基に巻取り温度をフィードフォワード制御するものとなっている。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、熱間圧延される圧延材の先端部の巻取り温度を正確に予測することができる圧延材の先端部の温度予測方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る圧延材の先端部の温度予測方法は、熱間圧延を行った後に冷却しさらに巻き取ることで圧延材を製造する際に用いられる圧延材の温度予測方法であって、前記圧延材の先端部において、巻取り温度の目標値と実績値との差である温度偏差(ΔT)を求め、求めた温度偏差(ΔT)を、熱伝達率の平坦度依存項(α F )が加味された非定常一次元熱伝導方程式の解析解に適用することで、前記圧延材の先端部での平坦度の影響を除去した温度偏差(ΔT’)を求め、その後、求められた温度偏差(ΔT’)をゼロとするような熱伝達率の平坦度非依存項(αB)を熱伝達率の平坦度非依存項(α B )が加味された非定常一次元熱伝導方程式の解析解を基に推定すると共に、該熱伝達率の平坦度非依存項(αB)の学習を行い、学習後の熱伝達率の平坦度非依存項(αB)及び前記熱伝達率の平坦度依存項(α F )の両方が加味された非定常一次元熱伝導方程式の解析解に適用することで、圧延材の先端部の巻取り温度を予測する、ことを特徴とする。
一方、前記圧延材の先端部の平坦度を、圧延材の先端部の板幅方向の温度分布から推定するとよい。
さらに好ましくは、前記圧延材の先端部の平坦度に対しても学習を行うとよい。
[第1実施形態]
図1は、本温度予測方法が適用される圧延装置1、すなわち、圧延機2、冷却装置3、巻取り装置4に至るまでの装置構成を示した図である。なお、圧延材5の移送方向において、移送されていく側(巻取り装置4側)を下流側、その反対側(圧延機2側)を上流側と呼ぶ。
冷却装置3は、圧延された圧延材5を冷却するもので、連続的に連なる複数の冷却バンク8を備えており、各冷却バンク8に設けられた冷却ノズルから冷却水を放出することで圧延材5は冷却される。本実施形態の場合、冷却装置3は2つ備えられ、上流側冷却装置3aと下流側冷却装置3bとからなる。
さらに、圧延装置1には、板温度計等から得られた実績値を基に、圧延材5の先端部の巻取り温度を予測する先端温度予測手段9が設けられている。
圧延材5の板温度を計測する板温度計は、放射温度計で構成されており、第1温度計10aから第4温度計10dを有している。
第1温度計10aは、上流側冷却装置3a入側に配備され、圧延材5の入側板温度を計測する。第2温度計10bは、上流側冷却装置3aと下流側冷却装置3bとの間に設けられ、上流側冷却装置3aの出側板温度又は下流側冷却装置3bの入側板温度を計測する。第3温度計10cは、下流側冷却装置3bの中途部に設けられていて、冷却途中での板温度を計測可能となっている。
第3温度計10と略同位置には、冷却が完了しつつある圧延材5の形状を検出する平坦度検出手段20が設けられている。
図2に示す如く、平坦度検出手段20は、スリット光を照射する照射部21と、照射されたスリット光からの反射光を撮像する撮像部22と、撮像部22で撮像されたスリット光の画像を基に圧延材5の形状を検出し、その結果を基に圧延材5の平坦度を検出する平坦度算出部23とからなる。
撮像部22は、スリット光を照射した際に圧延材5の表面から反射された反射光を撮像するもので、例えば、2次元CCDカメラ等で構成されている。
平坦度算出部23は、撮像部22が出力した画像を画像座標データとしてフレームメモリ上に記憶させ、記憶された画像座標データを基に三角測量法の原理を用いて圧延材5の形状プロファイルを求めるものである。形状プロファイルは正規化されることが好ましい。得られた形状プロファイルから、式(1)を用いて平坦度を算出する。
詳しくは、級数展開の基底関数として、式(1)で示されるチェビシェフ関数を採用する。
式(1)で表されるチェビシェフ関数を用いると、形状プロファイルは式(2)に示すようになる。
級数展開の係数を求めるにあたっては、式(4)で示されるチェビシェフ関数における直交条件を用いて求める。
以上の手法で算出された平坦度C2は、温度予測部24へ送られる。なお、平坦度としては、2次の係数C2に限定されず、他の級数展開の係数、例えば、C1やC3であってもよい。
温度予測部24では、平坦度C2を基に、図3に示した遷移図、図4に示したフローチャートにしたがって、圧延材5の先端部の巻取り温度を予測する。
その際に、平坦度C2の長手方向分布が、図3(c)のように略ゼロ又は一定値になるように、平坦度C2の影響を除去した場合の板長手方向の板温度偏差ΔT’を求めることとする。具体的には、式(6)を用い、板温度偏差ΔTをΔT’へと補正する。
なお、板温度偏差ΔTの補正には、図5のような過去の圧延実績から得られたグラフを用いてもよい。このグラフは、横軸が平坦度C2の変動値であり、縦軸は平坦度による熱伝達率の変化αFである。鋼種(例えば、ハイテン鋼)や形状(例えば、幅広鋼)により、グラフの傾向が異なっているため、各鋼種等毎に対応するデータを採用する。このグラフから得られたαFと式(6)を用いて板温度偏差ΔTを補正してもよい。
具体的には、式(8)で、ΔT’=0とし、それを実現できる熱伝達率αBを算出する。
この熱伝達率αBは、平坦度に依存しないものであり熱伝達率αの平坦度非依存項と考えることができる。つまり、熱伝達率αには、平坦度に依存する項αFもあるため、実際には、式(9)のように記述することができる。
このαBを各制御周期ごとや各圧延材5毎に、式(10)又は式(10’)により、学習するとよい。
平坦度C2の学習は例えば、式(11)を用いることができる。この式により得られたC2 [N]は次制御周期Nでの平坦度の予測値となる。(S104)
その後、得られた熱伝達率αに基づいて、例えば、式(12)を利用し、圧延材5の先端部の温度Ttを予測する。(S106)
[第2実施形態]
次に、本発明にかかる圧延材5の先端部の温度予測方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態が第1実施形態と大きく異なる点は、巻取り温度の温度偏差ΔTを補正する際に用いる圧延材5の先端部の平坦度C2を、圧延材5の先端部の板幅方向の温度分布から推定することである。他の点は第1実施形態と略同様である。
例えば、本発明の温度予測方法は、圧延材5の先端部への適用に限定されず、平坦度と巻き取り温度とが何らかの関係を有する部分、例えば、圧延材5の尾端部に採用してもよい。同じく、予測される温度は巻き取り温度に限定されない。上流側冷却装置3の出側温度であってもよい。
また、薄板の圧延を例示して説明を行ったたが、厚板の圧延にも本温度予測方法は適用可能である。
2 圧延機
3 冷却装置
3a 上流側冷却装置
3b 下流側冷却装置
4 巻取り装置
5 圧延材
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 冷却バンク
9 先端温度予測手段
10a 第1温度計
10b 第2温度計
10c 第3温度計
10d 第4温度計
20 平坦度検出手段
21 照射部
22 撮像部
23 平坦度算出部
24 温度予測部
Claims (4)
- 熱間圧延を行った後に冷却しさらに巻き取ることで圧延材を製造する際に用いられる圧延材の温度予測方法であって、
前記圧延材の先端部において、巻取り温度の目標値と実績値との差である温度偏差(ΔT)を求め、
求めた温度偏差(ΔT)を、熱伝達率の平坦度依存項(α F )が加味された非定常一次元熱伝導方程式の解析解に適用することで、前記圧延材の先端部での平坦度の影響を除去した温度偏差(ΔT’)を求め、
その後、求められた温度偏差(ΔT’)をゼロとするような熱伝達率の平坦度非依存項(αB)を熱伝達率の平坦度非依存項(α B )が加味された非定常一次元熱伝導方程式の解析解を基に推定すると共に、該熱伝達率の平坦度非依存項(αB)の学習を行い、
学習後の熱伝達率の平坦度非依存項(αB)及び前記熱伝達率の平坦度依存項(α F )の両方が加味された非定常一次元熱伝導方程式の解析解に適用することで、圧延材の先端部の巻取り温度を予測する、
ことを特徴とする圧延材の先端部の温度予測方法。 - 前記圧延材の先端部の形状プロファイルをチェビシェフ級数展開し、得られた2次の係数(C2)を前記平坦度としていることを特徴とする請求項1に記載の圧延材の先端部の温度予測方法。
- 前記圧延材の先端部の平坦度を、圧延材の先端部の板幅方向の温度分布から推定することを特徴とする請求項1に記載の圧延材先端部の温度予測方法。
- 前記圧延材の先端部の平坦度に対しても学習を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延材先端部の温度予測方法。
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